特許法第30条第2項適用 集会名 2017全国コットンサミットinかこがわ 主催者名 2017全国コットンサミットinかこがわ 実行委員会 開催日 平成29年11月18日
以下、本発明の一実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
図1ないし図4において、1は綿繰り機(ジンニングマシン)である。この綿繰り機1は、図5等に示す綿繊維Fと種子Sとからなる実綿Cから綿繊維Fと種子Sとを自動的に取り分ける自動綿繰り機である。
そして、図1ないし図4に示すように、綿繰り機1は、筐体2と、この筐体2に収容された分離部3と、分離部3を駆動させる駆動源であるモータ4とを備えている。また、この綿繰り機1は、綿繊維Fを筐体2の外部に排出可能な綿繊維排出部5と、種子Sを筐体2の外部に排出可能な種子排出部6とを備えている。なお、以下、綿繰り機1に対して作業者側を一側である後側(矢印RR方向)、その反対側を他側である前側(矢印FR方向)として説明する。
筐体2は、例えば内部構造体であるフレーム10と、このフレーム10の外方を覆う化粧板11とを備えている。また、この筐体2には、実綿Cを投入するための投入部12が例えば上部に配置されている。さらに、この筐体2には、綿繰り機1の操作用の操作部13が例えば上部にて投入部12の側部に配置されている。
投入部12は、例えば筐体2の上部の後側寄りに配置されている。この投入部12は、開口部であり、作業者が実綿Cを上方から投入可能となっている。この投入部12は、投入された実綿Cを前側下方に導く傾斜状のガイド面15を備えている。また、この投入部12の底部16には、種子Sを種子排出部6へと落下させる穴部17が横幅方向に複数並んで形成されている。
操作部13は、綿繰り機1の起動(正転)や停止、逆転、非常停止等を操作するための各種ボタンやダイヤル等を備えている。この操作部13は、作業者が操作しやすい位置であれば、任意の位置に配置されていてよい。
分離部3は、モータ4により駆動されて、投入部12に投入された実綿Cを綿繊維Fと種子Sとに自動的に分離する部分である。この分離部3は、ブレード20と、ローラ21と、第1の押し部である押込ユニット22と、第2の押し部である突上ユニット23とを備えている。
ブレード20は、実綿Cの綿繊維Fを種子Sに対して切断して引き剥がすものである。このブレード20は、投入部12に臨んで筐体2のフレーム10の内方に配置されている。具体的に、このブレード20は、支持体25に対して、ボルト等の固定部材26により固定され、投入部12の前部に、刃先部20aを下方に向けて配置されて、刃先部20aの先端部が投入部12の底部16に対して前側上方に位置している。なお、支持体25は、筐体2のフレーム10に対して、アジャストボルト等の調整体27により吊り下げられ、この調整体27により上下方向の位置を調整可能となっている。また、ブレード20は、横幅方向に長手状に形成され、投入部12の全体の前部に亘って位置している。さらに、このブレード20は、押さえ体28によりローラ21側である前側に押さえられている。押さえ体28は、例えば横幅方向に複数並んで配置され、ボルト等の間隙調整体である刃圧調整体29によって、ブレード20のローラ21に対する間隙、本実施の形態では刃圧を調整可能となっている。
ローラ21は、筐体2のフレーム10に対して回転可能に支持されてフレーム10の内方に配置され、回転によりブレード20の刃先部20aとの間に実綿Cの綿繊維Fを引き込むものである。また、このローラ21は、引き込んだ綿繊維Fを回転により外周に載せて綿繊維排出部5へと運ぶ繊維運搬部の機能を備えるものである。このローラ21は、ブレード20の前方に配置されている。すなわち、このローラ21は、ブレード20に対して投入部12とは反対側に配置されている。また、このローラ21は、筐体2の前側上部に配置されている。さらに、このローラ21の外周は、滑りやすい皮革等により形成され、刃先部20aに対して対向するようになっている。ローラ21の外周は、刃先部20aに対して僅かに離れていてもよいが、実綿Cを効率よく綿繊維Fと種子Sとに分離し、また、綿繊維Fを刃先部20aとの間へとより効率よく引き込むために、本実施の形態では、ブレード20の刃先部20aに対して前側、つまり投入部12とは反対側から押圧されて刃先部20aと密着し、ローラ21の回転時に刃先部20aと摺接するように配置されている。このローラ21の回転方向は、綿繊維Fを引き込む際にはブレード20の刃先部20aに向かう方向(正転方向、図1等に示す矢印X方向)となっているが、メンテナンス等の際に、その反対方向(逆転方向、矢印Xとは反対方向)に回転させることができるようになっていてもよい。さらに、ローラ21のブレード20の刃先部20aに対する接触強さは、調整手段31によって調整可能であってもよい。この調整手段31は、例えば図示しないコイルスプリングを用いてローラ21をブレード20側に向かって付勢するように構成されている。また、調整手段31は、例えばローラ21の両側方にて、筐体2のフレーム10と化粧板11との間にそれぞれ位置している。そして、各調整手段31には、各化粧板11に形成された窓部32を介してアクセス可能となっている。各窓部32は、例えば化粧板11に対して着脱可能な閉塞部材33により開閉可能となっていてもよい。
押込ユニット22は、投入部12に投入された実綿Cをブレード20側及びローラ21側に押すものである。この押込ユニット22は、実綿Cを実際に押圧する第1の押し体である押込プレート35を備えている。また、この押込ユニット22は、モータ4の動力を押込プレート35の往復動作に変換する第1の連結部である押込連結部36を備えている。さらに、この押込ユニット22は、投入部12の下方、かつ、ブレード20及びローラ21の後方に位置している。そして、この押込ユニット22は、モータ4の回転速度に関連する所定の周期で実綿Cの押し込み動作を繰り返すように構成されている。
押込プレート35は、一端部である前端部に、押込部35aが形成され、この押込部35aが投入部12のガイド面15の下端部と底部16との間にて、ブレード20の刃先部20aに離間対向して位置している。この押込部35aは、横幅方向に長い板状に形成されている。また、この押込部35aは、例えば後方に向かって上方に傾斜して配置されている。さらに、この押込部35aの背面側、つまりブレード20とは反対側である後側には、押込部35aの下部から種子Sが入り込まないようにするためのゴム等の弾性部材38が取り付けられている。この弾性部材38は、投入部12の底部16と押込部35aとの間を狭くして、押込ユニット22の前後動によって種子Sを投入部12から押込プレート35の下側へと引き込まないようにしている。
押込連結部36は、例えば横幅方向に離れて一対備えられ、それぞれ上下方向に長手状に形成されたプレートである。この押込連結部36は、押込プレート35に対して上端部が連結されるとともに下端部の位置で回動軸40に固定されている。この回動軸40は、種子排出部6の上方の位置で両端部がベアリング41を介して筐体2のフレーム10に対して回動可能に支持されている。したがって、押込連結部36は、回動軸40を介して筐体2に回動可能に支持され、押込プレート35は、押込連結部36の下端部を支点として前後に回動可能となっている。この回動により、押込プレート35の押込部35aが、例えばブレード20の刃先部20aの近傍からガイド面15の下部の位置までのストロークで往復動するようになっている(図1ないし図4)。
突上ユニット23は、投入部12に投入された実綿Cをブレード20の刃先部20aに向かう上方向に押して、ブレード20の刃先部20aとの間で綿繊維Fを種子Sから引き剥がすものである。この突上ユニット23は、実綿Cを実際に突き上げる第2の押し体である突上プレート43を備えている。また、この突上ユニット23は、モータ4の動力を突上プレート43の動作に変換する第2の連結部である突上連結部44を備えている。そして、この突上ユニット23は、モータ4の回転速度に関連する、押込ユニット22と同じ所定の周期で実綿Cの突き上げ動作を繰り返すように構成されている。
突上プレート43は、一端部である上端部に位置する突上部43aが投入部12に臨むブレード20と投入部12の底部16との間で、かつ、ブレード20の刃先部20aに対して僅かに離れて位置している。この突上部43aは、横幅方向に長い板状に形成され、上下方向及び横幅方向に面状に拡がって形成されている。また、突上プレート43の下端部には、種子Sを種子排出部6へとガイドする種子ガイド部43bが形成されている。この種子ガイド部43bは、上下方向及び横幅方向に面状に拡がって形成され、下方に向かって後方へと傾斜している。
突上連結部44は、例えば横幅方向に離れて複数備えられ、前後方向に長手状に形成されたアームである。各突上連結部44は、一端部である前端部が突上プレート43と連結され、他端部である後端部が各回動軸46に対して位置調整手段47を介して固定されている。各回動軸46は、押込連結部36の後方の位置でそれぞれベアリング48を介して回動可能に支持されている。したがって、突上連結部44は、回動軸46を介して筐体2に回動可能に支持され、突上プレート43は、突上連結部44の後端部を支点として上下に回動可能となっている。この回動により、突上プレート43の突上部43aが、例えば投入部12の底部16と面一(略面一も含む)な位置からブレード20の刃先部20aに対して上側に位置する位置までのストロークで往復動するようになっている(図1ないし図4)。また、位置調整手段47は、突上プレート43(種子ガイド部43b)の位置を前後に調整可能なものである。
モータ4は、図示しない電源部からの給電により回転し、この回転により分離部3を駆動させるものである。本実施の形態において、このモータ4は、例えば家庭用電源(商用電源)により動作可能となっている。このモータ4は、例えば回転により筐体2のフレーム10に回転可能に支持された駆動軸50を回転させることによってこの駆動軸50を介して分離部3を駆動させる。また、このモータ4は、ローラ21及び綿繊維排出部5の下方、かつ、種子排出部6の前方に位置している。つまり、このモータ4は、筐体2の前側下部に位置している。このモータ4は、例えば横幅方向に沿って回転軸を有して筐体2に取り付けられている。
駆動軸50は、両端部が筐体2のフレーム10にベアリング52を介して回動可能に支持されている。この駆動軸50の両端部は、フレーム10から両側にそれぞれ突出し、フレーム10と化粧板11との間に配置されている。また、この駆動軸50の両端部には、プーリ53,54が取り付けられ、駆動軸50の両端部間の中央部には、例えば一対のカム55が取り付けられている。そして、一方のプーリ53と、モータ4の回転軸に設けられたプーリ57とに無端体58が巻き掛けられ、他方のプーリ54と、ローラ21の回転軸に同軸に配置されたプーリ59とに無端体60が巻き掛けられている。これら無端体58,60には、それぞれ筐体2のフレーム10に取り付けられたテンション装置61,62を介して所定のテンションが付与されている。
各カム55は、例えば円盤カムであり、駆動軸50に対して偏心して取り付けられている。また、各カム55には、それぞれ駆動軸50の回動を往復運動に変換するための運動変換体であるレバー64,65が取り付けられている。
各レバー64は、基端部がカム55と同軸に取り付けられ、先端部が駆動軸50に対して直交(略直交も含む)する後側に突出している。各レバー64の先端部には、リンク67の一端部である上端部が回動可能に支持され、このリンク67の他端部である下端部が、回動軸40に連結されている。このため、各レバー64は、駆動軸50の回動に伴うカム55の偏心回転により前後方向に往復動し、その往復動をリンク67によって回動軸40に伝達することにより、押込連結部36を介して押込ユニット22(押込プレート35)を前後動させるようになっている。
他方のレバー65は、基端部がカム55と同軸に取り付けられ、先端部が駆動軸50に対して直交(略直交も含む)する上側に突出している。したがって、各レバー64と、各レバー65とは、本実施の形態において、カム55の回転に対して往復動する際の位相が90°ずれているため、押込ユニット22と突上ユニット23との往復動の範囲端にあるタイミングが駆動軸50の回転周期の1/4ずれることとなるが、この周期のずれは実綿Cを綿繊維Fと種子Sとに分離できれば任意に設定可能である。各レバー65の先端部は、ブラケット69に対して回動可能に支持され、ブラケット69が突上連結部44に対して一体的に固定されている。このため、各レバー65は、駆動軸50の回動に伴うカム55の偏心回転により上下方向に往復動し、その往復動をブラケット69によって突上連結部44に伝達することにより、突上ユニット23(突上プレート43)を上下動させるようになっている。
したがって、各プーリ53,54を備えた駆動軸50、カム55、プーリ59、無端体58,60、レバー64,65、リンク67等により、単一のモータ4の動力を伝達してローラ21、押込ユニット22、及び、突上ユニット23を連動させる伝達機構70が構成されている。
綿繊維排出部5は、筐体2の前側に位置している。この綿繊維排出部5は、本実施の形態では筐体2のフレーム10に対して回動可能に支持され、回動によって収納状態と使用状態とに切り換え可能となっている。具体的に、この綿繊維排出部5は、筐体2の前部に開口された排出口71を回動により開閉可能となっており、排出口71を閉塞する収納位置では、筐体2に対して、例えばマグネット等の保持手段72により保持され前側の化粧板11と面一(略面一も含む)となっている。そして、この綿繊維排出部5は、保持手段72による保持を解除することで、前後方向に回動可能となるとともに、前側、すなわち筐体2から突出する方向へと回動させた使用状態では、ローラ21の下方に配置された排出ガイド部73と連続する排出ガイド体(シュート)として作用して綿繊維Fを排出ガイド部73とともに排出口71から筐体2の外部へと排出するようになっている。
排出ガイド部73は、筐体2のフレーム10に取り付けられ、ローラ21の接線方向に沿い、排出口71に向かって前側下方に傾斜して形成されている。また、この排出ガイド部73の背面側、すなわち後側には、種子Sを種子排出部6へとガイドする種子ガイド体75が取り付けられている。この種子ガイド体75は、排出ガイド部73に対して交差する後側下方に向けて傾斜して形成され、先端部が種子排出部6の前側上方まで延びている。
種子排出部6は、筐体2の後側に位置している。すなわち、この種子排出部6は、筐体2において、綿繊維排出部5とは反対側に位置している。この種子排出部6は、分離部3により分離された種子Sを受ける種子受け部であり、本実施の形態では台車である。つまり、この種子排出部6は、分離部3により分離された種子Sを収容する箱状の収容部77と、この収容部77を走行させるための複数のキャスタ78とを備えている。この種子排出部6は、例えば筐体2の後側下部に配置されている。そして、この種子排出部6は、例えば筐体2の後部の化粧板11を取り外すことにより、筐体2の後部に対して出し入れ可能となっている。また、この種子排出部6の筐体2に対する挿入限度位置は、補強構造体79により設定されている。この補強構造体79は、例えば筐体2のフレーム10間に横幅方向に沿って配置される梁部材であり、例えばモータ4の後方に配置されている。そして、この補強構造体79は、筐体2に対して後方から挿入された種子排出部6のストッパとして作用することで、種子排出部6を位置決めするようになっている。
次に、綿繰り機1の動作について説明する。
使用前の準備として、作業者は、収納状態にある綿繊維排出部5を前方に回動させて使用状態とする(図1の二点鎖線に示す)とともに、この綿繊維排出部5の前側下方に、図示しない箱等の綿繊維受け体を配置する。
そして、作業者が操作部13を操作すると、綿繰り機1はモータ4が駆動することで、モータ4の回転軸が回転する。そして、モータ4の回転軸に取り付けられたプーリ57が回転することにより、このプーリ57の回転が無端体58により駆動軸50のプーリ53へと伝達され、駆動軸50が回転する。駆動軸50が回転すると、この駆動軸50のもう一方のプーリ54の回転が無端体60によりプーリ59へと伝達され、このプーリ59とともにローラ21が図1等に示す矢印X方向に回転(正転)する。また、駆動軸50が回転すると、この駆動軸50に取り付けられたカム55が偏心回転することにより、レバー64が左右に往復動し、レバー65が上下に往復動する。このため、レバー64にリンク67を介して連結された押込連結部36が回動軸40を支点として前後動するとともに、レバー65にブラケット69を介して連結された突上連結部44が回動軸46を支点として上下動する。したがって、図5ないし図8に示すように、押込ユニット22と突上ユニット23とが連動し、押込ユニット22がローラ21側に最大に移動した位置で突上ユニット23は略中立位置となり、押込ユニット22がローラ21とは反対側に移動して略中立位置となるにしたがい突上ユニット23は下側に最大に移動し、押込ユニット22がさらにローラ21とは反対側に最大に移動した位置となるにしたがい突上ユニット23は上昇して略中立位置となり、押込ユニット22がローラ21側に移動して略中立位置となるにしたがい突上ユニット23は上側に最大に移動する。すなわち、押込ユニット22と突上ユニット23とは、一方が略中立位置であるときに他方が動作範囲端部に位置するように連動する。
この動作状態で、作業者が投入部12から実綿Cを投入すると、実綿Cは、ガイド面15に沿って投入部12を落下し、このガイド面15の下部で前後動する押込ユニット22の押込プレート35によりブレード20及びローラ21側へと押し込まれる。この実綿Cの綿繊維Fは、ブレード20の刃先部20aとローラ21との間に挟み込まれ、ローラ21の回転により引っ張られて、ブレード20の刃先部20aに押し当てられるとともに、ブレード20の刃先部20aの後側で上下動する突上ユニット23の突上プレート43により突き上げられることで、ブレード20の刃先部20aによって切断され、ローラ21の外周に沿ってブレード20から離れる前方向へ運ばれる。そして、この綿繊維Fは、ローラ21の外周に沿って半周程度運ばれて、図1に示す排出ガイド部73へと落下し、この排出ガイド部73と、使用状態となっている綿繊維排出部5とに沿って滑り落ちて、排出口71から筐体2の前方へ排出される。
一方、綿繊維Fが引き剥がされた種子Sは、投入部12の底部16に開口された穴部17から落下し、突上プレート43の種子ガイド部43bや種子ガイド体75により種子排出部6へとガイドされ、種子排出部6の収容部77で受けられてこの収容部77に溜められる。
このように、作業者は、筐体2の後側から投入部12に実綿Cを順次投入することで、自動的に筐体2の前方に綿繊維Fを分離し、筐体2内の後側、つまり作業者側に種子Sを溜めることができる。
実綿Cの分離が終了すると、作業者は操作部13を操作して綿繰り機1の動作を停止させる。そして、綿繊維受け体に溜められた綿繊維Fは、綿繊維受け体とともに運搬し、種子排出部6に溜められた種子Sは、筐体2の化粧板11を取り外して種子排出部6を筐体2から取り出すことで運搬することができる。綿繊維排出部5は、筐体2側に回動させて保持手段72により保持することで収納状態とすることができる。
上述したように、実綿Cを綿繊維Fと種子Sとに分離する分離部3を筐体2に配置し、モータ4によって分離部3を駆動させることで、筐体2の投入部12に実綿Cを投入するだけで実綿Cを効率的に綿繊維Fと種子Sとに分離させることができる。
具体的に、分離部3を、投入部12に臨んで配置されたブレード20と、このブレード20に対して投入部12とは反対側に配置されたローラ21と、投入部12に投入された実綿Cをローラ21側に押す押圧ユニット22と、投入部12に投入された実綿Cをブレード20の刃先部20aに向かう方向に押す突上ユニット23とにより構成し、ローラ21がブレード20の刃先部20aに対して対向して回転することで押込ユニット22により押し込まれた実綿Cの綿繊維Fをブレード20の刃先部20aとローラ21との間に引き込むとともに、ブレード20の刃先部20aと突上ユニット23との間で綿繊維Fを種子Sから引き剥がして、綿繊維Fと種子Sとに容易に分離させることができる。
特に、ローラ21がブレード20の刃先部20aに対して摺接して回転するようにすれば、実綿Cを効率よく綿繊維Fと種子Sとに分離し、また、綿繊維Fをローラ21と刃先部20aとの間へと、より効率よく引き込むことができる。
しかも、分離部3は、各ユニット22,23の動作によって実綿Cをローラ21に押し付けたり、ブレード20との間で綿繊維Fを切断したりするので、実綿Cの大きさや綿繊維Fの長さ等が異なっていても同様の動作によって綿繊維Fと種子Sとを分離することが可能であり、実綿Cの種類等に応じた調整が不要である。
また、綿繰り機1は、駆動されて動作する分離部3のローラ21や各ユニット22,23を筐体2により覆っているため、作業者の安全に配慮した構成となる。
単一のモータ4の動力を伝達機構70により伝達して、ローラ21、押込ユニット22、及び、突上ユニット23を連動させることで、複数の駆動源や動力を用いることなく、分離部3を小型の簡素な構成で容易に駆動させることができる。
また、ブレード20とローラ21との接触強さを調整手段31により調整可能とすることで、ブレード20の刃先部20aとローラ21との間への実綿Cの綿繊維Fの引き込みを調整できるので、実綿Cをより効率的に綿繊維Fと種子Sとに分離させることができる。
さらに、分離部3により分離された綿繊維Fを綿繊維排出部5により筐体2の外部に排出可能とするとともに、分離部3により分離された種子Sを種子排出部6により筐体2の外部に排出可能とすることで、分離された綿繊維Fと種子Sとを筐体2から容易に取り出すことができる。
また、綿繊維排出部5と種子排出部6とを、筐体2の互いに反対側に位置させることで、これらが筐体2の一側に偏ることを防止し、筐体2のスペースを効率よく利用して綿繊維排出部5と種子排出部6とを配置でき、綿繰り機1をよりコンパクトに構成できる。
さらに、綿繊維排出部5を、筐体2に対して収納状態と使用状態とに選択的に切り換え可能とし、使用状態で筐体2からの綿繊維Fの排出をガイドする排出ガイド体として作用させることで、綿繊維Fを効率よく排出できるとともに、綿繰り機1を使用しないときには、綿繊維排出部5を収納状態としてコンパクトに収納できる。
また、種子排出部6を筐体2の一側である後側に配置し、モータ4を、筐体2の種子排出部6に対して反対側の他側である前側に配置することで、種子排出部6の他側のデッドスペースを有効利用してモータ4を配置でき、綿繰り機1をコンパクトに構成できる。
さらに、種子排出部6が、筐体2に対して出し入れ可能で、分離部3により分離された種子Sを受ける種子受け部であるため、分離された種子Sを飛び散らせることなく種子排出部6に回収でき、作業性及び清掃性が向上するとともに、綿繰り機1を使用しないときには、種子排出部6を筐体2内に収納して、コンパクトに収納できる。
このように、綿繰り機1をコンパクトに構成するとともに、モータ4を家庭用電源によって動作可能なものとすることによって、綿繰り機1を使用可能な環境の幅を広げることができる。
特に、投入部12が筐体2の後側寄りにある本実施の形態の綿繰り機1の場合、作業者は通常筐体2の後側から実綿Cを投入部12に投入することとなるので、筐体2の前方にはスペースがあるのに対して、筐体2の後方にはスペースを取りにくい。そのため、綿繊維Fを排出する綿繊維排出部5は、投入部12とは反対側である筐体2の前側から筐体2の前方へと綿繊維Fを排出するようにすることで、筐体2内にアクセスすることなく綿繊維Fを容易に取り出すことができるとともに、種子Sを溜める種子排出部6は、筐体2内の後側に位置させることで、作業者による実綿Cの投入作業の邪魔になりにくい。
また、筐体2に設けられた補強用の補強構造体79が、筐体2に対する種子排出部6の挿入限度位置を設定するストッパとして作用するので、種子排出部6を位置決めするための専用の構成を形成することなく、補強構造体79による筐体2の補強構造を利用して種子排出部6を効果的に位置決めできる。
そして、種子排出部6が台車であるため、筐体2から種子Sとともに種子排出部6を取り出した後、そのまま容易に運ぶことができる。
なお、上記各実施の形態において、伝達機構70は、上記の構成に限定されるものではなく、適宜のカムやリンク機構等を用いて任意に構成できる。
また、ローラ21、押込ユニット22、及び、突上ユニット23は、単独のモータ4で駆動させる構成に限定されず、それぞれ別個のモータ等を用いて駆動させてもよい。
さらに、綿繊維排出部5は、例えば綿繊維Fを受ける綿繊維受け部として構成し、筐体2に対して出し入れ可能としてもよい。
また、種子排出部6は、台車に代えて、例えば受け皿状の種子受け部等とすることもできる。