JP7134869B2 - 溶血試薬 - Google Patents
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Description
本出願は、米国特許法第119条第(e)項の下で、2016年4月27日出願の米国仮出願第62/328,358号に対する利益を主張し、その全体的な内容が参照により本明細書に組み込まれる。
全血中のRNAの本質的な不安定性及びRNアーゼの存在は、RNAの単離を困難な課題としている。高純度、未処置のRNAの使用によって、感度の高い臨床用診断アッセイが容易になる。既存のアプローチは、典型的には、いくつかの連続的なステップを包含する:細胞を破壊するステップ、タンパク質を変性させるステップ、RNアーゼからのRNAの安定化及び保護のためのさらなるステップ、次いでRNAの単離のためのステップ
テトラデシルトリメチルアンモニウムオキサレート(TDTMAO)は通常、血液の搬送、貯蔵及び加工に使用されている(米国特許第6,602,718号及び第6,617,170号)。この第四級アミンは、例えば、PAXgene(商標)Blood RNA System(BD Biosciences)の中に含まれおり、細胞に浸透して、細胞内標的RNAを安定させることによって作用する。次に、このRNAは、後で標準的な技術を用いて、全血成分から精製及び分析することができる。細胞を溶解し、グアニジニウム塩を用いてRNアーゼを阻害するための方法も既知である(Chomczynski et al.(1987)Anal.Biochem.162,156-159)。
配列番号1は、非T7プライマーの核酸配列を示す。
病原体には、ヒト及び他の動物における疾患の原因となるウイルス、細菌、原虫、真菌、及び他の微生物が含まれる。
血液細胞を溶解し、それによってRNAまたは他の分析種を分析に適した形態で放出するための溶解試薬が、本明細書に提供される。好ましくは、溶解試薬は、赤血球を含む血液細胞を溶解し、それによりRNAまたは他の分析種を分析に適した形態で放出する。一態様において、溶解試薬は、血液細胞を含んでいる試料、血液細胞からなる試料、または本質的に血液細胞からなる試料を溶解し、それにより分析に適した形態のRNAまたは他の分析種を放出する。溶解試薬は、少なくとも緩衝液、塩及び洗剤を含む。試薬は、血液細胞を溶解し、放出された分析種を溶解物中の分解から保護するよう機能し、標的捕捉、増幅、検出及び/または配列決定などの分析種の分析のためのその後の工程と適合する。溶解試薬は、病原体または宿主からの分析種の分析に適している。分析種は、好ましくは、病原体または宿主由来の核酸分析種である。より好ましくは、分析種は、病原体または宿主由来のRNA分析種である。溶解試薬は、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、ジカウイルスなどのフラビウイルス、ならびにバベシア及びプラスモジウム種などの寄生生物を含むがこれらに限定されない、血液細胞に感染する病原体由来の核酸の分析に特に適している。
本発明の溶解試薬は、少なくとも緩衝液、洗剤、ならびに塩及び抗凝固薬の一方または両方を含む。緩衝液は、約5mM~約150mMの濃度で溶解試薬中に存在する。重炭酸ナトリウムは、適切な緩衝液の一例である(NaHCO3)。重炭酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約5mM~約30mM、約10mM~約20mM、約10mM~約15mM、約15mM~約20mM、約12mM~約16mM、または約14mMの濃度で試薬中に存在することができる。TRIS緩衝液は、例えば、約75mM~約150mM、約75mM~約125mM、約100mM~約125mM、約90mM~約110mM、または約100mMの濃度で試薬中に存在することができる。リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約5mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。一塩基性リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液は、例えば、約8mM~約40mM、約10mM~約33mM、約15mM~約30mM、約30mM、または約15mMの濃度で試薬中に存在することができる。
全血は、全血献血者からまたは血液バンク施設から直接を含む、多数の源から入手することができる。赤血球は、全血またはペレット化赤血球などの赤血球を含む全血の何らかの画分など、何らかの利用可能な源から得ることができる。全血は、ヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの組み合わせであることができる。
本発明の試薬によって赤血球を含む血液細胞から放出された分析種は、病原体由来の分析種または宿主由来の分析種であり得る。本発明の溶解試薬によって赤血球からを含む血液細胞から放出された分析種には、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、粒子全体、タンパク質及び抗体が含まれることができる。分析種は、好ましくは、病原体由来のまたは宿主由来の核酸分析種である。より好ましくは、分析種は、病原体由来のまたは宿主由来のRNA分析種である。種々のタイプのRNA分析種を検出することができる。RNA分析種は、リボソームRNA(rRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、または異質核内RNA(hnRNA)であり得る。病原体由来の分析種についての好ましい分析種は、リボソームRNA、特に18S rRNA、5S rRNA、5.8S rRNA、または28S rRNAである。
血液細胞の溶解から放出された分析種分子は、分析の対象となる。分析種分子は、分析前に溶解試薬から(遠心分離などによって)分離されていてもされていなくてもよい。分離ステップを省略することにより、アッセイを実施する上での効率的な作業の流れを容易にすることができる。アッセイのタイプは分析種に依存する。
核酸分析種の分析はしばしば、捕捉、増幅及び検出のステップを包含する。あるいは、増幅及び検出の方法は、事前の標的捕捉なしで実施することができる。好ましくは、増幅、及び検出及び標的捕捉(実施する場合)は、溶解試薬から分析種分子を分離することなく行われる。したがって、プロセス全体を単一の容器内で実施することができる。
例示的な標的捕捉アッセイは、1つ以上の捕捉プローブ、固定したプローブ、試料、ならびに標的核酸への標的捕捉オリゴマーのハイブリッド形成及び固定したプローブへの標的捕捉オリゴマーのハイブリッド形成を可能にするための適切な媒体を用いて、次のように実施することができる。アッセイを実施する前に、試料を加熱して(例えば、65℃~95℃)二本鎖形態のいかなる核酸も変性させることができる。構成要素は、何らかの順序で混合することができる。例えば、標的捕捉オリゴマーを試料に添加し、試料中の標的核酸とハイブリッド形成させた後、固定したプローブを添加することができる。しかしながら、自動アッセイについては、標的捕捉オリゴマー及び固定したプローブを同時にまたは実質的に同時に供給することによって、添加ステップ数を最小限にすることが好ましい。この場合、ハイブリッド形成の順序は、標的捕捉オリゴマーと標的核酸の間に二本鎖を形成することができるが、捕捉プローブの第1のステムセグメントと第2のステムセグメントの間に、及び標的捕捉オリゴマーと固定したプローブの間に形成されるであろう二本鎖の融解温度を超える条件下で第1のハイブリッド形成を実施することによって、次に、低いストリンジェンシー条件下で、好ましくは第1のステムセグメントと第2のステムセグメントの間、及び標的捕捉オリゴマーと固定したプローブの間に形成された二本鎖の融解温度よりも低い条件下で第2のハイブリッド形成を実施することによって制御することができる。ストリンジェンシーは、アッセイ混合物の温度を下げることによって低下させることができる。高温では、標的結合部位は標的核酸と二本鎖形成する。低温では、互いに標的核酸二本鎖へ結合していない捕捉プローブの第1及び第2のステムセグメント、ならびに標的核酸へ結合した捕捉プローブの第1のステムセグメントは、固定したプローブと二本鎖を形成する。例えば、より高いストリンジェンシーのハイブリッド形成は、60℃またはそれに近い温度で、より低いストリンジェンシーのハイブリッド形成は、室温または25℃へ冷却させておくことによって実施することができます。ストリンジェンシーは、塩濃度を下げること、またはカオトロピック溶媒の濃度を増やすまたは上昇させることによっても低下させることができる。いくつかの方法において、全ステップ(二本鎖標的を変性させるための高温での初期変性ステップという起こり得る例外を伴う)を等温で実施することができる。
核酸分析種は、等温増幅反応(例えば、転写媒介性増幅(TMA)、核酸配列をもとにした増幅(NASBA)、ループ仲介性等温増幅、ポリメラーゼスパイラル反応(PSR)(Liu,W.et al.Polymerase Spiral Reaction (PSR):A novel isothermal nucleic acid amplification method.Sci.Rep.5,12723;(2015))、リガーゼ連鎖反応、及び他の等温増幅方法)、または熱サイクル増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCT)、リアルタイムPCR(rt-PCT)、または他の熱サイクル増幅方法)、あるいは他の増幅方法などの方法を使用して増幅することができる。増幅されたRNA分析種産物の検出は、増幅中に(リアルタイム)または増幅後に(エンドポイント)実施することができる。
TMAは。これまでに説明されてきた(例えば、米国特許第5,399,491号、第5,554,516号、第5,824,518号及び第7,833,716号、また、例えばF. Gonzales and S.McDonough. Applications of Transcription-Mediated Amplification to Quantification of Gene Sequences.Gene Amplification.1998 Ed.Francois Ferre,Birkhauser,Boston.PP.189-204)。TMAにおいて、増幅されることになっている配列を含有する標的核酸は、一本鎖核酸(例えば、ssRNAまたはssDNA)として提供される。二本鎖核酸(例えば、dsDNA)を一本鎖核酸へ変換する何らかの従来法を用いてもよい。プロモータープライマーは、その標的配列で分析種核酸へ特異的に結合し、逆転写酵素(RT)は、標的鎖を鋳型として用いてプロモータープライマーの3’末端を伸長してcDNAコピーを作り出し、RNA:cDNA二本鎖を結果的に生じる。RNアーゼ活性(例えば、RT酵素のRNアーゼH)は、RNA:cDNA二本鎖のRNAを消化し、第2のプライマーは、プロモーター-プライマー末端の下流にあるcDNAにおけるその標的配列へ特異的に結合する。次に、RTは、cDNAを鋳型として使用して、第2のプライマーの3’末端を伸長することによって、新たなDNA鎖を合成して、機能的プロモーター配列を含有するdsDNAを作り出す。機能的プロモーターに特異的なRNAポリメラーゼは、転写を開始して、初期標的鎖に相補的な約100~1000個のRNA転写産物(増幅コピーまたはアンプリコン)をつくる。第2のプライマーは、各アンプリコン中のその標的配列へ特異的に結合し、RTはアンプリコンRNA鋳型からcDNAを作り出し、RNA:cDNA二本鎖を生じる。RNアーゼは、RNA:cDNA二本鎖由来のアンプリコンRNAを消化し、プロモータープライマーの標的特異的配列は、新たに合成されたDNAにおけるその相補的配列へ結合し、RTは、プロモータープライマーの3’末端及びcDNAの3’末端を伸長し、機能的プロモーターを含有するdsDNAを作り出し、そのdsDNAに対してRNAポリメラーゼが結合し、標的鎖と相補的なさらなるアンプリコンを転写する。反応中にこれらのステップを反復して使用する自己触媒サイクルは、最初の標的配列の約10億倍の増幅を生じる。任意に、アンプリコンは、アンプリコンに含有される配列へ特異的に結合するプローブを用いることによって、増幅(リアルタイム検出)または反応の終点(エンドポイント検出)の間に検出してもよい。結合したプローブから生じるシグナルの検出は、試料中の標的核酸の存在を示す。
あるいは、PCR増幅(例えば、逆転写酵素またはリアルタイムPCR)は、増幅に使用することができる。PCRは、捕捉複合体からの標的核酸の事前放出を伴って、または伴わずに実施することができる。PCR反応は、捕捉ステップと同じ容器(例えば、微量遠心チューブ)の中で実施することができる。PCR反応は、解離のための約95℃(例えば、90~99℃)の高温と、アニーリングのための約60℃の低温、例えば40~75または50~70または55~64℃の間の熱サイクルを包含する。典型的には、完全な熱サイクルの数は、少なくとも10、20、30または40である。PCR増幅は、1つ以上のプライマー対を用いて実施される。PCR増幅に使用されるプライマー対は、配列決定されることが望ましい領域に隣接する標的核酸の反対鎖に相補的な2つのプライマーを含む。ウイルスゲノムの大部分(例えば、50、75または99%超)を配列決定するために、プライマーは、好ましくはウイルスゲノムの両端近くに位置する。関連分子(例えば、患者試料中に存在する同じウイルスの突然変異体)の増幅のために、プライマーは、好ましくは、集団の大部分のメンバーに存在すると思われる標的核酸の保存領域に相補的である。PCR増幅は、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(ed.H.A.Erlich,Freeman Press,ニューヨーク州ニューヨーク市,1992)、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(eds.Innis,et al.,Academic Press,カリフォルニア州サンディエゴ市,1990)、Mattila et al.,Nucleic Acids Res.19,4967(1991)、Eckert et al.,PCR Methods and Applications 1,17(1991)、PCR(eds.McPherson et al.,IRL Press,オックスフォード市)、及び米国特許第4,683,202号において説明されている。
核酸分析種の検出は、何らかの既知の方法を使用することによって、捕捉の前、及び(リアルタイム)増幅の間かまたは(エンドポイント)増幅後のいずれかで実施することができる。RNAの増幅産物はしばしば、RT-PCRから結果的に生じるDNA、またはTMAから結果的に生じるRNAコピーの形態である。増幅された核酸は、液相において、またはこの核酸をマトリックス中またはマトリックス上で濃縮し、それらと結合した標識(例えば、臭化エチジウムなどのインターカレート剤)を検出することによって検出され得る。いくつかの検出方法は、増幅産物中の配列と相補的なプローブを使用し、プローブ:産物複合体の存在を検出するか、またはプローブの複合体を用いて増幅産物から検出されたシグナルを増幅する(例えば、米国特許第5,424,413号、第5,451,503号、第5,849,481号)。他の検出方法は、標識したプローブが分子ビーコン、分子トーチまたはハイブリッド形成スイッチプローブなどにおける増幅産物へ結合する場合にのみシグナルの変化が結果的に生じるため、シグナル発生が標的配列の存在に関連するプローブを使用する(例えば、米国特許第5,118,801号、第5,210,015号、第5,312,728号、第5,538,848号、第5,541,308号、第5,656,207号、第5,658,737号、第5,925,517号、第6,150,097号、第6,361,945号、第6,534,274号、第6,835,542号、及び第6,849,412号、ならびに米国公開第2006/0194240A1号)。このようなプローブは、典型的には、プローブの一方の末端に付着した標識(例えば、フルオロフォア)、及びプローブの別の位置に付着した相互作用性化合物(例えば、クエンチャー)を用いて、増幅産物にハイブリッド形成しないことを示すある立体配座(「閉じた」)にプローブがある場合に標識からのシグナル発生を阻害するが、その立体配座を(「開いた」へ)変化させる増幅産物へプローブがハイブリッド形成すると、検出可能なシグナルが発生する。増幅産物と特異的に結合する直接的または間接的に標識されたプローブからのシグナルの検出は、増幅しておいた標的核酸の存在を示す。
増幅後、核酸分析種は、定性的または定量的検出を受けるのと同様に、またはその代わりに配列決定することができる。所望の場合、精製は、シリカカラム(例えば、Qiagen重力フローカラム)で実施することができる。標的核酸はカラムへ結合し、そこで標的核酸を洗浄した後に溶出することができる。あるいは、精製は、核酸プローブをもとにした精製システムを用いて実施することができる(例えば、米国特許第6,110,678号もしくは第8,034,554号、US2013/0209992もしくはUS2009/0286249、またはWO2012/037531もしくはWO2013/116774)。増幅された分析種DNAは、アダプターの付着によっていくつかの配列フォーマットに適合させることもできる。増幅されたDNAは、ヌクレオチド(通常はホモポリマー)のクレノー媒介性付加によって尾部付加した後、付加された尾部に相補的なオリゴヌクレオチドへのアニーリング、及びライゲーションを行うことができる。使用される配列決定プラットフォームに応じて、配列決定前に特別なアダプターを鋳型へライゲートする。例えば、SMRTベルアダプターを、Pacific BiosciencesのPacBio RS配列決定装置を用いた配列決定のための試料鋳型へライゲートする(例えば、Travers et al.Nucl.Acids Res.(2010)38(15):e159を参照されたい)。
抗体、タンパク質、粒子及び他の分析種は、免疫沈降、ウェスタンブロット法、ELISA、ラジオイムノアッセイ、競合的イムノメトリックアッセイなどのフォーマットによって検出することができる。Harlow & Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(CSHP NY,1988)、米国特許第3,791,932号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,879,262号、第4,034,074号、第3,791,932号、第3,817,837号、第3,839,153号、第3,850,752号、第3,850,578号、第3,853,987号、第3,867,517号、第3,879,262号、第3,901,654号、第3,935,074号、第3,984,533号、第3,996,345号、第4,034,074号、及び第4,098,876号を参照されたい。サンドイッチアッセイが好ましいフォーマットである(米国特許第4,376,110号、第4,486,530号、第5,914,241号、及び第5,965,375号を参照されたい)。
本発明の方法は、血液細胞からの分析種の高感度の検出を提供することができる。病原体由来RNA分析種について、感度は、全血の容積中に存在する最小数の病原性RNAコピーとして表すことができる。全血の容積は、溶解試薬と直接接触するものであり得、またはペレット化赤血球などの血液画分を調製するために使用されるものであり得、これらは順に、溶解試薬と接触する。好ましくは、こうした方法は、全血中の病原性RNAの存在を、約2×103コピー(1匹の寄生虫/1mLに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、2×103コピー/5mL全血以上、または2×103コピー/10mL全血以上、2×103コピー/50mL全血以上、または2×103コピー/100mL全血以上の感度で検出する。好ましくは、こうした方法は、約8×103コピー(4匹の寄生虫/1mlに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、8×103コピー/全血5mL以上、8×103コピー/全血10mL以上、8×103コピー/全血50mL以上、または8×103コピー/全血100mL以上の感度で、全血中の病原性RNAの存在を検出する。好ましくは、こうした方法は、約24×103コピー(12匹の寄生虫/1mLに等しい)リボソームRNA/全血mL以上、24×103コピー/全血5mL以上、24×103コピー/全血10mL以上、24×103コピー/全血50mL以上、または24×103コピー/全血100mL以上の感度で、全血中の病原性RNAの存在を検出する。
本実施例の目的は、ヒト全血中の赤血球を有効にかつ優先的に溶解し、溶解した試料中の分析種(複数可)を安定させ、RNアーゼの活性を阻害する溶解試薬を識別することとした。血液の他の細胞成分に対する赤血球の優先的溶解は、溶解した赤血球の百分率が、分析中の試料中に存在する他の細胞成分の百分率よりも高く、他の細胞タイプが凝集体中で評価されることを意味する。本実施例では、分析種は、病原体由来RNA分析種である、バベシア寄生虫由来の18SリボソームRNAである。磁気ビーズを用いたGen-Probe’Target Capture Technologyと適合するために、溶解試薬は、効率的な標的捕捉のために、均質な溶解物を好ましくは結果的に生じるべきである。
その後の評価のために有効に溶血し、分析種を放出する能力を評価するために、溶解試薬の試験を実施した。本実施例では、本明細書に説明される通り、TMA増幅及び検出反応を用いて、バベシア寄生虫由来の18S rRNAを識別して、核酸分析種を評価した。
本実施例において使用した試料は、バベシア感染ヒト全血とし、PCRによってバベシアに対して陽性であると判定された。寄生虫血症は、バベシア感染血を非感染血へと連続的に希釈し、次に非感染血を用いて各希釈物の容積を1mLへ増量し、1mLの希釈物を3mLの溶解試薬Aと混合し、次に実施例1に説明される通り、捕捉、増幅及び検出反応を実施することによって判定した。ストック感染ヒト血液試料中の寄生虫負荷は、1mLあたり約1個の寄生虫を含有するように希釈物を統計的に識別し、次に、ストック感染血液試料へと逆算することに基づいて決定した。次に、概して説明されている通り、感染血試料を別々に希釈して、総容積1mLで12個/mL(12p/mL)及び4個/mL(4p/mL)の希釈物を得た。以下のアッセイでは、12p/mL及び4p/mLをそれぞれ使用した。
例えば、本発明の実施形態の一部の例は、以下の項目に示される。
(項目1)
塩化アンモニウムと、アニオン洗剤と、抗凝固薬と、を含む、試薬。
(項目2)
緩衝液をさらに含む、項目1に記載の試薬。
(項目3)
前記緩衝液が重炭酸ナトリウムである、項目2に記載の試薬。
(項目4)
前記試薬が約7.0~約8.0のpHを有する、項目2または項目3に記載の試薬。
(項目5)
前記pHが約7.2~約7.6である、項目4に記載の試薬。
(項目6)
前記pHが約7.3である、項目5に記載の試薬
(項目7)
前記抗凝固薬が、EDTA、ヘパリン、またはクエン酸塩である、項目1~6のいずれか1項に記載の試薬。
(項目8)
前記抗凝固薬がであり、前記EDTAが約0.05mM~約15mMの濃度で存在する、項目7に記載の試薬。
(項目9)
前記EDTAが約0.1mM~約10mMの濃度で存在する、項目7に記載の試薬。
(項目10)
前記EDTAが約0.1mMの濃度で存在する、項目9に記載の試薬。
(項目11)
前記EDTAが約10mMの濃度で存在する、項目9に記載の試薬。
(項目12)
塩化アンモニウムが約100mM~約500mMの濃度で存在する、項目1~11のいずれか1項に記載の試薬。
(項目13)
前記塩化アンモニウムが約200mM~約300mMの濃度で存在する、項目12に記載の試薬。
(項目14)
塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在する、項目13に記載の試薬。
(項目15)
前記アニオン洗剤が、ラウリル硫酸リチウム(LLS)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)からなる群から選択される、項目1~14のいずれか1項に記載の試薬。
(項目16)
前記アニオン洗剤がLLSであり、前記LLSが約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目15に記載の試薬。
(項目17)
前記LLSが約5%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目16に記載の試薬。
(項目18)
前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在する、項目17に記載の試薬。
(項目19)
前記重炭酸ナトリウムが約5mM~約30mMの濃度で存在する、項目3~18のいずれか1項に記載の試薬。
(項目20)
前記重炭酸ナトリウムが約10mM~約20mMの濃度で存在する、項目19に記載の試薬。
(項目21)
前記重炭酸ナトリウムが約14mMの濃度で存在する、項目20に記載の試薬。
(項目22)
前記塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在し、前記アニオン洗剤がLLSであり、前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在し、前記試薬が重炭酸ナトリウムである緩衝液をさらに含み、前記重炭酸ナトリウムが約14mMの濃度で存在し、前記試薬が約7.2~約7.6のpHを有する、項目1に記載の試薬。
(項目23)
項目1~22のいずれか1項に記載の試薬と、赤血球または赤血球由来の産物と、を含む、組成物。
(項目24)
前記組成物が全血を含む、項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約3:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目27)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約4:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目28)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)~約4:1(v/v)である、項目24に記載の組成物。
(項目29)
前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、項目24~28のいずれか1項に記載の組成物。
(項目30)
(i)緩衝液と、(ii)ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii)塩化物含有塩ならびにEDTA、EDTA-Na 2 、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬のうちの1つまたは両方と、を含む、溶血試薬であって、5.5よりも高いpHを有する、溶血試薬。
(項目31)
前記緩衝液が、約5mM~約30mMの濃度で存在する重炭酸ナトリウムである、項目20に記載の試薬。
(項目32)
前記重炭酸ナトリウムが、約10mM~約20mMの濃度で存在する、項目31に記載の試薬。
(項目33)
前記重炭酸ナトリウムが、約15mM~約20mMの濃度で存在する、項目32に記載の試薬。
(項目34)
前記重炭酸ナトリウムが、約14mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目35)
前記LLSが、約8%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目30~34のいずれか1項に記載の試薬。
(項目36)
前記試薬がEDTAを含み、前記EDTAが約0.1mM~約10mMの濃度で存在する、項目30~35のいずれか1項に記載の試薬。
(項目37)
前記LLSが約8%(v/v)の濃度で存在し、前記試薬が約200mM~約350mMの濃度で存在する塩化アンモニウムを含む、項目36に記載の試薬。
(項目38)
前記EDTAが約10mMの濃度で存在する、項目37に記載の試薬。
(項目39)
前記塩化アンモニウムが約250mMの濃度で存在する、項目37または項目38に記載の試薬。
(項目40)
前記緩衝液がリン酸ナトリウムであり、前記リン酸ナトリウムが約10mM~約33mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目41)
前記緩衝液がリン酸ナトリウムであり、前記リン酸ナトリウムが約15mM~約30mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目42)
前記リン酸ナトリウム緩衝液が、約15mMの一塩基性リン酸ナトリウムと、約15mMの二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液と、を含む、項目40または項目41に記載の試薬。
(項目43)
前記LLSが、約8%(v/v)~約10%(v/v)の濃度で存在する、項目40~42のいずれか1項に記載の試薬。
(項目44)
前記試薬が抗凝固薬を含み、前記抗凝固薬がEDTA-Na 2 である、項目30及び40~43のいずれか1項に記載の試薬。
(項目45)
前記試薬が抗凝固薬を含み、前記抗凝固薬が約0.5mM~約5mMの濃度のEGTAを含む、項目30及び40~44のいずれか1項に記載の試薬。
(項目46)
前記抗凝固薬がEDTA-Na 2 をさらに含み、前記EDTA-Na 2 が約1mMの濃度で存在する、項目45に記載の試薬。
(項目47)
前記EGTAが約1mMの濃度で存在する、項目45または項目46に記載の試薬。
(項目48)
前記LLSが約10%(v/v)の濃度で存在する、項目40~47のいずれか1項に記載の試薬。
(項目49)
前記LLSが約10%(v/v)の濃度で存在し、前記抗凝固薬が約1mMの濃度で存在するEDTA-Na 2 と、約1mMの濃度で存在するEGTAと、を含む、項目42に記載の試薬。
(項目50)
前記緩衝液がTRISであり、前記試薬が塩化マグネシウムを含み、前記試薬が前記抗凝固薬を含んでいない、項目30に記載の試薬。
(項目51)
前記塩化マグネシウムが、約20mM~約35mMの濃度で存在する、項目50に記載の試薬。
(項目52)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目50または項目51に記載の試薬。
(項目53)
前記LLSが約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目50~52のいずれか1項に記載の試薬。
(項目54)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目53に記載の試薬。
(項目55)
前記試薬が、TRIS緩衝液と、約20mM~約35mMの濃度で存在する塩化マグネシウム塩と、約4%(v/v)~約15%(v/v)の濃度で存在する前記LLSと、から本質的になる、項目30に記載の試薬。
(項目56)
前記TRISが約75mM~約150mMの濃度で存在する、項目50~55のいずれか1項に記載の試薬。
(項目57)
前記TRISが約100mMの濃度で存在する、項目56に記載の試薬。
(項目58)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目55~57のいずれか1項に記載の試薬。
(項目59)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目55~58のいずれか1項に記載の試薬。
(項目60)
前記緩衝液がTRISであり、前記TRISが約75mM~約150mMの濃度で存在する、項目30に記載の試薬。
(項目61)
前記試薬が塩化マグネシウム塩を含み、前記塩化マグネシウムが約20mM~約35mMの濃度で存在する、項目60に記載の試薬。
(項目62)
前記LLSが約4%~約15%(v/v)の濃度で存在する、項目60または項目61に記載の試薬。
(項目63)
前記TRISが約100mMの濃度で存在する、項目60~62のいずれか1項に記載の試薬。
(項目64)
前記塩化マグネシウムが約30mMの濃度で存在する、項目60~63のいずれか1項に記載の試薬。
(項目65)
前記LLSが約6%(v/v)の濃度で存在する、項目60~64のいずれか1項に記載の試薬。
(項目66)
前記試薬が前記抗凝固薬を含んでいない、項目60~65のいずれか1項に記載の試薬。
(項目67)
項目30~66のいずれか1項に記載の試薬と、血液細胞と、を含む、組成物。
(項目68)
前記試薬が全血を含む、項目67に記載の組成物。
(項目69)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約1:1(v/v)~約4:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目70)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約2:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目71)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約3:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目72)
前記組成物中の前記試薬と前記全血の比が約4:1(v/v)である、項目68に記載の組成物。
(項目73)
前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、項目68~72のいずれか1項に記載の組成物。
(項目74)
血液細胞から分析種を分析する方法であって、(a)血液細胞を、塩化アンモニウムと、ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、抗凝固薬と、を含む、試薬と接触させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、分析種が前記溶解した血液細胞から放出され、前記試薬が、前記血液細胞から放出された分析種の分解を有効に阻害するステップと、(b)前記血液細胞から放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
(項目75)
前記分析種が病原体由来の分析種である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記分析種がRNA分析種である、項目74または項目75に記載の方法。
(項目77)
前記血液細胞の少なくとも50%が前記試薬によって5分以内に溶解する、項目74~76のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
溶解した赤血球の百分率が、溶解した白血球の百分率よりも大きい、項目74~77のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記試薬が、項目1~22のいずれか1項に定義される通りである、項目74~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記接触させるステップの後に、固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、項目74~79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
固体支持体上に前記分析種を固定する前記ステップが、前記放出された分析種を、固体支持体に結合した捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させるステップを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種と相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントへ結合し、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントが、前記固定したプローブへ結合する、項目80に記載の方法。
(項目82)
増幅反応を実施して前記分析種を増幅させ、その結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出することをさらに含む、項目80に記載の方法。
(項目83)
前記増幅反応が等温増幅反応である、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記増幅反応が転写媒介性増幅反応である、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記血液細胞から放出された前記分析種から前記試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、項目74~84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記分析種が病原性生物である、項目74~85のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記接触させるステップにおいて、前記赤血球が全血中にあり、試薬と全血の比が1:1~4:1である、項目74~90のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
血液細胞を溶解し、そこから分析種を放出させる方法であって、(a)血液細胞を含有する試料を、前記血液細胞を溶解させ、そこから分析のための分析種を放出させるのに有効な溶解試薬と接触させるステップであって、前記溶解試薬が、(i)緩衝液と、(ii)ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii)塩化物含有塩ならびにEDTA、EDTA-Na 2 、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬のうちの少なくとも1つと、を含み、前記試薬が、5.5よりも高いpHを有するステップと、(b)前記試料中の血液細胞を溶解させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、そこから前記分析種が放出される条件を提供するステップと、(c)ステップ(b)において放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
(項目93)
前記分析種が病原体由来の分析種である、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記分析種がRNA分析種である、項目92または項目93に記載の方法。
(項目95)
前記血液細胞の少なくとも50%が前記試薬によって5分以内に溶解する、項目92~94のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記試薬が、項目28~64hのいずれか1項に定義される通りである、項目92~95のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、項目92~96のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
前記分析種を固定する前記ステップは、前記放出された分析種を捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させることを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が前記捕捉プローブへ結合し、前記結合した捕捉プローブが、前記固定したプローブへ結合する、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記固定した分析種が、増幅反応を用いて前記分析種を増幅し、結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出して分析される、項目97に記載の方法。
(項目100)
前記増幅反応が等温増幅反応である、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記増幅反応が転写媒介性増幅である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記方法が、前記赤血球から放出された前記標的から前記試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、項目92~101のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記分析種が病原性生物である、項目92~102のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記病原生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目105に記載の方法。
(項目107)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記試料が全血を含み、前記接触させるステップの間に、試薬と全血の比が1:1~4:1である、項目92~107のいずれか1項に記載の方法。
(項目109)
血液細胞を含有する試料から分析種を分離する方法であって、(a)溶解試薬と血液細胞を含有する試料との混合物を、前記試料中の前記血液細胞の少なくとも一部の溶解に十分な条件下でインキュベートし、それにより分析種を放出させるステップ、(b)前記混合物を、前記分析種を固定するように構成された固体支持体と接触させるステップ、及び(c)前記固定した分析種を前記混合物から分離するステップから本質的になり、前記溶解試薬が、緩衝液と、ラウリル硫酸リチウム(LLS)と、塩化物含有塩及び抗凝固薬のうちの少なくとも1つと、を含み、前記抗凝固薬が、EDTA、EDTA-Na 2 、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記試薬が5.5よりも高いpHを有する、方法。
(項目110)
前記固体支持体が、付着した固定したプローブを含む、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記接触させるステップ(b)は、前記混合物を、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を含む、捕捉プローブと接触させることをさらに含む、項目110に記載の方法。
(項目112)
ステップ(b)の後でありかつステップ(c)の前にあるステップ(i)をさらに含み、前記ステップ(i)が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントと前記分析種との間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、項目111に記載の方法、
(項目113)
ステップ(i)の後でありかつステップ(c)の前であるステップ(ii)をさらに含み、前記ステップ(ii)が、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントと、前記固体支持体へ付着した前記固定したプローブとの間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記固体支持体が磁気ビーズ固体支持体である、項目109~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記固体支持体がシリカ固体支持体である、項目109~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記シリカ固体支持体がグラスウールである、項目115に記載の方法。
(項目117)
前記シリカ固体支持体がビーズである、項目115に記載の方法。
(項目118)
前記固体支持体がカラム内に含有される、項目109~117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記分析種が病原性生物である、項目109~118のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、項目120に記載の方法。
(項目122)
前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、項目122に記載の方法。
(項目124)
前記分析種がRNA分析種である、項目109~123のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記RNA分析種がリボソームRNA分析種である、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記試料が全血試料である、項目109~125のいずれか1項に記載の方法。
(項目127)
項目1~22及び30~66のいずれか1項に定義される通りの溶解試薬を含むキット。
(項目128)
細胞試料から放出された分析種を固定するための固体支持体をさらに含む、項目127に記載のキット。
(項目129)
プライマー、少なくとも1つの検出プローブ、またはそれらの両方をさらに含む、項目127または128に記載のキット。
(項目130)
項目1~22及び30~66のいずれか1項に記載の溶解試薬を、血液細胞を含有する試料と混合することによって調製される反応混合物。
(項目131)
前記反応混合物が、前記溶解試薬及び血液細胞を含有する前記試料と一緒に、前記血液細胞から放出された分析種を固定するための固体支持体を混合することをさらに含む、項目130に記載の反応混合物。
Claims (58)
- (i)TRISと、(ii)4%(w/v)~15%(w/v)の濃度のラウリル硫酸リチウム(LLS)と、(iii)20mM~35mMの濃度の塩化マグネシウムと、からなる、溶血試薬であって、5.5よりも高いpHを有し、前記溶血試薬が、EDTA、EDTA-Na2、EGTA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される抗凝固薬を含んでいない、溶血試薬。
- 前記塩化マグネシウムが30mMの濃度で存在する、請求項1に記載の溶血試薬。
- 前記LLSが6%(w/v)の濃度で存在する、請求項1または2に記載の溶血試薬。
- 前記TRISが75mM~150mMの濃度で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の溶血試薬。
- 前記TRISが100mMの濃度で存在する、請求項4に記載の溶血試薬。
- 前記塩化マグネシウムが30mMの濃度で存在する、請求項4または5に記載の溶血試薬。
- 前記LLSが6%(w/v)の濃度で存在する、請求項4~6のいずれか1項に記載の溶血試薬。
- 前記TRISが75mM~150mMの濃度で存在する、請求項1に記載の溶血試薬。
- 前記TRISが100mMの濃度で存在する、請求項8に記載の溶血試薬。
- 前記塩化マグネシウムが30mMの濃度で存在する、請求項8または9に記載の溶血試薬。
- 前記LLSが6%(w/v)の濃度で存在する、請求項8~10のいずれか1項に記載の溶血試薬。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の溶血試薬と、血液細胞と、を含む、組成物。
- 前記組成物が全血を含む、請求項12に記載の組成物。
- 前記組成物中の前記溶血試薬と前記全血の比が1:1(v/v)~4:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
- 前記組成物中の前記溶血試薬と前記全血の比が2:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
- 前記組成物中の前記溶血試薬と前記全血の比が3:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
- 前記組成物中の前記溶血試薬と前記全血の比が4:1(v/v)である、請求項13に記載の組成物。
- 前記全血がヒト全血、非ヒト全血、またはこれらの混合物である、請求項13~17のいずれか1項に記載の組成物。
- 血液細胞を溶解し、そこから分析種を放出させる方法であって、(a)血液細胞を含有する試料を、前記血液細胞を溶解させ、そこから分析のための分析種を放出させるのに有効な溶血試薬と接触させるステップであって、前記溶血試薬は、請求項1に定義される通りのものであるステップと、(b)前記試料中の血液細胞を溶解させ、それにより前記血液細胞の少なくとも一部が溶解し、そこから前記分析種が放出される条件を提供するステップと、(c)ステップ(b)において放出された前記分析種を分析するステップと、を含む、方法。
- 前記分析種が病原体由来の分析種である、請求項19に記載の方法。
- 前記分析種がRNA分析種である、請求項19または請求項20に記載の方法。
- 前記血液細胞の少なくとも50%が前記溶血試薬によって5分以内に溶解する、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
- 前記溶血試薬が、請求項1~11のいずれか1項に定義される通りである、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
- 固体支持体上に前記分析種を固定するステップをさらに含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
- 前記分析種を固定する前記ステップは、前記放出された分析種を捕捉プローブ及び固定したプローブと接触させることを含み、前記捕捉プローブが、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を有し、前記分析種が前記捕捉プローブへ結合し、前記結合した捕捉プローブが、前記固定したプローブへ結合する、請求項24に記載の方法。
- 増幅反応を用いて前記分析種を増幅し、結果として得られた増幅産物を検出プローブで検出することで、前記固体支持体上に固定した分析種が分析される、請求項24に記載の方法。
- 前記増幅反応が等温増幅反応である、請求項26に記載の方法。
- 前記増幅反応が転写媒介性増幅である、請求項27に記載の方法。
- 前記方法が、前記血液細胞から放出された前記分析種から前記溶血試薬を分離するための遠心分離ステップなしで実施される、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
- 前記分析種が病原性生物である、請求項19~29のいずれか1項に記載の方法。
- 前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
- 前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、請求項31に記載の方法。
- 前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、請求項32に記載の方法。
- 前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、請求項33に記載の方法。
- 前記試料が全血を含み、前記接触させるステップの間に溶血試薬と全血の比が1:1~4:1である、請求項19~34のいずれか1項に記載の方法。
- 血液細胞を含有する試料から分析種を分離する方法であって、(a)溶血試薬と血液細胞を含有する試料との混合物を、前記試料中の前記血液細胞の少なくとも一部の溶解に十分な条件下でインキュベートし、それにより分析種を放出させるステップ、(b)前記混合物を、前記分析種を固定するように構成された固体支持体と接触させるステップ、及び(c)前記固定した分析種を前記混合物から分離するステップを含み、前記溶血試薬が、請求項1において定義される通りのものである、方法。
- 前記固体支持体が、付着した固定したプローブを含む、請求項36に記載の方法。
- 前記接触させるステップ(b)は、前記混合物を、前記分析種に相補的な第1のセグメントと、前記固定したプローブに相補的な第2のセグメントと、を含む、捕捉プローブと接触させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
- ステップ(b)の後でありかつステップ(c)の前にあるステップ(i)をさらに含み、前記ステップ(i)が、前記捕捉プローブの前記第1のセグメントと前記分析種との間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、請求項38に記載の方法、
- ステップ(i)の後でありかつステップ(c)の前であるステップ(ii)をさらに含み、前記ステップ(ii)が、前記捕捉プローブの前記第2のセグメントと、前記固体支持体へ付着した前記固定したプローブとの間のハイブリッド形成複合体の形成を好むハイブリッド形成条件を提供することを含む、請求項39に記載の方法。
- 前記固体支持体が磁気ビーズ固体支持体である、請求項36~40のいずれか1項に記載の方法。
- 前記固体支持体がシリカ固体支持体である、請求項36~40のいずれか1項に記載の方法。
- 前記シリカ固体支持体がグラスウールである、請求項42に記載の方法。
- 前記シリカ固体支持体がビーズである、請求項42に記載の方法。
- 前記固体支持体がカラム内に含有される、請求項36~44のいずれか1項に記載の方法。
- 前記分析種が病原性生物である、請求項36~45のいずれか1項に記載の方法。
- 前記病原性生物が、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、フラビウイルス、ジカウイルス、及び寄生生物からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
- 前記病原性生物が、バベシア属由来の寄生虫、プラスモジウム属由来の寄生虫、トリパノソーマ属由来の寄生虫、リーシュマニア属由来の寄生虫、アナプラズマ属由来の寄生虫、トキソプラズマ属由来の寄生虫、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、バベシア・ダイバーゲンス(Babesia divergens)、バベシア・ダンカニ(Babesia duncani)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・マラリアエ(Plasmodium malariae)、プラスモジウム・オベール(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヴィバックス(Plasmodium vivax)、及びプラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)からなる群から選択される寄生生物である、請求項47に記載の方法。
- 前記病原性生物がバベシア属に由来し、前記分析種がリボソームRNA分析種である、請求項48に記載の方法。
- 前記病原性生物が、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)である、請求項49に記載の方法。
- 前記分析種がRNA分析種である、請求項36~50のいずれか1項に記載の方法。
- 前記RNA分析種がリボソームRNA分析種である、請求項51に記載の方法。
- 前記試料が全血試料である、請求項36~52のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1~11のいずれか1項に定義される通りの溶血試薬を含むキット。
- 細胞試料から放出された分析種を固定するための固体支持体をさらに含む、請求項54に記載のキット。
- プライマー、少なくとも1つの検出プローブ、またはそれらの両方をさらに含む、請求項54または55に記載のキット。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の溶血試薬を、血液細胞を含有する試料と混合することによって調製される反応混合物。
- 前記反応混合物が、前記溶血試薬及び血液細胞を含有する前記試料と一緒に、前記血液細胞から放出された分析種を固定するための固体支持体を混合することをさらに含む、請求項57に記載の反応混合物。
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