図1から図3は、本発明の実施例1の蒸気釜1を示す概略図であり、図1は構成図、図2は正面図、図3は図2におけるIII-III断面図である。なお、図2では、一部を切り欠いて断面にして示すと共に、図2および図3では、一部を省略して示している。
本実施例の蒸気釜1は、図1に示すように、食品が収容される内釜2と、この内釜2の外側に設けられるジャケット3と、このジャケット3内へ蒸気を供給する給蒸手段4と、ジャケット3内へ供給した蒸気の凝縮水(ドレン)を排出するドレン排出手段5と、ジャケット3内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段6と、ジャケット3に対し冷却水を給排水する給排水手段7と、内釜2内やジャケット3内の気体を外部へ吸引排出する減圧手段8と、減圧下の内釜2内へ外気を導入して復圧する復圧手段9と、前記各手段4~9を制御する制御手段(図示省略)とを備える。なお、一点鎖線の囲いで示すように、本実施例の蒸気釜1は、釜ユニット10と流体ユニット11とに分けられており、両ユニット10,11が接続されて用いられる。
内釜2は、上方へ開口した有底の中空容器である。内釜2は、その形状を特に問わないが、本実施例では、図2に示すように、軸線を左右方向へ沿って配置された横向き略円筒状(周側壁2a)で、その左右両端部が左右方向外側へ円弧状に膨出する側壁2bで閉塞されると共に、左右両端部を除いた周側壁2aの上部に、上方へ開口するホッパー2cが設けられて構成される。また、本実施例では、内釜2は、上部開口が蓋材12で開閉可能とされる。蓋材12を閉めた状態では、内釜2内を密閉することができる。
図4は、本実施例の蒸気釜1に用いられるジャケット3の一例を示す概略斜視図であり、流体流路13を形成するための案内板14を取り付けた状態を示している。
ジャケット3は、図2から図4に示すように、内釜2の下方領域を覆うように設けられるジャケット材3Xを備えて構成される。ジャケット3内(内釜2とジャケット材3Xとの間の空間)には、蒸気、圧縮空気または冷却水が、切り替えられて供給可能とされる。たとえば、ジャケット3内に蒸気を供給すれば、内釜2内の食品を加熱することができ、ジャケット3内に冷却水を供給すれば、内釜2内の食品を冷却することができる。また、ジャケット3内に蒸気を供給して食品を加熱後、ジャケット3内に圧縮空気を通せば、ジャケット3内から蒸気を排出できると共に、内釜2やジャケット3の冷却を図ることができる。さらに、ジャケット3内に冷却水を供給して食品を冷却後、ジャケット3内に圧縮空気を通せば、ジャケット3内から冷却水を排出できると共に、次回の給蒸時のウォータハンマを防止することができる。
ジャケット3(より具体的にはジャケット材3X)は、本実施例では、横向き略円筒状の内釜2の周側壁2aと左右両側壁2bの各下方領域を覆うように、内釜2の上下方向中途部から下方領域に設けられる。図示例では、ジャケット3は、横向き略半円筒状(横向き円筒体の略下半分形状)の周側壁3aを備え、その左右の開口部は略半円板状の側壁3bで閉塞されており、その側壁3bの中央部(前記横向き円筒体の軸線に沿う位置)には、略半円形状の切欠穴3cが形成されている。
詳細は後述するが、ジャケット3内には、案内板14で仕切られて流体流路13が形成される。案内板14は、ジャケット3の底部だけでなく、ジャケット3の側部および/または上部にも設けられる。なお、ジャケット3の上部には、ジャケット3の周側壁3aの周方向一端部または両端部(言い換えればジャケット3の前後一端部または両端部の上部)と、左右方向一端部または両側部の上部との内、いずれか一以上(典型的には左右両端部または前後両端部)が含まれる。
各案内板14は、本実施例では平板から形成されるが、場合により凹凸のある平板状の部材から形成されてもよい。各案内板14は、内釜2の外面(内釜2の周側壁2aまたは側壁2b)とジャケット3の内面(ジャケット材3Xの周側壁3aまたは側壁3b)とを架け渡すよう設けられるが、案内板14の外端部に、ドレン排出用の穴14aまたは切欠きが形成されてもよい。なお、後述するように、案内板14の外端辺とジャケット3の内面との間を断続的に溶接(好ましくは千鳥溶接)する場合、その溶接部間に隙間が生じても、その隙間をドレン排出用の隙間として利用することもできる。
流体流路13は、ジャケット3内を蛇行するよう設けられるのが好ましい。その際、流体流路13は、ジャケット3の底部だけでなく、側部および/または上部にまで延出して、ジャケット3内(好ましくは全域)を蛇行するよう設けられるのがよい。これにより、伝熱性能を向上することができる。
また、流体流路13は、単一流路として、その一端部から他端部へ向けて、一方方向で流体を流すことが可能に構成されるのが好ましい。但し、単一流路の両端部に流体の出入口を設ける以外に、単一流路の中途部にも流体の出入口を設けて、これら出入口の内、いずれの出入口からジャケット3内へ流体を供給するか、および/または、いずれの出入口からジャケット3外へ流体を排出するかを切り替えることで、ジャケット3内における流体の流れを変更可能とされるのがよい。
本実施例では、流体流路13は単一流路から構成され、ジャケット3の上部において、流体流路13の両端部に、流体の上方出入口(第一上方口13a、第二上方口13b)が設けられる一方、ジャケット3の下部において、流体流路13の中央部に、流体の下方出入口(第一下方口13c、第二下方口13d)が設けられている。そして、詳細は後述するが、たとえば、蒸気を、上方出入口(第一上方口13aおよび第二上方口13b)から供給するか、下方出入口(第一下方口13c)から供給するかを切替可能とされる。また、冷却水を、下方出入口(第一下方口13c)から供給して上方出入口(第一上方口13aおよび第二上方口13b)から排出するか、一方の上方出入口(第一上方口13a)から供給して他方の上方出入口(第二上方口13b)から排出するかを切替可能とされる。
ジャケット3付きの内釜2は、蓋材12を開けた状態で、上部開口を前方へ倒すように、所定角度だけ回転可能とされる。そのために、ジャケット3付きの内釜2は、台座15から浮いた状態で回転可能に支持される。その際、台座15上の左右に設けられたサイドフレーム16と駆動ボックス17とに、内釜2の左右両端部が支持される。具体的には、内釜2の左右側壁2bの中央部には、左右方向外側へ延出して段付きの回転軸部18が設けられており、左側の回転軸部18は、サイドフレーム16の上端部において軸受19に回転自在に支持され、右側の回転軸部18は、駆動ボックス17内において軸受(図示省略)に回転自在に支持される。なお、図1では、左側の回転軸部18のみが示される。また、図1では、内釜2と回転軸部18とを離隔して示しているが、実際には両者一体である。詳細は後述するが、ジャケット3付きの内釜2は、ドレン排出手段5を伴って(つまり両者一体として)、回転可能とされる。
内釜2には、所望により、食品の撹拌装置20が設けられる。本実施例では、図2および図3に示すように、内釜2内の左右を架け渡すように撹拌軸21が設けられ、その撹拌軸21に径方向外側へ延出するアーム22を介して撹拌羽根23が設けられる。撹拌軸21は、内釜2の軸線に沿って配置され、内釜2の左右の側壁2bの外側に設けられた軸受24に回転自在に支持される。撹拌軸21は、右側の軸受24よりも右側への延出部を有し、その延出部は、駆動ボックス17内の駆動装置(図示省略)に接続される。駆動ボックス17内の駆動装置により、撹拌軸21ひいては撹拌羽根23を回転させることができる。駆動ボックス17には、各種操作ボタン25やタッチパネル26の他、制御器(図示省略)も設けられている。駆動ボックス17の操作により、内釜2に対する蓋材12の開閉や、内釜2の回転も可能とされる。
なお、内釜2の左右の回転軸部18の内、右側の回転軸部18は筒状とされ、その中空穴に撹拌軸21が通される。そして、回転軸部18や撹拌軸21は、駆動ボックス17内の駆動装置に接続される。一方、左側の回転軸部18は、内釜2側が筒状に形成され、その中空穴に撹拌軸21の端部が軸受24を介して支持される。左側の回転軸部18には、後述する共通管路59や統一排出路55が設けられる。
給蒸手段4は、ジャケット3内へ蒸気を供給するが、本実施例ではさらに、内釜2内へも蒸気を供給可能とされる。具体的には、給蒸手段4は、給蒸口(ボイラ接続口)からの蒸気を、給蒸路27から回転継手(ナックルジョイント)28および回転軸部18を介して、ジャケット3および/または内釜2へ供給可能とされる。給蒸路27には、回転継手28よりも上流側に、給蒸遮断弁29が設けられている。一方、ジャケット3や内釜2への給蒸用の配管構成の内、回転軸部18よりも下流側の配管構成について説明すると、次のとおりである。
すなわち、回転軸部18からのジャケット供給路30は、ジャケット圧制御弁31を介した後、下方流路32と上方流路33とに分岐される。そして、下方流路32は、下方弁34を介して、ジャケット3の第一下方口13cに接続される一方、上方流路33は、上方弁35を介して、ジャケット3の第一上方口13aに接続される。また、ジャケット3の第一上方口13aと第二上方口13bとは、連絡路36を介して接続されており、この連絡路36には連絡弁37が設けられる。図示例では、上方弁35よりも下流(ジャケット3側)の上方流路33と、第一上方口13aとが連絡路36で接続されている。さらに、本実施例では、ジャケット供給路30には、ジャケット圧制御弁31よりも上流側(回転軸部18側)に、内釜2内への内釜供給路38が分岐して設けられており、この内釜供給路38には内釜弁39が設けられている。
ドレン排出手段5は、ジャケット3内へ供給した蒸気の凝縮水(ドレン)を排出する。具体的には、ドレン排出手段5は、ドレンを貯留するドレンタンク40と、ジャケット3とドレンタンク40との連通路41と、ドレンタンク40からの第一ドレン排出路42と、ドレンタンク40へのタンク給蒸路43とを備える。
ドレンタンク40は、ジャケット3の下部に設けられる。ドレンタンク40は、文字通りのタンク(中空容器)であり、水位検出手段(水位センサやフロートなど)は設けられない。そのため、ドレンタンク40をコンパクトに構成して、内釜2と一体回転に設けることが容易である。
ジャケット3の第二下方口13dとドレンタンク40とは、連通路41を介して接続され、その連通路41には連通切替弁44が設けられる。連通切替弁44を開けることで、重力により、ジャケット3内からドレンタンク40内へドレンを排出することができる。
ドレンタンク40からの第一ドレン排出路42は、図示例では第一スチームトラップ45と第一逆止弁46とが順に設けられ、回転軸部18と固定管路47を介してドレン排出口へ開口される。
ドレンタンク40へのタンク給蒸路43は、回転軸部18からジャケット3へのジャケット供給路30の内、ジャケット圧制御弁31よりも上流側から分岐するよう設けられ、その先端部がドレンタンク40に接続される。タンク給蒸路43には、タンク給蒸弁48が設けられる。
なお、本実施例では、ジャケット3からドレンタンク40への連通路41の内、連通切替弁44よりも上流側に、第二ドレン排出路49が分岐して設けられる。この第二ドレン排出路49には、第二スチームトラップ50と第二逆止弁51とが順に設けられる。さらに、ドレンタンク40からの第一ドレン排出路42の内、第一スチームトラップ45よりも上流側に、エアブロー排出路52が分岐して設けられ、このエアブロー排出路52には、エアブロー排出弁53と第三逆止弁54とが順に設けられる。そして、第一ドレン排出路42、第二ドレン排出路49およびエアブロー排出路52は、各逆止弁46,51,54よりも下流側において合流して統一排出路55とされ、回転軸部18と固定管路47を介してドレン排出口へ開口される。
ジャケット3内を大気圧以上として加圧蒸気(100℃以上の飽和蒸気)により内釜2内の食品を加熱する場合、連通切替弁44、タンク給蒸弁48およびエアブロー排出弁53を閉じておけばよい。これにより、ジャケット3からのドレンは、第二ドレン排出路49を介して外部へ排出される。なお、連通切替弁44を開けておけば、第一ドレン排出路42を介してもドレンを排出することができる。
一方、ジャケット3内を大気圧未満として真空蒸気(100℃未満の飽和蒸気)により内釜2内の食品を加熱する場合、スチームトラップを設けただけでは、ドレン排出を円滑に行えないおそれがある。ところが、本実施例のドレン排出手段5によれば、詳細は後述するが、ジャケット3からドレンタンク40へドレンを移送した後、連通切替弁44を閉じた状態でタンク給蒸弁48を開けることで、大気圧を超える蒸気をドレンタンク40に供給して、第一スチームトラップ45を介してドレンを円滑に排出することができる。
ところで、本実施例の蒸気釜1では、ジャケット3付きの内釜2は、所定角度だけ回転可能とされるが、その際、ジャケット3付きの内釜2とドレンタンク40とが、一体回転可能に構成される。つまり、ジャケット3付きの内釜2は、開口部を上方へ向けた通常状態において、ジャケット3付きの内釜2の下部にドレンタンク40が配置され、そのドレンタンク40は連通路41を介してジャケット3と接続されるので、ジャケット3付きの内釜2にドレンタンク40を保持して、両者を一体回転可能とされる。この際、ドレンタンク40だけでなく、回転軸部18よりも下流のジャケット供給路30、下方流路32、上方流路33、連絡路36、内釜供給路38、連通路41、タンク給蒸路43、第一ドレン排出路42、第二ドレン排出路49およびエアブロー排出路52も、内釜2と一体回転可能とされる。
圧縮空気供給手段6は、ジャケット3内へ圧縮空気を供給する。具体的には、圧縮空気供給手段6は、エア供給口(圧縮機接続口)からの圧縮空気を、圧縮空気路56から回転継手28および回転軸部18を介して、ジャケット3内へ供給可能とされる。圧縮空気路56には、エア供給弁57および逆止弁58が順に設けられている。これら各弁57,58よりも下流側の圧縮空気路56は、給蒸遮断弁29よりも下流の給蒸路27と、共通管路59とされている。また、回転軸部18からジャケット3への圧縮空気供給用の配管として、前述した給蒸用の配管(ジャケット供給路30、下方流路32、上方流路33、連絡路36)が利用される。なお、ジャケット3内へ供給された圧縮空気は、連通切替弁44およびエアブロー排出弁53を開けておくことで、連通路41およびエアブロー排出路52を介して、外部へ排出される。
給排水手段7は、ジャケット3に対し冷却水を給排水する。具体的には、ジャケット3への給水路60と、ジャケット3からの排水路61とを備える。給水路60には給水弁62が設けられる一方、排水路61には排水弁63が設けられている。給蒸遮断弁29よりも下流の給蒸路27、エア供給弁57や逆止弁58よりも下流の圧縮空気路56、および給水弁62よりも下流の給水路60は、共通管路59とされて、回転継手28および回転軸部18内を介して、ジャケット供給路30へ接続される。つまり、回転軸部18からジャケット3への給水用の配管として、前述した給蒸用の配管(ジャケット供給路30、下方流路32、上方流路33、連絡路36)が利用される。なお、ジャケット3内へ供給された冷却水は、排水弁63を開けておくことで、排水路61を介して、外部へ排出される。
給水路60による給水として、常温水(典型的には水道水)または冷水を用いることができる。この際、常温水と冷水とを切り替えて供給可能に構成されてもよい。冷水とは、冷水製造装置により所定温度(たとえば15℃以下)まで冷却された水をいい、常温水とは、そのような冷却がなされない水をいう。たとえば、給水口に水道管を接続すれば、給水路60を介してジャケット3内へ常温水を供給することができる。一方、給水口(給水路60)と排水口(排水路61)とを冷水製造装置(図示省略)に接続して、冷水製造装置との間で循環ポンプにより冷水を循環させてもよい。具体的には、冷水製造装置は、冷凍機を備え、冷水タンクからの水が冷凍機の蒸発器を介して冷却された後、給水路60を介してジャケット3内へ供給され、排水路61を介して冷水タンクへ戻される。
減圧手段8は、内釜2内やジャケット3内の気体を外部へ吸引排出する。具体的には、内釜2からの内釜排気路64には、内釜真空弁65、蒸気凝縮用の熱交換器66、逆止弁67、および水封式の真空ポンプ68が順に設けられる。また、給蒸遮断弁29と回転継手28との間の給蒸路27(共通管路59)と、内釜真空弁65と熱交換器66との間の内釜排気路64とが、ジャケット排気路69で接続され、そのジャケット排気路69には、ジャケット真空弁70および逆止弁71が設けられる。そのため、給蒸遮断弁29、エア供給弁57および給水弁62を閉めた状態で、ジャケット真空弁70を開ければ、共通管路59を介してジャケット3内の減圧が可能となる。
つまり、共通管路59の内、ジャケット排気路69との接続部よりもジャケット3側の管路は、状況に応じて、ジャケット3内からの排気路としても機能する。言い換えれば、蒸気供給源に接続される給蒸路27と、圧縮空気供給源に接続される圧縮空気路56と、給水源に接続される給水路60と、真空発生装置(真空ポンプ68)に接続されるジャケット排気路69とが、共通管路59にまとめられて、内釜2の回転軸部18を介して、ジャケット3に接続されている。一方、減圧手段8は、内釜2から内釜真空弁65を介した内釜排気路64と、ジャケット3からジャケット真空弁70を介したジャケット排気路69とが、合流して共通排気路72とされ、その共通排気路72に、熱交換器66、逆止弁67および真空ポンプ68が順に設けられた構成ということもできる。
熱交換器66は、前記共通排気路72(内釜排気路64,ジャケット排気路69)内の流体とその冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器66により、共通排気路72内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。熱交換器66には、熱交給水路73を介して冷却水が供給され、熱交排水路74を介して冷却水が排出される。熱交給水路73には、熱交給水弁75が設けられている。
真空ポンプ68は、本実施例では水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。そのために、真空ポンプ68には、封水給水路76を介して水が供給される。封水給水路76には封水給水弁77が設けられており、封水給水弁77を開けることで、真空ポンプ68に封水を供給することができる。封水給水弁77の開閉は、真空ポンプ68の発停と連動して切り替えられる。
なお、熱交給水路73や封水給水路76への給水源は、ジャケット3への給水路60の給水源と共通とされてもよい。つまり、熱交給水路73および封水給水路76の上流部は、ジャケット3への給水路60の上流部と共通管路とされてもよい。また、これら各給水路60,73,76への給水として、常温水のみを供給可能とするか、冷水のみを供給可能とする以外に、常温水と冷水とを切り替えて供給可能としてもよい。
復圧手段9は、減圧された内釜2内へ外気を導入して、内釜2内を復圧する。具体的には、内釜2内への給気路78に、エアフィルタ79および給気弁80が順に設けられて構成される。内釜2内が減圧された状態で、給気弁80を開けると、外気がエアフィルタ79を介して内釜2内へ導入され、内釜2内を復圧することができる。
内釜排気路64と給気路78とは、本実施例では、蓋材12に接続されている。内釜2に対し蓋材12を開閉可能とする関係上、内釜排気路64および給気路78の一部に、たとえばフレキシブル配管が利用されている。また、蓋材12には、所望により正圧解除弁81が設けられる。正圧解除弁81を設けた場合、内釜2内が大気圧を超える場合には、正圧解除弁81が自力で機械的に開いて、内釜2内の加圧が防止される。
蒸気釜1には、内釜2内の圧力を検出する第一圧力センサ82と、ジャケット3内の圧力を検出する第二圧力センサ83と、第一ドレン排出路42内の温度を検出する温度センサ84の他、所望によりさらに、内釜2内の温度を検出する第二の温度センサ(図示省略)などが設けられる。第一圧力センサ82は、内釜2または蓋材12に設けられる以外に、内釜真空弁65と内釜2との間の内釜排気路64に設けられてもよい。また、第二圧力センサ83は、ジャケット3に設けられる以外に、ジャケット圧制御弁31とジャケット3との間のジャケット供給路30(下方流路32と上方流路33との分岐前)に設けられてもよい。さらに、温度センサ84は、ドレンタンク40からの第一ドレン排出路42の内、第一スチームトラップ45よりも上流側(エアブロー排出路52との分岐部よりも上流側)に設けられるが、場合により、ドレンタンク40に設けられてもよい。
制御手段は、前記各センサ82~84の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段4~9などを制御する制御器(図示省略)である。具体的には、内釜2や撹拌軸21を回転させたり蓋材12を着脱したりする駆動装置、真空ポンプ68、給蒸遮断弁29、ジャケット圧制御弁31、下方弁34、上方弁35、連絡弁37、内釜弁39、連通切替弁44、タンク給蒸弁48、エアブロー排出弁53、エア供給弁57、給水弁62、排水弁63、内釜真空弁65、ジャケット真空弁70、熱交給水弁75、封水給水弁77、給気弁80の他、第一圧力センサ82、第二圧力センサ83および温度センサ84などは、制御器に接続される。そして、制御器は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、内釜2内の食品の加熱調理とその後の冷却を実行可能とされる。
次に、本実施例の蒸気釜1のジャケット3について、さらに具体的に説明する。
前述したとおり、ジャケット3は、横向き略半円筒状(横向き円筒体の略下半分形状)の周側壁3aを備え、その左右の開口部は略半円板状の側壁3bで閉塞されており、その側壁3bの中央部(前記横向き円筒体の軸線に沿う位置)には、略半円形状の切欠穴3cが形成されている。そして、ジャケット3内には、左右方向へ延出した案内板14が前後に離隔して(図示例では内釜2やジャケット3の周側壁3aの周方向に離隔して)複数設けられることで、左右方向へ延出する流路が複数形成されると共に、隣接する流路を連通させる連通口14bが、ジャケット3の左右側部の上部において、左右交互に設けられることで、単一流路として流体流路13が形成されている。なお、単一流路とは、一端部から他端部へ向けて流体を一方方向に流すことができる流体流路であると共に、流体の滞留や流れ方向の異なる流体がぶつかることのない流路である。典型的には、両端部間に並列流路を備えない流路であるが、後述するように、一部に仕切りが入れられてもよい。
より具体的には、本実施例では、図3に示す側面視(内釜2へのジャケット3の取付状態)において、内釜2の周側壁2aとジャケット3の周側壁3aとは略同心円状に配置される。そして、ジャケット3の周側壁3aには、内方へ延出(図示例では径方向内側へ延出)して、案内板14が周方向略等間隔に複数設けられる。各案内板14は、図2および図4に示すように、ジャケット3の左右方向へ延出して設けられる。この際、内釜2の外面とジャケット3の内面との隙間(周側壁2a,3a間の隙間および側壁2b,3b間の隙間)を埋めるように、略コ字形状に形成される。すなわち、各案内板14は、左右方向へ延出する細長い略矩形状の本体片14cと、その左右両端部に連接された延出片14dとから形成されている。そして、本体片14cおよび延出片14dは、その内端辺が内釜2の外面(周側壁2aおよび側壁2b)に当接され、外端辺がジャケット3の内面(周側壁3aおよび側壁3b)に当接されるよう配置される。
但し、左右の延出片14dの片側は、先端部(上端部)が切り欠かれることで連通口14bが形成されており、この連通口14bは、ジャケット3の前方から後方へ各案内板14を見た場合に、左右交互に配置されている。つまり、図4において、最も手前側に配置される案内板14には、左上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、手前から二枚目の案内板14には、右上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、手前から三枚目の案内板14には、左上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、というように、隣接する案内板14で左右交互に連通口14bが形成されている。
本実施例では、各案内板14の外端辺が、ジャケット3に溶接されて固定される。この際、各案内板14の外端辺は、ジャケット3の内面に断続的に溶接(つまり案内板14の外端辺に施される溶接部間が離隔して配置)されるのが好ましい。さらに好ましくは、各案内板14の表面(前方へ配置された面)と裏面(後方へ配置された面)とに、それぞれ案内板14の長手方向へ沿って間欠的に溶接される。しかも、表面側溶接部と裏面側溶接部とが、千鳥状に配置されるのが好ましい。つまり、表面側溶接部は、案内板14の外端辺に沿って間隔をあけて設けられ、その隣接する表面側溶接部間の無溶接部と対応して、裏面側溶接部が設けられる。そして、表面側溶接部と裏面側溶接部とは、案内板14の長手方向へは離隔して配置されるのが好ましい。つまり、表面側溶接部と裏面側溶接部とを合わせた全体で見た場合でも、案内板14の外端辺に間欠的に各溶接部が配置されることになる。間欠的に(好ましくは表裏千鳥状に)溶接することで、溶接時の歪みを抑えることができる。また、後述するように、案内板14の外端辺とジャケット3の内面との間に隙間を生じても、その隙間をドレン排出用の隙間として利用することもできる。
このようにして案内板14が設けられたジャケット3が、内釜2の下方領域を覆うように取り付けられる。この際、ジャケット3は、左右の側壁3bの切欠穴3cが内釜2の回転軸部18の下半部にはめ込まれ、切欠穴3cに沿ってジャケット3が回転軸部18に溶接される。また、ジャケット3は、周側壁3aおよび左右側壁3b(切欠穴3c以外の箇所)の各上端部が、内釜2またはそれに設けられた閉塞板(フランジ)に溶接にて固定される(図3)。これにより、内釜2の略下半部に、略半円筒状の空洞部が設けられ、その空洞部内が案内板14で仕切られて蛇行する流体流路13が形成される。なお、本実施例では、流体流路13の流路断面積は、前記共通管路59やジャケット供給路30などの流路断面積と同等か、それよりも設定割合だけ大きく形成されている。
内釜2へのジャケット3の取付状態において、各案内板14の内端辺(本体片14cの上辺と左右の延出片14dの内辺)が、内釜2の外面に接触するよう当接(または若干の隙間(たとえば10mm以下、好ましくは5mm以下、本実施例では約0~2mmの隙間)をあけて近接)され、延出片14dの左右片側(連通口14bと逆側)の上端辺が、内釜2の回転軸部18の外周面に当接される。案内板14を設けることで、ジャケット3内に所望の流体流路13を形成できるだけでなく、ジャケット3から内釜2への伝熱を促進することもできる。また、本実施例では、平板状の案内板14を内釜2の軸方向へ沿って設けることで、ジャケット3内への案内板14の設置を容易に行える。なお、後述する変形例2や実施例2についても、平板状の案内板14を用いることで、ジャケット3内への案内板14の設置を容易に行うことができる。
なお、ここでは、ジャケット3の内側に各案内板14を設けた後、その案内板14付きのジャケット3を内釜2に取り付けたが、これに代えてまたはこれに加えて、一部または全部の案内板14を内釜2の外面に溶接しておき、その案内板14付きの内釜2を覆うようにジャケット3を設けてもよい。内釜2に案内板14を溶接する場合でも、ジャケット3に案内板14を溶接する場合と同様に、溶接は断続的に、好ましくは表裏交互に千鳥状に行うのが好ましい。そして、案内板14付きの内釜2にジャケット3を取り付けた状態で、案内板14の外端辺は、ジャケット3の内面に当接(つまり接触して配置)または近接(たとえば製造用生じる隙間をあけて配置)される。案内板14の外端辺とジャケット3の内面との間に隙間が生じても、その隙間をドレン排出用の隙間として利用することができる。
ジャケット3には、前述したとおり、流体の出入口が複数箇所に設けられる。本実施例では、ジャケット3の上部に、第一上方口13aと第二上方口13bとが設けられ、ジャケット3の下部に、第一下方口13cと第二下方口13dとが設けられる。第一上方口13aと第二上方口13bとは、案内板14で仕切られた単一の蛇行する流体流路13の両端部に設けられており、その中央部に第一下方口13cと第二下方口13dとが設けられる。また、本実施例では、第一上方口13aは、ジャケット3の後部(奥側)に配置され、第二上方口13bは、ジャケット3の前部(手前側)に配置される。
ところで、各案内板14には、特に、左右方向へ延出する本体片14cについて、案内板14の外端辺とジャケット3の内面との間に、ドレン排出用の隙間(たとえば断続的な溶接部間の隙間)があけられるか、案内板14の外端部に、ドレン排出用の穴14aまたは切欠きが形成されるのがよい。図示例では、本体片14cの外端部に、本体片14cの長手方向へ沿って複数の穴14aを形成した例を示している。ジャケット3内への給蒸中、ジャケット3の左右の側部においては、案内板14の延出片14dの他、内釜2やジャケット3の各側壁3bに沿って、下方へドレンを流すことができる。一方、ジャケット3の周側壁2a,3aにおいては、本体片14cの外端部に設けた隙間、穴14aまたは切欠きを介して、ジャケット3の最下部(第二下方口13d)へドレンを流すことができる。また、これら隙間、穴14aまたは切欠きを案内板14に形成しておくことで、ドレンの排出だけでなく、後述する空気排除工程における空気の排出も図ることができる。
次に、本実施例の蒸気釜1の運転方法の具体例について説明する。
図5は、本実施例の蒸気釜1の主要工程と、各工程における主要弁の開閉状況を示す表である。図中、○印は、弁の開放状態を示し、×印は、弁の閉鎖状態を示している。
運転開始前、少なくとも、給蒸遮断弁29、エア供給弁57、給水弁62、熱交給水弁75および封水給水弁77は閉じられており、内釜2や撹拌軸21の駆動装置の他、真空ポンプ68は停止している。そして、所定のスタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御器は、典型的には、空気排除工程、加熱工程および冷却工程を順次に実行する。好ましくは、空気排除工程、加熱工程(第一加熱工程および/または第二加熱工程)、第一エアブロー工程、冷却工程(第一冷却工程および/または第二冷却工程)、第二エアブロー工程を順次に実行する。但し、第一エアブロー工程を省略するなど、運転工程は下記具体例に限定されるものではない。
内釜2内への食品の投入は、運転開始前、または遅くとも加熱工程の開始までになされる。内釜2内を真空下にして調理する場合、内釜2内への食品の投入後、内釜2の上部開口は蓋材12で気密に閉じられる。
空気排除工程では、減圧手段8により、ジャケット3内およびドレンタンク40内の空気を排除する。具体的には、給蒸遮断弁29、エア供給弁57および給水弁62を閉じたまま、ジャケット真空弁70、ジャケット圧制御弁31、下方弁34、上方弁35および連絡弁37を開けた状態で、減圧手段8を作動(つまり熱交換器66に通水すると共に真空ポンプ68を作動)させて、ジャケット3内の気体を外部へ吸引排出する。この際、エアブロー排出弁53、排水弁63、内釜真空弁65、内釜弁39は閉じられており、連通切替弁44(および/またはタンク給蒸弁48)は、開けられている。これにより、ジャケット3内だけでなく、ドレンタンク40内の空気も排除することができる。所定圧力までジャケット3内を減圧した後、好ましくはさらに所定時間保持してから、ジャケット真空弁70を閉じると共に減圧手段8を停止して、次工程へ移行する。但し、空気排除工程の内容は、これに限らず、たとえば、減圧手段8によるジャケット3内の減圧と、給蒸手段4によるジャケット3内への給蒸とを、所定に繰り返してもよい。
加熱工程では、給蒸手段4により、ジャケット3内へ蒸気を供給して、内釜2内の食品を加熱する。具体的には、給蒸遮断弁29を開けてジャケット3内へ給蒸し、ジャケット3内を設定加熱圧力(ジャケット3内は飽和蒸気で満たされるので設定加熱温度ということもできる)にした後、その状態を保つことで、内釜2内の食品を加熱する。たとえば、第二圧力センサ83の検出圧力を設定加熱圧力(食品の加熱目標温度を飽和温度とする圧力)に維持するように、ジャケット圧制御弁31の開閉または開度を調整すればよい。この際、ジャケット3内を大気圧未満の圧力として、内釜2内の食品を100℃未満の比較的低温(たとえば60℃以上100℃未満)で加熱することもできる。加熱工程では、後述する場合を除き、連通切替弁44およびタンク給蒸弁48は閉じられた状態に維持される。
加熱工程として、第一加熱工程と第二加熱工程との内、一方または双方を実行可能とされる。たとえば、第一加熱工程と第二加熱工程とを設定切替時間(たとえば5分)ごとに繰り返す。あるいは、第一加熱工程を第一設定時間実行する動作と、第二加熱工程を第二設定時間実行する動作とを繰り返してもよい。あるいは、第一加熱工程のみを実行するか、第二加熱工程のみを実行してもよい。
第一加熱工程では、ジャケット3の下部からジャケット3内へ蒸気を供給する。そのために、上方弁35および連絡弁37を閉じた状態で、下方弁34を開ける。そして、給蒸遮断弁29を開けた状態で、ジャケット圧制御弁31の開度調整により、ジャケット3内ひいては内釜2内の温度を調整することができる。第一加熱工程では、所望により、連絡弁37を開けておいてもよい。
第一加熱工程は、加熱工程の開始時(最初にジャケット3内に蒸気を供給する際)に好適に実施される。言い換えれば、第一加熱工程は、第二加熱工程の前段階で行うのが好ましい。第一加熱工程では、ジャケット3の下部から(しかも流体流路13の中央部から)蒸気を供給することで、ジャケット3の下部から温度上昇が始まるためジャケット3上部における熱応力(常温のジャケット3と第一加熱工程による蒸気との温度差による熱応力)を緩和して、ジャケット3上部における内釜2との接続部(溶接部)の亀裂を防止することができる。また、第一加熱工程では、空気排除工程で除去しきれなかった空気がジャケット3内に残留しても、その空気溜まり(特にジャケット3上部の空気溜まり))による熱伝達の阻害を解消して、均一な加熱を図ることができる。
第二加熱工程では、ジャケット3の上部からジャケット3内へ蒸気を供給する。そのために、下方弁34を閉じた状態で、上方弁35および連絡弁37を開ける。そして、給蒸遮断弁29を開けた状態で、ジャケット圧制御弁31の開度調整により、ジャケット3内ひいては内釜2内の温度を調整することができる。第二加熱工程では、ジャケット3の上部から(しかも流体流路13の両端部から)蒸気を供給することで、ジャケット3の下部に替わり上部の蒸気温度が高くなり、均一な加熱を図ることができる。第一加熱工程と第二加熱工程とを交互に繰り返すことで、過熱領域をなくして、一層均一な加熱を図ることができる。
加熱工程(第一加熱工程および第二加熱工程)中、ジャケット3内へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)は、案内板14の外端辺とジャケット3の内面との隙間、または案内板14の外端部に設けた穴14aまたは切欠きにより、ジャケット3の底部へ流下し、第二下方口13dから適宜排出される。具体的には、次のとおりである。
まず、ジャケット3内のドレンは、所定のタイミングで、ドレンタンク40へ排出される。ジャケット3からドレンタンク40へのドレンの排出は、タンク給蒸弁48を閉じた状態で、連通切替弁44を開けることで行われる。本実施例では、設定時間ごとに所定時間、連通切替弁44を開けることで、ジャケット3内のドレンがドレンタンク40へ排出される。その後、連通切替弁44を閉じる一方、タンク給蒸弁48を開けることで、大気圧よりも高圧の蒸気により、ドレンタンク40内のドレンを、第一スチームトラップ45を介して外部へ排出することができる。タンク給蒸弁48の開放後、温度センサ84の検出温度が設定温度以上になる(好ましくは設定温度以上を第一規定時間継続後にさらに第二規定時間経過する)と、ドレンタンク40からドレンが排出されたとして、タンク給蒸弁48を閉じる。以後、同様に、連通切替弁44を、前回の閉鎖から設定時間経過すると所定時間開放した後、連通切替弁44を閉鎖した状態でタンク給蒸弁48を開放する操作を繰り返せばよい。このようにして、定期的に、ジャケット3からドレンタンク40を介して、ドレンの排出を図ることができる。
本実施例では、ジャケット3内の真空蒸気(100℃未満の蒸気)のドレンがドレンタンク40へ排出され、ドレンタンク40からのドレンの排出には、タンク給蒸路43を介した大気圧以上の蒸気(100℃以上の蒸気)が利用される。そのため、ドレンタンク40からのドレンの排出は、第一ドレン排出路42に設けた温度センサ84の検出温度により(たとえば温度センサ84の検出温度が100℃以上になることにより)検知することができる。これにより、ドレンタンク40からのドレンの排出を、容易に確実に図ることができる。
ところで、ここでは、ジャケット3内を大気圧未満として、食品を100℃未満で加熱する例を示したが、ジャケット3内を大気圧以上として、食品を100℃以上で加熱することもできる。その場合も、上述した各加熱工程と同様に制御できるが、ドレンの排出方法が異なる。すなわち、100℃以上の加圧蒸気を用いて食品を加熱中、連通切替弁44およびタンク給蒸弁48を閉じたままでも、第二スチームトラップ50を介してドレンを排出することができる。さらに、連通切替弁44を開けたまま保持しておけば、第一スチームトラップ45を介しても、ドレンを排出することができる。
本実施例の蒸気釜1は、内釜2内の食品の撹拌装置20を備える。つまり、蒸気釜1は、蒸気ニーダとして構成される。そのため、ジャケット3内へ給蒸して食品を加熱中、撹拌装置20により、食品の撹拌を図ることができる。このような食品の撹拌は、加熱工程だけでなく冷却工程でも行うことができ、また、加熱工程から第一エアブロー工程を介した冷却工程の終了まで行うこともできる。
本実施例の蒸気釜1は、内釜2の上部開口は、蓋材12で気密に閉鎖可能とされ、この蓋材12には、真空発生装置(真空ポンプ68)が接続されており、蓋材12を閉じた状態で、真空発生装置により、内釜2内を大気圧未満に減圧することができる。そのため、食品の加熱中に真空引きすることで、食品の濃縮を図ることができる。具体的には、内釜2の蓋材12を閉じた状態で、内釜真空弁65を開けて、減圧手段8により内釜2内を減圧すればよい。
いずれにしても、加熱工程を実行中、所定の終了条件を満たすと、給蒸遮断弁29を閉じて、ジャケット3内への給蒸を停止して、次工程へ移行する。
第一エアブロー工程では、圧縮空気供給手段6により、ジャケット3内に圧縮空気を流通させる。具体的には、下方弁34、タンク給蒸弁48および排水弁63を閉じた状態で、エア供給弁57、ジャケット圧制御弁31、上方弁35、連絡弁37、連通切替弁44およびエアブロー排出弁53を開ける。これにより、圧縮空気路56からの圧縮空気が、ジャケット3の上部から(しかも流体流路13の両端部から)供給され、連通路41およびエアブロー排出路52を介して排出される。
第一エアブロー工程により、ジャケット3内の残留蒸気を排出できると共に、ジャケット3および内釜2の冷却を図ることができる。設定ブロー時間、第一エアブロー工程を実行した後、エア供給弁57、連通切替弁44およびエアブロー排出弁53を閉じて、次工程へ移行する。
冷却工程では、給排水手段7により、ジャケット3内に冷却水を通して、内釜2内の食品を冷却する。具体的には、給水弁62および排水弁63を開けて、ジャケット3内に通水して、内釜2内の食品を冷却する。この際、前述したように、給水路60を介して供給される冷却水として、常温水を用いてもよいし、冷水を用いてもよい。冷水を用いる場合、給水路60の基端部と排水路61の先端部とを冷水製造装置に接続して、ジャケット3と冷水製造装置との間で冷水が循環させる。また、冷却工程の初期(冷却工程の開始から所定時間)には、常温水で冷却し、その後、冷水に切り替えるようにしてもよい。
冷却工程として、第一冷却工程と第二冷却工程との内、一方または双方を実行可能とされる。特に、冷却工程の開始から所定時間だけ第一冷却工程を実行後、所定の終了条件を満たすまで第二冷却工程を実行するのが好ましい。あるいは、所定の終了条件を満たすまで、第一冷却工程のみ、または第二冷却工程のみを実行するようにしてもよい。なお、冷却工程の終了条件とは、たとえば、冷却工程の開始から設定冷却時間経過するまで、または内釜2内の食品が冷却目標温度になるまでである。
第一冷却工程では、ジャケット3の下部から冷却水を供給して、上部から排出する。具体的には、給水弁62および排水弁63の他、下方弁34および連絡弁37を開ける。この際、上方弁35、連通切替弁44およびタンク給蒸弁48は閉じられている。これにより、給水路60からの冷却水は、下方流路32を介してジャケット3内へ供給され、ジャケット3内の流体流路13の中央部から両端部へ流れた後、第一上方口13aおよび第二上方口13bから導出されて、排水路61へ排出される。
第一冷却工程は、冷却工程の開始時(つまり加熱工程の終了後、最初にジャケット3内に冷却水を供給する際)に好適に実施される。言い換えれば、第一冷却工程は、第二冷却工程の前段階で行うのが好ましい。その際、第一冷却工程での通水流量は、第二冷却工程での通水流量よりも小流量としてもよい。
第一冷却工程によれば、ジャケット3の下部から上方へ冷却水を通すことで、ジャケット3内へ供給された冷却水は上部へ行くまでに温められる(特に、図4のように、軸方向に案内板14が設けられている場合は、冷却水は蛇行しながら上部へ行くことで有効に温められる)ので、ジャケット3上部における熱応力(加熱工程によって高温となったジャケット3と第一冷却工程による冷却水との温度差による熱応力)を緩和して、ジャケット3上部における内釜2との接続部(溶接部)の亀裂を防止することができる。
第二冷却工程では、ジャケット3内の流体流路13の一端部から他端部へ向けて冷却水を流通させる。具体的には、給水弁62および排水弁63の他、上方弁35を開ける。この際、下方弁34、連絡弁37、連通切替弁44およびタンク給蒸弁48は閉じられている。これにより、給水路60からの冷却水は、上方流路33を介して第一上方口13aからジャケット3内へ供給され、ジャケット3内の流体流路13の一端部から他端部へ向けて流通した後、第二上方口13bから導出されて、排水路61へ排出される。
第二冷却工程によれば、冷却水を、流体流路13の一端部である第一上方口13aから供給して、流体流路13の他端部である第二上方口13bから排出することで、単一流路に沿って冷却水を流して、内釜2内の食品の冷却をムラなく確実に図ることができる。つまり、単一流路としての流体流路13は、ジャケット3内(内釜2の下方領域)全体を蛇行して形成されているので、その一端部から他端部へ冷却水を流すことで、ジャケット3内に水が滞留する部分がなく(言い換えれば冷却水がショートパスすることなく)、食品をムラなく迅速に冷却することができる。
ところで、冷却工程では、内釜2内を大気圧下に開放しておいてもよいし、内釜2内を減圧することで、食品の真空冷却を併用してもよい。食品の真空冷却を図る際、蓋材12を閉じた状態で、内釜真空弁65を開けると共に、減圧手段8を作動させて、内釜2内を減圧すればよい。これにより、食品からの水分蒸発を促し、その気化潜熱で食品の冷却を図ることができる。
第二エアブロー工程では、第一エアブロー工程と同様にして、ジャケット3内に圧縮空気を流通させる。具体的には、下方弁34および排水弁63を閉じた状態で、エア供給弁57、ジャケット圧制御弁31、上方弁35、連絡弁37、連通切替弁44およびエアブロー排出弁53を開ける。これにより、圧縮空気路56からの圧縮空気が、ジャケット3の上部から(しかも流体流路13の両端部から)供給され、連通路41およびエアブロー排出路52を介して排出される。また、特に、第二エアブロー工程では、タンク給蒸弁48を開けておくことで、タンク給蒸路43内に入り込んだ水の排出も図ることができる。
第二エアブロー工程により、ジャケット3内の残留水を排出することができ、次回の給蒸時(加熱工程)におけるウォータハンマを防止することができる。設定ブロー時間、第二エアブロー工程を実行した後、少なくともエア供給弁57を閉じる。
その後、内釜2が真空下にある場合には給気弁80を開けて大気圧まで復圧した状態で、蓋材12を開ければよい。その状態では、内釜2を回転させて開口部を下方へ向けることができるので、内釜2内からの食品の排出を容易に行うことができる。
次に、本実施例の蒸気釜1の変形例1について説明する。
前記実施例では、冷却水は、蒸気や圧縮空気との共通管路59を介してジャケット3内へ供給されたが、これに代えてまたはこれに加えて、冷却水専用の管路を介してジャケット3内へ供給可能とされてもよい。
たとえば、図1において二点鎖線で示すように、ジャケット3の下部には、第二下方口13d(またはこれに接続された連通路41)に第一給水路85が接続される一方、第一上方口13aに第二給水路86が接続されている。そして、第一給水路85には第一給水弁87が設けられる一方、第二給水路86には第二給水弁88が設けられている。なお、内釜2を回転させて開口部を下方へ向けることができるように、第一給水路85および第二給水路86は、不図示の回転継手(ロータリージョイント)を介して、多関節で配管されている。
本変形例1では、第二給水路86は、第一給水路85(および前記実施例における給水用配管としての共通管路59やジャケット供給路30など)よりも大径とされる。それ故、第二給水弁88を開けた際の給水流量は、第一給水弁87(または給水弁62)を開けた際の給水流量よりも大流量とされる。
本変形例1の場合、第一冷却工程では、第一給水弁87、連絡弁37および排水弁63を開けて、ジャケット3の下部から上方へ冷却水を流して、排水路61から排水する。また、第二冷却工程では、第二給水弁88および排水弁63を開けて、ジャケット3内の流体流路13の一端部から他端部へ冷却水を流して、排水路61から排水する。第二冷却工程では、大量の水を流すことで、より迅速に食品を冷却することができる。その他の構成および制御は、前記実施例と同様のため、説明を省略する。
次に、本実施例の蒸気釜1の変形例2について説明する。
図6は、図4に示したジャケット3の変形例を示す概略斜視図であり、流体流路13を形成するための案内板14を取り付けた状態を示している。
前記実施例では、内釜2へのジャケット3の取付状態において、ジャケット3内には、側面視において略放射状に案内板14が設けられ、各案内板14は正面視において左右方向へ沿って設けられた。一方、本変形例2では、図6に示すように、ジャケット3内には、正面視において左右に略等間隔に離隔して案内板14が設けられ、各案内板14は前後へ延出すると共に、側面視において略半円弧状に形成される。
この際、各案内板14は、内釜2の外面とジャケット3の内面との隙間(周側壁2a,3a間の隙間)を埋めるように設けられる。つまり、各案内板14は、内周縁が内釜2の外面(周側壁2a)に当接され、外周縁がジャケット3の内面(周側壁3a)に当接されるよう設けられる。これにより、隣接する案内板14間、または案内板14と側壁3bとの間で、ジャケット3の周方向へ沿った流路が複数形成される。但し、隣接する流路を連通させる連通口14bが、ジャケット3の前後の上部において、前後交互に設けられることで、単一流路として流体流路13が形成される。つまり、図6において、最も左側に配置される案内板14には、前方上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、左から二枚目の案内板14には、後方上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、左から三枚目の案内板14には、前方上部が切り欠かれて連通口14bが形成され、というように、隣接する案内板14で前後交互に連通口14bが形成されている。
このようにして、ジャケット3内には、蛇行する単一流路としての流体流路13が形成され、その流体流路13の両端部には、前記実施例と同様に、第一上方口13aおよび第二上方口13bが設けられる一方、流体流路13の中央部(ジャケット3の下部)には、図示しないが、前記実施例と同様に、第一下方口13cと第二下方口13dとが設けられる。本変形例2のジャケット3も、前記実施例と同様にして内釜2に設けられ、そのようにして構成される蒸気釜1の構成および制御は、前記実施例と同様のため、説明を省略する。
なお、本変形例2の場合も、ドレンの排出を容易に図るために、案内板14の外端辺とジャケット3の内面との間に隙間を設けるか、案内板14の外端部に穴または切欠きを設けるのがよいが(図示省略)、これら隙間、穴または切欠きは、案内板14の内、ジャケット3の底部(最下部付近)と対応した箇所に設けるだけでもよい。