JP7146281B2 - 経鼻投与用医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、経鼻投与用医薬組成物であって、治療効果が高く副作用が抑制されることで、認知症の予防又は治療に有用な医薬組成物に関する。
認知症には、脳血管障害で発症する脳血管性認知症と、異常なタンパク質が脳に蓄積して発症する変性性認知症とがある。後者には、アミロイドβ(Aβ)とタウが蓄積するアルツハイマー病(AD)、タウまたはTDP-43が蓄積する前頭側頭型認知症(FTD)、αシヌクレインが蓄積するレビー小体型認知症(DLB)などがある。これらタンパク質が脳内でオリゴマーを形成し、神経細胞の機能を障害することで病気が発症すると考えられている。この考えに基づき、変性性認知症の治療薬として、これらタンパク質の産生を抑える、オリゴマーの形成を抑制する、凝集したタンパク質を脳から除去する、などの作用を持つ薬の開発が進められている。
例えば、ADに対しては、Aβの産生に関わる酵素(βセクレターゼやγセクレターゼ)の阻害薬、Aβを脳から除去するAβワクチン、Aβ抗体などが開発され、臨床試験に供されてきた。しかしこれまでのところ、予期せぬ副作用の出現や期待された薬効が出ないなどの理由でそのほとんどが臨床的に失敗している。
一方、抗生物質として周知であるリファンピシンは、その抗菌作用により、従前から経口薬として用いられている。さらに、リファンピシンは、フリーラジカル除去作用を有することも知られており、その作用の1つとして、Aβ凝集反応の抑制への関与が報告されている(非特許文献1参照)。
Tomiyama, T.外6名著、「Inhibition of amyloid beta protein aggregation and neurotoxicity by rifampicin. Its possible function as a hydroxyl radical scavenger.」、J Biol Chem、1996年、Vol.271、p.6839-6844
ADを対象とする臨床試験でのAβ標的薬(Aβ産生酵素阻害薬、Aβワクチン、Aβ抗体など)の失敗の原因は、副作用の問題を別とすれば、投与時期が遅すぎることにあると考えられている。つまり、Aβを取り除くのは、神経細胞が死に始める認知症発症前でないと意味がないと考えられている。したがって、Aβ標的薬の役割は治療ではなく予防にあるべきである。なお、タウ標的薬で最初に臨床試験に入ったタウ凝集阻害薬によっても、ADを対象とする臨床試験では、認知機能改善作用はみられないことが報告されている。この結果も、タウ標的薬といえども、認知症が発症してからの投与では遅すぎることを示していると考えられる。
しかしながら、現在開発中の治療薬の多くは予防投与を前提として開発されたものではなく、費用・副作用・投与法などの点で問題を抱えている。一方で、認知症を予防のために投薬するには、発症時期が不明であることから、投薬期間としては相当に長い期間を想定する必要がある。
一方で、本発明者は、リファンピシンがin vitroでAβ、タウ、αシヌクレインのオリゴマー形成を抑えること、Aβを蓄積するADのモデルマウスやタウを蓄積するFTDのモデルマウスに経口投与すると、これらタンパク質オリゴマーの脳内蓄積を抑制し、マウスの認知機能を回復させることを見出した。そこで本発明者は、リファンピシンのこのような作用を利用して、抗生物質として用いられてきた経口薬リファンピシンの認知症予防薬へのリポジショニングを実用化すべく、検討を行った。
しかしながらそのような検討を行ったところ、リファンピシンによる肝障害や薬物相互作用などの副作用が深刻であり、従って、リファンピシンが予防薬の前提となる長期服用を不可能にしている課題に直面した。ここでの薬物相互作用とは、リファンピシンが肝細胞で薬物代謝に関わるチトクロムP450(CYP)とP-糖タンパク質を誘導することにより、同時に服用した別の薬の効果が減弱してしまう現象をいう。
ここで、リファンピシンを経口摂取すると、小腸から吸収され、門脈を経て肝臓へ運ばれる。通常、吸収された薬の大部分は肝臓で分解・不活化され、活性を保ったまま大循環に入るのは投与された薬のごく一部である(これを初回通過効果という)。さらに、血液と脳との間には物質交換を制限する血液脳関門(BBB)があり、血液中のリファンピシンのうち脳に入るのはそのまたごく一部(数%~数十%程度)である。これまでのリファンピシンの投薬においては、初回通過効果及びBBBで失われる量が予め補われた相応量を摂取させることで、結果的に、リファンピシンの薬効発現に必要な脳内濃度を確保していたと考えられる。そして、薬が肝臓を通過するときにリファンピシンの副作用が生じていたと考えられる。
そこで、本発明の目的は、リファンピシンの脳への直接移行性を高め、肝臓への初回通過を抑制することで、長期投与が可能なリファンピシンの投薬技術を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、リファンピシンを経鼻投与することによって、前記課題が解決されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. リファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を有効成分として含み、認知症の予防又は治療に用いられる、経鼻投与用医薬組成物。
項2. 前記リファンピシン類の有効投与量が0.15~3.75mg/kg・日である、項1に記載の経鼻投与用医薬組成物。
項3. 認知症の予防に用いられる、項1又は2に記載の経鼻投与用医薬組成物。
項4. 前記認知症がアルツハイマー病である、項1~3のいずれかに記載の経鼻投与用医薬組成物。
項5. 認知症の予防又は治療のための経鼻投与用医薬組成物の製造のための、リファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類の使用。
項6. 認知症患者に、有効量のリファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を経鼻投与する工程を含む、認知症の治療方法。
項7. 認知症発症リスクの高い未発症者に、有効量のリファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を経鼻投与する工程を含む、認知症の予防方法。
本発明の医薬組成物によれば、リファンピシンを経鼻投与薬として調製することで、非侵襲的、高薬効、及び低副作用となるため長期投与が可能な投薬技術が提供されるため、認知症治療だけでなく認知症予防にも適用することが可能となる。
実験例1で行われた行動試験の結果であり、マウスの認知機能に対するリファンピシン投与の効果を示す。 実験例1で行われた免疫染色の結果であり、Aβオリゴマー、シナプトフィジンに対するリファンピシンの効果を示す。 図2の免疫染色に基づいたAβオリゴマーの定量結果を示す。 図2の免疫染色に基づいたシナプトフィジンの定量結果を示す。 実験例1で行われた免疫染色の結果であり、リン酸化タウに対するリファンピシンの効果を示す。 図5の免疫染色に基づいたリン酸化タウの定量結果を示す。
本発明の医薬組成物は、リファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を有効成分として含み、認知症の予防又は治療に用いられ、且つ、経鼻投与されるものであることを特徴とする。
[リファンピシン類]
本発明の医薬組成物は、有効成分として、リファンピシン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を含む。リファンピシン類は、変性性認知症であるアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症などの原因タンパク質であるアミロイドβ、タウ、αシヌクレインのオリゴマー形成を抑える作用がある。リファンピシン類は、ナフトハイドロキノンまたはナフトキノン構造を有し、この構造が、リファンピシンのフリーラジカルスカベンジャーとしての作用に寄与していると考えられる。
リファンピシンは、通常、下記式(I)で表される化合物である。
Figure 0007146281000001
リファンピシンの誘導体としては、ナフトハイドロキノンまたはナフトキノン構造を有し、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、3-Folmyl-Rifamycin SV、Rifamycin S、Rifamycin B、Rifamycin SV、主活性代謝物の25-Desacetyl-RFP等が挙げられる。リファンピシン誘導体の中でも、長期投与による耐性菌の誘導を抑制する観点から、抗生物質活性を担う1,4-ジハイドロキシナフタレン構造の3位置換基を有しない誘導体、例えばRifamycin SVが好ましい。これらリファンピシンの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
リファンピシンの塩としては、リファンピシン又はリファンピシンの誘導体と塩を形成し、且つ薬学的に許容されるものであれば特に限定されない。例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N-メチル-D-グルカミン等)の塩、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)が挙げられる。これらの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
リファンピシン類としては、リファンピシン、リファンピシンの塩、リファンピシンの誘導体、リファンピシンの誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上述のリファンピシン類の中でも、リファンピシン及びRifamycin SVが好ましく挙げられる。
[剤型]
本発明の医薬組成物は、経鼻投与剤として調製されたものである。経鼻投与剤は、上述のリファンピシン類を有効成分として、それ自体公知の手段によって製剤化されたものであり、薬理学的に許容される基剤及び/又は添加物が適宜混合されていてよい。
薬理学的に許容される基剤及び/又は添加物としては、例えば賦形剤、粘稠剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、安定化剤等が挙げられる。また必要に応じて保存剤(防腐剤)、pH調整剤、清涼化剤、抗酸化剤、湿潤化剤、粘着剤、矯臭剤等の添加物を含んでもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、澱粉、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。粘稠剤としては、例えば、グリセリン、マクロゴール等の多価アルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸、ポリエチレングリコール等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、澱粉、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、澱粉、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。溶剤としては、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート等の界面活性剤、グリセリン、マクロゴール等の多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、ショ糖等の糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール、塩化カリウム、濃グリセリン、プロピレングリコール、ショ糖等が挙げられる。 緩衝剤としては、例えば、リン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、ホウ酸、ホウ砂、酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等)、クエン酸、L-グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。 無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール、クロロブタノール、プロピレングリコール、アミノ安息香酸エチル、リドカイン等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、グルタチオン、チオ酢酸、メチオニン、チオソルビトール、チオグルコース、チオ尿素等の硫黄化合物、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、メタリン酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸およびその塩類、ギ酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、エデト酸等の有機酸およびその塩類(エデト酸ナトリウム等)、アセトアミド、ジエチルアセトアミド、ニコチン酸アミド、尿素、バルビタール等の酸アミド、尿素誘導体、グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、アスコルビン酸等の多価アルコール、糖類、フェノール、チモール、キノン、クマロン、イソクマロン等のフェノール類、ジブチルヒドロキシトルエン、グリシン、グルタミン酸、リジン、フェニルアラニン、カゼイン、エデスチン等のアミノ酸、タンパク質等が挙げられる。乳化剤としては、例えば、グリセリンエステル(モノオレイン酸グリセリン)、サポニン(エンジュサポニン、キラヤ抽出物、ダイズサポニン等)、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン(植物レシチン、卵黄レシチン、大豆レシチン等)、多価アルコール(オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等)、脂肪エステル(ミリスチン酸オクチルドデシル等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、各種界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩型乳化剤、塩化ベンザルコニウム、セスキオレイン酸ソルビタン、ドデシルベンゼンスルホン酸等)、トリエタノールアミン等が挙げられる。保存剤(防腐剤)としては、例えば、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルバラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウム等の逆性石鹸類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム等の有機酸およびその塩類、パラクロルメトキシフェノール、パラクロルメタクレゾール等のフェノール類等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩酸、硝酸、クエン酸、ホウ酸、酢酸等が挙げられる。清涼化剤としては、例えば、l-メントール、カンファー、ハッカ水等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、クエン酸、エデト酸ナトリウム等が挙げられる。湿潤化剤としては、プロピレングリコール、ポリソルベート、マクロゴール、グリセリン等が挙げられる。 粘着剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、ポリソルベート80等が挙げられる。矯臭剤としては、トレハロース、リンゴ酸、マルトース、グルコン酸カリウム、アニス精油、バニラ精油、カルダモン精油、生薬成分等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、液剤、固形剤のいずれであってもよく、好ましくは液剤が挙げられる。液剤とする場合には、リファンピシン類と、必要により溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等とを混合し、溶解、懸濁または乳化することにより製造することができる。さらに粘稠剤を加えて粘性を高め、滞留性を付与することも好ましい。固形剤とする場合は、リファンピシン類と、賦形剤、結合剤、崩壊剤またはその他の適当な添加剤とを均等に混和し、適当な造粒法によって造粒物を得て、さらに必要に応じて乾燥によって粉末または微粒状とすることにより製造することができる。
本発明の医薬組成物中、リファンピシンの含有量としては、経鼻投与薬として調製されることを限度として特に限定されず、後述の用量で投与できるように適宜調整される。例えば、本発明の医薬組成物中のリファンピシンの含有量として0.4w/v%以上、好ましくは0.5w/v%以上が挙げられる。また、少ない投与回数で有効量を効率的に投与する観点からは、本発明の医薬組成物中のリファンピシンの含有量は2w/v%以上、2.5w/v%以上、5w/v%以上、又は30w/v%以上であってもよい。さらに、本発明の医薬組成物中のリファンピシンの含有量としては、95w/v%以下が挙げられ、経鼻投与薬の噴霧性を良好に得る等の観点から、85w/v%以下、又は50w/v%以下が挙げられる、本発明の医薬組成物中のリファンピシンの含有量の具体的な範囲としては、例えば、0.4~95w/v%、0.4~85w/v%、0.4~50w/v%、0.5~95w/v%、0.5~85w/v%、0.5~50w/v%、2~95w/v%、2~85w/v%、2~50w/v%、2.5~95w/v%、2.5~85w/v%、2.5~50w/v%、5~95w/v%、5~85w/v%、5~50w/v%、30~95w/v%、30~85w/v%、30~50w/v%が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、経鼻投与用の容器に充填されて使用することができる。経鼻投与用の容器は、適宜市販のものを使用することができる。
[用量及び用法]
本発明の医薬組成物は、経鼻投与用に調製されているため、経口投与よりも少ない用量で経口投与以上の薬効が出るとともに、肝障害の副作用も軽減することができる。したがって、抗生物質として経口投与される場合よりも少ない用量を、当該場合よりも長期間連続して投与することができる。
本発明の医薬組成物のリファンピシンのヒトへの有効投与量としては、薬効発現の観点から、抗生物質として経口投与される場合の用量(例えば7.5~10mg/kg・日)の例えば1/50以上、好ましくは1/25以上、より好ましくは1/10以上、さらに好ましくは1/7.5以上が挙げられ、副作用抑制の観点から、抗生物質として経口投与される場合の用量(例えば7.5~10mg/kg・日)の例えば1/2以下、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/3.75以下が挙げられる。リファンピシンのヒトへの有効投与量の具体的な範囲としては、抗生物質として経口投与される場合の用量(例えば7.5~10mg/kg・日)の例えば1/50~1/2、1/50~1/3、1/50~1/3.75、1/25~1/2、1/25~1/3、1/25~1/3.75、1/10~1/2、1/10~1/3、1/10~1/3.75、1/7.5~1/2、1/7.5~1/3、1/7.5~1/3.75が挙げられ、特に、例えば1/50以上1/2以下、好ましくは1/25以上1/3以下、より好ましくは1/10以上1/3以下、さらに好ましくは1/7.5以上1/3.75以下が挙げられる。
より具体的な本発明の医薬組成物のリファンピシンの有効投与量としては、薬効発現の観点から、例えば0.15mg/kg・日以上、好ましくは0.3mg/kg・日以上、より好ましくは0.75mg/kg・日以上、さらに好ましくは1mg/kg・日以上が挙げられ、副作用抑制の観点から、例えば3.75mg/kg・日以下、好ましくは2.5mg/kg・日以下、より好ましくは2mg/kg・日以下が挙げられる。本発明の医薬組成物のリファンピシンの有効投与量の具体的な範囲としては、0.15~3.75mg/kg・日、0.15~2.5mg/kg・日、0.15~2mg/kg・日、0.3~3.75mg/kg・日、0.3~2.5mg/kg・日、0.3~2mg/kg・日、0.75~3.75mg/kg・日、0.75~2.5mg/kg・日、0.75~2mg/kg・日、1~3.75mg/kg・日、1~2.5mg/kg・日、1~2mg/kg・日が挙げられ、特に、例えば0.15~3.75mg/kg・日、好ましくは0.3~2.5mg/kg・日、より好ましくは0.75~2.5mg/kg・日、さらに好ましくは1~2mg/kg・日(特に1.67mg/kg・日)が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、少ない用量での投与が可能であるため、連続投与に適する。したがって、長期にわたって投与することができる。たとえば、6か月以上、例えば6か月~3年の投与を行うことができる。また、投与間隔としては、隔日、又は1週間に1~2回が挙げられる。
[投与対象]
本発明の医薬組成物は、認知症の予防及び認知症の治療に用いることができる。好ましくは、認知症の予防に用いることができる。認知症には、変性性認知症及び脳血管性認知症が挙げられ、好ましくは変性性認知症が挙げられる。変性性認知症としては、アミロイドβ(Aβ)、タウ、TDP-43、αシヌクレインなどの認知症原因タンパク質が集積することにより発症する認知症が挙げられ、具体的には、アミロイドβ(Aβ)とタウが蓄積するアルツハイマー病(AD)、タウまたはTDP-43が蓄積する前頭側頭型認知症(FTD)、αシヌクレインが蓄積するレビー小体型認知症(DLB)等が挙げられ、好ましくはアルツハイマー病(AD)が挙げられる。
本発明の医薬組成物を認知症の予防に用いる場合は、発症リスクの高い未発症者であれば特に限定されない。発症リスクの高い未発症者としては、老人斑陽性の健常者、家族性アルツハイマー病家系の家族等が挙げられる。認知症の治療に用いる場合は、投与対象としては、認知症の診断がなされ、認知症の病状の進行阻止を要する患者であれば特に限定されない。
[薬理作用]
鼻腔上部の鼻粘膜には嗅上皮ニューロンの樹状突起が来ており、その細胞表面にある嗅覚受容体で得られたにおい情報は嗅上皮ニューロンの軸索を伝って脳の嗅球へ送られる。鼻粘膜と嗅上皮ニューロンの間には血液脳関門(BBB)は存在しない。嗅上皮ニューロンの軸索を束ねた神経束の周囲には脳脊髄液が存在するが、血液と脳脊髄液の間での物質交換を阻む血液脳脊髄液関門(BCSFB)もここには存在しない。したがって、本発明の医薬組成物の経鼻投与により、鼻粘膜に到達した有効成分リファンピシン類は、BBB及びBCSFBによる障害を受けることなく嗅上皮ニューロンや脳脊髄液に取り込まれ、脳内に移行することができる。
このように、本発明の医薬組成物によると、リファンピシン類の脳への直接移行性が高められるため、肝臓への初回通過を抑制することができる。したがって、本発明の医薬組成物は、投与形式の点で非侵襲的であるだけでなく、脳への直接移行性が高められたことによる高薬効、及び肝臓への初回通過を抑制することによる低副作用が奏される。
脳へ到達したリファンピシン類は、変性性認知症の場合、アミロイドβ(Aβ)、タウ、TDP-43、αシヌクレインなどの認知症原因タンパク質のオリゴマーの形成又は凝集抑制、若しくは形成又は凝集した認知症原因タンパク質のオリゴマーの消失をもたらす。これによって、認知症の発症を遅延化、又は発症した認知症の症状改善(例えば、シナプスが復活することによる記憶障害の回復)をもたらす。あるいは、脳へ到達したリファンピシン類は、脳血管性認知症の場合、ラジカルスカベンジャ作用を介した神経保護作用により脳血管障害を改善する。これによって、認知症の症状改善をもたらす。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験例]
本実験例では、リファンピシンを含有する又は含有しない投与組成物を、表1に示す用量及び用法で、表1に示すマウスへ1ヶ月毎日投与した。
(投与対象)
11カ月齢の雄のAPPOSKマウス(Tomiyama et al. J Neurosci. 2010; 30: 4845-56)を用意した。APPOSKマウスの体重は約30gである。APPOSKマウス60匹を、12匹ずつA-Eの5群に分けた。別途、同月齢の野生型マウス(non-Tg littermate)12匹用意した。なお、APPOSKマウスは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)トランスジェニックマウス(アルツハイマー病モデル)であり、アミロイドβ(Aβ)タンパク質の蓄積を示す。
(投与組成物)
0.5w/v%のカルボキシメチルセルロース(CMC;Sigma-Aldrich, Carboxymethylcellulose sodium salt low viscosity, C5678)溶液にリファンピシン薬(RFP;Sigma-Aldrich, Rifampicin ≧97% (HPLC), powder、別名:3-(4-メチルピペラジニルイミノメチル)リファマイシンSV, リファマイシンAMP, リファンピン, R3501)を表1の比較例1、実施例1~2、参考例3に示す容量となる配合量で懸濁し、投与組成物を調製した。
(投与方法)
経口投与はげっ歯類用経口ゾンデを用い、経鼻投与はピペットマン(ホワイトチップ)を用い、皮下投与は注射器を用い、すべて無麻酔下で行った。
Figure 0007146281000002
(結果1-行動試験)
投与終了後(12カ月齢)のマウスを行動試験に供し、マウスの認知機能に対するリファンピシンの効果を比較した。行動試験は、Umeda et al. Brain 2016; 139: 1568-86の方法に従ってモリス水迷路によるマウスの空間参照記憶を測定することにより行った。なお、行動試験に供したマウスは、投与期間中に死亡したマウスを除く、12匹(比較例1、実施例1、実施例2)、11匹(参考例1、参考例2、参考例3)である。
行動試験の結果を図1に示す。経口投与(oral)、経鼻投与(intranasal)、皮下投与(subcutaneous)のいずれの場合においてもAPPOSKマウスの記憶障害の改善を確認した。しかしながら、経口投与(比較例1)によるとその改善効果は不完全であった。これに対し、経鼻投与(実施例1及び実施例2)と皮下投与(参考例3)とによると、その改善効果は野生型マウスと同レベルまで達した。さらに経鼻投与によると、用量を5分の1(0.05 mg/day)に下げた場合(実施例2)であっても、改善効果は経口投与による場合(比較例1)よりも高いことを確認した。
(結果2-肝機能障害)
行動試験終了後のマウスから採血し、血清を分離して血清試料を調製した。血清試料の肝酵素AST(GOT)及びALT(GPT)の測定を行い、リファンピシンによる肝機能障害の程度を比較した。
肝酵素の測定結果を表2に示す。CMC投与APPOSKマウス(参考例2)と比較して、RFP経口投与マウス(比較例1)で有意にASTが上昇し、肝毒性が示唆された。これに対し、経鼻投与マウス(実施例1、実施例2)では、比較例1のような上昇は見られなかった。なお、経鼻投与マウス(実施例1、実施例2)におけるASTの若干の上昇は、鼻腔内投与した薬の一部が喉の方へ流れ、小腸から吸収されたことによると思われる。マウスと異なりヒトに対する経鼻投与では、このような誤飲はほぼ無いと考えられる。皮下投与(参考例3)ではASTの上昇は見られなかった。ALTについてはいずれの投与法によっても有意な変化は見られなかった。
Figure 0007146281000003
(結果3-免疫組織染色)
行動試験終了後のマウスから脳を取り出し、免疫組織化学染色によって、Aβオリゴマー、シナプトフィジン、リン酸化タウに対するリファンピシンの効果を比較した。
Umeda et al. Brain 2016; 139: 1568-86に記載された手順に従い、免疫組織化学染色法により、Aβオリゴマー(Aβオリゴマーは、タウのリン酸化及びシナプトフィジンの減少を引き起こすと考えられている)、シナプトフィジン(シナプスのマーカータンパク質)、及びリン酸化タウの染色を行った。Aβオリゴマーの染色には11A1抗体(株式会社免疫生物研究所製)を用い、シナプトフィジンの染色にはSVP-38抗体(Sigma社製)を用い、リン酸化タウの染色にはマウスモノクローナルPHF-1抗体(抗p-Ser396/404-tau抗体、アルベルト・アインシュタイン医学校Peter Davies博士より提供)を用いた。染色後は、NIH image-Jを用いて、Aβオリゴマー、シナプトフィジン、及びリン酸化タウの定量を行った。
Aβオリゴマー(Aβ oligomers)及びシナプトフィジン(Synaptophysin)の免疫染色後の組織の写真を図2に示す。図2において、上段は海馬CA3組織を示し、下段は海馬CA2/3組織を示す。RFPの経口投与(比較例1)、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)のいずれの場合も、脳に蓄積していたAβオリゴマーは減少し、減少していたシナプトフィジンは回復した。
図2の免疫染色結果から得たAβオリゴマーの定量結果を図3に示す。RFPの経口投与(比較例1)、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)のいずれでも、Aβオリゴマーは野生型マウス(参考例1)と少なくとも同レベルにまで減少した。中でも、同じ用量で比較すると、Aβオリゴマーの減少効果は経鼻投与(実施例1)で最も高かった。
図2の免疫染色結果から得たシナプトフィジンの定量結果を図4に示す。
RFPの経口投与(比較例1)、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)のいずれでも、海馬のシナプトフィジンは回復傾向を示した。中でも、経口投与(比較例1)による効果は弱く、一方で、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)によると、野生型マウス(参考例1)と同レベルにまで回復した。さらに、行動試験の結果と同様に、経鼻投与の場合、用量を5分の1(0.05 mg/day)に下げた場合(実施例2)であっても、その効果は経口投与(比較例1)よりも高いことを確認した。
リン酸化タウ(Phosphorylated tau)の免疫染色後の組織の写真を図5に示す。図5は、海馬CA2/3組織を示す。RFPの経口投与(比較例1)、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)のいずれの場合も、脳に蓄積していたリン酸化タウは減少した。
図5の免疫染色結果から得たリン酸化タウの定量結果を図6に示す。RFPの経口投与(比較例1)、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)のいずれでも、海馬のリン酸化タウは減少傾向を示した。中でも、経口投与(比較例1)による効果は弱く、一方で、経鼻投与(実施例1、実施例2)、皮下投与(参考例3)による効果が高かった。さらに、同じ用量で比較すると、リン酸化タウの減少効果は、経鼻投与(実施例1)で最も高かった。
以上の結果より、リファンピシンの投与において、経鼻投与は薬効が高く副作用が低い点で経口投与よりも優れており、且つ、非侵襲性である点で皮下投与よりも優れていることが実証された。また、このような効果を生じさせたマウスに対する1ヶ月の投与期間は、ヒトでいう3.3年程度に相当する。したがって、リファンピシンの経鼻投与は、長期の投与に適しているため、認知症の治療に好適であるだけでなく、認知症の予防にも好適であることが示された。本実施例では、マウス(体重約30g)に対し経鼻投与量として0.05mg/匹/日(1.67mg/kg・日)及び0.25mg/匹/日(8.33mg/kg・日)の有効投与量が示され、得られた結果から、これらの投与量の1割程度の投与量でも効果が期待できる。また、より長期の投与も可能と考えられるため、このようなより長期の投与を考慮すると、さらに少ない投与量(たとえば0.15mg/kg・日)でも効果が期待できる。一方で、ヒトへのリファンピシンの経口投与量が450~600mg/60kg・日(7.5~10mg/kg・日)で処方されていることと、上述の実施例で、経鼻投与が経口投与の5分の1の量という少量であっても効果が示されたこととに鑑みると、ヒトへの投与においては、これまでの1/2の投与量(例えば3.75mg/kg・日)でも当然有効であると考えられる。以上より、ヒトへの投与においては、0.15~3.75mg/kg・日を有効投与量とすることができる。

Claims (4)

  1. ファンピシン、3-Folmyl-Rifamycin SV、Rifamycin S、Rifamycin B、Rifamycin SV、25-Desacetyl-RFP、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を有効成分として含み、前記リファンピシン類の投与量が2mg/kg・日以下であり、認知症の予防又は治療に用いられる、経鼻投与用医薬組成物。
  2. リファンピシン、3-Folmyl-Rifamycin SV、Rifamycin S、Rifamycin B、Rifamycin SV、25-Desacetyl-RFP、及びそれらの塩よりなる群から選択されるリファンピシン類を有効成分として含み、前記リファンピシン類が溶解又は懸濁した液剤、若しくは、前記リファンピシン類を含む粉末又は微粒状の固形剤であり、前記リファンピシン類の投与量が2mg/kg・日以下であり、認知症の予防又は治療に用いられる、経鼻投与用医薬組成物。
  3. 認知症の予防に用いられる、請求項1又は2に記載の経鼻投与用医薬組成物。
  4. 前記認知症がアルツハイマー病である、請求項1~のいずれかに記載の経鼻投与用医薬組成物。
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