JP7143066B2 - 自動二輪車のピッチ角制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のピッチ角制御装置に関し、特に、前輪がリフトし易い自動二輪車のピッチ角を制御する自動二輪車のピッチ角制御装置に関する。
自動二輪車は、エンジンの出力により駆動輪から路面に伝わる駆動輪の実際のトルクである駆動トルク(駆動輪トルクと記すことがある)に対して車両重量が軽量であるため、アクセルグリップの急開操作やクラッチの急接続操作等により、駆動輪である後輪を接地させた状態で前輪のみが路面から浮いて離間するリフトアップ(ウィリー)の姿勢を取り易い傾向にある。ここで、例えば、自動二輪車が水平の基本姿勢からリフトアップの姿勢に移行する際に、後輪の接地点を中心として前輪の幅方向の中心軸が左側面視で時計回りに移動するとすれば、その自動二輪車における重心を通りかつ左右方向(幅方向)に平行な基準軸周りの回転角(ピッチ角)は、左側面視で時計回りに変化するのものとなり、一方で、自動二輪車がリフトアップの姿勢から水平の基本姿勢に復帰する際には、後輪の接地点を中心として前輪の中心軸が左側面視で反時計回りに移動し、ピッチ角は、左側面視で反時計回りに変化するのものとなる。また、この際、その自動二輪車における重心の位置は、後輪の接地点を中心として時計回り又は反時計回りに対応して移動しているものである。
かかる自動二輪車においては、前輪が過度にリフトアップして後輪のみで自立した不安定な車両姿勢となると転倒等につながる可能性が生じる傾向にあるため、過度にリフトアップすることがないようにエンジンの出力による駆動トルクを制御することが好ましい。
かかる状況下で、特許文献1は、トルク制御装置に関し、自動二輪車の前輪が浮き上がる恐れがある状態が検出されたならば、運転者の要求トルクより小さいトルクを自動二輪車のエンジンへの要求トルクとして出力するか、又は運転者の要求トルクと運転者の要求トルクより小さいトルクとの差分をブレーキトルクとして出力する構成を備えることを開示し、自動二輪車のウィリーの発生を抑制することを企図している。
また、特許文献2は、ウィリー制御装置及びその制御方法に関し、車体のピッチングに関連したパラメータに応じて、車体のウィリー状態を制御するためにかかるパラメータが目標とするターゲット軌道を算出し、かかるパラメータがターゲット軌道に近づくように車体のピッチングの増減を制御する構成を開示し、ウィリー状態を終了する際に必要以上の加速度低下や前輪接地時の衝撃を低減させることを企図している。
また、特許文献3は、車両の駆動トルク制御方法及び駆動トルク制御装置に関し、車両のウィリー量を検出又は算出し、ウィリーが発生した場合には、後輪に付与する駆動トルクを正常状態時の駆動トルクよりも低減し、ウィリー量が減少した場合には、駆動トルクを維持又は増大させる構成を開示し、ウィリーが発生した場合における加速不良の発生を回避することを企図している。
国際公開第2014-167983号 特開2017-114342号公報 国際公開第2015-133396号
ここで、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する構成では、自動二輪車のウィリーの発生を抑制することが企図されたものであるが、ウィリーの発生を確実に抑制しようとすると、エンジンへの要求トルクが過少になったり、ブレーキトルクが過大になったりする場合があり、ウィリーの発生を抑制する制御の最中に自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じるものとなって、運転者に違和感が生じる点で改善の余地がある。
また、本発明者の検討によれば、特許文献2が開示する構成では、ウィリー状態を終了する際に必要以上の加速度低下や前輪接地時の衝撃を低減させることが企図されたものであるが、車体のピッチングに関連したパラメータをターゲット軌道に確実に近づけようとすると、エンジンの駆動トルクを過度に増減させてしまう場合があり、ウィリー状態を終了する制御の最中に車両にジャーク等の不自然な挙動が生じるものとなって、運転者に違和感が生じる点で改善の余地がある。
また、本発明者の検討によれば、特許文献3が開示する構成では、ウィリーが発生した場合における加速不良の発生を回避することが企図されたものではあるが、ウィリー量の増減に応じたものよりも過度にエンジンの駆動トルクを減増させてしまう場合があり、ウィリーが発生した場合における加速不良の発生を回避する制御の最中に車両にジャーク等の不自然な挙動が生じるものとなって、運転者に違和感が生じる点で改善の余地がある。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、自動二輪車のリフトアップ(ウィリー)を適切に抑制することが可能であると共に、その際の自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じることと抑制し、運転者が受ける違和感を低減することが可能な自動二輪車のピッチ角制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、後輪を駆動輪とし前輪を従動輪とする自動二輪車の前記駆動輪の駆動トルクを制御することにより、前記前輪のリフトアップによるピッチ角の増加を抑制するように前記ピッチ角を制御する制御部を有する自動二輪車のピッチ角制御装置において、前記制御部は、現在のピッチ角速度の変化の傾向を表す第1の角速度の値と、前記第1の値に比較して過去のピッチ角速度の変化の傾向を表すと共に前回値の影響度合いが前記第1の値における前回値の影響度合よりも強められた第2の角速度の値と、を算出し、前記制御部は、前記前輪が、後輪の接地点を中心として記前輪の中心軸が前記リフトアップとは反対向きに移動する前記前輪のリフトダウンの状態にある際に、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値よりも大きい場合には、前記駆動トルクを増加し、一方で、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値以下である場合には、前記駆動トルクを保持又は微増し、かつ、前記前輪が前記リフトアップの状態にある際に、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値よりも大きい場合には、前記駆動トルクを保持又は微減し、一方で、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値以下である場合には、前記駆動トルクを減少するトルク制御処理を実行することにより、前記ピッチ角を制御することを第1の局面とする。
さらに、本発明は、第1の局面に加えて、前記前輪の前記リフトアップの状態を前記前輪のリフトダウンの状態に変化させる前記駆動トルクに対応する目標駆動トルクが定められており、前記制御部は、前記前輪が前記リフトアップの状態にあるときに開始されて前記駆動トルクを前記目標駆動トルクに向かって減衰させる初期トルク減衰処理が完了する時点で、前記トルク制御処理を開始することを第2の局面とする。
また、本発明は、第2の局面に加えて、前記前輪の前記リフトアップの状態と前記前輪のリフトダウンの状態とが切り換わる境界値に対応するように目標ピッチ角速度が定められており、前記制御部は、前記初期トルク減衰処理の実行中に前記第1の角速度の値が目標ピッチ角速度に到達した時点で、前記トルク制御処理を開始することを第3の局面とする。
さらに、本発明は、第の局面に加えて、前記制御部は、前記初期トルク減衰処理により、前記駆動トルクが前記目標駆動トルクに到達した時点又はそれ以降に、前記トルク制御処理を開始することを第の局面とする。
以上の本発明の第1の局面にかかる自動二輪車のピッチ角制御装置によれば、制御部が、現在のピッチ角速度の変化の傾向を表す第1の角速度の値と、第1の値に比較して過去のピッチ角速度の変化の傾向を表すと共に前回値の影響度合いが第1の値における前回値の影響度合よりも強められた第2の角速度の値と、を算出し、また制御部前輪が、後輪の接地点を中心として前輪の中心軸がリフトアップとは反対向きに移動する前輪のリフトダウンの状態にある際に、第1の角速度の値と第2の角速度の値とを比較して、第1の角速度の値が第2の角速度の値よりも大きい場合には、駆動トルクを増加し、一方で、第1の角速度の値と第2の角速度の値とを比較して、第1の角速度の値が第2の角速度の値以下である場合には、駆動トルクを保持又は微増し、かつ、前輪がリフトアップの状態にある際に、第1の角速度の値と第2の角速度の値とを比較して、第1の角速度の値が第2の角速度の値よりも大きい場合には、駆動トルクを保持又は微減し、一方で、第1の角速度の値と第2の角速度の値とを比較して、第1の角速度の値が第2の角速度の値以下である場合には、駆動トルクを減少するトルク制御処理を実行することにより、ピッチ角を制御するものであるため、自動二輪車のピッチ角速度の変化の傾向を確実に把握し、自動二輪車のリフトアップを適切に抑制することが可能であると共に、その際の自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じることと抑制し、運転者が受ける違和感を低減することができる。
また、本発明の第2の局面にかかる自動二輪車のピッチ角制御装置によれば、前輪のリフトアップの状態を前輪のリフトダウンの状態に変化させる駆動トルクに対応する目標駆動トルクが定められており、制御部前輪がリフトアップの状態にあるときに開始されて駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰させる初期トルク減衰処理が完了する時点で、トルク制御処理を開始するものであるため、早期にリフトアップを解消することができる。
また、本発明の第3の局面にかかる自動二輪車のピッチ角制御装置によれば、前輪のリフトアップの状態と前輪のリフトダウンの状態とが切り換わる境界値に対応するように目標ピッチ角速度が定められており、制御部が、初期トルク減衰処理の実行中に第1の角速度の値が目標ピッチ角速度に到達した時点で、トルク制御処理を開始するものであるため、駆動トルクの復帰を早めることができ、必要以上の駆動トルクの低下を抑えて加速感を確保しドライバビリティを向上することができる。
また、本発明の第の局面にかかる自動二輪車のピッチ角制御装置によれば、制御部が、初期トルク減衰処理により、駆動トルクが目標駆動トルクに到達した時点又はそれ以降に、トルク制御処理を開始するものであるため、確実に駆動トルクを減衰させることによりリフトアップを解消させ、自動二輪車の安定性を高めることができる。
図1(a)は、本発明の実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、図1(a)に示す制御部が実行する主トルク制御処理の内容を説明するための表である。 図2は、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置によるピッチ角速度制御処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置によるピッチ角速度制御処理の変形例の流れを示すフローチャートである。 図4(a)は、図2に示すピッチ角速度制御処理の流れを説明するためのピッチ角速度及び駆動輪トルクのタイミングチャートの一例であり、図4(b)は、図3に示すピッチ角速度制御処理の変形例の流れを説明するためのピッチ角速度及び駆動輪トルクのタイミングチャートの一例である。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置につき、詳細に説明する。なお、以下では、自動二輪車の座標系として、自動二輪車の前後方向(長手方向)軸、左右方向(幅方向)軸及び上下方向(鉛直方向)軸からなる3軸直交座標系を用いて説明をする。
〔ピッチ角制御装置の構成〕
まず、図1(a)及び図1(b)を参照して、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置の構成について説明する。
図1(a)は、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、図1(a)に示す制御部3が実行する主トルク制御処理の内容を説明するための表である。
図1(a)に示すように、本実施形態におけるピッチ角制御装置1は、自動二輪車に適用され、ECU(Electronic Control Unit)等の電子制御装置によって構成され、後輪を駆動輪とし前輪を従動輪とする自動二輪車に搭載されている。ピッチ角制御装置1には、自動二輪車のエンジン(内燃機関)の回転数を検出するクランクセンサ41、自動二輪車の変速ギアの位置を検出するギアポジションセンサ42、自動二輪車のアクセルグリップの開度を検出するアクセルポジションセンサ43、自動二輪車の前輪の回転速度である前輪速を検出する前輪速センサ44、自動二輪車の後輪の回転速度である後輪速を検出する後輪速センサ45、及び自動二輪車の加速度を検出する加速度センサ46が電気的に接続されている。なお、これらの各種センサに関する波形成形回路やA/D(Analog/Digital)変換回路等の入力回路については、それらの図示を省略する。
ピッチ角制御装置1は、前輪リフト状態判定部2と、制御部3と、を備えている。かかる前輪リフト状態判定部2及び制御部3は、いずれも機能ブロックとして示す。なお、ピッチ角制御装置1は、図示を省略するメモリを備えており、かかるメモリに格納された各種の演算処理用プログラムやデータを必要に応じて読み出して用いる。
前輪リフト状態判定部2は、前輪速及び後輪速間の差、アクセルグリップの開度、変速ギアの位置等に基づいて、前輪がリフトアップ状態にあるか否かを判定するものである。
制御部3は、前輪リフト状態判定部2の判定結果を利用して、駆動輪の実際の駆動トルクである後輪の駆動トルクを減衰させる初期トルク減衰処理(減衰成分無しに単に減少させてもよい)、及び初期トルク減衰処理の完了時に引き続き実行される主トルク制御処理を含むトルク制御処理を伴うピッチ角速度制御処理を実行することにより、前輪のリフトアップによるピッチ角の増加を抑制するようにピッチ角を制御するものである。
ここで、自動二輪車が水平の基本姿勢から前輪がリフトアップ状態になった姿勢に移行する際に、例えば、後輪の接地点を中心として前輪の幅方向の中心軸が左側面視で時計回りに移動するとすれば、その自動二輪車における重心(典型的には自動二輪車の油脂充填・燃料搭載時の重心)を通りかつ幅方向に平行な軸周りの回転角が、ピッチ角に相当する。かかるピッチ角については、例えば、左側面視で時計回りの回転方向を、前輪のリフトアップが進行する際の正方向であるとする。ピッチ角制御装置1が適用される自動二輪車は、角度センサは備えておらず、IMU(Inertial Measurement Unit)内に加速度センサ46を備えているものであるが、ピッチ角制御装置1は、加速度センサ46からの電気信号を用いて、自動二輪車の前後方向及び上下方向の加速度成分を各々検出することができ、かかる加速度成分から単位時間当たりのピッチ角であるピッチ角速度を算出することができる。
具体的には、主トルク制御処理において、制御部3は、現在のピッチ角速度の変化の傾向を表す基準ピッチ角速度PRFLFTAと、基準ピッチ角速度PRFLFTAに比較して過去のピッチ角速度の変化の傾向を表す比較ピッチ角速度PRFLFTBと、を算出すると共に、これらの基準ピッチ角速度PRFLFTA及び比較ピッチ角速度PRFLFTBに基づき、インジェクタ51、点火装置52、及びスロットル弁53を制御することによって後輪の駆動トルクを制御することにより、ピッチ角を制御する。これにより、自動二輪車のリフトアップを適切に抑制すると共に、その際の自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じることと抑制して、運転者が受ける違和感を低減する。
一般に、自動二輪車のピッチ角速度の変化の傾向を用いずに、自動二輪車のピッチ角速度の瞬間的な1点の値のみを用いると、自動二輪車の車両姿勢に応じた駆動トルクの制御が適切にできないため過度の駆動トルクの制御が実行されてしまう。このため、自動二輪車のジャークが大きくなり、運転者に違和感を与えることになる。これに対して、角度センサを装着せずに加速度センサを装着した自動二輪車において、自動二輪車のピッチ角速度の変化の傾向を用いることで、駆動トルクひいては自動二輪車のピッチ角を精度よく制御することが可能となり、自動二輪車のジャーク挙動を抑制し、運転者に違和感を与えることを抑制する。
また、一般に、現在のピッチ角速度のみを用いると、リフトアップ中及びリフトダウン中のいずれであるかのみの判定を行うことが可能である。これに対して、過去のピッチ角速度の変化の傾向と現在のピッチ角速度の変化の傾向とを用いることで、ピッチ角速度が増加中及び減少中のいずれであるのかを判定することが可能となる。
詳しくは、主トルク制御処理において、制御部3は、以下に示す式(数1)を用いたフィルタ処理により、基準ピッチ角速度PRFLFTAの今回値を算出する。ここで、式(数1)において、PRFLFは、加速度センサ46からの電気信号を用いて今回のピッチ角速度制御処理のルーチンで算出された実際のピッチ角速度(実ピッチ角速度)であり、CFPRFLFTAは、フィルタリング係数であって1以下の正数である。また、PRFLFTA(今回値)は、今回のピッチ角速度制御処理のルーチンで算出される基準ピッチ角速度の値であり、PRFLFTA(前回値)は、今回のピッチ角速度制御処理のルーチンよりも1つ前のルーチンで算出された基準ピッチ角速度の値である。
Figure 0007143066000001
また、制御部3は、以下に示す式(数2)を用いたフィルタ処理により、比較ピッチ角速度PRFLFTBの今回値を算出する。ここで、式(数2)において、PRFLFは実ピッチ角速度であり、CFPRFLFTBは、フィルタリング係数であって1以下の正数である。また、PRFLFTB(今回値)は、今回のピッチ角速度制御処理のルーチンで算出される比較ピッチ角速度の値を示し、PRFLFTB(前回値)は、今回のピッチ角速度制御処理のルーチンよりも1つ前のルーチンで算出された比較ピッチ角速度の値を示す。
Figure 0007143066000002
ここで、フィルタリング係数CFPRFLFTAの値は、フィルタリング係数CFPRFLFTBの値以上の値に設定されている。これにより、基準ピッチ角速度PRFLFTAの式(数1)では、前回のピッチ角速度に関する第2項よりも今回のピッチ角速度に関する第1項が支配的となってフィルタ効果が弱くなり、比較ピッチ角速度PRFLFTBの計式(数2)では、今回のピッチ角速度に関する第1項よりも前回のピッチ角速度に関する第2項が支配的となってフィルタ効果が強くなる。これにより、自動二輪車のピッチ角速度の変化の傾向が確実に把握され得る。
また、制御部3は、式(数1)及び式(数2)に代えて、以下に示す式(数3)及び式(数4)を用いた移動平均処理により、基準ピッチ角速度PRFLFTA及び比較ピッチ角速度PRFLFTBを求めてもよい。ここで、式(数3)及び式(数4)において、Nは、自然数であって、典型的には、ピッチ角速度制御処理における今回までの基準ピッチ角速度PRFLFTA及び比較ピッチ角速度PRFLFTBの算出回数に相当し、n及びmは、N>n、N>m及びm>nの関係を満足する自然数である。
Figure 0007143066000003
Figure 0007143066000004
そして、図1(b)に示すように、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が所定の目標ピッチ角速度PRFTRGの値より大きい場合、制御部3は、後輪の接地点を中心として前輪の中心軸がリフトアップとは反対向きに移動するリフトダウン中であるリフトダウン状態にあると判断する。ここで、目標ピッチ角速度PRFTRGの値は、前輪のリフトアップと前輪のリフトダウンとが切り換わる境界値に対応するように定められている。そして、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が比較ピッチ角速度PRFLFTBの値より大きい場合には、制御部3は、急速なリフトダウン傾向にあると判断し、所定のリフトダウン抑制中用更新周期毎に、リフトアップ抑制中用操作量を後輪の駆動トルクに加算することにより、前輪のリフトダウンを抑制すべく後輪の駆動トルクを上げる(増加する)。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が比較ピッチ角速度PRFLFTBの値以下である場合には、制御部3は、緩慢なリフトダウン傾向にあると判断し、所定のリフトダウン抑制済用更新周期の毎に、リフトアップ抑制済用操作量を後輪の駆動トルクに加算することにより、前輪のリフトダウンを抑制している状態を維持すべく後輪の駆動トルクを保持又は微増する。
また、図1(b)に示すように、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が所定の目標ピッチ角速度PRFTRGの値以下である場合には、制御部3は、前輪がリフトアップ中であるリフトアップ状態にあると判断する。そして、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が比較ピッチ角速度PRFLFTBの値より大きい場合には、制御部3は、緩慢なリフトアップ傾向にあると判断し、所定のリフトアップ抑制済用更新周期毎に、リフトアップ抑制済用操作量を後輪の駆動トルクから減算することにより、前輪のリフトアップを抑制している状態を維持すべく後輪の駆動トルクを保持又は微減する。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAの値が比較ピッチ角速度PRFLFTBの値以下である場合には、制御部3は、急速なリフトアップ傾向にあると判断し、所定のリフトアップ抑制中用更新周期毎に、リフトアップ抑制中用操作量を後輪の駆動トルクから減算することにより、前輪のリフトアップを抑制すべく後輪の駆動トルクを下げる(減少する)。なお、このように操作量が加算又は減算される対象の後輪の駆動トルクは、典型的には、ピッチ角速度制御処理の主トルク制御処理の前回の処理ルーチンで、エンジン回転数や変速・駆動系の変速比やタイヤ系に応じて算出された値(典型的には最新の算出値)である。
また、制御部3は、初期トルク減衰処理が完了した時点から主トルク制御処理を開始することが好ましい。これにより、早期に前輪のリフトアップが解消され得る。
ここで、初期トルク減衰処理は、後輪の駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰(減少)させるものである。かかる目標駆動トルクは、前輪のリフトアップを前輪のリフトダウンに変化させる後輪の駆動トルクの値に対応する値を有するものとして予め定められている。詳しくは、目標駆動トルクは、初期トルク減衰処理が開始されるタイミングで、後輪速、前輪速及び後輪速間の差、アクセルグリップの開度、変速ギアの位置等に基づいて、制御部3により算出されるものである。
また、制御部3は、初期トルク減衰処理により、後輪の駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰(減少)させながら、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGに到達した時点で、主トルク制御処理を開始してもよい。これにより、後輪の駆動トルクの復帰が早まり、必要以上の駆動トルクの低下が抑制されて加速感が確保されドライバビリティが向上され得る。
また、制御部3は、初期トルク減衰処理により、後輪の駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰(減少)させていき、後輪の駆動トルクが目標駆動トルクに到達した時点又はそれから後輪の駆動トルクが目標駆動トルクに保持される状態が所定時間経過した時点で主トルク制御処理を開始してもよい。これにより、確実に駆動トルクが減衰されることによりリフトアップが解消され、自動二輪車の安定性が高められ得る。
以下、図2から図4を参照して、本実施形態におけるピッチ角速度制御処理及びその変形例を実行する際の制御部3の動作につき、詳細に説明する。
〔ピッチ角速度制御処理〕
まず、初期トルク減衰処理により、後輪の駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰(減少)させながら、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGに到達した時点で開始される主トルク制御処理を含むピッチ角速度制御処理につき、図2及び図4(a)を参照して、詳細に説明する。
図2は、本実施形態における制御部3が実行するピッチ角速度制御処理の流れを示すフローチャートである。また、図4(a)は、図2に示すピッチ角速度制御処理の流れを説明するためのピッチ角速度及び駆動トルク(駆動輪トルクと表記する)のタイミングチャートの一例である。
図2に示すフローチャートは、自動二輪車の図示を省略するイグニッションスイッチがオンされ、ピッチ角制御装置1が起動したタイミングで開始となり、ピッチ角速度制御処理はステップS1の処理に進む。ピッチ角速度制御処理は、自動二輪車が起動されてピッチ角制御装置1が起動されている間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値がゼロであるか否かを判別することにより、更新周期であるか否かを判別する。ここで、更新周期カウンタは、典型的には減算カウンタとしてのプログラムカウンタである。判別の結果、更新周期カウンタの値がゼロである場合(ステップS1:Yes)、制御部3は、更新周期であると判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS3の処理に進める。一方、更新周期カウンタの値がゼロでない場合には(ステップS1:No)、制御部3は、更新周期でないと判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS2の処理に進める。
ステップS2の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値を減算する。これにより、ステップS2の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS3の処理では、制御部3が、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRG以下であるか否かを判別する。判別の結果、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRG以下である場合(ステップS2:Yes)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS10の処理に進める。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGより大きい場合には(ステップS2:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS4の処理に進める。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t2において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGよりも大きくなり始めて前輪のリフトアップが終わり、前輪のリフトダウンが始まると共に初期トルク減衰処理が完了する。また、図4(a)に示す時刻t=t4において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRG以下になり始めて前輪のリフトアップが始まる。また、図4(a)に示す時刻t=t6において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGよりも大きくなり始めて前輪のリフトアップが終わり、前輪のリフトダウンが始まる。
ステップS4の処理では、制御部3が、初期トルク減衰要求フラグの値を「0」に設定(0クリア)する。ここで、初期トルク減衰要求フラグの値は、前輪リフト状態判定部2が、前輪速及び後輪速間の差、アクセルグリップの開度、変速ギアの位置等に基づいて、前輪がリフトアップ状態にあると判定した場合に「1」に設定されるものである。これにより、ステップS4の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS5の処理に進む。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t2において、初期トルク減衰要求フラグの値が「1」から「0」に設定(0クリア)されることになる。
ステップS5の処理では、制御部3が、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下であるか否かを判別する。判別の結果、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下である場合(ステップS5:Yes)、制御部3は、前輪のリフトダウンを抑制済みであると判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS8の処理に進める。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTBより大きい場合には(ステップS5:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS6の処理に進める。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t3において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下となり、前輪のリフトダウンは抑制済みになる。また、図4(a)に示す時刻t=t7において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下となり、前輪のリフトダウンは抑制済みになる。なお、図4(a)に示す時刻t=t7のあたりで前輪が接地することになる。
ステップS6の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値にリフトダウン抑制中用の更新周期に対応する値をセットする。これにより、ステップS6の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS7の処理に進む。
ステップS7の処理では、制御部3が、駆動輪トルクにリフトダウン抑制中用操作量を加算する。これにより、ステップS7の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS8の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値にリフトダウン抑制済用の更新周期に対応する値をセットする。これにより、ステップS8の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS9の処理に進む。
ステップS9の処理では、制御部3が、駆動輪トルクにリフトダウン抑制済用操作量を加算する。これにより、ステップS9の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS10の処理では、制御部3が、初期トルク減衰要求フラグの値が「1」であるか否かを判別することにより、初期トルク減衰要求中であるか否かを判別する。判別の結果、初期トルク減衰要求フラグの値が「1」である場合(ステップS10:Yes)、制御部3は、初期トルク減衰要求中であると判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS16の処理に進める。一方、初期トルク減衰要求フラグの値が「0」である場合には(ステップS10:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS11の処理に進める。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t1において、制御部3は、前輪リフト状態判定部2が、前輪速及び後輪速間の差、アクセルグリップの開度、変速ギアの位置等に基づいて、前輪がリフトアップ状態にあると判定したことにより設定された初期トルク減衰要求フラグの値が「1」であると判別し始めると共に、時刻t=t1からt2の間で初期トルク減衰要求フラグの値が「1」であると継続的に判別する。
ステップS11の処理では、制御部3が、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下であるか否かを判別する。判別の結果、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTB以下である場合(ステップS11:Yes)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS14の処理に進める。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTBより大きい場合には(ステップS11:No)、制御部3は、前輪のリフトアップを抑制済みであると判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS12の処理に進める。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t5において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが比較ピッチ角速度PRFLFTBよりも大きくなり、リフトアップ抑制済みになっている。
ステップS12の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値にリフトアップ抑制済用の更新周期に対応する値をセットする。これにより、ステップS12の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS13の処理に進む。
ステップS13の処理では、制御部3が、駆動輪トルクからリフトアップ抑制済用操作量を減算する。これにより、ステップS13の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS14の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値にリフトアップ抑制中用の更新周期に対応する値をセットする。これにより、ステップS14の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS15の処理に進む。
ステップS15の処理では、制御部3が、駆動輪トルクからリフトアップ抑制中用操作量を減算する。これにより、ステップS15の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS16の処理では、制御部3が、更新周期カウンタの値に初期トルク減衰処理用の更新周期に対応する値をセットする。これにより、ステップS16の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS17の処理に進む。
ステップS17の処理では、制御部3が、駆動輪トルクから初期トルク減衰処理用の操作量を減算する。これにより、ステップS17の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS18の処理に進む。
ステップS18の処理では、制御部3が、駆動輪トルクが運転者指示駆動輪トルク以下であるか否かを判別する。ここで、運転者指示駆動輪トルクは、アクセルポジションセンサ43によって検出されたアクセルグリップの開度に対応する目標駆動輪トルクのことを意味する。判別の結果、駆動輪トルクが運転者指示駆動輪トルク以下である場合(ステップS18:Yes)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS20の処理に進める。一方、駆動輪トルクが運転者指示駆動輪トルクより大きい場合には(ステップS18:Yes)、制御部3は、運転者による減速指示があったと判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS19の処理に進める。
ステップS19の処理では、制御部3が、駆動輪トルクを運転者指示駆動輪トルクに制御する。これにより、ステップS19の処理は完了し、一連のピッチ角速度制御処理は終了する。
ここで、図4(a)に示す時刻t=t8において、駆動輪トルク(実駆動輪トルクと表記する)が運転者指示駆動輪トルクに復帰している。
ステップS20の処理では、制御部3が、駆動輪トルクが目標駆動輪トルク以上であるか否かを判別する。ここで、目標駆動輪トルクは、前輪のリフトアップを解消するためのものであり、前輪のリフトアップを前輪のリフトダウンに変化させる駆動輪トルクに対応する。一方、駆動輪トルクが目標駆動輪トルク未満である場合には(ステップS20:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS21の処理に進める。
ステップS21の処理では、制御部3が、駆動輪トルクを目標駆動輪トルクに制御する。これにより、ステップS21の処理は完了し、一連のピッチ角速度制御処理は終了する。
以上の本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置1によれば、制御部3が、現在のピッチ角速度の変化の傾向を表す第1の値PRFLFTAと、第1の値PRFLFTAに比較して過去のピッチ角速度の変化の傾向を表す第2の値PRFLFTBと、に基づき、駆動トルクを制御するトルク制御処理を実行することにより、ピッチ角を制御するものであるため、自動二輪車のリフトアップを適切に抑制することが可能であると共に、その際の自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じることと抑制し、運転者が受ける違和感を低減することができる。
また、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置1によれば、制御部3が、第2の値PRFLFTBにおける前回値の影響度合いが第1の値PRFLFTAにおける前回値の影響度合よりも強められるように、第1の値PRFLFTA及び第2の値PRFLFTBを算出するものであるため、自動二輪車のピッチ角速度の変化の傾向を確実に把握することができる。
また、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置1によれば、制御部3が、駆動トルクを減衰させる初期トルク減衰処理が完了する時点で、トルク制御処理を開始するものであるため、早期にリフトアップを解消することができる。
また、本実施形態における自動二輪車のピッチ角制御装置1によれば、リフトアップと前輪のリフトダウンとが切り換わる境界値に対応するように目標ピッチ角速度PRFTRGが定められており、制御部3が、初期トルク減衰処理により、第1の値PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGに到達した時点で、トルク制御処理を開始するものであるため、駆動トルクの復帰を早めることができ、必要以上の駆動トルクの低下を抑えて加速感を確保しドライバビリティを向上することができる。
〔変形例におけるピッチ角速度制御処理〕
次に、初期トルク減衰処理により、後輪の駆動トルクを目標駆動トルクに向かって減衰(減少)させていき、後輪の駆動トルクが目標駆動トルクに到達した時点又はそれから後輪の駆動トルクが目標駆動トルクに保持される状態が所定時間経過した時点で開始される主トルク制御処理を含む変形例のピッチ角速度制御処理につき、図3及び図4(b)を参照して、詳細に説明する。
図3は、本実施形態における制御部3が実行するピッチ角速度制御処理の変形例の流れを示すフローチャートである。また、図4(b)は、図3に示すピッチ角速度制御処理の変形例の流れを説明するためのピッチ角速度及び駆動輪トルクのタイミングチャートの一例である。
本変形例のピッチ角速度制御処理においては、特に、図3に示すステップS36からステップS40の処理は、図2に示すステップS5からステップS9の処理と同じ一連のフローになり、図3に示すステップS41からステップS45の処理は、図2に示すステップS11からステップS15の処理と同じ一連のフローになり、ステップS46からステップS49の処理は、図2に示すステップS18からステップS21の処理と同じ一連のフローになるため、その説明は省略することとし、図2に対する相違点に特に着目して、以下、説明していく。
図3に示すフローチャートも、自動二輪車の図示を省略するイグニッションスイッチがオンされ、ピッチ角制御装置1が起動したタイミングで開始となり、ピッチ角速度制御処理はステップS31の処理に進む。ピッチ角速度制御処理は、自動二輪車が起動されてピッチ角制御装置1が起動されている間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS31の処理では、図2に示すステップS10の処理と同様に、制御部3が、初期トルク減衰処理を実行中であるか否かを判別する。判別の結果、初期トルク減衰処理を実行中である場合(ステップS31:Yes)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS32の処理に進める。一方、初期トルク減衰処理を実行中でない場合には(ステップS31:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS33の処理に進める。
ステップS32の処理では、制御部3が、駆動輪トルクを目標駆動輪トルクまで減算する。ここで、目標駆動輪トルクは、前輪のリフトアップを解消するためのものであり、前輪のリフトアップを前輪のリフトダウンに変化させる駆動輪トルクに対応する。目標駆動輪トルクは、後輪速、前輪速及び後輪速間の差、アクセルグリップの開度、変速ギアの位置等に基づいて算出される。これにより、ステップS32の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS46の処理に進む。
ここで、図4(b)に示す時刻t=t12において、駆動輪トルク(実駆動輪トルクと表記する)が目標駆動輪トルクに一致している。
ステップS33の処理では、図2に示すステップS1の処理と同様に、制御部3が、減算カウンタである更新周期カウンタの値がゼロであるか否かを判別することにより、更新周期であるか否かを判別する。判別の結果、更新周期カウンタの値がゼロである場合(ステップS33:Yes)、制御部3は、更新周期であると判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS35の処理に進める。一方、更新周期カウンタの値がゼロでない場合には(ステップS33:No)、制御部3は、更新周期でないと判断し、ピッチ角速度制御処理をステップS34の処理に進める。
ステップS34の処理では、図2に示すステップS2の処理と同様に、制御部3が、更新周期カウンタの値を減算する。これにより、ステップS34の処理は完了し、ピッチ角速度制御処理はステップS46の処理に進む。
ステップS35の処理では、図2に示すステップS2の処理と同様に、制御部3が、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRG以下であるか否かを判別する。判別の結果、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRG以下である場合(ステップS35:Yes)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS41の処理に進める。一方、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGより大きい場合には(ステップS35:No)、制御部3は、ピッチ角速度制御処理をステップS36の処理に進める。
ここで、図4(b)に示す時刻t=t13において、基準ピッチ角速度PRFLFTAが目標ピッチ角速度PRFTRGよりも大きくなり始めて前輪のリフトアップが終わり、前輪のリフトダウンが始まると共に初期トルク減衰処理が完了する。なお、図4(b)に示す時刻t=t12からt13の期間では、駆動輪トルク(実駆動輪トルク)を目標駆動輪トルクに一致させた状態が維持されている。
また、図3に示すステップS36からステップS40の処理は、図2に示すステップS5からステップS9の処理と同じ内容になり、図3に示すステップS41からステップS45の処理は、図2に示すステップS11からステップS15の処理と同じ内容になり、ステップS46からステップS49の処理は、図2に示すステップS18からステップS21の処理と同じ内容になる
以上の本変形例おける自動二輪車のピッチ角制御装置1によれば、リフトアップを前輪のリフトダウンに変化させる駆動トルクに対応する目標駆動トルクが定められており、制御部3が、初期トルク減衰処理により、駆動トルクが目標駆動トルクに到達した時点又はそれ以降に、トルク制御処理を開始するものであるため、確実に駆動トルクを減衰させることによりリフトアップを解消させ、自動二輪車の安定性を高めることができる。
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明は、自動二輪車のリフトアップを適切に抑制することが可能であると共に、その際の自動二輪車にジャーク等の不自然な挙動が生じることと抑制し、運転者が受ける違和感を低減することが可能な自動二輪車のピッチ角制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等の駆動力制御装置に広く適用され得るものと期待される。
1…自動二輪車のピッチ角制御装置
2…前輪リフト状態判定部
3…制御部
41…クランクセンサ
42…ギアポジションセンサ
43…アクセルポジションセンサ
44…前輪速センサ
45…後輪速センサ
46…加速度センサ
51…インジェクタ
52…点火装置
53…スロットル弁

Claims (4)

  1. 後輪を駆動輪とし前輪を従動輪とする自動二輪車の前記駆動輪の駆動トルクを制御することにより、前記前輪のリフトアップによるピッチ角の増加を抑制するように前記ピッチ角を制御する制御部を有する自動二輪車のピッチ角制御装置において、
    前記制御部は、現在のピッチ角速度の変化の傾向を表す第1の角速度の値と、前記第1の値に比較して過去のピッチ角速度の変化の傾向を表すと共に前回値の影響度合いが前記第1の値における前回値の影響度合よりも強められた第2の角速度の値と、を算出し、
    前記制御部は、
    前記前輪が、後輪の接地点を中心として記前輪の中心軸が前記リフトアップとは反対向きに移動する前記前輪のリフトダウンの状態にある際に、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値よりも大きい場合には、前記駆動トルクを増加し、一方で、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値以下である場合には、前記駆動トルクを保持又は微増し、
    かつ、前記前輪が前記リフトアップの状態にある際に、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値よりも大きい場合には、前記駆動トルクを保持又は微減し、一方で、前記第1の角速度の前記値と前記第2の角速度の前記値とを比較して、前記第1の角速度の前記値が前記第2の角速度の前記値以下である場合には、前記駆動トルクを減少するトルク制御処理を実行することにより、前記ピッチ角を制御することを特徴とする自動二輪車のピッチ角制御装置。
  2. 前記前輪の前記リフトアップの状態を前記前輪のリフトダウンの状態に変化させる前記駆動トルクに対応する目標駆動トルクが定められており、
    前記制御部は、前記前輪が前記リフトアップの状態にあるときに開始されて前記駆動トルクを前記目標駆動トルクに向かって減衰させる初期トルク減衰処理が完了する時点で、前記トルク制御処理を開始することを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のピッチ角制御装置。
  3. 前記前輪の前記リフトアップの状態と前記前輪のリフトダウンの状態とが切り換わる境界値に対応するように目標ピッチ角速度が定められており、
    前記制御部は、前記初期トルク減衰処理の実行中に前記第1の角速度の値が目標ピッチ角速度に到達した時点で、前記トルク制御処理を開始することを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車のピッチ角制御装置。
  4. 前記制御部は、前記初期トルク減衰処理により、前記駆動トルクが前記目標駆動トルクに到達した時点又はそれ以降に、前記トルク制御処理を開始することを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車のピッチ角制御装置。
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