したがって、式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物の調製のための前述の方法が、本発明の対象である。
本発明による方法は、先行技術の方法の一連の利点を伴い、欠点を克服する。
本発明の方法は、アルカリ金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)又はアミド(例えばナトリウムアミド)などの危険な物質を利用せず、こうして、効率及び操作の容易さを維持しながら、有害反応条件の存在、並びに安全対策及び設備に対する必要性を最小限に抑える。
特に、驚くべきことに、触媒量のみのルビジウム及び/又はセシウム塩類の使用が、塩基及び有機溶媒の存在下における(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(I)の調製のための、(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)の、2-メチルベンジル化合物(III)との反応を効果的に触媒することができることを見出した。(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)などのアルコールの酸性度が、例えばフェノール類と比較してはるかに低く、このため、それらは求核置換反応にあまり適さないという事実を考慮すると、このことは、実に驚異的な結果である。この点について、フェノール類と比較して第二級アルコール(II)の立体障害が大きく、このため、通常、所定の求電子試薬を用いたベンジル化反応へのそれらのアクセスが低下することも考慮しなければならない。
さらに、本発明の方法が、非極性溶媒、例えば脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばn-ヘプタン又はトルエン中で効果的に実施できることは特に驚くべきことである。イオンペアリングは、イオンの求核性を低減する傾向があるため、双極性非プロトン性溶媒(例えばジメチルホルムアミド)などの比較的高い比誘電率を有する溶媒のみが、触媒としてのセシウム塩類(例えば炭酸セシウム)の使用を伴う求核置換反応に適しているとこれまで考えられている。
本発明の方法は、以下を含む従来技術の方法に勝るいくつかのさらなる利点を提供する: (1)反応器の内壁及び様々な他の部分、例えばバッフル又は撹拌機上の、塩の凝集及び多量の堆積(本明細書において「ファウリング(fouling)」とも呼ばれる)を回避することができる(これは、さもなくば、変換率を減少させ、大規模では大きな困難をもたらすであろう)。例えば、反応器の内壁及び他の部分上に蓄積する塩の激しい凝集は、反応器中の適切な熱伝達、熱除去、及び撹拌を妨げる可能性がある。このような反応器のファウリングは、本発明の方法では事実上起こらない。反応中に形成された塩は、細かく分割された粒子として反応媒体に懸濁されるためである。(2)本発明で使用される不活性有機溶媒S1は、容易に回収及びリサイクルすることができ、これは経済的で持続可能な方法をもたらす。(3)副産物の形成を回避することができる。(4)より高収率の所望の式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物を得ることができ、これは、ルビジウム及び/又はセシウム塩類の触媒効果に起因する、より高い空時収率を意味する。
したがって、本発明の方法は、式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物の調製が、なめらかな且つ制御された様式で進行することを可能にし、これは、非常に安全で、工業的に簡単で、経済的で、環境にやさしく、商業的に実現可能である。
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲、説明及び実施例から明らかである。本明細書に記載の本発明の対象の単一の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、各特定の場合に与えられる組み合わせだけでなく、他の組み合わせにおいても適用できることを理解すべきである。
本発明による出発材料は、市販されているか、又は公知の方法で調製することができる公知の化合物である。
例えば、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物は、EP 0 081 893 A2(実施例15を参照)、US 4,487,945(実施形態1及び45を参照)、US 4,542,244(実施形態1及び217を参照)及びUS 4,670,041(実施形態1及び217を参照)に記載される方法のいずれかによって又は類似の方法で調製することができる。
式(III)の2-メチルベンジル化合物において、置換基Xは脱離基である。用語「脱離基」は、本明細書で使用される場合、分子が(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物との求核置換反応に参加することができるように、ヘテロリティック結合開裂において電子対と共に分子を離れる任意の基を指す。
好ましい脱離基Xは、ハロゲン、酸素結合脱離基、式(IV)
-N(R1)(R2)(R3)+ Y- (IV)
[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキル、C3~C10-シクロアルキル及びC6~C20-アリールから選択され、Y-は、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、C1~C4-アルキルスルホネートイオン及びC6~C20-アリールスルホネートイオンから選択される]のアンモニウム基から選択される。
特定の可変要素(すなわちR1、R2及びR3)、スルホネート(すなわちC1~C4-アルキルスルホネート、C1~C4-ハロアルキルスルホネート、C6~C20-アリールスルホネート及びC3~C10-シクロアルキルスルホネート)及び相間移動触媒(すなわちテトラ-n-C1~C4-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-C1~C8-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、及びテトラ-n-C1~C12-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド)の定義において言及される有機部分は、ハロゲンという用語のように、個々のグループメンバーの個々の列挙についての集合的用語である。用語「ハロゲン」は、それぞれの場合に、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。全ての炭化水素鎖、例えばアルキル鎖は、直鎖でも又は分岐鎖でもよく、前につける記号Cn~Cmは、それぞれの場合に、グループにおける炭素原子の可能な数を示す。そのような意味の例は、次のとおりである:
- C1~C4-アルキル: 例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル(-CH(CH3)2)、n-ブチル、sec-ブチル(-CH(CH3)-C2H5)、イソブチル(-CH2-CH(CH3)2)又はtert-ブチル(-C(CH3)3);
- C1~C6-アルキル: 上記のC1~C4-アルキル、及びまた、例えば、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル又は1-エチル-2-メチルプロピル;
- C1~C8-アルキル: 上記のC1~C6-アルキル、及びまた、例えば、n-ヘプチル、n-オクチル又は2-エチルヘキシル;
- C1~C12-アルキル: 上記のC1~C8-アルキル、及びまた、例えば、n-ノニル、イソ-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル又はn-ドデシル;
- C1~C4-ハロアルキル: フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的又は完全に置換されている上記のC1~C4-アルキル、すなわち例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2-ヨードエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2,3-ジフルオロプロピル、2-クロロプロピル、3-クロロプロピル、2,3-ジクロロプロピル、2-ブロモプロピル、3-ブロモプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,3-トリクロロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1-(フルオロメチル)-2-フルオロエチル、1-(クロロメチル)-2-クロロエチル、1-(ブロモメチル)-2-ブロモエチル、4-フルオロブチル、4-クロロブチル、4-ブロモブチル、ノナフルオロブチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル又は1-トリフルオロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチル; 及び
- C3~C10-シクロアルキル: 例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシル。
用語「C6~C20-アリール」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの環が芳香族である(例えばナフタレニル又はジヒドロフェナントレニル)、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合(融合)環を有する6~20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を指す。C6~C20-アリールの例としては、フェニル、p-トルエニル、1-ナフタレニル(1-ナフチル)、2-ナフタレニル(2-ナフチル)、アントラセニル、インデニル又はフェナントレニルが挙げられる。好ましいアリール基は、フェニルである。
用語「ハロゲン化物イオン」は、本明細書で使用される場合、例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンを指す。
好ましい酸素結合脱離基は、C1~C4-アルキルスルホネート、C1~C4-ハロアルキルスルホネート、C6~C20-アリールスルホネート、C3~C10-シクロアルキルスルホネート及びイミダゾリルスルホネート(イミダジレート(imidazylate))から、より好ましくはC1~C4-アルキルスルホネート、C1~C4-ハロアルキルスルホネート及びC6~C20-アリールスルホネートから、さらにより好ましくはC1~C4-アルキルスルホネート及びC6~C20-アリールスルホネートから選択される。
C1~C4-アルキルスルホネートの例としては、以下に限定されないが、メシレート(メタンスルホネート)、エシレート(エタンスルホネート)、n-プロピルスルホネート、イソ-プロピルスルホネート、n-ブチルスルホネート、イソ-ブチルスルホネート、sec-ブチルスルホネート及びtert-ブチルスルホネートが挙げられる。
C1~C4-ハロアルキルスルホネートの例としては、以下に限定されないが、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)及びトリクロロメタンスルホネートが挙げられる。
C6~C20-アリールスルホネートの例としては、以下に限定されないが、トシレート(p-トルエンスルホネート)、ベシレート(ベンゼンスルホネート)及び2-ナフチルスルホネートが挙げられる。
C3~C10-シクロアルキルスルホネートの例としては、以下に限定されないが、シクロヘキシルスルホネートが挙げられる。
好ましくは、酸素結合脱離基は、メシレート(メタンスルホネート)、エシレート(エタンスルホネート)、n-プロピルスルホネート、イソ-プロピルスルホネート、n-ブチルスルホネート、イソ-ブチルスルホネート、sec-ブチルスルホネート、tert-ブチルスルホネート、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、トリクロロメタンスルホネート、トシレート(p-トルエンスルホネート)、ベシレート(ベンゼンスルホネート)、2-ナフチルスルホネート、シクロヘキシルスルホネート及びイミダゾリルスルホネート(イミダジレート)から、より好ましくはメシレート、エシレート、トリフレート、トシレート及びベシレートから、さらにより好ましくはメシレート及びトシレートから選択される。
別の好ましい実施形態では、脱離基Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート、C6~C20-アリールスルホネート及び式(IV)
-N(R1)(R2)(R3)+ Y- (IV)
[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキルから選択され、Y-は、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、C1~C4-アルキルスルホネートイオン及びC6~C20-アリールスルホネートイオンから選択される]のアンモニウム基から選択される。
より好ましくは、脱離基Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート、C6~C20-アリールスルホネート及び式(IV)[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキルから選択され、Y-は、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、メシレートイオン及びトシレートイオンから選択される]のアンモニウム基から選択される。
さらにより好ましくは、脱離基Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート、C6~C20-アリールスルホネート及び式(IV)[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキルから選択され、Y-は、ハロゲン化物イオン(好ましくは塩化物イオン)から選択される]のアンモニウム基から選択される。
なおより好ましくは、脱離基Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メシレート、トシレート、式(IVa)
-N(CH3)3
+Cl- (IVa)
のトリメチルアンモニウムクロリド基、及び式(IVb)
-N(CH2CH3)3
+Cl- (IVb)
のトリエチルアンモニウムクロリド基から選択される。
一層より好ましくは、脱離基Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メシレート、トシレート及び式(IVa)のトリメチルアンモニウムクロリド基から選択される。
なおさらにより好ましくは、脱離基Xは、塩素、メシレート、トシレート及び式(IVa)のトリメチルアンモニウムクロリド基から選択される。
別の好ましい実施形態では、脱離基Xは、ハロゲンから、特に塩素、臭素及びヨウ素から選択される。最も好ましくは、脱離基Xは、塩素である。
なお別の実施形態では、式(III)の2-メチルベンジル化合物は、
- 式(IIIa)
の2-メチルベンジルクロリド(1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン)、
- 式(IIIb)
の2-メチルベンジルブロミド(1-(ブロモメチル)-2-メチル-ベンゼン)、
- 式(IIIc)
の2-メチルベンジルヨージド(1-(ヨードメチル)-2-メチル-ベンゼン)、
- 式(IIId)
の2-メチルベンジルメシレート((2-メチルフェニル)メチルメタンスルホネート)、
- 式(IIIe)
の2-メチルベンジルトシレート((2-メチルフェニル)メチル4-メチルベンゼンスルホネート)、
- 式(IIIf)
のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド、及び
- 式(IIIg)
のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリドからなる群から選択される。
最も好ましくは、式(III)の2-メチルベンジル化合物は、式(IIIa)の2-メチルベンジルクロリド(1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン)である。
本発明の方法において出発材料として使用される式(III)の2-メチルベンジル化合物は、市販されているか、又は当技術分野で公知の方法若しくは類似の方法で調製することができる。
例えば、式(III)[式中、Xは、ハロゲンである]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIa)の2-メチルベンジルクロリド)は、Synthetic Communications, Volume 33, Issue 7, pages 1103-1107, 2003に記載される方法又は類似の方法で調製してもよい。
例えば、式(III)[式中、Xは、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネートである]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIId)の2-メチルベンジルメシレート又は式(IIIe)の2-メチルベンジルトシレート)は、Energy & Fuels, 21(3), pages 1695-1698, 2007又はPhosphorus, Sulfur and Silicon and the Related Elements, 184(5), pages 1161-1174, 2009に記載される方法によって調製してもよい。
式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)は、Organic Syntheses, Coll. Vol. 4, p.98 (1963); Vol. 38, p.5 (1958)に記載される方法に類似した方法によって調製してもよい。例えば、式(III)[式中、Xは、ハロゲン(好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、より好ましくは塩素)、C1~C4-アルキルスルホネート(好ましくはメシレート)又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはトシレート)から選択される]の2-メチルベンジル化合物を、式NR1R2R3[式中、R1、R2及びR3は、式(IV)におけるものと同じ意味を有する(好ましくは式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキル及びC6~C20-アリール、より好ましくはC1~C6-アルキル、さらにより好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルから選択される)]の第三級アミンと、適切な溶媒、例えば無水エタノール中で反応させる。
式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)は、別々に反応混合物に添加することができる(すなわち単離された物質として又は任意の適切な溶媒の溶液中で)か、又はin-situで反応混合物中で形成させることができる。
式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)のin-situ形成が望ましい場合、本発明の方法は、式NR1R2R3[式中、R1、R2及びR3は、式(IV)におけるものと同じ意味を有する(好ましくは式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキル及びC6~C20-アリール、より好ましくはC1~C6-アルキル、さらにより好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルから選択される)]の少なくとも1つの第三級アミンの存在下で実施される。
式NR1R2R3の適切な第三級アミンの例は、トリ-(C1~C6)-アルキルアミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン; ジ-(C1~C6)-アルキル-フェニルアミン、例えばN,N-ジメチルアニリン及びN,N-ジエチルアニリンなどである。
好ましくは、式NR1R2R3[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、C1~C6-アルキル、より好ましくはC1~C4-アルキル、特にメチル又はエチル、最も好ましくはメチルである]の第三級アミンが使用される。
したがって、とりわけ好ましい実施形態では、式NR1R2R3の第三級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン又はそれらの組み合わせから選択される。最も好ましくは、式NR1R2R3の第三級アミンは、トリメチルアミンである。
特に、式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)は、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物を、式NR1R2R3[式中、R1、R2及びR3は、式(IV)におけるものと同じ意味を有する(好ましくは式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキル及びC6~C20-アリール、より好ましくはC1~C6-アルキル、さらにより好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルから選択される)]の第三級アミンと、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物、本明細書に定義される塩基、本明細書に定義される触媒及び本明細書に定義される不活性有機溶媒S1を含む反応混合物中で反応させることによって、in-situで形成させてもよい。
より具体的には、式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)のin-situ形成は、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物、本明細書に定義される塩基、本明細書に定義される触媒、本明細書に定義される不活性有機溶媒S1及び本明細書に定義される式NR1R2R3の第三級アミンを、反応器中に入れ、第1の混合物を得て、前記第1の混合物を加熱し、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物を第1の混合物に計量して添加し、反応混合物を得ることによって、達成することができる。
第三級アミンNR1R2R3は、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物中の脱離基Xを置き換えて、それぞれのアンモニウム塩、すなわち式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)を形成することが予想される。in-situで形成されたアンモニウム塩は、すぐに、反応混合物中に存在する式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物の塩と反応する。このベンジル化の間、第三級アミンは、再び放出され、こうして、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物の求核置換を再開始するために利用可能である。
式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物の前述のin-situ形成は、以下の反応スキーム中にさらに説明される。
したがって、ベンジル化反応を中断することなく、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物と比べて、わずか準化学量論的量又はさらには触媒量の第三級アミンNR1R2R3が必要であるため、本発明による方法のこの変形は、特に有利である。さらに、式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物のイオン性質に起因する、より高い求電子性は、求電子試薬として、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネートから選択される]の2-メチルベンジル化合物を直接使用することと比較して、反応の加速をもたらす。さらに、反応媒体が、液相及び固相を含む不均一混合物を形成することを考慮すると、式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物の両親媒性の特徴も有益である。
式(III)の2-メチルベンジル化合物(特に式(IIIa)の2-メチルベンジルクロリド)の、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか1つ又はそれらの任意の非ラセミ混合物、特に式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンとのモル比は、大きく変動することができ、用いられる2-メチルベンジル化合物(III)の性質及び使用される反応条件に依存するが、一般に、3:1~0.9:1、好ましくは2:1~0.9:1、より好ましくは1.5:1~0.9:1、さらにより好ましくは1.1:1~0.9:1である。
別の実施形態では、本発明の方法は、水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の組み合わせから選択される溶媒S2を反応条件下で形成することができる少なくとも1つの塩基の存在下で実施される。
C1~C4-アルキルアルコールの例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール(プロパン-2-オール)、n-ブタノール、sec-ブタノール(ブタン-2-オール)、イソ-ブタノール(2-メチル-1-プロパノール)又はtert-ブタノール(2-メチル-2-プロパノール)、好ましくはメタノール、エタノール、イソ-プロパノール又はtert-ブタノール、より好ましくはメタノールが挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ(より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)から選択される溶媒S2を反応条件下で形成することができる少なくとも1つの塩基の存在下で実施される。
特に、本発明で使用される塩基は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属C1~C4アルコレート、及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属C1~C4アルコレート、及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属C1~C4アルコレート及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属C1~C4アルコレート及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくはアルカリ金属水酸化物から選択される。
用語「アルカリ金属」は、本明細書で使用される場合、例えばリチウム、ナトリウム及びカリウムを含む。
用語「アルカリ土類金属」は、本明細書で使用される場合、例えばカルシウム、マグネシウム及びバリウムを含む。
別の実施形態では、塩基は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属C1~C4アルコレート、及びそれらの任意の組み合わせから、好ましくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属C1~C4アルコレート、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、各アルカリ金属は、独立して、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択され、各アルカリ土類金属は、独立して、カルシウム、マグネシウム及びバリウムから選択される。
なお別の実施形態では、塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属C1~C4アルコレート及びそれらの任意の組み合わせから、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属C1~C4アルコレート及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはアルカリ金属水酸化物から選択され、各アルカリ金属は、独立して、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択される。
アルカリ金属水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを使用することができる。
アルカリ土類金属水酸化物として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又は水酸化バリウムを使用することができる。
アルカリ金属炭酸塩として、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを使用することができる。
アルカリ土類金属炭酸塩として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム又は炭酸バリウムを使用することができる。
アルカリ金属炭酸水素塩として、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム使用することができる。
アルカリ土類金属炭酸水素塩として、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム又は炭酸水素バリウムを使用することができる。
アルカリ金属酸化物として、酸化リチウム、酸化ナトリウム又は酸化カリウムを使用することができる。
アルカリ土類金属酸化物として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム又は酸化バリウムを使用することができる。
アルカリ金属C1~C4アルコレートとして、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムn-プロポキシド、ナトリウムn-プロポキシド、カリウムn-プロポキシド、リチウムイソ-プロポキシド、ナトリウムイソ-プロポキシド、カリウムイソ-プロポキシド、リチウムn-ブトキシド、ナトリウムn-ブトキシド、カリウムn-ブトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はカリウムtert-ブトキシドを使用することができる。
アルカリ土類金属C1~C4アルコレートとして、マグネシウムジメトキシド、カルシウムジメトキシド、バリウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、カルシウムジエトキシド、バリウムジエトキシド、マグネシウムジ-n-プロポキシド、カルシウムジ-n-プロポキシド、バリウムジ-n-プロポキシド、マグネシウムジ-イソ-プロポキシド、カルシウムジ-イソ-プロポキシド、バリウムジ-イソ-プロポキシド、マグネシウムジ-n-ブトキシド、カルシウムジ-n-ブトキシド、バリウムジ-n-ブトキシド、マグネシウムジ-tert-ブトキシド、カルシウムジ-tert-ブトキシド又はバリウムジ-tert-ブトキシドを使用することができる。
好ましい実施形態では、本発明で使用される塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムn-プロポキシド、ナトリウムn-プロポキシド、カリウムn-プロポキシド、リチウムイソ-プロポキシド、ナトリウムイソ-プロポキシド、カリウムイソ-プロポキシド、リチウムn-ブトキシド、ナトリウムn-ブトキシド、カリウムn-ブトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド、マグネシウムジメトキシド、カルシウムジメトキシド、バリウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、カルシウムジエトキシド、バリウムジエトキシド、マグネシウムジ-n-プロポキシド、カルシウムジ-n-プロポキシド、バリウムジ-n-プロポキシド、マグネシウムジ-イソ-プロポキシド、カルシウムジ-イソ-プロポキシド、バリウムジ-イソ-プロポキシド、マグネシウムジ-n-ブトキシド、カルシウムジ-n-ブトキシド、バリウムジ-n-ブトキシド、マグネシウムジ-tert-ブトキシド、カルシウムジ-tert-ブトキシド、バリウムジ-tert-ブトキシド及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、マグネシウムジメトキシド、カルシウムジメトキシド、バリウムジメトキシド及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド及びそれらの任意の組み合わせから、なおさらにより好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの組み合わせから選択される。最も好ましくは、本発明で使用される塩基は、水酸化ナトリウムである。
別の実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
塩基の、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか1つ又はそれらの任意の非ラセミ混合物、特に式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンとのモル比は、大きく変動することができ、使用される反応条件に依存するが、一般に、1:1~5:1、好ましくは1:1~3:1、より好ましくは1:1~2:1、さらにより好ましくは1:1~1.5:1である。
本発明で使用される塩基は、固体形態において、水溶液として、又はそれらの組み合わせとして反応混合物に添加することができる。
用語「固体形態」は、本明細書で使用される場合、以下に限定されないが、粉末、錠剤、ペレット、フレーク、顆粒又はミクロパール(micropearl)を含む。
水溶液中の塩基の濃度は、変動することができ、使用される塩基の性質及び反応条件に依存するが、一般に、水溶液の重量に基づいて、5~50重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは30~50重量%の塩基である。
アルカリ金属水酸化物から(好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの組み合わせ、最も好ましくは水酸化ナトリウムから)選択される塩基は、好ましくは、固体形態において反応混合物に添加される。アルカリ金属水酸化物の固体形態として、ペレット、フレーク、顆粒又はミクロパール、好ましくはミクロパールを使用することができる。アルカリ金属水酸化物の前述の固体形態は、様々な供給業者から市販されている。好ましい実施形態では、本発明の方法は、塩基としての水酸化ナトリウムミクロパールの存在下で実施される。したがって、本発明で使用される塩基は、好ましくは水酸化ナトリウムミクロパールを含み、より好ましくは水酸化ナトリウムミクロパールからなる。
別の実施形態では、アルカリ金属水酸化物から(好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの組み合わせ、最も好ましくは水酸化ナトリウムから)選択される塩基はまた、水溶液として反応混合物に添加してもよい。好ましくは、アルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、より好ましくは水酸化ナトリウム)の水溶液は、水溶液の重量に基づいて、10~50重量%、より好ましくは25~50重量%、さらにより好ましくは35~50重量%のアルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、より好ましくは水酸化ナトリウム)を含む。アルカリ金属水酸化物(好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、より好ましくは水酸化ナトリウム)の水溶液は、公知の方法によって提供することができるが、いくつかの異なる濃度で市販されてもいる。
本発明の方法は、ルビジウム塩類、セシウム塩類及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの触媒の存在下で行われる。
一実施形態では、触媒は、ルビジウム塩類から選択される。
別の実施形態では、触媒は、セシウム塩類から選択される。
好ましくは、触媒は、無機酸のルビジウム及びセシウム塩類、有機酸のルビジウム及びセシウム塩類、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
一実施形態では、触媒は、無機酸のルビジウム塩類、有機酸のルビジウム塩類、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
別の実施形態では、触媒は、無機酸のセシウム塩類、有機酸のセシウム塩類、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
より好ましくは、触媒は、無機酸のルビジウム及びセシウム塩類から選択される。
一実施形態では、触媒は、無機酸のルビジウム塩類から選択される。
別の実施形態では、触媒は、無機酸のセシウム塩類から選択される。
用語「無機酸の塩類」は、本明細書で使用される場合、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩類、硫酸塩類、硝酸塩、リン酸塩類、酸化物及び水酸化物を含む。
用語「ハロゲン化物」は、本明細書で使用される場合、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物を含む。
用語「炭酸塩類」は、本明細書で使用される場合、例えば、炭酸塩(CO3
2-)及び炭酸水素塩(HCO3
-)を含む。
用語「硫酸塩類」は、本明細書で使用される場合、例えば、硫酸塩(SO4
2-)及び硫酸水素塩(HSO4
-)を含む。
用語「リン酸塩類」は、本明細書で使用される場合、例えば、リン酸塩(PO4
3-)、リン酸水素塩(HPO4
2-)及びリン酸二水素塩(H2PO4
-)を含む。
用語「有機酸の塩類」は、本明細書で使用される場合、例えば、カルボキシレート、アルコレート及びスルホネートを含む。
用語「カルボキシレート」は、本明細書で使用される場合、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩及びクエン酸塩を含む。
用語「アルコレート」は、触媒の定義において本明細書で使用される場合、例えば、C1~C4アルコレート、例えばメトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、イソ-プロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド及びtert-ブトキシドを含む。
用語「スルホネート」は、触媒の定義において本明細書で使用される場合、例えば、C1~C4-アルキルスルホネート、例えばメシレート(メタンスルホネート)、エシレート(エタンスルホネート)、n-プロピルスルホネート、イソ-プロピルスルホネート、n-ブチルスルホネート、イソ-ブチルスルホネート、sec-ブチルスルホネート及びtert-ブチルスルホネート、C1~C4-ハロアルキルスルホネート、例えばトリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)及びトリクロロメタンスルホネート、並びにC6~C20-アリールスルホネート、例えばトシレート(パラ-トルエンスルホネート)、ベシレート(ベンゼンスルホネート)及び2-ナフチルスルホネート、特にメタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート及びパラ-トルエンスルホネートを含む。
別の好ましい実施形態では、触媒は、ルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム硫酸塩類、ルビジウム及びセシウム硝酸塩、ルビジウム及びセシウムリン酸塩類、ルビジウム及びセシウム酸化物、ルビジウム及びセシウム水酸化物、ルビジウム及びセシウムカルボキシレート、ルビジウム及びセシウムC1~C4アルコレート、ルビジウム及びセシウムスルホネート、及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム硫酸塩類、ルビジウム及びセシウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくはルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくはルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウム及びセシウムハロゲン化物から選択される。
一実施形態では、触媒は、ルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類、ルビジウム硫酸塩類、ルビジウム硝酸塩、ルビジウムリン酸塩類、ルビジウム酸化物、ルビジウム水酸化物、ルビジウムカルボキシレート、ルビジウムC1~C4アルコレート、ルビジウムスルホネート及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類、ルビジウム硫酸塩類、ルビジウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくはルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類、ルビジウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくはルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウムハロゲン化物から選択される。
別の実施形態では、触媒は、セシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類、セシウム硫酸塩類、セシウム硝酸塩、セシウムリン酸塩類、セシウム酸化物、セシウム水酸化物、セシウムカルボキシレート、セシウムC1~C4アルコレート、セシウムスルホネート及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはセシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類、セシウム硫酸塩類、セシウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくはセシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類、セシウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくはセシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にセシウムハロゲン化物から選択される。
より好ましい実施形態では、触媒は、フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、硫酸ルビジウム、硫酸水素ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸水素セシウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、リン酸ルビジウム、リン酸水素ルビジウム、リン酸二水素ルビジウム、リン酸セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸二水素セシウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、ギ酸ルビジウム、酢酸ルビジウム、シュウ酸ルビジウム、乳酸ルビジウム、クエン酸ルビジウム、ギ酸セシウム、酢酸セシウム、シュウ酸セシウム、乳酸セシウム、クエン酸セシウム、ルビジウムメトキシド、ルビジウムエトキシド、ルビジウムn-プロポキシド、ルビジウムイソ-プロポキシド、ルビジウムn-ブトキシド、ルビジウムsec-ブトキシド、ルビジウムtert-ブトキシド、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド、セシウムn-プロポキシド、セシウムイソ-プロポキシド、セシウムn-ブトキシド、セシウムsec-ブトキシド、セシウムtert-ブトキシド、メタンスルホン酸ルビジウム、トリフルオロメタンスルホン酸ルビジウム、パラ-トルエンスルホン酸ルビジウム、メタンスルホン酸セシウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パラ-トルエンスルホン酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはフッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、リン酸ルビジウム、リン酸セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、特に塩化ルビジウム、塩化セシウム又はそれらの組み合わせから選択される。
一実施形態では、触媒は、フッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、硫酸ルビジウム、硫酸水素ルビジウム、硝酸ルビジウム、リン酸ルビジウム、リン酸水素ルビジウム、リン酸二水素ルビジウム、酸化ルビジウム、水酸化ルビジウム、ギ酸ルビジウム、酢酸ルビジウム、シュウ酸ルビジウム、乳酸ルビジウム、クエン酸ルビジウム、ルビジウムメトキシド、ルビジウムエトキシド、ルビジウムn-プロポキシド、ルビジウムイソ-プロポキシド、ルビジウムn-ブトキシド、ルビジウムsec-ブトキシド、ルビジウムtert-ブトキシド、メタンスルホン酸ルビジウム、トリフルオロメタンスルホン酸ルビジウム、パラ-トルエンスルホン酸ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはフッ化ルビジウム、塩化ルビジウム、臭化ルビジウム、ヨウ化ルビジウム、炭酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、リン酸ルビジウム、水酸化ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくは塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、水酸化ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくは塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくは塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム又はそれらの組み合わせから、特に塩化ルビジウムから選択される。
別の実施形態では、触媒は、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、硫酸セシウム、硫酸水素セシウム、硝酸セシウム、リン酸セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸二水素セシウム、酸化セシウム、水酸化セシウム、ギ酸セシウム、酢酸セシウム、シュウ酸セシウム、乳酸セシウム、クエン酸セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド、セシウムn-プロポキシド、セシウムイソ-プロポキシド、セシウムn-ブトキシド、セシウムsec-ブトキシド、セシウムtert-ブトキシド、メタンスルホン酸セシウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パラ-トルエンスルホン酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはフッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、リン酸セシウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくは塩化セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくは塩化セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくは塩化セシウム、炭酸セシウム又はそれらの組み合わせから、特に塩化セシウムから選択される。
触媒は、好ましくは、固体形態において反応混合物に添加されるが、適切な溶媒中の溶液として添加することもできる。触媒はまた、支持体材料上で支持されていてもよい。
好ましくは、触媒の、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンとのモル比は、0.001:1~0.5:1、より好ましくは0.005:1~0.3:1、さらにより好ましくは0.0075:1~0.2:1、一層より好ましくは0.01:1~0.1:1、特に0.0125:1~0.04:1である。
本発明の方法は、少なくとも1つの不活性有機溶媒S1の存在下で行われる。
「不活性有機溶媒」は、本発明の方法の反応条件下で、反応物又は生成物のいずれかとの任意の認められるほどの反応に入らない有機溶媒を意味する。
本発明の方法で使用される不活性有機溶媒S1は、使用される反応条件に応じて多種多様な溶媒から選択することができる。
適切な不活性有機溶媒S1は、炭化水素、アミド、エーテル、ケトン、ニトリル及びそれらの任意の組み合わせから選択することができる。
本発明において不活性有機溶媒S1として使用される炭化水素は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから選択してもよい。
好ましくは、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、アミド、エーテル、ケトン、ニトリル及びそれらの任意の組み合わせから選択することができる。
用語「脂肪族炭化水素」は、直鎖及び分岐鎖脂肪族炭化水素を含む。
本発明で使用することができる直鎖脂肪族炭化水素は、5~15個の炭素原子、好ましくは5~10個の炭素原子を有するものである。直鎖脂肪族炭化水素の例としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン又はそれらの任意の組み合わせ、好ましくはn-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
本発明で使用するのに適した分岐鎖脂肪族炭化水素は、4~15個の炭素原子、好ましくは5~12個の炭素原子、より好ましくは7~12個の炭素原子、さらにより好ましくは8~11個の炭素原子を有するものである。適切な分岐鎖脂肪族炭化水素の例としては、2-メチルプロパン、2-メチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-トリメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルヘキサン、3,3,4-トリメチルヘキサン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,3-ジメチルヘプタン、3,4-ジメチルペンタン、2-エチルオクタン、2,3-ジメチルオクタン、2-メチルノナン、3,4-ジメチルノナン、3-メチルデカン、2-メチルウンデカン、2-メチルドデカン、2,2,4トリメチルドデカン及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
とりわけ適切なのは、5~12個の炭素原子、好ましくは7~12個の炭素原子、より好ましくは8~11個の炭素原子を有する分岐鎖脂肪族炭化水素の混合物、例えば、ExxonMobil Chemicalによって商品名Isopar(登録商標)で販売されているイソパラフィン系炭化水素の市販の混合物、例えばIsopar(登録商標)Eである。Isopar Eは、113℃~139℃の蒸留範囲を有するイソパラフィン系炭化水素の混合物である。
適切な脂環式炭化水素の例としては、飽和又は不飽和脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエンなどが挙げられる。5~10個の炭素原子を有する飽和脂環式炭化水素が好ましい。シクロヘキサンが、特に好ましい。
適切な芳香族炭化水素の例としては、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、2-プロピルベンゼン(クメン)、2-イソプロピルトルエン(o-シモール)、3-イソプロピルトルエン(m-シモール)、4-イソプロピルトルエン(p-シモール)、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)などが挙げられる。トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)及びそれらの任意の組み合わせが好ましい。芳香族炭化水素のうちとりわけ好ましいのは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)及びそれらの任意の組み合わせであり、トルエンが最も好ましい。
適切なハロゲン化脂肪族炭化水素の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1,2-テトラクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレンなどが挙げられる。塩化メチレン及び1,2-ジクロロエタン及びそれらの任意の組み合わせが好ましい。
適切なハロゲン化芳香族炭化水素の例としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)などが挙げられる。
適切なアミドの例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。
適切なエーテルの例としては、非環式、環式又は芳香族エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、n-ブチルメチルエーテル、イソブチルメチルエーテル、sec-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アニソールなどが挙げられる。
適切なケトンの例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロプロピルメチルケトンなどが挙げられる。
適切なニトリルの例としては、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。
好ましい実施形態では、不活性有機溶媒S1は、炭化水素、非環式エーテル、環式エーテル、芳香族エーテル及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、非環式エーテル、環式エーテル、芳香族エーテル及びそれらの任意の組み合わせから、さらにより好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、一層より好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、なおより好ましくは芳香族炭化水素から選択される。
別の好ましい実施形態では、不活性有機溶媒S1は、炭化水素から選択される。
より好ましい実施形態では、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、塩化メチレン、クロロベンゼン及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
さらにより好ましい実施形態では、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、クロロベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
一層より好ましくは、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
なおより好ましくは、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
特に好ましい不活性有機溶媒S1は、1~3個の炭素原子を含有する各アルキル基によりモノ-、ジ-、又はトリアルキル置換されているアルキルベンゼン、特にトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)及びそれらの任意の組み合わせから選択される、なおより好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びそれらの任意の組み合わせから選択されるものである。最も好ましくは、不活性有機溶媒S1は、トルエンである。
別の実施形態では、不活性有機溶媒S1は、非極性溶媒から、好ましくは25℃で15未満(好ましくは10未満、より好ましくは5未満、特に3未満)の比誘電率を有する非極性溶媒から選択される。
別の実施形態では、触媒は、ルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウム及びセシウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、非極性溶媒から(好ましくは25℃で15未満、より好ましくは10未満、さらにより好ましくは5未満、特に3未満の比誘電率を有する非極性溶媒から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、ルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類、ルビジウム及びルビジウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、非極性溶媒から(好ましくは25℃で15未満、より好ましくは10未満、さらにより好ましくは5未満、特に3未満の比誘電率を有する非極性溶媒から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、セシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはセシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にセシウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、非極性溶媒から(好ましくは25℃で15未満、より好ましくは10未満、さらにより好ましくは5未満、特に3未満の比誘電率を有する非極性溶媒から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、ルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム水酸化物、及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウム及びセシウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、ルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類及びルビジウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはルビジウムハロゲン化物、ルビジウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にルビジウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、セシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類、セシウム水酸化物及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはセシウムハロゲン化物、セシウム炭酸塩類及びそれらの任意の組み合わせから、特にセシウムハロゲン化物から)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム又はそれらの組み合わせから)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせ、特に塩化ルビジウムから)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化セシウム、炭酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせ、特に塩化セシウムから)選択され、不活性有機溶媒S1は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは芳香族炭化水素から)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくは塩化ルビジウム、塩化セシウム又はそれらの組み合わせから)選択され、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、塩化メチレン、クロロベンゼン及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはn-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、クロロベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはn-ヘプタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びそれらの任意の組み合わせ、特にトルエンから)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム及びそれらの任意の組み合わせ、特に塩化ルビジウムから)選択され、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、塩化メチレン、クロロベンゼン及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはn-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、クロロベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはn-ヘプタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びそれらの任意の組み合わせ、特にトルエンから)選択される。
別の実施形態では、触媒は、塩化セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくは塩化セシウム、炭酸セシウム及びそれらの任意の組み合わせ、特に塩化セシウムから)選択され、不活性有機溶媒S1は、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、塩化メチレン、クロロベンゼン及びそれらの任意の組み合わせから(好ましくはn-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)、クロロベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせから、より好ましくはn-ヘプタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン及びそれらの任意の組み合わせ、特にトルエンから)選択される。
別の実施形態では、不活性有機溶媒S1は、大気圧(1bar)において35~200℃、好ましくは90~165℃、より好ましくは100~150℃の沸点を有する。
不活性有機溶媒S1の、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか1つ又はそれらの任意の非ラセミ混合物、特に式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンとのモル比は、大きく変動することができ、使用される反応条件に依存するが、一般に、30:1~1:1、好ましくは15:1~1:1、より好ましくは10:1~1:1、さらにより好ましくは5:1~1:1である。
別の実施形態では、トルエンの、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか1つ又はそれらの任意の非ラセミ混合物、特に式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンとのモル比は、10:1~1:1、好ましくは5:1~2:1、より好ましくは4:1~3:1である。
本発明の方法が、水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の組み合わせから選択される溶媒S2を反応条件下で形成することができる少なくとも1つの塩基の存在下で実施される場合、本発明の方法は、好ましくは、反応混合物から溶媒S2(好ましくは水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)を同時に除去するさらなるステップ(本明細書において以降、「さらなるステップ」とも呼ばれる)を含む。
水及び/又はC1~C4アルキルアルコールの任意選択の除去は、細かく分割された粒子として反応媒体中で反応中に形成される塩のはるかに良い懸濁液を可能にする。したがって、反応器表面上のファウリングは、さらに低減する。さらなる利点としては、(1)本発明で使用される不活性有機溶媒S1のより良い回収及びリサイクル; (2)副成分形成のさらなる低減; 及び(3)所望の式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物の収率のさらなる改善が挙げられる。
好ましい実施形態では、溶媒S2(好ましくは水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)は、同時に且つ連続的に、又は同時に且つ断続的に(より好ましくは同時に且つ連続的に)反応中に反応混合物から除去される。
「連続的に除去される」又は「連続的除去」は、反応が進行するにつれ、溶媒S2が、実質的に又は完全に連続的に反応混合物から除去されることを意味する。この点について、「連続的な」又は「連続的に」は、例えば方法の開始に起因する、除去ステップの連続性における通常の中断を排除することを決して意味しない。
溶媒S2の除去は、当技術分野で公知の様々な方法、例えば、化学的又は物理化学的方法によって達成することができる。化学的方法として、化学的スカベンジャー又は乾燥試薬(例えば硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト又は酸化カルシウム)の添加を使用してもよい。物理化学的方法としては、以下に限定されないが、膜分離プロセス(例えばナノ濾過)又は共沸蒸留が挙げられる。
好ましい実施形態では、溶媒S2(好ましくは水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)は、共沸蒸留によって反応混合物から除去される。特に、溶媒S2(好ましくは水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)は、不活性有機溶媒S1及び溶媒S2によって形成される共沸混合物として反応混合物から除去される。
特に、不活性有機溶媒S1は、溶媒S2と共沸混合物を形成することができる。
なお別の実施形態では、不活性有機溶媒S1は、水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の組み合わせ(好ましくは水、メタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくは水、メタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、さらにより好ましくは水、メタノール又はそれらの組み合わせ、特に水)から選択される溶媒S2と共沸混合物を形成することができる。
一実施形態では、不活性有機溶媒S1は、水である溶媒S2と共沸混合物を形成することができる。
別の実施形態では、不活性有機溶媒S1は、C1~C4アルキルアルコール(好ましくはメタノール、エタノール、イソ-プロパノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはメタノール、エタノール、tert-ブタノール又はそれらの任意の組み合わせ、特にメタノール)から選択される溶媒S2と共沸混合物を形成することができる。
反応混合物中の共沸蒸留によって除去される不活性有機溶媒S1の潜在的損失の平衡を保つために、新たな不活性有機溶媒S1、リサイクルされた不活性有機溶媒S1、又は不活性有機溶媒S1を含み且つ共沸混合物と比較してより低濃度の溶媒S2を有する混合物を、反応中に反応混合物に添加することができる。
したがって、好ましい実施形態では、溶媒S2は、同時に(好ましくは同時に且つ連続的に)、不活性有機溶媒S1及び溶媒S2によって形成される共沸混合物として反応混合物から除去され、不活性有機溶媒S1、又は不活性有機溶媒S1を含み且つ共沸混合物と比較してより低濃度の溶媒S2を有する混合物は、反応中に反応混合物に添加される。不活性有機溶媒S1(新たな不活性有機溶媒S1、リサイクルされた不活性有機溶媒S1又はそれらの組み合わせのいずれか)、又は不活性有機溶媒S1を含み且つ共沸混合物と比較してより低濃度の水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の混合物を有する混合物は、反応中に連続的に又は定期的に(好ましくは連続的に)反応混合物に添加してもよい。
不活性有機溶媒S1(新たな不活性有機溶媒S1、リサイクルされた不活性有機溶媒S1又はそれらの組み合わせのいずれか)、又は不活性有機溶媒S1を含み且つ共沸混合物と比較してより低濃度の水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の混合物を有する混合物は、好ましくは、反応混合物の初期体積又は反応混合物の初期体積を下回る体積(例えば反応混合物の初期体積と比較して≦90%又は≦80%又は≦70%又は≦60%又は≦50%又は≦40%又は≦30%)が反応中に維持されるような量で反応混合物に添加してもよい。不活性有機溶媒S1(新たな不活性有機溶媒S1、リサイクルされた不活性有機溶媒S1又はそれらの組み合わせのいずれか)、又は不活性有機溶媒S1を含み且つ共沸混合物と比較してより低濃度の水、C1~C4アルキルアルコール又はそれらの任意の混合物を有する混合物はまた、反応混合物の初期体積より多い体積が得られるような量で添加してもよい。
好ましい実施形態では、さらなるステップは、
(i) 不活性有機溶媒S1及び水によって形成された共沸混合物を蒸留するステップ、
(ii) 連続的に凝縮し、共沸混合物を有機溶媒相及び水相に分離するステップ、
(iii) 有機溶媒相を反応混合物にリサイクルするステップ、及び
(iv) プロセスから水相を除去するステップ
を含む。
特に好ましい実施形態では、さらなるステップは、
(i.1) 反応混合物から蒸気画分として不活性有機溶媒S1及び水によって形成された共沸混合物を除去するステップ、
(ii.1) 前記蒸気画分を凝縮して、二相凝縮物を形成させ、前記二相凝縮物を相分離器に通過させて、有機溶媒相及び水相を形成させるステップ、
(iii.1) 不活性有機溶媒相を(好ましくはオーバーフローにより)反応混合物に移すステップ、及び
(iv.1) プロセスから水相を除去するステップ
を含む。
本発明の方法は、任意選択で、少なくとも1つの相間移動触媒の存在下で行ってもよい。
本発明の方法に使用するのに適した相間移動触媒は、当技術分野で周知なものであり、例えば、第四級アンモニウム塩である。適切な相間移動触媒の例は、トリメチル(フェニル)アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、並びにテトラ-n-C1~C12-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、好ましくはテトラ-n-C1~C8-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-プロピルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-ペンチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-ヘプチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、テトラ-n-オクチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、メチル-トリ-n-ブチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、エチル-トリ-メチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、n-プロピル-トリメチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、メチル-トリエチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、並びにn-ブチル-トリエチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシドである。これらのうち、テトラ-n-C1~C4-アルキル-アンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、特にテトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシド、並びにメチル-トリ-n-ブチルアンモニウムクロリド、ブロミド、ヨージド若しくはヒドロキシドの使用が好ましい。相間移動触媒は、純粋な形態では通常固体であり、それ自体で、又は好ましくは溶解された形態で使用することができる。相間移動触媒の有効量は、(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)、その個々の鏡像異性体のいずれか1つ又はそれらの任意の非ラセミ混合物、特に(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)に関して、0.001~0.5モル当量、好ましくは0.001~0.2モル当量の範囲にわたり得る。
本発明の方法は、大気圧下で又はわずかに上昇した若しくは低下した圧力下で行うことができる。典型的には、大気圧が使用される。別の実施形態では、本発明の方法は、減圧下で、好ましくは0.01~10bar、好ましくは0.1~6barの範囲で実施される。
本発明の方法で使用される温度は、大きく変動することができ、様々な因子、例えば、使用される不活性有機溶媒S1及び圧力に依存する。大気圧(1bar)下では、温度は、一般に、35~200℃、好ましくは70~170℃、より好ましくは80~150℃、さらにより好ましくは110~135℃である。
反応時間は、広範囲に変動することができ、様々な因子、例えば、使用される温度、圧力、又は試薬及び補助物質に依存する。典型的な反応時間は、10~50時間、好ましくは10~30時間、より好ましくは10~20時間の範囲である。
本発明の方法において、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物(好ましくは式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、式(III)の2-メチルベンジル化合物、本明細書に定義される塩基、本明細書に定義される触媒及び本明細書に定義される不活性有機溶媒S1を含む反応混合物は、最初に提供されてもよく、次いで、反応混合物は還流まで加熱される。
別の実施形態では、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物(好ましくは式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、本明細書に定義される塩基、本明細書に定義される触媒及び本明細書に定義される不活性有機溶媒S1を含む第1の混合物が提供され、第1の混合物は還流まで加熱され、式(III)の2-メチルベンジル化合物は、撹拌下で第1の混合物に添加されて、反応混合物を形成する。
式(III)[式中、Xは、式(IV)のアンモニウム基である]の2-メチルベンジル化合物(例えば式(IIIf)のトリメチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド又は式(IIIg)のトリエチル(o-トリルメチル)アンモニウムクロリド)が、本明細書に記載されるようにin-situで形成される場合、式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物(好ましくは式(II)の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、本明細書に定義される塩基、本明細書に定義される触媒、本明細書に定義される不活性有機溶媒S1及び式NR1R2R3[式中、R1、R2及びR3は、式(IV)におけるものと同じ意味を有する(好ましくは式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、C1~C6-アルキル及びC6~C20-アリール、より好ましくはC1~C6-アルキル、さらにより好ましくはメチル又はエチル、最も好ましくはメチルから選択される)]の第三級アミンを含む第1の混合物が提供され、第1の混合物は還流まで加熱され、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物は、撹拌下で第1の混合物に添加されて、反応混合物を形成する。
式NR1R2R3の第三級アミン(特にトリメチルアミン、トリエチルアミン又はそれらの組み合わせ、より好ましくはトリメチルアミン)の、式(III)[式中、Xは、ハロゲン、C1~C4-アルキルスルホネート又はC6~C20-アリールスルホネート(好ましくはハロゲン、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、さらにより好ましくは塩素)から選択される]の2-メチルベンジル化合物とのモル比は、1:1~0.1:1、好ましくは0.5:1~0.1:1、より好ましくは0.25:1~0.1:1、さらにより好ましくは0.15:1~0.1:1、一層より好ましくは0.1:1~0.01:1であってよい。
本発明の方法において、塩基(固体形態における、水溶液として又はそれらの組み合わせとして)は、バッチ式で添加することができる(1つ又は複数の個々の部分において、好ましくは一度に)か、又は連続的に計量して添加することができ、バッチ式添加が好ましい。
式(III)の2-メチルベンジル化合物は、バッチ式で添加することができる(1つ又は複数の個々の部分において)か、又は連続的に計量して添加することができ、連続的に計量した添加が好ましい。
式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物(好ましくは式(I)の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)は、好ましくは、従来の方法を用いることによって、例えば抽出、特に塩基性又は中性水性媒体を用いる抽出、蒸留などによって、最終反応混合物から単離される。
反応の完了後、反応混合物は、好ましくは水で抽出され、その後、不活性有機溶媒S1の濃縮及び除去が続く。さらなる精製について、薄膜蒸発及び精留を適用することができる。
本発明は、以下の実施例によって説明される(それに又はそれによって限定されることなく)。
実施例1: (±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、1モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、触媒: 塩化セシウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(38.0g、0.222mol)、固体水酸化ナトリウム(11.8g、0.289mol)及び5mol%塩化セシウム(1.90g、0.011mol)を、トルエン(71.6g、0.777mol)に懸濁した。反応混合物を還流(内部温度116℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(32.0g、0.222mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持した(内部温度は反応中に130℃まで上昇する)。反応混合物を25℃まで冷却した後、水(70g)を添加し、反応混合物を抽出した。相分離後、水(70g)を再び添加した。混合物を抽出し、相を分離した。生成物溶液をディーン-スターク(Dean-Stark)条件を用いて蒸留した。生成物溶液(163.2g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、31.1%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの83.3%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、97.1%に相当する。
比較例1: (±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、1モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、本発明によらない)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(125.9g、0.736mol)、固体水酸化ナトリウム(39.0g、0.956mol)を、トルエン(237.3g、2.575mol)に懸濁した。反応混合物を還流(内部温度116℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(106.1g、0.736mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持した(内部温度は反応中に130℃まで上昇する)。反応混合物を25℃まで冷却した後、水(200g)を添加し、反応混合物を抽出した。相分離後、水(201g)を再び添加した。混合物を抽出し、相を分離した。生成物溶液をディーン-スターク条件を用いて蒸留した。生成物溶液(279.2g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、47.9%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの66.2%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、88.3%に相当する。
実施例2: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.025モル当量の塩化セシウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(241.4g、1.411mol)、固体水酸化ナトリウム(74.9g、1.835mol)及び塩化セシウム(6.00g、0.035mmol)を、トルエン(455.5g、4.938mol)に懸濁した。反応混合物を還流(ジャケット温度: 130℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(197.4g、1.369mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水(2×310.4g)で2回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(835.3g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、42.1%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの90.8%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>97.8%に相当する。
実施例3: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.025モル当量の塩化セシウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(241.4g、1.411mol)、固体水酸化ナトリウム(74.9g、1.835mol)及び塩化セシウム(6.00g、0.035mmol)を、トルエン(455.5g、4.938mol)に懸濁した。反応混合物を還流(ジャケット温度: 135℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(197.4g、1.369mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水(2×310.4g)で2回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(722.8g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、48.3%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンを示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの90.2%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>98.0%に相当する。
実施例4: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.035モル当量の塩化セシウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(212.8g、1.244mol)、固体水酸化ナトリウム(66.0g、1.617mol)及び塩化セシウム(7.40g、0.044mmol)を、トルエン(401.1g、4.353mol)に懸濁した。反応混合物を還流(ジャケット温度: 135℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(174.0g、1.207mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水(1×239.4g、1×263.5g、1×229.4g)で3回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(824.9g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、38.0%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの91.9%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>98.5%に相当する。
実施例5: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.0125モル当量の炭酸セシウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(241.7g、1.413mol)、固体水酸化ナトリウム(75.0g、1.838mol)及び炭酸セシウム(5.90g、0.018mmol)を、トルエン(455.5g、4.944mol)に懸濁した。反応混合物を還流(ジャケット温度130℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(197.6g、1.370mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水で3回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(801.7g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、44.7%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの92.5%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>99.5%に相当する。
実施例6: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.025モル当量の水酸化セシウム一水和物)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(241.4g、1.411mol)、固体水酸化ナトリウム(75.0g、1.838mol)及び水酸化セシウム一水和物(6.30g、0.036mmol)を、トルエン(455.5g、4.944mol)に懸濁した。反応混合物を還流(ジャケット温度130℃)まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(197.4g、1.369mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を還流で24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水で3回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(801.0g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、43.6%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの90.2%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>98.2%に相当する。
実施例7: 共沸蒸留による水の除去を使用した(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの調製(塩基: 固体水酸化ナトリウム、溶媒: トルエン、0.97モル当量の1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン、0.025モル当量の塩化ルビジウム)
(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(241.7g、1.413mol)、固体水酸化ナトリウム(75.2g、1.842mol)及び塩化ルビジウム(4.30g、0.035mmol)を、トルエン(455.3g、4.941mol)に懸濁した。反応混合物を還流まで加熱した。この温度で、1-(クロロメチル)-2-メチル-ベンゼン(197.4g、1.369mol)を、混合物に7時間以内に添加した。反応混合物を24時間保持し、この時間の間、共沸蒸留(ディーン-スターク条件)により反応混合物から連続的に水を除去した。反応混合物を70℃まで冷却し、水で3回抽出した後、生成物溶液を、ディーン-スターク条件を使用して共沸乾燥させた。生成物溶液(811.6g)を、定量的ガスクロマトグラフィー(GC)(内部標準を用いたGC)により分析し、43.0%の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン濃度を示した。これは、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンの90.1%の収率に相当する。回収された出発材料((±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン)に基づく収率は、>98.5%に相当する。
(付記)
(付記1)
式(I)
の(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物を調製する方法であって、式(II)
の(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、その個々の鏡像異性体のいずれか又はそれらの任意の非ラセミ混合物を、式(III)
[式中、Xは、脱離基である]の2-メチルベンジル化合物と、少なくとも1つの塩基、ルビジウム塩類、セシウム塩類及びそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの触媒、及び少なくとも1つの不活性有機溶媒S1の存在下で反応させるステップを含む、方法。
(付記2)
Xが、ハロゲン及び酸素結合脱離基から選択される、請求項1に記載の方法。
(付記3)
Xが、ハロゲンである、請求項1又は2に記載の方法。
(付記4)
塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸水素塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属C
1
~C
4
アルコレート、及びそれらの任意の組み合わせから選択され、各アルカリ金属が、独立して、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択され、各アルカリ土類金属が、独立して、カルシウム、マグネシウム及びバリウムから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
塩基が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
触媒が、無機酸のルビジウム及びセシウム塩類、有機酸のルビジウム及びセシウム塩類、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
(付記7)
触媒が、ルビジウム及びセシウムハロゲン化物、ルビジウム及びセシウム炭酸塩類、ルビジウム及びセシウム硫酸塩類、ルビジウム及びセシウム硝酸塩、ルビジウム及びセシウムリン酸塩類、ルビジウム及びセシウム酸化物、ルビジウム及びセシウム水酸化物、ルビジウム及びセシウムカルボキシレート、ルビジウム及びセシウムC
1
~C
4
アルコレート、ルビジウム及びセシウムスルホネート、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
触媒が、固体形態において反応混合物に添加される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
不活性有機溶媒S1が、非極性溶媒から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
不活性有機溶媒S1が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
(付記11)
不活性有機溶媒S1が、n-ヘプタン、n-オクタン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(付記12)
塩基が、水、C
1
~C
4
アルキルアルコール又はそれらの任意の組み合わせから選択される溶媒S2を反応条件下で形成することができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
(付記13)
反応混合物から溶媒S2を同時に除去するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
(付記14)
式(III)の2-メチルベンジル化合物が、式(IIIa)
の2-メチルベンジルクロリドである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
(付記15)
少なくとも1つの塩基及び少なくとも1つの不活性有機溶媒の存在下における、(±)-2-エキソ-ヒドロキシ-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(II)の、2-メチルベンジル化合物(III)との反応による、(±)-2-エキソ-(2-メチルベンジルオキシ)-1-メチル-4-イソプロピル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(I)の調製のための、触媒としてのルビジウム又はセシウム塩類の使用。