JP7138915B2 - 形状記憶合金、その製造方法、および、それを用いた用途 - Google Patents
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55≦{Cr+(Mnおよび/またはFe)}≦65;
22.5≦Co≦45;および
0≦Ni≦17.5;
のすべてを満たし、前記母相は面心立方(FCC)構造の相を主相とし、これにより上記課題を解決する。
前記母相は、組成式(Cr,Mn,Fe)60Co20+xNi20-x(xは、2.5≦x≦20)を満たしてもよい。
前記母相は、組成式Cr20+y(Mn,Fe)40-yCo20+xNi20-x(xは、2.5≦x≦20、yは、-5≦y≦15)を満たしてもよい。
前記母相は、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、2.5≦x≦20、yは、-5≦y≦15)を満たしてもよい。
マルテンサイト変態開始温度(Ms)が室温以上であり、前記母相は、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、17.5≦x≦20、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、12.5≦x≦20、yは、5≦y≦15)を満たしてもよい。
マルテンサイト変態開始温度(Ms)が室温未満であり、前記母相は、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、7.5≦x<17.5、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、2.5≦x<12.5、yは、5≦y≦15)を満たしてもよい。
前記母相は、六方最密充填構造(HCP)構造の相をさらに含有してもよい。
形状記憶効果は、前記母相の面心立方(FCC)構造から六方最密充填(HCP)構造の相へのマルテンサイト変態およびマルテンサイト逆変態に基づいてもよい。
前記面心立方(FCC)構造の相を50質量%以上含有してもよい。
本発明の上記形状記憶合金の製造方法は、Crと、Mnおよび/またはFeと、Coと、必要に応じてNiとを、化学組成(原子%)において、
55≦{Cr+(Mnおよび/またはFe)}≦65;
22.5≦Co≦45;および
0≦Ni≦17.5;
のすべてを満たすように原料を調製し、溶解・鋳造する工程と、前記溶解・鋳造する工程で得られた生成物を1273K以上1673K以下の温度範囲で加熱し、均質化処理する工程と、前記均質化処理する工程で得られた生成物を急冷する工程と、前記急冷する工程で得られた生成物を熱間加工する工程と、前記熱間加工する工程で得られた生成物を993K以上1273K未満の温度で熱処理し、再結晶化する工程と、前記再結晶化する工程で得られた生成物を急冷する工程とを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記均質化処理する工程は、前記生成物を12時間以上36時間以下の時間加熱してもよい。
前記均質化処理する工程は、前記生成物を1373K以上1573K以下の温度範囲で加熱してもよい。
前記熱間加工する工程は、逆マルテンサイト変態終了温度(Af)以上の温度かつ再結晶化(993K)未満の温度で行ってもよい。
前記熱間加工する工程は、温間多パス溝ロール圧延加工、鍛造加工、スウェージ加工および圧延加工からなる群から選択される方法を用いてもよい。
前記再結晶化する工程は、前記生成物を30分以上5時間以下の時間熱処理してもよい。
本発明のアクチュエータは、上記形状記憶合金からなり、これにより上記課題を解決する。
本発明のばね材は、上記形状記憶合金からなり、これにより上記課題を解決する。
本発明の構造材は、上記形状記憶合金からなり、これにより上記課題を解決する。
本発明の締め付け具は、上記形状記憶合金からなり、これにより上記課題を解決する。
55≦{Cr+(Mnおよび/またはFe)}≦65;
22.5≦Co≦45;および
0≦Ni≦17.5;
のすべてを満たし、
母相は面心立方(FCC)構造の相を主相とする。このような化学組成を満たすことにより、B2-B19’型とはまったく異なる面心立方(FCC)-六方最密充填構造(HCP)型マルテンサイト変態が生じ、形状記憶を可能とする。また、本発明の形状記憶合金は、上述の化学組成を満たすことにより、加工性が顕著に向上し得る。さらに、上述の化学組成を制御することによって、逆変態温度(Af)を制御できるので、用途に応じた形状記憶合金を提供できる。このような形状記憶合金は、アクチュエータ、締め付け具、衣類、自動車、建築物等に適用される。
55≦{Cr+(Mnおよび/またはFe)}≦65;
22.5≦Co≦45;および
0≦Ni≦17.5;
のすべてを満たし、全体で100原子%となり、面心立方(FCC)構造の相を主相とする。
Cr:耐食性の向上に有効な元素であり、特にCrが増大するにつれて、形状記憶合金のマルテンサイト変態温度を高温側にシフトさせる効果がある。
Mn:靭性、耐摩耗性向上に有効な元素であり、特にMnが減少するにつれて、形状記憶合金のマルテンサイト変態温度およびマルテンサイト逆変態温度を上昇させる効果がある。
Fe:母相(FCC)の安定化に有効な元素であり、特にFeが減少するにつれて、マルテンサイト変態温度およびマルテンサイト逆変態温度を上昇させるさせる効果がある。
なお、MnとFeとは、両方を含有してもよいし、いずれか一方であってもよいが、上述の範囲を満たすことにより、母相(FCC)を安定化させることができる。
Ni:必須ではないが、母相を安定化させるに有効な元素であり、特に、Niが増大するにつれてマルテンサイト変態温度およびマルテンサイト逆変態温度を低下させる効果がある。
図2は、本発明の形状記憶合金を製造する工程を示すフローチャートである。
55≦{Cr+(Mnおよび/またはFe)}≦65;
22.5≦Co≦45;および
0≦Ni≦17.5;
のすべてを満たすように原料を調製し、溶解・鋳造する。上記組成を満たす原料であれば特に制限はない。また、原料は、不純物を含有しないものが好ましいが、純度99.9%以上であれば許容される。溶解には、真空誘導溶解、アーク溶解、電子ビーム溶解、高周波溶解等の任意の溶解法が採用される。
原料として、Cr(純度99.9%)、Mn(純度99.9%)、Fe(純度99.9%)、Co(純度99.9%)および、Ni(純度99.9%)を、それぞれ、表1に示す組成を満たすように調製し、真空誘導溶解炉で溶解し、それを銅製のモールドに鋳込み、溶製材を得た(工程S210)。
図7は、例6~10の試料の曲げ試験の結果を示す図である。
図9は、例6~例10の試料のDSCプロファイルを示す図である。
Claims (15)
- Crと、Mnと、Feと、Coと、Niと、不可避不純物とからなり、
母相は、化学組成(原子%)において、組成式Cr 20+y Mn 20-y Fe 20 Co 20+x Ni 20-x (xは、7.5≦x≦20、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr 20+y Mn 20-y Fe 20 Co 20+x Ni 20-x (xは、2.5≦x≦20、yは、5≦y≦15)を満たし、
前記母相は面心立方(FCC)構造の相を50質量%以上含有する、形状記憶合金。 - マルテンサイト変態開始温度(Ms)が室温以上であり、
前記母相は、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、17.5≦x≦20、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、12.5≦x≦20、yは、5≦y≦15)を満たす、請求項1に記載の形状記憶合金。 - マルテンサイト変態開始温度(Ms)が室温未満であり、
前記母相は、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、7.5≦x<17.5、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr20+yMn20-yFe20Co20+xNi20-x(xは、2.5≦x<12.5、yは、5≦y≦15)を満たす、請求項1に記載の形状記憶合金。 - 前記母相は、六方最密充填構造(HCP)構造の相をさらに含有する、請求項1~3のいずれかに記載の形状記憶合金。
- 形状記憶効果は、前記母相の面心立方(FCC)構造から六方最密充填(HCP)構造の相へのマルテンサイト変態およびマルテンサイト逆変態に基づく、請求項1~4のいずれかに記載の形状記憶合金。
- 請求項1~5のいずれかに記載の形状記憶合金の製造方法であって、
Crと、Mnと、Feと、Coと、Niとを、化学組成(原子%)において、組成式Cr 20+y Mn 20-y Fe 20 Co 20+x Ni 20-x (xは、7.5≦x≦20、yは、-5≦y<5)を満たすか、または、組成式Cr 20+y Mn 20-y Fe 20 Co 20+x Ni 20-x (xは、2.5≦x≦20、yは、5≦y≦15)を満たすように、原料を調製し、溶解・鋳造する工程と、
前記溶解・鋳造する工程で得られた生成物を1273K以上1673K以下の温度範囲で加熱し、均質化処理する工程と、
前記均質化処理する工程で得られた生成物を急冷する工程と、
前記急冷する工程で得られた生成物を熱間加工する工程と、
前記熱間加工する工程で得られた生成物を993K以上1273K未満の温度で熱処理し、再結晶化する工程と、
前記再結晶化する工程で得られた生成物を急冷する工程と
を包含する、方法。 - 前記均質化処理する工程は、前記生成物を12時間以上36時間以下の時間加熱する、請求項6に記載の方法。
- 前記均質化処理する工程は、前記生成物を1373K以上1573K以下の温度範囲で加熱する、請求項6または7のいずれかに記載の方法。
- 前記熱間加工する工程は、逆マルテンサイト変態終了温度(Af)以上の温度かつ再結晶化(993K)未満の温度で行う、請求項6~8のいずれかに記載の方法。
- 前記熱間加工する工程は、温間多パス溝ロール圧延加工、鍛造加工、スウェージ加工および圧延加工からなる群から選択される方法を用いる、請求項6~9のいずれかに記載の方法。
- 前記再結晶化する工程は、前記生成物を30分以上5時間以下の時間熱処理する、請求項6~10のいずれかに記載の方法。
- 請求項1~5のいずれかに記載の形状記憶合金からなるアクチュエータ。
- 請求項1~5のいずれかに記載の形状記憶合金からなるばね材。
- 請求項1~5のいずれかに記載の形状記憶合金からなる構造材。
- 請求項1~5のいずれかに記載の形状記憶合金からなる締め付け具。
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