以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、以下の説明で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。また、以下の各実施形態において、同一ないし相当する部材には同一の参照符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
<実施形態1>
図1は本実施形態で製造される部品200を示している。
部品200は、例えば画像形成装置のカートリッジに用いられるクリーニングユニットで、それぞれ単一部材であり、かつ別体の樹脂部材(成形部材)から組立てられる。図1に示すように、部品200は樹脂部材1、および樹脂部材2からなる。樹脂部材1および2は後述の成形組立装置によって、各部材の材料としての溶融樹脂の射出成形および組立が行なわれることで一体化、ユニット化されクリーニングユニットとなる。
特に、樹脂部材1および2は、金型の1面に並設された成形部を用いてそれぞれ射出成形される。その後、成形済みの樹脂部材2または1のいずれか一方(下記の例では樹脂部材2)を保持する駒型を反転、移動させて、他方の樹脂部材1または2(下記の例では樹脂部材1)に組み付けられる。この時、例えば突起~溝などを介した嵌合ないし係合構造を介して樹脂部材1および2が結合される。
次に、部品200を組立てるための成形組立装置、特にその金型構成を図2~図4を用いて説明する。図2~図4は、本実施形態の製造装置として、成形組立装置の構成を示している。図2(a)は成形組立装置の斜視図、図2(b)は上面図である。図2(a)は金型5、金型6を備えた金型構成の全体を示している。また、図3は金型5を図2(a)の右方から、図4は金型6を図2(a)の左方から示している。
本実施形態の金型は図2に示すように、金型5と金型6とで構成される。図3に示すように金型5は、樹脂部材1、2を成形する部位である成形部21、22を有する。成形部21、22は、金型5の1面に並設されている。
また、図4に示すように、金型6は、金型5の成形部21、22と対向して配置された成形部31、32を有している。これら、成形部31、32は、金型6の1つの同じ金型面に並設されている。
樹脂部材2の成形部である金型6の成形部32は、金型6に対して着脱可能な駒型32a(例えば図5)から構成されている。成形部32のZa方向に沿った金型6の両端部には駆動手段10a、10bがそれぞれ設けられている。駆動手段10a、10bは、成形済みの樹脂部材2を保持した状態で駒型32aを反転、移動させて、成形部31が保持する樹脂部材1に組み付ける反転移動装置に相当する。駆動手段10a、10bの細部の構成については、以下で詳述する。
本実施形態の成形組立装置では、金型5、金型6のうち、例えばいずれか1つを固定金型として射出成形機の架台などに固定し、この固定金型に対して他の金型を可動金型として構成することができる。本実施形態では、便宜上、金型5が射出成形機の架台などに固定された固定金型として構成され、金型5には射出成形機の不図示の溶融樹脂の射出機構が接続されているものとする。
図2(a)に示すように、本実施形態の成形組立装置は、同図の左右方向に伸びる複数本(この例では4本)のガイド501を備える。ガイド501は、例えば固定金型たる金型5に対して固定されるとともに、金型6を貫通して可動金型たる金型6をガイドする。例えば、不図示の射出成形機の適当な駆動系により金型6のガイド501上での位置を制御することにより、例えば回転金型6と金型5を相対移動させ、型締め、または型開きすることができる。
次に、上記構成における成形組立動作、部品200の製造方法について説明する。本実施形態では、第1工程~第4工程を経て、図1に示した樹脂部材1、2を成形し、合体してユニット化され、部品200となる。以下、これらの各工程について説明する。
まず、第1工程について、図5~図7を用いて説明する。図5は金型5、6が型閉じする時の様子を示している。図6(a)は、金型5、6が型閉じした後の状態で、図6(b)は、図6(a)のA-A線に沿った断面(水平断面)を示している。また、図7は図6(b)と同様の形式で樹脂部材1、2が射出成形された状態を示している。
第1工程(成形工程)では、図5に示すように、金型6を金型5のX1方向、即ち相互に近接する方向へ移動させ、金型5と金型6を型閉じする。金型の移動には、射出成形機(不図示)に配置された駆動手段が用いられる。ただし、この金型5、6の相対移動については、射出成形機(不図示)に金型6が固定金型として装着されているのであれば、金型5の方が移動されるものであってもよい。
図6(a)、(b)は、金型5、6が型閉じした後の状態を示している。特に、図6(b)は、この型閉じ状態における金型5、6の水平断面(図6A-A線)を示している。図6(b)に示すように、この型閉じ状態においては、金型5の成形部21、22と金型6の成形部31、32が対向、密着して、両者の間に樹脂部材1、2をそれぞれ成形するためのキャビティ80a、80bが画成される。
上記のように、金型6の成形部31、32は、具体的には駒型31a、32aにより構成される。以下では、便宜上、成形部31ないし駒型31aを第1の成形部、成形部32ないし駒型32aを第2の成形部、ということがある。
本実施形態では、これらの成形部のうち、少なくとも第2の成形部(32、特に駒型32a)は、金型6から取り外し可能に構成される。そして、この第2の成形部(32、特に駒型32a)は、反転移動装置としての駆動手段10a、10bによって、金型6の金型面から取り外し、金型面に対して反転、移動させることができる。これにより、後述のように、第2の成形部(32、特に駒型32a)を、第1の成形部(31、特に駒型31a)に対向するよう、反転、移動させ、それぞれの成形部で成形した樹脂部材2、1を組立てる。
続いて、図7に示すように、それぞれ対向する金型5の成形部21、22と金型6の成形部31、32とで各々形成される複数のキャビティ80a、80b内に溶融樹脂を射出し、図7に示すように複数の樹脂部材1、2を射出成形する。この溶融樹脂の射出には、例えば金型5に接続された射出成形機の不図示の射出機構が用いられる。
次に、第2工程について、図8、図9を用いて説明する。この第2工程は、後述の第3工程(組立て工程)の準備段階に相当し、主に金型5、6を型開きする工程である。図8は、金型5、6を型開きした状態を、また、図9は、成形部31、32に射出成形された樹脂部材1,2を保持している状態をそれぞれ示している。
この第2工程では、図8に示すように、金型6を金型5から離れるX2方向へ相対移動させて型開きする。この時、図9に示すように、樹脂部材1、2は、金型5の成形部21、22からそれぞれ離型して金型6の成形部31、32に各々保持された状態となる。このような態様で型開きを行うには、金型6、金型5のそれぞれの側に配置する金型形状を選択することなどによって、予めそれぞれの金型の保持力を決定しておく。あるいは、必要であれば離型用のピンなどを金型5側に配置する構造であってもよい。
次に、第3工程(組立て工程)について、図9、図10を用いて説明する。図10は、図9のZ1方向からの上面図示に相当する。この第3工程(組立て工程)では、金型の成形部32に保持されている樹脂部材2を、成形部31に保持されている樹脂部材1に駆動手段10a、10bを用いて金型面上で反転、移動させて樹脂部材2を樹脂部材1に組み付ける。
図10(a)~(c)は、第2の成形部(32、特に駒型32a)を、第1の成形部(31、特に駒型31a)に対向するよう、反転、移動させるための、図9の上側の駆動手段10aの構成および動作を示している。なお駆動手段10bの構造も部材配置の上下関係が逆である以外は駆動手段10aと同様である。図10(a)において、駆動手段10aは、ガイド部として設けられたU字型の溝50aを有している。成形部32(駒型32a)の上端面には、軸40a、40bが突設されており、溝50aに係合している。
一方、ギア121aの回動軸にはレバー51aが固定されており(図11(a)、(b))、このレバー51aは、軸40a、40bの間に係合している。ギア121aはギア120aと噛合し、詳細不図示であるが、ギア120aは、電動モータなどの駆動源によって回転駆動される。この第3工程(組立て工程)におけるギア120a、121aの回転駆動方向はRa、Rb(図10(a)、(b))である。このような構造により、駆動手段10aのレバー51aを揺動させると、図10(a)、(b)、(c)に示すように成形部32(駒型32a)に突設された軸40a、40bが溝50aに沿って移動する。
これに伴なって、図10(a)、(b)、(c)に2点鎖線で示すように、樹脂部材2を保持した成形部32(駒型32a)が、金型6の金型面から取り外され、金型面に対して反転、移動され、成形部31(駒型31a)と対向する位置、姿勢に制御される。
以上のように、駆動手段10aによって、成形部32(駒型32a)を金型面に対して反転、移動し、成形部32(駒型32a)に保持された樹脂部材2を、成形部31(駒型31a)と保持された樹脂部材1に対向させることができる。そして、駆動手段10aにより、成形部32(駒型32a)をさらに押圧することなどによって、樹脂部材2を樹脂部材1に組付けることができる。なお、樹脂部材2および樹脂部材1には、駆動手段10aの駆動力によって結合可能な突起~溝などの嵌合構造(クリックストップ)などが射出成形されているものとする。以上では、成形部32(駒型32a)の上側の駆動手段10aの動作について説明したが、成形部32(駒型32a)の下側の駆動手段10bも同様に動作するのはいうまでもない。
次に、成形、および組立てされた部品200を離型し、取り出す第4工程について、図10~図12を用いて説明する。図11(a)、(b)は、成形部32から樹脂部材2を離型させる時の駆動手段10aの動作を、また、図12は、成形、および組立てされた部品200を金型6から離型させる動作を示している。
上記のように樹脂部材1、および2から、例えば内部に空間を有する部品200が組立てられた後、成形部32を図10(c)、(b)、(a)のように、上述とは逆順序で動作させる。また、図11(a)は、図10(c)、図11(b)は、図10(b)にそれぞれ相当する位置に駆動手段10aが位置する状態を斜視図として示している。
この第4工程における、駆動手段10aのギア120a、121aの回転駆動方向はRc、Rd(図11(a))である。なお、詳細不図示であるが駆動手段10bも同様の動作を行うのはいうまでもない。このように駆動手段10a(および10b)を、上記のRa、Rbとは逆方向に動作させると、図10(c)、(b)、(a)のように樹脂部材2が成形部32(駒型32a)から離型される。そして、組立てられた部品200が成形部31(駒型31a)側に残る(図11(b))。
このような離型形態を形成するには、第3工程(組立て工程)で組付けられた樹脂部材2と樹脂部材1との結合(保持)力が成形部32と樹脂部材2の保持力より大きければよい。そのような樹脂部材2と樹脂部材1との結合(保持)力は、両者の間の嵌合構造(クリックストップなど)の設計条件を選ぶことにより容易に得ることができる。
さらに、図12に示すように、金型6に内蔵されたエジェクタピン100によって部品200を離型し、成形、組立てされた部品200を成形組立装置から取り出すことができる。
以上のように、本実施形態によれば、部品200を構成する樹脂部材1、2は、同一の金型面に並設された第1の成形部31と、金型面から取り外し可能な第2の成形部32とによって、同じ成形工程で射出成形される。このため樹脂部材1、2は、極めて精度よく射出成形することができる。さらに、本実施形態では、駆動手段10a、10b(反転移動装置)により、第2の成形部32を金型面から取り外し、金型6の金型面に対して反転、移動させる。そして、第2の成形部32を第1の成形部31に対向させ、第2の成形部32によって成形された樹脂部材2を、第1の成形部31によって成形された樹脂部材1に装着する。このように、本実施形態では、樹脂部材1、2が金型6の保持部に保持されたまま、金型6の1つの金型面上で組立てられるため、高精度な組立てが実現できる。従って、高精度に部品200を製造することができる。
<実施形態2>
次に、上記の、金型面に第1、および/または第2の成形部を有する金型を回転金型構成とし、複数の工程位置に順次回動させて、成形ないし組立工程を実行する成形組立装置の構成を示す。回転金型の金型面が回動する工程位置では、第1、および/または第2の成形部に対して製造機構を相対移動させて部品を製造するための異なる製造工程を実行する。回転金型の周囲の複数の異なる工程位置には、工程順に配置され、複数の製造機構が配置される。この複数の製造機構は、成形部に対して相対移動して前記部品を製造するための異なる製造工程を実行するもので、後述の金型5a、7a、スライド金型7a、7bなどがこれに相当する。
以下、本実施形態2の構成および動作を図13~図29を用いて説明する。本実施形態2では、上述の樹脂部材1および2にさらに他の樹脂部材(成形部材)を結合し、一体化する工程を含む。
図13は、本実施形態で成形する部品200aを示す。部品200aは、画像形成装置の部品を構成する部品であって、樹脂部材1a、樹脂部材2a、接合部材4から構成されている。部品200aは、例えば画像形成装置のカートリッジに用いられるクリーニングユニットや現像剤ユニットである。本実施形態では、樹脂部材1a、2a、と接合部材4は、後述する成形組立装置によって溶融樹脂を射出して成形、組立され、一体(ユニット)化され、画像形成装置の部品となる。200aが一体(ユニット)化された状態では、樹脂部材1aと樹脂部材2aは接合部材4によって接合される。
まず、部品200aを組立てるための成形組立装置の構成、特に金型構成を図14~図16を用いて説明する。図14(a)は成形組立装置の全体を示し、図14(b)は図14(a)の成形組立装置をZb方向から見た上面図に相当する。また、図15は成形部を有する金型5aの(図14(a)の左方から見た)正面の構造を、図16は回転金型6aの第1の成形面30aの(図14(a)の右方から見た)正面の構造をそれぞれ示す。
図14(a)、(b)に示すように、金型は成形部を有する金型5aと、枠11に支持された成形部を有する回転金型6aと、金型7と、を備える。本実施形態では、回転金型6aの回転軸90の中心に対して枠11が配置されていることで、枠11と回転金型6aが高精度に位置決めされる。
これらの金型の内、例えばいずれか1つを固定金型として射出成形機の架台などに固定し、この固定金型に対して他の2つの金型を可動金型として構成することができる。本実施形態では、便宜上、金型5aが射出成形機の架台などに固定された固定金型として構成され、金型5aには、射出成形機の不図示の溶融樹脂の射出機構が接続されているものとする。
枠11は、例えば図示のように4本の支柱部を備えた枠体で、回転金型6aは、回転軸90を回動中心として、枠11に対して回動自在に支持されている。回転金型6aは、例えば枠11の下部に配置された電動モータおよび変速機構などから成る駆動部12によって、回転軸90を中心に例えばR方向に特定の回動位置を取るように回動させ、位置決めすることができる。
回転金型6aは少なくとも2面以上の成形面を持ち、駆動部12によって、例えば図14(b)の複数の工程位置150a、150bに回動させることができる。本実施形態では回転金型6aの全体がほぼ四角柱形状であって、それぞれ同一の第1および第2の成形部を有する成形面30a、30bを2つ、対向する金型面に有する。また、工程位置150(図14(b))において、部品200aの接合部材4を射出成形するため、射出ユニット9が金型7に配置されている。
なお、本実施形態では、回転金型6aには、同一の第1および第2の成形部を有する成形面30a、30bを2面設けている。これは同じ回転金型6a上で2つの同じ部品200aの製造工程を進行させることができることを意味する。ただし、回転金型6aに成形面30a、30bと同等の成形面を3つ以上配置しても良い。その場合には、3つ以上の同じ部品200aの製造工程を進行させることができる。
図14(a)、(b)に示すように、本実施形態の成形組立装置は同図の左右方向に伸びる複数本(この例では4本)のガイド501を備える。本実施形態では、ガイド501は、固定金型たる金型5aに対して固定され、ガイド501は、枠11および金型7を図示のように貫通している。そして、例えば射出成形機(不図示)の適当な駆動系により枠11および金型7のガイド501上での位置を制御することにより、例えば回転金型6aと金型5a、あるいは、回転金型6aと金型7を相対移動させ、型締め、または型開きすることができる。
なお、本実施形態では、上記のように金型5aが固定金型であるものとするが、これは便宜上のものであって、回転金型6aと金型5a、あるいは、回転金型6aと金型7とが相対移動できる構成であればよい。そして、この相対移動のため、金型5a、7、回転金型6aないしそれを支持する枠11のいずれが固定金型(ないしは可動金型)として構成されていてもよい。あるいは、相対移動する2つの金型が両方とも動くような構成であっても構わないし、全ての金型が可動金型であっても本発明の構成には影響しない。
また、本実施形態の成形組立装置は、第1の工程位置150a、および第2の工程位置150bを有する。ここで、金型7、6a、5aを開閉する方向をX方向、X方向に直行する方向をY方向と定義する(図14(b))。
また、本実施形態の成形組立装置では、製造機構(例えば金型5a)と、回転金型6aの1つの金型面(成形面30aまたは30b)との相対移動に同期して型締めまたは型開きされる第1のスライド金型7a、7bを設けている(図14(a))。この第1のスライド金型7a、7bは、第1の工程位置150aにおいて、アンギュラピン70a、70b(図17)を介して、回転金型6aと製造機構(例えば金型5a)との相対変位を利用して駆動される。このため、スライド金型7a、7bと回転金型6aとの相対移動にはモータやソレノイド、エアシリンダなどの駆動源を必要とせず、装置を簡単安価に構成することができる。
図15に示すように、金型5aは樹脂部材1a、2aをそれぞれ成形する部位として成形部21a、22aを有している。また、図16に示すように、回転金型6aは第1の成形面30aに樹脂部材1a、2aを成形する部位として駒型31a、32aを有し、駒型31a、32aは金型5aの成形部21a、22aと対向して配置されている。なお、これらの部材は、機能的には、それぞれの参照符号のサフィックス「a」を除いた部分に同等の参照符号を有する上記実施形態1の各部材に相当するものである。
図14(a)では金型6aの第1の成形面30aが金型5aの成形部21a、22aと対向する工程位置150aに位置している。しかしながら、駆動部12によって回転金型6aを回動させることにより、第2の成形面30bを工程位置150aに位置させることができ、同時に第1の成形面30aを工程位置150bに位置させる(進める)ことができる。
また、本実施形態2では、工程位置150bに相当する位置に、機能的には実施形態1の駆動手段10a、10bに相当する、金型6aの第2の成形部32(駒型32a)の反転移動装置として、駆動手段100a、100bを配置してある。本実施形態では、駆動手段100a、100bは金型6aではなく、枠11に装着されている。このため、本実施形態では、駆動手段100a、100b(反転移動装置)は、同時に、金型6aの第2の成形部(駒型32a)に対して相対移動して前記部品を製造するための異なる製造工程を実行する製造機構を構成する、とも言える。
次に、本発明の樹脂部材の成形組立方法について説明する。本実施形態2では、第1工程~第4工程を経て、図13に示した樹脂部材1a、2a、接合部材4が成形、組立てされ、部品200aが製造される。
まず、第1工程について図17~図19を用いて説明する。図17は金型が型閉じする時の様子を示し、図18(a)は金型が型閉じした時の状態を示している。図18(b)は図18(a)のA-A線に沿った断面を、また、図18(c)は、図18(a)のB-B線に沿った断面を示している。図19(a)は図18(a)のA-A線に沿った断面を、また、図19(b)は図18(a)のB-B線に沿った断面を示している。
第1工程(成形工程)では、図17に示すように、回転金型6aと枠11、および金型7を金型5aに向かうX51方向へ移動させて金型5aと回転金型6aを型閉じする。(第1の工程位置150a:図14(b))。同時に、枠11に配置されているスライド金型7a、7bが金型5aに取り付けられたアンギュラピン70a、70bによって、Zu1、Zb1の方向に移動し、回転金型6aに接触する。これにより、金型5aの成形部21aと、回転金型6の駒型31aにより画成されるキャビティ80aの上下を封止する。このようなスライド金型7a、7bを用いた構造によって例えば両端部に比較的、複雑な形状を有する樹脂部材であっても、射出成形が可能となる。
次に、この型締め状態において、図18(b)、(c)に示すように、金型5aの成形部21a、22aと回転金型6aの駒型31a、32a、スライド金型7a、7bにより形成される複数のキャビティ81a、81b内に溶融樹脂を射出する。これにより、図19(a)、(b)に示すように複数の樹脂部材1a、2aを成形する。
次に、第2工程について、図18、図20、図21を用いて説明する。図20は、金型が型開きした状態を、また、図21は、駒型31a、32aが成形後の樹脂部材1a,2aを保持している状態を示している。
この第2工程では、図20に示すように、金型7と回転金型6aを金型5aから離れるX52方向へ移動させて型を開く。これに同期して、アンギュラピン70a、70bによって、スライド金型7a、7bが回転金型6aから離間する図18(b)のZu2、Zb2の方向へ移動する。また、樹脂部材1a、2aは、図21に示すように回転金型6aの駒型31a、32aにそれぞれ保持された状態で、金型5aの成形部21a、22aから離型される。
次に、第3工程につき、図17、図22~図26を用いて説明する。図22は、回転金型6aを回動させている状態を示している。図23(a)は駆動手段100aの動作を示している。図23(b)は、図23(a)のH部を拡大して示しており、反転移動装置としての駆動手段100aが動作前の状態に相当する。図23(c)は、図23(a)のH部を拡大して示しており、駆動手段100aが動作後の状態に相当する。図24(a)~(c)は、実施形態1の図10(a)~(c)に相当し、駆動手段100a、100b(反転移動装置)により駒型32aを反転、移動させる様子を示している。また、図25(a)、(b)は接合部材4を成形する状態に相当し、図17以降の成形組立装置の水平断面を下方から示している。図26は、射出ユニット9(図17、図20)と同等の機能を有する射出ユニット9aを枠11a側に配置した異なる構成を示している。
第3工程は、第1、第2工程の後、回転金型6aの1つの金型面(例えば成形面30a、または30b)を工程位置150aから150bに進める回動動作を含む。また、駆動手段100aによる成形部32(駒型32a)の反転、移動による組み付けと、接合部材4による樹脂部材1aおよび樹脂部材2aの接合動作も含む。
この第3工程では、まず、図22に示すように成形済みの樹脂部材1aおよび樹脂部材2aが回転金型6aに各々保持された状態で、回転金型6aが回転軸90中心にR方向に180°、回動させる。これにより、回転金型6aの1つの金型面(例えば成形面30a、または30b)を工程位置150aから150bに移動させる。
次に、図23(a)に示すように、枠11に配置された駆動手段100a、100bをZ21、Z22方向へそれぞれ移動させる。これにより、回転金型6aの駒型32aの上下の両端面39a、39bと接触させる。このため、駆動手段100a(100bも同様)には、例えばエアシリンダとアンギュラピンを組み合わたせた移動手段111bを設けておく。例えば、図23(b)->図23(c)に示すように、移動手段111bをY21方向に移動させることにより、駆動手段100aを下降(駆動手段100bは上昇)させる。
一方、駒型32a(樹脂部材2aのための第2の成形部)は、駆動手段100aと接触する上側の端面39aに軸41a、41bを備える。なお、詳細不図示であるが、駒型32aは、駆動手段100aと接触する下側の端面39bにも同様の軸41a、41bを備えるものとする。そして、駆動手段100a、100bを駒型32aに近接させることにより、駒型32aの軸41a、41bが、図23(b)、(c)のように駆動手段100a(100bも同様)のガイド溝53a(図24参照)を貫通すると共に、レバー52aと係合する。
その後、図24(a)~(c)に示すように駆動手段100a、100bを実施形態1の駆動手段10a、10bと同様に、駒型32a(樹脂部材2aのための第2の成形部)の反転移動装置として動作させる。
この最初の状態では、図24(a)に示すように、駆動手段100aのガイド溝53aに駒型32aの軸41a、41bが係合し、かつ駆動手段100aのレバー52aと係合している。
本実施形態の駆動手段100aは、Ra1方向に回転駆動されるギア122aと、レバー52aと一体化したギア123aを備えている。ギア122aは上記実施形態と同様の電動モータなどによってRa1方向に回転駆動され、噛合するギア123aはRb1方向に回転し、レバー52aを図24(a)、(b)、(c)のように回動させる。これにより、レバー52aが軸41aに当接して、U字型のガイド溝53aに沿って軸41a、41bを移動させる。
ここで、駒型32aは、実施形態1と同様に回転金型6aの金型面(成形面30aまたは30b)から取り外し可能な構成である。従って駒型32aは、成形済みの樹脂部材2aを保持した状態で、図24(b)->(c)のように駒型(31a)が保持している樹脂部材2aを樹脂部材1aに組付けるべく、金型面上で反転、移動される。即ち、駒型32aはU字型の溝53aに沿って移動するため、駒型32aが保持した樹脂部材2aは、樹脂部材1aと当接する時に180°裏返しの姿勢になるよう反転される。上記のようにして、樹脂部材2aが樹脂部材1aに対向する位置になるため、図24(c)の状態まで回転させることによって、樹脂部材2aを樹脂部材1aに対する組付け位置に移動することができる。
その後、金型7をガイド501に沿って回転金型6a(および枠11)に向かうX51方向(図17)へ移動させて金型7と回転金型6aを型閉じする。この時、金型7には、図24(c)の位置に移動されている駒型32aを収容することができる凹部が設けられているものとする。この状態で、接合部材4による樹脂部材1aと樹脂部材2aの接合を行う。
具体的には、図25(a)に示すように、樹脂部材2aを保持した駒型32aと樹脂部材1aを保持した駒型31aを重ね合わせた後、金型7と回転金型6aを閉じることで、金型7が駒型32aを押圧する。これにより、樹脂部材1aおよび樹脂部材2aの向いあう面1bと2bを密着させる。次に、図25(b)に示すように、樹脂部材1aおよび樹脂部材2a、駒型32aによって形成されたキャビティ81d(図25(a))に、接合部材4を充填することにより、樹脂部材1aと樹脂部材2aとを接合する。
この接合部材4を構成する溶融樹脂の充填には、金型7に配置された射出ユニット9を用いる。あるいは、射出ユニット9に換えて、同等の射出機能を有する射出ユニット9aを枠11aの側に配置する構成をとっても良い。また、接合部材4の充填ではなく、実施形態1で説明したように樹脂部材1aと樹脂部材2aの相互の嵌合ないし係合(例えばクリックストップ構造)によって組立てる工程を採用してもよい。
以上のように、本実施形態においても、部品200aを構成する樹脂部材1a、2aは、同一の金型面に並設された第1の成形部31(31a)と、金型面から取り外し可能な第2の成形部32(32a)とによって、同じ成形工程で射出成形される。このため樹脂部材1a、2aは、極めて精度よく射出成形することができる。さらに、本実施形態では、駆動手段100a、100b(反転移動装置)により、第2の成形部32(32a)を金型面から取り外し、回転金型6aの金型面に対して反転、移動させ、第2の成形部32(32a)を第1の成形部31(31a)に対向させる。そして、金型7と回転金型6を型締めし、接合部材4を充填し、樹脂部材2aと樹脂部材1aを接合する。このように、本実施形態においても、樹脂部材1a、2aが回転金型6aの保持部に保持されたまま、回転金型6aの1つの金型面上で組立てられるため、高精度な組立てが実現できる。従って、高精度に部品200aを製造することができる。
次に、第4工程について、図20、図23、図24、図27を用いて説明する。第4工程は、駒型32aを樹脂部材2a(部品200a)から離型させる工程に相当する。図27(a)、(b)は、実施形態1の図11と同様の形式で、駒型32aと樹脂部材2aとを離型させる様子を示したものである。
まず、金型7と回転金型6aをガイド501に沿って金型5aから離れるX52方向(図20)へ移動させて型開きする。続いて、図24(c)、(b)、(a)の順で、駆動手段100a、100bによって、駒型32aを再度、逆方向に反転、移動させ、図24(c)の状態から図24(a)の状態に復帰させる。この動作によって、駒型32aから樹脂部材2aが離型され、駒型31aが保持している部品200aの側に残る。
具体的には、図27(a)、(b)に示すように、駆動手段100aのギア122aをRc1方向へ回転駆動する(この時駆動手段100bも同様に動作させる)。これにより、レバー52aを駆動するギア1223aがRd1方向へ回転し、レバー52aが、軸41bと当接して、図27(b)のように駒型32aが(再度の逆方向への)反転、移動する。即ち、駒型32aが、樹脂部材1a、2aが接合部材4により接合済みとなっている部品200aから離れる方向へ反転、移動する。
この時、樹脂部材2aは、既に接合部材4によって樹脂部材1aに接合済みとなっている。そして、その接合力は、駒型32aと樹脂部材2aの保持力より勝っているため、駒型32aは樹脂部材2aから離間(離型)した上、回転金型6aの初期位置(成形面30aまたは30b)に戻る。その後、駆動手段100a、100bを図23(c)、(b)の順、即ち上述と逆方向の動作によって駒型32aの上下の端部からそれぞれ離間させる。
次に、第5工程について、図13、図28~図29を用いて説明する。この第5工程は、部品200aを離型し、取り出す工程に相当する。図28は、回転金型6aから樹脂部材1a、2aを離型させた状態で成形組立装置の(図17の左方からの)側面を示している。また、図29は回転金型6aの2面の成形面(30a、30b)を用いて、工程位置150a、150bでそれぞれ成形組立を行う様子を示している。
第5工程では、図28に示すように、第2工程位置150bで、回転金型6aに内蔵されたエジェクタピン101bによって、完成した部品200aを離型させ、成形組立装置から取り出す。エジェクタピン101bの駆動源は、回転金型6a内に配置する他、枠11側に配置する構成としてもよい。以上のようにして、図13に示すような樹脂部材1a、2aが組立てられた部品200aの製造が終了する。
本実施形態2によれば、回転金型6aの複数の金型面(成形面30a、30b)に、第1の成形部(31a)と、金型面から取り外し可能な第2の成形部(32a)を備えた同一の構造を配置している。この成形面30a、30bは、本実施形態2では、ほぼ4角柱形状の回転金型6aの対向する金型面を構成している。そのため、本実施形態では、図29に示すように回転金型6aと枠11、金型7と金型5aを型閉じしている状態で、第1の工程位置150aでは、樹脂部材1d、2dを射出成形することができる。また、この時同時に、第2の工程位置150bでは、第2の成形部32(駒型32a)の反転、移動を行い、樹脂部材1aおよび樹脂部材2bを組立てることができる。
即ち、本実施形態2の回転金型構造によれば、同一形状の2つ(ないしそれ以上の数)の成形面によって、製造工程を順次、しかも同時に進行させることができ、成形組立装置の製造効率を著しく向上することができる。しかも、同じ金型面に並設された成形部(駒型31a、32a)を用いて射出成形した、組み合わせが限定された樹脂部材1a、2a同士を組み合わせるため、高精度な組立てを実現でき、高品質な部品200aを製造することができる。
<変形例>
以上の実施形態2では、回転金型6aに、同一構成の2つの異なる成形面(30a、30b)を配置する構成を示したが、製造する部品の工程数などによっては、回転金型6aに配置する成形面(30a…)の数は幾つであってもよい。また、例えば、4角柱状の回転金型6aの4面のうち、3つの金型面のみを用いて、射出成形、および組立てを実行する構成であってもよい。また、型開き、型閉じのための機構が複雑になる可能性があるが、回転金型6aの全体をn個の側面に同一の成形面を有する、例えばn角柱状の形態などとしてもよい。このような構成によって、同一形状のn個の成形面によって、製造工程を順次、しかも同時に進行させることができ、成形組立装置の製造効率を著しく向上することができる。
また、金型面から取り外し可能な第2の成形部(32、ないし駒型32a)の反転移動装置として、実施形態1、2では、U字型の溝をガイドとして有する駆動手段10a、10b、100a、100bなどを示した(図10、図24)。しかしながら、この反転移動装置は、2つの成形部で成形され、保持されている樹脂部材1(1a)、2(2a)同士が対向するように一方の成形部を取り外し、金型面に対して反転、移動できるような構成であればどのような構成であってもよい。また、上述の2つの実施形態では、金型面から取り外し可能な第2の成形部が成形部32、ないし駒型32aであるものとしたが、これはあくまでも便宜上のものである。もちろん、成形部32、ないし駒型32aではなく、成形部31、ないし駒型31aの側が反転移動装置によって反転、移動される構成であっても、機能的に同等ないし等価な製造工程を実行できる。
また、同一の金型面に並置される第1、第2の成形部(駒型)の一方を反転移動装置により金型面に対して反転、移動させる時の軌道や姿勢変化の形態は、上述のU字型のガイドにより画成される形状である必要はない。図30および図31は、成形部の一方、例えば第2の成形部(駒型320)を反転、移動させる時の軌道および姿勢変化の形態の一例を示している。なお、図30および図31は、反転移動装置の機能的な構造を示しており、反転移動装置の具体的な構造を示していないが、両図に示すような成形部の軌道および姿勢変化を実現できる構造であれば反転移動装置の細部の構造は問われない。
図30(a)、(b)、図31(a)、(b)において、駒型310および駒型320は、上記実施形態における第1の成形部(31、ないし駒型31a)と、第2の成形部(32、ないし駒型32a)と、にそれぞれ対応する。駒型310および駒型320は、同一の金型面(不図示)上に並置され、その一方、例えばこの例では駒型320は、同金型面から取り外し可能であるとともに、反転、移動に用いられる回転軸900を備えている。回転軸900は、不図示の回転駆動手段(電動モータと減速機など)と結合されており、回転軸900を回転させることによって、駒型320を図30(a)の初期状態から180°裏返しの姿勢に反転させることができる。
駒型310および駒型320は、それぞれ不図示の金型ペアと対向し、型締めされ、射出成形によって上述の樹脂部材1(1a)、2(2a)に対応する樹脂部材1aa、2aaを成形する。図30(a)、(b)では、樹脂部材1aa、2aaはそれぞれ駒型310および駒型320上で成形済みとなった後の状態に相当する。
図30(b)は、駒型320を反転、移動させる軌道の概略を示している。同図に2点鎖線で示したガイド800は、コの字型形状で、駒型320の回転軸900と係合し、駒型320を反転、移動させる軌道を決定する。ガイド800のコの字の2本の腕に相当する部位は、図示のように駒型310の中心、および駒型320の2点鎖線で示した初期位置における中心を通っている。ガイド800は、例えば上述の反転移動装置を構成する駆動手段10a、10b(あるいは100a、100b)の基板上に形成しておく。駆動手段10a、10b(あるいは100a、100b)には、また、ガイド800に沿って駒型320の回転軸900を移動させるため、不図示の駆動手段(電動モータと減速機、カム機構ないしチェーン機構など)が設けられるものとする。この駒型310、320を移動するための機構は、駒型310、320を保持する金型(不図示)の内、外のいずれかの位置など、成形組立装置の任意の部位に配置することができる。
上記構成において、まず、図30(a)に示すように駒型310に樹脂部材1aa、駒型320に樹脂部材2aaが射出成形される。続いて、図30(b)に示すように樹脂部材2aaを保持する駒型320が移動ガイド800に沿ってX200方向へと移動させる。続いて、図31(a)に示すように駒型320が保持されていた金型面(不図示)から充分離間した適当な位置において、駒型320を回転軸900を中心にRe方向に180°、反転させる。なお、この例では本実施形態では回転軸900を駒型320上に設けているが、回転軸900は駒型320外に設置する構造であってもよい。
さらに、図31(b)に示すように、駒型320を図31(a)の位置(2点鎖線)から、ガイド800に沿って移動ガイド800に沿ってY200方向、そしてX210方向へと順次移動させる。これにより、駒型310と型合わせ(実線)し、樹脂部材1aaおよび2aaを結合する。以上のようにして、樹脂部材1aaおよび2aaを結合することができる。この樹脂部材1aaおよび2aaの結合には、上述の通り、実施形態1で説明した係合ないし嵌合構造や、実施形態2で説明した接合部材(4)の充填などによって行う。
また、例えば実施形態1、2の図1や図13に示した部品200、200aは、例えば画像形成装置のカートリッジに用いられるクリーニングユニットである。上述の通り、これらの部品200、200aは、成形部(駒型)の反転移動装置によって同じ金型面上で、同一工程で成形された樹脂部材同士を組立てることにより一体化される。このような製造工程は、従来のように別々の金型面に存在するキャビティで成形された部品を、後工程でランダムな組み合わせで超音波溶着などを利用して組立てるものとは著しく異なる。即ち、上記実施形態においては、1つの部品を組立てる時、接合する相手が同じ金型面上で成形された樹脂部材に限定されるので、高精度な組立てを行うことができる。
また、本発明を採用した成形組立装置によって製造される部品は、実施形態1、2の図1や図13に示した部品200、200aのような形状に限定されない。例えば、図32に示すような形状を有する、画像形成装置のカートリッジに用いられる現像剤ユニットを構成する部品201aも、上述と同様の製造工程で製造することができる。図32の部品201aは、現像部品としての樹脂部材201および202から構成されている。実施形態1、2と同等の構成によれば、これら樹脂部材201および202は、それぞれ同一の金型面上に並置された成形部(駒型)上で同時に射出成形することができる。このため、部品201aは、同一工程で成形され、接合する組み合わせが限定された樹脂部材201および202から高精度に組立てることができる。
また、回転金型6aを用いる実施形態2では、例えば図17に示したように、回転金型6aの回転軸90を垂直(鉛直)方向に沿うように配置している。この構成は、図33(a)に模式的に示すように、垂直(鉛直)軸である枠11eに対して回転金型6eを支持する回転軸90eをZG方向に沿って配置する構成と等価である。図33(b)は図33(a)の上面図に相当するが、この構成では、同図に示すように回転軸90eをRe方向に回転させて回転金型6eを回動させることになる。
しかしながら、回転金型6a(6e)の回転軸90(90e)を垂直(鉛直)軸に沿って配置することは必須ではなく、回転軸90(90e)は垂直(鉛直)軸に対して任意の角度で傾斜していても構わない。例えば、図34(a)、(b)は、図33(a)、(b)と同等の図示であるが、同図に示すように枠11fに対して回転金型6fを支持する回転軸90fを配置してもよい。図34(a)、(b)の構成では枠11fに対して回転金型6fを支持する回転軸90fを、YG方向(垂直軸に対して直角、即ち水平方向)に沿って配置している。そして、この構成では、図34(b)のように、回転軸90fを、Rf方向に回転させ、回転金型6fを回動させている。このような構成によれば、例えば図34(a)、(b)の下方の位置を部品の離型、取り出しを行う工程位置とすることなどによって、製造された部品の離型、取り出し工程を良好に進行させることができる可能性がある。
また、例えば図33(a)、(b)に示した回転金型6eのサイズを大きくし、上述の第1および第2の成形部を、1セットだけではなく、複数セット、回転金型6eの1つの金型面に配置してもよい。その場合、第2の成形部を反転、移動させる反転移動装置は、各々のセットについて配置する。このような構成によって、例えば部品の2セット取り(あるいはそれ以上の数のセット取り)が可能となり、成形組立装置の製造効率を大きく向上することができる。
また、図35(a)、(b)に示すように、回転金型を複数配置する構成も考えられる。図35(a)、(b)では、回転金型6g1、6g2を2個配置した成形組立装置の構成を示している。回転金型6g1、6g2は、それぞれ回転軸90g1、90g2を中心にRg1、Rg2方向へ回転する構成で、各回転金型廻りには、例えば図14~図29に示したのと同様の構成を配置することができる。このような構成によっても、成形組立装置の部品の製造効率を著しく向上することができる。
<成形組立装置の制御系および制御手順>
ここで、図36~図38を参照して、上記各実施形態の成形組立装置に適用可能な制御系の構成、および、部品の製造に係る制御手順の一例につき説明する。
図36の制御装置は、上述の成形組立装置の駆動装置611(駆動系)と、溶融樹脂の射出、金型の保温、冷却などに係わる射出成形装置612(射出系)を制御することにより、上述の成形組立を制御する。駆動装置611(駆動系)には、回転金型6aを回動させる駆動部12を駆動する電動モータが含まれる。また、駆動装置611(駆動系)には、駆動手段10a、10b(実施形態1)、100a、100b(実施形態2)のギア120a、121a(実施形態1)、122a、123a(実施形態2)などを駆動する電動モータが含まれる。また、駆動装置611(駆動系)には、実施形態2の移動手段111b、111a、エジェクタピン100などを駆動するソレノイドやエアシリンダなどが含まれる。また、射出成形装置612(射出系)には、射出ユニット9(実施形態1)、90(実施形態2)や、固定金型たる金型5を支持する不図示の射出成形機の射出ユニットなどが含まれる。
図36の制御装置は、主制御手段としてのCPU601、記憶装置としてのROM602、およびRAM603を備える。ROM602には、後述する制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムや定数情報などを格納しておくことができる。また、RAM603は、後述する制御手順を実行する時にCPU601のワークエリアなどとして使用される。
なお、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、不図示のHDDやSSDなどの外部記憶装置、ROM602の(例えばEEPROM領域)のような記憶部に格納しておくこともできる。その場合、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、ネットワークインターフェース606を介して、上記の各記憶部に供給し、また新しい(別の)プログラムに更新することができる。あるいは、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、各種の磁気ディスクや光ディスク、フラッシュメモリなどの記憶手段と、そのためのドライブ装置を経由して、上記の各記憶部に供給し、またその内容を更新することができる。上述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムを格納した状態における各種の記憶手段、記憶部は、本発明の制御手順を格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成することになる。
CPU601には、インターフェース605を介してUI装置607(ユーザーインターフェース装置)が接続されている。UI装置607は、ハンディターミナルのような端末、あるいはキーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどから成る制御端末によって構成することができる。
また、CPU601には、通信手段としてネットワークインターフェース606が接続されている。このネットワークインターフェース606を介して、CPU601は生産制御に必要な制御信号を送受信することができる。その場合、ネットワークインターフェース606は、例えばIEEE 802.3のような有線通信、IEEE 802.11、802.15のような無線通信による通信規格で構成することが考えられる。ネットワークインターフェース606は、本実施形態の成形組立装置を含む部品の生産ラインに配置された生産管理を行うPLCのような統轄制御装置や、管理サーバなどとの間の通信に用いることができる。あるいは、ネットワークインターフェース606は、成形組立装置を含む部品の生産ラインに、ロボットアームやXYステージなどによって構成された他の生産(製造)装置が配置される場合、それらの生産(製造)装置との間の通信に用いることができる。
以下、図37、図38を参照して、上記各実施形態における部品(200、200a)の製造工程を制御する制御手順の一例につき、説明する。
図37は、図36の制御装置により実行される、金型(実施形態1の金型6、実施形態2の回転金型6a)の第1、および第2の成形部(31、32、31a、32a)による射出成形、および反転、移動を伴う製造工程の制御の一例を示している。第1、および第2の成形部(31、32、31a、32a)の反転移動装置としては、上記の駆動手段(実施形態1の10a、10b、実施形態2の100a、100b)が用いられる。
図37のステップS01、S02では、それぞれ第1の成形部(31、31a)と、第2の成形部(32、32a)と、によって、樹脂部材1(1a)、樹脂部材2(2a)を射出成形する。同図では、便宜上、ステップS01、S02が順次実行されるような形式を用いているが、実際の装置では形締め、注型、型開きは同時に実行される。
ステップS01、S02の樹脂部材1(1a)、樹脂部材2(2a)の射出成形が終了すると、型開きが行われる。その後、ステップS03において、反転移動装置としての駆動手段(実施形態1の10a、10b、実施形態2の100a、100b)により第2の成形部(32、ないし駒型32a)を金型面に対して反転、移動させる。これにより、第2の成形部(32、ないし駒型32a)が第1の成形部(31、ないし駒型31a)に対向する。
その後、ステップS04において、第2の成形部(32、ないし駒型32a)の保持する樹脂部材2(2a)と、第1の成形部(31、ないし駒型31a)の保持する成形済みの樹脂部材1(1a)と、が組立て、結合される。この樹脂部材1(1a)、樹脂部材2(2a)の結合は、例えば実施形態1で説明したように駆動手段(実施形態1の10a、10b、実施形態2の100a、100b)による押圧力による嵌合ないし係合によって行う。あるいは、樹脂部材1(1a)、樹脂部材2(2a)の結合は、例えば、実施形態2で説明したように、接合部材4の充填によって行う。
図36に示すような制御手順によって、樹脂部材1(1a)、2(2a)は、金型6(6a)の同一の金型面に並設された第1、および第2の成形部31、32(31a、32a)によって、同じ成形工程で射出成形される。このため樹脂部材1(1a)、2(2a)は、極めて精度よく射出成形することができる。また、樹脂部材1(1a)、2(2a)は、反転移動装置を用いて金型6(6a)の保持部に保持されたまま、金型6(6a)の1つの金型面上で組立てられるため、高精度な組立てが実現できる。従って、高精度に部品200(200a)を製造することができる。
図38は、図36の制御装置により実行される実施形態2の回転金型6aを用いた成形組立装置による部品200aの製造に係わる制御手順の概略を示している。図示の手順はCPU601の制御プログラムとして、上述の記憶手段、例えばROM602などに格納しておくことができる。なお、以下では、例えば回転金型6aに複数、配置された成形面30a、30b(…)をそれぞれ、第1面、第2面(…)と考え、その一般表現として「第n面」のような表現を用いる。また、同様に上記の第1、第2…工程位置150a、150b(…)の一般表現としては「第m工程位置」を用いる。なお、図38では、簡略化のために、第n面の成形面に対する製造工程(~部品取り出しまで)を図示しているが、第n+1面、第n+2面(…)に対する製造工程も、同様に、かつ同時に進行させることができる。
図38のステップS11では、CPU601は駆動装置611(駆動系)の駆動部12によって、回転金型6aを(図20の配置であれば90°)回動させ、成形面30a、30b…の第n面を第m工程位置に移動させる。回転金型6aの上述の構成から明らかなように、この回転金型6aの回動動作によって、第n+1面、第n+2面(…)は、それぞれ同時に第m+1工程位置、第m+2工程位置(…)に移動させることができる(例えば図22)。
ステップS12~S13では、CPU601は成形面(30a、30b…)の第n面に対して、第m工程位置において、成形組立装置の駆動装置611(駆動系)、および射出成形装置612(射出系)を制御することにより、第m工程を実行させる。この時、同時に、他の成形面に対しては第m+1工程位置、第m+2工程位置、第m+3工程位置(…)において、該当の工程位置を実行させることができる。
ステップS13で第m工程を終了したことを確認すると、CPU601はステップS14に対して当該の第n面に対する全工程を終了したか否かを判定する。ステップS14で第n面に対する全工程を終了している場合には、ステップS15において、部品200aは取り出し位置(上述の例では150b)に移動しており、ここでエジェクタピン(100)による部品の取り出しを行う。一方、ステップS14で第n面に対する全工程がまだ終了していない場合には、CPU601は、ステップS16で工程位置を管理するカウンタ(あるいはポインタなど)の制御データを次工程を指すように歩進(m=m+1)させる。その後、制御はステップS11に復帰し、上述の動作を繰り返すことにより、第n面の成形面(30a、30b…)に対する第m+1工程、第m+2工程、第m+3工程(…)を実行することができる。
図36に示すような制御系を用いて、図38に概略を示すような制御手順を実行することにより、同一形状のn個の成形面によって、1工程の遅れまたは進みで、製造工程を順次に、しかも同時に進行させることができる。従って、図36、図38のような構成によって、成形組立装置の製造効率を著しく向上することができる。