本発明の実施の形態に係る電子機器および照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム80のブロック図である。照明制御システム80は、管理装置81、コントローラ82、複数のリレー制御端末器83、複数のリモコンリレー84、リモコントランス85および複数の照明器具89を備える。管理装置81は例えば、パーソナルコンピュータ等の端末装置である。管理装置81は、照明制御システム80の状態監視または設定を行う。
管理装置81とコントローラ82は、有線または無線の通信網87であるLAN(Local Area Network)で接続されている。複数のリレー制御端末器83とコントローラ82とは、通信線88で渡り配線により接続される。渡り配線には、図示しない照度センサ、人感センサ等の各種センサが接続されても良く、壁スイッチ等の操作盤が接続されても良い。
コントローラ82は、伝送信号を送信しリレー制御端末器83等を制御する制御装置である。コントローラ82は、通信線88を介してリレー制御端末器83、壁スイッチおよびセンサと通信を行う。コントローラ82が発信および受信する伝送信号は、アドレスデータおよび制御データを含む。
各々のリレー制御端末器83には、複数のリモコンリレー84が接続される。リレー制御端末器83の制御出力と複数のリモコンリレー84の入力側の一端は、制御信号線で接続されている。リレー制御端末器83は制御システム端末器である。リレー制御端末器83は、アドレス設定部を備える。アドレス設定部を操作することにより各々のリレー制御端末器83に固有のアドレスが割り当てられる。
リレー制御端末器83は、通信線88を介してコントローラ82が発信する伝送信号を受信する受信部を有する。また、リレー制御端末器83は、伝送信号に含まれるアドレスデータを、リレー制御端末器83に割り当てられた固有アドレスと比較する比較部を有する。比較部が、伝送信号のアドレスデータと、リレー制御端末器83に割り当てられた固有アドレスとが一致したと判断した場合、リレー制御端末器83は伝送信号の制御データを実行するためにリモコンリレー84に制御信号を送信する。
このように、リレー制御端末器83は伝送信号に応じて複数のリモコンリレー84を制御する。図1では、1台のリレー制御端末器83に対し、4台のリモコンリレー84が接続されているが、1台のリレー制御端末器83に接続されるリモコンリレーの数はこれ以外でも良い。
各々のリモコンリレー84の二次側には、照明器具89等の負荷及び外部電極が接続される。リモコンリレー84は、リレー制御端末器83からの信号を受け、リモコンリレー84に接続される負荷に供給される電力を断続させる。リモコントランス85の入力側は、外部電源に接続される。リモコントランス85は、リモコンリレー84の入力側に、リレーをオンオフするための電力を供給する。リレーをオンオフするための電力は、例えばAC24Vである。
本実施の形態に係る電子機器1は、リレー制御端末器83と複数のリモコンリレー84の機能を有する。電子機器1は、コントローラ82が送信する伝送信号に応じて、複数の照明器具89への電力の供給をオンオフする。
図2は、実施の形態1に係る電子機器1の上方斜視図である。電子機器1は主に分電盤内に設置される。このため、電子機器1の外形寸法は協約寸法に適合している。協約寸法とは、JIS規格のC 8201-2-1:2011「低圧開閉装置および制御装置―第2-1部:回路遮断器(配線用遮断器およびその他の遮断器)」の附属書JC「電灯分電版盤用協約形回路遮断器」の図JC.1に規定される、外形寸法の推奨値である。
図3は、実施の形態1に係る電子機器1の分解斜視図である。電子機器1は、上ケース10と下ケース20を備える。上ケース10と下ケース20は、基板を収納するケースである。本実施の形態では、基板は制御基板30と、制御基板30の下方に設けられた主基板57とを含む。
上ケース10と下ケース20は例えば樹脂で成形される。本実施の形態では、電子機器1の上ケース10が配置された方向を上、下ケース20が配置された方向を下とする。上ケース10は、上面と側面を備える。上ケース10には、上面に対向する側に開口が設けられる。図2に示されるように、下ケース20は、上ケース10の開口を塞ぐ。また、上ケース10と下ケース20は、嵌合ねじ61により締結される。
下ケース20は、底面と側面を備える。下ケース20は、底面と対向する側に開口が設けられる。下ケース20は、短手方向に延びる一対の側面の一方に、上方に延びる延伸部76を有する。延伸部76は、後述する外部信号側端子ねじ53aが配置される側の側面に設けられる。延伸部76は、上ケース10に形成された後述する切欠き部74と嵌合する。また、下ケース20は、延伸部76の内側に突起部77を有する。突起部77は主基板57と嵌合しても良い。
上ケース10は、端子金具54a、54bを保持する。端子金具54a、54bには、図1に示される通信線88および負荷が接続される。上ケース10の一対の側面には、それぞれ切欠きが形成される。切欠きにより、上ケース10から端子金具54a、54bが露出する。上ケース10には上面側から端子金具54a、54bが挿入される。
端子金具54a、54bは、板金をC字状またはU字状に折り曲げて形成される。端子金具54a、54bには、ねじ穴が形成されている。端子金具54aには、外部信号側端子ねじ53aが締結される。端子金具54bには、制御側端子ねじ53bが締結される。本実施の形態では、電子機器1は、端子金具54aと外部信号側端子ねじ53aを2個ずつ備える。また、電子機器1は、端子金具54bと制御側端子ねじ53bを8個ずつ備える。
図4は、実施の形態1に係る端子穴15の形状を説明する図である。上ケース10の長手方向の両端には、端子金具54a、54bを挿入するための複数の端子穴15が形成される。各々の端子穴15は第1端子穴17と第2端子穴18とを有する。つまり、上ケース10の上面には、第1端子穴17と、第2端子穴18とが設けられている。第1端子穴17は、角穴17aと、角穴17aから第1端子穴17と第2端子穴18とが並ぶ方向に突出した突出部分17bとを有する。突出部分17bは第2端子穴18に向かって突出する。第1端子穴17は、円形または楕円形の穴と、角穴17aとが繋がった形状である。本実施の形態では、角穴17aは長方形である。また、第2端子穴18は、第1端子穴17より幅が狭い。
図5は、実施の形態1に係る端子金具54bの斜視図である。端子金具54bは、上ケース10の上面に設けられた主部54b-3と、主部54b-3から延びる第1部分54b-1と、主部54b-3から延びる第2部分54b-2とを有する。第1部分54b-1と第2部分54b-2は、上ケース10に挿入される。端子金具54aは端子金具54bと同様の形状である。端子金具54aは、上ケース10の上面に設けられた主部54a-3と、主部54a-3から延びる第1部分54a-1と、主部54a-3から延びる第2部分54a-2とを有する。第1部分54a-1と第2部分54a-2は、上ケース10に挿入される。
端子金具54aの第2部分54a-2は第1部分54a-1より短い。同様に、端子金具54bの第2部分54b-2は第1部分54b-1より短い。つまり、端子金具54a、54bでは、2つの端部の長さが不均一に形成されている。また、端子金具54aの第1部分54a-1は第2部分54a-2より幅が広い。同様に、端子金具54bの第1部分54b-1は、第2部分54b-2より幅が広い。
また、電子機器1は、端子金具54bの第1部分54b-1と主基板57とを接続する配線58を備える。これにより、端子金具54bは主基板57と電気的に接続される。配線58は例えばハーネスである。端子金具54bの第1部分54b-1は、配線58とはんだ付けされる。また、配線58は主基板57とはんだ付けされる。
端子金具54bの第1部分54b-1は、第1端子穴17に挿入される。第1端子穴17のうち第1部分54b-1が挿入される部分は角穴17aである。また、第2部分54b-2は第2端子穴18に挿入される。さらに、制御側端子ねじ53bは、主部54b-3に設けられたねじ穴を通り、突出部分17bに挿入される。
同様に、端子金具54aの第1部分54a-1は、第1端子穴17に挿入される。第1端子穴17のうち第1部分54a-1が挿入される部分は角穴17aである。また、第2部分54a-2は第2端子穴18に挿入される。さらに、外部信号側端子ねじ53aは、主部54a-3に設けられたねじ穴を通り、突出部分17bに挿入される。
第1部分54a-1、54b-1は第2端子穴18より幅が広い。このため、第2部分54a-2、54b-2は第2端子穴18に挿入できるが、第1部分54a-1、54b-1は第2端子穴18に挿入できない。従って、端子金具54a、54bを逆向きに上ケース10に差し込むことを防止できる。また、容易に端子金具54a、54bを上ケース10に差し込む向きを判断できる。従って、電子機器1を組み立て易い。
複数の端子金具54a、54bは、同じ向きで上ケース10に取り付けられる。従って、電子機器1の組み立て時の作業性を向上できる。
図6は、実施の形態1に係る電子機器1の平面図である。端子金具54aは、上ケース10の長手方向の一方の端部に並べて配置される。また、端子金具54bは、上ケース10の長手方向の他方の端部に並べて配置される。
図2、3、6に示されるように、端子金具54aおよび外部信号側端子ねじ53aは、隣接する端子金具54aおよび外部信号側端子ねじ53aと上ケース10に形成されたリブ10rにより離隔される。同様に、端子金具54bおよび制御側端子ねじ53bは、隣接する端子金具54bおよび制御側端子ねじ53bとリブ10rにより離隔される。端子金具54a、54b間にリブ10rを設けることで、絶縁距離および沿面距離を確保できる。従って、ショートの発生を抑制できる。
また、図6に示すように、端子金具54bおよび制御側端子ねじ53bのうち、奇数番号の端子と偶数番号の端子は、平面方向に離隔される。奇数番号の端子と偶数番号の端子との間には、端子金具54bおよび制御側端子ねじ53bの端子番号が刻印またはレリーフにて形成され表示される。これにより、奇数番号の端子と偶数番号の端子との、絶縁距離および沿面距離を確保できる。従って、さらにショートの発生を抑制できる。
外部信号側端子ねじ53aおよび端子金具54aは、図1に示されるリレー制御端末器83の通信線88と接続される端子に相当する。図1に示されるように、外部信号側端子ねじ53aおよび端子金具54aには、伝送信号を伝送する通信線88が渡り配線で接続される。本実施の形態の通信線88は、2本1組で構成される。図1のA~Cに示されるリレー制御端末器83のように、電子機器1を渡り配線の途中に接続する場合は、外部信号側端子ねじ53aおよび端子金具54aを4組用いる。一方、図1のDに示されるリレー制御端末器83のように、電子機器1を渡り配線の終端に接続する場合は、外部信号側端子ねじ53aおよび端子金具54aを2組用いる。
制御側端子ねじ53bおよび端子金具54bは、図1に示されるリモコンリレー84の出力端子に相当する。制御側端子ねじ53bおよび端子金具54bには、外部電源と照明器具89等の負荷が直列に接続される。制御側端子ねじ53bは、高電圧であり、例えば100~242Vの電圧が印加される。安全性を確保するため、図2に示されるように、電子機器1の制御側端子ねじ53bの上面は、保護カバー52で覆われる。保護カバー52は、上ケース10に保護カバーねじ51で固定される。なお、図6では、保護カバー52は省略されている。
図7は、実施の形態1に係る上ケース10の平面図である。図7を用いて、上ケース10の上面側の構造を説明する。上ケース10の一端には端子金具54aを4個挿入できるように、4つの端子穴15が設けられる。上ケース10の他端には端子金具54bを8個挿入できるように、8つの端子穴15が設けられる。なお、図6に示されるように、端子金具54aが挿入されない端子穴15には、端子カバー65が挿入される。端子カバー65は、例えば樹脂で形成される。
また、リブ10rの中央部は、リブ10rの端部よりも細い。これにより、外部信号端子ねじ53aまたは制御側端子ねじ53bと、リブ10rとのクリアランスを確保している。
上ケース10は、上面の長手方向の中央に上面部11を備える。上面部11には、図示しない名板が貼付される。上ケース10において、上面部11と外部信号側端子ねじ53aに挟まれる箇所に凹部が形成される。凹部には操作面12が設けられる。図2に示されるように、操作面12は上面部11よりも下方に位置する。
操作面12には、上ケース10を上面から裏面に向かって貫通する開口窓13が設けられる。開口窓13は略長方形である。開口窓13の長辺は、上ケース10の長手方向と直交する。開口窓13からは、後述するアドレス設定部31のスイッチ操作部が突出する。このため、開口窓13を介してアドレス設定部31を設定できる。また、操作面12が上面部11よりも下方に位置するため、電子機器1に意図せず手などが触れた場合に、アドレス設定部31のスイッチ操作部の設定が変更されることを抑制できる。
また、操作面12には、開口窓13の長手方向の端部に設けられ、開口窓13を短手方向に横切る折り取り部13aが設けられる。折り取り部13aは、開口窓13のうち上ケース10の短手方向の端部から遠い方の端部に設けられる。折り取り部13aを折り取ることで、開口窓13を延長できる。これにより、上ケース10は、アドレス設定部31が上ケース10の短手方向にさらに長くても、制御基板30を保持できる。
操作面12には、一対の押切窓14が形成される。一対の押切窓14は、開口窓13の長手方向の両側に設けられ、開口窓13と一直線に並ぶ。一対の押切窓14は貫通孔である。
なお、図6に示されるように、上ケース10には、上方から操作ラベル55が貼付される。操作ラベル55により、開口窓13および一対の押切窓14は、アドレス設定部31から突出したスイッチ操作部の可動範囲を除き覆われる。このため、アドレス設定部31による電子機器1の意匠性への影響を抑制できる。また、アドレス設定部31のスイッチ操作部は、開口窓13および操作ラベル55から突出するため、操作ラベル55が貼付された状態でもアドレス設定を行うことができる。
図8は、実施の形態1に係る上ケース10の下方斜視図である。図8を用いて、上ケース10の裏面側の構造を説明する。上ケース10の上面と反対側の面である裏面側には、一対の爪部16が設けられる。一対の爪部16は、一対の押切窓14に隣接する位置から、上ケース10の側面に沿って下方に突出する。
爪部16の下端には、上ケース10の側面から離れる方向に突出した突起16aが設けられる。突起16aの上ケース10の側面からの高さは、押切窓14から離れるほど、つまり下方に向かって小さくなる。
また、上ケース10は、内側に突起部19a、19bを有する。突起部19aは上ケース10の長手方向に延びる2つの側面に2つずつ設けられる。突起部19aはリブとも呼ばれ、上ケース10から下方に延びる。突起部19bは、上ケース10の長手方向に延びる2つの側面に1つずつ設けられる。突起部19bは、嵌合ねじ61が挿入されるねじ穴である。また、上ケース10の短手方向に延びる一対の側面の一方には、切欠き部74が形成される。
図9は、実施の形態1に係る制御基板30の上方斜視図である。図9を用いて、制御基板30の構造を説明する。制御基板30は、アドレス設定部31を備える。アドレス設定部31はディップスイッチである。制御基板30の一端には基板固定用の固定孔32が設けられる。制御基板30の他端には、端子金具54aをはんだ付けするためのスリット33が形成されている。
制御基板30は切欠き30a、30bを有する。切欠き30a、30bは、突起部19a、19bの形状に合わせて形成される。切欠き30aは突起部19aと嵌合する。切欠き30bは突起部19bと嵌合する。
図10は、実施の形態1に係る上ケース10に端子金具54a、54bおよび制御基板30を取り付けた状態を示す下面図である。図11は、図10をA-A直線で切断することで得られる断面図である。図12は、実施の形態1に係る上ケース10に端子金具54a、54bおよび制御基板30を取り付けた状態を示す下方斜視図である。
図10から図12に示されるように、上ケース10の上面側から挿入された端子金具54a、54bの第1部分54a-1、54b-1および第2部分54a-2、54b-2は、上ケース10に形成された端子穴15を通り、上ケース10の内側に突出する。これにより、端子金具54a、54bは上ケース10に保持される。
また、端子金具54aの第2部分54a-2は、制御基板30のスリット33に挿入され、制御基板30の裏面から突出する。制御基板30の裏面は、制御基板30のうち、上ケース10の上面と反対側の面である。第2部分54a-2は、制御基板30にはんだ付けされる。第2部分54a-2は、制御基板30の裏面側ではんだ付けされる。これにより、第2部分54a-2は、制御基板30と電気的に接続される。また、端子金具54aは、制御基板30に機械的に固定される。
また、一対の爪部16は制御基板30を保持する。制御基板30は、上ケース10の下方から上ケース10の内部に挿入され、一対の爪部16に挟持される。これにより、制御基板30は上ケース10に仮固定される。また、制御基板30は、基板ねじ56によって上ケース10に締結され、上ケース10に固定される。
このように、制御基板30は、一対の爪部16で挟持されるとともに、1つの基板ねじ56で上ケース10と固定される。従って、ねじと制御基板30の充電部との絶縁距離の確保のために基板のサイズを大きくする必要が無く、制御基板30を小型化できる。また、制御基板30のサイズの抑制のために樹脂ねじを使用する必要が無く、電子機器1の強度を向上できる。また、樹脂ねじの使用に伴う電子機器1の経年劣化を防止できる。さらに、多層基板を用いずに制御基板30の大型化を抑制できるため、電子機器1を安価で製造および量産できる。また、複数のねじを使用する場合と比較して、ねじ56の固定作業を簡易化できる。
また、爪部16だけで上ケース10と制御基板30とを固定する場合、上ケース10と制御基板30との間にクリアランスが生じる可能性がある。このとき、アドレス設定部31の操作時に制御基板30がたわみ、アドレス設定部31の操作性が悪化する可能性がある。本実施の形態では、爪部16と必要最低限の1本のねじで制御基板30を上下方向に固定できるため、操作性の悪化を防止しつつ、大型化の抑制、信頼性の向上、低コスト化および組み立ての簡易化が可能になる。
また、一対の爪部16は、一対の押切窓14から下方に突出するため、平面視において開口窓13の長手方向に沿った中心線上に配置される。このとき、一対の爪部16は、平面視においてアドレス設定部31のスイッチ操作部と一直線に並ぶ。このため、開口窓13から突出するアドレス設定部31のスイッチ操作部が押された場合、一対の爪部16と基板ねじ56に応力が伝わり易い。一方で、スリット33において端子金具54aと制御基板30とを接合するはんだに伝わる応力を抑制できる。このため、はんだ接合の信頼性を高めることができる。
図13は、電子機器1を図6に示すB-B直線で切断することで得られる断面図である。図13に示されるように、図6で説明した端子金具54bおよび制御側端子ねじ53bのうち、奇数番号の端子と偶数番号の端子は、上下方向にも離隔される。これにより、端子間の絶縁距離および沿面距離を確保でき、ショートの発生を抑制できる。
端子金具54a、54bには、外部信号側端子ねじ53aおよび制御側端子ねじ53bが締結される。さらに、端子金具54a、54bまたは外部信号側端子ねじ53a、制御側端子ねじ53bには、図示しない配線が接続される。本実施の形態では、端子金具54a、54bは、両端部が上ケース10に挿入され、上ケース10の内側に突出する。このため、端子金具54a、54bが配線により引っ張られても、端子金具54a、54bが上ケース10から浮くことを抑制できる。従って、端子金具54a、54bの傾きを抑制でき、電子機器1を組み立て易くできる。
また、端子金具54aの第2部分54a-2は、制御基板30に形成されたスリットに挿入され、はんだで固定される。本実施の形態では、端子金具54aに外力が加わっても、端子金具54aの浮きまたは傾きを抑制できるため、第2部分54a-2と制御基板30とを接合するはんだフィレットに応力が加わることを抑制できる。従って、はんだ接合の信頼性を向上できる。
また、端子金具54aの第1部分54a-1は、第2部分54a-2よりも上ケース10の外側に設けられる。第1部分54a-1は、制御基板30と上ケース10との間に延びる。短い第2部分54a-2が内側に、長い第1部分54a-1が外側に配置されることで、制御基板30の下のスペースを広く確保できる。
図13に示されるように、主基板57のうち端子金具54a側に接続される配線58は、端子金具54b側に接続される配線58よりも長い。このような配線58の配置により、端子金具54bと配線58を接続した状態で、電子機器1から下ケース20を外すことで、図13の矢印90に示される方向に主基板57を移動させることができる。これにより、上ケース10の外で、配線58と主基板57とを接続できる。また、上ケース10に主基板57が収納されていない状態で、端子金具54bと配線58を接続できる。従って、電子機器1の組み立て時の作業性が向上する。
また、端子金具54bの長いほうの端部である第1部分54b-1は、配線58により主基板57と接続される。配線58は、端子金具54bの第1部分54b-1のうち第2部分54b-2の下端よりも下方の部分に接続される。これにより、矢印90に示される方向に主基板57を移動させる際に、配線58と第2部分54b-2とが接触することを防止できる。また、下方に長く延びる第1部分54b-1に配線58を接続することで、配線58の長さを抑制できる。
また、端子金具54a、54bは、上ケース10のうち外部信号側端子ねじ53aが設けられる側に第1部分54a-1、54b-1が配置され、制御側端子ねじ53bが設けられる側に第2部分54a-2、54b-2が配置される。つまり、同一形状の端子金具54a、54bは、上ケース10の上面に同じ向きで配置される。従って、電子機器1の組み立て時の作業性を向上できる。
次に、電子機器1内に収納される制御基板30および主基板57の機能を説明する。制御基板30は、図1に示される照明制御システム80のリレー制御端末器83の機能を有する。また、主基板57は、照明制御システム80の複数のリモコンリレー84の機能を有する。
制御基板30は、端子金具54aを介して伝送信号が入力される低電圧基板である。制御基板30に設けられたアドレス設定部31を設定することにより、電子機器1に固有のアドレスを設定できる。電子機器1は、付与された固有のアドレスによって識別される。制御基板30は、外部からの伝送信号を外部信号側端子ねじ53aを介して受信する。受信した伝送信号のアドレスが電子機器1に割り当てられたアドレスと一致した場合、制御基板30が動作する。
伝送信号を受信した際の制御基板30の動作は、制御基板30の種類によって異なる。制御基板30は、伝送信号に応じて例えば、接続された負荷の電源ラインをリレーによりオンオフ制御する。また、制御基板30は、接続された負荷の信号ラインをリレーによりオンオフ制御しても良い。また、制御基板30は、接続された負荷の状態を通信線88に出力しても良い。
主基板57は、制御側回路と負荷側回路とを備える。制御側回路は、制御基板30とグランドが共通である低電圧回路である。負荷側回路は、負荷と接続される高電圧回路である。また、主基板57には図示しないリレーが設けられる。主基板57の制御側回路は、リレーの1次側に接続される。主基板57の負荷側回路は、リレーの2次側に接続される。主基板57は、制御基板30から送信されるリレー制御信号に基づき、リレーを断続して、リレーに接続された負荷をオンオフ制御する。主基板57に配置されるリレーは機械式リレーである。主基板57に接続される負荷がリレーの定格値を超えるおそれが小さい場合、機械式リレーに代えて半導体リレーを用いても良い。
次に、電子機器1の組み立て方法を説明する。まず、上ケース10に上方から端子金具54a、54bを挿入する。その後、上ケース10の上下を逆にする。次に、上ケース10に開口から制御基板30を収納する。このとき、スリット33に端子金具54aの第2部分54a-2を挿入する。また、一対の爪部16により制御基板30を上ケース10に仮固定する。次に、基板ねじ56によって制御基板30を上ケース10に固定する。また、第2部分54a-2と制御基板30とをはんだ付けする。
次に、配線58を主基板57にはんだ付けする。次に、上ケース10の外側に主基板57を配置した状態で、配線58を端子金具54bの第1部分54b-1にはんだ付けする。このとき、主基板57の負荷側回路が、端子金具54bの第1部分54b-1と電気的に接続される。
次に、主基板57を図13の矢印90に示すように制御基板30の下方に移動させる。このとき、主基板57を突起部19aに載置する。次に、主基板57の制御側回路と、制御基板30とを配線59により電気的に接続する。配線59は、例えばフラットケーブル等で構成された基板間ハーネスである。
次に、上ケース10の開口を下ケース20で覆う。このとき、主基板57を上ケース10の突起部19aに載置した状態で、上ケース10と下ケース20を嵌合させる。さらに、上ケース10と下ケース20を嵌合ねじ61で締結する。最後に、上ケース10を上側にし、外部信号側端子ねじ53aおよび制御側端子ねじ53bを端子金具54a、54bに締結する。
本実施の形態に係る組み立て方法では、制御基板30が上ケース10に固定された後に、制御基板30の裏面側に突出して保持される端子金具54aの第2部分54a-2を制御基板30にはんだ付けする。これにより、はんだ付けの際に制御基板30が傾き、接合部がずれることを抑制できる。制御基板30が傾き、アドレス設定部31が斜めに配置されると、操作ラベル55が貼付された開口窓13からアドレス設定の作業をすることが困難となる場合がある。本実施の形態では、制御基板30の傾きを抑制でき、作業の効率の低下を防止できる。
また、主基板57を上ケース10の外側に配置した状態ではんだ付けを行うことができる。このため、はんだ付けを行う作業スペースを広く確保でき、組み立てを容易にできる。また、上ケース10の側面に切欠き部74が設けられるため、制御基板30を上ケース10に収納した状態で、端子金具54aと制御基板30とをはんだ付けし易い。また、はんだの修正をし易い。
また、突起部19a、19bと切欠き30a、30bにより、上ケース10と制御基板30は嵌合する。制御基板30は、突起部19a、19bに保持されながら、上ケース10の上面に向かって挿入される。このため、上ケース10を水平に保つことができる。従って、制御基板30が傾いた状態でケースに収納されることを防止できる。
また、本実施の形態では板金を折り曲げて端子金具54a、54bを容易に製作できる。このため、電子機器1を安価で製造できる。
本実施の形態の変形例として、端子金具54a、54bはC字型またはU字型ではなくても良い。端子金具54a、54bはケースの上面に設けられた主部54a-3、54b-3と、ケースの内側に突出した第1部分54a-1、54b-1と第2部分54a-2、54b-2を有すれば良い。例えば、第1部分54a-1、54b-1と第2部分54a-2、54b-2は同じ長さであっても良い。この場合も、両端部が上ケース10の内側に突出することで、端子金具54a、54bの傾きを抑制できる。
また、本実施の形態では、電子機器1はリレー制御端末器83と複数のリモコンリレー84の機能を有する。これに限らず、電子機器1は別の機能を有しても良い。また、電子機器1の構造は上述したものに限らず、電子機器1の機能、用途等に応じて変更されても良い。例えば、電子機器1は基板を1つのみ有しても良い。
図14は、実施の形態1の変形例に係る電子機器1の組み立て方法を説明する図である。実施の形態1では端子金具54bを上ケース10に挿入した後、配線58を第1部分54b-1にはんだ付けした。この方法に限らず、第1端子穴17を円形の穴と角穴17aを連通させた形状とすることにより、以下のような組み立て方法が可能となる。
変形例に係る組み立て方法では、先ず、端子金具54bの第1部分54b-1に配線58の一端をはんだ付けする。このとき、配線58の他端は、主基板57に接続されていても良い。この場合、配線58を第1端子穴17から上ケース10の上方に引き出した状態で、配線58と第1部分54b-1とをはんだ付けする。
次に、図14に示すように、端子金具54bを、配線58が接続された状態で、上ケース10に挿入する。このとき、配線58は突出部分17bを通って上ケース10に収納される。このように、本実施の形態では、突出部分17bが配線58を通すためのスペースとなる。これにより、電子機器1の組立て手順の自由度が増す。また、第1部分54b-1と配線58とを接続してから、端子金具54bをケースに取り付けることができる。従って、上ケース10の内部ではんだ付けの作業をする必要が無く、電子機器1を組み立て易い。
端子穴15の形状は図4に示されるものに限らない。例えば、第1端子穴17は、第1部分54b-1と配線58とが接続された状態で、第1部分54b-1を第1端子穴17に挿入できる形状であれば良い。また、突出部分17bは角穴17aから配線58の形状に合わせて突出していても良く、制御側端子ねじ53bが挿入されなくても良い。
これらの変形は以下の実施の形態に係る電子機器および照明制御システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る電子機器および照明制御システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2.
図15は、実施の形態2に係る電子機器201の上方斜視図である。図16は、実施の形態2に係る電子機器201の分解斜視図である。図17は、実施の形態2に係る電子機器201の平面図である。図18は、図17をC-C直線で切断することで得られる断面図である。電子機器201は、リレー制御端末器83の機能を有する。リレー制御端末器83は4台のリモコンリレー84を制御できる。
電子機器201は、上ケース210および下ケース220を備える。上ケース210と下ケース220は、係合爪72で互いに固定される。上ケース210の上面は、略長方形である。図16に示すように、上ケース210は、上面に対向する側に開口が設けられる。上ケース210の略長方形の上面の一対の対角には、凹部75aが形成される。凹部75aの底面には、ねじボス部75bが形成される。ねじボス部75bは、電子機器201の取付ねじ用のねじ穴を有する。凹部75aにより、上ケース210の内側には第1突起部が形成される。また、上ケース210の一対の長手方向の側面には、切欠き部74が形成されている。切欠き部74は、上ケース210の開口と繋がっている。
上ケース210の上面の短手方向の一方の端部には、上方から端子金具71a、71bが挿入される。端子金具71aには、外部信号側端子ねじ70aが締結される。端子金具71bには共通端子ねじ70bが締結される。本実施の形態では、電子機器201は、端子金具71aおよび外部信号側端子ねじ70aを2個ずつ、端子金具71bおよび共通端子ねじ70bを1個ずつ備える。
端子金具71a、71bは、実施の形態1の端子金具54a、54bと同じ形状である。端子金具71aは主部71a-3と第1部分71a-1と第2部分71a-2とを有する。端子金具71bは主部71b-3と第1部分71b-1と第2部分71b-2とを有する。端子金具71a、71bは、端子金具54a、54bと同じ向きに上ケース210に挿入される。
また、端子金具71a、71bは、隣接する端子金具71a、71bと上ケース210の上面に形成されたリブにより離隔される。外部信号側端子ねじ70aおよび共通端子ねじ70bは隣接する外部信号側端子ねじ70aおよび共通端子ねじ70bとリブにより離隔される。
外部信号側端子ねじ70aおよび端子金具71aには、図1に示される通信線88が接続される。通信線88は、2本1組で構成されている。
上ケース210に挿入された端子金具71a、71bの第2部分71a-2、71b-2は、制御基板230に形成されたスリット33に挿入される。制御線73は、上方から制御基板230に挿入され、制御基板230の裏面側で制御基板230とはんだ付けされる。
制御基板230は、低電圧回路と交流回路を備える。低電圧回路には、端子金具71aを介して外部信号が入力される。交流回路には、端子金具71b、共通端子ねじ70bおよび制御線73が接続される。また、制御基板230の上面側には、ディップスイッチであるアドレス設定部31が配置される。
電子機器201は、4本の制御線73を備える。制御線73は、被覆された電線である。制御線73は、上ケース210の上面の長手方向の一方の端部から、上ケース210の上面側に引き出される。工事業者は、制御線73の端部に例えば圧着端子を取り付け、電子機器201とリモコンリレー84の入力側の一端とを接続する。
配線59の一端は、制御基板230の裏面とはんだ付けされ、電気的に接続される。配線59の他端は、主基板257の上面とはんだ付けされ、電気的に接続される。
主基板257には、図示しない半導体リレーが設けられる。また、半導体リレーの出力側には、例えば、リモコンリレー84を駆動するための図示しないAC24Vの交流電源が接続される。主基板257は制御基板230から送信されるリレー制御信号に基づき、半導体リレーを断続させる。これにより、半導体リレーに接続されたAC24Vの交流電源をオンオフ制御する。
下ケース220は、底面と側面を備える。下ケース220は、底面と対向する側に開口が設けられる。下ケース220は、長手方向の一対の側面に、上方に延びる延伸部276を有する。延伸部276は、上ケース210に形成された切欠き部274と嵌合する。下ケース220は、上ケース210と嵌合し、上ケース210の開口を塞ぐ。また、下ケース220は、延伸部276の内側に第2突起部277を有する。
制御基板230および主基板257は、上ケース210の形状に応じて略長方形に形成される。制御基板230には、一対の対角に第1突起部と嵌合する第1切欠き230aが設けられる。また、制御基板230には、第2突起部277と嵌合する第2切欠き230bが設けられる。同様に、主基板257には、一対の対角に第1突起部と嵌合する第1切欠き257aが設けられる。また、主基板257には第2突起部277と嵌合する第2切欠き257bが設けられる。第2切欠き230b、257bは、制御基板230および主基板257が第2突起部277で位置決めされるように設けられる。
制御基板230および主基板257は、上ケース210と下ケース220の両方と嵌合し、ケースの内側に保持される。この構成によれば、基板ねじを設けずに、制御基板230および主基板257を保持できる。このため、制御基板230および主基板257を容易に着脱できる。また、上ケース210と下ケース220を強固に嵌合させることができる。
また、上ケース210に切欠き部274が形成されているため、上ケース210の側面により、はんだ付け作業が妨げられることを抑制できる。このため、制御基板230を上ケース210に収納した状態で、端子金具71a、71bを制御基板230に容易にはんだ付けできる。
図1を用いて、照明制御システム80における本実施の形態の電子機器201の機能を説明する。リモコンリレー84は、入力端子を2個、出力端子を2個備える。図1では、リモコンリレー84の出力側の配線の一部が省略されている。リモコントランス85は、図示しない入力側に外部電源が接続され、出力側からAC24Vを供給する。
リモコントランス85の出力側の一端は、電子機器201の共通端子ねじ70bに接続される。リモコンリレー84の入力端子の一端には、制御線73が接続される。リモコンリレー84の入力端子の他端には、リモコントランス85の出力側の他端が接続される。この接続により、電子機器201は、4台のリモコンリレー84の入力端子に対して、AC24Vの供給を断続することができる。
リモコンリレー84の出力側の一端には外部電源が接続され、他端には照明器具89等の負荷が接続される。リモコンリレー84は、入力端子の他端にAC24Vが供給されると出力側の一端と他端の接点を接続する。また、リモコンリレー84は入力端子の他端にAC24Vが供給されない時は、出力側の一端と他端の接点を切り離す。これにより、照明制御システム80は、照明器具89等の負荷をオンオフ制御できる。
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。