JP7141307B2 - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的の一つは、低温時の増圧性能低下を抑制できるブレーキ制御装置を提供することにある。
図1は実施形態1におけるブレーキ制御装置1の斜視図、図2は実施形態1のブレーキ制御装置1の構成図である。
ブレーキ制御装置1は、車輪を駆動する原動機として内燃機関(エンジン)のみを備えた一般的な車両のほか、内燃機関に加えて電動式のモータ(ジェネレータ)を備えたハイブリッド車や、電動式のモータのみを備えた電気自動車等に搭載されている。ブレーキ制御装置1は、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)に設置され、ホイルシリンダ2の液圧に応じて作動するディスクブレーキを有する。ブレーキ制御装置1は、ホイルシリンダ2の液圧を調整することにより、各車輪FL~RRに制動力を付与する。
第1ユニット1Aと第2ユニット1Bは一体的に設けられ、1つのユニットとして車両に設置されている。第1ユニット1Aは、ストロークシミュレータ7を有するストロークシミュレータユニットである。第2ユニット1Bは、マスタシリンダ5と各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)の後述する制動力付与部であるホイルシリンダ2との間に設けられるモータ211を備える液圧ユニット8とコントロールユニット9からなる液圧制御装置である。第3ユニット1Cは、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bとは別体に設けられ、第1ユニット1Aおよび第2ユニット1Bとは空間的に離れて車両に設置されている。第3ユニット1Cは、後述するドライバのブレーキ操作の入力を受けるブレーキ操作部材であるブレーキペダル3と機械的に接続されるブレーキ操作ユニットであり、マスタシリンダ5、リザーバタンク6を有するマスタシリンダユニットである。
ブレーキペダル3は、ドライバのブレーキ操作の入力を受けるブレーキ操作部材である。操作ロッドであるプッシュロッド4は、ブレーキペダル3の操作に応じてストロークする。マスタシリンダ5は、プッシュロッド4のストロークにより作動し、ブレーキ液圧(マスタシリンダ液圧)を発生する。
ポンプ21は、リザーバタンク6からブレーキ液を吸入し、ホイルシリンダ2へ向けて吐出する。ポンプ21は、例えばプランジャポンプである。モータ211は、例えばブラシ付きモータである。遮断弁12等は、制御信号に応じて開閉動作し、液路11等の連通状態を切り替えることにより、ブレーキ液の流れを制御する。
コントロールユニット9は、液圧ユニット8の作動を制御する。コントロールユニット9には、ストロークセンサ60および液圧センサ35~37から送られる検出値に加え、車両側から送られる走行状態に関する情報(車輪速等)が入力される。コントロールユニット9は、入力された各種情報に基づき、内蔵されるプログラムに従って情報処理を行い、ホイルシリンダ2の目標ホイルシリンダ液圧を演算する。
吸入配管16は、リザーバタンク6とハウジング8aに形成された内部リザーバ17とを接続する。液路18は、内部リザーバ17とポンプ21の吸入側とを接続する。液路19は、ポンプ21の吐出側と、液路11bにおける遮断弁12とソレノイドイン弁13との間とを接続する。液路19は、P系統の液路19PとS系統の液路19Sとに分岐する。両液路19P,19Sは液路11P,11Sに接続する。両液路19P,19Sは、液路11P,11Sを互いに接続する連通路として機能する。
ポンプ21は、リザーバタンク6から供給されるブレーキ液により液路11に液圧を発生させてホイルシリンダ液圧を発生させる。ポンプ21は、液路19および液路11P,11Sおよびホイルシリンダ配管120を介してホイルシリンダ2a~2dと接続しており、液路19にブレーキ液を吐出することでホイルシリンダ2を加圧する。
液路22は、両液路19P,19Sの分岐点と液路23とを接続する。液路22には、調圧弁24が設けられている。調圧弁24は、常開型の電磁比例弁である。
液路26は、P系統の液路11aから分岐してストロークシミュレータ7の正圧室711に接続する。なお、液路26が、液路11P(11a)を介さずにプライマリ液圧室52Pと正圧室711とを直接的に接続するようにしてもよい。
液路27は、ストロークシミュレータ7の背圧室712および液路11P(11b)間を接続する。具体的には、液路27は、液路11P(11b)における遮断弁12Pとソレノイドイン弁13との間から分岐して背圧室712に接続する。
液路27は、ストロークシミュレータイン弁28によって、背圧室712側の液路27Aと液路11側の液路27Bとに分離されている。ストロークシミュレータイン弁28をバイパスして液路27と並列にバイパス液路29が設けられている。バイパス液路29は、液路27Aおよび液路27B間を接続する。バイパス液路29にはチェック弁30が設けられている。チェック弁30は、液路27Aから液路11(27B)側へ向うブレーキ液の流れを許容し、逆方向へのブレーキ液の流れを抑制する。
液路31は、ストロークシミュレータ7の背圧室712および液路23間を接続する。
液路11Pにおける遮断弁12Pとマスタシリンダ5との間(液路11a)には、この箇所の液圧(マスタシリンダ液圧)を検出するマスタシリンダ液圧センサ35が設けられている。
液路11における遮断弁12とソレノイドイン弁13との間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ液圧)を検出するホイルシリンダ液圧センサ(P系統圧センサ、S系統圧センサ)36が設けられている。
液路19におけるポンプ21の吐出側と連通弁20との間には、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する吐出圧センサ37が設けられている。
一方、遮断弁12が閉弁した状態で、ポンプ21を含み、リザーバタンク6およびホイルシリンダ2間を接続するブレーキ系統(液路19、液路22、液路23等)は、第2の系統を構成する。この第2の系統は、ポンプ21を用いて発生させた液圧によりホイルシリンダ液圧を発生させる、いわゆるブレーキバイワイヤ装置を構成し、ブレーキバイワイヤ制御として倍力制御等を実現可能である。ブレーキバイワイヤ制御時、ストロークシミュレータ7は、ドライバのブレーキ操作に伴う操作反力を生成する。
図3は、ブレーキ液加熱処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、所定周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、ブレーキ液が低温状態であるか否かを判断する低温状態判断処理を実行する。詳細は後述する。
ステップS2では、ブレーキ液の加熱処理を実施するか否かを判断するブレーキ液加熱判断処理を実行する。詳細は後述する。
ステップS3では、ステップS2でブレーキ液の加熱処理を実施すると判断された場合(後述するブレーキ液加熱処理実施フラグFHがセットされている場合)、液圧ユニット8のアクチュエータを駆動する。具体的には、遮断弁12および調圧弁24を開弁方向に作動させ、連通弁20を閉弁方向に作動させた状態、つまり、遮断弁12、調圧弁24および連通弁20を非通電状態とした上でモータ211を所定の回転数で回転駆動させる。
ステップS4では、公知の手法を用いてブレーキ液の温度を推定する。例えば、モータ211の電流値から推定してもよい。
ステップS11では、ブレーキ液が低温状態であることを示す低温状態フラグFLがセット(FL=1)されているかを判定する。YESの場合はステップS12へ進み、NOの場合はステップS14へ進む。
ステップS12では、ブレーキ液の推定温度が所定温度以上であるかを判定する。YESの場合はステップS13へ進み、NOの場合は本処理を終了する。
ステップS13では、低温状態フラグFLをクリア(FL=0)する。
ステップS14では、ブレーキ液が低温状態であるかを判定する。YESの場合はステップS15へ進み、NOの場合は本処理を終了する。図5は、実施形態1のマスタシリンダ5における、ペダルストロークに対するマスタシリンダ液圧の特性図である。低温時は常温時と比べてブレーキ液の粘度が高いため、同じペダルストロークに対してマスタシリンダ液圧はより高い値となる。よって、ペダルストロークとマスタシリンダ液圧との関係が、図5に示す低温状態判断特性よりも下側のエリアに位置する場合には、ブレーキ液が低温状態と判定する。
ステップS15では、低温状態フラグFLをセットし、本処理を終了する。
ステップS21では、各種ブレーキ制御における液圧制御要求がないかを判定する。YESの場合はステップS22へ進み、NOの場合はステップS24へ進む。
ステップS22では、低温状態フラグFLがセットされているかを判定する。YESの場合はステップS23へ進み、NOの場合はステップS24へ進む。
ステップS23では、ブレーキ液加熱処理の実施判断を示すブレーキ液加熱処理実施フラグFHをセット(FH=1)し、本処理を終了する。
ステップS24では、ブレーキ液加熱処理実施フラグFLをクリア(FH=0)し、本処理を終了する。
時刻t1では、ドライバがブレーキ操作を開始したため、コントロールユニット9は、倍力制御を開始する。倍力制御では、遮断弁12および調圧弁24を閉弁方向に作動させ、連通弁20を開弁方向に作動させ、モータ211を所定回転数で回転駆動(ON)する。
時刻t2では、常温時のペダルストロークに対するマスタシリンダ液圧よりも大きなマスタシリンダ液圧が発生したため、ブレーキ液加熱処理では、ブレーキ液が低温状態であると判定し、低温状態フラグFLをセットする(S15)。なお、倍力制御中であるため、液圧制御要求があると判定し、ブレーキ液加熱処理実施フラグFHをクリアする(S24)。
時刻t3では、ドライバのブレーキ操作の終了と同時に倍力制御が終了するため、液圧制御要求がないと判定し、ブレーキ液加熱処理実施フラグFHをセットする(S23)。これにより、モータ211の回転駆動を継続し、ブレーキ液を加熱する(S3)。常温時には倍力制御の終了時点からブレーキ液の推定温度は徐々に低下するのに対し、低温時には倍力制御の終了時点した後もモータ211の回転駆動を継続するため、時刻t3以降、ブレーキ液の推定温度は徐々に上昇する。
時刻t4では、ブレーキ液の推定温度が所定温度以上となったため、ブレーキ液は低温状態でないと判定し、低温状態フラグFLをクリアする(S13)。これにより、ブレーキ液加熱処理実施フラグFHをクリアするため、モータ211を停止してブレーキ液加熱処理を終了する。ブレーキ液の低温状態は解消されているため、次回のブレーキ操作時において、ブレーキ操作に対する増圧応答性の低下は生じない。
従来のブレーキ制御装置では、低温時には常温時の減速度に近づくようにペダルストロークに応じた目標減速度を補正しているものの、低温によるブレーキ液の粘性増加のため、増圧応答には限界があり、ドライバのブレーキ操作に対して増圧応答性が低下するおそれがあった。
これに対し、実施形態1のブレーキ制御装置1では、ブレーキ液の温度に関する温度情報を取得し、取得された温度情報が所定温度よりも低いとき(ブレーキ液が低温状態にあるとき)、モータ211を駆動させる信号をモータ211へ出力する。モータ211を回転駆動させることにより、モータ211が発生する熱でブレーキ液を加熱できるため、低温時の増圧性能低下を抑制できる。
コントロールユニット9は、ホイルシリンダ2の液圧制御(各種ブレーキ制御)が終了したのちに、モータ211を駆動させる信号をモータ211へ出力してブレーキ液を加熱する。これにより、車両の走行中、液圧制御に干渉することなく、かつ、減速度に影響を与えることなく、モータ211を駆動してブレーキ液を加熱できる。
液圧ユニット8は、液路11Pのうち遮断弁12とマスタシリンダ5との間の液路11Aから分岐して設けられた液路26と、液路26と接続される正圧室711と、正圧室711とピストン71により仕切られる背圧室712と、を有するストロークシミュレータ7と、を備える。ブレーキ液が低温状態の場合、ストロークシミュレータ7の反力特性も変化するため、常温時に対してペダルフィールが変化し、ドライバに違和感を与えるおそれがある。ストロークシミュレータ7を備えた液圧ユニット8において、ブレーキ液加熱処理を実施することにより、ストロークシミュレータ7のブレーキ液も加熱できるため、低温に起因するペダルフィールの変化を抑制できる。
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、低温状態の判断(温度情報の取得)方法は、ペダルストロークに対するマスタシリンダ液圧に限定されず、モータ、電磁弁等の電圧値と電流値との関係、液圧センサ等のセンサが持つ温度情報とその組み合わせから判断してもよい。
2 ホイルシリンダ(制動力付与部)
5 マスタシリンダ
7 ストロークシミュレータ
9 コントロールユニット
11 液路(接続液路)
12 遮断弁
21 ポンプ
26 液路(シミュレータ液路)
211 モータ
711 正圧室(第1室)
712 背圧室(第2室)
FL~RR 車輪
Claims (4)
- マスタシリンダと、ブレーキ液圧に応じて車輪に制動力を付与する制動力付与部と、を接続する接続液路と、
前記接続液路に設けられた遮断弁と、
前記接続液路のうちの前記遮断弁と前記制動力付与部との間の液路にブレーキ液を供給するポンプと、
前記ポンプを作動させるモータと、
前記ブレーキ液の温度に関する温度情報を取得し、取得された前記温度情報が所定温度よりも低いとき、前記モータを駆動させる信号を前記モータへ出力するコントロールユニットと、
を備え、
前記温度情報は、ブレーキペダルのストロークに対する前記マスタシリンダの液圧に基づいて取得される、
ブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記制動力付与部の液圧制御が終了したのちに、前記モータを駆動させる信号を前記モータへ出力する、
ブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記遮断弁に前記遮断弁を開弁する信号を出力した状態で、前記モータを駆動させる信号を前記モータへ出力する、
ブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置は、
前記接続液路のうちの前記遮断弁と前記マスタシリンダとの間の液路から分岐して設けられたシミュレータ液路と、
前記シミュレータ液路と接続される第1室と、前記第1室とピストンにより仕切られる第2室と、を有するストロークシミュレータと、
を備えるブレーキ制御装置。
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JP2020069808A JP2020069808A (ja) | 2020-05-07 |
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JP2005262996A (ja) | 2004-03-17 | 2005-09-29 | Hitachi Ltd | 車両の制動制御装置 |
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