JP7135755B2 - コークス炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉の操業方法、特にコークス炉炭化室内に付着するカーボンを燃焼除去する方法およびコークス炉炭化室内に付着するカーボンの成長量を制御することを含む方法、に関するものである。
コークス炉炭化室では、乾留生成ガスの熱分解によって生ずるカーボン、および石炭装入時に飛散する微粉炭が炉壁に固着、コークス化することにより付着カーボン(炉壁カーボン、炉壁付着カーボンと称することもある)が生ずる。この炉壁付着カーボンは、炉壁面上で成長するに従い、炉壁の熱伝導率を下げ、炭化室の有効容積を減少させるために、炉の生産性を低下させ、さらにはコークス押出しを不可能とならしめる、いわゆる押詰りの原因となるもので、定期的な除去作業が必要である。
この炭化室付着カーボンの除去方法としては、以下に述べる方法がよく知られている。
(a)先端の尖った、長さ4~5mのやり状の治具を用い、人力で突き落とす。
(b)コークス押出し用の炉蓋のうち一方、もしくは両方およびガス上昇管を開放し、自然ドラフトにより炉蓋部から空気を炭化室に導入する。
しかしながら、(a)のような機械的作用による除去方法では、カーボン層が炉壁から完全に剥離してしまうので、カーボンによる目地部のシール機能が損なわれるという欠点に加えて、3~4人の作業者が15分以上の時間を掛けて行うものであることから、高熱・粉塵等、悪環境下での重労働を余儀なくされ、好ましくない。また、(b)の方法では空気導入部近傍の炉壁が、初期にカーボンが焼却除去された後も冷空気が該部を通過することになり、局部的に過大な冷却を受け、炉体レンガのスポーリングによる損傷や、目地開き等の悪影響を生ずる上、燃焼に利用される酸素は炭化室に入るもののうち数分の1程度であって、大半の空気は燃焼に関与することなく炉外に排出されるため、カーボンの燃焼量を大きくすることができない。このため、カーボン除去作業に長大な時間を要し、生産の阻害を生じる。
特許文献1では、コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する方法において、該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%) をあらかじめ把握しておき、該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%) より低いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間を短縮、X(%) より高いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間を延長する炭化室内カーボンの付着量を制御する手法を提唱している。(以後、排ガスCO2 濃度に関する制御と称する。)この排ガスCO2 濃度に関する制御によれば、該燃焼排ガスのCO2 濃度の増減に応じてカーボン焼却時の気体吹込み時間を増減させることで、コークス炉炭化室内に付着成長するカーボンの焼却を適正に制御することができ、炭化室壁面の平滑化が可能であり、押出抵抗の低減が可能となる、と記載されている。
特開2007-70527号公報 特開2002-173683号公報
排ガスCO2 濃度に関する制御は、押出抵抗を低減する点で一定の効果を奏するものの、押出抵抗が十分に低減できない場合があった。これは、炉壁カーボンの付着量の増減に対して、焼却量の増減が追従できなかったためと考えられる。つまり、石炭を装入してコークスに乾留する際にコークス炉炭化室(炉壁)に付着し成長するカーボンの量(カーボン成長量と称することがある)に対して、排ガスCO2 濃度に関する制御によるカーボン焼却量は相対的に小さく、カーボン成長量の変動が著しく大きい場合に、カーボン焼却時の気体吹込み時間や吹込み量の増減では炉壁カーボン量を十分に低減できないことがある。排ガスCO2 濃度に関する制御では、燃焼排ガス中のCO2 濃度を炉壁カーボン付着量の指標として用いているが、例えば、その後に装入し乾留して製造されるカーボン成長量が著しく大きくなった場合、その著しく大きいカーボン成長量まで焼却することは想定していない。そのため、次に炉壁カーボンを焼却させたときに、押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)に対して、実際のCO2 濃度が乖離することがあり、十分に炉壁カーボンを焼却できていないことが考えられる。
本発明は、上記した排ガスCO2 濃度に関する制御の問題点を解決し、レンガ目地部のシール機能を損なうことなく、スポーリング等の損傷を生じさせず、また悪環境下での作業や生産性の阻害を生じることなく、レンガ欠損等のある炉壁においても、より確実に押出抵抗を低減させる、コークス炉の操業方法を提供するものである。
上記の課題を解決するためになされた本発明により以下の態様が提供される。
[1]
コークス炉の操業方法であって、
前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
該炭化室内に付着するカーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際のカーボン焼却量とバランスするように該装入物条件および/または該コークス炉温を調整すること、
を含む、コークス炉の操業方法。
[2]
コークス炉の操業方法であって、
前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
該炭化室内に付着するカーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際のカーボン焼却量とバランスするように該装入物の粒径0.3mm以下の比率[vol%]、水分[wt%]、揮発分[wt%]の少なくとも一つおよび/または該コークス炉温を調整すること、
を含む、コークス炉の操業方法。
[3]
コークス炉の操業方法であって、
前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降カーボン焼却時の気体吹込み時間および/またはカーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
該炭化室内に付着するカーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際のカーボン焼却量とバランスするように該装入物の粒径0.3mm以下の比率[vol%]、水分[wt%]、揮発分[wt%]の少なくとも一つおよび/または該コークス炉温を調整すること、に加えて、
該燃焼排ガスのCO2 濃度がX-1(%)より低い場合にはコークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去することを停止すること、
を含む、コークス炉の操業方法。
本発明によれば、排ガスCO2 濃度に関する制御によってコークス炉炭化室内に付着成長したカーボン(炉壁カーボン)の焼却を概ね適正に制御することができる。加えて、本発明によれば、コークス炉炭化室内に付着成長するカーボンの成長を適正に制御することにより、排ガスCO2 濃度に関する制御によるカーボン焼却量に対して、コークス炉炭化室(炉壁)に付着成長するカーボンの量(カーボン成長量)が大きく変動することがない。その結果、本発明によれば、従来の排ガスCO2 濃度に関する制御のみの場合に比べてより高い精度で、凹部の存在する炭化室壁面においてもその平滑化が可能であり、押出抵抗の低減を可能にするものである。この場合、レンガ目地部のシール性を損なうことがないので、発生ガスのリークや炭化室壁の脆弱化等を回避しつつ押出抵抗を低減させることが、従来の排ガスCO2 濃度に関する制御のみの場合よりも高い精度で可能である。
図1は、これまでの操業記録に基づいて、燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関を示した図である。 図2は、或るコークス炉における、炉壁カーボン成長量および焼却カーボン量を示した図である。 図3は、本発明の実施態様に用いるコークス炉炭化室の断面模式図である。 図4は、本発明の適用前後での、カーボン成長速度および排ガスCO2濃度を示した図である。 図5は、本発明適用前から適用後にかけての月別の押詰発生数の推移を示した図である。
コークス炉炭化室内に付着成長するカーボン(炉壁カーボン)は、過大に成長していわゆるコブ状となれば押出抵抗を増大させるものであるし、逆に過度に焼却すればレンガ目地部のシール機能を損なうだけでなく、壁面の凹凸が露出することによって押出抵抗を増大させることになりかねない。従って、カーボン付着量を適正に制御しつつ、適度に燃焼除去することが重要である。
コークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する方法において、燃焼排ガス中のCO2 濃度は、単にカーボンの付着量の指標ではなく、炭化室壁面に付着したカーボンの平滑度を表す指標であると考えられる。炉壁凹みの著しい炭化室においては、凹み部のカーボンが優先して成長していく。これは、凹み部の炉壁は熱伝導度が高いため温度が最も高く、また押出し作業時にカーボンが剥離される可能性が低いためである。これら凹み部に成長したカーボンは噴射された気体によって燃焼される効率が低いため、多量に付着していてもCO2 濃度上昇にはあまり寄与しない。ところが、炉壁の平滑な部位に成長するいわゆるコブ状のカーボンは、少量であっても噴射された気体によって燃焼される効率が高いためCO2 濃度を著しく上昇させる。燃焼排ガス中のCO2 濃度を測定することによって、これら炭化室壁の平滑度を推定することが可能であることから、排ガスCO2 濃度に関する制御が着想された。
排ガスCO2 濃度に関する制御の一態様について説明する。図1に示すように、これまでの操業記録に基づいて、燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握することができる。これにより、燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より高ければカーボン付着量が過大であると判断でき、気体噴射時間を延長するまたは単位時間当り気体噴射量を増大させることによってカーボン焼却量を増大させれば良いし、燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低ければカーボン付着量が過少であると判断でき、気体噴射時間を短縮するまたは単位時間当り気体噴射量を減少させることによってカーボン焼却量を低減させれば良い。
なお、該燃焼排ガスのCO2 濃度がX-1(%)より低い場合にはコークス炉の炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去することを停止してもよい。CO2 濃度がX-1(%)未満のように著しく低い場合は、カーボン付着量が著しく少ないかまたは存在しないことが考えられる。そのような場合に、炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射するのは、かえって炉壁を損傷するおそれがあるためである。噴射を停止することにより、そのような炉壁損傷を防ぐことができる。ここで、著しく低いCO2 濃度とは、コークス炉ごとの操業条件等に応じて、適宜決定されるものである。著しく低いCO2 濃度として、X/2(%)以下を採用してもよく、X/5(%)以下またはX/10(%)以下を採用してもよい。
このような方法によって常に最適なカーボン付着量を維持することによって、レンガ目地部のシール性を損なわない程度の最適なカーボン焼却を可能とならしめるものである。
排ガスCO2 濃度に関する制御では、各炭化室毎にX(%)を求める必要はなく、同一の気体噴射装置、同一の気体を用いてカーボン焼却を行う以上、常に一定の目標CO2 濃度をもって調整を行えばよい。
なお、押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)の代わりに、押出機の能力から決まる、押詰リスクのある押出負荷Y[t]以下となる排ガスCO2濃度の範囲σ[%]を設定し、σ[%]を指標とした制御をすることも可能である。つまり、燃焼排ガスのCO2 濃度がσ[%]より高ければカーボン付着量が過大であると判断でき、気体噴射時間を延長するまたは単位時間当り気体噴射量を増大させることによってカーボン焼却量を増大させれば良いし、燃焼排ガスのCO2 濃度がσ[%])より低ければカーボン付着量が過少であると判断でき、気体噴射時間を短縮するまたは単位時間当り気体噴射量を減少させることによってカーボン焼却量を低減させれば良い。
ただし、上記の排ガスCO2 濃度に関する制御のみでは、押出抵抗を低減する点で一定の効果を奏するものの、押出抵抗が十分に低減できない場合がある。これは、炉壁カーボンの付着量の増減に対して、焼却量の増減が追従できなかったためと考えられる。
実際のコークス炉では、装入物(コークス原料である石炭等)の配合や装入物の乾燥設備の能力によって装入物条件が変動したり、コークス生産量に応じてコークス炉に与える熱量=炉温が変動したりする。具体的には、炉壁カーボンの成長速度は炉温、石炭中の揮発分(VM)[wt%]および微粉粒子量の影響を受けることが知られている。カーボン成長速度はこのほかにも石炭中の水分[wt%]やタール添加率[wt%]の影響を受けることも知られている。これらの要素に係数を乗じて、炉壁カーボン成長量推定式を立式することもできる。一般に、コークス炉ごとに温度分布特性等が異なるため、コークス炉ごとに炉壁カーボン成長量推定式中の各係数は調整される。一例として特許文献2に記載のカーボン成長速度推定式がある。
このように、炉壁カーボンの成長量が、装入物条件や炉温に応じて変動する。一方、排ガスCO2 濃度に関する制御を用いて、炭化室内に付着したカーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する方法において、焼却できるカーボン量はカーボン成長量の変動量に対して数~十数分の一であることを、本発明者らが知見した。一例として、図2に、或るコークス炉における、炉壁カーボン成長量および焼却カーボン量を示す。炉壁カーボンとして成長したものの大部分は、コークスを押出す際に剥離等して炉外へ排出されると考えられるが、一部は炉壁に付着したまま残ると考えられる。その場合、排ガスCO2 濃度に関する制御による燃焼除去だけでは、炉壁カーボンを焼却しきないことがあり、次回の押出し時の抵抗増加につながると考えられる。
この知見に基づいて、本発明者らは、炉壁カーボンの成長量を排ガスCO2 濃度に関する制御で焼却できるカーボン量と概ねバランスするように制御することにより、より確実に押出抵抗を低減することに想到した。
炉壁カーボンの付着量(成長量)は、前述の炉壁カーボン成長量推定式に基づいて、制御することが可能である。一例として、炉温を調整することによりカーボン成長量を調整することが可能である。これは、装入物である石炭を加熱すると熱分解反応がおきて炭化水素ガスが発生し、発生ガスは炉温の上昇に伴い、熱的により安定な多環芳香族化合物を形成し、さらに重合を重ねることで炭素集合体(=カーボン)が形成されやすくなるためである。
また、石炭中の揮発分(VM)[wt%]は、炭化水素ガスの発生量を決め、これがカーボン成長量に影響するので、石炭中の揮発分(VM)[wt%]を調整することにより、カーボン成長量を調整することが可能である。石炭中の揮発分(VM)[wt%]の調整は、原料の石炭種の配合(ブレンド)を調整することで可能である。
一方、石炭中の水分量[wt%]は、炭化水素ガスの濃度を希釈するので、石炭中の水分量[wt%]を調整することにより、カーボン成長量を調整することも可能である。石炭中の水分量[wt%]の調整は、石炭を乾燥または調湿することで可能である。
微粉粒子には、重質炭化水素が付着しやすく、それが接着剤の働きをすることで、微粉粒子が直接炉壁に付着し、さらに重質炭化水素が熱によって重合してカーボンを形成する。そのため、微粉粒子の量[vol%]を調整することにより、カーボン成長量を調整することが可能である。概して、粒子の粒径が小さいほど上記の性質は強くなると考えられ、装入物の粒径0.3mm以下のものを微粉粒子としてもよい。これは、装入物(石炭)の粉砕程度を調整することにより可能である。
製品であるコークスの品質を調整する等の目的で、装入物にタールを添加することがある。タール添加率[wt%]は石炭の熱分解反応中間体(多環芳香族)の濃度を高める作用があり、カーボン成長量にも影響する。そのため、タール添加率[wt%]を調整することにより、カーボン成長量を調整することが可能である。
本発明を実施するに当たり、炭化室内に付着するカーボン量(カーボン成長量)の許容範囲は、これまでの操業記録に基づいて、あらかじめ把握することができる。炉壁カーボンの成長量の許容範囲は、排ガスCO2 濃度に関する制御で焼却できるカーボン量と概ねバランスするものであれば、特に限定されるものではない。許容範囲として、炭化室内に付着するカーボン量の年間平均値を基準として±10%以内としてもよい。ここで、平均値の母集団となるデータとして、押し詰まり等の問題がなかった操業時のデータを用いることができる。
本発明について、以下の実施例を用いて説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定して解釈されるべきものではない。
図3は、本発明の実施態様に用いるコークス炉炭化室の断面模式図である。図3において、1はカーボン焼却エア吹込みブロア、2はカーボン焼却用エア噴射ノズル、3はコークス炉炭化室である。石炭装入・乾留・炭化により、炭化室内にはカーボンが付着成長する。これらカーボンを焼却除去するため、押出完了毎にエア噴射ノズルを挿入し、ブロアによってエア噴射を行っている。噴射されたエアは炭化室内でカーボンを焼却せしめ、上昇管4および排煙塔5から排ガスとして排出される。排煙塔5にCO2 濃度測定用のサンプリング管を挿入し、カーボン焼却を実施毎にCO2 濃度を測定する。カーボン焼却した後、炭化室には次のバッチの石炭を装入するが、この石炭を乾留し押出しを行う際の電流値を記録し、両者の関係を求める。
図1は、これまでの操業記録に基づいて、すなわち排ガスCO2 濃度に関する制御のみを行った場合の、CO2 濃度と押出電流値との関係を整理したものである。本コークス炉では押出抵抗値が極小となるときのCO2 濃度=X=9.5 %であった。また、押詰リスクのある押出負荷=Y=30tであるため、図1から、これに対応するCO2濃度範囲σ=9-10% であり、σの幅は1.0%である。つまり、排ガスCO2濃度が9-10%になるように管理すると、押詰リスクが低下する。一方で、排ガスCO2 濃度に関する制御のみの場合、CO2濃度がσの範囲外となることがあり、その場合押し詰まり等の問題が発生しやすかった。
これまでの操業記録に基づくと、本コークス炉では、1バッチでの1チャネルあたりのカーボン成長速度を0.15-0.20mm/chに収めると、押し詰まり等の問題が少なかったことが分かったため、その範囲に収まるよう炉温および装入物条件を調整することによりカーボン成長量を制御し、さらに排ガスCO2 濃度に関する制御を行った。その結果、本発明の使用前(排ガスCO2 濃度に関する制御のみ)には7.5-9.5%にばらついていた排ガスCO2濃度が、本発明(カーボン成長量制御+排ガスCO2 濃度に関する制御)によって9-10%に収束し、押詰リスクが低下した。
図4の上部には、本発明を未実施で約1ヶ月継続的に操業したときの、カーボン成長速度および排ガスCO2濃度を整理したものを示す。カーボン成長速度は、特に制御されておらず、0.15-0.20mm/ch の範囲外となることがあった。また、CO2濃度は7.5-9.5%にばらついた。CO2濃度を示すプロットに白丸(○)と黒丸(●)を用いており、白丸(○)は押詰が発生せず、黒丸(●)は押詰が発生したことを表している。
一方、図4の下部には、本発明を実施して約1ヶ月継続的に操業したときの、カーボン成長速度および排ガスCO2濃度を整理したものを示す。カーボン成長速度は、制御されて、0.15-0.20mm/ch の範囲内におさまった。また、CO2濃度は概ね9-10%に収束した。図5ではCO2濃度を示すプロットが全て白丸(○)であり、白丸(○)は押詰が発生しなかった。
図5に、Xxxx年7月からXxxx+2年7月までの月別の押詰発生数の推移を示す。Xxxx+1年5月より本発明を適用開始して以来、押詰の発生が減少した。なお、Xxxx+1年10-12月は点検等により操業を停止したためデータを除外した。
上記の実施例から、本発明により、コークス炉炭化室(炉壁)に付着成長するカーボンの量(カーボン成長量)が大きく変動することがなく、排ガスCO2 濃度に関する制御によって焼却できるカーボン量と概ねバランスさせることができたことが分かる。その結果排ガスCO2 濃度に関する制御によりコークス炉炭化室内に付着成長したカーボン(炉壁カーボン)の焼却を適正に制御することができ、押詰の発生を著しく低減することができた。

Claims (3)

  1. コークス炉の操業方法であって、
    前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボン(以下、「炉壁カーボン」と称する)を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
    装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
    炉壁カーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、炉壁カーボンの成長量を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際の炉壁カーボン焼却量とバランスするように該装入物条件および/または該コークス炉温を調整すること、
    を含む、コークス炉の操業方法。
  2. コークス炉の操業方法であって、
    前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボン(以下、「炉壁カーボン」と称する)を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
    装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
    炉壁カーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、炉壁カーボンの成長量を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際の炉壁カーボン焼却量とバランスするように該装入物の粒径0.3mm以下の比率[vol%]、水分[wt%]、揮発分[wt%]の少なくとも一つおよび/または該コークス炉温を調整すること、
    を含む、コークス炉の操業方法。
  3. コークス炉の操業方法であって、
    前記コークス炉の炭化室内に付着したカーボン(以下、「炉壁カーボン」と称する)を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際に、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度と次押出時の押出抵抗値との相関、および押出抵抗値が極小となる時のCO2 濃度=X(%)をあらかじめ把握しておき、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度がX(%)より低いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を短縮または減少し、X(%)より高いときは次回以降、炉壁カーボン焼却時の気体吹込み時間および/または炉壁カーボン焼却時の単位時間当り気体吹込み量を延長または増大すること、に加えて、
    装入物を装入し乾留してコークスを製造する際に、
    炉壁カーボンの成長速度を数式化しておき、あらかじめ許容成長速度を把握しておき、炉壁カーボンの成長量を、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去する際の炉壁カーボン焼却量とバランスするように該装入物の粒径0.3mm以下の比率[vol%]、水分[wt%]、揮発分[wt%]の少なくとも一つおよび/または該コークス炉温を調整すること、に加えて、
    該燃焼排ガスのCO2 濃度がX-1(%)より低い場合には炉壁カーボンを、該炭化室内に噴射ノズルを挿入して酸素を含む気体を噴射しつつ燃焼除去することを停止すること、
    を含む、コークス炉の操業方法。
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