以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1~図5は、本発明の第1の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットを示す。このバッテリー収容ユニットは、自動車の車体の下部に図2に示されるバッテリー4を収容するものであって、図1に示される容器本体10、蓋20、内部底壁30、複数の底壁補強材40、複数の内部補強材50、複数のクロスメンバー60、及び一対のサイドシル連結部材70を備える。
前記バッテリー収容ユニットは、前記車体の下部を構成する左右のサイドシル2同士の間に配置される。前記左右のサイドシル2は、例えばドアピラーの下方の位置で前後方向に延びるように配置される。
前記容器本体10は、上向きに開口する形状を有し、前記蓋20とともに、前記バッテリー4を収容するためのバッテリー容器を構成する。前記バッテリー4は、この実施の形態では複数のバッテリーモジュール6により構成される。それぞれのバッテリーモジュール6は複数のバッテリーセルの集合体である。前記バッテリー容器は、前記複数のバッテリーモジュール6が水平方向に配列された状態でこれらを収容する。
前記容器本体10は、アルミニウム合金からなる深絞り成形品により構成される。具体的に、この実施の形態に係る前記容器本体10は、底壁12と周壁14とを一体に有するように、アルミニウム合金の中では成形性に優れた5000系アルミニウム合金によって深絞り成形されたものである。前記容器本体10は、より好ましくは、5000系アルミニウム合金の中でも特に成形性に優れた5000系O調質材からなる深絞り成形品により構成される。前記のように底壁12と周壁14とが一体に連続する深絞り成形品からなる容器本体10は、従来のように底壁と周壁とが別部材で構成されるものと異なり、複雑なシール構造を要することなく高い防水性を有すること、すなわち、当該容器本体10内への水の浸入を防ぐこと、が可能である。
前記底壁12は平板状をなし、略矩形の平面形状を有する。前記容器本体10は、前記底壁12が略水平となる姿勢で前記車体に組み込まれる。具体的には、前記一対のサイドシル連結部材70を介して前記右及び左サイドシル2に取付けられる。
前記周壁14は、前記底壁12の周縁から上向きに立ち上がるように当該底壁12と一体につながる。当該周壁14は、前記底壁12の上方の空間であって平面視で略矩形状の容器内空間の下半部を囲む形状を有する。具体的に、当該周壁14は、右側壁14a、左側壁14b、前側壁14f及び後側壁14rを一体に有する。前記右側壁14a及び前記左側壁14bは、前記車体の左右方向について前記容器内空間の右側及び左側にそれぞれ位置して前記車体の前後方向に延びる。前記前側壁14f及び前記後側壁14rは、前記車体の前後方向について前記容器内空間の前側及び後側にそれぞれ位置して前記車体の左右方向に延びる。
前記周壁14は、複数の隅部を有する。当該複数の隅部は、この実施の形態では、右前隅部14fa、左前隅部14fb、右後隅部14ra及び左後隅部14rbであり、それぞれが前記容器本体10の深さ寸法だけ、すなわち前記周壁14の高さ寸法だけ、上下方向に延びる。前記右前隅部14faは前記前側壁14fと前記右側壁14aとの境界部分であり、当該右前隅部14faにおいて前記前側壁14fの右端部と前記右側壁14aの前端部とが一体につながる。前記左前隅部14fbは前記前側壁14fと前記左側壁14bとの境界部分であり、当該左前隅部14fbにおいて前記前側壁14fの左端部と前記左側壁14bの前端部とが一体につながる。前記右後隅部14raは前記後側壁14rと前記右側壁14aとの境界部分であり、当該右後隅部14raにおいて前記後側壁14rの右端部と前記右側壁14aの後端部とが一体につながる。前記左後隅部14rbは前記後側壁14rと前記左側壁14bとの境界部分であり、当該左後隅部14rbにおいて前記後側壁14rの左端部と前記左側壁14bの後端部とが一体につながる。
また、前記容器本体10は、前記底壁12の周縁と前記周壁14の下縁との境界部分である底壁周縁境界部13を有する。当該底壁周縁境界部13は、前記底壁12の右縁と前記右側壁14aとの境界部分と、前記底壁12の左縁と前記左側壁14bとの境界部分と、前記底壁12の前縁と前記前側壁14fとの境界部分と、前記底壁12の後縁と前記後側壁14rとの境界部分と、を含む。
前記容器本体10では、当該容器本体10の深絞り成形の際に皺や破断が生じることを回避するために、前記複数の隅部14fa,14fb,14ra,14rb及び前記底壁周縁境界部13にR形状が与えられる。すなわち、当該複数の隅部14fa,14fb,14ra,14rb及び前記底壁周縁境界部13の内側面が外向きに凸の曲面となるように容器本体10が成形されている。前記曲面の曲率半径は、前記深絞り成形の条件に応じて設定される。特に、前記複数の隅部14fa,14fb,14ra,14rbのそれぞれの下端と前記底壁周縁境界部13の四隅との接続部分、換言すれば、前記隅部14fa,14fb,14ra,14rbの下端部、である容器底隅部15(図3)にはさらに大きな曲率半径が与えられる。図3は前記容器底隅部のうち前記右後隅部14raの下端部に相当する容器底隅部15を示している。
前記蓋20は、前記容器本体10の上側で前記容器内空間を覆うように当該容器本体10に装着される。この実施の形態に係る前記蓋20は、天壁22と周壁24とを一体に有する。前記天壁22は、前記容器本体10の前記底壁12の平面形状に対応した平面形状(この実施の形態では略矩形状)を有する。前記周壁24は、前記容器本体10の前記周壁14の平面形状に対応した平面形状(この実施の形態では略矩形状)を有し、前記天壁22の周縁から下方に突出するように当該周縁と一体につながる。
前記蓋20の周壁24の下縁部及び前記容器本体10の前記周壁14の上縁部からはそれぞれ外向きにフランジ部26,16が突出し、これらのフランジ部26,16が上下方向に互いに突き合わされた状態で互いに着脱可能に結合される。図例では両フランジ部26,16同士が図示しないシール材を介して複数のボルト28により締結される。前記容器内空間は、前記蓋20の前記天壁22と前記容器本体10の前記底壁12との間の空間であって、前記蓋20および前記容器本体10の周壁24,14によって囲まれた空間である。
前記蓋20の材質は特に限定されない。当該蓋20は、例えば、5000系アルミニウム合金からなる板材、好ましくは5000系アルミニウム合金のO調質材、をプレス成形することにより製造されることが可能である。
前記内部底壁30は、平板状をなし、前記容器本体10の内部において前記底壁周縁境界部13、すなわち前記R形状が与えられた部分、の上側に底壁12と平行な姿勢で配置される。前記内部底壁30は、前記周壁14の内側面の平面形状に対応する形状の周縁部を有し、当該周縁部が当該周壁14の内側面に溶接等の手段で接合される。これにより、当該内部底壁30は図4,図5に示されるようなバッテリー収容空間Sb、すなわち前記容器内空間の一部であって前記バッテリー4を収容するための空間、の下端面を画定する。すなわち、当該内部底壁30の上に前記バッテリー収容空間Sbが形成される。詳しくは、前記バッテリー4を構成する前記複数のバッテリーモジュール6が水平方向に並びながら前記内部底壁30の上に載置された状態で前記容器本体10及び前記蓋20からなる前記バッテリー容器内に収容されることが可能である。
前記内部底壁30の材質は特に限定されない。しかし、当該内部底壁30は、前記容器本体10のように複雑な形状を有することを要求されず、例えば平板のように単純な形状を有することが許容されるので、5000系アルミニウム合金のO調質材よりも成形性が低くて高い強度を有するアルミニウム合金、例えば5000系アルミニウム合金のH調質材、さらには、5000系アルミニウム合金よりも成形性が低くて高い強度を有するアルミニウム合金、例えば6000系アルミニウム合金、からなる板材により構成されることが可能である。これらのことは、前記内部底壁30の上に載置される前記バッテリー4のより確実な保護を可能にする。
前記容器内空間において前記底壁周縁境界部13の上側に前記内部底壁30が配置されることにより、当該内部底壁30の上面と前記蓋20の天壁22の下面との間の前記バッテリー収容空間Sbに加え、図4及び図5に示されるように前記内部底壁30の下面と前記底壁12の上面との間に下側保護空間Suが画定される。この下側保護空間Suは、路面から前記底壁12に加えられる荷重、一般には上向きの荷重、を受け止め、あるいはその衝突エネルギーを吸収することにより、当該荷重による衝撃が前記内部底壁30の上に配置されたバッテリー4に伝わるのを抑制することが可能である。
前記複数の底壁補強材40は、前記下側保護空間Su内に配置されて前記内部底壁30の下面と前記底壁12の上面との間に介在する底壁補強部を構成する。当該複数の底壁補強材40は、前記介在により、前記内部底壁30の下面と前記底壁12の上面との間隔の保持に寄与する。換言すれば、前記複数の底壁補強材40は、前記底壁12が前記荷重によって上向きすなわち前記内部底壁30に近づく向きに変形するのを抑止する。また、その荷重がさらに大きい場合には、前記複数の底壁補強材40が圧壊変形して衝突エネルギーを吸収することにより、前記内部底壁30の上に配置された前記バッテリー4の損傷を防止する。
前記複数の底壁補強材40のそれぞれは、前記底壁12および前記内部底壁30に沿った特定の長手方向に直線状に延び、当該複数の底壁補強材40が前記長手方向と直交する配列方向に間隔をおいて配置されている。この実施の形態において、前記長手方向は車体の前後方向であり、前記配列方向は車体の左右方向である。
前記複数の底壁補強材40のそれぞれは、その長手方向について一様な断面を有する。具体的に、それぞれの底壁補強材40は、第1対向部である右側対向部41と、第2対向部である左側対向部42と、中間対向部44と、第1連結部である右側連結部45と、第2連結部である左側連結部46と、を一体に有する。前記右側及び左側対向部41,42は、前記内部底壁30の下面と上下方向に対向しかつ当該下面と接触可能な(好ましくは溶接等の手段で接合される)上面をそれぞれ有する内部底壁対向部であり、前記長手方向と直交する方向である左右方向に互いに間隔をおいてそれぞれが当該長手方向に延びる。前記中間対向部44は、前記底壁12の上面すなわち裏面と上下方向に対向しかつ当該上面と接触可能な(好ましくは溶接等の手段で接合される)下面を有する底壁対向部であり、前記右側対向部41と前記左側対向部42との中間位置で前記長手方向に延びる。前記右側連結部45は前記中間対向部44の右側端部と前記右側対向部41の左側端部(内側端部)とを上下方向に連結し、前記左側連結部46は前記中間対向部44の左側端部と前記左側対向部42の右側端部(内側端部)とを上下方向に連結する。
前記底壁補強材40は、前記右側対向部41及び前記左側対向部42が前記底壁対向部に相当し、逆に前記中間対向部44が前記内部底壁対向部に相当するような断面形状を有していてもよい。
このような一様断面を有する底壁補強材40は、例えば7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成されることが可能である。このことは、当該底壁補強材40が高い強度及び剛性を有することを可能にする。前記7000系アルミニウム合金は、例えば5000系または6000系アルミニウム合金に比べて応力腐食割れが生じやすい性質を有するが、前記底壁補強材40は前記のように防水性に優れた容器本体10の内部に配置されるので、当該底壁補強材40が7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成されていてもその応力腐食割れを有効に抑止することが可能である。
前記底壁補強部は、前記複数の底壁補強材40に代わり、前記下側保護空間Suの略全域に広がる大きさの単一の底壁補強材により構成されることも可能である。当該単一の底壁補強材は、例えば、前記底壁12の上面と前記内部底壁30の下面とに交互に接触するような波状断面をもつ板材により構成されることが可能である。当該板材は、例えば5000系アルミニウム合金からなる板材のプレス成形品により構成されることが可能である。
前記複数の内部補強材50は、前記内部底壁30の上側で前記周壁14の内側に当該周壁14に沿うように配置され、これにより前記バッテリー容器を内側から補強する。当該複数の内部補強材50のそれぞれは、一方向に直線状に延びる形状を有し、前記容器本体10に固定される。好ましくは、前記周壁14の内側面及び前記内部底壁30の上面に溶接等の手段で接合される。
この実施の形態に係る前記複数の内部補強材50は、右内部補強材50A、左内部補強材50B、前内部補強材50F及び後内部補強材50Rを含む。前記右内部補強材50Aは前記右側壁14aに沿うように当該右側壁14aの内側すなわち左側に配置される。前記左内部補強材50Bは前記左側壁14bに沿うように当該左側壁14bの内側すなわち右側に配置される。前記前内部補強材50Fは前記前側壁14fに沿うように当該前側壁14fの内側すなわち後側に配置される。前記後内部補強材50Rは前記後側壁14rに沿うように当該後側壁14rの内側すなわち前側に配置される。以下の説明において、「複数の内部補強材50」は前記右内部補強材50A、前記左内部補強材50B、前記前内部補強材50F及び前記後内部補強材50Rの総称として用いられる。
前記複数の内部補強材50のそれぞれは、前記バッテリー収容空間Sbに収容されるバッテリー4と前記周壁14との間に介在するように配置される。換言すれば、前記容器内空間のうち前記内部底壁30の上側で前記複数の内部補強材50により囲まれる空間が前記バッテリー収容空間Sbを構成する。当該バッテリー収容空間Sbは、前記バッテリー4を構成する前記複数のバッテリーモジュール6が縦横に(車体の前後方向及び左右方向に)配列された状態で当該複数のバッテリーモジュール6を収容することが可能な大きさ及び形状(この実施の形態では平面視略矩形状)を有する。
前記複数の内部補強材50のそれぞれは、7000系アルミニウム合金により形成される。好ましくは、前記複数の内部補強材50A,50B,50F,50Rのそれぞれは7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成される。このことは、前記内部補強材50A,50B,50F,50Rのそれぞれが特定の長手方向に直線状に延び、かつ、当該長手方向に一様な断面形状を有することを可能にする。このような形状は、前記複数の内部補強材50のそれぞれが前記周壁14に沿うようにその内側に効率よく配置され、かつ、当該周壁14の内側面及び前記内部底壁30の上面に接合されることを容易にする。また、前記内部補強材50A,50B,50F,50Rの内側に広いバッテリー収容空間Sbを囲みながらこれに収容されるバッテリー4を有効に保護することが可能である。前記内部補強材50を構成する7000系アルミニウム合金としては、特に強度の高い(例えば0.2%耐力が300MPa以上の)ピーク時効材(T5調質材)が用いられることが好ましい。
前記のように、7000系アルミニウム合金は5000系または6000系アルミニウム合金に比べて応力腐食割れが生じやすい特性を有するが、前記複数の内部補強材50は前記のように防水性に優れた容器本体10の内部に配置されているので、当該複数の内部補強材50が7000系アルミニウム合金からなるものであっても、その応力腐食割れを有効に抑止することが可能である。
この実施の形態に係る前記複数の内部補強材50のそれぞれは、図4に示すように内部空間を囲む中空断面を有し、具体的には、前記内部空間を囲む外壁52と、横リブ54と、を有する。前記外壁52は、この実施の形態では縦長の略矩形状をなし、前記内部空間の右側、左側、上側及び下側のそれぞれに位置する右壁52a、左壁52b、上壁52c及び下壁52dを含む。前記横リブ54は、前記内部補強材50の横断面における上下方向中間の高さ位置で前記内部空間を水平方向に横切るように配置され、前記右壁52a及び前記左壁52bの上下方向中間部位にそれぞれつながる両端部を有する。このような中空断面を有する前記内部補強材50は、車両の軽量化に寄与しながら、上下方向に厚みを有して前記内部空間を水平方向に横切る前記横リブ54を含むことにより、水平方向の荷重に対して十分耐え得る強度を有することができる。
この実施の形態に係る前記複数の内部補強材50のそれぞれは、前記容器内空間のうち前記内部底壁30の上側に画定されるバッテリー収容空間Sbの高さ寸法と略同等の高さ寸法を有する。具体的には、前記下壁52dの下面が前記内部底壁30の上面に接合され、前記右壁52a及び前記左壁52bのうち容器外側に位置する壁の下半部の外側面が前記容器本体10の周壁14の内側面に接合され、この状態で前記内部補強材50A,50B,50F,50Rの上半部が前記周壁14の上端よりも上側に突出する。当該上半部は、前記周壁14の上端部に装着される前記蓋20の周壁24によって包囲される。
前記4つの内部補強材50A,50B,50F,50Rは、全体として前記周壁14の内側面に沿う枠を構成する。当該枠は図2に示すように矩形状をなし、前記周壁14の4つの隅部14fa,14fb,14ra,14rbにそれぞれ対応する4つの角部を有する。しかし、前記4つの隅部14fa,14fb,14ra,14rbの内側面は上述のように前記容器本体10の深絞り成形のために外向きに凸の曲面とされており、その形状は前記枠の4つの角部の形状と合致しない。そこで、両者の干渉を避けるように前記枠の4つの角部のそれぞれが斜め切りされている。
具体的に、この実施の形態では、前記右及び左内部補強材50A,50Bの前端部同士の間に前記前内部補強材50Fが配置され、前記右及び左内部補強材50A,50Bの後端部同士の間に前記後内部補強材50Rが配置されており、当該右及び左内部補強材50A,50Bの前後両端部がそれぞれ前記4つの角部を構成している。従って、この実施の形態では、当該右及び左内部補強材50A,50Bの前後両端部の外側部分が前記4つの隅部14fa,14fb,14ra,14rbの内側面との干渉を避けるように斜め切りされて図1及び図2に示すように当該隅部14fa,14fb,14ra,14rbの内側に退避した斜辺55を形成している。
前記複数のクロスメンバー60は本発明に係る複数のモジュール間部材に対応するものであり、前記バッテリー収容空間Sb内で縦横に配列される前記複数のバッテリーモジュール6のうち互いに隣り合うバッテリーモジュール6の間に効率的に配置されながら前記複数の内部補強材50と協働して前記バッテリー容器を内側から有効に補強する。また、当該複数のクロスメンバー60は、前記バッテリー収容空間Sbを前記複数のバッテリーモジュール6にそれぞれ対応した複数のモジュール収容空間に区画する仕切り部材としても機能し得る。
この実施の形態において、前記複数のクロスメンバー60のそれぞれは一方向に直線状に延びる形状であって、前記複数の内部補強材50のそれぞれと近似する断面形状を有する。すなわち、前記複数のクロスメンバー60のそれぞれは、前記複数の内部補強材50の高さ寸法と略同等の高さ寸法を有するとともに、内部空間を囲む中空断面を有する。
具体的に、前記複数のクロスメンバー60のそれぞれは、例えば図5に示されるように、前記内部空間を囲む外壁62と、前記内部空間を水平方向に横切る横リブ64と、を有する。前記外壁62は、前記外壁52と同様に縦長の略矩形状をなし、前記内部空間の右側、左側、上側及び下側のそれぞれに位置する右壁62a、左壁62b、上壁62c及び下壁62dを含む。前記横リブ64は、前記クロスメンバー60の横断面における上下方向中間の高さ位置で前記内部空間を水平方向に横切るように配置され、前記右壁62a及び前記左壁62bの上下方向中間部位にそれぞれつながる両端部を有する。このような中空断面を有する前記クロスメンバー60は、車両の軽量化に寄与しながら、上下方向に厚みを有して前記内部空間を水平方向に横切る前記横リブ64を含むことにより、水平方向の荷重に対して十分耐え得る強度を有することができる。
このように一方向に延びかつ一様断面を有する前記複数のクロスメンバー60は、前記複数の内部補強材50と同様、高い強度を有する7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成されることが可能である。しかも、当該複数のクロスメンバー60は前記複数の内部補強材50と同様に前記容器本体10の内部に配置されるので、7000系アルミニウム合金からなるものであってもその応力腐食割れを有効に抑止することが可能である。当該複数のクロスメンバー60のそれぞれにも、特に強度の高い7000系のピーク時効材を用いることが可能である。
この実施の形態において、前記複数のバッテリーモジュール6は、図1及び図2に示されるように左右2列で前後に2列よりも多い複数列(図1に示される例では6列)にわたり配列される。この配列に対応して前記複数のクロスメンバー60は、単数本の縦クロスメンバー60Aと、これによりも多い複数の(図1に示される例では5本の)横クロスメンバー60Bとを含む。以下の説明において、「複数のクロスメンバー60」は前記縦クロスメンバー60A及び前記複数の横クロスメンバー60Bの総称である。
前記縦クロスメンバー60Aは、互いに車体の左右方向に隣り合うバッテリーモジュール6同士の間で車体の前後方向に延びるように配置される縦モジュール間部材である。当該縦クロスメンバー60Aは、その前後両端部が前記前及び後内部補強材50F,50Rの左右方向中間部位の内側面にそれぞれ接触する(好ましくは溶接等により接合される)ことが可能となる長さを有する。
前記複数の横クロスメンバー60Bのそれぞれは、前記縦クロスメンバー60Aと右及び左内部補強材50A,50Bとの間において互いに車体の前後方向に隣り合うバッテリーモジュール6同士の間で車体の左右方向に延びるように配置される横モジュール間部材である。それぞれの横クロスメンバー60Bは、その左右両端部が前記縦クロスメンバー60Aの右側面または左側面と前記右内部補強材50Aまたは前記左内部補強材50Bとにそれぞれ接触する(好ましくは溶接等により接合される)ことが可能となる長さを有する。
前記複数のクロスメンバー60のそれぞれの幅寸法(横断面における水平方向の寸法)は前記複数の内部補強材50のそれぞれの幅寸法よりも小さいことが好ましい。内部補強材50は、横方向の荷重がクロスメンバー60同士の間に作用した場合には当該横方向の荷重を当該内部補強材50の曲げ変形によって吸収するので、高い曲げ強度を有することが好ましく、そのためには、内部補強材50の幅寸法が大きいことが好ましい。これに対してクロスメンバー60は内部補強材50を介して圧縮方向の荷重を受けるので、高い圧縮強度を有することが好ましいが、当該圧縮強度は断面積にのみ依存するので、必ずしも大きな幅寸法を要しない。従って、当該クロスメンバー60の幅寸法を小さく抑えて前記複数のバッテリーモジュール6の収容面積を大きく確保しながら、当該クロスメンバー60の肉厚を大きくすることでその圧縮強度を確保することが好ましい。
前記一対のサイドシル連結部材70は、前記容器本体10と車体の左右方向について当該容器本体10の両外側にそれぞれ位置する前記左右のサイドシル2との間にそれぞれ介在するように配置され、前記容器本体10が当該一対のサイドシル連結部材70を介して前記左右のサイドシル2に支持されるように当該容器本体10を当該サイドシル2に連結する。
この実施の形態に係る前記サイドシル連結部材70は、前記サイドシル2に対して前記車体の左右方向の内向きに作用する衝撃荷重により圧壊して当該荷重を吸収するように前記左右方向に並ぶ複数の(図例では4つの)閉断面76を有する。当該複数の閉断面76のそれぞれは、この実施の形態では矩形状の内部空間を囲む形状を有する。このような構造を有する前記サイドシル連結部材70は、前記バッテリー容器が前記サイドシル2に支持されることを可能にする支持部材としての機能に加え、前記衝撃荷重を吸収して前記バッテリー容器及びこれに収容されるバッテリー4を有効に保護する補強部材として機能することが可能である。
具体的に、前記サイドシル連結部材70は、上外壁71と、下外壁72と、内側外壁73と、外側外壁74と、少なくとも一つの、好ましくは複数の(図例では3つの)、縦リブ75と、を含む。
前記上下外壁71,72は、上下方向に間隔をおいて互いに平行となる姿勢で配置され、それぞれは水平方向、この実施の形態では車体の左右方向、に延びる水平壁であって横壁である。当該上下外壁71,72のそれぞれは、車体の左右方向の両端部、すなわち、前記容器本体10に近い側の端部である内側端部と、その反対側の端部であって前記サイドシル2に近い側の端部である外側端部と、を有する。前記内側端部は、右側のサイドシル連結部材70では左側端部、左側のサイドシル連結部材70では右側端部であり、前記外側端部は、右側のサイドシル連結部材70では右側端部、左側のサイドシル連結部材70では左側端部である。
前記内側外壁73は前記上下外壁71,72の内側端部同士を上下方向に連結するように当該内側端部と一体につながり、前記外側外壁74は前記上下外壁71,72の外側端部同士を上下方向に連結するように当該外側端部と一体につながる。前記複数の縦リブ75は、前記内側外壁73と前記外側外壁74との間で左右方向に略等間隔に並ぶ複数の位置にそれぞれ配され、当該位置における前記上外壁71の部位と前記下外壁72の部位とを上下方向に連結するように当該上下外壁71,72と一体につながる。
従って、この実施の形態に係る前記サイドシル連結部材70においては、前記上下外壁71,72からなる一対の横材と、前記内側外壁73、前記外側外壁74及び前記複数の縦リブ75の中から選ばれる2つの縦材と、によって前記複数の閉断面76のそれぞれが構成される。例えば、車体の左右方向について最も内側の閉断面76は、前記内側外壁73と、これに隣り合う縦リブ75と、当該内側外壁73と当該縦リブ75との間の前記上外壁71の部位と、当該内側外壁73と当該縦リブ75との間の前記下外壁72の部位と、により構成される。
図示される前記サイドシル連結部材70では、前記上下外壁71,72のうち前記複数の閉断面76のそれぞれを構成する部位の肉厚が車体の左右方向の外側から内側に向かうに従って順に小さくなっている。すなわち、当該上下外壁71,72は、前記縦材とつながる複数の位置をそれぞれ境界として、車体左右方向の外側から内側に向かうに従って段階的に小さくなる肉厚を有する。前記サイドシル連結部材70において衝撃荷重を受けることにより変形が生じる領域は、衝突面に近い側(車体左右方向の外側)で最も狭く、車体左右方向の外側から内側に向かうに従って広くなるので、前記のような肉厚配分は、前記車体の左右方向の内向きに作用する衝撃荷重によって前記サイドシル連結部材70が均等に圧壊するのを助ける。すなわち、前記複数の閉断面のうち最も外側の閉断面よりもその内側の閉断面の方が変形範囲が広くなるため、当該閉断面に実際に加わる荷重は外側から内側に向かうに従って低くなるので、当該外側から当該内側に向かうに従って前記上下外壁71,72の肉厚を小さくすることが、前記変形の進行に伴う前記荷重の極端な増加を防ぎ、これにより、サイドシル連結部材70を比較的一定に近い荷重で圧壊変形させることを可能にする。
前記サイドシル連結部材70の具体的な材質は限定されないが、軽量のアルミニウム合金であることが好ましい。特に、圧縮性に優れかつ7000系の中では比較的耐応力腐食割れ性に優れた過時効材(T7調質材)や、さらに耐応力腐食割れ性に優れた6000系の押出形材が好適である。
このようなサイドシル連結部材70と分離して前記内部補強材50が前記容器本体10の内部に配置されることは、当該内部補強材50及び当該サイドシル連結部材70の材質の使い分けによる軽量化の促進や、それぞれの断面積を小さく抑えることによる押出成形性の向上といった利点も創出する。
車体の左右方向について、前記サイドシル連結部材70の内側端部は前記容器本体10に連結される容器連結部を構成し、外側端部は前記サイドシル2に連結されるサイドシル連結部を構成する。具体的に、前記サイドシル連結部材70の内側端部は、前記容器本体10の前記フランジ部16に例えば前記ボルト28を利用して締結され、外側端部は同様にして前記サイドシル2の適当な部位に締結される。
この実施の形態において、前記容器本体10に対する前記右及び左サイドシル連結部材70の高さ方向すなわち車体の上下方向についての相対位置は、図4に示されるように、下記の条件(a)~(c)を満たすように設定されている。
(a)前記右及び左サイドシル連結部材70において上下方向に厚みを有しかつ車体の左右方向に延びる横材である上外壁71及び下外壁72のいずれか一方(この実施の形態では上外壁71)の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部が、前記右及び左内部補強材50A,50Bにおいて上下方向に厚みを有しかつ車体の左右方向に延びる横材である前記横リブ54及び下壁52dのいずれか一方(この実施の形態では横リブ54)の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部と重なる程度まで、当該右及び左内部補強材50A,50Bの横リブ54の高さ位置と当該上外壁71の高さ位置とが合致する。
(b)前記右及び左サイドシル連結部材70の前記上外壁71及び下外壁72のいずれか一方(この実施の形態では下外壁72)の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部が前記容器本体10内の前記内部底壁30の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部と重なる程度まで当該内部底壁30の高さ位置と当該下外壁72の高さ位置とが合致する。
(c)前記複数のクロスメンバー60において上下方向に厚みを有しかつ水平方向に延びる水平壁である上壁62c、下壁62d及び横リブ64の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部が前記複数の内部補強材50のうち当該クロスメンバー60の端部が接触する内部補強材50の水平壁である上壁52c、下壁52d及び横リブ54の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部と重なる程度まで、それぞれの水平壁の高さ位置が互いに合致する。
前記条件(a)及び(b)の充足は、サイドシル2からサイドシル連結部材70に加えられた水平方向の荷重が前記内部補強材50の横リブ54及び前記内部底壁30に良好に伝達されることを可能にして当該荷重に対して有効に対抗することを可能にする。また、前記条件(c)の充足は、前記クロスメンバー60の横リブ64と当該クロスメンバー60に接触する内部補強材50の横リブ54との間での良好な荷重の伝達を可能にし、これにより当該クロスメンバー60を補強材として有効に機能させることができる。
以上の効果を得るために必ずしも前記条件(a)~(c)の全てが同時に充足していなくてもよい。当該条件(a)~(c)のうちのいずれか一つのみが充足されてもその条件に対応する効果が得られる。さらに、条件(c)は、クロスメンバー60に含まれる複数の水平壁のうちのいずれか一つ(例えば横リブ64)と内部補強材50に含まれる複数の水平壁のうちのいずれか一つ(例えば横リブ54)の高さ位置が互いに合致するだけでもその水平壁同士の間での荷重を良好にすることができる。
以上説明したバッテリー収容ユニットでは、容器本体10を5000系アルミニウム合金、好ましくは5000系アルミニウム合金のO調質材、からなる深絞り成形品により構成することにより当該容器本体10に高い防水性を与えながら、当該容器本体10の周壁14の内側に7000系アルミニウム合金からなる複数の内部補強材50を配置することにより、バッテリー容器を有効に補強することができる。しかも、当該複数の内部補強材50が7000系アルミニウム合金からなるものであっても、前記容器本体10の高い防水性によって前記内部補強材50の応力腐食割れを有効に抑止することが可能である。
前記のように深絞り成形品からなる容器本体10の底壁周縁境界部13の内側面は外向きに凸の曲面となるが、当該底壁周縁境界部13の上側に配置される前記内部底壁30は、前記底壁周縁境界部13の形状にかかわらず、当該内部底壁30の上側に平面視で広い面積をもつバッテリー収容空間Sbを確保すること、つまり、前記内部底壁30上でバッテリー4の収容のために使用可能な面積を大きく確保すること、を可能にする。
しかし、本発明に係るバッテリー収容ユニットは、前記のような内部底壁30を具備するものに限定されない。例えば、前記内部底壁30が省略されて前記容器本体10の前記底壁12の上に直接バッテリー4が載置されてもよい。また、前記底壁12の内側(上側)ではなく外側(下側)に外部底壁が配置されてもよい。
その例として、本発明の第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットを図6~図10を参照しながら説明する。以下の説明において、前記第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットの構成要素のうち前記第1の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットの構成要素と同等のものには同じ参照符が付されてその説明が適宜省略される。
第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットは、前記第1の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットと同じく、容器本体10と、蓋20と、複数の内部補強材50と、複数のクロスメンバー60と、を備える。しかし、前記内部底壁30が省略されるため、その下方に形成される下側保護空間Su及び当該下側保護空間Suに配置される前記複数の底壁補強材40も存在しない。その分だけ前記容器本体10の高さ寸法は前記第1の実施の形態に係る容器本体10の高さ寸法よりも小さい。
この第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットにおいても、深絞り成形品からなる前記容器本体10の底壁周縁境界部13にはR形状が与えられ、当該底壁周縁境界部13の内側面は外向きに凸の曲面とされる。この内側面の形状にかかわらず広いバッテリー収容面積を確保するために前記複数の内部補強材50の下部に特別な形状が与えられる。
具体的に、前記複数の内部補強材50のそれぞれは、第1の実施の形態と同様に7000系の押出形材により構成され、内部空間を囲む外壁52と横リブ54とを有していて前記外壁52は右壁52a、左壁52b、上壁52c及び下壁52dを含むが、図8に示すように、当該外壁52の4つの角部のうち前記底壁周縁境界部13の内側面に対応する下外側角部の外側面53には当該内側面と嵌合することが可能となるようなR形状が与えられている。図8は、例として、前記容器本体10の周壁14のうち右側壁14aに沿って配置される右内部補強材50Aにおいて右壁52aと下壁52dとの境界部分である右下角部の外側面53を示している。この外側面は、外向きに凸の曲面であって前記底壁周縁境界部13のうち前記右側壁14aと底壁12との境界の内側面と合致する曲面とされている。
すなわち、前記複数の内部補強材50のそれぞれは、前記底壁12の上面と接合可能な補強材底面(下壁52dの下面)と、周壁14の内側面と接合可能な補強材外側面(例えば前記右内部補強材50Aでは右壁52aの外側面)と、前記補強材底面と前記補強材外側面との境界部分を構成して前記底壁周縁境界部の内側面と嵌合することが可能な境界部外側面(例えば前記右内部補強材50Aでは前記右下角部の外側面53)と、を有する。このような形状は、前記底壁周縁境界部13の曲面形状にかかわらず前記内部補強材50が底壁12と周壁14との双方に接合されることを可能にし、これにより、当該内部補強材50の内側に広いバッテリー収容空間Sbが確保されることを可能にする。
既述のように、前記容器本体10の深絞り成形時の皺及び破断の回避のため、前記4つの隅部14fa,14fb,14ra,14rbと前記底壁周縁境界部13との境界部分、換言すれば、前記隅部14fa,14fb,14ra,14rbの下端部(以下「容器底隅部」と称する。)、である容器底隅部15(図3)には当該4つの隅部14fa,14fb,14ra,14rbの内側面の曲率半径及び前記底壁周縁境界部13の内側面の曲率半径よりもさらに大きな曲率半径が与えられている。このような4つの容器底隅部の形状に対応するため、この第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態のように右及び左内部補強材50A,50Bの外側部分を斜め切りすることに代え、図6及び図7に示すように、前記4つの隅部のそれぞれに前記4つの内部補強材50A,50B,50F,50Rとは別の4つの隅部補強材58がそれぞれ配置されている。当該4つの隅部補強材58は、前記隅部14fa,14fb,14ra,14rbの内側面の形状、前記底壁周縁境界部13の内側面の形状、及び前記容器底隅部の内側面形状にそれぞれ対応した形状をもつ外側面を有する。
この第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットは、前記内部底壁30及び前記複数の底壁補強材40に代え、外部底壁32と、冷却体80と、複数の外部補強材90と、を備える。なお、これらの構成要素は本発明において必須のものではない。
前記外部底壁32は、前記容器本体10の外部において前記底壁12の下面から下方に離れた位置で当該底壁12の下面を覆うように配置される。
前記外部底壁32は、例えば前記底壁12の下面と平行な平板により構成される。このように複雑な形状が要求されない外部底壁32は、5000系アルミニウム合金のO調質材よりも成形性が低くて高い強度を有するアルミニウム合金、例えば5000系アルミニウム合金のH調質材、さらには、5000系アルミニウム合金よりも成形性は低いが強度の高い6000系アルミニウム合金からなる板材により構成されることが可能である。これらのことは、前記容器本体10にその成形のために5000系アルミニウム合金を採用しながら、当該容器本体10の底壁12の上に配置されるバッテリーを有効に保護することを可能にする。
前記冷却体80は、発熱体であるバッテリー4を冷却するためのもので、前記容器本体10の底壁12の下面と前記外部底壁32の上面との間に配置される。当該冷却体80は、冷媒(例えば冷却水)の流通を許容しながら当該冷媒と前記底壁12とを熱交換させて当該底壁12を冷却する。
この実施の形態に係る冷却体80は、前記底壁12の下面と接触するように当該下面に取付けられ、当該底壁12から当該冷却体80への熱伝導によって当該底壁12を冷却する。具体的に、前記冷却体80は、図10に示すように、複数の冷媒流通部82と、冷媒分配部84と、冷媒回収部86と、を有し、その全体が前記底壁12の下面に例えば接着、溶接といった手段で接合される。
前記複数の冷媒流通部82のそれぞれは、前記底壁12の下面に沿った特定の冷媒流通方向に延びて当該冷媒流通方向への前記冷媒の流通を許容する。具体的に、当該冷媒流通部82は前記冷媒流通方向を長手方向とする長尺な直方体状をなし、その内部に前記長手方向と直交する幅方向に並ぶ複数本の冷媒流通路82aが形成されている。当該冷媒流通部82の一方の端は前記冷媒流通路82a内に冷媒を受け入れる冷媒入口端であり、他方の端は前記冷媒流通路を流れた冷媒を排出する冷媒排出端である。当該複数の冷媒流通部82は、前記底壁12の略全域にわたり、前記長手方向と直交する(すなわち前記幅方向と平行な)配列方向に間隔をおいて互いに平行となるように配列されている。
前記冷媒分配部84は、前記複数の冷媒流通部82のそれぞれの冷媒入口端に冷媒を分配する冷媒分配路84aを形成する。具体的に、当該冷媒分配部84は、前記配列方向と平行に延び、前記複数の冷媒流通部82の入口端同士を相互に接続するように配置される。当該冷媒分配部84は前記配列方向に延びる前記冷媒分配路84aを囲む中空状をなす。当該冷媒分配部84は、前記複数の冷媒流通部82とそれぞれ接合される複数の接合箇所を有し、当該複数の接合箇所のそれぞれに、前記複数の冷媒流通路82aと前記冷媒分配路84aとをそれぞれ連通するための貫通穴である複数の冷媒分配口84bが形成されている。
前記冷媒回収部86は、前記複数の冷媒流通部82のそれぞれの冷媒出口端から冷媒を回収する冷媒回収路86aを形成する。具体的に、当該冷媒回収部86は、前記配列方向と平行に延び、前記複数の冷媒流通部82の出口端同士を相互に接続するように配置される。当該冷媒回収部86は前記配列方向に延びる前記冷媒回収路86aを囲む中空状をなす。当該冷媒回収部86は、前記複数の冷媒流通部82とそれぞれ接合される複数の接合箇所を有し、当該複数の接合箇所のそれぞれに、前記複数の冷媒流通路82aと前記冷媒回収路86aとをそれぞれ連通するための貫通穴である複数の冷媒回収口86bが形成されている。
前記冷媒分配部84の入口には図略の冷媒供給源、例えば給水ポンプ、が接続される。当該冷媒供給源から前記冷媒分配部84に供給された冷媒は前記複数の冷媒流通部82に分配され、それぞれの冷媒流通部82の冷媒流通路82aを流れる間に前記底壁12と熱交換した後に前記冷媒回収部86の冷媒回収路86aに合流し、図略のタンクに回収される。
前記のような複数の冷媒流通部82の分散配置は、前記底壁12及びその上に収容されるバッテリー4を広い範囲にわたって高い均一性で冷却することを可能にする。この実施の形態に係る前記冷却体80は、前記複数の冷媒流通部82の長手方向が車体の前後方向と合致し、配列方向が車体の左右方向と合致するように、前記底壁12に接合される。
従って、この実施の形態に係る前記外部底壁32は、前記容器本体10の外部において前記底壁12の下面及び前記冷却体80の双方から下方に離れた位置で当該底壁12の下面及び当該冷却体80の双方を覆うように配置される。
前記複数の外部補強材90は、前記底壁12と前記外部底壁32との間に介在するように配置される外部補強部を構成する。当該複数の外部補強材90は、前記底壁12の下面及び前記冷却体80と前記外部底壁32との間隔をより確実に保って当該底壁12及び当該冷却体80をより確実に保護することを可能にする。
前記複数の外部補強材90は、それぞれが前記冷媒流通方向と平行な長手方向に延び、当該複数の外部補強材90のそれぞれが前記複数の冷媒流通部82を前記配列方向、すなわち前記冷媒流通方向と直交する方向であって前記底壁12の下面に沿う方向、にまたぎながら当該冷媒流通部82の両側の位置で前記底壁12の下面に接合される。この外部補強材90の形状は、当該外部補強材90が互いに隣り合う冷媒流通部同士の間の空間を利用して前記底壁12の下面に接合されながら前記複数の冷媒流通部82のそれぞれを直接的にかつ有効に保護することを、可能にする。
具体的に、前記複数の外部補強材90のそれぞれは、第1対向部である右側対向部91と、第2対向部である左側対向部92と、中間対向部94と、第1連結部である右側連結部95と、第2連結部である左側連結部96と、を一体に有する。前記右側及び左側対向部91,92は、前記複数の冷媒流通部82のそれぞれの前記配列方向の両側の位置、この実施の形態では右側及び左側の位置、でそれぞれ前記長手方向に延びて前記底壁12の下面と対向しかつ接触する(好ましくは接合される)ことが可能な上面を有する。前記中間対向部94は、前記複数の冷媒流通部82のそれぞれの下方の位置で前記長手方向に延びて前記外部底壁32の上面と対向しかつ接触する(好ましくは接合される)ことが可能な下面を有する。前記右側連結部95は、前記中間対向部94の端部(この実施の形態では右側端部)と前記右側対向部91の内側端部(この実施の形態では左側端部)とを上下方向に連結する。前記左側連結部96は、前記中間対向部94の端部(この実施の形態では左側端部)と前記左側対向部92の内側端部(この実施の形態では右側端部)とを上下方向に連結する。また、前記右側及び左側対向部91,92のそれぞれには、当該右側及び左側対向部91,92の上側を前記冷媒分配部84及び前記冷媒回収部86が横切ることを許容するための凹み98が形成されている。
以上のような形状を有する前記外部補強材90は、上下方向の圧縮荷重に対して高い剛性を有することにより、前記複数の冷媒流通部82のそれぞれをより確実に保護することが可能である。さらに、当該外部補強材90の中間対向部94と前記冷媒流通部82との間にスペーサが介在してもよい。このスペーサは、前記冷媒流通部82から前記中間対向部94への冷熱の直接的な移動を抑止するために断熱材で構成されていることが、好ましい。
さらに、前記のような断面形状を有する外部補強材90は、アルミニウム合金の中でも強度の高い7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成されることが可能である。このことは、前記複数の外部補強材90のそれぞれに高い強度及び剛性を与えることを可能にする。7000系アルミニウム合金は、反面、比較的応力腐食割れが生じやすい特性を有するが、前記複数の外部補強材90はいずれも前記外部底壁32の内側(上側)に配置されていて外部の水分と直接接触することが防がれるので、前記外部補強材90が7000系アルミニウム合金により構成されていてもその応力腐食割れを有効に抑止することが可能である。
この実施の形態において、前記冷媒流通方向及び前記長手方向、つまり前記複数の冷媒流通部82及び前記複数の外部補強材90が延びる方向は、前記車体の前後方向と平行な方向である。
前記外部補強部は、前記複数の外部補強材90に代えて単一の外部補強材により構成されることも可能である。当該単一の外部補強材は、例えば、前記底壁12の下面のうち前記冷却体80が配置されずに露出している部分と前記外部底壁32の上面とに交互に接触するような波状の板材により構成されることが可能である。
この第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットは、前記第1の実施の形態に係る一対のサイドシル連結部材70に代えて一対のサイドシル連結部材70Eを備える。当該一対のサイドシル連結部材70Eは、当該一対のサイドシル連結部材70と同様に前記容器本体10と右及び左サイドシル2とをそれぞれ連結し、かつ、前記車体の左右方向の内向きに作用する衝撃荷重により圧壊して当該荷重を吸収するように左右方向に並ぶ複数の閉断面76を有する。しかし、当該一対のサイドシル連結部材70Eは、図8に示すように、前記複数の閉断面76を構成する本体部(つまり前記上下外壁71,72、前記内側外壁73、外側外壁74、及び前記複数の縦リブ75を有する部分)に加え、外部底壁保持部77、荷重伝達壁78及び斜め補強壁79を有する。
前記外部底壁保持部77は、前記本体部の下面(この実施の形態では前記下外壁72の内側端部の下面)から下方に突出し、前記外部底壁32と連結されることにより当該外部底壁32を保持する。具体的に、車両の左右方向について、右サイドシル連結部材70の外部底壁保持部77は前記外部底壁32の右側端部を保持し、左サイドシル連結部材70の外部底壁保持部77は前記外部底壁32の左側端部を保持する。すなわち、前記一対のサイドシル連結部材70によって前記外部底壁32の左右両端部が保持される。これにより、当該外部底壁32は前記底壁12の下面から下方に離れた位置で当該底壁12と平行な姿勢に保たれる。
このような前記外部底壁保持部77による前記外部底壁32の保持は、前記一対のサイドシル連結部材70が前記容器本体10の底壁12の下面と前記外部底壁32との上下方向の間隔を保持する側壁としても機能することを可能にする。
前記荷重伝達壁78は、前記本体部に加えられた前記車体の左右方向の内向きの荷重を前記外部底壁保持部77に伝達するように前記本体部において前記外部底壁保持部77よりも車体左右方向の外側の部位と前記外部底壁保持部77の下端とを連結する。具体的に、この実施の形態に係る前記荷重伝達壁78は図8に示すような斜壁部78a及び連結部78bを一体に有する。前記斜壁部78aは、前記下外壁72の下面から前記外部底壁保持部77に近づく斜め下向きに延びる。前記連結部78bは、前記斜壁部78aと前記外部底壁保持部77とを車体の左右方向に連結する。この荷重伝達壁78は、側方から前記サイドシル連結部材70Eに加わる荷重を前記容器本体10と前記外部底壁32とに分散させて当該容器本体10内のバッテリーをより有効に保護することを可能にする。
前記斜め補強壁79は、前記複数の閉断面76から選ばれる適当な閉断面(図8に示す例では内側から2番目の閉断面76)を対角方向に横切って前記荷重伝達壁78と前記上外壁71とを接続する。
この第2の実施の形態に係るバッテリー収容ユニットにおいても、容器本体10がアルミニウム合金からなる深絞り成形品により構成されてその内側に7000系アルミニウム合金製の内部補強材50が配置されることにより、高い防水性及び高い強度を確保するとともに、前記内部補強材50の応力腐食割れを抑制することができる。さらに、前記容器本体10の底壁12の下面と前記外部底壁32との間に配置された冷却体80により、前記容器本体10の高い防水性を保ちながら前記底壁12及びその上に収容されるバッテリー4を有効に冷却することができる。すなわち、このバッテリー収容ユニットでは、前記容器本体10の外部に冷却体80が配置されているので、容器本体の内部に冷却機構が設けられる態様と異なり、当該容器本体に冷媒流通用の穴等を設ける必要がなく、当該穴等の加工によるシール性の低下を回避することが可能である。
さらに、このように冷却体80が容器本体の外部に配置されながらも、当該冷却体80及び当該底壁12の下面を覆うように外部底壁32が当該底壁12のさらに下方に配置され、かつ、前記容器本体10を自動車のサイドシルに連結するためのサイドシル連結部材70Eを有効に利用して前記冷却体80及び前記底壁の下面と前記外部底壁との上下方向の間隔を保つことにより、前記底壁12の下方に外部保護空間Seを確保して路面から前記外部底壁に加わる外力が前記底壁及び前記冷却体に作用するのを有効に抑止することができる。このことは、当該底壁12及び当該冷却体80を有効に保護することを可能にする。すなわち、この第2の実施の形態に係る外部底壁32及び前記サイドシル連結部材70Eは、(1)前記容器本体10の高い防水性と、(2)これに収容されるバッテリー4の有効な冷却と、(3)当該冷却のための冷却体80及びこれが配置される容器本体10の底壁の有効な保護と、(4)サイドシルによるバッテリー容器の支持と、を簡単な構造で同時に実現することを可能にする。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を包含する。
(A)バッテリー容器について
前記第1及び第2の実施の形態では、容器本体10がバッテリー収容空間Sbの下半部を画定し、蓋20が当該バッテリー収容空間Sbの上半部を画定しているが、その比率は前記容器本体10の周壁14がバッテリー空間の少なくとも一部を囲むという条件を満たす範囲で適宜設定されることが可能である。例えば、容器本体の周壁がバッテリー収容空間の全体を囲み、当該バッテリー収容空間を上から覆うように平板状の蓋が前記周壁に装着される態様も本発明に包含される。
前記容器本体10及び前記蓋20の双方がアルミニウム合金製の深絞り成形品で構成される場合、その成形性の確保のために両者を構成する板材の成形深さを小さく抑えることが望ましいが、前記容器本体10の周壁14の内側に配置される内部補強材50の高さ寸法の確保という観点からは、前記容器本体10及び前記蓋20の成形深さの比率は3:7から5:5であることが好ましい。
(B)内部補強材について
本発明では、内部補強材の総数及び具体的な位置は限定されない。本発明は、例えば、容器本体の周壁のうち特に補強が求められる部分(例えば大きな衝突荷重が作用することが想定される部分)にのみ単一の内部補強材が配置される態様も包含する。この態様でも、前記単一の内部補強材の内側にバッテリー収容ユニットが収容されることにより、当該バッテリー収容ユニットを7000系アルミニウム合金からなる高強度の前記内部補強材によって有効に保護することが可能である。本発明に係るバッテリー収容ユニットは、あるいは、7000系アルミニウム合金からなる少なくとも一つの内部補強材と7000系アルミニウム合金以外の材料からなる内部補強材とを併有するものでもよい。
本発明に係る少なくとも一つの内部補強材が容器本体に固定されるための具体的な手段及び態様は限定されない。例えば、前記第2の実施の形態に係る内部補強材50は、容器本体10の底壁12及び周壁14のいずれか一方のみに固定されていてもよい。また、前記第1の実施の形態に係る内部補強材50は、前記内部底壁30の上面にのみ固定されることで当該内部底壁30を介して容器本体10に固定されるものであってもよい。
前記内部補強材の具体的な断面形状も限定されない。当該内部補強材は例えば中実断面をもつ棒材であってもよい。ただし、内部補強材が前記のような中空断面を有することは、車両全体の軽量化につながる。さらに、当該内部補強材が前記横リブ54のように上下方向に厚みを有して内部空間を水平方向に横切るリブを含むことは、当該内部補強材が中空構造を有しながら横荷重に対して高い強度を保有することを可能にする。また、当該横リブに加えて前記内部空間を上下方向に横切る縦リブが内部補強材に与えられてもよい。
前記内部補強材の高さ寸法も限定されない。当該高さ寸法はバッテリー空間の高さ寸法より小さくてもよい。例えば第1の実施の形態に係る内部補強材50は、バッテリー空間の高さ寸法と同等の高さ寸法であって、周壁14のうち内部底壁30よりも上側に突出する突出部分の高さ寸法より大きな高さ寸法を有するが、当該内部補強材50の高さ寸法は前記突出部分の高さ寸法と同等の寸法であってもよい。しかし、当該内部補強材の高さ寸法が大きいほど、その内側に収容されるバッテリーをより有効に保護することが可能となる。
(C)モジュール間部材について
本発明において、モジュール間部材は適宜省略されてもよい。例えば、本発明は、バッテリー収容空間Sb内に全体が単一のモジュールで構成されたバッテリーが収容される態様も包含する。
本発明に係るバッテリー収容ユニットが複数のモジュール間部材を含む場合、それぞれのモジュール間部材が延びる方向は特に限定されない。当該モジュール間部材の長手方向は、バッテリー収容空間内における複数のバッテリーモジュールの形状や配置に応じて適宜設定されることが可能である。しかし、複数のモジュール間部材は車体の左右方向に延びる複数の横モジュール間部材(第1及び第2の実施の形態では横クロスメンバー60B)を含むことが、好ましい。当該複数の横モジュール間部材は、バッテリー収容ユニットに対する側方からの荷重を軸圧縮荷重として受けることにより、当該荷重に耐えるためのバッテリー収容ユニットの強度を有効に高めることを可能にする。前記容器本体10と前記左右のサイドシル2との間隔は小さく、側方からの衝突による衝撃荷重が前記容器本体10に伝わるまでに吸収される度合いは前方からの衝撃荷重に比べて小さいので、前記側方荷重に対する補強はバッテリー4の保護にきわめて有効である。
本発明は、複数の横モジュール間部材が前記バッテリー収容空間を車体の左右方向に全域にわたり横切るように配置される態様、例えば、前記右及び左内部補強材50A,50Bに横クロスメンバー60Bの両端部が接触するような態様、も含むが、図1等に示されるように車体の前後方向に延びる縦クロスメンバー60Aと右及び左内部補強材50A,50Bとの間に複数の横クロスメンバー60が配置される態様では、前記バッテリー収容ユニットを車体の左右方向及び前後方向の荷重の双方に対して有効に補強することができる。
特に、前記複数の横クロスメンバー(横モジュール間部材)60Bは、バッテリー収容ユニットに対する側方からの荷重を軸圧縮荷重として受けることにより、当該荷重に耐えるためのバッテリー収容ユニットの強度を有効に高めることを可能にする。前記容器本体10と前記左右のサイドシル2との間隔は小さく、側方からの衝突による衝撃荷重が前記容器本体10に伝わるまでに吸収される度合いは前方からの衝撃荷重に比べて小さいので、前記側方荷重に対する補強はバッテリー4の保護にきわめて有効である。従って、前記複数の横クロスメンバー60Bの総数は前記縦クロスメンバー60Aの総数よりも多いことが、好ましい。
前記複数のモジュール間部材は、その少なくとも一方の端部が内部補強材の内側面と接触可能となるように配置されていればよく、必ずしも当該内側面と実際に接触していなくてもよい。例えば、当該モジュール間部材の端部と当該内部補強材の内側面との間に隙間が残された状態で当該モジュール間部材が容器本体の底壁または内部底壁に固定されていても、外部から内向きの荷重が容器本体に作用したときに前記モジュール間部材の端部と前記内部補強材の内側面との接触が可能な程度まで前記隙間が小さければ、当該モジュール間部材は前記荷重に対抗する補強部材として機能することが可能である。
前記複数のモジュール間部材の具体的な材質や構造も限定されない。例えばモジュール間部材は長尺の板材や棒材であってもよい。しかし、当該モジュール間部材が前記クロスメンバー60A,60Bのように7000系アルミニウム合金からなる押出形材により構成されていることは、バッテリーのより確実な保護を可能にする。しかも、当該モジュール間部材は前記内部補強材と同じく防水性の高い容器本体の内部に配置されるので、当該前記横モジュール間部材が7000系アルミニウム合金製であってもその応力腐食割れを有効に抑止することができる。また、前記モジュール間部材が前記クロスメンバー60のように中空断面を有することはバッテリー収容ユニットの軽量化に寄与することが可能であり、さらにその内部空間を水平方向に横切る横リブ(例えば図4に示される横リブ64)を含むことは、モジュール間部材が横からの荷重に対して高い強度を保有することを可能にする。
前記第1及び第2の実施の形態では、例えば図4に示されるように、クロスメンバー60において水平方向に延びる3つの水平壁である上壁62c、下壁62d及び横リブ64のそれぞれの上下方向の肉厚領域の少なくとも一部が当該クロスメンバー60の端部と接触可能な内部補強材50の3つの水平壁である上壁52c,下壁52d及び横リブ54の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部と重なる程度まで前者の高さ位置と後者の高さ位置とが合致しているが、本発明において横モジュール間部材の少なくとも一つの水平壁(第1水平壁)の高さ位置と内部補強材の少なくとも一つの水平壁(第2水平壁)の高さ位置とが合致していれば、前記第1水平壁と前記第2水平壁との間で水平方向の荷重が良好に伝達されて前記モジュール間部材が補強材としてより有効に機能することが可能となる。
(D)サイドシル連結部材について
本発明において、サイドシル連結部材も適宜省略が可能である。例えば、本発明に係る容器本体はサイドシル以外の車体構成部材(例えば前後のクロスメンバー)に連結されてこれに支持されてもよい。
本発明に係るバッテリー収容ユニットがサイドシル連結部材を含む場合、当該サイドシル連結部材の具体的な構造は限定されない。当該サイドシル連結部材は、例えば、単なる板状のブラケットであってもよい。ただし、当該サイドシル連結部材は、前記サイドシル連結部材70,70Eのように車体の左右方向に並ぶ複数の閉断面を有することにより、サイドシルに加えられる衝撃荷重を当該サイドシル連結部材自体の圧壊によって吸収する補強部材として機能することが可能である。
前記第1及び第2の実施の形態では、例えば図4,図8に示されるように、車両の上下方向において、サイドシル連結部材70,70Eの横壁(車体の左右方向に延びる壁)である上外壁71の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部が右及び左内部補強材50A,50Bの横壁である横リブ54の上下方向の肉厚領域の少なくとも一部と重なる程度まで前者の高さ位置と後者の高さ位置とが合致しているが、本発明においてサイドシル連結部材の少なくとも一つの横壁(第1横壁)の高さ位置と内部補強材の少なくとも一つの横壁(第2横壁)の高さ位置とが前記の程度まで合致していれば、前記第1横壁と前記第2横壁との間で水平方向の荷重が良好に伝達されて前記モジュール間部材が補強材としてより有効に機能することが可能となる。例えば、図4に示されるサイドシル連結部材70では、その横壁である上下外壁71,72の少なくとも一方の上下方向の肉厚領域が前記右及び左内部補強材50A,50Bの横材である上壁52c、下壁52d及び横リブ54のいずれかの上下方向の肉厚領域と部分的または全体的に重なることにより、上述の効果を得ることが可能である。