JP7137244B1 - 廃棄物処理設備の排熱回収システム及び排熱回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸性ガス処理後の排ガスから排熱を回収してボイラ給水を予熱する場合であっても、低温腐食を引き起こす恐れなく蒸発量を安定させることが可能な排熱回収システムを提供する。【解決手段】本発明の排熱回収システムは、ごみ焼却炉で発生した排ガスの排熱を利用してボイラ給水を加熱することで蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラで発生した蒸気によって駆動される蒸気タービンと、排熱回収ボイラで排熱が回収された後の排ガスからさらに排熱を回収しボイラ給水を加熱する第一エコノマイザと、第一エコノマイザで排熱が回収された後の排ガスを浄化する排ガス処理設備と、蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮及び脱気して得られたボイラ給水を、排ガス処理設備で浄化された排ガスを用いて予熱して第一エコノマイザに供給する第二エコノマイザと、第二エコノマイザに流入するボイラ給水量を調整することで予熱量を制御する制御装置とを備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、廃棄物処理設備の排熱回収システム及び排熱回収方法に関し、特に、廃棄物を焼却した際に発生する排ガスが保有する排熱を回収して蒸気を発生させるにあたり、発生する蒸気の蒸発量を安定化するための技術に関する。
従来、廃棄物の焼却炉から排出される排ガスから排熱を回収するに際し、焼却炉と一体または別体とした排熱回収ボイラに配設された伝熱管で排熱を回収する。伝熱管で排熱を回収したボイラ給水は蒸気となり、排熱回収ボイラで発生した蒸気は発電機に連接された蒸気タービンを回転させるための動力となる。排熱回収ボイラで排熱を回収された排ガスは、エコノマイザにおいて排熱回収ボイラに供給されるボイラ給水の加熱の用に供されたのち、冷却水を噴霧する型式の減温塔で冷却され、さらに、ばいじんや塩化水素、硫黄酸化物等の有害物質を除去され、煙突から排出される。
このような排熱回収システムにおいて、排ガスが有する排熱をできるだけ多く回収することは、システムの熱効率を向上させるために重要なことである。
より多くの排熱を回収するために、排ガスに冷却水を噴霧する型式の減温塔を廃し、エコノマイザ出口排ガス温度が160℃程度となるまで排熱を回収することが行われている。このようにすることで、排熱を無駄にすることなく排熱回収ボイラに供給されるボイラ給水の給水温度を高くすることができ、蒸気の蒸発量を増加させることができる。
排ガスが有する排熱を効率的に回収するための技術としては、特許文献1や特許文献2に示されるような、エコノマイザへ供給するボイラ給水を予熱する給水加熱器を、排ガス処理した後の排ガスが流通する排ガス煙道に設置する技術が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、排ガス処理を行った後の排ガスから排熱を回収する技術は、特許文献3にも開示されている(特許文献3)。
特開2011-237048号公報 特開2013-204972号公報 特開平8-128601号公報
特許文献1に開示された技術によると、ボイラの下流に配置された通常のエコノマイザに加え、酸性ガス処理後の排ガス煙道に独立エコノマイザを設置することで排熱の回収を行う。その際、蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮して得られた復水が独立エコノマイザに供給される前に蒸気タービンの抽気蒸気で低温腐食を引き起こさない温度以上となるよう加熱されるが、復水を加熱するための熱交換器及び加熱量制御のための制御装置が必要となるため構成が複雑になるという課題があった。また、独立エコノマイザには溶存酸素が含まれた加熱復水が供給されることになり、熱交換器及び独立エコノマイザに腐食を考慮した材質が必要となるという課題があった。
つまり、エコノマイザ等の伝熱管を用いて焼却炉の排ガスから排熱を回収する際には、排ガス中の酸性ガス(塩化水素や硫黄酸化物等)による低温腐食を避けるため、エコノマイザ入口における給水温度を低温腐食が発生しない程度まで上昇させる必要がある。そのため、引用文献1においては、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いて独立エコノマイザに流入する給水を加熱しているが、そのための熱交換器が余計に必要になるとともに、加熱量制御のために抽気量を制御するためシステム全体の熱バランスが崩れやすく、複雑かつ精密な制御のロジックが必要となる。
一方、特許文献2に開示された技術は、エコノマイザの下流において排ガス処理装置により酸性ガスを処理したのち、排ガス系統に設置した給水加熱器に供給して排ガスから排熱の回収を行うものである。ここで、引用文献2に開示された給水加熱器は排ガスの潜熱まで回収するものであるが、煙突内における酸露点腐食や水蒸気凝縮を防止するために排ガスの一部をバイパスする排出ガス迂回ラインが設けられており、迂回する排ガス流量が制御される。さらに、給水加熱器を経由した給水は脱気器に供給されるが、給水加熱器の出口温度がエコノマイザ給水温度(140℃)以下となるよう給水加熱器に供給される抽気蒸気量が制御される。つまり、抽気蒸気量の制御及び排ガスバイパス量の制御という二段の温度制御が必要となり、システムが複雑化するという課題があった。
また、特許文献3に開示された技術によると、塩素濃度の高い排ガスと塩素濃度の低い排ガスに排ガスを分離し、塩素濃度の高い排ガスは集じん器で集じんされ湿式のガス処理器で有害物質が除去されたあと、塩素濃度の低い排ガスと合流し、脱硝器で脱硝されたのちの排ガスで給水加熱器を加熱するものであるが、塩素濃度の低い排ガスにも塩化水素は含まれるため、排ガス中の水分量によっては塩酸露点が60℃となることもあり、腐食領域に入る可能性はぬぐいきれない。
このように、酸性ガス処理後の排ガスから排熱を回収してボイラ給水を予熱する技術を用いた場合、複雑な構成や制御が必要となるため、変動が起こると蒸発量が安定せず、発電量が不安定になりやすいといった問題が生じる。また、必要とされる蒸発量や発電量に応じて排ガスからの収熱量を変動させた際、低温腐食を引き起こす領域に入ってしまう恐れがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、酸性ガス処理後の排ガスから排熱を回収してボイラ給水を予熱する場合であっても、低温腐食を引き起こす恐れなく蒸発量を安定させることが可能な廃棄物処理設備の排熱回収システム及び排熱回収方法を提供することを目的とする。
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
第1の特徴に係る発明は、ごみ焼却炉で発生した排ガスの排熱を利用してボイラ給水を加熱することで蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラで発生した蒸気によって駆動される蒸気タービンと、排熱回収ボイラで排熱が回収された後の排ガスからさらに排熱を回収しボイラ給水を加熱する第一エコノマイザと、第一エコノマイザで排熱が回収された後の排ガスを浄化するために、煤塵及び有害成分をろ過するろ布を備えたバグフィルタ、及び、バグフィルタにアルカリ薬剤を供給する薬剤供給装置によって構成される排ガス処理設備と、蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮及び脱気して得られたボイラ給水を、排ガス処理設備で浄化された排ガスを用いて予熱して第一エコノマイザに供給する第二エコノマイザと、第二エコノマイザに流入するボイラ給水量を調整することで予熱量を制御する制御装置とを備えた、廃棄物処理設備の排熱回収システムを提供する。
第1の特徴に係る発明によれば、エコノマイザをばいじんや酸性ガスを含む高温領域の第一エコノマイザとばいじんや酸性ガス除去後の低温領域の第二エコノマイザに分けて排熱回収を行うため、高温領域のエコノマイザで低温領域になるまで排熱を回収する必要がなく、第一エコノマイザにおける排ガス温度を高く保持することができ、第一エコノマイザの伝熱面積が過大となることがない。そして、低温領域において第二エコノマイザで排熱回収を行うため、効率的に排熱を回収することができる。
また、脱気して得られたボイラ給水を第二エコノマイザで加熱するため、ボイラ給水中に溶存酸素はなく、第二エコノマイザは腐食を考慮した特別な材質で製造する必要がない。
そして、第二エコノマイザによるボイラ給水の予熱量制御をボイラ給水量の調整により行うため、抽気量の制御や排ガスバイパス量の調整は必要なく、熱バランスが取りやすく制御系統がシンプルとなる。そして、流量調整されるのが溶存酸素が除去された脱気後のボイラ給水であるため、第二エコノマイザ5における収熱量が変動し温度が変動したとしても、溶存酸素による管内腐食を引き起こすことなく運転を継続することができる。
さらに、第二エコノマイザにおいては、煤塵及び有害成分をろ過するろ布を備えたバグフィルタ、及び、バグフィルタにアルカリ薬剤を供給する薬剤供給装置によって構成される排ガス処理設備で浄化された後の排ガスでボイラ給水が加熱されるため、伝熱管へのばいじんの付着や低温腐食の恐れなく、伝熱効率に優れたフィン付き管を使用して効率の高い熱回収システムを構築することができる。そして、腐食を心配することなく、ボイラ給水量を調整することによりボイラ給水の予熱量を変動させることができる。これにより、安定した蒸発量または発電量を維持することができる。
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、制御装置は第二エコノマイザ出口におけるボイラ給水温度が140℃以上となるようボイラ給水量を制御する。
第2の特徴に係る発明によれば、第二エコノマイザにおいて出口給水温度の下限を140℃としてボイラ給水の加熱量を制御するため、第一エコノマイザには140℃以上のボイラ給水が供給される。そのため、酸性ガスを処理していなくても第一エコノマイザにおける低温腐食を防止することができる。
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、第一エコノマイザは排ガス温度が200℃となるまで排熱を回収する。
第3の特徴に係る発明によれば、排ガス温度が200℃となるまで排熱を回収するため、第一エコノマイザにおける排ガス温度の下限は200℃となる。このため、第一エコノマイザの伝熱面積は過大にならない。
第4の特徴に係る発明は、第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であって、排ガス処理設備において塩化水素及び硫黄酸化物濃度が10ppmを下回るよう有害物質を除去されるとともに、第二エコノマイザに供給されるボイラ給水の飽和温度が110℃以上となるよう給水圧力が設定される。
第4の特徴に係る発明によれば、硫黄酸化物濃度が10ppmを下回るよう低減されていることから硫酸露点が110℃未満まで低下しており、しかも、第二エコノマイザに供給されるボイラ給水の飽和温度が110℃以上となるよう給水圧力が設定されているため、第二エコノマイザにおいて排ガス温度が酸露点を下回ることがなく、低温腐食の恐れはなくなる。
第5の特徴に係る発明は、第1から第4のいずれかの特徴に係る発明であって、第二エコノマイザへのボイラ給水をバイパスするバイパス流路を備え、制御装置は、バイパス流路を流れるボイラ給水の流量を調整することにより、第二エコノマイザへのボイラ給水量を調整する。
第5の特徴に係る発明によれば、第二エコノマイザによるボイラ給水の予熱量制御を、第二エコノマイザをバイパスするボイラ給水の流量を調整することにより行うため、他の熱交換器を使用せずとも予熱量を制御することが可能であるとともに、排ガスをバイパスさせる大がかりな煙道も不要でありシステムを簡素に保持しつつも、応答性に優れ、しかも低温腐食の恐れなく蒸発量または発電量を制御することができる。
第6の特徴に係る発明は、第5の特徴に係る発明であって、排熱回収ボイラから発生した蒸気の蒸発量が所定の値となるよう、バイパス流路を流れるボイラ給水の流量を調整する。
第6の特徴に係る発明によれば、蒸発量に基づいて第二エコノマイザへ供給するボイラ給水の給水量を調整することができ、安定した蒸発量または発電量を維持することができる。
本発明によれば、酸性ガス処理後の排ガスから排熱を回収してボイラ給水を予熱する場合であっても、低温腐食を引き起こす恐れなく蒸発量を安定させることが可能な廃棄物処理設備の排熱回収システム及び排熱回収方法を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る排熱回収システムを用いた廃棄物処理設備の概略系統図である。 図2は、本実施形態に係る排熱回収システムを用いた排熱回収方法のフロー図である。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
[廃棄物処理設備の排熱回収システムの構成]
図1を用いて、本実施形態に係る廃棄物処理設備の排熱回収システムの構成を説明する。
図1は、本実施形態にかかる排熱回収システムを用いた廃棄物処理設備の概略系統図を示したものであり、当該廃棄物処理設備は、ごみ焼却炉1と、排熱回収ボイラ2と、第一エコノマイザ3と、排ガス処理設備4と、第二エコノマイザ5と、誘引通風機6と、煙突7と、蒸気タービン8と、発電機9と、復水器10と、復水タンク11と、脱気器給水ポンプ11aと、脱気器12と、ボイラ給水ポンプ12aと、制御装置13とによって構成される。
ごみ焼却炉1は、不定形の一般廃棄物や、産業廃棄物や、所定の形状を呈する梱包に入れられた感染性医療廃棄物等の廃棄物を焼却処理するものであり、ストーカ式、流動層式、竪型等、任意の形式の焼却炉が用いられる。
排熱回収ボイラ2は、ごみ焼却炉1で廃棄物を焼却処理した際に発生する高温の排ガスから排熱を回収しボイラ給水を加熱することで蒸気を発生させるものである。排熱回収ボイラ2は、ボイラ給水が流通する伝熱管を組み合わせることによって壁を形成した伝熱管壁2a、伝熱管壁2a内でボイラ給水が加熱されることで発生した蒸気を汽水分離する蒸気ドラム2b、蒸気をさらに過熱する過熱器2c、及び、排熱回収ボイラ2から発生する蒸気の蒸発量を検出する蒸発量検出手段2dなどによって構成されるが、形式はそれに限られるものではない。
第一エコノマイザ3は、排熱回収ボイラ2で排熱が回収された後の排ガスからさらに排熱を回収しボイラ給水を加熱するものであり、多数の伝熱管によって構成される。
排ガス処理設備4は、第一エコノマイザ3で減温された排ガスをろ過することで、排ガス中に含まれる煤塵や有害成分を除去するものであって、煤塵や有害成分をろ過するためのろ布を備えたバグフィルタによって形成される。バグフィルタ入口における排ガス煙道には、バグフィルタに薬剤を吹き込むための薬剤供給装置4aが配設される。薬剤供給装置4aから供給されるアルカリ薬剤が、バグフィルタ4のろ布上において排ガス中の酸性成分と中和反応を起こすことにより、排ガスの浄化が行われる。
本実施形態においては、薬剤供給装置4aから供給されるアルカリ薬剤としてナトリウム系薬剤が使用される。
そして、本実施形態においては、薬剤供給装置4aから排ガス煙道を介してバグフィルタ4内にアルカリ薬剤を所定時間にわたって供給することで、バグフィルタ4のろ布の表面に所定厚さの薬剤及び吸着剤のプレコート層を形成するプレコート処理を行っている。
第二エコノマイザ5は、第一エコノマイザ3で減温され排ガス処理設備4で浄化された後の排ガスを用いてボイラ給水を予熱し、第一エコノマイザ3に供給するものであり、多数の伝熱管によって構成される。第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水は、後述する蒸気タービン8から排出される排気蒸気を復水器10で凝縮し、脱気器12で脱気して得られたものを用いる。
第二エコノマイザ5に使用される伝熱管は、伝熱効率に優れたフィン付き管を使用することができる。フィン付き管を使用することで、小さな設置面積であっても効率よく排熱を回収することができる。
第二エコノマイザ5には、第二エコノマイザ5へのボイラ給水をバイパスする第二エコノマイザバイパス流路5aが併設されており、第二エコノマイザバイパス流路5aには、バイパスするボイラ給水の流量を調整するバイパス弁5bが備えられている。バイパス弁5bの開度を調整することにより第二エコノマイザ5へ流入するボイラ給水の流量を調整することができる。
誘引通風機6は、第二エコノマイザ5の下流に配設される通風機であり、第二エコノマイザ5で排熱が回収された排ガスを吸引して、煙突7から排ガスを大気に放出するためのものである。
蒸気タービン8は、排熱回収ボイラ2で生成された高温高圧の蒸気によって回転駆動するものであり、蒸気タービン8の駆動に伴い、蒸気タービン8と同軸に連結された発電機9が駆動する。
復水器10は蒸気タービン8から排出される排気蒸気を凝縮して復水とするものである。復水器10で凝縮された復水は復水タンク11に貯留される。
脱気器12は、復水タンク11から脱気器給水ポンプ11aを介して供給された復水を脱気して、復水に含まれる溶存酸素などの気体を除去するものである。脱気器12の原理は、復水を加熱して飽和水とすることで復水に溶解している酸素等を除去するものであるが、復水を加熱するための加熱源として蒸気タービン8からの抽気蒸気が使用される。脱気器12で脱気して得られたボイラ給水がボイラ給水ポンプ12aによって第二エコノマイザ5に圧送される。
本実施形態においては、脱気器12内の圧力は150kPaに設定される。このとき、脱気器12から第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水の飽和温度は110℃となる。
制御装置13は、各種計測機器で計測された物理量に基づいて、システムの各部を制御するものである。本実施形態においては、第二エコノマイザ5に流入するボイラ給水の流量を調整することで、第二エコノマイザ5における予熱量を、ひいては、排熱回収ボイラ2で発生する蒸気の蒸発量を制御する。
〔排熱回収システムを用いた排熱回収方法〕
次に、図2を用いて、本実施形態にかかる排熱回収システムを用いた排熱回収方法について説明する。
図2においては、ごみ焼却炉1は定常運転をしている際の手順について説明する。
〔ステップS100:蒸気の生成〕
ごみ焼却炉1において廃棄物を焼却することで、高温の排ガスが生成される。ごみ焼却炉1で生成された高温の排ガスから排熱回収ボイラ2において排熱が回収されてボイラ給水を加熱し、高温高圧の蒸気を生成する(ステップS100)。排熱回収ボイラ2で生成された蒸気は、蒸気ドラム2bで汽水分離され、必要に応じて過熱器2cで過熱されたのち、蒸気タービン8に送出される。
〔ステップS110:蒸気タービンの駆動〕
次に、ステップS100で生成された蒸気は蒸気タービン8に送出され、蒸気タービン8を駆動する(ステップS110)。ここで、蒸気タービン8は発電機9と同軸で連結されており、蒸気タービン8の回転に伴って発電機9を回転せしめ、電力を発生させる。
蒸気タービン8を駆動した後、蒸気タービン8から排出された排気蒸気は復水器10で凝縮されて復水となり復水タンク11に貯留される。
また、蒸気タービン8に供給された蒸気の一部は抽気蒸気として脱気器12に送出され、脱気器12における加熱源及び圧力調整の用に供される。
そして、復水タンク11に貯留された復水は脱気器給水ポンプ11aの動作により脱気器12に圧送され、抽気蒸気によって加熱されて溶存酸素等の気体成分が分離されるとともに圧力の調整がなされてボイラ給水として使用される。なお、本実施形態においては、脱気器12における圧力は150kPaに設定され、このときの脱気器12から第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水の飽和温度は110℃となる。
〔ステップS120:第一エコノマイザにおける排熱回収〕
ステップS100において排熱回収ボイラ2で排熱が回収された後の排ガスは、第一エコノマイザ3において、排ガス温度が200℃となるまで排熱が回収されボイラ給水を加熱する(ステップS120)。
第一エコノマイザ3においては排ガス温度が200℃となるまで排熱回収が行われる。近年においてはエコノマイザにおいて排ガス温度が160~180℃となるまで排熱回収を行うものもあるが、排熱回収ボイラ直下のエコノマイザにおいては未処理の排ガスが流通するため酸性ガス濃度が高く、低温腐食を引き起こす恐れがある。また、出口排ガス温度を低く設定するとエコノマイザにおける伝熱面積が過大となって設置面積が増大する。
第一エコノマイザ3で加熱されたボイラ給水は排熱回収ボイラ2、好ましくは排熱回収ボイラ2を構成する蒸気ドラム2bに供給され、排熱回収ボイラ2で生成された汽水混合物と混合し汽水分離されたのち、ステップS100にしたがって排熱回収ボイラ2において排ガスによって加熱される。
〔ステップS130:排ガスの浄化〕
ステップS120において第一エコノマイザ3で排熱を回収された後の排ガスは、排ガス処理設備4で浄化される(ステップS130)。
本実施形態においては、排ガス処理設備4として、ナトリウム系薬剤(例えば微粉砕した炭酸水素ナトリウムや多孔質の炭酸ナトリウム)を所定時間にわたって供給することでろ布の表面にナトリウム系薬剤の反応層を形成するプレコート式バグフィルタが採用される。
ナトリウム系薬剤を中和剤として使用することにより、排ガス温度が200℃と比較的高い領域であっても、塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスを効率的に中和することができる。
また、排ガス処理設備4としてプレコート式バグフィルタを用いることで、排ガス中に含まれる酸性ガスはプレコートされた反応層によって中和され、生成された塩がろ布に捕捉される。また、排ガス中に含まれるばいじんも同様に、ろ布に捕捉される。プレコート式バグフィルタを用いることにより、薬剤と酸性成分との反応率を向上させることができるため、少ない薬剤の使用量で十分な反応を得ることができるとともに、ろ布の払落しを行った後にバグフィルタから排出されるダストの量を低減することができる。
なお、排ガス処理設備4の形式はプレコート式バグフィルタに限ったものではない。バグフィルタ入口においてナトリウム系薬剤を吹き込む形式のものであっても良い。
このように、ナトリウム系薬剤やそれを用いたプレコート式バグフィルタによる排ガスの浄化により、塩化水素及び硫黄酸化物濃度が10ppm以下にまで低減される。
〔ステップS140:第二エコノマイザにおけるボイラ給水の予熱〕
ステップS130において浄化された排ガスは、第二エコノマイザ5においてさらに排熱を回収され、ボイラ給水を予熱する(ステップS140)。
ここで第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水は、復水器10で凝縮され脱気器12で溶存酸素が除去されて得られたボイラ給水である。また、第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水の飽和温度は、脱気器12における圧力が150kPaに設定されていることから110℃以上となる。つまり、第二エコノマイザ5には、110℃以上の飽和水がボイラ給水として供給される。
このとき、ステップS130において硫黄酸化物濃度が10ppm以下まで低減されているため、硫酸露点は110℃未満まで低下している。そして、第二エコノマイザ5入口におけるボイラ給水温度が110℃以上であることから、排ガス温度は酸露点を下回ることがなく、酸露点を下回ることによる低温腐食の心配はない。
〔ステップS150:第二エコノマイザにおける予熱量の調整〕
ステップS140において第二エコノマイザ5に流入したボイラ給水は、第一エコノマイザ5出口において140℃以上まで昇温されるよう予熱量が制御される(ステップS150)。
ステップS150における予熱量の制御は、第二エコノマイザ5に流入するボイラ給水の給水量を調整することによって行われる。具体的には、脱気器12と第二エコノマイザ5との間に設けられたボイラ給水ポンプ12aによって給水量を調整することによって行われる。または、第二エコノマイザバイパス流路5aに設けられたバイパス弁5bの開度を調整して第二エコノマイザ5に流入するボイラ給水の流量を調整することによって行われる。
第二エコノマイザ5出口におけるボイラ給水温度が140℃以上となるということはつまり、第一エコノマイザ3に流入するボイラ給水温度が140℃以上になるということである。第一エコノマイザ3に流入するボイラ給水温度が140℃以上になるため、第一エコノマイザ3における排ガス温度が目標としている200℃よりも下がることがない。
また、予熱量の制御を行うにあたって、ボイラ給水の給水量を制御するだけであるため、制御の系統が簡素化され、熱バランスも崩れにくい。特に、蒸気タービン8からの抽気量を変動させる必要もないため、抽気量の制御や排ガスバイパスは必要なく、熱バランスが取りやすく制御系統がシンプルとなる。しかも、排ガスをバイパスするものと比して応答時間が早く、設備も大掛かりにならない。そして、流量調整されるのが溶存酸素が除去された脱気後のボイラ給水であるため、第二エコノマイザ5における収熱量が変動し温度が変動したとしても、溶存酸素による管内腐食を引き起こすことなく運転を継続することができる。
また、予熱量の制御を行うにあたって、蒸発量検出手段2dで検出される蒸発量が所定値となるように、バイパス弁5bの開度を調整して第二エコノマイザバイパス流路5aに流れるボイラ給水の流量を調整するようにしてもよい。このようにすることで、蒸発量に基づいて第二エコノマイザ5へ供給するボイラ給水の給水量を調整することができ、安定した蒸発量または発電量を維持することができる。
以上、まとめると、本発明の効果は以下の通りとなる。
エコノマイザをばいじんや酸性ガスを高濃度で含む高温領域の第一エコノマイザ3とばいじんや酸性ガスを処理後の低温領域の第二エコノマイザ5に分けて排熱回収を行うため、高温領域のエコノマイザで低温領域になるまで排熱を回収する必要がなく、第一エコノマイザ3における排ガス温度を高く保持することができ、低温腐食を抑制することができる。そして、低温領域において第二エコノマイザ5で排熱回収を行うため、効率的に排熱を回収することができる。
また、脱気して得られたボイラ給水を第二エコノマイザ5で加熱するため、ボイラ給水中に溶存酸素はなく、第二エコノマイザ5は腐食を考慮した特別な材質で製造する必要がない。
そして、第二エコノマイザ5によるボイラ給水の予熱量制御を第二エコノマイザ5を通過するボイラ給水量の調整により行うため、抽気量の制御や排ガスバイパス量の調整は必要なく、熱バランスが取りやすく制御系統がシンプルとなる。そして、流量調整されるのが溶存酸素が除去された脱気後のボイラ給水であるため、第二エコノマイザ5における収熱量が変動し温度が変動したとしても、溶存酸素による管内腐食を引き起こすことなく運転を継続することができる。
さらに、第二エコノマイザ5においては排ガス処理設備で浄化された後の排ガスでボイラ給水が加熱されるため、伝熱管へのばいじんの付着や低温腐食の恐れなく、伝熱効率に優れたフィン付き管を使用して効率の高い熱回収システムを構築することができる。そして、腐食を心配することなく、ボイラ給水量を調整することによりボイラ給水の予熱量を変動させることができる。これにより、安定した蒸発量または発電量を維持することができる。
第二エコノマイザ5における出口給水温度の下限を140℃としてボイラ給水の予熱量を制御するため、第一エコノマイザ3には140℃以上のボイラ給水が供給される。そのため、酸性ガスを処理していなくても第一エコノマイザ3における低温腐食を防止することができる。
第一エコノマイザ3において排ガス温度が200℃となるまで排熱を回収するため、第一エコノマイザ3における排ガス温度の下限は200℃となる。このため、第一エコノマイザ3の伝熱面積は過大にならない。
排ガス処理設備4において、硫黄酸化物濃度が10ppmを下回るよう浄化されていることから硫酸露点が110℃未満まで低下しており、しかも、第二エコノマイザ5に供給されるボイラ給水の飽和温度が110℃以上となるよう給水圧力が設定されているため、第二エコノマイザ5において排ガス温度が酸露点を下回ることがなく、低温腐食の恐れはなくなる。
第二エコノマイザ5によるボイラ給水の予熱量制御を、第二エコノマイザ5をバイパスするボイラ給水の流量を調整することにより行うため、他の熱交換器を使用せずとも予熱量を制御することが可能であるとともに、排ガスをバイパスさせる煙道も不要でありシステムを簡素に保持しつつも、低温腐食の恐れなく蒸発量または発電量を制御することができる。
排熱回収ボイラ2から発生した蒸気の蒸発量が所定の値となるよう、第二エコノマイザバイパス流路5bを流れるボイラ給水の流量を調整するため、蒸発量に基づいて第二エコノマイザ5へ供給するボイラ給水の給水量を調整することができ、安定した蒸発量または発電量を維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
例えば、排熱回収ボイラ2はごみ焼却炉1と別体のものである必要はなく、ごみ焼却炉1の炉壁を水管で構成してボイラ構造とした焼却炉・ボイラ一体型のものも本願発明に含み得る。
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
この発明の排熱回収システム及び排熱回収方法は、種々の廃棄物を焼却処理する廃棄物焼却処理設備全般に適用することができる。
1 ごみ焼却炉
2 排熱回収ボイラ
3 第一エコノマイザ
4 排ガス処理設備
4a 薬剤供給装置
5 第二エコノマイザ
5a 第二エコノマイザバイパス流路
5b バイパス弁
6 誘引通風機
7 煙突
8 蒸気タービン
9 発電機
10 復水器
11 復水タンク
11a 脱気器給水ポンプ
12 脱気器
12a ボイラ給水ポンプ
13 制御装置

Claims (7)

  1. ごみ焼却炉で発生した排ガスの排熱を利用してボイラ給水を加熱することで蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラで発生した蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
    前記排熱回収ボイラで排熱が回収された後の排ガスからさらに排熱を回収しボイラ給水を加熱する第一エコノマイザと、
    前記第一エコノマイザで排熱が回収された後の排ガスを浄化するために、煤塵及び有害成分をろ過するろ布を備えたバグフィルタ、及び、前記バグフィルタにアルカリ薬剤を供給する薬剤供給装置によって構成される排ガス処理設備と、
    前記蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮及び脱気して得られたボイラ給水を、前記排ガス処理設備で浄化された排ガスを用いて予熱して前記第一エコノマイザに供給する第二エコノマイザと、
    前記第二エコノマイザに流入するボイラ給水量を調整することで予熱量を制御する制御装置とを備えた、
    廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  2. 前記制御装置は前記第二エコノマイザ出口におけるボイラ給水温度が140℃以上となるようボイラ給水量を制御する、
    請求項1に記載の廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  3. 前記第一エコノマイザは排ガス温度が200℃となるまで排熱を回収する、
    請求項1または2に記載の廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  4. 前記排ガス処理設備において塩化水素及び硫黄酸化物濃度が10ppmを下回るよう有害物質を除去されるとともに、
    前記第二エコノマイザに供給されるボイラ給水の飽和温度が110℃以上となるよう給水圧力が設定される、
    請求項1~3のいずれかに記載の廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  5. 前記第二エコノマイザへのボイラ給水をバイパスするバイパス流路を備え、
    前記制御装置は、前記バイパス流路を流れるボイラ給水の流量を調整することにより、前記第二エコノマイザへのボイラ給水量を調整する、
    請求項1~4のいずれかに記載の廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  6. 前記排熱回収ボイラから発生した蒸気の蒸発量が所定の値となるよう、前記バイパス流路を流れるボイラ給水の流量を調整する、
    請求項5に記載の廃棄物処理設備の排熱回収システム。
  7. ごみ焼却炉で発生した排ガスの排熱を利用してボイラ給水を加熱することで蒸気を発生させるステップ、
    前記発生した蒸気によって蒸気タービンを駆動するステップ、
    前記蒸気を発生させるステップで排熱が回収された後の排ガスからさらに排熱を回収しボイラ給水を加熱するステップ、
    前記ボイラ給水を加熱するステップで排熱が回収された後の排ガスを、アルカリ薬剤が供給されたバグフィルタのろ布上において浄化するステップ、
    前記蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮及び脱気して得られたボイラ給水を、前記浄化された排ガスを用いて予熱するステップ、
    前記蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮して脱気して得られたボイラ給水のボイラ給水量を調整することで予熱量を制御するステップ、
    を備えた、廃棄物処理設備の排熱回収方法。
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