JP7135237B1 - 高圧噴射ノズル装置およびそれを備えた地盤改良装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の高圧噴射ノズル装置は、内周面に傾斜溝が複数個形成されたエアカバーを用いているので、多くの製造費が必要となるとともに、エアカバーは、噴射されて跳ね返った硬化材液(粉砕された固形物および地盤を含む)により損傷し、損傷される毎にエアカバーの交換が必要となり、エアカバーを交換する毎に多額の修理交換費が必要となる問題があった。【解決手段】本発明は、内周面に先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝が形成されている外周傾斜溝部材32Aが設けられているので、製造費および修理交換費を安価に抑えることができるとともに、エアカバー25の内周面と外周傾斜溝部材32Aの外周面との間の先端から噴射された圧縮空気をノズル本体部から噴射されるセメントミルクの周りを旋回させることができることから、高圧噴射ノズル装置から噴射される硬化材液の噴射到達距離を十分増大させることができる。【選択図】図5

Description

本発明は、注入ロッド内の硬化材液供給管内と連通し、注入ロッドの先端と連結したモニターの側面に設けられる高圧噴射ノズル装置およびそれを備えた地盤改良装置である。
従来より、注入ロッド内の硬化材液供給管内と連通し、注入ロッドの先端と連結したモニターの側面に設けられる高圧噴射ノズル装置およびそれを備えた地盤改良装置が知られている。
この種の高圧噴射ノズル装置100は、高圧噴射ノズル装置100の内側に材液噴射ノズル121が設けられ、その外側には空気噴射ノズル122が形成されている(図26参照)。そして、空気噴射ノズル122はノズル本体126の外周面とエアカバー125の内周面との間に形成され、そのエアカバー125の内周面には先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する略同形状の傾斜溝125aが複数個形成されている(図27参照)。そして、高圧噴射ノズル装置100の内側の材液噴射ノズル121から硬化材液が噴射されるとともに材液噴射ノズル121の外側の空気噴射ノズル122から圧縮空気が高圧噴射されると、高圧噴射ノズル装置100の内側から硬化材液が噴射されるとともに、その外側(外周部)から圧縮空気が高速で噴射され、その噴射されている圧縮空気はエアカバー125の内周面の傾斜溝125aに沿って旋回する。これにより、材液噴射ノズル121から噴射された硬化材液の噴流の周りに圧縮空気の旋回流が形成され、圧縮空気の旋回流が硬化材液の噴流の周りを気層被膜として覆い、圧縮空気の気層被膜がない場合に比べて高圧噴射ノズル装置100の内側から噴射される硬化材液の切削能力が増大され、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができるというものであった(たとえば、特許文献1)。ここで、図26は従来の高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの縦断面図であり、図27は同高圧噴射ノズル装置の構成部品を示す図である。
特許第6754914号公報
しかしながら、従来の高圧噴射ノズル装置は、内周面に、先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する略同形状の傾斜溝が複数個形成されたエアカバーを用いているので、内周面に傾斜溝が形成されたエアカバーを製造する際には、複雑な工程が必要となり、製造費が高額になるという問題があった。さらに、エアカバーの表面は高圧噴射ノズル装置の外周面に露出しているため、高圧噴射ノズル装置から噴射された硬化材液が岩などの固化物に衝突すると、その固化物から跳ね返った硬化材液(粉砕された固形物および地盤を含む)によりエアカバーが損傷することになり、エアカバーの交換が必要になることから、エアカバーを交換する毎にエアカバーの高額な製造費が必要となるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、高圧噴射ノズル装置から噴射される硬化材液の噴射到達距離を十分増大させることができるとともに、高圧噴射ノズル装置の製造費および修理交換費が高額にならないようにすることができる高圧噴射ノズル装置およびそれを備えた地盤改良装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、注入ロッド内の軸方向に形成された硬化材液供給管内と連通し、注入ロッドの先端と連結したモニターの側面に設けられる高圧噴射ノズル装置であって、内周面が先端方向へ縮径して形成されたテーパ面状の中間内径部と、中間内径部の先端と連通し、直径が中間内径部の先端の直径と略同径である先端内径部と、中間内径部の後端と連通し、直径が中間内径部の後端の直径と略同径、もしくは略同径から後端方向へ拡径して形成された後端内径部とからなる中空形状の硬化材液流路が構成されたノズル本体部と、ノズル本体部の先端部に嵌合され、外周面が先端方向へ縮径し、外周面に先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝が複数個形成された中空形状の外周傾斜溝部材と、内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間に圧縮空気流路が構成されたエアカバーと、を有し、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気は、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液の周りを旋回流として覆うので、前記ノズル本体部の先端内径部から噴射される硬化材液の切削能力が増大され、硬化材液をより遠距離まで噴射することを特徴とするものである。
本発明によれば、先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝が外周傾斜溝部材の外周面に設けられているので、外周傾斜溝部材は、内周面に傾斜溝が形成されたエアカバーよりも安価な製造費で製造することができる。また、傾斜溝は、跳ね返った硬化材液(粉砕された固形物および地盤を含む)により損傷される毎に交換が必要なエアカバーと別部材の外周傾斜溝部材に設けられるため、エアカバー交換の毎に必要となる多額の修理交換費が不要となり、高圧噴射ノズル装置の製造費および修理交換費が高額にならないようにすることができる。
さらに、外周面が先端方向へ縮径し、先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝が外周面に複数個形成された外周傾斜溝部材が設けられているので、外周傾斜溝部材の外周面に設けられた傾斜溝により、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気は中央方向に向かう旋回流となり、硬化材液の周りを押圧する方向の圧縮空気旋回流が形成される。これにより、硬化材液の周りを旋回する圧縮空気旋回流を分散され難くすることができるとともに、ノズル本体部先端から噴射された硬化材液の噴射直後の硬化材液噴射流が半径方向に大きく増大し難くなり、硬化材液の直進性を維持でき速度が減速され難くなるので、ノズル本体部から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)を長くすることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。
さらに、高圧噴射ノズル装置は、噴射が完了するまで回転噴射→注入ロッド引上げ→回転噴射が繰り返される。このように、注入ロッドが回転噴射されながら引上げられると、下方に滞留した土壌と硬化材液の混合物が、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液の周りを旋回する圧縮空気旋回流により攪拌されるので、土壌と硬化材液の混合物が上昇しやすくなり、エアーリフト効果が向上し、攪拌された土壌と硬化材液の混合物が排泥として、地上に効率よく排出することができる。
また、キャビテーションによるキャビティ(気泡)は圧力が低くなった硬化材液噴射流の外周周辺部で発生し、その硬化材液噴射流の外周周辺部で発生したキャビティ(気泡)は、噴射された硬化材液が地盤と接触する際に生じる抵抗等(圧力上昇)により大きな衝撃力を発生させながら崩壊する。そして、そのキャビティの崩壊時に大きな衝撃力が発生すると、硬化材液の運動量が減少することになるので、ポテンシャルコア領域をより長く維持させることができず、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができなくなる。本発明においては、ノズル本体部から噴射された硬化材液の外周周辺部でキャビテーションによるキャビティが存在しても、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気が硬化材液の周りを隙間なく包括しながら旋回するので、硬化材液が地盤と接し難くなり、硬化材液の外周周辺部で存在するキャビティの崩壊を防ぐことができる。これにより、ノズル本体部から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。すなわち、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から圧縮空気が真っすぐ噴射される場合は、硬化材液の周りを圧縮空気により隙間なく包括されない部分が生じる場合があるので、その圧縮空気により硬化材液の包括されない部分が地盤と接することにより、硬化材液の外周周辺部で発生したキャビティが崩壊することになるが、本発明においては、圧縮空気は、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から旋回しながら噴射され、硬化材液の周りを隙間なく包括するので、硬化材液が地盤と接し難くなり、硬化材液の外周周辺部で発生したキャビティの崩壊を防ぐことができる。これにより、ノズル本体部から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る高圧噴射ノズル装置であって、外周傾斜溝部材の傾斜溝は、外周傾斜溝部材の外周面に略同形状で形成され、6個~12個の範囲内で設けられていることを特徴とするものである。
本発明によれば、外周傾斜溝部材の傾斜溝が外周傾斜溝部材の外周面に略同形状で形成され、6個~12個の範囲内で設けられているので、6個~12個の傾斜溝に沿って流れてきた圧縮空気が、その傾斜溝に沿った大きな流れでエアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から強く噴射され、その噴射された圧縮空気をノズル本体部の先端から噴射される硬化材液の周りで一体になって効率よく旋回させることができる。この硬化材液の周りを旋回する圧縮空気により、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液が中央方向に効率よく強く押圧されるとともに、硬化材液の周りを旋回する圧縮空気の旋回流により旋回流外周周辺の地盤が押圧されながら効率よく切削されていくので、硬化材液噴射流周りの圧縮空気層の厚さをより厚くすることができ、圧縮空気層によりノズル本体部先端から噴射直後の硬化材液噴射流とその周りの地盤とが接し難くすることができる。これにより、ノズル本体部の先端から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。
本発明のうち第3の態様に係るものは、第2の態様に係る高圧噴射ノズル装置であって、外周傾斜溝部材の傾斜溝は、外周傾斜溝部材の外周面に先端方向に向かって略13.0度~略56.0度の範囲内で斜めに傾斜していることを特徴とするものである。
本発明によれば、外周傾斜溝部材の傾斜溝は、外周傾斜溝部材の外周面に先端方向に向かって略13.0度~略56.0度の範囲内で斜めに傾斜しているので、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液がその周りを旋回する圧縮空気により、中央方向に効率よく強く押圧されるとともに、また、硬化材液の周りを旋回する圧縮空気の旋回流により旋回流外周周辺の地盤が押圧されながら効率よく切削されていくので、硬化材液噴射流周りの圧縮空気層の厚さをより厚くすることができ、圧縮空気層によりノズル本体部先端から噴射直後の硬化材液噴射流とその周りの地盤とが接し難くすることができる。これにより、ノズル本体部の先端から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)を長くすることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係る高圧噴射ノズル装置であって、ノズル本体部の後端内径部には、中空形状断面を複数の空間に分割する流路分割部が形成され、流路分割部で分割された流路の断面合計面積は、流路分割部近傍の後端内径部の中空形状断面における断面積の40%~60%であることを特徴とするものである。
本発明によれば、流路分割部で分割された流路の断面合計面積が、流路分割部近傍の後端内径部の中空形状断面における断面積の40%~60%であるので、ノズル本体部の後端内径部を流れる硬化材液が流路分割部で分割されたそれぞれの空間に分流して適度な圧縮力で圧縮されながら先端方向に送られる。そして、圧縮されながら先端方向に送られた硬化材液が、流路分割部で分割されたそれぞれの空間でより速度を増すことにより、中間内径部の内周面に生じる乱流の境界層の厚さを減らすことができ、より細かく層流化させることができる。これにより、ノズル本体部の先端から噴射される硬化材液が噴射口のほぼ全面において略同一速度で噴射されることにより、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができるとともに、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液の切削能力を増大させ、地盤の組織構造を破壊することができる。
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1の態様に係る高圧噴射ノズル装置であって、外周傾斜溝部材は、外周傾斜溝部材の内周面とノズル本体部の外周面の間に空気流路が形成され、外周傾斜溝部材の内周面とノズル本体部の外周面の間の先端から圧縮空気が噴射されることを特徴とするものである。
本発明によれば、外周傾斜溝部材の内周面とノズル本体部の外周面の間に空気流路が形成されているので、外周傾斜溝部材の内周面とノズル本体部の外周面の間の先端から噴射された圧縮空気より圧縮空気噴射層が形成され、「エアカバー」の内周面と「外周傾斜溝部材」の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気を、圧縮空気噴射層を介して、ノズル本体部先端から噴射された硬化材液の周りで旋回させることができる。これにより、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気が、ノズル本体部先端から噴射された硬化材液に直接接触され難くなり、エアカバーの内周面と外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気をより大きな旋回力で旋回させることができるとともに、圧縮空気旋回流よりノズル本体部の先端から噴射された硬化材液を中央方向により強く押圧することができることにより、ノズル本体部の先端から噴射される硬化材液の速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)を長くすることができ、硬化材液をより遠距離まで噴射させることができる。
本発明のうち第6の態様に係るものは、モニターに装着された第1~第5のいずれかの態様に係る高圧噴射ノズル装置を備えた地盤改良装置である。
本発明の高圧噴射ノズル装置によれば、高圧噴射ノズル装置から噴射される硬化材液の噴射到達距離を十分増大させることができるとともに、高圧噴射ノズル装置の製造費および修理交換費が高額にならないようにすることができる。
本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着される地盤改良装置の施工状況を示す図である。 同高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの外観斜視図である。 図2のA-A断面図である。 図3のB-B断面図である。 本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置およびその周辺器具の組立方法を示す図である。 (a)図3のP-P部分の拡大図である。 (b)モニターのノズル本体部取付孔を示す図である。 同高圧噴射ノズル装置の装着方法を示す断面図である。 本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の構成部品を示す図である。 同構成部品の断面図である。 (a)本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の前方斜視図である。 (b)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の後方斜視図である。 (c)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の背面図である。 (d)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側面図である。 (e)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図である。 (f)図10(c)のD-D断面図である。 同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜溝の断面径を示す図である。 (a)本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の構成部品の装着方法を示す図である。 (b)同高圧噴射ノズル装置の背面図である。 (c)同高圧噴射ノズル装置の側面図である。 (d)同高圧噴射ノズル装置の正面図である。 図11のA-A断面図~M-M断面図である。 (a)本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図である。 (b)図14(a)のF-F断面図である。 (c)本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (d)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (e)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図である。 (f)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。 図3のC-C断面図である。 同高圧噴射ノズル装置の噴射ノズルからの噴射状態を示す図である。 (a)モニター周辺の排泥が地上に排出される状態を示す図である。 (b)同高圧噴射ノズル装置周辺の排泥が地上に排出される状態を示す図である。 同高圧噴射ノズル装置の噴射ノズルから噴射させた噴射水の「衝突荷重の標準偏差値」を示す図である。 同高圧噴射ノズル装置の噴射ノズルから噴射させた噴射水の「衝突荷重の平均値」を示す図である。 (a)本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの外観斜視図である。 (b)同高圧噴射ノズル装置の正面図である。 図20(b)のJ-J断面図である。 (a)本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図である。 (b)図22(a)のK-K断面図である。 本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置の噴射ノズルからの噴射状態を示す図である。 (a)本発明の変形例1における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図である。 (b)図24(a)のG-G断面図である。 (c)本発明の変形例1における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (d)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (e)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図である。 (f)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。 (a)本発明の変形例2における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図である。 (b)図25(a)のH-H断面図である。 (c)本発明の変形例2における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (d)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図である。 (e)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図である。 (f)同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。 従来の高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの縦断面図である。 同高圧噴射ノズル装置の構成部品を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着された地盤改良装置について図面を参照にしながら説明する。ここで、図1は、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着される地盤改良装置の施工状況を示す図である。
図1に示すように、注入ロッド2の先端にモニター3が結合して取り付けられている。このモニター3の先端に設けられた先端ノズル4から注入ロッド2およびモニター3内を介して供給される水(液体)が噴射され、また、モニター3の側面に設けられた高圧噴射ノズル装置1Aからは注入ロッド2およびモニター3内を介して供給されるセメントミルク(硬化材液)、空気が噴射される。
作業機5は、注入ロッド2を支持するとともに、注入ロッド2を上下動、回転および揺動させる機械である。これにより、注入ロッド2およびモニター3は、作業機5により、上下動のみならず回転、揺動も可能となる。
スイベル6は、注入ロッド2の後端部に取り付けられ、水供給源11、空気供給源12、およびセメントミルク(硬化材液)供給源13からそれぞれ供給される水、空気、およびセメントミルクの各供給ホース14、15、16と連結されるとともに、水、空気、およびセメントミルクを注入ロッド2内に設けられた空気供給路8、およびセメントミルク兼用水供給路7に供給するものである(図1~図3参照)。ここで、図2は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの外観斜視図であり、図3は図2のA-A断面図である。図2および図3については、注入ロッド2の上方側を省略して表示している。
次に、注入ロッド2およびモニター3の構成について、図2~図4を用いて、具体的に説明する。ここで、図4は図3のB-B断面図である。
注入ロッド2は、2重管から構成され、注入ロッド2内の内側のセメントミルク兼用水供給路7にはセメントミルクまたは水(液体)が供給され、注入ロッド2内の外側の空気供給路8には空気が供給される(図3参照)。なお、第1実施形態では、セメントミルク兼用水供給路7を用いて、セメントミルク(硬化材液)供給管と水供給管を一つの供給管として構成させたが、これに限らず、セメントミルク(硬化材液)供給管と、水供給管をそれぞれ別々の供給管として構成させてもよい。また、このように、セメントミルク(硬化材液)供給管と、水供給管を別々の供給管として構成する場合には、セメントミルク(硬化材液)と水を分ける3重管等の多重管や多孔管を用いるようにしてもよい。また、第1実施形態では、2重管から構成される注入ロッド2内の内側をセメントミルク兼用水供給路7、外側を空気供給路8としたが、これに限らず、2重管から構成される注入ロッド2内の内側を空気供給路、外側をセメントミルク兼用水供給路としてもよい。
また、注入ロッド2は、上述したようにモニター3と結合して取り付けられている。この注入ロッド2とモニター3の結合については後述する。ここで、注入ロッド2は、外径33mmで、内径23mmの注入ロッド内管2a(硬化材液供給管)と、外径73mmで、内径61mmの円形断面の注入ロッド外管2bとから構成される2重管が用いられている(図2、図3参照)。そして、注入ロッド外管2bの下部は、結合ピン挿入口19が形成され、下部内面には結合ピン挿入口19と連通するように結合ピン36の半外周と略同径の結合ピン注入ロッド凹部20aが形成されている(図2、図3、図5参照)。また、注入ロッド内管2aの外径は、内径が拡径された注入ロッド外管2b下部の上端(内径が拡径されている位置)の少し下部から22mmに縮径されている。なお、第1実施形態では、外径73mm程度の円形断面の注入ロッド外管2bを用いたが、これに限らず、直径50mm~140mm程度(たとえば、略73mm)の円形断面の注入ロッド外管を用いてもよく、また、直径50mm~140mm程度(たとえば、略73mm)の円形断面の注入ロッド外管を用いた場合には、注入ロッド内管2aの内径を14mm~30mmにしてもよい。ここで、注入ロッド内管2aの内径は、注入ロッド内管2a内を流れるセメントミルクの流量により決められる。さらに、六角形断面を有する注入ロッド外管を用いてもよい。ここで、図5は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置およびその周辺器具の組立方法を示す図である。
モニター3は、上述したように注入ロッド2の先端に結合して取り付けられている。そして、モニター3内部には、中央に注入ロッド2のセメントミルク兼用水供給路7と連通するセメントミルク兼用水流路9が軸方向に形成され、そのセメントミルク兼用水流路9の外周側には注入ロッド2の空気供給路8と連通する空気流路10が軸方向に4個形成されている(図2~図4参照)。空気流路10の詳細については後述する。このように、水供給源11、空気供給源12、およびセメントミルク供給源13からそれぞれ供給される水、空気、およびセメントミルクは、各供給ホース14、15、16→スイベル6→各供給路7、8→各流路9、10を経て、各ノズル1、4などから噴射される(図1、図3参照)。ここで、水供給源11およびセメントミルク供給源13からそれぞれ供給される水、セメントミルクは、水、セメントミルクの各供給ホース14、16からスイベル6を介してセメントミルク兼用水供給路7に供給される。なお、第1実施形態では、セメントミルク兼用水流路9を用いて、セメントミルク(硬化材液)流路と水流路を一つの流路として構成させたが、これに限らず、セメントミルク(硬化材液)流路と、水流路をそれぞれ別々の流路として構成させてもよい。
また、モニター3は、最大外径が90mmで、モニター3内部には、中央に直径が16mmのセメントミルク兼用水流路9が形成され、上部が外径26mmで、内径16mmのモニター内管3aと、外径90mmで、内径78mmのモニター外管3bとから構成される2重管が用いられ、モニター内管3aとモニター外管3bの間には空気流路10が構成されている。具体的には、この空気流路10は、注入ロッド2の空気供給路8と連通するモニター内管3aとモニター外管3bの間の流路と、その流路と連通するモニター3の内部に形成された4個の流路から構成されている(図3、図4参照)。このように、空気流路10を構成するモニター内管3aとモニター外管3bの間の流路が注入ロッド2内の空気供給路8と連通されることにより、モニター3内の空気流路10は注入ロッド2内の空気供給路8と連通している。モニター3の側面には、上述したように、セメントミルクと空気を噴射させる高圧噴射ノズル装置1Aが設けられ、側面上部には結合ピン36の半内周と略同径の結合ピンモニター凹部20bが形成されている(図5参照)。この結合ピンモニター凹部20bは、注入ロッド2の結合ピン注入ロッド凹部20aと嵌合されることにより結合ピン挿入口19と連通する結合ピン挿入孔19aが形成され、結合ピン挿入孔19aには、結合ピン36が挿入されている。また、モニター3の先端部には、水(液体)を噴射させる先端ノズル4が設けられている。
モニター3の下部には、差圧弁34が設けられている(図3参照)。この差圧弁34は、セメントミルク兼用水供給路7、モニター3内のセメントミルク兼用水流路9を介して供給される低圧水により開放され、その開放された差圧弁34を介して先端ノズル4から供給された低圧水が噴射される。そして、セメントミルク兼用水供給路7、モニター3内のセメントミルク兼用水流路9を介して供給されるセメントミルクにより差圧弁34は閉鎖され、後述するように、材液噴射ノズル21(高圧噴射ノズル装置1A先端内側)からセメントミルクが噴射される。具体的には、削孔時には、注入ロッド2のセメントミルク兼用水供給路7、セメントミルク兼用水供給路7と連通するモニター3内のセメントミルク兼用水流路9を介して低圧水が供給され、開放状態の差圧弁34を介して先端ノズル4から供給された低圧水が噴出される。そして、削孔が完了した後には、注入ロッド2のセメントミルク兼用水供給路7、セメントミルク兼用水供給路7と連通するモニター3内のセメントミルク兼用水流路9を介してセメントミルクが供給され、差圧弁34が閉鎖されることにより、供給されたセメントミルクが材液噴射ノズル21(高圧噴射ノズル装置1A先端内側)から噴射される。
次に、高圧噴射ノズル装置1Aについて、図8~図10を用いて、具体的に説明する。ここで、図8は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の構成部品を示す図であり、図9は同構成部品の断面図であり、図10(a)は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の前方斜視図であり、図10(b)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の後方斜視図であり、図10(c)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の背面図であり、図10(d)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側面図であり、図10(e)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図であり、図10(f)は図10(c)のD-D断面図である。
高圧噴射ノズル装置1Aは、ノズル本体部24と、 外周傾斜溝部材32Aと、エアカバー25を有している(図8、図9参照)。
ノズル本体部24は、ノズル本体26と、ノズル本体延長部27から構成されている(図8参照)。具体的には、ノズル本体26は、先方部分は径を小さくした略円柱形状で、後方部分は先方部分より少し径を大きくした略円柱形状である。そして、ノズル本体部24の中空形状をした内部は、後端内径部28と、中間内径部29と、先端内径部30とから構成されている(図9参照)。この中間内径部29と先端内径部30はノズル本体26内に形成され、後端内径部28はノズル本体延長部27内に形成されている。このように、ノズル本体部24の中空形状をした内部は、内周面が先端方向へ縮径して形成されたテーパ面状の中間内径部29と、その中間内径部29の先端と連通し、直径が中間内径部29の先端の直径と略同径である先端内径部30と、その中間内径部29の後端と連通し、直径が中間内径部29の後端の直径と略同径で形成された後端内径部28とから構成されている。これにより、注入ロッド2内のセメントミルク兼用水供給管7、セメントミルク兼用水供給路7と連通するモニター3内のセメントミルク兼用水流路9を介して供給されたセメントミルクは、ノズル本体延長部27→ノズル本体26の順にノズル本体部24内に送り込まれ、後述するように、材液噴射ノズル21から噴射される(図15参照)。また、ノズル本体延長部27内の後端内径部28には、中空形状の後端内径部28断面を複数の空間に分割する流路分割部31が形成されている。そして、後端内径部28の外径は、流路分割部31で縮径され、後端内径部28内の流路分割部31は、略中心部分の面積が、後端内径部28の先方外径断面積(後端内径部28の縮径された部分の外径断面積)に対して2%~20%を占めた形状で形成されている(図9参照)。なお、第1実施形態では、ノズル本体延長部27内の後端内径部28の直径を中間内径部29の後端の直径と略同径で形成させたが、これに限らず、中間内径部29の後端の直径と略同径から後端方向へ拡径して形成させるようにしてもよい。ここで、図15は図3のC-C断面図である。
流路分割部31で分割された流路の断面合計面積(9.45mm)は、後端内径部28の先方外径断面積(後端内径部28の縮径された部分の外径断面積)(23.7mm)の約40%を占めている。なお、第1実施形態では、流路分割部31で分割された流路の断面合計面積は、後端内径部28の先方外径断面積の約40%を占めていると説明したが、これに限らず、流路分割部31で分割された流路の断面合計面積は、後端内径部28の先方外径断面積の40%~60%を占めるようにしてもよく、また、後端内径部28の先方外径断面積ではなく、後端内径部28の後方外径断面積の40%~60%を占めるようにしてもよく、流路分割部31近傍の後端内径部28の中空形状断面積の40%~60%を占めるようにしてもよい。
また、ノズル本体部24は、モニター3の側面に形成されたノズル本体部取付孔23に挿入される。このノズル本体部取付孔23は、モニター3の軸方向の高さが異なる位置に、円周上等間隔に2個形成されている。このように、ノズル本体部取付孔23が、モニター3の軸方向の高さが異なる位置に複数個形成されているので、用途に合わせて高さが異なるノズル本体部取付孔23にノズル本体部24を複数個取り付けることにより、地中に様々な形状の固結体を短時間で効率良く造成することができる。なお、第1実施形態では、ノズル本体部取付孔23がモニター3の軸方向の高さが異なる位置に、円周上等間隔に2個形成されたが、モニター3の軸方向の高さが異なる位置でなくてもよく、また円周上等間隔の位置に形成させていなくてもよい。また、ノズル本体部取付孔23の数は2個でなくてもよく、3個、4個、6個などの2個以上(好ましくは4個以上)の複数個、また1個形成されるようにしてもよい。ここで、図6(a)は図3のP-P部分の拡大図であり、図6(b)はモニターのノズル本体部取付孔を示す図である。
外周傾斜溝部材32Aは、中空形状で、ノズル本体部24の先端部に嵌合され、外周面が先端方向へ縮径し、外周面に先端方向に向かって斜め略左方向に傾斜する傾斜溝32aが8個形成されている(図8、図10参照)。このように、外周傾斜溝部材32Aの外周面に傾斜溝32aが形成されているので、外周傾斜溝部材32Aの外周面の傾斜溝32aを製造する際に複雑な工程を必要とせず、高圧噴射ノズル装置1Aの製造費を安価に抑えることができる。さらに、高圧噴射ノズル装置1Aから噴射されたセメントミルクが岩などの固化物に衝突すると、跳ね返ったセメントミルク(粉砕された固形物および地盤を含む)がエアカバー25に衝突することにより、エアカバー25が損傷し交換が必要となるが、傾斜溝32aが形成されている外周傾斜溝部材32Aは、エアカバー25と別部材であることから、安価なエアカバー25の交換のみを行なえばよく、高圧噴射ノズル装置1Aの修理交換費をより安価に抑えることができる。なお、第1実施形態では、外周傾斜溝部材32Aは、外周面に先端方向に向かって斜め略左方向に傾斜する傾斜溝32aが形成されるが、これに限らず、外周面に先端方向に向かって斜め略右方向に傾斜する傾斜溝32aが形成されてもよい。また、第1実施形態では、外周傾斜溝部材32Aは、外周傾斜溝部材32Aの外周面に先端方向に向かって斜め略左方向に傾斜する傾斜溝32aが8個形成されるとしたが、これに限らず、外周傾斜溝部材32Aの外周面に先端方向に向かって斜め略左方向に傾斜する傾斜溝32aが6個~12個(6個~8個もしくは8個~10個)などの複数個形成されるようにしてもよい。
また、外周傾斜溝部材32Aは、外周面が先端方向へ縮径した形状で形成され(図8~図10参照)、先端に向かって、断面径が小さくなっている(図11参照)。ここで、図11は、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜溝の断面径を示す図である。図11では、外周傾斜溝部材32Aの各断面における傾斜溝32aの凹部(最下部)を結んだ直径と凸部(最上部)を結んだ直径が示されている。具体的には、図11の上部に示すように、外周傾斜溝部材32Aのそれぞれの断面(A断面~M断面)における「外周傾斜溝部材32A外周の傾斜溝32aの凹部直径(図11上部数値参照)」は、「Φ16.84mm(A断面)」・・「Φ14.47mm(K断面)」「Φ14.24mm(L断面)」・「Φ14.0mm(M断面)」と先端に向かう程、断面径が小さくなり、また、図11の下部に示すように、外周傾斜溝部材32Aのそれぞれの断面(A断面~M断面)における「外周傾斜溝部材32A外周の傾斜溝32aの凸部直径」についても、「Φ28.0mm(A断面)」・・・「Φ22.17mm(K断面)」「Φ21.58mm(L断面)」「Φ21.0mm(M断面)」と先端に向かう程、断面径が小さくなっている。なお、第1実施形態では、外周傾斜溝部材32A先端(M断面)の凸部直径をΦ21.0mmにしたが、これに限らず、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気の量を多くする場合は、外周傾斜溝部材32A先端の凸部直径をΦ21.0mm~Φ27.0mm(好ましくは、Φ21.0mm~Φ24.0mm)の範囲内で大きい外周傾斜溝部材32Aを用いてもよい。
外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aは、後方から先端に向かって螺旋状に傾斜している(図12参照)。具体的には、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの凹部(最下部)は、後端P1点(A断面(図11、図13(a)参照))から先端P2点(M断面(図11、図13(m)参照))に向かって、円周方向に32.6度(「ネジレ角」)傾斜しながら形成されている(図14(e)、(f)参照)。このように、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aは、後端から先端に向かって螺旋状に傾斜し、先端方向に向かって32.6度傾斜するように形成されている。ここで、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの先端方向に向かって斜め方向の傾斜角は、「後端側の凹部点(P1点)」が先方(「先端側の凹部点(P2点)」)に向かってどれだけの角度をなして傾斜しているかにより求められる。具体的には、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの傾斜角は、「P1点(外周傾斜溝部材32A後端の傾斜溝32aの凹部点)から外周傾斜溝部材32Aの中心軸と平行方向に下ろした先端点P3までの長さ(外周傾斜溝部材32Aの後端から先端までの長さ(18mm))」と「先端点P3とP2点(外周傾斜溝部材32A先端の傾斜溝32aの凹部点)とを繋げた線の横方向の長さ(11.5mm)」により求められる。ここで、「P1点(外周傾斜溝部材32A後端の傾斜溝32aの凹部点)から外周傾斜溝部材32Aの中心軸と平行方向に下ろした先端点P3までの長さ(外周傾斜溝部材32Aの後端から先端までの長さ)」は一定であるが、「先端点P3とP2点(外周傾斜溝部材32A先端の傾斜溝32aの凹部点)とを繋げた線の横方向の長さ」は変動する。つまり、この「先端点P3とP2点(外周傾斜溝部材32A先端の傾斜溝32aの凹部点)とを繋げた線の横方向の長さ」により、「外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの傾斜角」が求められる。また、第1実施形態では、外周傾斜溝部材32Aの外周面の傾斜溝32aを先端方向に向かって32.6度傾斜させたが、これに限らず、略13.0度~略56.0度の範囲内で斜めに傾斜させてもよい。これについては、後述する変形例1において具体的に説明する。ここで、図12(a)は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の構成部品の装着方法を示す図であり、図12(b)は同高圧噴射ノズル装置の背面図であり、図12(c)は同高圧噴射ノズル装置の側面図であり、図12(d)は同高圧噴射ノズル装置の正面図であり、図13は図11のA断面図~M断面図であり、図14(a)は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図であり、図14(b)は図14(a)のF-F断面図であり、図14(c)は本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、 図14(d)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、図14(e)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図であり、図14(f)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。ここで、図11のA断面は図13(a)に対応し、図11のB断面は図13(b)に対応し、図11のC断面は図13(c)に対応し、・・図11のK断面は図13(k)に対応し、図11のL断面は図13(l)に対応し、図11のM断面は図13(m)に対応している。
エアカバー25は、先端外周面が六角形状で、後方外周面に雄螺子が形成され、エアカバー25の中空内部は、先端方向へ縮径したテーパ形状で形成されている(図8、図9参照)。また、エアカバー25は、ノズル本体部24の先端部に嵌合された外周傾斜溝部材32Aに嵌合され、後述するように、エアカバー25の内周面と外周傾斜溝部材32Aの外周面との間の先端には空気噴射ノズル22が構成されている(図15参照)。これにより、注入ロッド2内の空気供給路8、空気供給路8と連通するモニター3内の空気流路10を介して供給された圧縮空気は、空気噴射ノズル22から噴射される。ここで、空気噴射ノズル22は2個の空気流路10と連通している。
高圧噴射ノズル装置1Aの先端には、セメントミルクを噴射させる材液噴射ノズル21と、圧縮空気を噴射させる空気噴射ノズル22が形成されている(図15参照)。具体的には、高圧噴射ノズル装置1Aの先端内側に材液噴射ノズル21が設けられ、外側に空気噴射ノズル22が形成されている。このように、高圧噴射ノズル装置1Aからセメントミルクと圧縮空気が高圧噴射されると、高圧噴射ノズル装置1Aの内側からセメントミルクが噴射され、その外側(外周部)から圧縮空気が噴射され、セメントミルクの噴流の周りに圧縮空気の気相被膜が形成されることにより、圧縮空気の気相被膜がない場合に比べて噴射到達距離を増大させることができる。具体的には、後述する。
材液噴射ノズル21は、ノズル本体部24の先端に形成されている。そして、空気噴射ノズル22は、外周傾斜溝部材32Aの外周面とエアカバー25の内周面などから形成され、モニター3内の空気流路10と連通している(図6(a)参照)。なお、第1実施形態では、空気噴射ノズル22は、外周傾斜溝部材32Aの外周面とエアカバー25の内周面などから形成されているとしたが、これに限らず、モニター3内の空気流路10と連通し、ノズル本体部24の先端外径部周囲を囲うように構成され、モニター3内の空気流路10から先端に向かって断面積が縮小されて圧縮空気を高速で噴射するノズルであれば、他の形態の空気噴射ノズルであってもよい。
次に、図5、図7を用いて、注入ロッド2、モニター3、および高圧噴射ノズル装置1Aの組立方法について説明する。
まずモニター上部管35の上部に注入ロッド2の下端が挿入される(図5参照)。この注入ロッド2の挿入に際し、注入ロッド外管2bの下端に形成された半円形状の注入ロッド突起部2cとモニター上部管35の上部に形成された半円形状のモニター上部管内突起部3cを嵌合させて、モニター上部管35と注入ロッド2との円周方向の位置合わせが行われることにより、モニター3が注入ロッド2に取り付けられる。そして、結合ピン36が、注入ロッド外管2b下部の結合ピン注入ロッド凹部20aとモニター上部管35上部の結合ピンモニター凹部20bにより形成された結合ピン挿入孔19aに挿入されることにより、モニター3が注入ロッド2に結合される。具体的には、結合ピン36は、スプリングピン36aとスプリングピン36bから構成され、最初にスプリングピン36bが注入ロッド2下部の結合ピン挿入口19を介して結合ピン挿入孔19aに挿入され、それから結合ピン挿入孔19aに挿入されたスプリングピン36bの中空部にスプリングピン36aが圧入される。このように、結合ピン36が、注入ロッド外管2b下部の結合ピン注入ロッド凹部20aとモニター上部管35上部の結合ピンモニター凹部20bにより形成された結合ピン挿入孔19aに挿入されることにより、モニター3が注入ロッド2に結合される。なお、第1実施形態では、モニター上部管35内の上端の上部と下部を一体として説明したが、これに限らず、モニター上部管35内の4個形成されている空気流路10上端の上部と下部を別体として構成させてもよい。このように別体として構成させることにより、モニター上部管35内の4個の空気流路10の形成が容易になる。
次に、差圧弁34を内蔵したモニター下部管39がモニター上部管35下端に取り付けられる(図3、図5参照)。具体的には、モニター下部管39の上部外周の雄螺子とモニター上部管35の下端内周の雌螺子とを螺合させることにより、モニター下部管39がモニター上部管35に取り付けられる。
次に、モニター3の側面に形成されたノズル本体部取付孔23に高圧噴射ノズル装置1Aが取り付けられる。具体的には、以下の(1)~(3)の手順で、モニター3のノズル本体部取付孔23に高圧噴射ノズル装置1Aが取り付けられる。以下、高圧噴射ノズル装置1Aの取り付け手順について図7を参照にしながら説明する。ここで、図7は、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の装着方法を示す断面図である。
(1)まず、ノズル本体延長部27をノズル本体部取付孔23に挿入させる。これにより、ノズル本体延長部27がノズル本体部取付孔23に嵌められる。このノズル本体部取付孔23に嵌められたノズル本体延長部27は、モニター3内のセメントミルク兼用水流路9(硬化材液流路)内に突出して取り付けられている(図6(a)参照)。なお、第1実施形態では、ノズル本体延長部27がモニター3内のセメントミルク兼用水流路9(硬化材液流路)内に突出して取り付けられたが、モニター3内のセメントミルク兼用水流路9(硬化材液流路)内に突出しない形状で取り付けてもよく、また、モニター3のセメントミルク兼用水流路9(硬化材液流路)の略中心部まで突出させて取り付けてもよい。
(2)次に、ノズル本体26がノズル本体部取付孔23に挿入される。このノズル本体26がノズル本体部取付孔23に挿入される際には、ノズル本体26の後端外周に形成された雄螺子とモニター3のノズル本体部取付孔23に形成された雌螺子とを螺合させることにより、ノズル本体26がモニター3に取り付けられる。
(3)次に、外周傾斜溝部材32Aおよびエアカバー25がノズル本体26先端方向から順に嵌め込まれ、エアカバー25の外周に形成された雄螺子とモニター3側面内周のエアカバー取付孔43に形成された雌螺子とを螺合させることにより、エアカバー25(外周傾斜溝部材32Aも含む)がモニター3に取り付けられる。
以上のように、高圧噴射ノズル装置1Aがモニター3に着脱自在に取り付けられるので、土質等に合わせて高圧噴射ノズル装置1Aを自由に取り替えることができるとともに、高圧噴射ノズル装置1Aを簡易な方法でモニター3に取り付けることができる。
このように、ノズル本体延長部27の後端内径部28がモニター3内のセメントミルク兼用水流路9(硬化材液流路)内まで突出して設けることにより、ノズル本体部24内部の直線距離を十分長く確保することができ、ノズル本体部24内を流れるセメントミルクの乱流の発生を少なくすることができる。これにより、ノズル本体部24の先端から噴射されるセメントミルクの切削能力が増大されることができ、地盤の組織構造を破壊し、セメントミルクを遠距離まで噴射することができる。さらに、上述したように、流路分割部31で分割された流路の断面合計面積は、後端内径部28の先方外径断面積(後端内径部28の縮径された部分の外径断面積)の40%を占めた形状にしているので、ノズル本体部24の後端内径部28を流れるセメントミルクが流路分割部31で分割されたそれぞれの空間に分流して適度な圧縮力で圧縮されながら先端方向に送られる。そして、圧縮されながら先端方向に送られたセメントミルクが、流路分割部31で分割されたそれぞれの空間でより速度を増しながら層流化されることにより、ノズル本体部24内を通過するセメントミルクを細かい層流にさせることができ、ノズル本体部24先端から噴射されたセメントミルクの切削能力を増大させることにより、地盤の組織構造を破壊し、セメントミルクをより遠距離まで噴射することができる。これについては、流路分割部31で分割された流路の断面合計面積が後端内径部28の先方外径断面積(後端内径部28の縮径された部分の外径断面積)の40%~60%を占める場合についても同様である。
また、上述したように、後端内径部28の流路分割部31略中心部分の面積は、後端内径部28の先方外径断面積(後端内径部28の縮径された部分の外径断面積)に対して2%~20%を占めた形状で形成されているので、ノズル本体部24の後端内径部28を流れるセメントミルクが流路分割部31で分割されたそれぞれの空間でより細かく層流化された後に、中間内径部29の有形物が存在しない中空形状の空間で縮径されて先端方向に送られることにより、材液噴射ノズル21(ノズル本体部24の先端)から噴射されるセメントミルクの切削能力が増大され、セメントミルクをより遠距離まで噴射することができるとともに、ノズル本体部24の後端内径部28の略中心部を流れるセメントミルクが流路分割部31の略中心部分に衝突し、その衝突したセメントミルクが流路分割部31で分割されたそれぞれの流路に流入し速度を増大しながら縮径された中間内径部29の内周面に沿って送られるので、その中間内径部29の内周面に生じる乱流による境界層の厚さを減らすことができ、ノズル本体部24内を通過するセメントミルクをより細かい層流にさせ、中間内径部29の内周面に生じる乱流による境界層の厚さを減らすことができる。これにより、ノズル本体部24の先端から噴射されるセメントミルクが噴射口のほぼ全面において略同一速度で噴射されることにより、ノズル本体部24先端の材液噴射ノズル21の噴射口から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができるとともに、ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液の切削能力を増大させ、地盤の組織構造を破壊することができる。ここで、ポテンシャルコア領域とは、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域のことであり、このポテンシャルコア領域では、材液噴射ノズル21の噴射口から噴射される時点の噴射圧をそのまま保持し、いわばジェットの核(コア)をなしており、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルク噴射流の径の広がりが小さくなっている。
このように、ノズル本体部24(ノズル本体延長部27)の後端内径部28を流れるセメントミルクが流路分割部31で分割されたそれぞれの空間に分流して先端方向に送られるので、流路分割部31で分割されたそれぞれの空間でセメントミルクをより細かく層流化させることができる。これにより、ノズル本体部24先端の材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの切削能力を増大させることができ、地盤の組織構造を破壊し、セメントミルクをより遠距離まで噴射することができる。
次に、図1、図16、図17を用いて、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置1Aが装着されたモニター3を備えた地盤改良装置による施工手順について簡単に説明する。
まず、これから注入ロッド2の掘削する位置を位置決めした後に、その位置において注入ロッド2先端に取り付けられたモニター3の先端ノズル4から水(液体)を噴射させて、所定の深度まで削孔される(図1参照)。ここで、図1では、高圧噴射ノズル装置1Aからも噴射させているが、地盤掘削時おいては、高圧噴射ノズル装置1Aからは噴射されず、モニター3の先端ノズル4から水(液体)を噴射させて、地盤が削孔される。
所定の深度まで削孔された後には、注入ロッド2を上昇回転させながら、材液噴射ノズル21からセメントミルク、および空気噴射ノズル22から圧縮空気がそれぞれ噴射される(図16参照)。具体的には、噴射ノズル(材液噴射ノズル21、空気噴射ノズル22)からセメントミルク、圧縮空気それぞれを同時に噴射しながら、注入ロッド2を時計回りに回転させる。本実施形態においては、外周傾斜溝部材32Aの外周面に先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する同形状の傾斜溝32aが形成されているので、空気噴射ノズル22(外周傾斜溝部材32Aの外周面とエアカバー25の内周面との間の先端)から噴射される圧縮空気が、材液噴射ノズル21(ノズル本体部24の先端)から噴射されたセメントミルクの周りを旋回することになる。これにより、材液噴射ノズル21(ノズル本体部24の先端)から噴射されたセメントミルクの切削能力が増大するので、地盤の組織構造が破壊され、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。さらに、上述したように、外周傾斜溝部材32Aの外周面に傾斜溝32aが設けられるので、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気は、中央方向に向かう旋回流となり、硬化材液の周りを押圧する方向の圧縮空気旋回流が形成される。これにより、セメントミルクの周りを旋回する圧縮空気旋回流が分散され難くすることができるとともに、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの噴射直後のセメントミルク噴射流が半径方向に大きく増大し難くなり、セメントミルク噴射流の直進性を維持でき速度が減速され難くなるので、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。ここで、図16は、本発明の第1実施形態における高圧噴射ノズル装置の先端ノズルからの噴射状態を示す図である。
また、高圧噴射ノズル装置1Aは、噴射が完了するまで回転噴射→注入ロッド2引上げ→回転噴射が繰り返される。このように、注入ロッド2が回転噴射されながら引上げられると、下方に滞留した「土壌とセメントミルクの混合物」が、材液噴射ノズル21(ノズル本体部24の先端)から噴射されたセメントミルクの周りを旋回する圧縮空気旋回流により攪拌されるので、土壌とセメントミルクの混合物が上昇しやすくなり、エアーリフト効果が向上し、攪拌された土壌とセメントミルクの混合物が排泥として、地上に効率よく排出することができる(図17参照)。
また、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの外周周辺部でキャビテーションによるキャビティ(気泡)が存在しても、空気噴射ノズル22(エアカバー25の内周面と外周傾斜溝部材32Aの外周面との間の先端)から噴射された圧縮空気がセメントミルクの周りを隙間なく包括しながら旋回するので、セメントミルクが地盤と接し難くなり、セメントミルク噴射流の外周周辺部で存在するキャビティの崩壊を防ぐことができる(図16参照)。これにより、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。すなわち、空気噴射ノズル22から旋回しながら噴射された圧縮空気によりセメントミルクの周りが隙間なく包括されるので、セメントミルクが地盤と接し難くなり、セメントミルクの外周周辺部で発生したキャビティの崩壊を防ぐことができる。これにより、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。ここで、図17(a)はモニター周辺の排泥が地上に排出される状態を示す図であり、図17(b)は同高圧噴射ノズル装置周辺の排泥が地上に排出される状態を示す図である。
次に、注入ロッド2が1回転された状態で、注入ロッド2を所定の長さ(例えば、10cm以下(好ましくは、5.0cm(より好ましくは、2.5cm))引き上げる。そして、噴射ノズル(材液噴射ノズル21、空気噴射ノズル22)からの噴射が完了するまで、時計回りの回転噴射→注入ロッド2引上げ→時計回りの回転噴射→注入ロッド2引上げ→時計回りの回転噴射→注入ロッド2引上げが繰り返される。なお、第1実施形態では、注入ロッド2を時計回りに回転させたが、これに限らず、注入ロッド2を反時計回りに回転させてもよい。この場合は、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aは、先端方向に向かって斜め略左方向に傾斜される。
次に、クレーン等により注入ロッド2が掘削孔から引き上げられ、掘削孔内から抜き出される。上記の施工手順により、地中に円柱形状の固結体が造成される。
次に、本実施形態の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)を用いた高圧噴射ノズル装置1Aの噴射流について、図18および図19を用いて、背景技術(特許6754914号公報)のエアカバー(旋回エアカバーB)を用いた高圧噴射ノズル装置100、および傾斜溝が形成されていないエアカバー(標準エアカバーA)を用いた高圧噴射ノズル装置の噴射流と比較して説明する。この比較例においては、材液噴射ノズルから「セメントミルク」を噴射させるのではなく、材液噴射ノズルから「噴射水」を噴射させて、それぞれの噴射流を比較している。ここで、「標準エアカバーA」は「傾斜溝が形成されていないエアカバー」で、「旋回エアカバーB」は「内周面に傾斜溝125aが形成されているエアカバー125」で、「旋回インナーC」は「外周面に傾斜溝32aが形成された外周傾斜溝部材32A」である。また、図18は高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の「衝突荷重の標準偏差値」を示す図であり、図19は高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の「衝突荷重の平均値」を示す図である。ここで、図18は、横軸が「ノズル-標的距離(高圧噴射ノズル装置と標的の間の距離)」で、縦軸が「標準偏差(衝突荷重標準偏差値)」であり、図18では、「高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の標的からの振れの大きさ」を「高圧噴射ノズル装置から標的までの所定の距離間隔」毎に示されている。また、図19は、横軸が「ノズル-標的距離(高圧噴射ノズル装置と標的の間の距離)」で、縦軸が「衝突荷重の平均値」であり、「高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水が標的に衝突する衝突荷重の平均値」を「高圧噴射ノズル装置から標的までの所定の距離間隔」毎に示されている。
図18に示すように、高圧噴射ノズル装置から標的までのすべての距離(「1600mm、1800mm、2000mm、2200mm」)において、本実施形態の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)を用いた高圧噴射ノズル装置1Aの材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」を用いた高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水よりも、「衝突荷重の標準偏差値」が小さくなっている。
このように、本実施形態の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)を用いた高圧噴射ノズル装置1の材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水が、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」を用いた高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水よりも、「衝突荷重の標準偏差値(標的からの移動振れ(「上下方向の往復移動振れ」や「左右方向の往復移動振れ」))が小さくなっているのは、本実施形態の高圧噴射ノズル装置1の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)は、外周面が先端方向へ縮径し、先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝32aが形成されているので、外周傾斜溝部材32Aの外周面に設けられた傾斜溝32aにより、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気は中央方向に向かう旋回流となり、噴射水の周りを押圧する方向の圧縮空気旋回流が形成され、噴射水の周りを旋回する圧縮空気旋回流が分散され難くなり、材液噴射ノズル21から噴射された噴射水が半径方向に大きく増大し難くなるからであると考えられる。これにより、本実施形態の高圧噴射ノズル装置1の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」よりも、高圧噴射ノズル装置1の材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水の標的からの移動振れ(「上下方向の往復移動振れ」や「左右方向の往復移動振れ」)が小さくなっている。
また、図19に示すように、本実施形態の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)を用いた高圧噴射ノズル装置1Aの材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」を用いた高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水よりも、高圧噴射ノズル装置から標的までのすべての距離(「1600mm、1800mm、2000mm、2200mm」)において、材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の衝突荷重の平均値(標的への衝撃力)が大きくなっている。
このように、本実施形態の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)を用いた高圧噴射ノズル装置1の材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水が、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」よりも、材液噴射ノズル21から噴射させた噴射水の標的への衝撃力が大きくなっているのは、本実施形態の高圧噴射ノズル装置1の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)は、外周面が先端方向へ縮径し、先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝32aが形成されているので、外周傾斜溝部材32Aの外周面に設けられた傾斜溝32aにより、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気は中央方向に向かう旋回流となり、噴射水の周りを押圧する方向の圧縮空気旋回流が形成され、噴射水の周りを旋回する圧縮空気旋回流が分散され難くなり、材液噴射ノズル21から噴射された噴射水が半径方向に大きく増大し難くなるからであると考えられる。これにより、本実施形態の高圧噴射ノズル装置1の外周傾斜溝部材32A(旋回インナーC)は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」よりも、材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の衝突荷重の平均値(標的への衝撃力)が大きく、材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の標的への衝撃力が大きくなっている。
以上のように、「旋回インナーC」は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」と比較して、高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の標的からの移動振れ(「上下方向の往復移動振れ」や「左右方向の往復移動振れ」)が小さいとともに、材液噴射ノズルから噴射させた噴射水の標的への衝撃力が大きいことから、材液噴射ノズルから噴射させた噴射水をセメントミルクとした場合においても、高圧噴射ノズル装置の材液噴射ノズルから噴射させたセメントミルクの標的からの移動振れが小さく、材液噴射ノズルから噴射させたセメントミルクの標的への衝撃力が大きくなるということができる。このことから、「旋回インナーC」は、「標準エアカバーA」および「旋回エアカバーB」と比較して、材液噴射ノズルから噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができるということができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の高圧噴射ノズル装置の第2実施形態について、図20~図23を用いて説明する。ここで、図20(a)は本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置が装着されたモニターの外観斜視図であり、図20(b)は同高圧噴射ノズル装置の正面図であり、図21は図20(b)のJ-J断面図であり、図22(a)は本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図であり、図22(b)は図22(a)のK-K断面図であり、図23は本発明の第2実施形態における高圧噴射ノズル装置の噴射ノズルからの噴射状態を示す図である。
第2実施形態と第1実施形態の異なるところは、第1実施形態では、中空形状の外周傾斜溝部材32Aは、内径がノズル本体26の外径と略同一に形成され、圧縮空気噴射時において、外周傾斜溝部材32Aがノズル本体26の外周面円周方向に回転しない状態で、圧縮空気が噴射されるのに対し、第2実施形態では、外周傾斜溝部材50は、内径がノズル本体26の外径よりも大きく形成され、圧縮空気噴射時において、外周傾斜溝部材50をノズル本体26の外周面円周方向に回転させながら圧縮空気が噴射されるところなどが異なる(図20参照)。具体的には、後述する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
外周傾斜溝部材50は、内周面に突起部50bが円周上等間隔に4個形成され、内径がノズル本体26先端部の外径よりも大きく形成され、また、外周傾斜溝部材50外周面(最も突出している部分)は湾曲形状の湾曲外周面50cで形成されている(図20(b)参照)。そして、外周傾斜溝部材50がノズル本体26先端方向から挿入されると、内周面の突起部50bがノズル本体26の外周面に当接され、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26の外周面との間には円周方向に隙間を有することになる。このように、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26の外周面との間に隙間を有することにより、外周傾斜溝部材50の傾斜溝50aの傾斜面が、モニター3内の空気流路10から供給された圧縮空気により押圧されると、外周傾斜溝部材50をノズル本体26の外周面円周方向に回動させることができる。なお、本実施形態では、外周傾斜溝部材50の内周面には、突起部50bが円周上等間隔に4個形成されたが、これに限らず、3個~8個形成されてもよく、円周上等間隔の位置に形成させていなくてもよい。
また、外周傾斜溝部材50の湾曲外周面50cが湾曲形状で形成されているので、外周傾斜溝部材50がノズル本体26の外周面円周方向に回動する際に、外周傾斜溝部材50の湾曲外周面50cとエアカバー25内周面との接触面積が少なくなり、回転している外周傾斜溝部材50の湾曲外周面50cとエアカバー25内周面との抵抗力が小さくなるため、外周傾斜溝部材50をノズル本体26の外周面円周方向に、より高速で回転させることができ、空気噴射ノズル22から圧縮空気を旋回させながらより強く噴射させることができる。
また、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26の外周面の間には空気流路49が形成され、空気流路49の先端には圧縮空気噴射口48が形成されている(図21参照)。この圧縮空気噴射口48の開口面積は、空気噴射ノズル22の開口面積より小さく形成されているので、圧縮空気噴射口48から噴射される圧縮空気は、空気噴射ノズル22から噴射される圧縮空気より高速で噴射させることができる。このように、モニター3内の空気流路10から供給された圧縮空気は、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26外周面との間の空気流路49を介して、その空気流路49先端の圧縮空気噴射口48から高速で噴射される。
このように、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26の外周面との間の空気流路49先端の圧縮空気噴射口48から圧縮空気が高速で噴射されることにより、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの周りを覆う圧縮空気噴射層が形成され、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気旋回流が、圧縮空気噴射層を介して材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの周りを旋回することにより、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクが、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気旋回流に圧縮空気噴射層を介してより中央方向に強く押圧されるので、材液噴射ノズル21から噴射直後のセメントミルク噴射流とその周りの地盤とが接し難くすることができる(図23参照)。これにより、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。
また、外周傾斜溝部材50の内周面の突起部50bがノズル本体26外周面に当接されることにより、ノズル本体26の外周面円周方向に回動する外周傾斜溝部材50が変動され難くなり、外周傾斜溝部材50の内周面とノズル本体26の外周面との間の空気流路49先端の圧縮空気噴射口48から噴射される圧縮空気の厚さを均一に保持することができる。これにより、圧縮空気噴射口48から噴射された圧縮空気がセメントミルク噴射流の周りを隙間なく覆うことができ、セメントミルク噴射流とその周りの地盤とをより接し難くすることができる。なお、第2実施形態では、外周傾斜溝部材50をノズル本体26の周りを回転させるようにしたが、これに限らず、外周傾斜溝部材50がノズル本体26の周りを回転しないようにしてもよい。この場合においても、圧縮空気噴射口48から噴射された圧縮空気により材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの周りを覆う圧縮空気噴射層が形成され、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気旋回流が、圧縮空気噴射層を介して材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクの周りを旋回することにより、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクが、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気旋回流に圧縮空気噴射層を介してより中央方向に強く押圧されるので、材液噴射ノズル21から噴射直後のセメントミルク噴射流とその周りの地盤とが接し難くすることができる。これにより、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、空気流路49先端の圧縮空気噴射口48から圧縮空気が噴射されるとともに、外周傾斜溝部材50が回転されながら空気噴射ノズル22から圧縮空気が噴射されるので、圧縮空気噴射口48から噴射された圧縮空気によりセメントミルク噴射流の周りが隙間なく覆われ、そして、外周傾斜溝部材50がノズル本体26の周りを高速で回転されることにより、空気噴射ノズル22から圧縮空気が旋回されながらより強く噴射される。これにより、材液噴射ノズル21から噴射されたセメントミルクが、空気噴射ノズル22から噴射された圧縮空気旋回流により圧縮空気噴射層を介し中央方向に強く押圧されるので、材液噴射ノズル21から噴射されるセメントミルクの速度が衰えない領域(ポテンシャルコア領域)をより長く維持させることができ、セメントミルクをより遠距離まで噴射させることができる。
次に、本発明の高圧噴射ノズル装置の変形例について説明する。ここで、高圧噴射ノズル装置の長さはモニター3の直径により決定され、本発明の高圧噴射ノズル装置は長さが20mm~40mmのものが用いられることから、下記の変形例では、その長さ20mm~40mmの高圧噴射ノズル装置に対応した外周傾斜溝部材について説明する。
(変形例1)
まず、本発明の高圧噴射ノズル装置の変形例1について、図24を用いて説明する。ここで、図24(a)は本発明の変形例1における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図であり、図24(b)は図24(a)のG-G断面図であり、図24(c)は本発明の変形例1における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、図24(d)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、図24(e)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図であり、図24(f)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。
変形例1と上記実施形態が異なるところは、上記実施形態では、長さ18mmの外周傾斜溝部材32Aで、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの凹部点は、後端P1点から先端P2点に向かって、円周方向に32.6度(「ネジレ角」)傾斜していたのに対し(図14(e)、(f)参照)、変形例1では、長さ25mmの外周傾斜溝部材32Bで、外周傾斜溝部材32Bの傾斜溝32bの凹部点は、後端PP1点から先端PP2点に向かって、円周方向に13.0度(「ネジレ角」)傾斜して形成されている点(図24参照)が異なる。
すなわち、直径140mmのモニター3が用いられる場合は、外周傾斜溝部材32Bは、「外周傾斜溝部材32B後端の傾斜溝32bの凹部点(PP1点)から外周傾斜溝部材32Bの中心軸と平行方向に下ろした先端点PP3までの長さ(外周傾斜溝部材32Bの後端から先端までの長さ)」が25mmで形成され、「先端点PP3と外周傾斜溝部材32B先端の傾斜溝32Bの凹部点(PP2点)とを繋げた線の横方向の長さ」は5.7mmで形成される。そして、この外周傾斜溝部材32Bの傾斜溝32bは、凹部点が、後端から先端に向かって円周方向に13.0度(「ネジレ角」)傾斜しながら形成されている(図24参照)。つまり、外周傾斜溝部材32Bの傾斜溝32bは、後端から先端に向かって螺旋状に傾斜し、先端方向に向かって13.0度傾斜するように形成される。
このように、上記実施形態で用いられていた外周傾斜溝部材32A(長さ18mm)と比較して、長さが長い外周傾斜溝部材32B(長さ25mm)を用いる場合は、外周傾斜溝部材32Bは、外周傾斜溝部材32Bの傾斜溝32bと傾斜溝32bとの間隔を考慮して、外周傾斜溝部材32Bの傾斜溝32bは、凹部点が、後端から先端に向かって円周方向に13.0度の「ネジレ角」まで傾斜させながら形成することができる。
(変形例2)
次に、本発明の高圧噴射ノズル装置の変形例2について、図25を用いて説明する。ここで、図25(a)は本発明の変形例2における高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の正面図であり、図25(b)は図25(a)のH-H断面図であり、図25(c)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材後端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、図25(d)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材先端面の傾斜溝の凹部直径と凸部直径を示す図であり、図25(e)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の側方斜視図であり、図25(f)は同高圧噴射ノズル装置の外周傾斜溝部材の傾斜角の算出方法を示す図である。
変形例2と上記実施形態が異なるところは、上記実施形態では、長さ18mmの外周傾斜溝部材32Aで、外周傾斜溝部材32Aの傾斜溝32aの凹部点は、後端P1点から先端P2点に向かって、円周方向に32.6度(「ネジレ角」)傾斜していたのに対し(図14(e)、(f)参照)、変形例2では、長さ10mmの外周傾斜溝部材32Cで、外周傾斜溝部材32Cの傾斜溝32cの凹部点は、後端PPP1点から先端PPP2点に向かって、円周方向に56.0度(「ネジレ角」)傾斜して形成されている点(図25参照)が異なる。
すなわち、直径50mm~60mmのモニター3が用いられる場合は、外周傾斜溝部材32Cは、「外周傾斜溝部材32C後端の傾斜溝32cの凹部点(PPP1点)から外周傾斜溝部材32Cの中心軸と平行方向に下ろした先端点PPP3までの長さ(外周傾斜溝部材32Cの後端から先端までの長さ)」が10mmで形成され、「先端点PPP3と外周傾斜溝部材32C先端の傾斜溝32cの凹部点(PPP2点)とを繋げた線の横方向の長さ」は14.7mmで形成される。そして、この外周傾斜溝部材32Cの傾斜溝32cは、凹部点が、後端から先端に向かって円周方向に56.0度(「ネジレ角」)傾斜しながら形成されている(図25参照)。つまり、外周傾斜溝部材32Cの傾斜溝32cは、後端から先端に向かって螺旋状に傾斜し、先端方向に向かって56.0度傾斜するように形成される。
このように、上記実施形態で用いられていた外周傾斜溝部材32A(長さ18mm)と比較して、長さが短い外周傾斜溝部材32C(長さ10mm)を用いる場合は、外周傾斜溝部材32Cは、外周傾斜溝部材32Cの傾斜溝32cと傾斜溝32cとの間隔を考慮して、外周傾斜溝部材32Cの傾斜溝32cは、凹部点が、後端から先端に向かって円周方向に56.0度の「ネジレ角」まで傾斜させながら形成することができる。
以上の変形例1および変形例2から、モニター3の大きさに伴って高圧噴射ノズル装置の大きさが変動することにより、「外周傾斜溝部材(32B、32C)後端の傾斜溝(32b、32c)の凹部点(PP1、PPP1)から外周傾斜溝部材(32B、32C)の中心軸と平行方向に下ろした先端点(PP3、PPP3)までの長さ」および「先端点(PP3、PPP3)と外周傾斜溝部材(32B、32C)先端の傾斜溝(32b、32c)の凹部点(PP2、PPP2)とを繋げた線の横方向の長さ」が変動し、そしてこれらにより求められた「外周傾斜溝部材(32B、32C)の傾斜溝(32b、32c)の傾斜角(「ネジレ角」)」は略13.0度~略56.0度の範囲で変動する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。さらに本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1A 高圧噴射ノズル装置
1B 高圧噴射ノズル装置
2 注入ロッド
2a 注入ロッド内管
2b 注入ロッド外管
2c 注入ロッド突起部
3 モニター
3a モニター内管
3b モニター外管
3c モニター上部管内突起部
4 先端ノズル
5 作業機
6 スイベル
7 セメントミルク兼用水供給路
8 空気供給路
9 セメントミルク兼用水流路
10 空気流路
11 水供給源
12 空気供給源
13 セメントミルク供給源
14 水供給ホース
15 空気供給ホース
16 セメントミルク供給ホース
19 結合ピン挿入口
19a 結合ピン挿入孔
20a 結合ピン注入ロッド凹部
20b 結合ピンモニター凹部
21 材液噴射ノズル
22 空気噴射ノズル
23 ノズル本体部取付孔
24 ノズル本体部
25 エアカバー
26 ノズル本体
27 ノズル本体延長部
28 後端内径部
29 中間内径部
30 先端内径部
31 流路分割部
32A 外周傾斜溝部材
32a 傾斜溝
32B 外周傾斜溝部材
32b 傾斜溝
32C 外周傾斜溝部材
32c 傾斜溝
34 差圧弁
35 モニター上部管
36 結合ピン
36a スプリングピン
36b スプリングピン
39 モニター下部管
43 エアカバー取付孔
48 圧縮空気噴射口
49 空気流路
50 外周傾斜溝部材
50a 傾斜溝
50b 突起部
50c 湾曲外周面

Claims (6)

  1. 注入ロッド内の軸方向に形成された硬化材液供給管内と連通し、該注入ロッドの先端と連結したモニターの側面に設けられる高圧噴射ノズル装置であって、
    内周面が先端方向へ縮径して形成されたテーパ面状の中間内径部と、該中間内径部の先端と連通し、直径が該中間内径部の先端の直径と略同径である先端内径部と、該中間内径部の後端と連通し、直径が該中間内径部の後端の直径と略同径、もしくは該略同径から後端方向へ拡径して形成された後端内径部とからなる中空形状の硬化材液流路が構成されたノズル本体部と、
    前記ノズル本体部の先端部に嵌合され、外周面が先端方向へ縮径し、該外周面に先端方向に向かって斜め略同方向に傾斜する傾斜溝が複数個形成された中空形状の外周傾斜溝部材と、
    内周面と前記外周傾斜溝部材の外周面との間に圧縮空気流路が構成されたエアカバーと、を有し、
    該エアカバーの内周面と前記外周傾斜溝部材の外周面との間の先端から噴射された圧縮空気は、前記ノズル本体部の先端から噴射された硬化材液の周りを旋回流として覆うので、前記ノズル本体部の先端内径部から噴射される硬化材液の切削能力が増大され、硬化材液をより遠距離まで噴射することを特徴とする高圧噴射ノズル装置。
  2. 前記外周傾斜溝部材の傾斜溝は、該外周傾斜溝部材の外周面に略同形状で形成され、6個~12個の範囲内で設けられていることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射ノズル装置。
  3. 前記外周傾斜溝部材の傾斜溝は、該外周傾斜溝部材の外周面に先端方向に向かって略13.0度~略56.0度の範囲内で斜めに傾斜していることを特徴とする請求項2記載の高圧噴射ノズル装置。
  4. 前記ノズル本体部の後端内径部には、中空形状断面を複数の空間に分割する流路分割部が形成され、
    該流路分割部で分割された流路の断面合計面積は、該流路分割部近傍の前記後端内径部の前記中空形状断面における断面積の40%~60%であることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射ノズル装置。
  5. 前記外周傾斜溝部材は、該外周傾斜溝部材の内周面と前記ノズル本体部と外周面の間に空気流路が形成され、該外周傾斜溝部材の内周面と該ノズル本体部の外周面の間の先端から圧縮空気が噴射されることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射ノズル装置。
  6. 前記モニターに装着された請求項1~請求項5のいずれか1項記載の前記高圧噴射ノズル装置を備えた地盤改良装置。
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