JP7144914B2 - 回転体情報取得システム - Google Patents
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Description
また、例えば、特許文献2には、カッターヘッドに設置された複数個のセンサで検出されたデータを、変換装置によってシリアル通信で本体側の回転接続装置に伝送する構成のデータ転送装置が開示されている。
また、本発明の他の態様によれば、地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、を備え、前記掘削機はシールドマシンであり、前記検出器は、掘進方向の軸力を検出する軸力検出器、温度を検出する温度検出器、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器のうち少なくとも1つを含む。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は、実施形態に係る回転体情報取得システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、回転体情報取得システム1は、検出装置2と、アンテナ装置3と、リーダライタ40と、情報処理装置50と、回転位置検出装置60とを備える。
検出装置2は、n個(nは1以上の自然数)のRFID(Radio Frequency Identification)タグ10_1~10_nと、n個の検出器20_1~20_nとを備え、アンテナ装置3は、m個(mは1以上の自然数)のアンテナ30_1~30_mを備える。なお、「n≧m」の関係となる。
以下、区別する必要が無い場合に、RFIDタグ10_1~10_nを「RFIDタグ10」と称し、検出器20_1~20_nを「検出器20」と称し、アンテナ30_1~30_mを「アンテナ30」と称する。
また、RFIDタグ10は、電気ケーブル10cを介して、生成した駆動電力を検出器20に供給して検出器20を駆動し、駆動した検出器20から検出情報を取得するように構成されている。
アンテナ30としては、例えば、コイル状のループアンテナや、ダイポールアンテナなどが挙げられる。実施形態のアンテナ30は、ダイポールアンテナから構成されている。ここで、ダイポールアンテナは、ループアンテナと比較して、指向性が高く通信距離の長さで有利である。また、実施形態のRFIDタグ10のアンテナもダイポールアンテナから構成する。
即ち、本実施形態のRFIDタグ10は、リーダライタ40からの電波によって動作可能となっている。逆に、RFIDタグ10の近傍にアンテナ30が無い場合は、電波を受信できないため駆動電力を得られず動作できない。
回転位置検出装置60は、回転体に取り付けられる。回転位置検出装置60は、回転体の回転角度(例えば機械角度)を検出する検出器を備えている。具体的に、回転位置検出装置60は、例えば、レゾルバ、ホールセンサ、ロータリーエンコーダー等を含んで構成される。
次に、上記回転体情報取得システム1を回転体側に撹拌翼を備えた泥土圧式のシールドマシンに適用した第1実施形態を説明する。ここで、図2は、第1実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図2では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。また、図3(a)は、図2のA矢視図であり、(b)は、図2のB-B線断面図である。
図2に示すように、第1実施形態に係るシールドマシン100は、掘削機本体110と、掘削機本体110の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド120とを備える。掘削機本体110は、円筒状の外殻部111と、この外殻部111の内側に設けられた、排土装置112と、油圧モータ113とを備えている。
外殻部111は、前方(掘進方向)のカッターヘッド120側の端部に設けられた隔壁部111aと、隔壁部111aの外縁部から前方に突出して設けられた円筒状のフード部111bとを有している。隔壁部111a及びフード部111bとカッターヘッド120の背面部とで囲まれた内側にはチャンバー115が形成されている。隔壁部111aの中央には、回転支軸114の一端部が固定されており、回転支軸114の他端部は、チャンバー115を通じてカッターヘッド120の中央部に軸受を介して取り付けられている。
油圧モータ113は、カッターヘッド120に回転駆動力を付与する油圧式のモータである。油圧モータ113の回転軸は、歯車を介して、カッターヘッド120の回転用の大型の歯車に接続されており、油圧モータ113の回転駆動力により大型の歯車が回転駆動すると、この回転に伴って大型の歯車に接続されたカッターヘッド120が回転支軸114回りに回転する。
また、図2に示すように、油圧モータ113の筐体の、外殻部111内の掘削機本体110側の部分の下部には、リーダライタ40が取り付けられている。また、リーダライタ40は、電気ケーブル40cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。なお、リーダライタ40への電源供給は、第1実施形態では、図示省略するが、電源ケーブルを介して外部の電源装置から供給している。また、アンテナ30_1への電源供給は、電気ケーブル30cを介してリーダライタ40から行われている。
また、カッターヘッド120の回転支軸114との接続部には、回転位置検出装置60が取り付けられている。回転位置検出装置60は、カッターヘッド120の回転位置情報を検出して、検出した回転位置情報を、電気ケーブル60cを介して情報処理装置50に送信する。
次に、シールドマシン100によるトンネル施工手順の一例を説明する。
第1実施形態に係るシールドマシン100は、掘削面(切羽)の土砂をカッターヘッド120で切削し、切削した土砂をチャンバー115内に取り込む。更に、この取り込んだ土砂に対して加泥材を注入して撹拌翼126で練り混ぜて、塑性流動性と不透水性を持つ泥土に変換する。この泥土をチャンバー115と排土装置112の送土管内に充満させ、推進ジャッキの推力により泥土圧を発生させる。この圧力で地下水圧と土圧に対抗し切羽の安定を図る。そして、この安定状態を保ちながら、掘削、排土、掘進、トンネル壁の組立を繰り返し行っていく。隔壁部111aに取り付けた土圧計(図示略)により泥土圧を常時測定し、掘進時は、圧力が「泥土圧=土圧(静止土圧)+水圧」となるように掘進速度とスクリューコンベアの回転速度を制御する。また、トンネル壁の組立は、掘削箇所の崩落を防止するために行われ、シールドマシン100の後部(テール部)にて、図2に示すように、セグメント130をトンネル形状に合わせて筒状に組み立てることで行われる。
次に、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態の一例を説明する。
図4は、RFIDタグ10及びアンテナ30の防護形態の一例を示す図である。また、図5は、検出器20の防護形態の一例を示す図である。
アンテナ30は、図4の右図に示すように、カッターヘッド120の背面と対面する位置に取り付けられている。具体的に、第1実施形態では、撹拌翼126が通るチャンバー115内の他の構成部が何も無い隔壁部111a側の取付箇所に設けられた凹部113dの内側にアンテナ30の全体が配置され、その状態の凹部113d内に固化体70の固化前の材料(例えば、熱硬化性の材料)が充填される。これにより、図4の右図に示すように、アンテナ30は、取付箇所の表面からチャンバー115内へと出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部113dの底部には、ケーブル引き出し用の孔113hが設けられており、この孔113h内を通って電気ケーブル30cがリーダライタ40側へと引き出されている。同様に、カッターヘッド120側(図4の例では撹拌翼126の先端部)に取り付けられたRFIDタグ10も、撹拌翼126の先端部に設けられた凹部126dの内側にRFIDタグ10の全体が配置され、その状態の凹部126d内に固化体70の固化前の材料が充填される。これにより、図4の左図に示すように、RFIDタグ10は、先端部の表面からチャンバー115内へと出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部126dの底部には、ケーブル引き出し用の孔126hが設けられ、この孔126h内を通って電気ケーブル10cが検出器20側へと引き出されている。更に、第1実施形態では、図5に示すように、検出器20も、ビットフレーム123の取付部に設けられた凹部123dの内側に全体が配置され、その状態の凹部123d内に固化体70の固化前の材料が充填される。これにより、図5に示すように、検出部20は、ビットフレーム123の表面から出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部126dの底部には、ケーブル引き込み用の孔123hが設けられ、この孔123h内を通って電気ケーブル10cが検出器20側へと引き込まれている。ここで、固化体70は、水分が少なく且つ電磁波の減衰が少ない物質から構成されている。例えば、エポキシなどの樹脂から構成されている。
次に、情報処理装置50で実行される回転体情報取得処理の処理手順を説明する。
図6は、第1実施形態に係る回転体情報取得処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。ここで、回転体情報取得処理は、所定周期で繰り返し行われる処理である。
情報処理装置50のCPUにて回転体情報取得処理が開始されると、まず、図6に示すように、ステップS100に移行する。
ステップS106では、情報処理装置50において、リーダライタ40からの検出情報及び識別情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
ステップS108に移行した場合は、情報処理装置50において、ステップS106で受信した検出情報を同じく受信した識別情報に対応付けて記憶装置に記憶する。その後、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
次に、第1実施形態に係る回転体情報取得システム1の動作例を説明する。
リーダライタ40、情報処理装置50及び回転位置検出装置60に電源が投入されると、情報処理装置50のCPUにて回転体情報取得処理が実行される。
その後、シールドマシン100による掘削作業が開始されたとする。掘削作業が開始されると油圧モータ113が駆動し、大型の歯車が回転駆動する。これにより、カッターヘッド120が回転して、掘削面の土砂が切削される。
情報処理装置50は、所定周期で回転位置検出装置60からの回転位置情報を取得し(ステップS100)、取得した回転位置情報(機械角情報)と、記憶装置に記憶されたデータテーブルの機械角情報とを比較する(ステップS102)。そして、両者が一致したと判定したときに(ステップS102のYes)、情報取得指示信号をリーダライタ40に送信する(ステップS104)。
一方、RFIDタグ10_1~10_4のうちアンテナ30_1と近接状態にあるいずれか1つは、アンテナ30_1から放射された電波を受信したことに応じて駆動用の電力を生成する。この駆動用電力によって自身の各回路を駆動すると共に、生成した駆動電力を、検出器20_1~20_4のうち自身に接続された検出器20に供給する。
この検出器20は、RFIDタグ10からの駆動電力によって駆動し、自身の有する検出機能に応じた回転体情報を検出する。例えば、温度検出器であれば、回転体情報として温度を検出する。この検出された回転体情報は、電気ケーブル10cを介してRFIDタグ10に送られ、RFIDタグ10にてそのメモリに記憶される。
リーダライタ40は、アンテナ30_1を介して受信した電波から検出情報及び識別情報を抽出し、抽出した検出情報及び識別情報を、電気ケーブル40cを介して情報処理装置50に送信する。
回転体情報取得システム1は、上記一連の動作を繰り返し行うことで、カッターヘッド120のビット摩耗量、掘進方向の軸力、温度等の回転体情報を取得する。
ここで、カッターヘッド120が掘削用の回転体に対応し、シールドマシン100が掘削機に対応し、RFIDタグ10が電波式の無線発信機に対応し、リーダライタ40が無線通信機に対応し、情報処理装置50(ステップS100~S102の処理部)が接近検出部に対応する。
第1実施形態に係る回転体情報取得システム1は、地盤中をカッターヘッド120の回転によって掘削できるシールドマシン100の、カッターヘッド120の状態に係る情報である回転体情報を取得するシステムである。この回転体情報取得システム1は、回転体情報を検出する検出器20がカッターヘッド120に取り付けられ、RFIDタグ10がカッターヘッド120の背面に取り付けられていると共に検出器20に接続されている。加えて、アンテナ30がカッターヘッド120の回転によって移動するRFIDタグ10と近接可能な位置であって且つカッターヘッド120の背面と対向する掘削機本体110の表面位置に取り付けられている。更に、リーダライタ40が、掘削機本体110に取り付けられ、アンテナ30を介してRFIDタグ10から無線送信された回転体情報を受信する。なお更に、情報処理装置50が、リーダライタ40で受信した回転体情報を処理する。
この構成であれば、検出装置2(RFIDタグ10及び検出器20)側に電源が不要となるので、検出装置2のコンパクト化が可能になると共に、定期的なバッテリーの充電やRFIDタグ10の定期交換等の手間を不要とすることが可能となる。
この構成であれば、アンテナ30とRFIDタグ10とが接近したときだけ、アンテナ30から電波を放射すればよいので、アンテナ30から常に電波を放射する構成と比較して消費電力を低減することが可能となる。
この構成であれば、シールドマシン100のカッターヘッド120の掘進方向の軸力、温度、ビット摩耗、ビット回転情報の少なくとも1つを検出することが可能であり、この検出情報を、RFIDタグ10を介して電波によって無線送信することが可能となる。
次に、上記回転体情報取得システム1を、固定翼を備えた泥土圧式のシールドマシンに適用した第2実施形態を説明する。ここで、図7は、第2実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図7では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。また、図8の左図は、図7のC矢視図の一部を示す図であり、図8の右図は、図7のD-D線部分断面図である。
図7に示すように、第2実施形態に係るシールドマシン200は、掘削機本体210と、掘削機本体210の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド220とを備える。掘削機本体210は、円筒状の外殻部211と、この外殻部211の内側に設けられた、排土装置212と、油圧モータ213とを備えている。
外殻部211は、前方(掘進方向)のカッターヘッド220側の端部に設けられた隔壁部211aと、隔壁部211aの外縁部から前方に突出して設けられた円筒状のフード部211bとを有している。隔壁部211aのカッターヘッド220と対向する側の面の中央より下部には、撹拌用の複数の固定翼215が設けられている。また、隔壁部211a及びフード部211bとカッターヘッド220の背面部とで囲まれた内側にはチャンバー216が形成されている。隔壁部111aの中央には、回転支軸214の中央部が固定されており、回転支軸214のカッターヘッド220側の端部は、チャンバー216を通じてカッターヘッド220の中央部に軸受を介して取り付けられている。
排土装置212は、上記第1実施形態の排土装置112と同様の構成を有している。
また、図7及び図8に示すように、固定翼215の先端部に、アンテナ30が取り付けられている。第2実施形態では、アンテナ装置3は、アンテナ30_1及び30_2を含む複数のアンテナから構成されている。
一方、カッターヘッド220は、図7及び図8の左図に示すように、円環状のフレーム部221と、フレーム部221の開口部の中央部に設けられたセンタービット222とを備えている。加えて、センタービット222の外周部からフレーム部221へと等間隔で放射状に伸びる平面視で細長い矩形状の6本のビットフレーム部223A、223B、223C、223D、223E及び223Fを備えている。
なお、図示省略しているが、ビットフレーム部223B及び233Cにも複数の検出器20が取り付けられており、これら近傍の背面側にはRFIDタグ10がそれぞれ取り付けられている。
また、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、RFIDタグ10_1~10_nと、アンテナ30_1~30_mとの取付位置は、カッターヘッド220の回転角度(機械角度)と対応付けられている。従って、第2実施形態に係る回転体情報取得システム1の動作も上記第1実施形態と同様となるので説明を省略する。
第2実施形態に係る回転体情報取得システム1は、上記第1実施形態の回転体情報取得システム1と同等の作用及び効果を奏する。
次に、第2実施形態の変形例1を説明する。ここで、図9は、第2実施形態の変形例1に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図9では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。
本変形例は、上記第2実施形態において、固定翼215の先端部にアンテナ30を取り付けているのに対して、隔壁部211aのカッターヘッド220の背面と対向する側の面に専用の固定台を設け、この固定台上にアンテナ30を取り付けた点が上記第2実施形態と異なる。
以下、上記第2実施形態と同様の構成部については同様の符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
ここで、泥土圧式のシールドマシンは、重力の関係もあって土砂が下側に溜まりやすい。そのため、下側に設けられた固定翼215の先端部にアンテナ30を設けた場合、土砂の影響を受けやすくなり、破損しやすくなる。そこで、本変形例では、土砂の影響を受けにくい上方に専用の固定台240を設け、この固定台240上にアンテナ30を設けるようにした。
第2実施形態の変形例1は、上記第2実施形態の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。
第2実施形態の変形例1に係る回転体情報取得システム1は、アンテナ30を、チャンバー216内の掘削機本体210側の隔壁部211aの上部に設けられた固定台240上に取り付けた。
この構成であれば、アンテナ30が土砂の影響を受けにくくなり、下側の固定翼215に取り付けた場合と比較して、アンテナ30の破損を低減することが可能となる。また、上側は土砂の割合が上へいくほど小さくなって、気泡等の加泥材の割合が大きくなるため、下側の固定翼215にアンテナ30を取り付けた場合と比較して電波の伝搬効率を高めることが可能となる。
次に、第2実施形態の変形例2を説明する。ここで、図10(a)及び(b)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の構成例と、この除去装置とRFIDタグとアンテナとの配置構成の一例とを示す図である。また、図11(a)~(c)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の動作を説明するための模式的な断面図である。
第2実施形態は、アンテナ30を隔壁部211aの表面側の最上部に取り付けた点と、RFIDタグ10をカッターヘッド220の背面側のアンテナ30と対向可能な位置に取り付けた点と、が上記第2実施形態と異なる。加えて、RFID10とアンテナ30との間に介在する介在物を除去する除去装置250を備える点が、上記第2実施形態と異なる。
以下、上記第2実施形態及びその変形例1と同様の構成部については同様の符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
ここで、泥土圧式のシールド工法では、加泥材として、地盤条件に合わせて粘土、高分子材料、気泡などを用いる。本変形例2では、加泥材として、気泡を用いることとする。
即ち、本変形例2に係るシールドマシン200Aは、シールド工法として、気泡シールド工法を用いてトンネルを施工する。
除去装置250は、図10(a)に示すように、シールドマシン200Aのフード部211bの内周側であって且つ隔壁部211aの最上部に設けられている。また、シールドマシン200Aのカッターヘッド220の背面部の外周側端部には、撹拌翼260が設けられている。そして、撹拌翼260の先端部には、上記第1実施形態と同様の埋め込み構成且つ防護形態で複数のRFID10が配置されている。なお、これら複数のRFID10の各々は、図示省略するが、電気ケーブル10cを介して、各検出位置に取り付けられた検出部20と接続されている。
ブラシ252は、例えば、ナイロン等の化学繊維から構成されており、ブラシ先端が撹拌翼260の先端部に接触可能な状態で取り付けられている。
これにより、ブラシ252の後に対向するアンテナ30と撹拌翼260の先端部との間には、図11(c)に示すように、気泡500や泥土501などの介在物が介在しない又は低減した状態となる。その結果、アンテナ30とRFID10_1~10_3との間に介在物が存在しない又は低減した状態で電波通信を行うことが可能となる。
第2実施形態の変形例2は、上記第2実施形態及びその変形例1の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。
第2実施形態の変形例2に係る回転体情報取得システム1Aは、泥土圧式のシールドマシンに適用され、RFIDタグ10が、カッターヘッド220の背面側であって且つカッターヘッド220の回転によって掘削機本体210側の上部に取り付けられたアンテナ30と対向可能な位置に取り付けられている。掘削機本体210側の上部のアンテナ30とは異なる位置であって且つカッターヘッド220の回転によってRFIDタグ10と対向可能な位置に取り付けられた、少なくとも自身とRFIDタグ10との間に介在する介在物(変形例2では気泡500及び泥土501)を除去する除去装置250を備える。
この構成であれば、アンテナ30とRFIDタグ10との間で電波通信を行う際に、両者間に介在する気泡500や泥土501などの介在物を事前に除去することが可能となる。これにより、除去しない場合と比較して、アンテナ30とRFIDタグ10との電波の伝搬効率を向上することが可能となる。
次に、上記回転体情報取得システム1をトンネルボーリングマシン(TBM)に適用した第3実施形態を説明する。ここで、図12は、第3実施形態に係るTBMの内部を側面方向からみた略式構成図である。図12では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。また、図13(a)は、図12のE矢視図であり、(b)は、図12のF-F線断面図である。
図12に示すように、第3実施形態に係るTBM300は、掘削機本体310と、掘削機本体310の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド320とを備える。掘削機本体310は、円筒状の外殻部311と、この外殻部311の内側に設けられた、排土装置312と、油圧モータ313とを備えている。
排土装置312は、例えば、スクリューコンベア等から構成されており、カッターヘッド320で切削した岩盤のずりを、地上へと搬送するための装置である。
また、図12及び図13(b)に示すように、油圧モータ313のカッターヘッド320側の端部にアンテナ30_1が取り付けられ、排土装置312の排土管のカッターヘッド320側の端部にアンテナ30_2が取り付けられている。即ち、第3実施形態では、アンテナ装置3は、アンテナ30_1及び30_2から構成されている。
また、カッターヘッド320には、図示省略するが、前面と後面との間を貫通する開口部が形成されている。岩盤の掘削により生じたずりは、カッターヘッド320の開口部を通じて内部に送られるようになっている。
また、図12に示すように、カッターヘッド320の背面部の各検出器20_1~20_19の背面側の位置に、RFIDタグ10_1~10_19が取り付けられている。具体的に、検出器20_iの背面側にRFIDタグ10_iが取り付けられている。
ここで、トンネルの施工手順は、掘削対象が岩盤となるため泥土圧等を考慮しなくて済む点が上記第1実施形態とは異なるが、掘削、掘削ずりの搬送、掘進、トンネル壁の組立といった大まかな手順は、上記第1実施形態と同様となる。また、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態は、上記第1実施形態と同様となっており、これらの露出部分の全体が固化体70によって被覆されている。
第3実施形態に係る回転体情報取得システム1は、上記第1実施形態の回転体情報取得システム1と同等の作用及び効果を奏する。
なお、上記第1及び第2実施形態では、泥土圧式のシールドマシンに本発明に係る回転体情報取得システム1を適用したが、この構成に限らない。例えば、泥水圧式のシールドマシンなどの他の方式のシールドマシンに本発明を適用してもよい。泥水圧式のシールドマシンの場合は、上記第1実施形態の撹拌翼126や、上記第2実施形態の固定翼215が無いため、上記第2実施形態の変形例と同様に固定台や取付台を設ける構成とする。そして、この固定台や取付台にアンテナ30を取り付ける。
また、上記第2実施形態の変形例2では、介在物の除去にブラシ252を用いる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、高圧水を噴射して介在物を除去する構成や、高圧水とブラシとを併用する構成など他の除去手段を有する構成としてもよい。
また、上記第2実施形態の各変形例では、泥土圧式のシールドマシンにおいて、アンテナ30をチャンバー内の上側に配置する構成とした。また、変形例2では、RFIDタグ10を、カッターヘッド220の背面部の外周側の端部(アンテナ30と対向可能な位置)に配置する構成とした。これらの構成は、泥土圧式のシールドマシンに限らず、上記第3実施形態のTBMに適用してもよい。
また、上記各実施形態では、1台のRFIDタグ10に1台の検出器20を接続する構成としたが、この構成に限らない。例えば、図14の回転体情報取得システム1Bに示すように、1台のRFIDタグ10に2台の検出器20を接続する構成とするなど、1台のRFIDタグ10に複数台の検出器20を接続する構成としてもよい。
また、上記第2実施形態の変形例では、固定台240の形状を台形四角柱形状としたが、この構成に限らない、アンテナ30を取り付け可能であれば、円錐台形状等の他の形状としてもよい。
また、上記各実施形態では、RFIDタグ10とアンテナ30との接近を検出して、両者が接近したと判定したときにアンテナ30から給電読出用電波を放射する構成としたが、この構成に限らない。例えば、アンテナ30から給電読出用電波を常に又は短い周期で連続的又は断続的に放射し、RFIDタグ10が近づいたらいつでも通信を行える構成としてもよい。この構成とした場合は、接近を検出する必要が無くなるため、回転位置検出装置60を不要とすることが可能となる。
また、上記各実施形態では、シールドマシン又はTBMに本発明を適用したが、この構成に限らず、同様の構成の掘削機であれば他の種類の掘削機に本発明を適用してもよい。
2 検出装置
3 アンテナ装置
4 読み取り装置
10 RFIDタグ
20 検出器
30 アンテナ
40 リーダライタ
50 情報処理装置
60 回転位置検出装置
70 固化体
100、100A、200 シールドマシン
110、210、310 掘削機本体
111、211、311 外殻部
111a、211a 隔壁部
112、212、312 排土装置
113、213、313 油圧モータ
114、214 回転支軸
115、216 チャンバー
120、220、320 カッターヘッド
121、221、321 フレーム部
122、222、323 センタービット
123、223 ビットフレーム
124、224 ビット
126 撹拌翼
215 固定翼
240 固定台
300 TBM
322 ディスクビット
Claims (5)
- 地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、
前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、
前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、
前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、
前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、
前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、
前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、
前記回転体の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられた前記無線発信機と前記アンテナとの接近を検出する接近検出部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記接近検出部で前記接近を検出したときに、前記無線通信機に、給電用の電波を送信させると共に、この電波の送信に応じて前記無線発信機から送信された前記回転体情報を受信させる制御を行う回転体情報取得システム。 - 地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、
前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、
前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、
前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、
前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、
前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、
前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、を備え、
前記掘削機はシールドマシンであり、
前記検出器は、掘進方向の軸力を検出する軸力検出器、温度を検出する温度検出器、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器のうち少なくとも1つを含む回転体情報取得システム。 - 前記回転体の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられた前記無線発信機と前記アンテナとの接近を検出する接近検出部を更に備え、
前記情報処理装置は、前記接近検出部で前記接近を検出したときに、前記無線通信機に、給電用の電波を送信させると共に、この電波の送信に応じて前記無線発信機から送信された前記回転体情報を受信させる制御を行う請求項2に記載の回転体情報取得システム。 - 前記アンテナは、チャンバー内の前記本体側の上部に取り付けられている請求項2又は3に記載の回転体情報取得システム。
- 前記シールドマシンは、泥土圧式のシールドマシンであり、
前記無線発信機は、前記回転体の背面側であって且つ前記回転体の回転によって前記本体側の上部に取り付けられた前記アンテナと対向可能な位置に取り付けられており、
前記本体側の上部の前記アンテナとは異なる位置であって且つ前記回転体の回転によって前記無線発信機と対向可能な位置に取り付けられた、少なくとも自身と前記無線発信機との間に介在する介在物を除去する除去装置を備える請求項4に記載の回転体情報取得システム。
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