JP7145583B2 - ブレーキシステムを作動させるための方法と装置およびブレーキシステム並びに車両 - Google Patents

Description

本発明は、車両の、特に自動車のブレーキシステムを作動させるための方法であって、前記ブレーキシステムがブレーキ力を発生させるために起動可能な少なくとも１つの電気アクチュエータ、特にブレーキ倍力装置を有し、前記アクチュエータが自律運転システムにより且つ前記車両のブレーキペダルのブレーキペダル操作に依存して起動可能であり、前記アクチュエータが前記自律運転システムとブレーキペダル操作との双方によって起動されるときに緊急ブレーキ過程を導入するようにした前記方法に関するものである。

本発明は、さらに、このようなブレーキシステムを作動させるための装置およびブレーキシステム並びにこのようなブレーキシステムを備えた車両に関する。

冒頭で取り上げた種類の方法は、技術水準からすでに公知である。安全ブレーキシステムは、たとえば周囲センサによって危険が認識されたときであって、しかし車両のドライバーが認識しなかったとき、または、まだ認識していないときに介入する自律的導入緊急ブレーキ過程を可能にする。たとえば、センサ装置を用いて車両の先行車両または他の対象物に対する距離を監視することで、衝突が差し迫っていることを認識したときに緊急ブレーキを導入することが知られている。緊急ブレーキのために、可能な限り短時間で、可能な限り高いブレーキ圧が生成される。電気機械式ブレーキ倍力装置を有する最近の自動車では、ブレーキ倍力装置を電気的に起動することによってブレーキ圧が生成される。その際、このことは、ドライバーが関与することなくブレーキペダルが変位するということにもなりうる。ブレーキ倍力装置を用いて制動を自律的に実施する場合、ブレーキペダルとブレーキ倍力装置のアクチュエータ要素との間に機械的制止部によって発生する一定の動程差以降は、ブレーキペダルはブレーキ倍力装置またはアクチュエータ要素（たとえばピストン）に同調して変位する。このため、ブレーキ倍力装置は可動に支持されるアクチュエータ要素を有し、このアクチュエータ要素はその変位によってブレーキ力またはブレーキ圧を増大させ、機械的制止部によってブレーキペダルと機械的に連結されており、または、連結可能である。緊急ブレーキ過程が不必要に導入されるのを回避するため、ドライバーがブレーキペダルをも操作するときだけこの緊急ブレーキ過程を導入することが知られている。すなわち、ブレーキペダルの操作は緊急ブレーキの必要性を許可するために関連付けられる。このためには、ドライバーによるブレーキペダル操作を緊急ブレーキ過程の間も、または、自律運転システムによって行われるアクチュエータの起動の間も認識することが必要である。このため、ブレーキペダルの動程とアクチュエータ要素の動程との差が動程差として検知される。ドライバーがブレーキペダルを操作すると、機械的な制止部によって制限されているブレーキ動程が変化する。認識されるこの変化は、ブレーキペダルの操作を認識するために用いられ、よって緊急ブレーキ過程を発動させるため、または、レリーズするために用いられる。

請求項１の構成を備えた本発明による方法には、ブレーキシステムの機械的公差に比べてより確固であり、これによって非常に小さな動程差範囲でもドライバーによるブレーキペダルの操作を確実に認識するような、ブレーキペダル操作の認識の改善が保証されるという利点がある。このため、本発明によれば、自律運転システムによる起動に変化性の確認信号を重畳させること、アクチュエータのアクチュエータ要素とブレーキペダルとの間の動程差を監視すること、動程差が変化したときに、自律運転システムによる起動中にブレーキペダル操作によるアクチュエータの起動を認識することが設けられている。したがって、利用者がブレーキペダルを操作しなければ、アクチュエータは運転システムだけで起動される。最大動程差が機械的に制限されているので、動程差は、利用者がブレーキペダルを操作しなければ一定の値にとどまる。アクチュエータの起動に重畳する確認信号は所定の一定の値になり、この一定の値によって、機械的制止部にすでに到達していれば動程差が阻害されることはない。しかしながら、ドライバーがブレーキペダルを操作し、それによって動程差を変化させれば、特に小さくさせれば、確認信号に変化性があるために、この時点で確認信号の変化によって動程差が対応的に影響を受ける。したがって、動程差の中に確認信号が存在することを認識できる。これにより、ブレーキペダル操作の確実な認識が保証されている。運転システムによる起動の際に動程差が不規則であれば、これは、ドライバーが同様にブレーキペダルを操作して、システムの機械的制止部から離間したことを意味している。これにより、自律運転システムの緊急ブレーキ起動が確実に許可されている。

本発明の有利な更なる構成によれば、確認信号を、ブレーキペダル操作の時間的推移とは異なるように予め設定する。特に、確認信号を、ブレーキペタル操作によって再現できないように予め設定する。これによって、動程差に作用する確認信号をブレーキペダル操作から一義的に区別することが保証されている。

さらに、有利には、確認信号を矩形信号として、鋸歯信号として、三角信号として、または正弦状信号として予め設定するように設けられている。これによって、ブレーキペダルの操作によって利用者が引き起こし得るような起動信号との確実な区別が与えられている。

さらに、有利には、自律運転システムによる起動中に、動程差の推移が確認信号の推移と対応している場合に、ブレーキペダル操作による起動を認識するように設けられている。経時的に見て動程差の変化が確認信号の変化に対応している場合、または、ほぼ対応している場合、動程差の中に確認信号が認められ、これによってブレーキペダルの操作が推定される。

好ましくは、確認信号として目標体積流、目標速度、目標モータトルク、および／または、目標電流を予め設定する。したがって、確認信号およびその変化を異なる種類および態様で全システム中に取り込むことができる。

請求項６の構成を備えた本発明による装置は、規定通りの使用時に本発明による方法を実施または遂行するように特別に整備された制御器が設けられていることを特徴としている。これによって、すでに述べた利点が得られる。

請求項７の構成を備えた本発明によるブレーキシステムは、本発明による装置が設けられていることを特徴としている。

請求項８の構成を備えた本発明による車両、特に自動車は、本発明によるブレーキシステムが設けられていることを特徴としている。

これによって、すでに述べた利点がそれぞれ得られる。更なる利点、有利な構成要件、および構成要件の組み合わせは、特に前述したことおよび請求項から明らかである。

次に、本発明を図面を用いてより詳細に説明する。

自動車を簡略平面図で示した図である。 自動車のブレーキシステムを作動させるための有利な方法を説明するグラフである。 自動車のブレーキシステムを作動させるための有利な方法を説明するグラフである。

図１は、ブレーキシステム２と自律運転システム３とを有する自動車１を簡略平面図で示している。自律運転システム３は、自動車１を選択した運転目的地に依存して完全自律的に運転目的地へ誘導するために形成されている。その際、運転システム３はオプションで周囲センサ装置４と結合されており、周囲センサ装置は複数の周囲センサ５を有し、たとえば自動車１の周囲の危険潜在性を監視するレーダーセンサ、超音波センサ、またはレーザーセンサを有している。たとえば運転システム３が周囲センサ装置４を用いて、自動車１が対象物に衝突することになるような速度で自動車１が前記対象物または先行車両へ向かって移動していることを検知した場合、運転システム３は、衝突を回避すべく自動車１を減速させるための緊急ブレーキを誘導するようにブレーキシステム２を起動させるために形成されている。

本実施形態では、ブレーキシステム２は電気機械式ブレーキ倍力装置６を有し、電気機械式ブレーキ倍力装置は、車輪ブレーキ７において増大ブレーキ圧または増大ブレーキ力を提供するためにブレーキシステム２内の液圧を増大させるよう電気的に起動可能である。その際、ブレーキ倍力装置６は自動車１のドライバーによるブレーキペダル８の操作に依存して起動される。したがって、ブレーキ倍力装置６はブレーキ力を増大させるためのアクチュエータ９である。

ブレーキ倍力装置６は、さらに、運転システム３と信号技術的に結合されており、その結果運転システム３も、特にすでに前述したような自律制動過程を導入または実施できるようにブレーキ倍力装置６を起動させることができる。このとき、ブレーキ倍力装置６によって生成された液圧は、図１で箱１０によって簡略して図示した１つまたは複数のブレーキ回路に提供される。その際、自動車１の制御器１１は、ブレーキ倍力装置６および運転システム３並びにブレーキペダル８を以下に説明する態様で監視することで、運転システム３による緊急ブレーキの要求を許可する。運転システム３がブレーキ力を増大させるためにアクチュエータ６を起動させることで緊急ブレーキを要求すると、制御器１１は、運転システム３の起動信号に、変化性推移を有する確認信号が重畳されることを保証する。

このため、図２Ａは運転システム３のブレーキ要求信号Ｂ１に対する確認信号ＶＳの推移を簡略化したグラフで示している。確認信号ＶＳは、正弦状の推移を持つ信号として予め設定されている。しかし、択一的に、確認信号の矩形推移、鋸歯推移、または三角形推移も考慮される。確認信号ＶＳは、そのダイナミックスに関し、人間のドライバーによりブレーキペダルの操作によって生じることがないよう作成されている。確認信号は変化によって本来の要求信号に重なって、予め設定された制動値へ至る。その際制動要求量は、電気機械式ブレーキ倍力装置６に対する運転システムの体積流要求量によって変換される。したがって、確認信号ＶＳは体積流要求量Ｖに関係している。

ブレーキペダル８はアクチュエータ９と次のように連結され、すなわちブレーキトルクを増大させる要求があった場合に、予め決められた動程差Ｘが存在している時点から以降、ブレーキペダル８の機械的制止部によってアクチュエータ９のアクチュエータ要素が連動するように連結されている。ここで述べているのは、アクチュエータ要素とブレーキペダルとの間の負の動程差である。正の動程差Ｘが存在していれば、すなわち０よりも上であれば、ドライバーは、ブレーキペダルを操作することにより、自律運転システム３よりも高い圧力を要求し、その結果ドライバーの増圧要求が変換されることになる。動程差Ｘが最小値と０の間の値を示せば、ドライバーがペダルを操作したものの、自律運転システム３が制動の強さを設定していると推定される。図２Ｂは、図２Ａによる体積流要求量に対応して、時間ｔに対する動程差Ｘを示している。

ドライバーによるペダル操作が存在する事例に対しては、動程差（信号）の中に確認信号の特徴的な推移を認めることができる。機械的制止部（Ｘ_ｍａｘ）にまだ達していない限りは、確認信号の変化を要求の中に認めることができ、したがって動程差Ｘの中に認めることができる。このようにして、ブレーキペダルに対するペダル力が小さいときでもドライバーを検知することができる。運転システム３による要求に加えて、確認信号の特徴的な推移を検知することによってブレーキペダル８の操作が動程差Ｘの中に認められるときにはじめて、運転システム３の緊急ブレーキ要求を許可し、実施する。機械的制止部にすでに到達している場合には、特徴的な信号が付加されれば、動程差Ｘは所定値に等しく一定であるにすぎない。この事例では、ドライバーはペダルを操作していない。他のすべての事例では、非一定の動程差Ｘを評価することにより、すなわち不規則な動程差Ｘを評価することにより、ドライバーによるブレーキペダルの操作を推定できることは明らかである。特に、この場合には、図２Ｂで正弦状の重畳線によって示したように、動程差の中に確認信号の正弦状推移が現れる。すなわち、非一定の動程差（信号）から直接、ドライバーの操作を推定することができる。誤った解釈を避けるため、信号のノイズを考慮してフィルタリングするのが好ましい。これにより、図２Ｂで範囲Ｉによって示唆したように、本方法は機械的公差には依存していないので、ブレーキペダル操作認識の適用範囲が増す。

１ 自動車
２ ブレーキシステム
３ 自律運転システム
６ ブレーキ倍力装置
８ ブレーキペダル
９ アクチュエータ
１１ 制御器
ＶＳ 確認信号

Claims (8)

1. 車両のブレーキシステム（２）を作動させるための方法であって、前記ブレーキシステム（２）がブレーキ力を発生させるために起動可能な少なくとも１つの電気アクチュエータ（９）を有し、前記アクチュエータ（９）が自律運転システム（３）により且つ前記車両のブレーキペダル（８）のブレーキペダル操作に依存して起動可能であり、前記アクチュエータ（９）が前記自律運転システム（３）とブレーキペダル操作との双方によって起動されるときに緊急ブレーキ過程を導入するようにした前記方法において、前記自律運転システム（３）による起動に変化性の確認信号（ＶＳ）を重畳させること、前記アクチュエータ（９）のアクチュエータ要素と前記ブレーキペダル（８）との間の動程差を監視すること、前記動程差が変化したときに、前記自律運転システム（３）による起動中にブレーキペダル操作による前記アクチュエータ（９）の起動を認識することを特徴とする方法。
2. 前記確認信号（ＶＳ）を、ブレーキペダル操作の時間的推移とは異なるように予め設定することを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. 前記確認信号（ＶＳ）を矩形信号として、鋸歯信号として、三角信号として、または正弦状信号として予め設定することを特徴とする、請求項１または２に記載の方法。
4. 前記自律運転システム（３）による起動中に、前記動程差の推移が前記確認信号（ＶＳ）の推移と対応している場合に、ブレーキペダル操作による起動を認識することを特徴とする、請求項１～３のいずれか一項に記載の方法。
5. 確認信号（ＶＳ）として目標体積流、目標速度、目標モータトルク、または目標電流を予め設定することを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載の方法。
6. 車両のブレーキシステム（２）を作動させるための装置であって、前記ブレーキシステムがブレーキ力を発生させるための少なくとも１つの電気アクチュエータ（９）と、前記アクチュエータ（９）を自動的に起動させるために形成されている自律運転システムと、前記車両のドライバーによって操作可能な少なくとも１つのブレーキペダル（８）とを有している前記装置において、規定通りの使用時に請求項１～５のいずれか一項に記載の方法を実施するように特別に整備された制御器（１１）が設けられていることを特徴とする装置。
7. ブレーキ力を発生させるために起動可能な電気アクチュエータ（９）と、前記アクチュエータ（９）を起動させるために形成された自律運転システムと、ブレーキペダル（８）とを備えた、車両のためのブレーキシステム（２）において、請求項６に記載の装置が設けられていることを特徴とするブレーキシステム（２）。
8. 請求項７に記載のブレーキシステム（２）を備えた車両。

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