JP7139847B2 - スポット溶接継手の製造方法 - Google Patents

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本発明は、抵抗スポット溶接による重ね合わせた鋼板からなるスポット溶接継手の製造に関するものである。
自動車の分野では、環境保全のため、車体の軽量化による燃費の向上とともに、衝突安全性の向上が求められている。そのため、高強度鋼板を使用して車体を薄肉化するとともに、車体構造を最適化して、車体の軽量化と衝突安全性の向上を図るために、これまで種々の取組みがなされている。
自動車等の溶接構造部材の製造や組立における溶接では、主に抵抗溶接によるスポット溶接が用いられているが、高強度鋼板のスポット溶接では次のような問題がある。
高強度鋼板はその強度を達成するために母材の炭素量等が大きくなっており、しかも、スポット溶接では溶接部は加熱後直ちに急冷されるために、高強度鋼板のスポット溶接部はマルテンサイト組織となり、溶接部及び熱影響部において硬度が上昇し、靭性が低下するようになる。また、溶接部では、局部的に生じる変態膨張と収縮により、溶接継手の引張残留応力が大きくなっている。
このような高強度鋼板のスポット溶接の問題に対して、ナゲットを形成する本通電の後にさらに後通電(テンパー通電)を行う2段通電による方法がある。この方法では、後通電によりスポット溶接部(ナゲット部および熱影響部)を焼鈍して溶接部の硬さを低下させることができ、スポット溶接部の靭性を改善して継手強度を確保すことができる。
一方、高強度鋼板をスポット溶接した場合において、遅れ破壊(水素脆化割れ)の問題もある。
遅れ破壊は、鋼板の硬さ、残留応力、そして鋼板中の水素量の3因子に主に支配されるが、スポット溶接部は、硬度が高く、引張残留応力が大きくなっているので、水素侵入が起これば、遅れ破壊を引き起こしやすい部位となっている。
遅れ破壊が発生すると、割れがナゲットや熱影響部を横断し、継手を破断させてしまう場合や、ナゲット内もしくは熱影響部内で割れが止まったとしても継手の強度を低下させる可能性が高い。さらに、割れの部分に水分が浸入すると、腐食が発生して強度がさらに低下するという問題が生じる。これらの問題が、高強度鋼板の適用による車体の軽量化(薄肉化)を阻害する一因となっている。
このような問題に対して、特許文献1には、ナゲットを形成する本通電後の後通電時において、本通電時の加圧力P1よりも加圧力を上昇させて、高い加圧力P2で加圧することにより、溶接部周辺に圧縮残留応力を導入して耐遅れ破壊特性を向上させるスポット溶接技術が開示されている。
特開2015-93282号公報
特許文献1に開示の技術は、溶接部の引張残留応力を低減できるため、遅れ破壊の抑制に対して有効な技術であるが、溶接の際に溶接部などに侵入する水素量の影響については特に考慮されておらず、溶接時の水素侵入抑制の観点から水素脆化割れを抑制することが望まれる。
本発明では、このような実情に鑑み、鋼板をスポット溶接する際、遅れ破壊の要因の一つである水素の侵入を抑制できるスポット溶接技術を提供することを課題とする。
一般にスポット溶接前の鋼板は、防錆油、洗浄油や加工油などの油(以下、単に「油」と記載)が表面に塗られた状態あるいは残留した状態で保管されている。油はスポット溶接の熱により揮発して除去されるため、通常は鋼板に付着している油を除去しないでスポット溶接が行われている。
本発明者らは、そのような油が鋼板への水素侵入の要因になるのではないかと考え、油が付着したままの鋼板をスポット溶接した場合の水素の影響について調査した。
その結果、鋼板の合わせ面の間に油が付着したままの鋼板をスポット溶接すると溶接部に水素が侵入することを見出した。
そして、溶接時に侵入する水素量を低減する手段について検討する過程で、スポット溶接の初期加圧時に、接触した鋼板間に油が閉じ込められることが原因で水素が鋼板内に侵入すること、及び、溶接条件を制御すれば、溶接初期に鋼板接触部に閉じ込められる油の量を少なくでき、その結果、鋼板内への水素の侵入を抑制できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下の通りである。
[1] 重ね合わせた鋼板によるスポット溶接継手の製造方法において、
スポット溶接の通電の全期間にわたって、重ね合わせた鋼板の合計板厚T(mm)に応じて下記式(1)で設定される基準加圧力(kgf)の30~60%で加圧することを特徴とするスポット溶接継手の製造方法。
基準加圧力=54×T+245 ・・・(1)
[2] 重ね合わせた鋼板によるスポット溶接継手の製造方法において、
スポット溶接の通電が予通電と本通電よりなり、少なくとも予通電では、鋼板板厚T(mm)に応じて下記式(1)で設定される基準加圧力の30~60%で加圧することを特徴とするスポット溶接継手の製造方法。
基準加圧力=54×T+245 ・・・(1)
[3] 前記予通電は前記基準加圧力の30~60%で加圧し、前記本通電は前記基準加圧力の70~120%で加圧することを特徴とする上記[2]に記載のスポット溶接継手の製造方法。
[4] 前記予通電の電流値が2~4kAであることを特徴とする上記[2]または[3]に記載のスポット溶接継手の製造方法。
[5] 前記重ね合わせた鋼板の合計板厚Tが1.2mm以上であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載のスポット溶接継手の製造方法。
本発明により、鋼板の合わせ面の間に油が付着したままの鋼板をスポット溶接したとしても、溶接初期に鋼板接触部に閉じ込められる油の量を少なくできるので、スポット溶接部に水素が侵入し難くなる。
その結果、溶接部への水素の侵入を抑制できるので、溶接時に侵入する水素による水素脆化割れを抑制したスポット溶接継手を得ることができる。
スポット溶接後の鋼板への侵入水素量の一例を示す図であり、[a]は鋼板の合わせ面の間に油が存在する場合を、[b]は存在しない場合をそれぞれ示す。 スポット溶接の初期加圧時に、鋼板接触部に油が閉じ込められることを説明するための模式図である。 従来の電流と加圧力のパターンを模式的に示す図であり、[a]は本通電のみのパターン、[b]は予通電の後に本通電するパターンをそれぞれ示す。 本発明の電流と加圧力のパターンを模式的に示す図であり、[a]は本通電のみのパターン、[b]は予通電の後に本通電するパターンをそれぞれ示す。 本発明の電流と加圧力のパターンの他の例を模式的に示す図である。 図3、4に示すパターンでスポット溶接した後の鋼板への侵入水素量の一例を示す図である。
本発明は、重ね合わせた鋼板によるスポット溶接継手の製造において、加圧力を制御して、さらには、加圧力とともに通電を制御してスポット溶接することにより、鋼板合わせ面に油が塗布されていても、溶接初期に鋼板接触部に閉じ込められる油の量を少なくして、溶接部へ水素が侵入するのを抑制したものである。
本発明は、重ね合わせた鋼板によるスポット溶接継手の製造において、鋼板合わせ面に油が塗布されていても、加圧力を制御して、さらには、加圧力ともに通電を制御してスポット溶接することにより、溶接初期に鋼板接触部に閉じ込められる油の量を少なくして、溶接部へ水素が侵入するのを抑制したものである。
最初に、表面に油が付着したままの鋼板をスポット溶接しても、油に由来する溶接部への水素の侵入を防止した溶接継手を製造できるような本発明を見出すに至った試験について説明する。
自動車用部材のスポット溶接による組立てでは、鋼板部材は油が塗布されたままでスポット溶接工程に供される。そこで、まず、油が水素の侵入源になるかどうかを調べた。
実験に当たり、試験片として、次に示すような大きさが30mm×30mmの3種類の試験片を準備した。油には防錆油(パーカー興産株式会社製 NOX-RUST530F(60) )を使用した。
A1:板厚1mmの鋼板を、各鋼板の両面に油を塗布して2枚重ねた試験片
A2:板厚1mmの鋼板を2枚重ねた試験片(各鋼板の両面とも油の塗布なし)
B1:板厚2mmの鋼板1枚よりなる試験片(鋼板の両面とも油を塗布)
板厚tが1mmの試験片A1、A2を、下記表1の共通溶接条件の下で、加圧力を一定として、溶接電流を変化させてスポット溶接して、3√t、4√t、5√t径のナゲットをそれぞれ形成した後、直ちに液体窒素にて冷却した。その後、溶接後の試験片を、ナゲットを含むように10mm×10mmの大きさに切断した。
溶接後の試験片A1、A2における侵入水素量測定は、試験片を昇温することで水素を放出させ、この放出した水素量をガスクロマトグラフによって測定する昇温脱離法で行った。昇温速度は100℃/hour、最高到達温度は200℃とし、200℃までに放出された水素量を侵入水素量とした。また、試験片B1をスポット溶接と同様に加圧・通電して同様の径のナゲットをそれぞれ形成し、通電後の試験片B1が有する水素量を同様に測定した。試験片A1、A2での結果を図1に示す。
Figure 0007139847000001
油を塗布された試験片A1では、図1[a]に示されるように、3√t~5√tのすべての径のナゲットで、0.25μg以上の水素量が検出されたが、油の塗布がない試験片A2では、図1[b]に示されるように、ナゲット径4√tで多少の水素が検出されたものの、他の径では水素は検出されなかった。また、試験片B1ではいずれのナゲット径でも水素は検出されなかった。
ちなみに、試験片A1のナゲット径3√tでの水素量を、ナゲットにのみ水素が侵入したと仮定して水素濃度を計算すると、3.8ppmという非常に高い濃度になり、遅れ破壊の要因になる可能性が高いことが見出された。
以上の結果から、スポット溶接における鋼板合わせ面の間に油が存在すると、溶接後の鋼板における侵入水素量が顕著に増加することが知見された。また、試験片B1の結果から、鋼板の電極側の表面からは水素が侵入しないことも知見された。
この試験より、鋼板合わせ面の間に存在する油が水素の侵入源になることが認められたので、次に、油に由来する水素が、スポット溶接の際に鋼板内に侵入するメカニズムについて調べた。
図1[a]の結果では、ナゲット径と侵入水素量との関連は認められなかったので、鋼板の合わせ面の間に油が存在する場合の初期加圧時の接触部の面積と溶接後の侵入水素量との関連を検討した。
まず、2枚の鋼板の間に感圧紙を挟み込んで、それらを重ね合わせ、重ねた鋼板の両側からスポット溶接電極で加圧力200kgfと400kgfで加圧した時の鋼板接触部の面積を測定した。次に、合わせ面側に油を塗布した鋼板を同じ加圧力で加圧するスポット溶接を行い、溶接後それぞれの鋼板の水素量を昇温脱離法によって測定した。結果を表2に示す。
表2から、スポット溶接の初期加圧時に接触する鋼板部分(接触部)の面積が大きくなると、鋼板内に侵入する水素量も増加することが知見された。
Figure 0007139847000002
この試験より、接触部の面積が大きくなると、接触部に閉じ込められる油量が増加して、鋼板内に侵入する水素量も増加すると考えられることや、ナゲット径と侵入水素量の間には相関がみられないことから、加圧初期に接触した鋼板間に保持される油量が侵入水素量を決定すると考えられる。
すなわち、図2に示すように、鋼板3、4の合わせ面5に油が塗布されている場合、電極1、2による鋼板3、4の初期加圧時に、接触した鋼板間(接触部)に油が閉じ込められ、その閉じ込められた油は、通電加熱時に接触部から外部に排出されず、熱により分解して溶接部に侵入することが原因で鋼板への侵入水素量が増加すると考えられた。
そこで、加圧初期の鋼板が接触する際に、鋼板接触部内に閉じ込められる油量を少なくする手段について検討した。
先の加圧力の試験で、スポット溶接を低い加圧力で行うことで、鋼板接触部の面積が小さくなり、鋼板への侵入水素量が減少する結果が得られたので、少なくとも通電初期に低い加圧力とすることにより、鋼板接触部の面積を小さくすること、及び、本通電前に低い電流値で予通電して、油を気化させることを着想して、以下の試験を行った。
鋼板として、大きさが30×30mmで板厚1mmの鋼板を準備し、合わせ面の間に油を介在させて積層した2枚の鋼板の中央部を表3に示す条件でスポット溶接した。下記AからEの各水準(パターン)とも3試料ずつ溶接した。溶接には単相交流50Hzの抵抗スポット溶接機を用いた。また、本通電の電流値はナゲット径が4√tとなるように調整した。
溶接は、図3、4、5に示す次の5パターンで実施した。
A:本通電のみ通常加圧力で実施(図3[a]参照)
B:本通電前の予通電と本通電を通常加圧力で実施(図3[b]参照)
C:本通電のみ低加圧力で実施(図4[a]参照)
D:本通電前の予通電と本通電を低加圧力で実施(図4[b]参照)
E:本通電前の予通電のみを低下圧力で実施した後、通常加圧力で本通電を実施(図5参照)
Figure 0007139847000003
溶接後それぞれの鋼板の水素量を昇温脱離法によって測定した。結果を図6に示す。また、図6には、本通電のみ通常加圧力で実施した場合の水素量を基準としその基準値からの水素量の変化率を併せて示す。
この試験では、本通電のみ通常加圧力で実施した場合の水素量に対して、他のいずれの場合も水素量が低減する結果が得られた。特に、通常加圧の50%の低加圧で溶接を実施した場合に、通常加圧に比べて30%以上の水素低減の効果が得られ、さらに、低加圧と予通電を併用した場合には、より大きな低減効果が得られた。また、予通電を低加圧力で行い、続けて通常加圧力で本通電を行った場合には、低加圧で予通電と本通電を実施した場合と同程度の低減効果が得られた。
以上の試験の結果、通常の本溶接の加圧力より低い加圧力で加圧することの有効性、及び、低い加圧力での加圧と低い電流値での予通電の実施の有効性が確認されたので、低加圧における加圧力の範囲、予通電の電流範囲、加圧力と通電の組合せパターンなどについてさらに検討して本発明に到達した。以下、本発明を構成する要件や好ましい要件について説明する。
(加圧力と通電のパターン)
加圧力と通電のパターンは、次の(1)~(3)のパターンとする。
(1)通電は本通電のみとし、通電中及びその前後の加圧力を通常の本通電の加圧力よりも小さい加圧力とする。(図4[a]参照)
(2)通電を予通電と本通電とし、通電中及びその前後の加圧力を通常の本通電の加圧力よりも小さい加圧力とする。(図4[b]参照)
(3)通電を予通電と本通電とし、予通電の加圧力を通常の本溶接の加圧力よりも小さい加圧力とし、本通電の加圧力を通常の加圧力とする。(図5参照)
(通電)
通電は、本通電のみでも、本通電の前に予通電を行うものでもよい。予通電と低加圧を組み合わせることにより、合わせ面に油の付着した鋼板をスポット溶接する際の水素の鋼板への侵入をより低減できる。
本通電の電流値は一般的な条件を採用する。予通電を行う場合、予通電の電流値は、予通電期間に油を気化させる目的で、2~4kAの範囲が好ましい。また、予通電の通電時間は油を気化させる目的で0.04sec以上が好ましい。
(加圧力)
重ね合わせた鋼板のスポット溶接方法において、通電の全期間、あるいは、予通電の期間にわたって、重ね合わせた鋼板の合計板厚T(mm)に応じて下記式(1)で設定される基準加圧力(kgf)の30~60%で加圧して溶接する。
基準加圧力=54×T+245 ・・・(1)
このように、少なくとも通電初期に低加圧とすることにより、鋼板合わせ面に油が存在していても鋼板接触部に閉じ込められる油の量を少なくでき、その結果、溶接中における鋼板内への水素の侵入を抑制することができる。
前記のような低加圧とする期間は、予通電を行わない場合は、通電前後の期間(スクイズ時間、ホールド時間)を含め全期間とする(図4[a]参照)。
予通電を行う場合は、予通電、本通電前後の期間(スクイズ時間、ホールド時間)を含めて全期間を低加圧とする(図4[b]参照)か、あるいは、予通電の期間を基準加圧力(kgf)の30~60%の低加圧とし、本通電では、得ようとするナゲット径などの条件に応じて、基準加圧力(kgf)の70~120%の加圧力とする(図5参照)。後者のように加圧力を変化させる場合、加圧力を増加する時期は、本通電と同時でもよいし、本通電の途中からでもよい。
(その他)
なお、本発明で用いる鋼板は、重ね合わせる部分が板状であればよく、全体が板でなくてもよい。例えば、断面ハット形の特定の形状にプレス成型された部材のフランジ部などを含むものである。重ね合わせる鋼板の枚数は、2枚に限らず、3枚以上としてもよい。また、重ね合わせる鋼板の、種類、成分組成及び板厚は、全て同じとしても、相互に異なっていてもよい。また、別々の鋼板から構成されるものに限定されず、1枚の鋼板を管状などの所定の形状に成形して、端部を重ね合わせたものであってもよい。
以上のように、本発明は、重ね合わせた鋼板のスポット溶接の際、加圧力を制御(あるいは、加圧力を予通電と組み合わせて制御)して、溶接部への水素の侵入を抑制したスポット溶接継手を製造できるものであるが、そのような本発明の実施可能性や効果を確認する実施例を以下に示す。
強度が980MPa級の鋼板よりなり、サイズが30×30mmで板厚が1mmの試験片を2枚重ね合わせた板組Aと、強度が1180MPa級の鋼板よりなりサイズが30×30mmで板厚が1.6mmの試験片を2枚重ね合わせた板組Bをスポット溶接する試験を行った。どちらの板組においても試験片の合わせ面となる面に油を塗布した後にスポット溶接した。油は防錆油(パーカー興産株式会社製 NOX-RUST530F(60) )を使用した。
溶接条件を表4に示す。
試験片のスポット溶接後、直ちに液体窒素にて冷却した。その後、溶接後の試験片をナゲットを含むように10mm×10mmの大きさに切断した。侵入水素量測定は、試験片を昇温することで水素を放出させ、この放出した水素量をガスクロマトグラフによって測定することで行った。昇温速度は100℃/hour、最高到達温度は200℃とし、200℃までに放出された水素量を侵入水素量とした。
水素量の測定結果を表4に示すとともに、板組A、Bにおいて、通常の溶接条件でスポット溶接を行った例を基準として、基準の水素量からの変化率を同じく表4に示す。
発明例では、侵入水素量が基準に比べて大幅に減少していた。
これに対し、比較例では、侵入水素量が基準に比べて、減少効果が大きかった例でも20数%であった。
Figure 0007139847000004
1、2 スポット溶接電極
3、4 鋼板
5 鋼板合わせ面

Claims (3)

  1. 重ね合わせた鋼板によるスポット溶接継手の製造方法において、
    スポット溶接の通電が予通電と本通電よりなり、予通電では、重ね合わせた鋼板の合計板厚T(mm)に応じて下記式(1)で設定される基準加圧力の30~60%で加圧し、前記本通電は前記基準加圧力の70~120%で加圧することを特徴とするスポット溶接継手の製造方法。
    基準加圧力=54×T+245 ・・・(1)
  2. 前記予通電の電流値が2~4kAであることを特徴とする請求項に記載のスポット溶接継手の製造方法。
  3. 前記重ね合わせた鋼板の合計板厚Tが1.2mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスポット溶接継手の製造方法。
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