JP7140645B2 - クマリン誘導体を含有する、細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬 - Google Patents

クマリン誘導体を含有する、細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 刊行物:ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー,第35巻,第15号,増刊,2017年5月20日,要旨番号2506,米国臨床腫瘍学会, ウェブページのURL:https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2017.35.15_suppl.2506, https://meetinglibrary.asco.org/record/144582/abstract, 刊行物等:公開日 2017年6月3日 集会名 第53回米国臨床腫瘍学会年次総会
本発明は、クマリン誘導体を含有する、細胞増殖性疾患、特にがんの治療又は予防用医薬に関する。
下記式(I)で表される化合物(本明細書において「化合物(I)」とも言う。)及びその薬学上許容され得る塩(本明細書において単に「その塩」とも言う。)は、抗腫瘍活性等の薬理作用を有することが知られている(特許文献1又は2参照)。
Figure 0007140645000001
化合物(I)又はその塩の用法及び用量に関しては、非小細胞肺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、結腸・直腸癌などの固形癌の患者に対して、化合物(I)のカリウム塩を1回4mgの用量で週に2回投与することが知られている(非特許文献1参照)。
WO2007/091736 WO2009/014100
Journal of Clinical Oncology 34,no.15_suppl(May 2016)2582-2582
上記投与レジメン(1回4mg,週2回)に従って化合物(I)又はその塩の投与を行ったところ、例えば皮疹の悪化により予定外の休薬及び/又は減量をした上で投与を継続する場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安全かつ長期的に実施可能な化合物(I)又はその塩の投与レジメン、及びそのような投与レジメンに基づいて用いられる細胞増殖性疾患(特にがん)の治療又は予防用医薬を提供することを目的とする。
本発明は、下記項目A1~A15に記載の医薬を提供する。
項目A1:
細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬であって、式(I):
Figure 0007140645000002

で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩を有効成分として含有し、
(a)前記化合物又は塩が週に2回、3週間投与され、
(b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる前記医薬。
項目A2:
式(I)で表される化合物のカリウム塩を有効成分として含有する、項目A1に記載の医薬。
項目A3:
細胞増殖性疾患はがんである、項目A1又はA2に記載の医薬。
項目A4:
細胞増殖性疾患は、KRAS変異を有するがんである、項目A1~A3のいずれかに記載の医薬。
項目A5:
細胞増殖性疾患は固形癌である、項目A1~A4のいずれかに記載の医薬。
項目A6:
ステップ(a)における1回当たりの用量が3.2mgである、項目A1~A5のいずれかに記載の医薬。
項目A7:
ステップ(a)の前に、
(1)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、又は
(2)
(2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(2c)以後、ステップ(2a)及び(2b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる、項目A6に記載の医薬。
項目A8:
ステップ(1)又は(2)の前に、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与されるように用いられる、項目A7に記載の医薬。
項目A9:
項目A1~A5のいずれかに記載の医薬であって、
(R1)
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B1)次いで、前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられるか、あるいは
(R2)
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられるか、あるいは
(R3)
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返され、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる前記医薬。
項目A10:
細胞増殖性疾患は多発性骨髄腫である、項目A1~A4のいずれかに記載の医薬。
項目A11:
ステップ(a)における1回当たりの用量が4mgである、項目A10に記載の医薬。
項目A12:
細胞増殖性疾患は、NRAS変異を有するがんである、項目A10又はA11に記載の医薬。
項目A13:
デキサメタゾンと組み合わせて用いられる、項目A10~A12のいずれかに記載の医薬であって、前記化合物又は塩がデキサメタゾンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与されるように用いられる前記医薬。
項目A14:
デキサメタゾンは1回20mgの用量で週に1回投与される、項目A13に記載の医薬。
項目A15:
前記化合物又は塩の投与は経口投与である、項目A1~A14のいずれかに記載の医薬。
本発明の医薬は、化合物(I)又はその塩からなるものであってもよいし、他の成分をさらに含む医薬組成物であってもよい。
本発明により、また、下記項目A16及びA17に記載の医薬が提供される。
項目A16:
式(I):
Figure 0007140645000003

で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩を有効成分として含有する、細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬であって、
(i)前記医薬を収容するための容器、及び
(ii)
(a)前記化合物又は塩が週に2回、3週間投与され、
(b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される
ように前記医薬を用いるための指示
とともにパッケージ化された前記医薬。
項目A17:
前記医薬は項目A1~A15のいずれかに記載の医薬であり、
前記指示は、当該医薬に対応する所定の投与レジメンに従って前記化合物又は塩が投与されるように前記医薬を用いるための指示である、
項目A16に記載の医薬。
本発明により、また、下記項目B1~B15に記載の方法が提供される。
項目B1:
細胞増殖性疾患の治療又は予防のための方法であって、
(a)式(I):
Figure 0007140645000004

で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩を週に2回、3週間投与し、
(b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)を少なくとも1回繰り返す
ことを含む前記方法。
項目B2:
式(I)で表される化合物のカリウム塩が投与される、項目B1に記載の方法。
項目B3:
細胞増殖性疾患はがんである、項目B1又はB2に記載の方法。
項目B4:
細胞増殖性疾患は、KRAS変異を有するがんである、項目B1~B3のいずれかに記載の方法。
項目B5:
細胞増殖性疾患は固形癌である、項目B1~B4のいずれかに記載の方法。
項目B6:
ステップ(a)における1回当たりの用量が3.2mgである、項目B1~B5のいずれかに記載の方法。
項目B7:
ステップ(a)の前に、
(1)前記化合物又は塩を1回3.2mgの用量で週に2回投与し、又は
(2)
(2a)前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回、3週間投与し、
(2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(2c)以後、ステップ(2a)及び(2b)を少なくとも1回繰り返す
ことを含む、項目B6に記載の方法。
項目B8:
ステップ(1)又は(2)の前に、前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回投与することを含む、項目B7に記載の方法。
項目B9:
項目B1~B5のいずれかに記載の方法であって、
(R1)
(A)まず、前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回投与し、
(B1)次いで、前記化合物又は塩を1回3.2mgの用量で週に2回投与し、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩を1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与し、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)を少なくとも1回繰り返す
ことを含むか、あるいは
(R2)
(A)まず、前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回投与し、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回、3週間投与し、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)を少なくとも1回繰り返す
ことを含むか、あるいは
(R3)
(A)まず、前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回投与し、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩を1回4mgの用量で週に2回、3週間投与し、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)を少なくとも1回繰り返し、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩を1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与し、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与を休止し、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)を少なくとも1回繰り返す
ことを含む前記方法。
項目B10:
細胞増殖性疾患は多発性骨髄腫である、項目B1~B4のいずれかに記載の方法。
項目B11:
ステップ(a)における1回当たりの用量が4mgである、項目B10に記載の方法。
項目B12:
細胞増殖性疾患は、NRAS変異を有するがんである、項目B10又はB11に記載の方法。
項目B13:
前記化合物又は塩がデキサメタゾンと組み合わせて用いられる、項目B10~B12のいずれかに記載の方法であって、前記化合物又は塩をデキサメタゾンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与することを含む前記方法。
項目B14:
デキサメタゾンは1回20mgの用量で週に1回投与される、項目B13に記載の方法。
項目B15:
前記化合物又は塩の投与は経口投与である、項目B1~B14のいずれかに記載の方法。
本発明により、また、下記項目C1~C15に記載の使用が提供される。
項目C1:
細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬の製造のための、式(I):
Figure 0007140645000005

で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩の使用であって、
前記医薬は、
(a)前記化合物又は塩が週に2回、3週間投与され、
(b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる、前記使用。
項目C2:
式(I)で表される化合物のカリウム塩の使用である、項目C1に記載の使用。
項目C3:
細胞増殖性疾患はがんである、項目C1又はC2に記載の使用。
項目C4:
細胞増殖性疾患は、KRAS変異を有するがんである、項目C1~C3のいずれかに記載の使用。
項目C5:
細胞増殖性疾患は固形癌である、項目C1~C4のいずれかに記載の使用。
項目C6:
ステップ(a)における1回当たりの用量が3.2mgである、項目C1~C5のいずれかに記載の使用。
項目C7:
前記医薬は、ステップ(a)の前に、
(1)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、又は
(2)
(2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(2c)以後、ステップ(2a)及び(2b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる、項目C6に記載の使用。
項目C8:
前記医薬は、ステップ(1)又は(2)の前に、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与されるように用いられる、項目C7に記載の使用。
項目C9:
項目C1~C5のいずれかに記載の使用であって、
(R1)前記医薬は、
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B1)次いで、前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられるか、あるいは
(R2)前記医薬は、
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられるか、あるいは
(R3)前記医薬は、
(A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返され、
(C)その後、
(Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
ように用いられる、前記使用。
項目C10:
細胞増殖性疾患は多発性骨髄腫である、項目C1~C4のいずれかに記載の使用。
項目C11:
ステップ(a)における1回当たりの用量が4mgである、項目C10に記載の使用。
項目C12:
細胞増殖性疾患は、NRAS変異を有するがんである、項目C10又はC11に記載の使用。
項目C13:
前記医薬がデキサメタゾンと組み合わせて用いられる、項目C10~C12のいずれかに記載の使用であって、前記化合物又は塩がデキサメタゾンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与されるように用いられる前記使用。
項目C14:
デキサメタゾンは1回20mgの用量で週に1回投与される、項目C13に記載の使用。
項目C15:
前記化合物又は塩の投与は経口投与である、項目C1~C14のいずれかに記載の使用。
本発明において使用される投与レジメンは、一定の休止期間を含むサイクルを繰り返すことを含むものであり、副作用を抑制し、かつ薬効を維持しつつ、化合物(I)又はその塩を長期的に投与することを可能とする。また、患者への負担を抑制しつつ、細胞増殖性疾患、特にがんを治療又は予防することを可能とする。
本発明により、安全かつ長期的に実施可能な化合物(I)又はその塩の投与レジメン、及びそのような投与レジメンに基づいて用いられる細胞増殖性疾患(特にがん)の治療又は予防用医薬が提供される。
図1(Fig.1)は、本発明の医薬による治療を受けたKRAS変異非小細胞肺癌患者における、腫瘍サイズの経時的推移を示すグラフである。横軸(X軸)は治療サイクル番号を表し、縦軸(Y軸)は腫瘍サイズのベースラインからの変化率を表す。腫瘍サイズはCTスキャンを用いて測定された。 図2(Fig.2)は、HRAS変異アポクリン腺癌患者に使用された投与レジメン並びに当該投与レジメンの観察された有効性及び安全性の概要を示す。 図3(Fig.3)は、本発明の医薬の投与ガイダンスの一例を示す。
以下、本発明の例示的な実施形態を説明する。
化合物(I)及びその塩は、WO2007/091736又はWO2013/035754に記載の方法により製造することができる。
本発明で使用される有効成分としては化合物(I)の薬学上許容され得る塩が好ましい。そのような塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、グルコン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、フルオロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、プロピオン酸塩、グルタル酸塩等のカルボン酸塩;リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、ルビジウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩等が挙げられる。中でも、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、ルビジウム塩等のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましく、カリウム塩が特に好ましい。化合物(I)のカリウム塩の具体例としては、例えば下記式(Ia)で表される塩が挙げられる。
Figure 0007140645000006
本発明の医薬又は方法によって治療又は予防される細胞増殖性疾患としては、がん、リウマチ及び炎症が挙げられ、好ましくはがんである。
がんとしては、例えば、白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病等)、悪性リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫等)、多発性骨髄腫、及び骨髄異形成症候群等の血液及びリンパのがん、脳腫瘍及び神経膠腫等の中枢神経系のがん、並びに頭頚部癌(咽頭癌、喉頭癌、舌癌等)、食道癌、胃癌、大腸癌(盲腸癌、結腸癌、直腸癌等)、肺癌(小細胞癌、非小細胞癌等)、甲状腺癌、乳癌、胆のう癌、膵癌、肝臓癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮癌(子宮内膜癌、子宮頸癌等)、精巣癌、腎細胞癌、膀胱癌、腎盂・尿管癌、悪性黒色腫及び皮膚癌(基底細胞癌、有棘細胞癌、乳房外パジェット病、メルケル細胞癌、汗腺癌(例えば、アポクリン腺癌又はエクリン腺癌)、脂腺癌、毛包上皮腫等)等の固形癌が挙げられる。血液又はリンパのがんとしては多発性骨髄腫が好ましい。固形癌としては、例えば、卵巣癌、乳癌、子宮癌、大腸癌及び肺癌が好ましく、非小細胞肺癌が特に好ましい。がんとしては、多発性骨髄腫及び固形癌が好ましく、多発性骨髄腫及び非小細胞肺癌が特に好ましい。
がんは、遺伝子変異を有していても、遺伝子変異を有していなくても、又はそのいずれであるかが不明であってもよいが、遺伝子変異を有するものが好ましい。変異が生じる遺伝子としては、例えば、EGFR、FGFR、ALK、ROS1、PI3K、BRAF、HRAS、KRAS及びNRASが挙げられる。がんとしては、KRAS変異及び/又はNRAS変異を有するものが好ましく、KRAS変異及びNRAS変異を有する多発性骨髄腫並びにKRAS変異を有する固形癌(特に非小細胞肺癌)が特に好ましい。遺伝子変異を有するがんとしては例えばHRAS変異アポクリン腺癌も好ましい。
化合物(I)又はその塩が投与される対象は動物であり、好ましくは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル(例えばカニクイザル)、及びヒト)であり、特に好ましくはヒトである。ヒトは、成人(18歳以上)であってもよいし、小児(18歳未満)であってもよい。小児は、好ましくは例えば生後6か月以上である。
対象への投与方法としては、例えば、経口投与、直腸投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、膀胱内投与、吸入投与等の全身投与、及び軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤等による局所投与が挙げられるが、経口投与が好ましい。
化合物(I)又はその塩は、通常、一定の製剤(剤形)に製剤化して用いられる。そのような製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、並びに水性又は非水性の溶液及び懸濁液が挙げられる。溶液及び懸濁液は、個々の用量に小分けするのに適した容器に充填して保管することができる。
上記の各種製剤は、化合物(I)又はその塩と薬剤学的に許容され得る添加剤とを混和して、周知の方法で製造することができる。そのような添加剤としては、賦形剤、滑沢剤(コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、基剤、分散剤、希釈剤、界面活性剤、乳化剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、デンプン(デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等)、乳糖、結晶セルロース、及びリン酸水素カルシウムが挙げられる。
滑沢剤(コーティング剤)としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、及びパラフィンが挙げられる。
結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン及びマクロゴールの他、上記賦形剤と同様の化合物が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等、化学修飾されたデンプン類及びセルロース類の他、上記賦形剤と同様の化合物が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
基剤としては、例えば、豚脂等の脂肪類;オリーブ油、ゴマ油等の植物油;ステアリルアルコール、セタノール等の高級アルコール類;動物油;ラノリン酸;ワセリン;パラフィン;ベントナイト;グリセリン;及びグリコール油が挙げられる。
分散剤としては、例えば、セルロース誘導体(アラビアゴム、トラガント、メチルセルロース等)、ステアリン酸ポリエステル類、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸アルミニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリソルベート類、及びソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられる。
液剤における溶媒又は希釈剤としては、例えば、フェノール、クロロクレゾール、精製水、及び蒸留水が挙げられる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、及びラウロマクロゴールが挙げられる。
製剤中の化合物(I)又はその塩の好ましい含有割合は剤形に応じて異なるが、一般に、製剤の全重量に対して0.01~100重量%である。
製剤中の化合物(I)又はその塩の含有量は、予定される用量に応じて適宜設定され得る。好ましい含有量は、例えば0.01mg~10mgであり、製剤がカプセル剤の場合は例えば0.1mg~4mgである。さらに好ましい含有量としては例えば0.8mgが挙げられる。
本発明で使用される投与レジメンでは、化合物(I)又はその塩が次のように投与される。
(a)化合物(I)又はその塩が週に2回、3週間投与され、
(b)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される。
本発明において、「週に2回」投与されるとは、1週間の期間内に、化合物(I)又はその塩が2回投与されることを意味する。投与は、同日に2回行ってもよいし、1日に1回、異なる日(連続する日であり得る。)に行ってもよいが、異なる日に行うのが好ましい。投与間隔ができるだけ均等になるように、すなわち、3~4日の投与間隔で化合物(I)又はその塩が投与されるように、例えば、当該期間の1及び4日目に又は3及び6日目に投与を行うのがさらに好ましい。1週間の期間は、例えば、月曜日に開始されてもよいし、水曜日に開始されてもよい。2回の投与が異なる日に行われる場合、各回の投与はどの時刻に行ってもよいが、ほぼ同じ時刻(例えば朝食後)に行うのが好ましい。
1回当たりの化合物(I)又はその塩の用量は、好ましくは3.2mg又は4mgである。がんが多発性骨髄腫である場合は4mgが好ましく、がんが固形癌(特に非小細胞肺癌)である場合は3.2mg又は4mgが好ましい。
ステップ(a)及び(b)からなる4週間のサイクルは、例えば、2回(8週間)~60回(約4年8か月間)繰り返され、より具体的には、例えば8回(32週間)又は18回(72週間)繰り返される。繰り返すサイクル数が一旦決定されたとしても、サイクル数は、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて変更され得る。また、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて、サイクルの途中で投与を中止することもできる。
一実施形態では、ステップ(a)の前に、
(1)化合物(I)又はその塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、又は
(2)
(2a)化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(2b)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(2c)以後、ステップ(2a)及び(2b)が少なくとも1回繰り返される。
さらに、場合により、ステップ(1)又は(2)の前に、
(3)化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回投与される。
この実施形態の投与レジメンに基づいて治療又は予防される細胞増殖性疾患としては、固形癌が好ましく、非小細胞肺癌が特に好ましい。
ステップ(1)では、4週間の投与を1サイクルとして、当該サイクルが通常、2回(8週間)~30回(約2年4か月間)繰り返され、好ましくは例えば13回(52週間)繰り返される。
ステップ(3)では、4週間の投与を1サイクルとして、当該サイクルが通常、2回(8週間)~30回(約2年4か月間)繰り返され、好ましくは例えば8回(32週間)繰り返される。
ステップ(1)及び(3)では、繰り返すサイクル数が一旦決定されたとしても、サイクル数は、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて変更され得る。また、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて、サイクルの途中で投与を中止することもできる。
また、一実施形態では、化合物(I)又はその塩が次のように投与される。
(R1)
(A)まず、化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B1)次いで、化合物(I)又はその塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、
(C)その後、
(Ca)化合物(I)又はその塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返されるか、あるいは
(R2)
(A)まず、化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返されるか、あるいは
(R3)
(A)まず、化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
(B2)次いで、
(B2a)化合物(I)又はその塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(B2b)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返され、
(C)その後、
(Ca)化合物(I)又はその塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
(Cb)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される。
(R1)~(R3)のいずれが選択されるべきかは、対象において観察された有害事象の重症度又はグレード等に応じて、例えば図3に示される投与ガイダンスに従って決定され得る。
この実施形態の投与レジメンに基づいて治療又は予防される細胞増殖性疾患としては、がんが好ましく、固形癌がより好ましい。固形癌の中では、非小細胞肺癌が好ましく、KRAS変異を有する非小細胞肺癌が特に好ましい。
ステップ(A)では、4週間の投与を1サイクルとして、当該サイクルが通常、2回(8週間)~30回(約2年4か月間)繰り返され、好ましくは例えば13回(52週間)繰り返される。
ステップ(B1)では、4週間の投与を1サイクルとして、当該サイクルが通常、2回(8週間)~30回(約2年4か月間)繰り返され、好ましくは例えば8回(32週間)繰り返される。
ステップ(A)、(B1)、(B2)及び(C)では、繰り返すサイクル数が一旦決定されたとしても、サイクル数は、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて変更され得る。また、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて、サイクルの途中で投与を中止することもできる。
化合物(I)又はその塩は単独で又は他の薬物と組み合わせて用いられ得る。他の薬物と組み合わせて用いられる場合、他の薬物としては、例えば、制吐剤及び抗がん剤が挙げられ、抗がん剤が好ましい。抗がん剤としては、例えば、サリドマイド、レナリドミド等のサリドマイド系抗がん剤、ボルテゾミブ、イキサゾミブ等のプロテオソーム阻害剤、及びデキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイド系抗がん剤が挙げられる。
がんが例えば非小細胞肺癌である場合、化合物(I)又はその塩は単独で用いるのが好ましい。
化合物(I)又はその塩が他の薬物と組み合わせて多発性骨髄腫の治療に用いられる場合、他の薬物としては例えばデキサメタゾンが好ましい。デキサメタゾンは多発性骨髄腫の標準治療に含まれる薬物である。
化合物(I)又はその塩がデキサメタゾンと組み合わせて多発性骨髄腫の治療に用いられる場合、デキサメタゾンは週に1回投与されるのが好ましく、1回当たりのデキサメタゾンの用量としては例えば20mgが好ましい。
化合物(I)又はその塩がデキサメタゾンと組み合わせて用いられる場合、それらの投与の順序及びタイミングは特に限定されず、化合物(I)又はその塩はデキサメタゾンの投与前、投与と同時又は投与後に投与され得る。例えば、ステップ(a)において、1週間の期間内に化合物(I)若しくはその塩及びデキサメタゾンが投与される場合、好ましくは、例えば、化合物(I)又はその塩は当該期間の1及び4日目に、デキサメタゾンは2日目に投与され、あるいは化合物(I)又はその塩は当該期間の3及び6日目に、デキサメタゾンは4日目に投与され、あるいは化合物(I)又はその塩は当該期間の2及び5日目に、デキサメタゾンは1日目に投与され、あるいは化合物(I)又はその塩は当該期間の4及び7日目に、デキサメタゾンは2日目に投与される。1週間の期間は、例えば、月曜日に開始されてもよいし、水曜日に開始されてもよい。各回の投与はどの時刻に行ってもよいが、ほぼ同じ時刻(例えば夕食後)に行うのが好ましい。
化合物(I)又はその塩がデキサメタゾンと組み合わせて用いられる期間は、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて決定され得る。また、対象の状態等に応じて、医師又は獣医師の判断に基づいて、化合物(I)若しくはその塩及びデキサメタゾンの一方又は両方の投与を中止することもできる。
式(I):
Figure 0007140645000007

で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩を有効成分として含有する、細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬は、
(i)当該医薬を収容するための容器、及び
(ii)
(a)化合物(I)又はその塩が週に2回、3週間投与され、
(b)続く1週間、化合物(I)又はその塩の投与が休止され、
(c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される
ように当該医薬を用いるための指示
とともにパッケージ化されていてもよい。
好ましくは、例えば、パッケージ化された医薬は前述の項目A1~A15のいずれかに記載の医薬であり、上記指示は、当該医薬に対応する所定の投与レジメンに従って化合物(I)又はその塩が投与されるように当該医薬を用いるための指示である。「当該医薬に対応する所定の投与レジメン」とは、例えば、項目A9に記載の医薬の場合、項目A9に記載された投与レジメン(R1)~(R3)のいずれかを指す。
パッケージ化は、例えば包装材(例えば紙箱)を用いて行われ得る。また、パッケージには、例えば、ラベル、パンフレット、又は薬学的に許容され得る緩衝材がさらに含まれ得る。
上記(i)の容器は、例えば瓶又はPTPシートであり、例えば、ガラス、プラスチック、アルミニウム等の材料から製造され得る。好ましくは、容器には、例えば、医薬が所定の疾患の治療又は予防用であることを示す文字が印刷されているか、又はそのような文字が印刷されたラベルが貼付されている。
上記(i)の容器は、当該医薬が収容されていてもいなくてもよいが、収容されているのが好ましい。
上記(ii)の指示は、所定の投与レジメンに基づいて当該医薬を用いるために必要な情報を含む。また、上記指示は、例えば、当該医薬の効能及び効果に関する情報をさらに含み得る。
上記(ii)の指示は、例えば文書の形態で存在し得る。上記指示を含む文書としては、例えば医薬品添付文書が挙げられる。上記指示を含む文書は、例えば、ラベルに印刷されていても、包装材(例えば紙箱)に印刷されていてもよい。また、上記指示は、例えば、紙又はプラスチックに印刷された形態であっても、CD-ROM、フラッシュメモリ等の記憶媒体に電子的に保存された形態であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明の例示的な実施形態を説明する。
実施例1:
化合物(I)のカリウム塩(本実施例において「IMP」とも言う。)を、KRAS変異及びNRAS変異IgGλ型多発性骨髄腫の患者に対して、3週間の投与及びそれに続く1週間の休止(3週間投与/1週間休止)からなる4週間のサイクルで、週に2回(火曜日及び金曜日)、4mgの用量で経口投与した。IMPとデキサメタゾンの併用はしなかった。
患者への投与は2016年11月29日に開始した。有害事象としては、IMPに関連している可能性のある間欠性のグレード1の下痢が当初から継続的に見られた。また、IMPに関連したグレード2の発疹も生じた。患者の経過は極めて良好であり、国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group(IMWG))の基準による部分奏効(partial response)が継続的に得られた(FLCλ:325mg/L(投与開始前),161mg/L(1サイクル後),264mg/L(2サイクル後))。
患者は以前に下記の治療を受けていた。
・自家造血幹細胞移植
・プロテオソーム阻害剤
・免疫調節剤
・シクロホスファミド+デキサメタゾン+サリドマイド
・メルファラン
・レナリドミド
・シクロホスファミド+ボルテゾミブ
・デキサメタゾン
・脊椎T3-T12,5分割(放射線治療)
実施例2:
化合物(I)のカリウム塩(本実施例において「IMP」とも言う。)をKRAS変異非小細胞肺癌の患者に経口投与した。
患者の治療は2014年9月1日に開始した。IMPは、当初、4週間の投与からなる4週間のサイクルでの4mg週2回(4mg 4週間投与)の用量で投与した。サイクル9において、グレード3の斑点状丘疹のために、用量を4週間のサイクルでの3.2mg週2回(3.2mg 4週間投与)に減少させた。サイクル22において、グレード3の顔面皮疹のために、用量を再び減少させて3週間投与/1週間休止スケジュールでの3.2mg週2回(3.2mg 3週間投与/1週間休止)とした。これらの減量により発疹は減少してわずかグレード1となり、サイクル40の時点でもうまく抑えられていた。治療効果に関しては、固形腫瘍における効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST))1.1による部分奏効(partial response(PR))が得られ、サイクル40の時点でも維持されていた。
最初の40サイクル(約3年間)における患者の腫瘍サイズの変化を図1に示す。横軸(X軸)は治療サイクル番号を表し、縦軸(Y軸)は腫瘍サイズのベースラインからの変化率を表す。腫瘍サイズはCTスキャンを用いて測定された。4mg 4週間投与、3.2mg 4週間投与、及び3.2mg 3週間投与/1週間休止の投与スケジュールにおいて得られた最も高い効果は、それぞれ、RECIST1.1による標的病変の58%縮小、61%縮小、及び68%縮小であった。2018年4月18日(サイクル48)(3.6年目に相当)現在、IMPによる患者の治療は継続中であり、グレード2以上の発疹は観察されていない。
患者は以前に下記の治療を受けていた。
・カルボプラチン/ペメトレキセド
・ペメトレキセド
・ドセタキセル
・胸膜癒着術(2012年10月)(手術)
実施例3:
化合物(I)のカリウム塩(本実施例において「IMP」とも言う。)を頭皮のHRAS変異アポクリン腺癌の患者に経口投与した。頭皮のアポクリン腺癌は皮膚汗腺癌である。患者は2014年に診断され、IMPによる治療前に放射線治療と手術を2回受けていた。
IMPによる患者の治療は、4週間のサイクルでの4mg週2回の用量で2018年1月8日に開始した。サイクル1の3週目に、グレード2のざ瘡様皮疹及びグレード2の下痢が生じたため、用量を3週間投与/1週間休止スケジュールでの4mg週2回に減少させた。ざ瘡様皮疹のグレードは、サイクル2の1日目に1、サイクル2の22日目に3、サイクル3の1日目に2であった。そのため、サイクル3の1日目の用量は3.2mgに減少させず、4mgとした。CTスキャンにより測定された患者の腫瘍サイズの変化は、固形腫瘍における効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST))1.1による部分奏効(partial response(PR))を示した(サイクル2の22日目に54%縮小、サイクル4の15日目に58%縮小)。
本実施例で使用された投与レジメン並びにその観察された有効性及び安全性の概要を図2に示す。本実施例で使用された投与ガイダンスを図3に示す。2018年4月30日(サイクル5の1日目)現在、IMPによる患者の治療は継続中であり、グレード2以上の発疹及び下痢は観察されていない。

Claims (16)

  1. 細胞増殖性疾患の治療又は予防用医薬であって、式(I):
    Figure 0007140645000008

    で表される化合物又はその薬学上許容され得る塩を有効成分として含有し、
    (a)前記化合物又は塩が週に2回、3週間投与され、
    (b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (c)以後、ステップ(a)及び(b)が少なくとも1回繰り返される
    ように用いられ、細胞増殖性疾患はがんである、前記医薬。
  2. 式(I)で表される化合物のカリウム塩を有効成分として含有する、請求項1に記載の医薬。
  3. 細胞増殖性疾患は、KRAS変異、NRAS変異又はHRAS変異を有するがんである、請求項1又は2に記載の医薬。
  4. 細胞増殖性疾患は、KRAS変異を有するがんである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬。
  5. 細胞増殖性疾患は、KRAS変異及びNRAS変異を有するがんである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬。
  6. 細胞増殖性疾患は固形癌である、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬。
  7. ステップ(a)における1回当たりの用量が3.2mgである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬。
  8. ステップ(a)の前に、
    (1)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、又は
    (2)
    (2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
    (2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (2c)以後、ステップ(2a)及び(2b)が少なくとも1回繰り返される
    ように用いられる、請求項に記載の医薬。
  9. ステップ(1)又は(2)の前に、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与されるように用いられる、請求項に記載の医薬。
  10. 請求項1~のいずれか一項に記載の医薬であって、
    (A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
    (B1)次いで、前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回投与され、
    (C)その後、
    (Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
    (Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
    ように用いられるか、あるいは
    (A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
    (B2)次いで、
    (B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
    (B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返される
    ように用いられるか、あるいは
    (A)まず、前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回投与され、
    (B2)次いで、
    (B2a)前記化合物又は塩が1回4mgの用量で週に2回、3週間投与され、
    (B2b)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (B2c)以後、ステップ(B2a)及び(B2b)が少なくとも1回繰り返され、
    (C)その後、
    (Ca)前記化合物又は塩が1回3.2mgの用量で週に2回、3週間投与され、
    (Cb)続く1週間、前記化合物又は塩の投与が休止され、
    (Cc)以後、ステップ(Ca)及び(Cb)が少なくとも1回繰り返される
    ように用いられる前記医薬。
  11. 細胞増殖性疾患は多発性骨髄腫である、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬。
  12. ステップ(a)における1回当たりの用量が4mgである、請求項11に記載の医薬。
  13. 細胞増殖性疾患は、NRAS変異を有するがんである、請求項11又は12に記載の医薬。
  14. デキサメタゾンと組み合わせて用いられる、請求項1113のいずれか一項に記載の医薬であって、前記化合物又は塩がデキサメタゾンの投与前、投与と同時、又は投与後に投与されるように用いられる前記医薬。
  15. デキサメタゾンは1回20mgの用量で週に1回投与される、請求項14に記載の医薬。
  16. 前記化合物又は塩の投与は経口投与である、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬。
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