JP7138017B2 - 捺染用前処理剤 - Google Patents
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Description
本発明は分散染料インクを用いたポリエステル繊維を含む混紡繊維の捺染用前処理剤に関する。
インクジェットプリンタを用いた繊維材料のインクジェット捺染は、スクリーン捺染、ローラー捺染、ロータリー捺染等の捺染方法に比べ、
(1)製版工程が不要であり工程が短縮できること、
(2)デジタル化されたデザインを、コンピュータを介してそのままできること、
(3)多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること、
(4)染料色糊の廃液などが大幅に削減できること、
などの多くのメリットがある一方、従来の製版捺染に比べ、加工速度が遅いこと、濃色を再現し難いことなどの課題があり、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。近年、コンピュータの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタの印捺速度が大幅に向上されてきたことや、印捺デザインのデジタル化、印捺加工の多様化及び小ロット化が市場で要求されてきたことなどを背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。特に紙に印刷した染料インクを熱によりポリエスル系繊維へ転写させる昇華転写方式はその簡便性等から普及が急速に加速している。
(1)製版工程が不要であり工程が短縮できること、
(2)デジタル化されたデザインを、コンピュータを介してそのままできること、
(3)多品種の製品を少量ずつであっても生産することが可能であること、
(4)染料色糊の廃液などが大幅に削減できること、
などの多くのメリットがある一方、従来の製版捺染に比べ、加工速度が遅いこと、濃色を再現し難いことなどの課題があり、見本反の製造や少量生産の範囲で使用されることが多かった。近年、コンピュータの画像処理やプリントヘッド製造の技術的進歩によりインクジェットプリンタの印捺速度が大幅に向上されてきたことや、印捺デザインのデジタル化、印捺加工の多様化及び小ロット化が市場で要求されてきたことなどを背景に、インクジェット捺染の普及が進んでいる。特に紙に印刷した染料インクを熱によりポリエスル系繊維へ転写させる昇華転写方式はその簡便性等から普及が急速に加速している。
インクジェット捺染用の染料インクとしては、シルク、ナイロン等のポリアミド系繊維用の酸性染料インク;ポリエステル系繊維用の分散染料インク;綿、レーヨン等のセルロース系繊維用の反応性染料インク;等が販売されている。これらインクジェット捺染用染料インクは、水中に染料を溶解あるいは分散させた水性インクであることが一般的であり、水分蒸発によるインクの乾燥を抑え、かつインクの粘度を調整する目的で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類やこれらのグリコール類のモノアルキルエーテル等の化合物、あるいはグリセリン等の有機溶剤等がインク中に添加されている。
上記のとおり、分散染料はポリエステル等の疎水性繊維の工業染色に広く利用されており、水不溶性の染料を染浴中あるいは色糊中に分散させ、染色に使用される。染料は高温条件下、繊維内部へ浸透拡散し、繊維と染料間の水素結合や分子間力等により染着する。そのため、染料の分散性、特に高温での分散性が悪いと、高温染浴中で染料の凝集が生じ、繊維上で色ムラが発生しやすい。この為、従来、繊維染色用には高温環境下における分散性に優れる分散剤、例えばリグニンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物類、アルキルナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物類、クレオソート油スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、スチレンアクリル酸共重合体などのアニオン系分散剤が主に使用されてきた。
分散染料を用いたポリエステル繊維のインクジェットプリントも近年行われつつあり(例えば特許文献1、特許文献2参照)、主に繊維へ染料インクを付与(プリント)した後、スチーミング等の熱処理により染料を染着させるダイレクトプリント法と、中間記録媒体(専用の転写紙)に染料インクを付与(プリント)した後、熱により染料を中間記録媒体側から繊維側へ昇華転写させる熱転写プリント法が実用化されている。
一方、近年、ヒートテックなど、機能性を求める繊維としてポリエステルとその他種類の繊維を任意の割合で含む混紡がアパレル産業界の主流となりつつあり、こうした混紡へのインクジェット加工の適用が求められている。
これに対して、混紡捺染を目的としたインクとして顔料インクが提案されており、捺染物の捺染堅牢度を高めるための添加剤等が提案されてきた。しかしながら、顔料インクは本質的に繊維に染色されているのではなく、顔料粒子を物理的に布上に付着させているため、その発色性が劣ることが課題となっており、発色性に優れる混紡捺染対応の染料インクが求められている。
また、こうした捺染インクの改良とは別に、印捺物の品質を向上させる方法の1つとして、前処理剤を用いることにより、インクの記録媒体への浸透やにじみをコントロールし、印捺物の画質を改良する方法が知られている。一般に表面張力を下げることで繊維等の記録媒体への浸透性を高め、印捺物の粒状感を低減することができるが、表面張力を下げ過ぎた場合、印捺物の細線部分がにじんでしまい、この画像の乱れが問題となる。特に、上記混紡の印捺品質を向上させるための前処理剤に関しては、十分なものが得られておらず、混紡捺染染料インクに適した前処理剤が強く求められている。
本発明は、ポリエステル繊維を含む混紡の捺染用前処理剤の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル繊維を含む混紡に、ポリエステル樹脂粒子とバインダー樹脂エマルションとしてスチレン-ブタジエン樹脂エマルションを含む前処理剤を用いて前処理を行うことにより、分散染料の定着に優れ、高い発色性を有する混紡捺染を可能とした。
すなわち、本発明の要旨構成は以下に示すとおりである。
1)
ポリエステル樹脂粒子とスチレン-ブタジエン樹脂エマルションを少なくとも含む捺染用前処理剤。
2)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が500nm以下である1)に記載の捺染用前処理剤。
3)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が200nm以下である1)又は2)に記載の捺染用前処理剤。
4)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が100nm以上150nm以下である1)~3)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
5)
前記ポリエステル樹脂粒子の含有量が、上記前処理剤中の1~20質量%である1)~4)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
6)
前記スチレン-ブタジエン樹脂エマルションの含有量が、上記前処理剤中の1~30質量%である1)~5)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
7)
前記前処理剤を用いた前処理を行った布帛。
8)
前記布帛が、混紡繊維を含む7)に記載の布帛。
9)
前記混紡繊維が、PET混紡繊維である8)に記載の布帛。
10)
1)~6)のいずれか一項に記載の前処理剤と分散染料インクのセット。
11)
1)~6)のいずれか一項に記載の前処理剤を用いた前処理工程と、前記分散染料インクを用いた捺染工程を含む捺染方法。
12)
前記分散染料インクを用いた捺染工程がインクジェット染色方法を含む11)記載の捺染方法。
13)
11)又は12)に記載の捺染方法により捺染された布帛。
1)
ポリエステル樹脂粒子とスチレン-ブタジエン樹脂エマルションを少なくとも含む捺染用前処理剤。
2)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が500nm以下である1)に記載の捺染用前処理剤。
3)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が200nm以下である1)又は2)に記載の捺染用前処理剤。
4)
前記ポリエステル樹脂粒子の直径が100nm以上150nm以下である1)~3)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
5)
前記ポリエステル樹脂粒子の含有量が、上記前処理剤中の1~20質量%である1)~4)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
6)
前記スチレン-ブタジエン樹脂エマルションの含有量が、上記前処理剤中の1~30質量%である1)~5)のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
7)
前記前処理剤を用いた前処理を行った布帛。
8)
前記布帛が、混紡繊維を含む7)に記載の布帛。
9)
前記混紡繊維が、PET混紡繊維である8)に記載の布帛。
10)
1)~6)のいずれか一項に記載の前処理剤と分散染料インクのセット。
11)
1)~6)のいずれか一項に記載の前処理剤を用いた前処理工程と、前記分散染料インクを用いた捺染工程を含む捺染方法。
12)
前記分散染料インクを用いた捺染工程がインクジェット染色方法を含む11)記載の捺染方法。
13)
11)又は12)に記載の捺染方法により捺染された布帛。
本発明は、分散染料を用いたポリエステル繊維を含む混紡の捺染において、高い発色性を可能とする、捺染用前処理剤を提供するものである。
本明細書においては特に断りのない限り、実施例等を含めて「%」及び「部」については、いずれも質量基準で記載する。また、捺染用前処理剤は、「前処理剤」と、分散染料インクは、「インク」又は「水性インク」と、それぞれ略して記載する場合もある。
本発明の捺染用前処理剤は、ポリエステル樹脂粒子とスチレン-ブタジエン樹脂エマルションを少なくとも含む。
上記ポリエステル樹脂粒子は、粒径は直径500nm以下であることが好ましく、直径200nm以下であることが更に好ましく、直径100nm以上150nm以下であることが特に好ましい。
ポリエステル樹脂粒子としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製のダイヤクロンFC-316、ダイヤクロンFC-2232、ダイヤクロンFC-684、ダイヤクロンFC-1224等が挙げられる。
ポリエステル樹脂粒子としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製のダイヤクロンFC-316、ダイヤクロンFC-2232、ダイヤクロンFC-684、ダイヤクロンFC-1224等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂粒子の含有量は、上記前処理剤中の1~20%であることが好ましい。
上記スチレン-ブタジエン樹脂エマルションは、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン-ブタジエン樹脂、高スチレン含有スチレン-ブタジエン樹脂、等の樹脂のエマルションが挙げられ、ラテックス(エマルション)の形で販売されていることも多く、容易に購入することができる。その具体例としては、例えば、Nipol LX415M、Nipol LX432M,Nipol LX433C、Nipol LX421、Nipol 2507H、Nipol LX303A(以上、日本ゼオン(株)製)、グレードとして0695、0696、0561、0589、0602、2108、0533、0545、0548、0568、0569、0573、0597C、0850Zのラテックス(以上、JSR(株)製)等が挙げられ、その多くは固形分が30~60%で樹脂を乳化した液体である。スチレン-ブタジエン樹脂としては、上記したいずれのラテックスも使用することができるが、中でもカルボキシ変性スチレン-ブタジエン樹脂を使用するのが好ましい。そのような樹脂の例としては、例えば、Nipol LX415M、Nipol LX432M,Nipol LX433C、Nipol LX421、0695、0696、0533、0545、0548、0568、0569、0573、0597C、0850Zが挙げられ、0695、0533、0568、0597C、0850Zが好ましく、JSR0568(JSR株式会社製)が更に好ましい。スチレン-ブタジエン樹脂は単一のものを使用してもよいし、2~3種類を併用してもよい。
上記スチレン-ブタジエン樹脂エマルションの含有量は、上記前処理剤中の1~30%であることが好ましい。また、上記捺染用前処理剤は、上記ポリエステル樹脂粒子、上記スチレン-ブタジエン樹脂エマルション以外に、後述する分散染料インク調製の際に用いることが可能な、分散剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤、及び水等をさらに含んでいても良い。また、前処理剤作製の際、各成分を加える順番は特に制限されず、撹拌等により実質的に溶液になるまで混合し、溶液状態の前処理剤として調製すれば良い。
前処理剤調整において、各成分を加える順番は特に制限されず、攪拌により実質的に溶液となるまで混合し、前処理剤を調製すればよい。インクの調製の際に使用する水は、上記の通り、無機不純物の少ないもの、例えば蒸留水やイオン交換水等を用いるのが良い。なお、前処理剤は、メンブランフィルタ等を用いて精密濾過し、夾雑物を除いた濾液を用いるのが良い。精密濾過を行う際のフィルタの孔径は、通常10μm~0.1μm、好ましくは、5μm~1μmである。
上記の前処理工程は、上記の捺染用前処理剤を、繊維に付着させる工程を有する前処理工程である。前処理剤を繊維に付着させる工程は、特に制限されない。その一例としては、例えば、前処理剤中に繊維を浸積する工程;及び前処理剤を繊維に塗布又はスプレー噴霧、インクジェット噴霧する工程等が挙げられる。前処理剤を繊維に付着させる工程としては、スプレー噴霧により行われる工程であることが好ましい。
[分散染料インク]
(分散染料)
上記分散染料インクは、分散染料を含有する水性インク組成物である。
(分散染料)
上記分散染料インクは、分散染料を含有する水性インク組成物である。
上記分散染料インクは、フルカラーでの捺染を目的としているため、イエロー、オレンジ、ブラウン、レッド、バイオレット、ブルー、グリーン、及びブラック等の各種の色相を有するインクを調製し、これらをインクセットとして併用することができる。
上記分散染料インクで用いられる分散染料としては、以下のものを用いることができ、上記インクジェット染色方法(ダイレクトプリント)に適用するには、スチーミング適性のある分散染料が好ましく、具体的にはC.I.Disperse Yellow 42、49、76、83、88、93、99、114、119、126、160、163、165、180、183、186、198、199、200、224、237;C.I.Disperse Orange 29、30、31、38、42、44、45、53、54、55、71、73、80、86、96、118、119;C.I.Disperse Red 73、88、91、92、111、127、131、143、145、146、152、153、154、179、191、192、206、221、258、283、302、323、328、359;C.I.Disperse Violet 26、35、48、56、77,97;C.I.Disperse Blue 27、54、60、73、77、79、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等が挙げられる。これらは単独または2種以上併用して用いても良い。
また、熱転写及び昇華転写方式を用いた染色方法に適用するには、公知の分散染料及び油溶性染料を用いることができ、熱転写適性のある染料を用いることが好ましく、その例としてC.I.Disperse Yellow 51、54、60;C.I.Disperse Orange 5、7、20、23、25;C.I.Disperse Red 4、50、53、59、60、239、240;C.I.Disperse Brown 26、27;C.I.Disperse Violet 8、11、17、26、27、28、36;C.I.Disperse Blue 3、5、26、35、55、56、72、81、91、108、359、360;C.I.Solvent Yellow 114、C.I.Solvent Orange 67、C.I.Solvent Red 146、C.I.Solvent Blue 36、63、83、105、111等が挙げられる。これらは単独または2種以上併用して用いても良い。
前記各染料においては、ブルー系染料を主体とし、オレンジ系染料及びレッド系染料を配合した混合染料もブラック系染料として用いることができる。また該ブラック系染料には、高品位な色味のない色調へと微調整する目的で、さらに他の分散染料を含んでも良い。
上記の染料としては、粉末状あるいは塊状の乾燥、ウエットケーキ等の染料を使用することができる。市販の染料には、工業染色用粉末、捺染用液状品、インクジェット捺染用等の各種の品質があり、製造方法、純度等がそれぞれ異なる。本発明のインク組成物は、保存安定性及びインクジェットプリンタからの吐出精度への悪影響を少なくするため、できるだけ不純物の少ない材料を使用して調製するのが好ましい。一般に、染料の合成時には、塩化ナトリウム等の無機塩が混入してくることが多く、また、特に精製操作を行わない水等は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含むため、このような水等を該インク組成物の調製時に使用した場合にも、微量ながら該イオン等が混入する。以下、本明細書においては、上記の無機塩及び金属イオンを含めて、便宜上、「無機不純物」と記載する。これらの無機不純物は、染料のインク等に対する溶解度及び保存安定性を著しく悪くするだけでなく、インクジェットプリンタヘッドの腐食・磨耗・ノズル詰りの原因となる。これらの無機不純物を除去するために、限外濾過法、逆浸透膜法、イオン交換法等の公知の方法を利用し、インク組成物中に含有する無機不純物をできるだけ除去することが望ましい。インク組成物の総量中に含有する無機不純物の量は、通常1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。下限は検出機器の検出限界以下、すなわち0%でも良い。そして、無機不純物を除去した後、希釈又は濃縮により所望の染料濃度に調整し、インク組成物を得るのがよい。
上記インクに含まれる染料の総含有量は、インクの総質量に対して通常0.5~35質量%であり、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~20質量%であり、さらに好ましくは5~15質量%である。
上記分散染料の含有量は、上記インクの総質量に対して通常3~50質量%であり、好ましくは4~40質量%であり、より好ましくは5~30質量%である。
(分散剤)
上記インクは、分散剤を含有しても良い。分散剤としては、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられる。
上記インクは、分散剤を含有しても良い。分散剤としては、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられる。
上記スチレン-(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」の意味を表す。これら共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。なお、(α‐メチル)スチレンとは、本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
上記インクにおけるスチレン-(メタ)アクリル共重合体の具体例としては、JoncrylRTM 52J、57J、60J、63J、70J、JDX-6180、HPD-196、HPD96J、PDX-6137A、6610、JDX-6500、JDX-6639、PDX-6102B、PDX-6124(BASF製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記インクにおけるスチレン-(メタ)アクリル共重合体としては、重量平均分子量が、1,000~20,000である場合が好ましく、2,000~19,000が更に好ましく、4,000~17,000が特に好ましい。上記スチレン-アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)法で測定する。また、スチレン-(メタ)アクリル共重合体のガラス転位温度は45℃~135℃である場合が好ましく、55℃~120℃がさらに好ましく、60~110℃が特に好ましい。さらに、成分(B)として用いられるスチレン-(メタ)アクリル共重合体の酸化は50~250mgKOH/gである場合が好ましく、100~250mgKOH/gがさらに好ましく、150~250mgKOH/gである場合が特に好ましい。酸価が小さくなりすぎると、水に対する樹脂の溶解性が悪くなり、特に着色剤が分散性染料又は顔料の場合、分散安定化力が劣る傾向にあり、酸価が大きくなりすぎると水性媒体との親和性が強くなり、印字後の画像ににじみが発生し易い傾向があり好ましくない。樹脂の酸価は、樹脂1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS-K3054に従って測定する。
上記インクにおける、好ましいスチレン-(メタ)アクリル共重合体の具体例としては、Joncryl 67(重量平均分子量=12,500、酸価=213mgKOH/g)、678(重量平均分子量=8,500、酸価=215mgKOH/g)、682(重量平均分子量=1,700、酸価=230mgKOH/g)、683(重量平均分子量=4,900、酸価=215mgKOH/g)、690(重量平均分子量=16,500、酸価=240mgKOH/g)等が挙げられ、Joncryl 678であることがより好ましい。
上記インクは、染料の分散または溶解時に2種類以上のスチレン-アクリル共重合体を使用して作製することが可能である。
なお、上記した分散染料の分散は、例えば以下の方法で行うことができる。スチレン-アクリル共重合体を水溶性有機溶剤に投入し、温度を90-120℃に昇温してスチレン-アクリル共重合体溶解液を作製し、そこへアルカリ性化合物及び水を投入して、温度を下げて乳化(エマルション又はマイクロエマルション)液とし、作製されたエマルション液と分散染料を混合・分散を行う。
上記芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸;クレゾールスルホン酸;フェノールスルホン酸;β-ナフタレンスルホン酸;β-ナフトールスルホン酸;β-ナフタリンスルホン酸とβ-ナフトールスルホン酸;クレゾールスルホン酸と2-ナフトール-6-スルホン酸;リグニンスルホン酸;等のホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸;β-ナフタレンスルホン酸;リグニンスルホン酸;の各ホルマリン縮合物が好ましい。なお、これら芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などの塩であっても良く、これらの塩、若しくはそれらの混合物を含む意味とする。これらは様々な商品名の市販品として入手することができる。その一例として、β-ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールN;クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物としてはラベリンWシリーズ、デモールC;特殊芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としてはデモールSN-B(いずれも花王株式会社製);メチルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物としては、ラベリンANシリーズ(いずれも第一工業製薬株式会社製);等が挙げられる。これらの中ではデモールN、ラベリンWシリーズ、ラベリンANシリーズが好ましく、デモールN、ラベリンWがより好ましく、ラベリンWがさらに好ましい。上記芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物は単独又は複数を組合せて用いることも可能である。
上記分散剤としては、スチレン-(メタ)アクリル共重合体又は芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことが好ましく、スチレン-(メタ)アクリル共重合体又はクレオソート油スルホン酸塩のホルマリン縮合物からなる群から選択される少なくとも1種以上を含む、ことがさらに好ましい。
(その他成分)
上記インクは、その他成分として、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等のインク調製剤を含有しても良い。
上記インクは、その他成分として、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等のインク調製剤を含有しても良い。
上記pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の3級アミン類、好ましくはヒドロキシ基で置換されても良いモノ、ジ又はトリC1-C4アルキルアミン;等が挙げられる。これらの中ではトリエタノールアミンが好ましい。上記インクにはpH調整剤を含有する方が好ましく、その含有量は、インク組成物の総質量に対して通常0.05~3質量%、好ましくは0.05~2.5質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。
上記防腐防黴剤としては例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン-1-オキサイド、ジンクピリジンチオン-1-オキサイド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、1-ベンズイソチアゾリン-3-オンのアミン塩、アーチケミカルズ社製プロキセルGXL等、好ましくはプロキセルGXLが挙げられる。
上記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も使用できる。
上記粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン、分子量20,000程度以下のポリC2-C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられ、例えば、阪本薬品工業株式会社製の商品名SC-P400、SC-P750、SC-P1000、SC-P1200、SC-P1600等のポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル;SC-E450、SC-E750、SC-E1000、SC-E1500、SC-E2000等のポリオキシエチレンジグリセリルエーテル;等が挙げられ、SC-P1000を用いることが好ましい。
上記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
上記表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えばアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N-アシルアミノ酸又はその塩;N-アシルメチルタウリン塩;アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩;アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩;ロジン酸石鹸;ヒマシ油硫酸エステル塩;ラウリルアルコール硫酸エステル塩;アルキルフェノール型燐酸エステル;アルキル型燐酸エステル;アルキルアリールスルホン酸塩;ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等のスルホ琥珀酸系;等が挙げられる。好ましくはスルホ琥珀酸系であり、その市販品の例としては、ライオン(株)社製、商品名リパール835I、同860K、同870P、同NTD、同MSC;アデカ(株)社製、商品名アデカコールEC8600;花王(株)社製 商品名ペレックスOT-P、同CS、同TA、同TR;新日本理化(株)社製、リカマイルドES-100、同ES-200、リカサーフP-10、同M-30、同M-75、同M-300、同G-30、同G-600;東邦化学工業(株)社製、コハクノールL-300、同L-40、同L-400、同NL-400;等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤の含有量は、本発明のインク組成物の総質量に対して通常0.05~2質量%であり、好ましくは0.05~1.5質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%、特に好ましくは0.1~0.5質量%である。
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレンアルコール系;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、エアープロダクト社製、商品名サーフィノール104、同104PG50、同82、同420、同440、同465、同485;オルフィンSTG;等のアセチレングリコール系等が挙げられる。前記のうち、好ましくはアセチレングリコール系若しくはアセチレンアルコール系であり、より好ましくはアセチレングリコール系である。
上記ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明のインク組成物の総質量に対して通常0.05~2質量%であり、好ましくは0.05~1.5質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%、特に好ましくは0.1~0.5質量%である。
上記カチオン界面活性剤としては、2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
上記消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。
上記インクにおいて、各成分を加える順番は特に制限されず、攪拌により実質的に溶液となるまで混合し、インクを調製すればよい。インクの調製の際に使用する水は、上記の通り、無機不純物の少ないもの、例えば蒸留水やイオン交換水等を用いるのが良い。なお、インクは、メンブランフィルタ等を用いて精密濾過し、夾雑物を除いた濾液を用いるのが良い。精密濾過を行う際のフィルタの孔径は、通常1μm~0.1μm、好ましくは、0.8μm~0.1μmである。また、インクの総質量に対して、無機不純物の含有量は通常1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下である。下限は検出機器の検出限界以下、すなわち0%とすることができる。そして、無機不純物を除去した後、希釈又は濃縮により所望の染料濃度に調整し、インクを得ることができる。
上記インクは、水性インクであり、水を含有する。水は、一般的にはイオン交換処理を行った精製水を用いる。特に精製操作を行わない水は、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の金属イオンを含む。このため、このような水をインク調製時に使用した場合にも、微量ながら該イオン等が混入する。本明細書においては、前記の無機塩及び金属イオンを、便宜上、「無機不純物」という。これらの無機不純物は、インクに対する溶解度及び保存安定性を悪くする為、少なくする方が良い。
上記インクは、工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの使用時において、高速での吐出応答性を改善することを目的とし、25℃における粘度がE型粘度計にて測定したときに通常3~20mPa・s、好ましくは8~20mPa・sの範囲であるのがよい。
上記インクは、工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの使用時において、印捺物の品質向上を目的とし、25℃における表面張力がプレート法にて測定したときに通常20~40mN/m、好ましくは25~35mN/mの範囲が好ましい。
上記インクは、工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの使用時において、低温環境下における高速での連続吐出性を改善することを目的とし、5℃における10Hzでの動的表面張力が最大泡圧法にて測定したときに通常25~45mN/m、好ましくは30~40mN/mの範囲が好ましい。
上記インクは、分散染料、分散剤、界面活性剤及び防腐防黴剤を含有し、残部が水である組成物である。また、これら以外に、水溶性有機溶剤、及び上記インク調製剤等が挙げられる。
上記インクに用いる水溶性有機溶剤としては、多価アルコール類、及びピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2又は3個有するC2-C6多価アルコール、及び、繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2-C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。その具体例としては、グリセリン、1,3-ペンタンジオール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン等のアルコール性水酸基を2又は3個有するC2-C6多価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のジ又はトリC2-C3アルキレングリコール;ポリプロピレングリコール等のポリC2-C3アルキレングリコール;等が挙げられる。ピロリドン類としては、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。水溶性有機溶剤は、単独で使用しても良いが、併用するのが好ましい。また水溶性有機溶剤は、インクの乾燥の防止(湿潤);粘度調整;表面張力の調整;消泡;及び、繊維への浸透促進;等の効果を期待して使用するものであり、上記インク中には含有する方が好ましい。上記水溶性有機溶剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常1~50質量%、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~35質量%、特に好ましくは10~20質量%である。
上記インクは、染料分散液、1,5-ペンタジオール、界面活性剤を水に加え、必要に応じて上記の水溶性有機溶剤、及びインク調整剤をさらに加えて攪拌し、全体が均一に混合することにより得られる。各成分を加える順番は特に制限されず、攪拌により実質的に均一となるまで混合し、本発明のインク組成物を調製すればよい。インク組成物の調製の際に使用する水は、上記の通り、無機不純物の少ないもの、例えば蒸留水やイオン交換水等を用いるのが良い。なお、本発明のインク組成物をインクジェット捺染に使用する場合には、メンブランフィルタ等を用いて本発明のインク組成物を精密濾過し、夾雑物を除いた濾液をインクとして用いるのが良い。精密濾過を行う際のフィルタの孔径は、通常10μm~0.1μm、好ましくは、8μm~1μmである。
上記捺染方法は、上記前処理剤を用いて布帛の前処理を行い、続いて、上記インク、好ましくは該インクをメンブランフィルタ等で濾過することにより、夾雑物を除いてインクとした後、このインクを用いて繊維、好ましくはポリエステル系繊維に捺染する方法である。インク捺染時に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。より具体的には、ポリエステル系繊維を主体とした布帛に前処理及び捺染するのが好ましい。
上記インクを用いて繊維に捺染する方法Aとしては、以下の2工程を順次行う方法が挙げられる。
[工程1A]
上記インクを用い、該インクのインク滴をインクジェットプリンタにより吐出させて繊維に付与する工程。
[工程2A]
工程1Aにより付与したインク中の染料を、熱により前記繊維に反応固着させる工程。
[工程1A]
上記インクを用い、該インクのインク滴をインクジェットプリンタにより吐出させて繊維に付与する工程。
[工程2A]
工程1Aにより付与したインク中の染料を、熱により前記繊維に反応固着させる工程。
上記工程1Aにおける、上記インクを繊維に付与する方法としては、上記インクが充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて繊維に付与する方法、すなわち通常のインクジェット捺染方法で捺染すれば良い。
上記工程2Aにおける、インク中の染料を、熱により繊維に固着させる工程としては、上記インクが付与された繊維を、160℃~220℃に1~20分スチーミング処理を施す方法等が挙げられる。
また、上記インクを用いて繊維に捺染する方法Bとしては、以下の2工程を順次行う昇華転写捺染方法が挙げられる。
[工程1B]
上記インクを用い、該インクのインク滴をインクジェットプリンタにより吐出させて紙に付与する工程。
[工程2B]
工程1Bにより付与したインク中の染料を、熱により印刷紙から繊維に昇華転写させる工程。
[工程1B]
上記インクを用い、該インクのインク滴をインクジェットプリンタにより吐出させて紙に付与する工程。
[工程2B]
工程1Bにより付与したインク中の染料を、熱により印刷紙から繊維に昇華転写させる工程。
上記工程1Bにおける、上記インクを紙に付与する方法としては、上記インクが充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて紙に付与する方法、すなわち通常のインクジェット画像形成方法で印刷すれば良い。
上記工程2Bにおける、インク中の染料を、熱により紙から繊維へ昇華転写させる工程としては、上記インクが付与された紙を、室温下で予備乾燥させた後、さらに熱プレス処理を施す方法等が挙げられる。熱プレス処理の条件としては、温度160~220℃、1~5分該繊維と紙をプレスする条件が好ましい。
上記布帛としては、T/C混ブロード(T/C混紡繊維:PETと綿の混紡布)等が挙げられ、混紡繊維を含む布帛であることが好ましく、該混紡繊維がPET(ポリエチレンテレフタレート)混紡繊維であることが更に好ましい。本明細書におけるT/C混とは、ポリエステル(PET)とコットン(綿)が任意の比率で混合されている繊維を示す。
上記前処理剤と上記分散染料インクのセット、上記前処理剤を用いた前処理工程と、前記分散染料インクを用いた捺染工程を含む捺染方法、該捺染工程がインクジェット染色方法を含む捺染方法及びそれら捺染方法により捺染された布帛も本発明に含む。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。実施例において特に断りがない限り、「部」は重量部を、「%」は質量%をそれぞれ意味する。
ジョンクリル678エマルション液の調製
48%水酸化ナトリウム(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、プロピレングリコール(60部)へジョンクリル678(BASF社製)40部を投入し、90―120℃に昇温して5時間撹拌することにより、ジョンクリル678のエマルション液を得た。
48%水酸化ナトリウム(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、プロピレングリコール(60部)へジョンクリル678(BASF社製)40部を投入し、90―120℃に昇温して5時間撹拌することにより、ジョンクリル678のエマルション液を得た。
インク用分散液Dp1の調製
C.I.Disperse Yellow 54を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp1を得た。
C.I.Disperse Yellow 54を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp1を得た。
インク用分散液Dp2の調製
C.I.Disperse Red 60を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp2を得た。
C.I.Disperse Red 60を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp2を得た。
インク用分散液Dp3の調製
C.I.Disperse Blue 359を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp3を得た。
C.I.Disperse Blue 359を30部、上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中における染料の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、染料の含有量が15%であるインク用分散液Dp3を得た。
インク組成物1の調製
上記のインク用分散液Dp1を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物1を得た。
上記のインク用分散液Dp1を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物1を得た。
インク組成物2の調製
上記のインク用分散液Dp2を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物2を得た。
上記のインク用分散液Dp2を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物2を得た。
インク組成物3の調製
上記のインク用分散液Dp3を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物3を得た。
上記のインク用分散液Dp3を用いて、表2に示す組成に従い各成分を混合した。得られた液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、インク組成物3を得た。
前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp4の調製
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン社製ポリエステル樹脂:ダイヤクロンFC-316)30部に上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中におけるポリエステル樹脂の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、ポリエステル樹脂の含有量が15%である前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp4(直径142nm)を得た。
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン社製ポリエステル樹脂:ダイヤクロンFC-316)30部に上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中におけるポリエステル樹脂の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、ポリエステル樹脂の含有量が15%である前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp4(直径142nm)を得た。
前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp5の調製
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン社製ポリエステル樹脂:ダイヤクロンFC-2232)30部に上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中におけるポリエステル樹脂の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、ポリエステル樹脂の含有量が15%である前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp5(直径136nm)を得た。
ポリエステル樹脂(三菱レイヨン社製ポリエステル樹脂:ダイヤクロンFC-2232)30部に上記ジョンクリル678のエマルション液を45部、サーフィノール104PG50を0.2部、プロキセルGXL(S)を0.2部、イオン交換水を加え合計100部とした液を撹拌混合し、該混合物に0.2mm径ガラスビーズを加え、サンドミルにて水冷下、約15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水を加え、液の総質量中におけるポリエステル樹脂の含有量が15%となるように調製した。調製後の液をガラス繊維ろ紙GC-50(ADVANTEC社製)で濾過し、ポリエステル樹脂の含有量が15%である前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp5(直径136nm)を得た。
前処理剤1の調製
上記で得た前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp4を75部、JSR0568(JSR株式会社製)を25部、を混合撹拌し前処理剤1を作製した。
上記で得た前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp4を75部、JSR0568(JSR株式会社製)を25部、を混合撹拌し前処理剤1を作製した。
前処理剤2の調製
上記で得た前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp5を75部、JSR0568(JSR株式会社製)を25部、を混合撹拌し前処理剤2を作製した。
上記で得た前処理剤用ポリエステル樹脂粒子分散液Dp5を75部、JSR0568(JSR株式会社製)を25部、を混合撹拌し前処理剤2を作製した。
下記表1中の略号等は、以下の意味を有する。
DY54:C.I.Disperse Yellow 54
DR60:C.I.Disperse Red 60
DB359:C.I.Disperse Blue 359
FC-316:ポリエステル樹脂 ダイヤクロンFC-316
FC-2232:ポリエステル樹脂 ダイヤクロンFC-2232
JC678Em:ジョンクリル678エマルション液
SF104:サーフィノール 104PG50
GXL:プロキセル GXL
DY54:C.I.Disperse Yellow 54
DR60:C.I.Disperse Red 60
DB359:C.I.Disperse Blue 359
FC-316:ポリエステル樹脂 ダイヤクロンFC-316
FC-2232:ポリエステル樹脂 ダイヤクロンFC-2232
JC678Em:ジョンクリル678エマルション液
SF104:サーフィノール 104PG50
GXL:プロキセル GXL
下記表2中の略号等は、以下の意味を有する。
Dp1~Dp3:上記表1に記載のDp1~Dp3の分散液
Gly:グリセリン
PG:プロピレングリコール
EC8600:アデカコール EC-8600
GXL:プロキセル GXL
TEA:トリエタノールアミン
Dp1~Dp3:上記表1に記載のDp1~Dp3の分散液
Gly:グリセリン
PG:プロピレングリコール
EC8600:アデカコール EC-8600
GXL:プロキセル GXL
TEA:トリエタノールアミン
[実施例1]
(1)布帛の前処理
上記で得た前処理剤1をT/C混ブロードにスプレー塗布を行うことにより布帛の前処理を行ない、前処理済布帛1を得た。
(2)布帛の捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して転写紙(ミマキエンジニアリング社製:JC95g-89)にインクジェット印刷を行った。続いて、インクジェット印刷を行った転写紙から、上記で得た前処理済布帛1へ昇華転写し、布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(3)布帛のダイレクト捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して上記で得た前処理済布帛1にインクジェット印刷を行った。得られた布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(1)布帛の前処理
上記で得た前処理剤1をT/C混ブロードにスプレー塗布を行うことにより布帛の前処理を行ない、前処理済布帛1を得た。
(2)布帛の捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して転写紙(ミマキエンジニアリング社製:JC95g-89)にインクジェット印刷を行った。続いて、インクジェット印刷を行った転写紙から、上記で得た前処理済布帛1へ昇華転写し、布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(3)布帛のダイレクト捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して上記で得た前処理済布帛1にインクジェット印刷を行った。得られた布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
[実施例2]
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物2に変更すること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物2に変更すること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[実施例3]
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物3に変更すること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物3に変更すること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[実施例4]
(1)布帛の前処理
上記で得た前処理剤2をT/C混ブロードにスプレー塗布を行うことにより布帛の前処理を行ない、前処理済布帛2を得た。
(2)布帛の捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して転写紙(ミマキエンジニアリング社製:JC95g-89)にインクジェット印刷を行った。続いて、インクジェット印刷を行った転写紙から、上記で得た前処理済布帛2へ昇華転写し、布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(3)布帛のダイレクト捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して上記で得た前処理済布帛2にインクジェット印刷を行った。得られた布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(1)布帛の前処理
上記で得た前処理剤2をT/C混ブロードにスプレー塗布を行うことにより布帛の前処理を行ない、前処理済布帛2を得た。
(2)布帛の捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して転写紙(ミマキエンジニアリング社製:JC95g-89)にインクジェット印刷を行った。続いて、インクジェット印刷を行った転写紙から、上記で得た前処理済布帛2へ昇華転写し、布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
(3)布帛のダイレクト捺染及び評価
上記で得たインク組成物1を、Value Jet 628(武藤工業社製ワイドフォーマットプリンター)を使用して上記で得た前処理済布帛2にインクジェット印刷を行った。得られた布帛上の発色濃度(D値)を測定した。測定についてはYMCのカラーそれぞれについて評価を行った。この際、繊維中には転写による発色が起こらない部分があり、この未発色部分を白抜けとし、目視により白抜けの有無を判定した。
[実施例5]
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物2に変更すること以外は実施例4と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物2に変更すること以外は実施例4と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[実施例6]
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物3に変更すること以外は実施例4と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1において、転写紙へのインクジェット印刷に用いるインク組成物を、インク組成物3に変更すること以外は実施例4と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[比較例1]
実施例1において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例1と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[比較例2]
実施例2において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例2と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例2において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例2と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
[比較例3]
実施例2において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例3と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例2において、前処理を行わない布帛を用いること以外は実施例3と同様にして布帛の捺染及び評価を行った。
実施例1~6及び比較例1~3の評価結果を以下に示す。
<発色性>
○:D値≧1.1
△:1.1>D値≧0.9
×:0.9>D値
<白抜け>
○:白抜け無し
×:白抜け有り
<発色性>
○:D値≧1.1
△:1.1>D値≧0.9
×:0.9>D値
<白抜け>
○:白抜け無し
×:白抜け有り
上記表3の結果から明らかなように、本発明の前処理剤を用いて前処理を行った実施例1~6は、前処理を行っていない比較例1~3と比べ、発色性に優れ、染料定着不良による白抜けも無く、極めて良好な捺染物を得ることが可能であるという結果を示した。
本発明の捺染用前処理剤は混紡繊維の捺染用、好ましくはインクジェット混紡捺染用、特にポリエステル混紡布インクジェット捺染用前処理剤として好適に用いることができる。
Claims (13)
- ポリエステル樹脂粒子とスチレン-ブタジエン樹脂エマルションを少なくとも含む捺染用前処理剤。
- 前記ポリエステル樹脂粒子の直径が500nm以下である請求項1に記載の捺染用前処理剤。
- 前記ポリエステル樹脂粒子の直径が200nm以下である請求項1又は2に記載の捺染用前処理剤。
- 前記ポリエステル樹脂粒子の直径が100nm以上150nm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
- 前記ポリエステル樹脂粒子の含有量が、上記前処理剤中の1~20質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
- 前記スチレン-ブタジエン樹脂エマルションの含有量が、上記前処理剤中の1~30質量%である請求項1~5のいずれか一項に記載の捺染用前処理剤。
- 前記前処理剤を用いた前処理を行った布帛。
- 前記布帛が、混紡繊維を含む請求項7に記載の布帛。
- 前記混紡繊維が、PET混紡繊維である請求項8に記載の布帛。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の前処理剤と分散染料インクのセット。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の前処理剤を用いた前処理工程と、前記分散染料インクを用いた捺染工程を含む捺染方法。
- 前記分散染料インクを用いた捺染工程がインクジェット染色方法を含む請求項11記載の捺染方法。
- 請求項11又は12に記載の捺染方法により捺染された布帛。
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