JP7145679B2 - ハイブリッドヒ-トポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルとからなるハイブリッド型のヒートポンプ装置に関するものである。
従来の冷凍サイクルには、圧縮冷凍サイクルや吸収冷凍サイクルなどがある。
圧縮冷凍サイクルは、蒸発器Eで気化した冷媒蒸気を圧縮機Pで圧縮し、高温高圧になった冷媒蒸気を凝縮器Cで冷却液化させ、この冷媒液を膨張弁経由で蒸発器Eに戻している。この圧縮冷凍サイクルを用いたヒートポンプ装置では、冷媒の循環方向を切替えることにより、利用側熱交換器を蒸発器Eとして冷房運転を、また利用側熱交換器を凝縮器Cとして暖房運転を行えるようにもできる。ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機などの容積型圧縮機を用いた圧縮冷凍サイクルでは、特許文献1や特許文献2、非特許文献1のように、圧縮室に中間圧ポートを設け、凝縮器Cから蒸発器Eへの冷媒液配管中に設けた気液分離器からの冷媒蒸気を該中間圧ポートにガスインジェクションしてサイクルの能力増大、効率向上を図っている例も多い。
吸収冷凍サイクルは、蒸発器Eで気化した冷媒蒸気を吸収器Aで吸収溶液に吸収させ、この吸収溶液を再生器Gに送って加熱し、吸収溶液から凝縮圧力の冷媒蒸気を発生させ分離する。即ち、吸収器Aと再生器Gの間で、冷媒を蒸発圧力から凝縮圧力に圧縮している。発生した冷媒蒸気は凝縮器Cに導き冷却液化させ、この冷媒液を膨張弁経由で蒸発器Eに戻している。デューリング線図は冷媒蒸気圧に対する飽和温度あるいは露点(以下、露点と称する)を縦軸に、冷媒および吸収溶液の温度を横軸にした線図であるが、吸収冷凍サイクルの状態変化をこの線図上に示すと図3(a)のようになる。なお、前述の圧縮冷凍サイクルをデューリング線図上に示すと図3(b)のように、蒸発器Eからの冷媒蒸気を圧縮機Pで圧縮、過熱状態で吐出される冷媒蒸気を凝縮器Cで冷却液化して蒸発器Eに戻している。
ヒートポンプ装置としては、圧縮機を用いた圧縮冷凍サイクルを採用することが多いが、この圧縮冷凍サイクに,太陽熱パネルやエンジンラジエーターなどの温水で駆動する吸収冷凍サイクルを組込むことで、圧縮動力の低減を図ることが提案されている。例えば特許文献3や特許文献4では、圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルに同一の冷媒を使用して蒸発器と凝縮器を両サイクルに共用とし、図3(c)のように圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルを並列に設け、両サイクルを並行して行わせるようにしている。ヒートポンプ装置の冷凍出力を同じにして考えると、蒸発器からの冷媒蒸気量の内、吸収器に吸収された分は吸収冷凍サイクルで加熱圧縮されるので、その分、圧縮機の圧縮仕事を低減することができる。また、特許文献5や特許文献6では、圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルの冷媒を別系統にして分離し、サイクル間を熱的に接続することで、圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルとで異種冷媒の使用を可能にしている。特許文献5の例では圧縮冷凍サイクルの蒸発器からでてくる冷媒蒸気を、吸収冷凍サイクルの蒸発器の被冷却側で液化して圧縮冷凍サイクルの蒸発器入口側に戻すことで、圧縮動力を増すことなく、圧縮冷凍サイクル側の冷房能力を増大させている。また、特許文献6の例では、圧縮冷凍サイクルの凝縮器の出口冷媒液を、吸収冷凍サイクルの冷熱で過冷却して圧縮冷凍サイクルの冷房能力を増大させたり、あるいは二段圧縮機の低圧段で圧縮された過熱冷媒蒸気を吸収冷凍サイクルの冷熱で冷却して、過熱度を低くして高圧段に吸入させることで圧縮機に必要な圧縮仕事を低減させたりしている。
吸収冷凍サイクルの温熱源としては、太陽熱パネルの熱媒、エンジンの排熱、燃料電池からの排熱などがあるが、熱の搬送は温水の形が多く、以下温水を例に説明する。熱源としての太陽熱は太陽光の入射角や天候により、またエンジンや燃料電池からの温水は運転状況により、温水の温度、熱量が変動する。熱源熱量が減少すれば、それに伴い吸収冷凍効果も減少するが、特に、熱源温水温度が低下すると吸収冷凍サイクルの出力が急激に低下し、さらには吸収冷凍サイクルが不成立となって出力不能になることもある。ヒ-トポンプ装置の使用状況(室内温湿度、外気温度など)からヒートポンプ装置に必要な冷凍容量、凝縮温度、蒸発温度などが決まる。図3(c)のように圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルを並列に行わせている場合、吸収冷凍サイクルの駆動に必要な温水温度は再生器における吸収溶液の再生開始温度TGi以上であり、TGi未満の温水温度では吸収溶液を加熱できず、吸収冷凍サイクルは不成立となって冷凍出力はなくなる。
特開昭57-28959号 特開2003-120555号 特公昭57-51029号 特開平08-145496号 特開2003-307364号 特開2010-271030号
日本冷凍空調学会圧縮機技術委員会、「冷媒圧縮機」日本冷凍空調学会、平成25年3月27日、P69~P72,P94
本発明は、熱源温水温度が低くても、あるいは熱量の少ない熱源温水であっても、吸収冷凍サイクルの効果をヒートポンプ装置に取り込み、圧縮冷凍サイクルの圧縮機仕事を低減する効果を発揮させようとするものである。
本発明では、図4(a)のように、圧縮冷凍サイクルの圧縮途中の冷媒蒸気の一部を抽出し、抽出した冷媒蒸気を吸収冷凍サイクルで高圧冷媒蒸気または冷媒液にして、圧縮冷凍サイクルに戻すよう構成。第1、第2の発明は、抽出した該冷媒蒸気を吸収器の吸収溶液に吸収させ、再生器で吸収溶液を加熱し高圧冷媒蒸気を発生させて圧縮冷凍サイクルの凝縮器に戻している。第3、第4の発明は、抽出した冷媒蒸気を吸収冷凍サイクルの蒸発器で凝縮させ冷媒液にして圧縮冷凍サイクル側に戻している。
第1の発明は、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器及び冷媒配管を備え、前記熱源側熱交換器を凝縮器にして、前記利用側熱交換器を蒸発器にした冷房運転が可能な圧縮冷凍サイクルと、再生器、吸収器、溶液配管及び冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルとからなるハイブリッドヒ-トポンプ装置を対象とする。圧縮機には、圧縮途中の冷媒蒸気を抽出する中間圧ポートを1個あるいは複数個有している。吸収冷凍サイクルを駆動する場合には、圧縮途中の圧縮室内の冷媒蒸気を中間圧ポートの内の1個から抽出して、吸収冷凍サイクルの吸収器に導いて吸収溶液に吸収させる。吸収した冷媒は吸収冷凍サイクルの再生器で加熱して高圧冷媒蒸気として分離し、圧縮機の吐出側に導くように構成している。
このハイブリッドヒ-トポンプ装置の状態点をデューリング線図上で示すと図4(a)のようになる。圧縮機の中間圧(抽出する圧力)まで圧縮した後、一部の冷媒蒸気を抽出し吸収冷凍サイクル側に吸収させ、残部の冷媒蒸気はそのまま圧縮機で圧縮する。圧縮仕事は、抽出蒸気の中間圧から吐出圧までの分だけ低減できる。吸収冷凍サイクルは、圧縮室から抽出した冷媒蒸気を中間圧から凝縮圧まで加熱圧縮すればよく、低い熱源温度でも吸収冷凍サイクルを形成することができ、また熱源熱量が少なければ熱量に見合った冷媒蒸気量が吸収されるので、少熱量でも吸収冷凍サイクルが成立する。
第2の発明は、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器、気液分離器及び冷媒配管を備え、前記熱源側熱交換器を凝縮器にして、前記利用側熱交換器を蒸発器にした冷房運転が可能な圧縮冷凍サイクルと、再生器、吸収器、溶液配管及び冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルとからなるハイブリッドヒ-トポンプ装置を対象とする。圧縮機には、気液分離器の冷媒蒸気を圧縮室内に注入あるいは圧縮室内の圧縮途中の冷媒蒸気を抽出するポートを1個あるいは複数個有している。吸収冷凍サイクルを駆動する場合には、圧縮途中の圧縮室内の冷媒蒸気を抽出して、吸収冷凍サイクルの吸収器に導き、また気液分離器で分離した冷媒蒸気もまた前記吸収器に導き、前記両冷媒蒸気を吸収溶液に吸収させ、吸収した冷媒は吸収冷凍サイクルの再生器で高圧冷媒蒸気として分離し、圧縮機の吐出側に導くように構成している。
このハイブリッドヒ-トポンプ装置の状態点をデューリング線図上で示すと図4(b)のようになる。圧縮機の中間圧(抽出する圧力)まで圧縮した後、一部の冷媒蒸気を抽出し吸収冷凍サイクル側に吸収させ、残部の冷媒蒸気はそのまま圧縮機で圧縮する。また凝縮器Cから蒸発器Eまでの間にある気液分離器Sでは、抽出する中間圧とほぼ同じ圧力(露点)で気液分離され、分離された冷媒蒸気は、前述の圧縮機から抽出した冷媒蒸気と共に、吸収器Aに吸収される。圧縮冷凍サイクルの圧縮仕事は抽出蒸気分だけ低減することができる。また、気液分離により冷媒液は冷却されるので、冷凍出力を増大することができる。吸収冷凍サイクルは、圧縮室から抽出した冷媒蒸気を中間圧から凝縮圧まで加熱圧縮すればよく、低い熱源温度でも吸収冷凍サイクルを形成することができ、また熱源熱量が少なければ熱量に見合った冷媒蒸気量が吸収されるので、少熱量でも吸収冷凍サイクルが成立する。
第3の発明は、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器及び冷媒配管を備え、前記熱源側熱交換器を凝縮器に、前記利用側熱交換器を蒸発器にした冷房運転の可能な圧縮冷凍サイクルと、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、溶液配管及び冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルからなるハイブリッドヒ-トポンプ装置を対象とする。圧縮機には圧縮途中の冷媒蒸気を抽出するポートを有し、吸収冷凍サイクルを駆動する場合には、圧縮途中の圧縮室内の冷媒蒸気を吸収冷凍サイクルの蒸発器の被冷却側に導いて冷却凝縮させ、冷却凝縮した該冷媒を圧縮冷凍サイクル系に戻すようにしている。
本発明は、圧縮冷凍サイクルと吸収冷凍サイクルの冷媒系統を分離し熱的に接続したハイブリッドサイクルであり、サイクル間の冷媒の直接の行き来をなくし、圧縮と吸収とで別種の冷媒であっても利用可能にしている。圧縮冷凍サイクルの冷媒圧力と吸収冷凍サイクルの冷媒圧力が異なっていても、露点を用いるデューリング線図であれば、両サイクルを同一の線図上に表すことができ、図4(c)のようになる。吸収冷凍サイクルの蒸発温度Exは、圧縮機の中間圧力に対する露点よりも、熱移動のための温度差即ち駆動力の分だけ低くなってしまい、前述の第1の発明よりも効果は若干減少するが、吸収冷凍サイクルの効果を圧縮冷凍サイクル側に取り込み、圧縮機仕事の低減を図ることができる。また、圧縮機で冷媒蒸気を途中まで圧縮しているので、吸収冷凍サイクルの吸収器露点は高くなり、必要とする熱源温度が低くても済むことになる。
第4の発明は、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器、気液分離器及び冷媒配管を備え、前記熱源側熱交換器を凝縮器に、前記利用側熱交換器を蒸発器にした冷房運転の可能な圧縮冷凍サイクルと、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、溶液配管及び冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルからなるハイブリッドヒ-トポンプ装置を対象とする。そして、圧縮機には気液分離器の冷媒蒸気を圧縮室内に注入あるいは圧縮途中の冷媒蒸気を圧縮室から抽出する中間圧ポートを有し、吸収冷凍サイクルを駆動する場合には、圧縮途中の圧縮室内の冷媒蒸気を、気液分離器で分離した冷媒蒸気と共に、吸収冷凍サイクルの蒸発器の被冷却側に導いて冷却凝縮させ、冷却凝縮した冷媒液を圧縮冷凍サイクル系に戻すようにしている。第3の発明に比し、気液分離器による冷媒液の冷却効果が加わり、圧縮冷凍サイクルの冷凍出力当たりの圧縮仕事が低減する。
第5の発明は暖房運転に関するものである。本発明のハイブリッドヒ-トポンプ装置では、圧縮冷凍サイクルの冷媒循環方向を切替えることにより、利用側熱交換器を蒸発器とし熱源側熱交換器を凝縮器として冷房運転を、また利用側熱交換器を凝縮器とし熱源側熱交換器を蒸発器として暖房運転を行えるようにもできる。第5の発明では、暖房運転時に吸収冷凍サイクルを切り離して休止させ、圧縮冷凍サイクルで暖房運転をしている。
本発明により、熱源温度が低いため冷凍温度ヘッド(凝縮温度と吸収器露点の差)が低く、また熱源熱量が少ないため冷凍容量熱源温度が低いが小さい吸収冷凍サイクルであっても、吸収冷凍サイクルの効果を圧縮冷凍サイクル側に取り込み、圧縮機仕事の低減を図ることができる。
本発明の第一の実施の形態に係るハイブリッドヒ-トポンプ装置1の構成を示すフローシートである。 本発明の第二の実施の形態に係るハイブリッドヒ-トポンプ装置2の構成を示すフローシートである。 従来型ヒートポンプの運転状態を説明するためのデューリング線図である。 本発明のハイブリッドヒ-トポンプの運転状態を説明するためのデューリング線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るハイブリッドヒ-トポンプ装置1を説明する。図1は、ヒートポンプ装置1の模式的系統を示すフローシートである。ヒートポンプ装置1は、圧縮冷凍サイクル10と吸収冷凍サイクル50から構成されている。圧縮冷凍サイクル10は、圧縮機20と、利用側熱交換器30と熱源側熱交換器31を主要構成要素として冷媒配管で接続され、四方弁33で流れ方向を逆転させることで、冷房運転と暖房運転とを切り替えている。吸収冷凍サイクル50は、再生器51と吸収器52を主要構成要素とし、吸収冷凍サイクルの凝縮器の役割は圧縮冷凍サイクルの熱源側熱交換器31が行い、圧縮冷凍サイクルと共用になっている。なお、吸収冷凍サイクルの蒸発器からの冷媒蒸気には、圧縮機中間圧ポートからの冷媒蒸気が相当する。このハイブリッドヒートポンプ装置の媒体には、例えば、冷媒にHFC冷媒のR32、吸収剤にイオン液体の[bmim][PF6]などが用いられる。
ヒートポンプ装置1の冷房運転時の圧縮冷凍サイクル10は、利用側熱交換器30からの冷媒蒸気を冷媒配管43、四方弁33、冷媒配管40を通り圧縮機20の吸込側に導き、圧縮機20の吐出側蒸気は冷媒配管42、四方弁33、冷媒配管44を通り熱源側熱交換器31に導いて、外気など外部冷却媒体で冷却し凝縮させ、凝縮液は膨張弁35を通り気液分離器32で気液分離し、分離された冷媒液は膨張弁36を通って利用側熱交換器30に導いている。利用側熱交換器30は蒸発器の役割をし、熱源熱交換器31は凝縮器の役割をする。
ヒートポンプ装置1の冷房運転時で、吸収冷凍サイクルの運転が可能な時は、圧縮冷凍サイクル10の圧縮機20では吸込んだ冷媒蒸気を、圧縮機の圧縮室で中間圧まで圧縮し、圧縮された冷媒蒸気の一部を圧縮機の中間ポート21から抽出し、冷媒配管45を通し、気液分離器32を経由し、気液分離器32で分離された熱源側熱交換器31からの冷媒と共に、弁V1、冷媒配管73を通して吸収器52の溶液側に導く。前記圧縮機の中間ポート21から抽出されなかった残部の冷媒蒸気は、圧縮室に留まりさらに圧縮される。抽出された冷媒蒸気は、吸収冷凍サイクル側で、凝縮圧力まで加熱圧縮されるので、その分圧縮冷凍サイクルの圧縮仕事を減らすことができる。また、気液分離器で分離された冷媒蒸気を吸収冷凍サイクル側に吸収させることで、圧縮冷凍サイクルの圧縮仕事を増すことなく、利用側熱交換器30への冷媒液を過冷却して、冷凍能力を増加させることができる。
ヒートポンプ装置1の冷房運転時で、吸収冷凍サイクルの熱源が利用できない場合は、切替弁V1、V2を閉止し、吸収冷凍サイクルを休止する。その場合の圧縮冷凍サイクル10は、熱源側熱交換器31からの冷媒液を、気液分離器32で気液に分離し、分離された冷媒蒸気を冷媒配管45、圧縮室中間圧ポート21を通して圧縮室に吸込み、所謂ガスインジェクションによるエコノマイザサイクルを行う。
ヒートポンプ装置1の暖房運転時は切替弁V1、V2を閉止し、吸収冷凍サイクルは休止する。圧縮冷凍サイクル10の暖房運転では、熱源側熱交換器31からの冷媒蒸気は冷媒配管44、四方弁33、冷媒配管40を通り圧縮機20に吸込まれて圧縮され、さらに圧縮室中間ポート21からインジェクションされる冷媒分離器32からの冷媒蒸気と共に圧縮され、圧縮機20の吐出側へと導かれる。吐出された冷媒蒸気は、冷媒配管42、四方弁33、冷媒配管43を通り凝縮器の役割をする利用側熱交換器30に導かれ、暖房効果を発揮して凝縮液となる。凝縮液は冷媒配管46、膨張弁36を通って、気液分離器32に入り、分離された冷媒蒸気は、圧縮機20の圧縮室中間ポート21に導かれ、冷媒液は冷媒配管47、膨張弁35を通って熱源側熱交換器31に導かれる。熱源側熱交換器31は外部流体から熱を奪う蒸発器の役割をし、蒸発した冷媒蒸気は冷媒配管44、四方弁33を経由して冷媒配管40へと導かれる。
ヒートポンプ装置1の冷房運転時で吸収冷凍サイクルが運転可能な時、吸収器52は、弁V1、冷媒配管73で導かれてくる圧縮冷凍サイクルからの冷媒蒸気を吸収する。その際の吸収熱で温度上昇する吸収溶液は外部熱源となる外気で冷却される。冷媒を吸収した吸収溶液は、溶液ポンプ60で、溶液配管71を通り、溶液熱交換器55で熱回収をして、再生器51に送られ、配管51Xで供給される外部熱源の温水により加熱され、冷媒蒸気を発生する。該冷媒蒸気中の吸収溶液はエリミネータ56で分離され、冷媒蒸気は圧縮機20の吐出部の冷媒配管42に放出される。再生器52で冷媒を放出した溶液は、配管72、溶液熱交換器55、膨張弁62を通って、吸収器52に戻る。
なお、ヒートポンプ装置1の暖房運転時に、冷房時に吸収冷凍サイクルの加熱源となった熱源は、別の装置たとえば温水暖房機などを経由して、利用されることが多い。
また、休止している吸収冷凍サイクルの再生器を、図中の破線で示す弁V6,V7で吸収冷凍サイクルから分離し、加熱源による冷媒蒸気発生器として利用することもできる。冷媒液ラインは図示していないが、冷凍サイクル側の冷媒液を前記再生器51に送り、熱源で加熱・蒸発させ、該蒸気を弁V2を通して冷凍サイクルの利用側熱交換器30に戻すことで、熱源を暖房に使用することもできる。即ち、吸収冷凍サイクルの再生器部だけを、冷媒の蒸発加熱器として圧縮冷凍サイクル側に組込み、吸収冷凍サイクルの温水熱源で、圧縮冷凍サイクルからの冷媒を加熱蒸発させ暖房に利用することもできる。
ヒートポンプ装置1で、気液分離器32を設けていない圧縮冷凍サイクルの場合には、圧縮機20の中間ポート21から抽出した冷媒蒸気は、直接、弁V1を通して、吸収器52の溶液側に導くことになる。
圧縮機20の中間ポートは、位置によって圧縮比が変わるので、蒸気抽出に利用する中間ポートを複数設け、それぞれの中間ポートと気液分離器を結ぶ冷媒配管中に開閉弁を設けて、吸収冷凍サイクル側の運転状態、熱源状態に合わせて、弁の開閉で利用する中間ポートを選択できるようにしてもよい。また、非特許文献1のロータリー二段圧縮機など、1台のモーターで高低2台の圧縮機を駆動する二段圧縮機においては、高圧段の圧縮室の吸入工程終了後に開口する中間ポートを設けることが望ましく、高圧段での圧縮冷媒量調節が容易にできる。
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るハイブリッドヒートポンプ装置2を説明する。圧縮冷凍サイクル10と吸収冷凍サイクル50とは、サイクル間の冷媒の行き来はなく、両サイクルは蒸発器54を介して熱的に接続している。即ち、圧縮冷凍サイクルの冷媒が蒸発器52の被冷却側に、吸収冷凍サイクルの冷媒が蒸発器52の冷却側となって熱の伝達が行われる。吸収冷凍サイクルの冷媒/吸収剤には、例えば、水/臭化リチウム溶液を用い、圧縮冷凍サイクルには、例えばHFC冷媒のR32を用いるなど、両サイクルで異種の冷媒を用いることができる。
圧縮冷凍サイクル10は、圧縮機20と、利用側熱交換器30と熱源側熱交換器31を主要構成要素として冷媒配管で接続され、冷房運転と暖房運転とで四方弁33により流れ方向を逆転させている。ヒートポンプ装置1の冷房運転時で、吸収冷凍サイクルの運転が可能な時は、利用側熱交換器30からの冷媒蒸気を圧縮機で中間圧まで圧縮し、圧縮された冷媒蒸気の一部は圧縮室の中間圧ポート21から抽出し、冷媒配管45、弁V1を通って吸収冷凍サイクル50の蒸発器54の被冷却側に直接あるいは気液分離器32経由で導き、残部は圧縮室に留まりさらに圧縮される。圧縮機20の吐出側蒸気は冷媒配管42、四方弁33、冷媒配管44を通して熱源側熱交換器31に導かれ、外気など外部冷却媒体で冷却され凝縮する。熱源熱交換器31は凝縮器の役割をし、凝縮液は膨張弁35、冷媒配管47を通り気液分離器32に入る。気液分離器32で分離された冷媒蒸気は、吸収冷凍サイクルの蒸発器54の被冷却側に導かれ、前述の圧縮機中間圧ポート21からの抽出蒸気と共に凝縮し、冷媒配管49、弁V3を通って気液分離器32に戻る。気液分離器32で分離された冷媒液は、前述の蒸発器54の被冷却側で凝縮した冷媒液と共に、冷媒配管46、膨張弁36を通って利用側熱交換器30に導かれる。利用側熱交換器30は蒸発器の役割をし、蒸発した冷媒蒸気は冷媒配管43、四方弁を33、冷媒配管40へと導かれる。
ヒートポンプ装置2の冷房運転時で、吸収冷凍サイクルの熱源が利用できない場合は、切替弁V1、V3を閉止し、吸収冷凍サイクルを休止する。その場合の圧縮冷凍サイクル10は、熱源側熱交換器31からの冷媒液を、気液分離器32で気液に分離し、分離された冷媒蒸気を冷媒配管45、圧縮室中間圧ポート21を通して圧縮室に吸込み、所謂ガスインジェクションによるエコノマイザサイクルを行う。
ヒートポンプ装置2で、気液分離器32を設けていない圧縮冷凍サイクルの場合には、圧縮機20の中間圧ポート21から抽出した冷媒蒸気は、直接、弁V1を通して、吸収冷凍サイクルの蒸発器54被冷却側に導くことになる。熱源側熱交換器31から利用側熱交換器30への冷媒配管には1個の膨張弁を設ける。また蒸発器54の被冷却側で凝縮した冷媒液は弁V3を通し、図に示していないが膨張弁を経由して利用側熱交換器30に導く。
吸収冷凍サイクル50は、再生器51と凝縮器53、吸収器52および蒸発器54を主要構成要素とし、冷房運転時は一重効用吸収冷凍サイクルを行っている。この実施例では、水を冷媒としており、蒸発圧力が低いので液膜式の蒸発器54とし、冷媒ポンプ61で冷媒を循環させ散布している。なお、冷媒圧力がある程度あって、液高さが沸騰に影響を与えない冷媒であれば、蒸発器を満液として、冷媒ポンプをなくすこともできる。
ヒートポンプ装置2が暖房運転をするときは、切替弁V1,V3を閉止し、吸収冷凍サイクルを休止させる。なお、吸収冷凍サイクルの蒸発器が液膜式で、冷媒蒸気圧も低い場合には、切替弁V1,V3をなくしても、熱損失はほとんど発生しない。圧縮冷凍サイクルの暖房運転は、蒸気側の四方弁33を切替えて、圧縮機20の吐出蒸気を利用側熱交換器30に、熱源側熱交換器31からの冷媒蒸気を圧縮機20の吸込み部に導き、分離された冷媒液を膨張弁35経由で熱源側熱交換器31に導くように冷媒を循環している。
これまでの説明は、温水を熱源として吸収冷凍サイクルを駆動するとしたが、吸収溶液を熱発生部に送り込んで熱を直接受け取るようにしてもよい。例えば、再生器51に送り込む溶液を太陽熱集熱器(図示せず)に送り込み、伝熱面を持たない容器あるいは気液分離器としての再生器51部に、吸収溶液を戻してもよい。あるいは、前記伝熱面を持たない再生器51と太陽熱集熱器との間を溶液ポンプを用いて吸収溶液を循環させてもよい。吸収溶液にイオン液体を用いることで、凍結や結晶もなく循環が可能である。
10 圧縮冷凍サイクル
20 圧縮機
21 圧縮機中間圧ポート
30 利用側熱交換器
31 熱源側熱交換器
32 気液分離器
33 冷媒蒸気四方弁
35、36 膨張弁
40~47 冷媒配管
50 吸収冷凍サイクル
51 再生器
52 吸収器
53 凝縮器
54 蒸発器
55 溶液熱交換器
60 吸収溶液ポンプ
61 冷媒ポンプ
62 膨張弁
71~75 溶液配管、冷媒配管
V1、V2、V3、V5、V6 切替弁

Claims (3)

  1. 圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器及び冷媒配管を備え、さらに前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ液配管中には気液分離器を備えた圧縮冷凍サイクルと、再生器、吸収器、溶液配管及び前記冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルとからなるハイブリッドヒートポンプ装置であって、
    前記圧縮冷凍サイクルは、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機の高圧吐出側に、前記利用側熱交換器を前記圧縮機の低圧吸込み側に、前記冷媒配管で接続して、冷房運転をし、
    前記気液分離器の蒸気側を前記吸収器の溶液側と配管接続し、
    前記圧縮機には、中間圧の圧縮室に開口する中間圧ポートを設け、該中間圧ポートの冷媒蒸気を直接あるいは前記気液分離器経由で前記吸収器の溶液側に導く配管を設けた
    ことを特徴とするハイブリッドヒートポンプ装置。
  2. 圧縮機、熱源側熱交換器、利用側熱交換器及び冷媒配管を備え、さらに前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを結ぶ液配管中には気液分離器を備えた圧縮冷凍サイクルと、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、溶液配管及び前記冷媒配管を備えた吸収冷凍サイクルからなるハイブリッドヒートポンプ装置であって、
    前記圧縮冷凍サイクルは、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機の高圧吐出側に、前記利用側熱交換器を前記圧縮機の低圧吸込み側に、前記冷媒配管で接続して、冷房運転をし、
    前記気液分離器の蒸気側を前記吸収冷凍サイクルの蒸発器被冷却側と配管接続し、
    前記圧縮機には、中間圧の圧縮室に開口する中間圧ポートを設け、該中間圧ポートの冷媒蒸気を直接あるいは前記気液分離器経由で、前記吸収冷凍サイクルの蒸発器被冷却側に導く配管を設けた
    ことを特徴とするハイブリッドヒートポンプ装置。
  3. 冷房運転時には、前記圧縮冷凍サイクルは、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機の高圧吐出側に接続し、前記利用側熱交換器を前記圧縮機の低圧吸込み側に接続して冷房運転を可能にすると共に、前記吸収冷凍サイクルを動作させ、
    暖房運転時には、前記圧縮冷凍サイクルは、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機の低圧吸込み側に接続し、前記利用側熱交換器を前記圧縮機の高圧吐出側に接続して暖房運転を可能にすると共に、前記圧縮冷凍サイクルと前記吸収冷凍サイクルとを接続する前記冷媒配管の流動を閉止し、さらに前記再生器への熱源供給を止めて前記吸収冷凍サイクルの動作を停止する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリッドヒートポンプ装置。
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