以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すように、水栓装置100は、導水管110と、水栓機構120と、浄水部130と、カバー部材140と、吐水構造1とを備える。導水管110は、例えば流し台の上に設けられており、流し台の下方で水道配管に接続されている。導水管110は、流し台から上方に突出し、緩やかな曲線を描いて下方に折り返しており、その端部から水道水を下方に吐出する。
水栓機構120は、導水管110の基部に設けられている。水栓機構120は、レバー121を有しており、レバー121の回動に応じて導水管110の入口部分を開閉する。
浄水部130は、導水管110の先端側に設けられており、カートリッジ収容筒131(図3参照)と、カバー132と、切り替えボタン134とを有する。カートリッジ収容筒131は、導水管110の一部をなす筒状部材であり、浄水カートリッジ133を収容する。カバー132は、カートリッジ収容筒131の外表面を覆い、外観を平滑化する筒状の装飾部材である。切り替えボタン134は、カートリッジ収容筒131の上部に設けられ、カバー132の外に露出している。カートリッジ収容筒131内には、切り替えボタン134の操作に応じて原水と浄水とを切り替える機構(不図示)が内蔵されている。
図2及び図3に示すように、吐水構造1は、継手部材10と、操作部20と、を有している。継手部材10及び操作部20は、カバー部材140(図1参照)に覆われている。カバー部材140は、後述の吐水構造1の吐水口形成部材60と連動して回動可能であってもよい。吐水構造1は、導水管110の端部からの吐水状態を調整する。吐水構造1は、吐水方向DR1に沿う軸線を中心に設けられた略筒状の部材を組み合わせて構成される。
継手部材10は、カートリッジ収容筒131の先端部に着脱自在に取り付けられ、浄水カートリッジ133をカートリッジ収容筒131内に保持する。カートリッジ収容筒131の先端部に取り付けられた継手部材10は、導水管110の端部に設けられた継手部を構成する。継手部材10は、例えば金属材料又は樹脂材料により構成可能である。製造コスト削減の観点では、樹脂材料を用いることが好ましい。樹脂材料としては、例えばABS樹脂が挙げられる。
継手部材10は、外筒部11と、外筒部11の内側に設けられる内筒部12と、後述の操作部本体との接続が行われる接続部13と、ガイド筒部14とを有する。
外筒部11及び内筒部12は、それぞれ筒状であり、カートリッジ収容筒131の下端部と嵌合可能とされている。内筒部12は、外筒部11の内側に設けられていて、両者の間に円環状の溝が形成されている。また、内筒部12の内側には雌ねじ12aが形成されていて、例えば、上側のカートリッジ収容筒131に設けられる雄ねじを組み付け可能であってもよい。
接続部13は、外筒部11及び内筒部12の下側に連なり、後述の操作部本体の上端部が取り付けられる。接続部13は、筒状部であり、内側に雌ねじ13aが形成されている。
ガイド筒部14は、内筒部12の下側に連なる筒状部である。ガイド筒部14は、接続部13の内側に設けられていて、上下方向に延びている。接続部13とガイド筒部14とは、吐水方向DR1に対して直交する円環状の面であって、後述の操作部20の上流側部材30の上端部を受ける受け面15によって接続されている。ガイド筒部14の内部は、内筒部12の内部と連通している。ガイド筒部14の内部は、外筒部11及び内筒部12の間の空間、及び、内筒部12の内側の空間と連通可能なように、受け面15よりも上側の内筒部12に設けられた複数の開口12bを介して、内筒部12の内側と外側(すなわち、外筒部11及び内筒部12の間の空間)とが連通している。
上記の構造を有していることにより、ガイド筒部14の内側が、上側から下側に連なって継手部材10を貫通する導水孔として機能する。ガイド筒部14の内側の導水孔は、カートリッジ収容筒131内を通った水を下流側に通す。
操作部20は、上流側部材30と、シャワー形成部材40と、内栓部材50と、吐水口形成部材60と、ストッパー70と、中央口形成部材80と、を有する。操作部20のうち、シャワー形成部材40、内栓部材50、吐水口形成部材60及び中央口形成部材80は、吐水方向DR1に沿う軸線を中心に回動自在となるように、継手部材10の下流側に設けられている。操作部20の回動中心は、継手部材10の中心軸CL1に一致している。
図2及び図4等に示すように、上流側部材30は、取付部31と、本体部32と、包囲壁部33と、を有する。上流側部材30は、ネジ構造に強度が求められるため、ある程度の強度を有する材料であることが好ましく、例えば、樹脂材料または金属材料を用いることができる。製造コスト削減の観点から樹脂材料を選択することができる。また、成形の容易性の観点から熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、成形が容易な材料として、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、POM(ポリアセタール)が挙げられる。このうち、強度が高い材料としてPOMが好適に用いられる。
取付部31は、筒状部であり、その内周面は後述の本体部32の内周面と連続した凹部37を形成している。取付部31は、継手部材10の接続部13の内側に入り込むとともに、継手部材10のガイド筒部14に対して下方から被さる。すなわち、ガイド筒部14は取付部31の上端から凹部37内に挿入される。取付部31の外周面には雄ねじ31aが形成されていて、接続部13の雌ねじ13aに対して組み付けられる。
本体部32は、取付部31の内周面と連続した開口を有する略カップ状の部材である、その外径が取付部31よりも大きくされている。本体部32の外周面には、外周面から外方へ突出するフランジ部35と、周方向に沿って延びる溝36aと、が設けられている。フランジ部35は、外径が本体部32の外径よりも大きく、継手部材10側とは逆側の下面35aは、上流側部材30に対して取付けられる吐水口形成部材60の上端が当接する。溝36は、後述のストッパー70が収容される凹部であり、ストッパー70の形状に対応した複数の溝36を有している。
取付部31及び本体部32の内側には取付部31の上端から連続する凹部37が設けられる。凹部37の底面を形成する底板37aには、複数の貫通孔37bが形成されている。
包囲壁部33は、本体部32から下方に延びる筒状部である。包囲壁部33の外径は本体部32の外径と比べて、後述のシャワー形成部材40の厚さに対応する分だけ僅かに小さくされている。包囲壁部33の外周面には、周方向に沿って1周にわたって外周面に形成されてOリングR1を収容する溝36bと、溝36bよりも下側に形成された雄ねじ33aと、が設けられる。
包囲壁部33の内周面は下側に開口した凹部38となっている。また、凹部38の底面は、凹部37の底面と同じく底板37aにより形成されている。すなわち、凹部37と凹部38とは、底板37aの貫通孔37bによって連通している。また、底板37aの凹部38側の面には、下方へ突出する円環状の突出部39が設けられる。この突出部39は、後述の内栓部材50と当接する。
シャワー形成部材40は、上流側部材30の包囲壁部33の外周側において、上流側部材30に対して組み付け可能とされているとともに、上流側部材30の下側を覆うような形状を有している。また、シャワー形成部材40は、吐水方向DR1に沿って、上流側部材30と後述の吐水口形成部材60との間に設けられる。
図2及び図5等に示すように、シャワー形成部材40は、取付部41と、内筒部42と、接続部43と、を有している。シャワー形成部材40は、ある程度の強度を有する材料であることが好ましく、例えば、樹脂材料または金属材料を用いることができる。製造コスト削減の観点から樹脂材料を選択することができる。また、成形の容易性の観点から熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、成形が容易な材料として、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、POM(ポリアセタール)が挙げられる。このうち、強度を有しながら成形が容易な材料として、POMが好適に用いられる。
取付部41は、筒状であり、その内周面は上流側部材30の包囲壁部33の外周面に形成された雄ねじ33aに対して組み付け可能な雌ねじ41aが設けられている。雄ねじ33a及び雌ねじ41aにより、シャワー形成部材40は上流側部材30に対して回動可能に支持される。また、上流側部材30に対して回動することにより、シャワー形成部材40は、上流側部材30に対して上下方向(吐水方向DR1、継手部材10の中心軸CL1の延在方向)に相対位置を変更することができる。
内筒部42は、取付部41の内側に形成される筒状の部材である。内筒部42の径は、上流側部材30の底板37aに形成された円環状の突出部39と略一致している。内筒部42の内周面には上下方向に延びる複数の溝42aが形成されている(図5(b),図7参照)。本実施形態で説明する内筒部42の場合、周方向に沿って等間隔に3つの溝42aが形成されている。この溝42aは、後述の吐水口形成部材60との嵌合に用いられる。詳細は後述する。
また、内筒部42の上方には、後述の内栓部材50を取付けるための段差部42bが外周面に設けられていて、段差部42bよりも上方では、内筒部42の外径が小さくなっている。さらに、上端(段差部42bよりも上方)には、周方向に沿って等間隔となるように複数の(本実施形態では4つの)溝42cが形成されている。この溝42cは、吐水構造1に対して水を流通させた際の水の流れを調整する機能を有する。
接続部43は、シャワー形成部材40の下流側(下側)で取付部41と内筒部42とを接続する。接続部43は、取付部41から内側に突出する複数のボス形成部44と、複数のボス形成部44を内側で支持する円環部45と、円環部45と、内筒部42とを接続する複数の傾斜部46と、を有する。
複数のボス形成部44は、取付部41から所定の間隙を持ってそれぞれ径方向内側に突出する部材である。周方向に沿って隣接するボス形成部44同士は離間しているため、隣接するボス形成部44の間には上流側から下流側へ貫通した貫通孔44aが形成される。本実施形態に係るシャワー形成部材40では、6つのボス形成部44が周方向に沿って等間隔に離間して設けられている(図5(a)参照)。また、6つのボス形成部44は、それぞれ径方向に沿って中程に下方に突出するボス44b(凸部)を有する。ボス44bは、上下方向で見たときに、取付部41の下端よりも下方に突出する(図2、図5(b)参照)。ボス形成部44、貫通孔44a及びボス44bは、シャワー形成部材40において後述のシャワー吐水孔を形成するシャワー形成部として機能する。
ボス44bは、シャワー形成部材40が上流側部材30に対して下方へ移動したときに、後述の吐水口形成部材60に設けられた開口に対して入り込む。このシャワー形成部材40の移動によってシャワー吐水孔が形成される。詳細は、後述する。
円環部45は、ボス形成部44よりも内側に設けられ、複数のボス形成部44の内側端部を連結するように設けられる。円環部45の外径は、内筒部42よりも大きくされている。また、傾斜部46は、円環部45と内筒部42とを接続するように複数設けられる。傾斜部46は略棒状の部材であり、所定の間隙を持ってそれぞれ円環部45から径方向内側且つ上方に向かって突出し、円環部45側の端部と逆側の端部が内筒部42に対して接続している。隣接する傾斜部46同士は離間しているため、隣接する傾斜部46の間にはスリット46a(開口部)が形成される。本実施形態に係るシャワー形成部材40では、12個の傾斜部46が周方向に沿って等間隔に離間して設けられている(図5(a),(b)参照)。
上記のシャワー形成部材40では、取付部41及び内筒部42に加えて、傾斜部46も、吐水方向DR1にほぼ沿った方向で延びている。したがって、取付部41、内筒部42及び傾斜部46はシャワー形成部材40における筒状部に対応する。
内栓部材50は、シャワー形成部材40の内筒部42の上方に取付けられる略円環状の部材である。具体的には、内栓部材50が内筒部42の外周面に設けられた段差部42bに対して当接した状態で、内筒部42の段差部42bよりも上方に取付けられることで、内筒部42の段差部42bよりも下方の外周面と、内栓部材50の外周面とが上下方向に沿ってみたときに連続した直線状となる(図2参照)。内栓部材50は、シャワー形成部材40の移動に伴って、上流側部材30の突出部39と当接する。図2では、内栓部材50が上流側部材30の突出部39と当接した状態を示している。内栓部材50は、例えば、弾性を有するエラストマー材料を用いることができる。
吐水口形成部材60は、上流側部材30及びシャワー形成部材40を覆うように取付けられる。図2及び図6等に示すように、吐水口形成部材60は、吐水方向DR1に沿って延びる外筒部61と、吐水口形成部62と、内筒部63と、を有する。吐水口形成部材60は、シャワー形成部材40との係合部分に負荷がかかりやすいことから、ある程度の強度を有する材料であることが好ましく、例えば、樹脂材料または金属材料を用いることができる。製造コスト削減の観点から樹脂材料を選択することができる。また、成形の容易性の観点から熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、成形が容易な材料として、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、POM(ポリアセタール)が挙げられる。このうち、収縮率が小さく、成形性が優れた材料として、ABS樹脂が好適に用いられる。
外筒部61は、上流側部材30の本体部32(フランジ部35よりも下方)及びシャワー形成部材40の取付部41の外側に取付け可能な外径を有する筒状部である。外筒部61の上端が上流側部材30のフランジ部35の下面35aに対して当接する状態で、外筒部61は、上流側部材30に対してストッパー70により固定される。そのため、外筒部61は、周方向に沿った溝61aを有する。溝61aは、外筒部61の周方向に沿って外周のうち約2/3周ほどに形成される。また、溝61aは、吐水口形成部材60を上流側部材30に対して取り付けた際に、取付部31の溝36と重なる位置に設けられる。また、溝61aの内部には、後述のストッパー70の形状に対応した開口61bが設けられる(図6参照)。本実施形態では、3つの開口61bが設けられている。
外筒部61の下端部、すなわち、吐水方向DR1に対する下流側には、外筒部61から径方向内側へ突出する円環板状の吐水口形成部62が設けられる。吐水口形成部62は、吐水構造1において、上流側部材30及びシャワー形成部材40よりも下流側であり、吐水構造1において最下流側に設けられる板状の部材である。吐水口形成部62には、円周状に所定の間隙を有して設けられた複数(本実施形態では6つ)の略円弧状の開口62aが設けられている。隣接する開口62aの間には、径方向外側(外筒部61側)と径方向内側(内筒部63側)とを接続するリブ62bが設けられる。本実施形態の場合、円周状に配置された6つの開口62aの間には、6つのリブ62bが設けられる。換言すると、複数の開口62a同士は、それぞれ複数のリブ62bによって区切られている。このうち、1つおきに設けられた3つのリブ62bには、径方向に沿って中央部が盛り上がった山部62cが形成されている。山部62cのように、リブ62bの上流側の端面が平坦ではなく傾斜していると、当該面に異物等が残留しづらくなる。
内筒部63は、吐水口形成部62の内側に設けられる筒状部である。内筒部63の外径は、シャワー形成部材40の内筒部42の内径と略一致する。したがって、組み立てた際には、内筒部63の外周面は、シャワー形成部材40の内筒部42の内周面と当接する。また、内筒部63の外周面には、上下方向に延びる複数の突出部63aが形成されている(図6,図7参照)。内筒部63の場合には、周方向に沿って等間隔に3つの突出部63aが形成されている。3つの突出部63aは、それぞれ、3つのリブ62bに形成された山部62cから連続している。この突出部63aは、シャワー形成部材40との嵌合に用いられる。詳細は後述する。
内筒部63の内周面の下方側には雌ねじ63bが形成される。雌ねじ63bは、後述の中央口形成部材80との組み付けに用いられる。
ストッパー70は、上流側部材30に対して吐水口形成部材60を回動可能に取付けるために用いられる。ストッパー70は、円弧状の支持部71と、支持部71から径方向内側に突出する3つの突出部72と、を有する。ストッパー70は、例えば、樹脂材料または金属材料を用いることができる。
支持部71は、吐水口形成部材60の外筒部61に形成された溝61aに収容可能な大きさとされる。また、突出部72は、支持部71の両端と中央付近に、支持部71から径方向内側へ突出するように形成される。突出部72の大きさは、吐水口形成部材60の外筒部61に設けられた開口61bに対応した形状とされる。同時に、突出部72は、吐水口形成部材60を上流側部材30の本体部32に対して取り付けて、ストッパー70を吐水口形成部材60の溝61aに取り付けた際に、突出部72が開口61bを貫通し、上流側部材30の溝36aに対して入り込む程度の大きさとされる。開口61bの大きさは、ストッパー70を吐水口形成部材60の溝61aに取り付けた際に、突出部72が開口61b内で移動しない程度とされる。
中央口形成部材80は、筒状の本体部81を有する。本体部81の外径は、吐水口形成部材60の内筒部63に形成された雌ねじ63bに対応していて、本体部81の外周面には、雌ねじ63bに対応する雄ねじ81aが形成されている(図3参照)。雌ねじ63b及び雄ねじ81aにより中央口形成部材80が吐水口形成部材60の内筒部63内の下端に組み付けられる。中央口形成部材80の内周面は、ストレート吐水口OP1として機能する。中央口形成部材80は、例えば、樹脂材料または金属材料を用いることができる。
水栓装置100は、上記の各部材を組み立てることにより形成される。組み立て順序は特に限定されないが、例えば、以下の方法で組み立てることができる。内栓部材50が取り付けられたシャワー形成部材40と、中央口形成部材80が取り付けられた吐水口形成部材60と、を嵌合させて一体化する。これを、OリングR1が包囲壁部33に取り付けられた上流側部材30に対して被せるように取り付けて、ストッパー70によりこれらを固定する。さらに、上流側部材30の取付部31に対して継手部材10を組み付けることにより、吐水構造1を得ることができる。そして、吐水構造1に対してカバー部材140を取り付けるとともに、上流側の導水管110、水栓機構120、及び浄水部130と組み合わせることで、水栓装置100を得ることができる。
上記の吐水構造1では、ストッパー70により上流側部材30と吐水口形成部材60とが回動可能に保持されている。また、吐水構造1では、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とが嵌合されて、一体的に動作する。
シャワー形成部材40と吐水口形成部材60との嵌合について、図7~図9を参照しながら説明する。図7は、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とを嵌合させた状態での断面図(図2のVII-VII線に対応する断面図)である。図8は、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とを嵌合させた状態での一部破断斜視図である。図9は、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とを嵌合させた状態での下面図である。
シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とは、図7に示すように、シャワー形成部材40の内筒部42の内周面に形成された上下方向に延びる複数の溝42aに対して、吐水口形成部材60の内筒部63の外周面に形成された上下方向に延びる複数の突出部63aが嵌合する。したがって、継手部材10の中心軸CL1に一致している回動中心を軸心として上流側部材30に対して吐水口形成部材60を回動させると、吐水口形成部材60の回動に追随して、シャワー形成部材40も回動可能とされている。
また、図8及び図9に示すように、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とを嵌合させた状態では、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対応する位置(上方)に、シャワー形成部材40の接続部43を構成するボス形成部44が配置している。したがって、図9に示すように、円周に沿って、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に含まれるリブ62bと、シャワー形成部材40のボス形成部44と、が交互に配置している状態となる。
上記のように、シャワー形成部材40と吐水口形成部材60とが嵌合している状態で、継手部材10の中心軸CL1に一致している回動中心を軸心として上流側部材30に対して吐水口形成部材60を回動させると、吐水口形成部材60とともにシャワー形成部材40も回動中心を軸心として回動する。上流側部材30と吐水口形成部材60との間にはOリングR1が介在しているため、吐水口形成部材60の回動はスムーズに行われる。
シャワー形成部材40は、取付部41の内周面に設けられた雌ねじ41aが、上流側部材30の包囲壁部33の外周面に設けられた雄ねじ33aと組み付けられた状態で回動中心を軸心として回動する。この回動により、シャワー形成部材40は、上下方向に移動することで、吐水方向(吐水口形成部材60の外筒部61の延在方向)に沿って吐水口形成部材60との相対位置を変更可能とされる。また、回動に伴って、シャワー形成部材40は、上下方向に移動する。図2に示す吐水構造1において、上流側部材30に対して吐水口形成部材60を所定の方向に回動した場合、シャワー形成部材40は、上記の雌ねじ41aと雄ねじ33aとの組み付けにより、上流側部材30から離間する方向に移動する。その結果、図10に示すように、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対して、シャワー形成部材40の接続部43を構成するボス形成部44のボス44bが入り込む状態まで移動可能とされる。また、図10に示す吐水構造1において、上流側部材30に対して吐水口形成部材60を上記の所定の方向とは逆の方向に回動した場合、シャワー形成部材40は、上記の雌ねじ41aと雄ねじ33aとの組み付けにより、上流側部材30に対して近付く方向に移動し、図2に示す状態まで移行することができる。
本実施形態に係る水栓装置100における吐水構造1は、図2に示す状態と、図10に示す状態とを切り替えることで、ストレート吐水とシャワー吐水との切り替えを行うことができる。
図2に示す状態では、吐水構造1からの吐水はストレート状となる。具体的には、吐水方向DR1に沿って継手部材10のガイド筒部14内から上流側部材30の本体部32内に投入される水は、凹部37から底板37aに設けられた貫通孔37bを経て凹部38側へ移動する。ここで、凹部38内では、図2に示すように、上流側部材30の底板37aに形成された円環状の突出部39が、シャワー形成部材40の内筒部42の段差部42bに対して取り付けられた円環状の内栓部材50と当接している。したがって、凹部38内に流れた水は、突出部39及び内栓部材50よりも外側へは移動せず、シャワー形成部材40の内筒部42の内周面に沿って下方へ移動する。この結果、中央口形成部材80の内周面側のストレート吐水口OP1から下方へ吐出される。ストレート吐水口OP1から吐出された水は、一本にまとまって下方へ流れるため、吐水がストレート状となる。すなわち、上流側からストレート吐水口OP1までのストレート吐水のための流路が形成される。
一方、図10に示す状態では、吐水構造1からの吐水はシャワー状となる。具体的には、吐水方向DR1に沿って継手部材10のガイド筒部14内から上流側部材30の本体部32内に投入される水は、凹部37から底板37aに設けられた貫通孔37bを経て凹部38側へ移動する。ここまでは、図2に示す状態と同じである。
ここで、凹部38内では、図10に示すように、上流側部材30の底板37aに形成された円環状の突出部39と、シャワー形成部材40の内筒部42の段差部42bに対して取り付けられた円環状の内栓部材50とが離間している。これは、シャワー形成部材40が上流側部材30に対して下方へ移動したことによる。このため、凹部38内に流れた水の一部は、突出部39及び内栓部材50よりも外側へ移動し、上流側部材30の包囲壁部33の内周面と、シャワー形成部材40の内筒部42の外周面との間を下方へ移動する。上流側部材30の包囲壁部よりも下側に移動した水は、吐水口形成部材60の外筒部61の内周面にも沿って、下側へ移動する。図10に示す状態では、上述したように、吐水口形成部材60の下端の吐水口形成部62では、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対して、シャワー形成部材40の接続部43を構成するボス形成部44のボス44bが入り込んでいる。その結果、図9に示すように、吐水口形成部62の開口62aと、ボス形成部44の貫通孔44aとが重なる位置に、シャワー形成部材40及び吐水口形成部材60を貫通する開口が形成される。この開口が、シャワー吐水孔OP2となる。
図10に示す状態では、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対して、シャワー形成部材40の接続部43を構成するボス形成部44のボス44bが入り込むことにより、複数のシャワー吐水孔OP2が形成される。突出部39及び内栓部材50よりも外側へ移動した水は、このシャワー吐水孔OP2から下方へ吐出される。複数のシャワー吐水孔OP2から吐出された水は、それぞれ個別に下方へ流れるため、吐水がシャワー状となる。すなわち、上流側からシャワー吐水孔OP2までのシャワー吐水のための流路が形成される。
シャワー吐水孔OP2から吐出される水の大きさは、吐水口形成部62の開口62aと、ボス形成部44の貫通孔44aとが重なる領域の大きさによって制御される。すなわち、吐水口形成部62の開口62aとボス形成部44の貫通孔44aとの重なりにより形成されるシャワー形成部材40及び吐水口形成部材60を貫通する開口の大きさが小さくなるように、貫通孔44a及び開口62aの配置を設計することで、各シャワー吐水孔OP2から吐出される水の径(水流の大きさ)を小さくすることができる。
また、吐水方向DR1に沿ったシャワー吐水孔OP2の長さによって、シャワー吐水孔OP2から吐水される水の飛散具合を制御することができる。すなわち、開口62aの厚さ、及び、開口62aに入り込むボス44bの長さ(上下方向に沿ったボス44bの長さ)を大きくしてシャワー吐水孔OP2を形成した場合、シャワー吐水孔OP2から吐出される水の吐出方向をより細かく制御することができ、飛散具合を小さくすることができる。ただし、少なくとも開口62aにボス44bの一部が入り込んだ状態とすることで、シャワー吐水に適したシャワー吐水孔OP2を形成することができる。
なお、図10に示す状態においても、突出部39及び内栓部材50よりも内側へ流れる水が存在する。この内側へ流れる水は、図2に示す状態と同様に、中央口形成部材80の内周面側のストレート吐水口OP1から下方へ吐出されるため、吐水がストレート状となる。すなわち、図10に示す状態では、ストレート吐水口OP1から吐出されるストレート状の吐水と、複数のシャワー吐水孔OP2から吐出されることにより形成されるシャワー状の吐水と、の両方が存在する。ストレート吐水口OP1の周囲を囲むように、円環状にシャワー吐水孔OP2が配置していて、シャワー吐水孔OP2から吐出される水は外方に飛散しやすい。図10に示すように、ストレート吐水口OP1及びシャワー吐水孔OP2の両方から水が吐出されている状態についても、本実施形態では、吐水構造1から吐出される水がシャワー状であるとする。すなわち、少なくともシャワー吐水孔OP2からシャワー状の水が吐出されている状態を、シャワー吐水状態という。
本実施形態に係る水栓装置100における吐水構造1では、ストレート吐水からシャワー吐水への切り替えを行う際に、上記の通り、シャワー形成部材40が上下方向に移動することにより、シャワー吐水孔OP2付近の開口の形状が変化する。そのため、上流側の継手部材10のガイド筒部14からシャワー吐水孔OP2へ流れる経路上に異物が混入した場合、シャワー吐水孔OP2へ向かう流路を移動する水を利用してシャワー吐水孔OP2を形成する吐水口形成部62の開口62aと、ボス形成部44の貫通孔44aとを通過させて系外へ排出することが可能となる。
従来のシャワー吐水を行う吐水構造を含む水栓装置では、所定の径を有する貫通孔が複数設けられた散水板に対して水を通過させて外部へ排出することで、シャワー状の水を吐水する。散水板の貫通孔の径は、シャワー吐水における水の大きさに対応させてある程度小さく設計されることが多く目詰まりを起こしやすい。また、この従来の吐水構造を流れる水に、スケール等の異物が混入した場合、散水板の貫通孔の目詰まりを引き起こす可能性が高くなる。目詰まりを起こした散水板を元の状態に復帰させるためには、何らかの方法により目詰まりが発生している貫通孔またはその上流の異物を除去する必要がある。しかしながら、従来の吐水構造では、目詰まりを復帰させるためには、異物の除去を行うための作業を別途行う必要があった。このように、従来の吐水構造では、目詰まりに対するメンテナンスのための作業を行うことが求められていた。
これに対して、本実施形態に係る水栓装置100における吐水構造1では、ストレート吐水とシャワー吐水とを切り替える際に、シャワー形成部材40及び吐水口形成部材60の上下方向の相対位置が変化する。この相対位置の変化により、シャワー吐水孔OP2となる開口の大きさが変化する。具体的には、ストレート吐水を行っている際、すなわち、吐水構造1が図2に示す状態の際には、凹部38内に流れた水は、突出部39及び内栓部材50よりも外側のシャワー吐水孔側へは移動しない。ただし、この状態では、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対して、シャワー形成部材40のボス形成部44のボス44bが入り込んでいない。この状態から、吐水構造1を図10に示す状態に変化させる際、シャワー形成部材40が下方へ移動し、吐水口形成部材60側へ移動するにつれて、突出部39と内栓部材50との間に隙間が生じ、突出部39及び内栓部材50よりも外側への水の流れが発生する。このシャワー吐水への移行段階では、図10等に示すように吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aに対して、シャワー形成部材40のボス形成部44のボス44bが入り込んでいない状態でありながら、水が流れる状態が発生するため、吐水構造1内部のシャワー吐水孔OP2の上流側の異物は吐水口形成部62に設けられた開口62aから排出されやすくなる。そのため、水栓装置100における吐水構造1では、シャワー吐水孔OP2またはその上流での異物の滞留を減らすことができ、シャワー吐水孔OP2での目詰まり自体を減らすことができる。
また、仮にシャワー吐水孔OP2が形成された状態、すなわち、図10に示す状態でシャワー吐水孔OP2の一部に目詰まりが発生したとしても、シャワー吐水からストレート吐水へ切り替える段階で、シャワー吐水孔OP2を形成する開口の大きさが変化する。シャワー吐水からストレート吐水への切り替え段階では、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62aからシャワー形成部材40のボス形成部44のボス44bが離間する(出ていく)状態が発生する。シャワー吐水孔OP2となる開口は、吐水口形成部材60とシャワー形成部材40との組み合わせによって形成されている。したがって、吐水口形成部材60及びシャワー形成部材40の相対的な位置関係が変化することにより、シャワー吐水孔OP2の開口を形成する部材間の相対的な位置関係が変化する。したがって、仮にシャワー吐水孔OP2に対して何らかの異物が付着していて目詰まりが発生したとしても、開口の形状(大きさ)が変化することに伴って外れやすくなり、外部へ排出されやすくなる。
このように、本実施形態に係る水栓装置100における吐水構造1によれば、シャワー形成部材40が吐水口形成部材60に対して近接した際に、シャワー形成部材40に含まれるシャワー形成部の複数のボス44b(凸部)がそれぞれ吐水口形成部材の吐水口形成部62に設けられた開口62aのいずれかに入り込む。これにより、吐水口形成部62の開口62aとシャワー形成部の貫通孔44aとが重なる位置に複数のシャワー吐水孔OP2が形成されて、シャワー吐水の流路が形成される。一方、シャワー形成部材40が上流側部材30に近接してストレート吐水を行う際には、複数のボス44bは、吐水口形成部62の開口62aから離間する。このように、ストレート吐水とシャワー吐水との切り替えを行う際に複数のシャワー吐水孔OP2に対応する開口の形状(特に、大きさ)が変化する。したがって、水栓装置100における吐水構造1では、シャワー吐水孔OP2よりも上流側に異物が存在した場合にも、シャワー吐水孔OP2の形状の変化を利用して異物を下流側に排出することが可能となる。したがって、異物等による目詰まりの発生を防ぐことが可能となる。
上記のシャワー吐水孔OP2に対応する開口の形状の変化は、水の流路の形状の変化を引き起こすため、開口へ向かう上流側の水の流れを変化させる。したがって、水の流れの変化によって、吐水構造1を構成する上流側の各部材の周辺に滞留する異物の移動を促すことができるため、シャワー吐水孔OP2における異物による目詰まりの発生、またはその上流側での異物の滞留を防ぐことができる。
また、上記の水栓装置100における吐水構造1では、吐水口形成部材60において外筒部61と内筒部63との間を接続する複数のリブ62bによって区切られることで、吐水口形成部62に複数の開口62aが形成されている。また、シャワー形成部材40の下流側端部に設けられたボス44bが上記の開口62aの一部を区切るように開口62aに入り込む構造とされている。このような構造とすることにより、吐水口形成部材60に対するシャワー形成部材40の移動に伴って、シャワー吐水孔OP2を形成する部材の相対位置が変化する。すなわち、シャワー吐水孔OP2の少なくとも一部は、吐水口形成部材60に含まれる部材と、シャワー形成部材40に含まれる部材とによって構成される。このような構成とした場合、シャワー吐水孔OP2の形状が変更する。したがって、シャワー吐水孔OP2の周囲の異物がシャワー吐水孔OP2付近に固着することを防ぐことができ、目詰まりの発生がさらに防止される。
また、上記の水栓装置100における吐水構造1では、図9に示すように、ボス44bが、複数の開口62aのうちの一の開口62aに入り込み、開口62aを2つの区画に分割している。より具体的には、開口62aから略同一の2つの区画を形成する。これにより、ボス44bによって形成された区画それぞれがシャワー吐水孔OP2を形成している。このように、ボス44bによって開口62aを2つの区画に分割する構成である場合、分割された開口62aの上流側には、貫通孔44aが位置するため、それぞれがシャワー吐水孔OP2として機能する。このような構成とした場合、複数のシャワー吐水孔OP2のそれぞれにおいて、シャワー吐水孔OP2を形成する部材の相対位置が変化する。したがって、シャワー吐水孔OP2の周囲の異物がシャワー吐水孔OP2付近に固着することがより防がれて、目詰まりの発生が防止される。
また、上記の水栓装置100における吐水構造1では、シャワー形成部材40を構成する筒状部において、複数の傾斜部46同士の間にスリット46a(開口部)が形成されている。このように、シャワー形成部材40において、シャワー形成部を構成する下流側端部以外の筒状部にも開口部が形成されている場合、シャワー形成部材40内に滞留する異物が下流側、すなわち、吐水口形成部材60の吐水口形成部62側へ移動しやすくなる。すなわち、内外を連通する開口部を利用して、シャワー形成部材40のシャワー形成部等の近傍に異物が滞留した場合でも異物を下流側へ移動させることができる。そのため、下流側からの異物の排出を好適に行うことができる。したがって、吐水構造1の内部からの異物の排出を好適に行うことができ、目詰まりの発生がさらに抑制される。
また、上記の水栓装置100における吐水構造1では、シャワー形成部材40が上方(上流側)へ移動して上流側部材30に対して近接した際に、複数のボス44bの端部が吐水口形成部62よりも上流側に離間して位置する。このため、吐水口形成部62に設けられた開口62aの近傍の空間が大きく確保される。したがって、シャワー形成部材40が上流側部材30側に移動した際に、吐水口形成部62の開口62aからの異物の排出を好適に行うことができ、目詰まりの発生がさらに抑制される。
(変形例)
上記実施形態で説明した吐水構造1を含む水栓装置100は、各部の構成を適宜変更することができる。
例えば、継手部材10、上流側部材30、シャワー形成部材40、内栓部材50、吐水口形成部材60、ストッパー70、中央口形成部材80の形状は上記実施形態に限定されず、種々の変更をすることができる。また、水栓装置100の吐水構造1以外の各部の構造、すなわち、導水管110、水栓機構120、浄水部130、及び、カバー部材140等についても、形状・配置等を適宜変更することができる。
また、継手部材10、上流側部材30、シャワー形成部材40、内栓部材50、吐水口形成部材60、ストッパー70、中央口形成部材80の組み付け構造は、上記実施形態で説明したように雄ねじ・雌ねじを用いていなくてもよく、部位に応じて適宜変更することができる。
また、吐水構造1は、少なくとも上流側部材30、シャワー形成部材40、及び、吐水口形成部材60を含んでいればよい。その他の部材の一部を省略してもよいし、また、他の部材で代替した構成としてもよい。例えば、内栓部材50を省略し、内栓部材50に対応する部分をシャワー形成部材40によって構成してもよい。
また、継手部材10、上流側部材30、シャワー形成部材40、内栓部材50、吐水口形成部材60、ストッパー70、中央口形成部材80の組み付け構造は、上記実施形態で説明したように雄ねじ・雌ねじを用いていなくてもよく、部位に応じて適宜変更することができる。
また、シャワー吐水孔OP2の形状及び配置は特に限定されない。上記実施形態では、吐水口形成部材60において、6本のリブ62bによって略円環状に6つの開口62aが配置されている例を示したが、リブ62bの数は適宜変更することができる。リブ62bの数を減らすことで開口62aの面積を大きくすることができるが、吐水口形成部材60のうち特に吐水口形成部62付近の強度が低下することも考えられる。したがって、強度等にも基づいて開口62a及びリブ62bの配置を変更することができる。
また、リブ62bを設けずに円環状の開口62aを1つ設ける構成としてもよい。さらに、上記実施形態では、開口62aが1重の略円環状に配置されている例を示したが、開口62aは、2重以上の略円環状に配置されていてもよい。
また、上記実施形態で説明したように、吐水口形成部材60の吐水口形成部62に設けられた開口62a対してシャワー形成部材40のボス44bが入り込み、且つシャワー形成部材40の貫通孔44aと開口62aとが重なる位置にシャワー吐水孔OP2が形成される。したがって、シャワー吐水孔OP2が所望の大きさに形成されるように、ボス44b及び貫通孔44aの配置を適宜変更することができる。
また、シャワー形成部材40の傾斜部46等の形状についても適宜変更することができる。上記実施形態ではシャワー形成部材40に傾斜部46が設けられた場合について説明したが、傾斜部46は設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態では、シャワー吐水孔OP2とストレート吐水口OP1とは互いに異なる位置に形成される場合について説明し、ストレート吐水のための流路とシャワー吐水のための流路とが互いに異なる場合について説明したが、ストレート吐水のための流路とシャワー吐水のための流路とは同じ流路となるように設計してもよい。例えば、シャワー形成部材40が上流側部材30に対して近接している状態でも、上流側部材30の突出部39及び内栓部材50の外側へ水が可能な状態として、上流側部材30の包囲壁部33の内周面と、シャワー形成部材40の内筒部42の外周面との間を水が流れるような構成とする。この場合、吐水口形成部材60の開口62aに対応した形状で水が吐水口形成部62から下方へ吐出される。開口62aの大きさがシャワー吐水孔OP2よりも十分大きくすることで、開口62aから吐出される水は実質的にストレート吐水状態とすることができる。このような構成とした場合、吐水構造1のようにストレート吐水口OP1を中央に設けなくても、ストレート吐水及びシャワー吐水の両方を実現することができる。
このように、本実施形態で説明した吐水構造1を含む水栓装置100は適宜変更することができる。