JP7143814B2 - シリコーンゴム組成物からなるマーキングインク - Google Patents
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このような成形物としては、熱硬化性のシリコーン組成物(特許文献1)が使用されるが、近年、生産性向上の目的で、より短時間での加熱硬化が求められている。
これに対する一つの対策として、硬化触媒を増量することによる硬化速度の向上が挙げられるが、組成物の保存性低下やコストが高くなる等の問題があった。
1. (A)ケイ素原子と結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子と結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子と結合したアルケニル基1個あたりの(B)成分中のケイ素原子と結合した水素原子の数が0.5~5.0個となる量、
(C)ヒドロシリル化反応触媒、および
(D)ポリメチルシルセスキオキサン粉末:0.1~50質量部
を含有することを特徴とするシリコーンゴム組成物、
2. 前記ポリメチルシルセスキオキサンが、60~100℃の軟化点を有する1のシリコーンゴム組成物、
3. (E)シリカを、(A)成分100質量部に対して5~100質量部含有する1または2のシリコーンゴム組成物、
4. 1~3のいずれかのシリコーンゴム組成物からなるマーキングインク、
5. 1~3のいずれかのシリコーンゴム組成物を硬化させてなる立体成形物
を提供する。
本発明に係るシリコーンゴム組成物は、下記(A)~(D)成分を含有するものである。
(A)ケイ素原子と結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン
(B)ケイ素原子と結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)ヒドロシリル化反応触媒
(D)ポリメチルシルセスキオキサン粉末
(A)成分は、ケイ素原子と結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~10個、より好ましくは2~5個有するオルガノポリシロキサンである。2個未満では組成物の硬化が不十分になる。また、上限は特に制限されないが、硬化物が脆くなることを防ぐという点から、10個以下が好ましい。
ケイ素原子に結合したアルケニル基としては、特に限定されるものではなく、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基等の炭素原子数2~8のものが好ましく、炭素原子数2~4のものがより好ましく、ビニル基がより一層好ましい。
このアルケニル基は、分子鎖末端および分子鎖非末端(即ち、分子鎖側鎖)のいずれかまたは両方に存在してもよいが、少なくとも分子鎖両末端に存在することが好ましい。
その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル基等の直鎖または分岐のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;フェニル、トリル基等のアリール基;ベンジル、フェニルエチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、F、Cl、Br等のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、そのような基の具体例としては、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;2-シアノエチル基等のシアノ置換炭化水素基等が挙げられる。
これらの中でもメチル基が好ましい。
R2 cR3 dSiO(4-c-d)/2 (1)
(式中、R2は、それぞれ独立して、付加反応性炭素-炭素不飽和結合を有しない非置換または置換の1価炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立してアルケニル基を表し、cは1.9~2.1、dは0.005~1.0、かつ、c+dは1.95~3.0を満たす数である。)
R3のアルケニル基としては、ケイ素原子に結合したアルケニル基として上で例示した基と同様のものが挙げられるが、ビニル基が好ましい。
cは1.95~2.0の数が好ましく、dは0.01~0.5の数が好ましく、c+dは1.96~2.5を満たすことが好ましい。
ViR2 2SiO(R2 2SiO)eSiR2 2Vi (3)
ViR2 2SiO(R2ViSiO)f(R2 2SiO)gSiR2 2Vi (4)
Vi2R2SiO(R2 2SiO)eSiR2Vi2 (5)
Vi3SiO(R2 2SiO)eSiVi3 (6)
Vi2R2SiO(R2ViSiO)f(R2 2SiO)gSiR2Vi2 (7)
Vi3SiO(R2ViSiO)f(R2 2SiO)gSiVi3 (8)
R2 3SiO(R2ViSiO)h(R2 2SiO)gSiR2 3 (9)
(式中、Viは、ビニル基を意味する(以下同様)。R2は、上記と同じ意味を表す。)
特に、eは、10≦e≦10,000を満たす整数が好ましく、50≦e≦2,000を満たす整数がより好ましい。
また、fおよびgは、10≦f+g≦10,000、かつ、0≦f/(f+g)≦0.2を満たす整数が好ましく、50≦f+g≦2,000を満たす整数がより好ましい。
hは、2以上の整数であるが、2≦h、10≦f+g≦10,000、かつ、0≦h/(g+h)≦0.2を満たす整数が好ましく、50≦g+h≦2,000を満たす整数がより好ましい。
なお、(A)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(B)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を1分子当たり少なくとも2個、好ましくは2~200個、より好ましくは3~100個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化反応することにより架橋剤として作用する。
R1 aHbSiO(4-a-b)/2 (2)
(式中、R1は、それぞれ独立して、付加反応性炭素-炭素不飽和結合を有しない非置換または置換の1価炭化水素基を表し、aは0.7~2.1、bは0.001~1.0、かつ、a+bは0.8~3.0を満たす数である。)
aは、1.0~2.0の数が好ましく、bは、0.01~1.0の数が好ましく、a+bは1.1~2.6の数が好ましい。
また、(B)成分中のSiH基は、分子鎖末端、分子鎖非末端(即ち、分子鎖側鎖)のいずれかまたは両方に存在してもよい。
(B)成分中のSiH基の含有量は、(B)成分1g当たり、0.001~0.02molの範囲が好ましく、0.002~0.017molの範囲がより好ましい。
R1 3SiO(R1 2SiO)i[R1(H)SiO]jSiR1 3 (11)
R1 2(H)SiO(R1 2SiO)i[R1(H)SiO]jSi(H)R1 2 (12)
R1 3SiO[R1(H)SiO]kSiR1 3 (13)
[R1(H)SiO]m (14)
(式中、R1は、上記と同じ意味を表し、iは、5~40の整数であり、jは、5~20の整数であり、kは、2~30の整数であり、mは、4~8の整数である。)
より具体的には、下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。なお、式中、Meは、メチル基を意味する(以下同様)。
なお、(B)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(C)成分は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応触媒である。
その具体例としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(但し、式中、nは0~6の整数であり、好ましくは0または6である。)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム-オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとの錯体などの白金族金属系触媒が挙げられる。
なお、(C)成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(CH3SiO3/2)単位から構成されるポリメチルシルセスキオキサン粉末であり、本発明のシリコーンゴム組成物を加熱硬化してなるシリコーンゴム成形物のタック感を抑制する成分である。
この(D)成分のポリメチルシルセスキオキサンは、60~100℃の軟化点を有することが好ましい。
(D)成分の具体例としては、信越化学工業(株)製KR-220LP(軟化点67℃)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明のシリコーンゴム組成物には、硬度および引張り強さなどの物理的強度の向上のため、(E)成分としてシリカを添加してもよい。
シリカとしては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ(石英粉)、沈降性シリカ、これらの表面を疎水化処理したシリカ等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
表面処理剤の使用量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5~50質量部、より好ましくは1~40質量部、より一層好ましくは2~30質量部である。表面処理剤の使用量が上記範囲内であると、組成物中に表面処理剤またはその分解物が残らず、流動性が得られ、経時で粘度が上昇することを抑制できる。
本発明のシリコーンゴム組成物には、組成物を調製する際や、型取りの際などの加熱硬化前に、増粘やゲル化を起こさないようにヒドロシリル化反応触媒の反応性を制御する目的で、必要に応じて(F)反応制御剤を添加してもよい。
反応制御剤の具体例としては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロヘキサノール、エチニルメチルデシルカルビノール、3-メチル-3-トリメチルシロキシ-1-ブチン、3-メチル-3-トリメチルシロキシ-1-ペンチン、3,5-ジメチル-3-トリメチルシロキシ-1-ヘキシン、1-エチニル-1-トリメチルシロキシシクロヘキサン、ビス(2,2-ジメチル-3-ブチノキシ)ジメチルシラン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、1-エチニルシクロヘキサノール、エチニルメチルデシルカルビノール、3-メチル-1-ブチン-3-オールが好ましい。
本発明のシリコーンゴム組成物には、上記(A)~(F)成分以外にも、本発明の目的を損なわない限り、以下に例示するその他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、酸化鉄、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤;酸化チタン、酸化セリウム等の耐熱剤;ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤;接着性付与剤;チクソ性付与剤;着色剤等が挙げられる。
本発明のシリコーンゴム組成物は、(A)成分、(C)成分、(D)成分および必要に応じてその他の成分からなる第一剤と、(A)成分、(B)成分、(D)成分および必要に応じてその他の成分からなる第二剤を別々に調製し、使用前に第一剤と第二剤を混合する二剤型の組成物としてもよい。なお、第一剤および第二剤で共通に使用される成分があってもよい。組成物をこのような二剤型とすることにより、さらに保存安定性が確保できる。
加熱硬化させる場合、70~200℃で30秒~60分間、特に90~120℃で1分~30分間の条件で硬化させることが好ましい。
下記成分を表1に示される配合比(質量部)で混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。具体的には、まず(A)成分85質量部、(E)成分25質量部、ヘキサメチルジシラザン5質量部、水2質量部を25℃でニーダーを用いて30分混合後、150℃に昇温し、4時間撹拌を続け、25℃に冷却した後に(A)成分15質量部を混合して得られたシリコーンゴムベースに、(C)成分および(D)成分を添加し、プラネタリーミキサーを用いて25℃で15分間撹拌混合後、(B)成分を添加し、プラネタリーミキサーを用いて25℃で15分間撹拌混合を行い、さらに25℃で30分間減圧脱泡し、シリコーンゴム組成物を得た。
(A-1)両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、25℃における粘度が5,000mPa・sであるジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.006mol/100g)
(B-1)下記平均式で表される分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(25℃における動粘度99.0mm2/s、ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.0037mol/g)
(C-1)白金1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のジメチルシロキサン溶液(白金含有量1.0質量%)
(D-1)ポリメチルシルセスキオキサン粉末(信越化学工業(株)製、KR-220LP、軟化点67℃)
(E-1)フュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル300、BET比表面積300m2/g)
(F-1)エチニルシクロヘキサノール
(G-1)アルミナ(昭和電工(株)製、AS-40、BET比表面積1.2m2/g)
[タック感]
得られたシート表面について、指触によるタック感がないものを○、タック感が有るものを×として評価した。
[動摩擦係数]
得られたシート上に2cm×2cmの上質紙を乗せ、200g荷重、300mm/minの試験速度で滑らせた際の動摩擦係数を測定した。
一方、(D)成分を添加していない比較例1および比較例2では、表面のタックが観察されていることがわかる。
Claims (3)
- (A)ケイ素原子と結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子と結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分中のケイ素原子と結合したアルケニル基1個あたりの(B)成分中のケイ素原子と結合した水素原子の数が0.5~5.0個となる量、
(C)ヒドロシリル化反応触媒、および
(D)ポリメチルシルセスキオキサン粉末:0.1~30質量部
を含有するシリコーンゴム組成物からなるマーキングインク。 - 前記ポリメチルシルセスキオキサンが、60~100℃の軟化点を有する請求項1記載のマーキングインク。
- (E)シリカを、(A)成分100質量部に対して5~100質量部含有する請求項1または2記載のマーキングインク。
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