以下、処理装置および処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示す処理装置1の構成について説明する。処理装置1は、「処理装置」の一例であって、電気的特性が互いに異なる複数種類の物質(例えば、図5に示す分散媒100aおよび分散質100b)で構成される分散系(例えば、図6に示す分散系200)の分散度を特定するためのインピーダンスZを測定する処理を実行すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて分散系の分散度を特定する処理を実行可能に構成されている。
なお、分散度は、分散系における分散媒に対する分散質の分散の状態を表すパラメータであって、分散系中において識別可能な分散質の固形粒子の直径(JIS K5600-2-5の規定に準じた分散度)や、分散系を用いる製品の品質を確保するのに必要な標準的な分散の程度と比較して、特定対象の分散系の分散の程度が、「低い」、「通常」および「高い」との表現で表したものなどがあるが、本願における分散度は、分散系における分散の状態を電気的なパラメータで数値的に表したものいう。
一方、処理装置1は、図1に示すように、収容容器2、複数の電極E、電流供給部4、検出部5、接続切替部6、撹拌器7、記憶部8、処理部9を備えて構成されている。
収容容器2は、図2に示すように、本体部2aおよび図外の蓋を備えて円筒状に形成され、例えば、図5に示す分散媒100aおよび分散質100bで構成される分散系200を収容可能に構成されている。
各電極Eは、図2~4に示すように、収容容器2の内周面22における周方向に沿って互いに等間隔に離間する16個(3つ以上の一例:後述する各例についても同様)の領域A1~A16(例えば、収容容器2の高さ方向に細長い形状の領域:以下、領域A1~A16を区別しないときには「領域A」ともいう)における収容容器2の高さ方向に離間した一対の位置にそれぞれ配置された32個の電極Ef(第1電極に相当する)と、各領域Aにおける各電極Efの間の位置(一例として、各領域Aにおける各電極Ef同士を結ぶ線分の中心位置)にそれぞれ配置された16個の電極Es(第2電極に相当する)とで構成されている。この場合、収容容器2の高さ方向の高位置側に配置されている各電極Ef(以下、高位置側の電極Efを「電極Efh」ともいう)は、収容容器2の底面23からの高さが互いに等しい位置(高位置側の位置)にそれぞれ配置され、収容容器2の高さ方向の低位置側に配置されている各電極Ef(以下、低位置側の電極Efを「電極Efl」ともいう)は、収容容器2の底面23からの高さが互いに等しい位置(低位置側の位置)にそれぞれ配置されている。また、各電極Esは、収容容器2の底面23からの高さが互いに等しい位置にそれぞれ配置されている。なお、内周面22の周方向における各領域A同士の間隔が異なる(等間隔ではない)構成を採用することもできる。また、底面23から各電極Efhまでの高さが互いに多少異なったり、底面23から各電極Eflまでの高さが互いに多少異なったり、底面23から各電極Esまでの高さが互いに多少異なったりする構成を採用することもできる。
この場合、隣接する一対の領域Aに配置されている各電極Efが、接続切替部6によって電流供給部4に接続切り替え(以下、単に「接続」ともいう)されて、電流供給部4から出力される電流Iを収容容器2に収容される分散系200(分散媒100aおよび分散質100b)に供給するための電極E(電流供給用の一対の電極E)として機能する。
また、隣接する一対の領域Aに配置されている各電極Esが、接続切替部6によって検出部5に接続切り替え(以下、単に「接続」ともいう)されて、各電極Es間(電極Esが配置されている配置位置間)の電圧を検出するための電極E(電圧検出用の一対の電極E)として機能する。
電流供給部4は、処理部9の指示に従って電流I(例えば、交流定電流)を出力して、接続切替部6によって接続される各電極Ef間(電流供給用の一対の電極E間)に電流Iを供給する。また、電流供給部4は、電流Iの周波数を変更可能に構成され、処理部9の指示に従って周波数を変更する。
検出部5は、電圧検出部として機能して、接続切替部6によって接続された一対の電極Es間(電圧検出用の一対の電極E間)の電圧(交流電圧)の電圧値Vを検出すると共に、各電極Es間の電圧と電流Iとの位相差θを検出する。この場合、後述する第2接続処理において、検出部5に接続される一対の電極Esの組み合わせが複数回変更され、検出部5は、接続される一対の電極Esの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出する。
接続切替部6は、図外の複数のスイッチを備えて構成され、処理部9の指示に従って電流供給用の各電極Eと電流供給部4とを接続すると共に、処理部9の指示に従って電圧検出用の各電極Eと検出部5とを接続する。また、接続切替部6は、各電極Ef間に供給される電流I、および検出部5によって電圧値Vが検出される各電極Es間の電圧を検出部5に出力する。
この場合、接続切替部6は、隣接する一対の領域Aの一方に配置されている各電極Efを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子(例えば、図8に示す出力端子41a)に接続させると共に、隣接する一対の領域Aの他方に配置されている各電極Efを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子(例えば、同図に示す出力端子41b)に接続させる第1接続処理を隣接する一対の領域Aの組み合わせを変更しつつ複数回(この例では、16回)実行する。
また、接続切替部6は、隣接する一対の領域Aの一方に配置されている電極Esを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子(例えば、図8に示す入力端子51a)に接続させると共に、隣接する一対の領域Aの他方に配置されている電極Esを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子(例えば、同図に示す入力端子51b)に接続させる処理を隣接する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回(この例では、16回)実行する第2接続処理を、第1接続処理を実行する毎に実行する。なお、以下の説明において第1接続処理および第2接続処理を合わせて「接続処理」ともいう。
撹拌器7は、図2に示すように、収容容器2における本体部2aの底面23側に配置されて、収容容器2に収容されている分散系200(分散媒100aおよび分散質100b)を撹拌する。
記憶部8は、処理部9の制御に従い、検出部5によって検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶する。また、記憶部8は、処理部9によって実行される後述するインピーダンス測定処理50において算出される各種の値を記憶する。また、記憶部8は、インピーダンス測定処理50において実行されるインピーダンス分布特定処理60において用いられる閾値εを記憶する。
処理部9は、処理装置1を構成する各部を制御する。また、処理部9は、後述するインピーダンス測定処理50を実行して、収容容器2に収容されている分散系200内に規定した仮想平面Bを複数のメッシュD(要素)に分割(要素分割)した各メッシュDにおける電流Iの周波数毎のインピーダンスZを測定する。また、処理部9は、後述する分散度特定処理を実行して、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZに基づいて各メッシュDの分散度を特定する。
次に、処理装置1を用いて、分散系200の分散度を特定するためのインピーダンスZを測定すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて分散系200の分散度を特定する処理の処理方法について図面を参照して説明する。
まず、図5に示すように、電気的特性が互いに異なる複数種類の物質としての分散媒100aおよび分散質100bを収容容器2に収容する。なお、同図および図6では、電極Eおよび撹拌器7の図示を省略している。この場合、例えば、電気的特性の一例としての導電率が低い有機溶媒を分散媒100aとし、導電率が高い導電性粒子(カーボンブラック等)を分散質100bとする。また、収容容器2に収容した分散媒100aおよび分散質100bの上面が各電極E(電極Efh)の配置位置よりも上方に位置するように、(各電極Eが分散媒100aおよび分散質100bに浸されるように)分散媒100aおよび分散質100bの量を調整する。
続いて、図外の操作部を操作して撹拌器7を作動させて、撹拌を開始させる。これにより、分散媒100aに対する分散質100bの分散(分散媒100aおよび分散質100bの混合)が開始される。次いで、図6に示すように、予め決められた分散時間(混合時間)が経過して分散系200が構成された時点で、操作部を操作して撹拌器7を停止させる。
続いて、操作部を操作して、処理部9に対してインピーダンス測定処理50(図7参照)の実行を指示する。このインピーダンス測定処理50では、処理部9は、電流供給部4に出力させる電流Iの周波数の初期値を予め決められた低い周波数に設定する(ステップ51)。次いで、処理部9は、検出処理を実行する(ステップ52)。この検出処理では、処理部9は、まず、接続切替部6に対して接続処理を実行させる。
接続処理では、接続切替部6は、電流供給用の一対の電極Eを電流供給部4に接続させる1回目の第1接続処理を実行する。具体的には、接続切替部6は、図8,9に示すように、隣接する一対の領域A(例えば、領域A1,A2)の一方(例えば、領域A1)に配置されている各電極Ef(電極Efh,Efl)を電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、領域A1,A2の他方(領域A2)に配置されている各電極Efを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる。
次いで、接続切替部6は、1回目の第2接続処理を実行する。この1回目の第2接続処理では、接続切替部6は、図8,9に示すように、隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの1組目(例えば、領域A1,A2)の一方(例えば、領域A1)に配置されている電極Esを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、領域A1,A2の他方(領域A2)に配置されている電極Esを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる。
続いて、処理部9は、電流供給部4に対して電流Iの出力を指示し、電流供給部4が電流Iを出力する。この際に、各領域A1,A2にそれぞれ配置されている電流供給用の各電極Eとしての各電極Ef間に電流Iが供給される。次いで、検出部5が、各領域A1,A2にそれぞれ配置されている電圧検出用の各電極Eとしての各電極Ef間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出する。続いて、処理部9は、検出部5によって検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
続いて、接続切替部6は、図9に示すように、隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの2組目(例えば、領域A2,A3)の一方(例えば、領域A2)に配置されている電極Es、および領域A2,A3の他方(領域A3)に配置されている電極Esを、電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる。続いて、検出部5が、各領域A2,A3の各電極Ef間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9が、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
以下、同様にして、接続切替部6は、図9に示す3組目~16組目の一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Esを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6は、この処理を隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で16回実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Esの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9は、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、1回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6は、2回目の第1接続処理を実行する。この場合、接続切替部6は、図9に示すように、1回目の第1接続処理において電流供給部4に接続した各電極Efが配置されている領域A1,A2とは異なる組み合わせの隣接する一対の領域A(例えば、領域A2,A3)にそれぞれ配置されている各電極Efを電流供給用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させる。
続いて、接続切替部6は、2回目の第2接続処理を実行する。この場合、接続切替部6は、この2回目の第2接続処理において、上記した1回目の第2接続処理と同様にして、図9に示す1組目~16組目の一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Esを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせ(この例では、合計で16の組み合わせ)を順次変更しつつ複数回(この例では、合計で16回)実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Esの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9は、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、2回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6は、図9に示す3回目~16回目の第1接続処理を、一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6は、第1接続処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で16回実行する。また、接続切替部6は、上記した第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に(つまり、16回)実行し、各第2接続処理において、1組目~16組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Esを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で16回実行する。つまり、この例では、接続切替部6は、一対の電極Esを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を合計で256回(16回の第2接続処理×1回の第2接続処理毎に16回)実行する。また、検出部5は、各第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Esが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9は、検出された各電圧値Vおよび位相差θ(256種類の電圧値Vおよび位相差θ)を記憶部8に記憶させる。以上により、検出処理が終了する。
次いで、処理部9は、図10に示すインピーダンス分布特定処理60を実行して(インピーダンス測定処理50のステップ53:図7参照)、分散系200内における局所的なインピーダンスZの分布の特定、つまり分散系200内を複数の要素に要素分割した各要素のインピーダンスZの測定を行う。このインピーダンス分布特定処理60では、処理部9は、まず、分割処理を実行する(ステップ61)。分割処理では、処理部9は、図6に示すように、収容容器2に収容されている分散系200内において、収容容器2の中心軸21に直交する仮想平面Bを規定する。続いて、処理部9は、図11に示すように、予め決められたアルゴリズムに従い、予め決められた平面形状(一例として、三角形)の複数のメッシュD(要素)で仮想平面Bを分割(要素分割)する。
次いで、処理部9は、電圧検出用の各電極Eが配置されている領域Aの位置、またはその位置の近傍の位置における電圧値の理論値を算出する(以下、電圧値の理論値を「電圧値Vc」ともいう)。具体的には、処理部9は、上記した分割処理で分割した各メッシュDに1つずつ割り当てた仮想的な各インピーダンス素子を接続して構成した等価回路を作成するモデル化を実行する(ステップ62)。なお、以下の説明において、メッシュDの総数をn個としたときの各メッシュDを「メッシュD1~Dn」ともいい、メッシュD1~Dnに1つずつ割り当てた各インピーダンス素子のインピーダンスZをそれぞれ「インピーダンスZ1~Zn」ともいう。
続いて、処理部9は、作成した等価回路における各インピーダンス素子同士の各接続点のうちの、電圧検出用の各電極Eが配置されている領域Aに位置する接続点、または、その領域Aに最も近い接続点(以下、これらの接続点を「接続点P」ともいう)における電圧値Vcを算出する数式として、上記した等価回路を構成する各インピーダンス素子のインピーダンスZ1~Zn、およびインピーダンスZ1~Znに対応する位相差θ1~θnをパラメータ(変数)として含む数式(以下、この数式を「Vc(Z1~Zn,θ1~θn)」と表す)を作成する(ステップ63)。
次いで、処理部9は、上記の数式Vc(Z1~Zn,θ1~θn)に代入するインピーダンスZ1~Zn(以下、代入するインピーダンスZ1~Znを「代入インピーダンスZp1~Zpn」ともいう)、および位相差θ1~θn(以下、代入する位相差θ1~θnを「代入位相差θp1~θpn」ともいう)の各初期値を設定する(ステップ64)。この場合、初期値として設定する代入インピーダンスZp1~Zpnおよび代入位相差θp1~θpnは、任意の値に設定することができる。一例として、十分な分散時間(混合時間)をかけて分散媒100aに分散質100bを分散させた分散系200について想定されるその分散系200の複素誘電率に、各メッシュDの面積を乗じた値を代入インピーダンスZp1~Zpnの初期値として採用することができる。また、一例として、記憶部8に記憶されている位相差θ(上記した検出処理において検出した各位相差θ)のうちの、各メッシュDに最も近い領域Aにおける位相差θを代入位相差θp1~θpnの初期値として採用することができる。
続いて、処理部9は、代入インピーダンスZp1~Zpnおよび代入位相差θp1~θpnの初期値を数式Vc(Z1~Zn,θ1~θn)に代入して、各接続点Pにおける各電圧値Vcを算出する(ステップ65)。
次いで、処理部9は、記憶部8に記憶されている各電圧値Vを読み出す。次いで、処理部9は、各領域Aにおける電圧値Vと、各領域Aにそれぞれ対応する接続点Pにおける電圧値Vcとの差分値を算出する。続いて、処理部9は、算出した各差分値の二乗和を算出し、さらに、算出した二乗和の平均値(二乗和を一対の領域Aの組み合わせの数で除した値)を算出する。ここで、このようにして算出した値は、代入インピーダンスZp1~Zpnおよび代入位相差θp1~θpnによって変化する関数ということができ、以下、この関数を評価関数Jと表す(ステップ66)。なお、評価関数J、および一対の領域Aの組み合わせ毎に算出した電圧値Vと電圧値Vcとの差分値の二乗和の関係は次の式(1)で表される。
J=Σ[i∈Surface]{Vi-Vci(Zp1~Zpn,θ1~θn)}2/N・・・式(1)
この場合、式(1)において、「i」は、各電圧値Vおよび各電圧値Vcに対してそれぞれ1から順番に付された番号(上記例では、1~256)を意味し、「Σ[i∈Surface]」は、全ての{Vi-Vci(Zp1~Zpn,θ1~θn)}2を加算することを意味する。また、「N」は、すべての電圧値Vの数(上記例では、256)を意味する。
次いで、処理部9は、記憶部8から閾値εを読み出して、算出した評価関数Jと閾値εとを比較し、評価関数Jが閾値ε未満か否か(比較結果が予め規定された規定条件を満たしているか否か)を判別する(ステップ67)。ここで、閾値εは、評価関数Jが収束に向かっているか否かを判断するための値であって、この閾値εが「0」に近いほど、各メッシュDのインピーダンスZが高い精度で特定されることを意味している。この場合、処理部9は、ステップ67において、評価関数Jが閾値ε以上(評価関数Jが閾値ε未満ではない)と判別したときには、代入インピーダンスZp1~Zpnおよび代入位相差θp1~θpnを変更して(ステップ68)、上記したステップ65~ステップ67を実行する。以下、処理部9は、ステップ67において、評価関数Jが閾値ε以上と判別したときには、ステップ65~ステップ67を繰り返して実行する。
一方、処理部9は、ステップ67において、評価関数Jが閾値ε未満であると判別したときには、その時点において数式Vc(Z1~Zn,θ1~θn)に代入した代入インピーダンスZp1~ZpnをインピーダンスZ1~Znとして決定して、その時点の電流Iの周波数と共に(インピーダンスZ1~Znと周波数とを対応付けて)記憶部8に記憶させて(ステップ69)、インピーダンス分布特定処理60(インピーダンス測定処理50のステップ53)を終了する。
続いて、処理部9は、電流供給部4から出力されている電流Iの周波数が予め規定された規定周波数に達しているか否かを判定する(インピーダンス測定処理50のステップ54)。この場合、処理部9は、電流Iの周波数が規定周波数に達していないときには、電流供給部4に周波数の変更(この例では、上昇)を指示し(ステップ55)、次いで、上記したステップ52~54を実行する。以下、処理部9は、ステップ54において電流Iの周波数が規定周波数に達したと判定するまで、ステップ52~55を繰り返して実行する。続いて、処理部9は、ステップ54において電流Iの周波数が規定周波数に達したと判定したときには、インピーダンス測定処理50を終了する。以上により、各メッシュDにおける周波数毎のインピーダンスZの測定(各周波数における分散系200内の局所的なインピーダンスZの分布の特定)が完了する。
次いで、各メッシュDにおける分散度(分散系200の局所的な分散度の分布)を特定するときには、操作部を操作して、分散度特定処理の実行を指示する。この分散度特定処理では、処理部9は、一例として、次の手順で各メッシュDにおける分散度を特定する。まず、処理部9は、電流Iの周波数毎の各インピーダンスZを記憶部8から読み出す。続いて、処理部9は、各メッシュDのうちの1つのメッシュDにおける周波数毎のインピーダンスZを複素平面上にナイキストプロット(コールコールプロット)して描いたナイキスト線図を取得する。次いで、処理部9は、取得したナイキスト線図と同等のナイキスト線図が描かれる等価回路を特定する。続いて、処理部9は、特定した等価回路を構成する各構成要素(例えば、CPE(constant phase element)、抵抗、コンデンサ等)の各パラメータのうちの分散度に依存するパラメータ(例えば、インピーダンス、抵抗値および容量等のうちの1つ以上、またはこれらの組み合わせ(積や和))の値を分散度として特定する。同様にして、処理部9は、他の各メッシュDの分散度を特定する。次いで、処理部9は、特定した分散度を記憶部8に記憶させると共に図外の表示部に表示させて分散度特定処理を終了する。
なお、特定された各メッシュDにおける分散度の値が目標の値よりも小さいと判断したときには、撹拌器7を作動させて分散系200をさらに撹拌した後に、上記したインピーダンス測定処理50および分散度特定処理を処理部9に実行させる工程を繰り返すことで、各メッシュDにおける分散度の値が目標の値となるように分散系200の分散度を高めることができる。
このように、この処理装置1および処理方法によれば、互いに離間する内周面22の各領域Aに電極Eがそれぞれ配置された収容容器2に分散系200系を収容した状態において、一対の領域Aにそれぞれ配置されている電極Eを検出部5に接続させる処理を一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回実行する第2接続処理を電流Iの周波数を複数回変更させる毎に実行して各電極E間の電圧値Vを検出し、各電圧値Vに基づいて分散系200内の仮想平面Bを複数に分割したメッシュD毎のインピーダンスZを測定する処理を、交流電流の周波数が変更される毎に実行して、交流電流の周波数毎の各要素のインピーダンスを測定する。このため、この処理装置1および処理方法によれば、一対の電極間のインピーダンスを測定する機能のみを有する従来の構成および方法とは異なり、収容容器2内の複数箇所において周波数毎に検出した電圧値Vに基づいて分散系200内の仮想平面Bを分割した各メッシュDの分散度(分散系200における局所的な分散度)を特定可能な、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZ(分散系200における局所的なインピーダンスZ)を測定することができる。
また、この処理装置1および処理方法では、各領域Aにおける高位置側の各位置および高位置側の各位置から底面側に離間する低位置側の各位置にそれぞれ配置された複数の電極Efと、各領域Aにおける各電極Efの間の位置にそれぞれ配置された複数の電極Esとを備え、第1接続処理において、一対の領域Aに配置されている各電極Efを電流供給部4に接続させ、第2接続処理において、一対の領域Aに配置されている各電極Esを検出部5に接続させる処理を、一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ複数回実行する。この場合、例えば、底面23からの高さが互いに同じ位置に電流供給用の各電極Eおよび電圧検出用の各電極Eが配置されている構成では、各電極Eの配置位置から分散系200の上面までの距離、すなわち収容容器2に収容されている分散系200の体積の大小によって分散系200内を流れる電流Iの分布が変化することとなるため、検出部5によって検出される電圧値Vおよび電圧値Vに基づいて特定される分散度も分散系200の体積の大小の影響を受けることとなる。これに対して、この処理装置1および処理方法では、分散系200内における高位置側の電極Efと低位置側の電極Efとの間の領域に電流Iを供給することができるため、高位置側の電極Efの配置位置から分散系200の上面までの距離、すなわち収容容器2に収容されている分散系200の体積の大小に拘わらず、分散系200内における高位置側の電極Efの配置位置と低位置側の電極Efの配置位置との間を流れる電流Iの分布を一定(または、ほぼ一定)に維持することができる。また、この処理装置1および処理方法では、高位置側の電極Efと低位置側の電極Efとの間の位置に配置された電極Esを介して電圧値Vを検出する。したがって、この処理装置1および処理方法によれば、検出部5が電圧値Vを検出する際の、分散系200の体積の大小による分散系200内を流れる電流Iの分布の変化の影響を十分に低減することができるため、電圧値Vを正確に測定することができ、この結果、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZを正確に測定することができる。
次に、「処理装置」他の一例としての図1に示す処理装置1Aおよび処理装置1Aを用いる処理方法について説明する。なお、以下の説明において、上記した処理装置1および処理方法と同様の構成要素および動作等については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
この処理装置1Aでは、図12に示すように、各領域Aにおける底面23からの高さが互いに同じ位置に、電極Eが1つずつ配置されている。なお、底面23から各電極Eまでの高さが互いに多少異なる構成を採用することもできる。また、処理装置1Aは、図1に示すように、上記した接続切替部6に代えて接続切替部6Aを備えると共に、上記した処理部9に代えて処理部9Aを備えて構成されている。また、この処理装置1Aでは、接続切替部6Aが、処理部9Aの指示に従って電流供給用の各電極Eと電流供給部4とを接続すると共に、処理部9Aの指示に従って電圧検出用の各電極Eと検出部5とを接続する。
また、接続切替部6Aは、図13,14に示すように、隣接する一対の領域Aの一方に配置されている電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、隣接する一対の領域Aの他方に配置されている電極Eを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる第1接続処理を、隣接する一対の領域Aの組み合わせを変更しつつ複数回(この例では、16回)実行する。
また、接続切替部6Aは、図13,14に示すように、電流供給用の電極Eが配置されている一対の領域Aを除く他の領域Aのうちの隣接する他の一対の領域Aの一方に配置されている電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、隣接する他の一対の領域Aの他方に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる処理を隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ複数回(この例では、13回)実行する第2接続処理を、第1接続処理を実行する毎に実行する。
また、この処理装置1Aでは、検出部5が各第2接続処理において接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出する。
この処理装置1Aを用いて、上記した分散系200の分散度を特定するためのインピーダンスZを測定すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて分散系200の分散度を特定する際には、分散媒100aおよび分散質100bを収容容器2の本体部2aに収容し(図5参照)、続いて、操作部を操作して撹拌器7を作動させて、撹拌を開始させる。次いで、予め決められた分散時間が経過して分散系200(図6参照)が構成された時点で、操作部を操作して撹拌器7を停止させる。
続いて、操作部を操作して、処理部9Aに対してインピーダンス測定処理50(図7参照)の実行を指示する。このインピーダンス測定処理50では、処理部9Aは、電流供給部4に出力させる電流Iの周波数の初期値(低い周波数)を設定する(ステップ51)。次いで、処理部9Aは、検出処理を実行する(ステップ52)。この検出処理では、処理部9Aは、まず、接続切替部6Aに対して接続処理を実行させる。
接続処理では、接続切替部6Aは、電流供給用の一対の電極Eを電流供給部4に接続させる1回目の第1接続処理を実行する。具体的には、接続切替部6Aは、図13,14に示すように、隣接する一対の領域A(例えば、領域A1,A2)の一方(例えば、領域A1)に配置されている電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、隣接する一対の領域Aの他方(領域A2)に配置されている電極Eを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる。
続いて、接続切替部6Aは、1回目の第2接続処理を実行する。この1回目の第2接続処理では、接続切替部6Aは、図13,14に示すように、電流供給用の電極Eが配置されている一対の領域Aを除く他の領域A(この例では、領域A3~A16)のうちの隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの1組目(例えば、領域A3,A4)の一方(例えば、領域A3)に配置されている電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、領域A3,A4の他方(領域A4)に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる。
次いで、処理部9Aは、電流供給部4に対して電流Iの出力を指示し、電流供給部4が電流Iを出力する。この際に、各領域A1,A2にそれぞれ配置されている各電極E間に電流Iが供給される。続いて、検出部5が、領域A3,A4にそれぞれ配置されている各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Aが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
次いで、接続切替部6Aは、図14に示すように、隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの2組目(例えば、領域A4,A5)の一方(例えば、領域A4)に配置されている電極E、および領域A4,A5の他方(領域A5)に配置されている電極Eを、電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる。続いて、検出部5が、各領域A4,A5の各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Aが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
以下、同様にして、接続切替部6Aは、図14に示す3組目~13組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Aは、1回の第2接続処理において、この処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で13回実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Aは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、1回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Aは、2回目の第1接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Aは、図14に示すように、1回目の第1接続処理において電流供給部4に接続した各電極Eが配置されている領域A1,A2とは異なる組み合わせの隣接する一対の領域A(例えば、領域A2,A3)にそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させる。
続いて、接続切替部6Aは、2回目の第2接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Aは、この2回目の第2接続処理において、上記した1回目の第2接続処理と同様にして、図14に示す1組目~13組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせ(この例では、合計で13の組み合わせ)を順次変更しつつ複数回(この例では、合計で13回)実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Aは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、2回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Aは、図14に示す3回目~16回目の第1接続処理を、隣接する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Aは、第1接続処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で16回実行する。また、接続切替部6Aは、上記した第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に(つまり、16回)実行し、各第2接続処理において、1組目~13組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で13回実行する。つまり、この例では、接続切替部6Aは、一対の電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を合計で208回(16回の第2接続処理×1回の第2接続処理毎に13回)実行する。また、検出部5は、各第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Aは、検出された各電圧値Vおよび各位相差θ(208種類の電圧値Vおよび位相差θ)を記憶部8に記憶させる。以上により、検出処理が終了する。
続いて、処理部9Aは、上記したインピーダンス分布特定処理60(図10参照)を実行して(インピーダンス測定処理50のステップ53:図7参照)、分散系200内の仮想平面Bを分割した各メッシュDのインピーダンスZの測定(分散系200内における局所的なインピーダンスZの分布の特定)を行う。
次いで、処理部9Aは、電流Iの周波数が規定周波数に達するまで周波数を順次上昇させつつインピーダンス測定処理50のステップ52~55を繰り返して実行する。以上により、各メッシュDにおける周波数毎のインピーダンスZの測定(各周波数における分散系200内の局所的なインピーダンスZの分布の特定)が完了する。
続いて、各メッシュDにおける分散度(分散系200の局所的な分散度の分布)を特定するときには、操作部を操作して、分散度特定処理の実行を指示する。これに応じて、処理部9Aは、上記した分散度特定処理を実行して各メッシュDの分散度を特定し、特定した分散度を記憶部8に記憶させると共に図外の表示部に表示させる。
なお、特定された各メッシュDにおける分散度の値が目標の値よりも小さいと判断したときには、撹拌器7を作動させて分散系200をさらに撹拌した後に、上記したインピーダンス測定処理50および分散度特定処理を処理部9Aに実行させる工程を繰り返すことで、各メッシュDにおける分散度の値が目標の値となるように分散系200の分散度を高めることができる。
このように、この処理装置1Aおよび処理方法では、一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の電極Eとして電流供給部4に接続させる第1接続処理を一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回実行し、電流供給用の電極Eが配置されている一対の領域Aを除く他の領域Aのうちの他の一対の領域Aにそれぞれ配置されている電極Eを電圧検出用の電極Eとして検出部5に接続させる処理を他の一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ複数回実行する第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に実行する。このため、この処理装置1Aおよび処理方法によれば、収容容器2の内周面22における周方向に沿って互いに離間するように規定したすべての位置において電圧値Vを検出することができる。したがって、この処理装置1Aおよび処理方法によれば、電圧値Vを検出する位置の偏りを低減することができる結果、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZを正確に測定することができる。
次に、「処理装置」他の一例としての図1に示す処理装置1Bおよび処理装置1Bを用いる処理方法について説明する。
この処理装置1Bでは、図12に示すように、16個(4つ以上の偶数の一例)の各領域Aにおける底面23からの高さが互いに同じ位置に、電極Eが1つずつ配置されている。なお、底面23から各電極Eまでの高さが互いに多少異なる構成を採用することもできる。また、処理装置1Bは、図1に示すように、上記した接続切替部6に代えて接続切替部6Bを備えると共に、上記した処理部9に代えて処理部9Bを備えて構成されている。また、この処理装置1Bでは、接続切替部6Bが、処理部9Bの指示に従って電流供給用の各電極Eと電流供給部4とを接続すると共に、処理部9Bの指示に従って電圧検出用の各電極Eと検出部5とを接続する。
また、接続切替部6Bは、図15,16に示すように、収容容器2の中心軸21を挟んで対向する一対の領域Aの一方に配置されている電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、対向する一対の領域Aの他方に配置されている電極Eを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる第1接続処理を対向する一対の領域Aの組み合わせを変更しつつ複数回(この例では、8回)実行する。
また、接続切替部6Bは、図15,16に示すように、電流供給用の電極Eが配置されている対向する一対の領域Aを除く他の領域Aのうちの隣接する一対の領域Aの一方に配置されている電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、隣接する一対の領域Aの他方に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる処理を隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ複数回(この例では、12回)実行する第2接続処理を、第1接続処理を実行する毎に実行する。
また、この処理装置1Bでは、検出部5が各第2接続処理において接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出する。
この処理装置1Bを用いて、上記した分散系200の分散度を特定するためのインピーダンスZを測定すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて分散系200の分散度を特定する際には、分散媒100aおよび分散質100bを収容容器2の本体部2aに収容し(図5参照)、次いで、操作部を操作して撹拌器7を作動させて、撹拌を開始させる。続いて、予め決められた分散時間が経過して分散系200(図6参照)が構成された時点で、操作部を操作して撹拌器7を停止させる。
次いで、操作部を操作して、処理部9Bに対してインピーダンス測定処理50(図7参照)の実行を指示する。このインピーダンス測定処理50では、処理部9Bは、電流供給部4に出力させる電流Iの周波数の初期値(低い周波数)を設定する(ステップ51)。続いて、処理部9Bは、検出処理を実行する(ステップ52)。この検出処理では、処理部9Bは、まず、接続切替部6Bに対して接続処理を実行させる。
接続処理では、接続切替部6Bは、電流供給用の一対の電極Eを電流供給部4に接続させる1回目の第1接続処理を実行する。具体的には、接続切替部6Bは、図15,16に示すように、収容容器2の中心軸21を挟んで対向する一対の領域A(例えば、領域A1,A9)の一方(例えば、領域A1)に配置されている電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、対向する一対の領域Aの他方(領域A9)に配置されている電極Eを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる。
続いて、接続切替部6Bは、1回目の第2接続処理を実行する。この1回目の第2接続処理では、接続切替部6Bは、図15,16に示すように、電流供給用の電極Eが配置されている対向する一対の領域A(この例では、領域A1,A9)を除く他の領域A(この例では、領域A2~A8,A10~A16)のうちの隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの1組目(例えば、領域A2,A3)の一方(例えば、領域A2)に配置されている電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、領域A2,A3の他方(領域A3)に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる。
次いで、処理部9Bは、電流供給部4に対して電流Iの出力を指示し、電流供給部4が電流Iを出力する。この際に、各領域A1,A9にそれぞれ配置されている各電極E間に電流Iが供給される。続いて、検出部5が、領域A2,A3にそれぞれ配置されている各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Bが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
次いで、接続切替部6Bは、図16に示すように、隣接する一対の領域Aの各組み合わせのうちの2組目(例えば、領域A3,A4)の一方(例えば、領域A3)に配置されている電極E、および領域A3,A4の他方(領域A4)に配置されている電極Eを、電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる。続いて、検出部5が、各領域A3,A4の各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Bが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
以下、同様にして、接続切替部6Bは、図16に示す12組目までの隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Bは、1回の第2接続処理において、この処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で12回実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Bは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、1回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Bは、2回目の第1接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Bは、図16に示すように、1回目の第1接続処理において電流供給部4に接続した各電極Eが配置されている領域A1,A9とは異なる組み合わせの対向する一対の領域A(例えば、領域A2,A10)にそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させる。
続いて、接続切替部6Bは、2回目の第2接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Bは、この2回目の第2接続処理において、上記した1回目の第2接続処理と同様にして、図16に示す1組目~12組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせ(この例では、合計で12の組み合わせ)を順次変更しつつ複数回(この例では、合計で12回)実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Bは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、2回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Bは、図16に示す3回目~8回目の第1接続処理を、対向する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Bは、第1接続処理を、対向する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で8回実行する。また、接続切替部6Bは、上記した第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に(つまり、8回)実行し、各第2接続処理において、1組目~12組目の隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を、隣接する一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ合計で12回実行する。つまり、この例では、接続切替部6Bは、一対の電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を合計で96回(8回の第2接続処理×1回の第2接続処理毎に12回)実行する。また、検出部5は、各第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Bは、検出された各電圧値Vおよび各位相差θ(96種類の電圧値Vおよび位相差θ)を記憶部8に記憶させる。以上により、検出処理が終了する。
次いで、処理部9Bは、上記したインピーダンス分布特定処理60(図10参照)を実行して(インピーダンス測定処理50のステップ53:図7参照)、分散系200内の仮想平面Bを分割した各メッシュDのインピーダンスZの測定(分散系200内における局所的なインピーダンスZの分布の特定)を行う。
続いて、処理部9Bは、電流Iの周波数が規定周波数に達するまで周波数を順次上昇させつつインピーダンス測定処理50のステップ52~55を繰り返して実行する。以上により、各メッシュDにおける周波数毎のインピーダンスZの測定(各周波数における分散系200内の局所的なインピーダンスZの分布の特定)が完了する。
次いで、各メッシュDにおける分散度(分散系200の局所的な分散度の分布)を特定するときには、操作部を操作して、分散度特定処理の実行を指示する。これに応じて、処理部9Bは、上記した分散度特定処理を実行して各メッシュDの分散度を特定し、特定した分散度を記憶部8に記憶させると共に図外の表示部に表示させる。
なお、特定された各メッシュDにおける分散度の値が目標の値よりも小さいと判断したときには、撹拌器7を作動させて分散系200をさらに撹拌した後に、上記したインピーダンス測定処理50および分散度特定処理を処理部9Bに実行させる工程を繰り返すことで、各メッシュDにおける分散度の値が目標の値となるように分散系200の分散度を高めることができる。
このように、この処理装置1Bおよび処理方法では、収容容器2の中心軸21を挟んで対向する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の電極Eとして電流供給部4に接続させる第1接続処理を対向する一対の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回実行し、電流供給用の電極Eが配置されている対向する一対の領域Aを除く他の領域Aのうちの一対の領域Aにそれぞれ配置されている電極Eを電圧検出用の電極Eとして検出部5に接続させる処理を一対の領域Aのすべての組み合わせを順次変更しつつ複数回実行する第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に実行する。このため、この処理装置1Bおよび処理方法によれば、中心軸21を挟んで対向する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを介して収容容器2に収容されている分散系200に電流Iを供給することで、収容容器2の中央部に電流Iを流すことができる結果、収容容器2に収容されている分散系200の中央部分における各メッシュDのインピーダンスZを正確に測定することができる。また、この処理装置1Bおよび処理方法によれば、第1接続処理において中心軸21を挟んで対向する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給部4に接続させるため、例えば、第1接続処理において隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極を電流供給用の電極Eとして電流供給部4に接続させる構成および方法と比較して、収容容器2の内周面22の一周に亘って供給位置を変更しつつ電流Iを供給する際の第1接続処理の実行回数を少なく(半分に)抑えることができるため、電圧値Vや位相差θを検出する検出処理の効率を十分に向上させることができる。
次に、「処理装置」他の一例としての図1に示す処理装置1Cおよび処理装置1Cを用いる処理方法について説明する。
この処理装置1Cでは、図12に示すように、各領域Aにおける底面23からの高さが互いに同じ位置に、電極Eが1つずつ配置されている。なお、底面23から各電極Eまでの高さが互いに多少異なる構成を採用することもできる。また、処理装置1Cは、図1に示すように、上記した接続切替部6に代えて接続切替部6Cを備えると共に、上記した処理部9に代えて処理部9Cを備えて構成されている。また、この処理装置1Cでは、接続切替部6Cが、処理部9Cの指示に従って電流供給用の各電極Eと電流供給部4とを接続すると共に、処理部9Cの指示に従って電圧検出用の各電極Eと検出部5とを接続する。
また、接続切替部6Cは、図17,18に示すように、複数(一例として、5つ)の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、他の複数(一例として、5つ)の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の他方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる第1接続処理を、各領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回(この例では、16回)実行する
また、接続切替部6Cは、図17,18に示すように、電流供給用の電極Eのうちのいずれか1つの電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、電圧検出用の一方の電極Eが配置されている領域Aを除く他の領域Aのうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる処理をいずれか1つの領域Aを順次変更しつつ複数回(この例では、15回)実行する第2接続処理を、第1接続処理を実行する毎に実行する。
また、この処理装置1Cでは、検出部5が各第2接続処理において接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出する。
この処理装置1Cを用いて、上記した分散系200の分散度を特定するためのインピーダンスZを測定すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて分散系200の分散度を特定する際には、分散媒100aおよび分散質100bを収容容器2の本体部2aに収容し(図5参照)、続いて、操作部を操作して撹拌器7を作動させて、撹拌を開始させる。次いで、予め決められた分散時間が経過して分散系200(図6参照)が構成された時点で、操作部を操作して撹拌器7を停止させる。
続いて、操作部を操作して、処理部9Cに対してインピーダンス測定処理50(図7参照)の実行を指示する。このインピーダンス測定処理50では、処理部9Cは、電流供給部4に出力させる電流Iの周波数の初期値(低い周波数)を設定する(ステップ51)。次いで、処理部9Cは、検出処理を実行する(ステップ52)。この検出処理では、処理部9Cは、まず、接続切替部6Cに対して接続処理を実行させる。
接続処理では、接続切替部6Cは、電流供給用の複数の電極Eを電流供給部4に接続させる1回目の第1接続処理を実行する。具体的には、接続切替部6Cは、図17,18に示すように、5つの領域A(例えば、領域A1~A5)にそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に領域A1~A5を除く他の5つの領域A(例えば、領域A9~A13)にそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の一方の電極Eとして電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる。
続いて、接続切替部6Cは、1回目の第2接続処理を実行する。この1回目の第2接続処理では、接続切替部6Cは、図17、および図18における領域Aの組み合わせの1組目に示すように、電流供給用の電極Eのうちのいずれか1つの電極E(例えば、領域A1に配置されている電極E)を電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の一方の入力端子51aに接続させると共に、電圧検出用の一方の電極Eが配置されている領域A1を除く他の領域A(領域A2~A16)のうちのいずれか1つの領域A(例えば、領域A16)に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の他方の入力端子51bに接続させる。
次いで、処理部9Cは、電流供給部4に対して電流Iの出力を指示し、電流供給部4が電流Iを出力する。この際に、各領域A1~A5にそれぞれ配置されている各電極Eと、各領域A9~A13にそれぞれ配置されている各電極Eとの間に電流Iが供給される。続いて、検出部5が、領域A1,A16の各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Cが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
次いで、接続切替部6Cは、図18における領域Aの組み合わせの2組目に示すように、1組目と同じ領域A1の電極Eを電圧検出用の一方の電極Eをとして検出部5の入力端子51aに接続させると共に、領域A1を除く領域A2~A16のうちの領域A16(1組目で電圧検出用の他方とした電極Eが配置されている領域A16)を除く他のいずれか1つの領域A(例えば、領域A15)に配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の入力端子51bに接続させる。続いて、検出部5が、領域A1,A15の各電極E間の電圧の電圧値V、およびその電圧と電流Iとの位相差θを検出し、処理部9Cが、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。
以下、同様にして、接続切替部6Cは、図18における領域Aの組み合わせの3組目~15組目に示すように、領域A1の電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の入力端子51aに接続させると共に、領域A2~A16のうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の入力端子51bに接続させる処理を、いずれか1つの領域Aを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Cは、1回の第2接続処理において、この処理を、いずれか1つの領域Aを順次変更しつつ合計で15回実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Cは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、1回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Cは、2回目の第1接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Cは、図18に示すように、1回目の第1接続処理において電流供給部4に接続した各電極Eが配置されている領域A1~A5および領域A9~A13の組み合わせとは異なる組み合わせの複数の領域A(例えば、領域A2~A6および領域A10~A14)にそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させる。
続いて、接続切替部6Cは、2回目の第2接続処理を実行する。この場合、接続切替部6Cは、この2回目の第2接続処理において、上記した1回目の第2接続処理と同様にして、図18における領域Aの組み合わせの1組目~15組目に示すように、電流供給用の電極Eのうちのいずれか1つの電極E(例えば、領域A2に配置されている電極E)を電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の入力端子51aに接続させると共に、領域A2を除く他の領域A(領域A1,A3~A16)のうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の入力端子51bに接続させる処理を、いずれか1つの領域Aを順次変更しつつ複数回(この例では、合計で15回)実行する。また、検出部5は、第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eの組み合わせが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Cは、検出された電圧値Vおよび位相差θを記憶部8に記憶させる。これにより、2回目の第2接続処理が終了する。
次いで、接続切替部6Cは、図18に示す3回目~16回目の第1接続処理を、複数の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ実行する。つまり、この例では、接続切替部6Cは、第1接続処理を、複数の領域Aの組み合わせを順次変更しつつ合計で16回実行する。また、接続切替部6Cは、上記した第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に(つまり、16回)実行し、各第2接続処理において、電流供給用の電極Eのうちのいずれか1つの電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の入力端子51aに接続させると共に、電圧検出用の一方の電極Eが配置されている領域Aを除く他の領域Aのうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の入力端子51bに接続させる処理をいずれか1つの領域Aを順次変更しつつ複数回(この例では、合計で15回)実行する。つまり、この例では、接続切替部6Cは、一対の電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる処理を合計で240回(16回の第2接続処理×1回の第2接続処理毎に15回)実行する。また、検出部5は、各第2接続処理において検出部5に接続される一対の電極Eが変更される毎に電圧値Vおよび位相差θを検出し、処理部9Cは、検出された各電圧値Vおよび各位相差θ(240種類の電圧値Vおよび位相差θ)を記憶部8に記憶させる。以上により、検出処理が終了する。
続いて、処理部9Cは、上記したインピーダンス分布特定処理60(図10参照)を実行して(インピーダンス測定処理50のステップ53:図7参照)、分散系200内の仮想平面Bを分割した各メッシュDのインピーダンスZの測定(分散系200内における局所的なインピーダンスZの分布の特定)を行う。
次いで、処理部9Cは、電流Iの周波数が規定周波数に達するまで周波数を順次上昇させつつインピーダンス測定処理50のステップ52~55を繰り返して実行する。以上により、各メッシュDにおける周波数毎のインピーダンスZの測定(各周波数における分散系200内の局所的なインピーダンスZの分布の特定)が完了する。
続いて、各メッシュDにおける分散度(分散系200の局所的な分散度の分布)を特定するときには、操作部を操作して、分散度特定処理の実行を指示する。これに応じて、処理部9Cは、上記した分散度特定処理を実行して各メッシュDの分散度を特定し、特定した分散度を記憶部8に記憶させると共に図外の表示部に表示させる。
なお、特定された各メッシュDにおける分散度の値が目標の値よりも小さいと判断したときには、撹拌器7を作動させて分散系200をさらに撹拌した後に、上記したインピーダンス測定処理50および分散度特定処理を処理部9Cに実行させる工程を繰り返すことで、各メッシュDにおける分散度の値が目標の値となるように分散系200の分散度を高めることができる。
このように、この処理装置1Cおよび処理方法では、複数の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の電極Eとして電流供給部4に接続させる第1接続処理を各領域Aの組み合わせを順次変更しつつ複数回実行し、電流供給用の電極Eのうちのいずれか1つの電極Eとその電極Eが配置されている領域Aを除く他の領域Aのうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eとを検出部5に接続させる処理をいずれか1つの領域Aを順次変更しつつ複数回実行する第2接続処理を第1接続処理を実行する毎に実行する。したがって、この処理装置1Cおよび処理方法によれば、一対の電極E間に電流Iを供給する構成および方法と比較して、収容容器2に収容されている分散系200内に電流Iを均一に流すことができる。このため、この処理装置1Cおよび処理方法によれば、分散系200内を流れる電流Iが不均一なことによって検出部5によって検出される電圧値Vが不正確となる事態を確実に回避することができる結果、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZを正確に測定することができる。
なお、処理装置および処理方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、処理部9,9A,9B,9Cが、電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZを測定するインピーダンス測定処理50を実行すると共に、測定したインピーダンスZに基づいて各メッシュDの分散度を特定する分散度特定処理を実行する例について上記したが、処理部9,9A,9B,9Cがインピーダンス測定処理50のみを実行し、PC(パーソナルコンピュータ)等の他の装置で分散度特定処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
また、第1接続処理を一対の領域Aの組み合わせを変更して複数回実行する例について上記したが、第1接続処理を1回だけ実行する(第2接続処理も1回だけ実行する)構成および方法を採用することもできる。
また、処理装置1,1A,1B,1Cおよび処理装置1,1A,1B,1Cによって実行される処理方法を用いて電気的特性が互いに異なる2種類の物質(分散媒100aおよび分散質100b)で構成された分散系200の分散度を特定する例について上記したが、電気的特性が互いに異なる3種類以上の物質で構成される分散系の分散度を特定するための電流Iの周波数毎の各メッシュDのインピーダンスZを測定したり、測定したインピーダンスZに基づいて各メッシュDの分散度を特定したりする際に、これらの処理装置1,1A,1B,1Cおよび処理方法を用いることができ、この際にも、上記した各効果と同様の効果を実現することができる。
また、分散媒100aとしての有機溶媒および分散質100bとしての導電性粒子(カーボンブラック)で構成される分散系200を処理対象とした例について上記したが、分散系を構成する物質はこれに限定されず、電気的特性が互いに異なる複数種類の任意の物質で構成される分散系を処理対象とすることができる。一例として、水と食塩のように、溶媒と溶媒に溶解する溶質で構成される分散系を処理対象とすることもできる。また、同じ物質で構成されて粒径が互いに異なる(電気的特性が互いに異なる)複数種類の物体で構成される分散系を処理対象とすることもできる。さらに、同じ物質で形成されて結晶構造が互いに異なる(電気的特性が互いに異なる)複数種類の物体で構成される分散系を処理対象とすることもできる。また、分散系を構成する物質(物体)の状態は、固体、液体、気体のいずれであってもよい。
また、処理装置1,1A、および処理装置1,1Aによって実行される処理方法における第1接続処理において、互いに隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電流供給用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させる例について上記したが、第1接続処理において、互いに隣接していない(例えば、1つ置きや2つ置きの)一対の領域Aにそれぞれ配置されている電極Eを電圧検出用の各電極Eとして電流供給部4の各出力端子41a,41bにそれぞれ接続させることもできる。
また、処理装置1,1A,1B、および処理装置1,1A,1Bによって実行される処理方法における第2接続処理において、互いに隣接する一対の領域Aにそれぞれ配置されている各電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させる例について上記したが、第2接続処理において、互いに隣接していない(例えば、1つ置きや2つ置きの)一対の領域Aにそれぞれ配置されている電極Eを電圧検出用の各電極Eとして検出部5の各入力端子51a,51bにそれぞれ接続させることもできる。
また、処理装置1C、および処理装置1Cによって実行される処理方法における第1接続処理において、5つの領域Aにそれぞれ配置されている各電極E(つまり、5つの電極E)を電流供給部4の一方の出力端子41aに接続させると共に、5つの領域Aにそれぞれ配置されている各電極E(つまり、5つの電極E)を電流供給部4の他方の出力端子41bに接続させる例について上記したが、電流供給部4の出力端子41a,41bに接続させる電極Eの数は5つに限定されず、2つ~4つ、および6つ以上の任意の数(複数)の電極Eを電流供給部4の出力端子41a,41bに接続させることができる。この場合、電流供給部4の出力端子41aに接続させる電極Eの数と電流供給部4の出力端子41bに接続させる電極Eの数とが異なっても良い。また、第1接続処理において、電流供給部4の出力端子41a,41bのいずれか一方(上記の例では、出力端子41a)には電極Eを1つだけ接続させ、出力端子41a,41bの他方には複数の電極Eを接続させる構成および方法を採用することもできる。
また、処理装置1C、および処理装置1Cによって実行される処理方法における第2接続処理において、電流供給用のいずれか1つの電極Eを電圧検出用の一方の電極Eとして検出部5の入力端子51aに接続させると共に、電圧検出用の一方の電極Eが配置されている領域Aを除く他の領域A(上記の例では、15個の領域A:以下単に「他の領域A」ともいう)のうちのいずれか1つの領域Aに配置されている電極Eを電圧検出用の他方の電極Eとして検出部5の入力端子51bに接続させる処理(以下「対象処理」ともいう)を、他の領域Aのすべての電極Eについて順次変更しつつ実行する(つまり、合計で15回実行する)例について上記したが、他の領域Aのすべの電極Eについて対象処理を実行することは必ずしも必要ではない。例えば、他の領域Aのすべての電極Eのうちの、電流供給部4の一方の出力端子41aに接続されている電極Eを除く電極Eだけを対象として対象処理を実行する構成および方法を採用することもできる。また、他の領域Aのすべての電極Eのうちの、電流供給部4の他方の出力端子41bに接続されている電極Eを除く電極Eだけを対象として対象処理を実行する構成および方法を採用することもできる。さらに、他の領域Aのすべての電極Eのうちの、電流供給部4の双方の出力端子41a,41bに接続されている電極Eを除く電極Eだけを対象として対象処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
また、接続切替部6,6A,6B,6Cが第1接続処理および第2接続処理の双方を実行する例について上記したが、第1接続処理および第2接続処理を別々の接続切替部が実行する構成を採用することもできる。
また、電流供給部4が電流I(例えば、交流定電流)を出力する構成例について上記したが、電流供給部4が交流定電圧を出力することで交流の電流Iを供給する(電流供給部4として定電圧源を用いる)構成を採用することもできる。この場合、分散系200(分散媒100aおよび分散質100b)のインピーダンスが高いときには、電流制御よりも電圧制御の方が制御を容易に行うことができる。このため、電流供給部4として定電圧源を用いる構成を採用することで、インピーダンスが高い分散系200に対して電流供給部4から安定的に電流Iを供給することができる。