以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における径方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジの径方向を意味する。特に説明しない限り、本願における軸方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジの軸方向を意味する。
特に説明しない限り、本願における上流側とは、水の流れにおける上流の側、下流側とは水の流れにおける下流の側を意味する。また、浄水カートリッジにおいては、上記軸方向を基準として、上流側及び下流側が判断される。すなわち、浄水カートリッジでは、軸方向先端側が下流側であり、軸方向後端側が上流側である。また、特に説明しない限り、下流側は前方とも称され、上流側は後方とも称される。
[本開示の基礎となった知見]
図13は、特許第6186059号公報の図2の部分拡大図である。この実施形態では、浄水器用カートリッジの接続筒部10aの外周面に、2つのOリング13が配置されている。下流側のOリング13aの外径は、上流側のOリング13bの外径に等しい。出口10eは、カートリッジ受け11の浄水受け入れ口11aに合致する位置にある。出口10eは、径方向に延びている。
この浄水カートリッジが装着される際には、カートリッジ受け11に、接続筒部10aが挿入される。この挿入において、下流側のOリング13aは、第1のエッジ15で擦られ、更に、第2のエッジ16に擦られる。つまり、一回の挿入で二度に亘って擦られる。このため、下流側のOリング13aに傷つきが生じやすい(改善対象1)。
前記挿入の初期段階では、下流側のOリング13aのみがカートリッジ受け11の内部に挿入されており、上流側のOリング13bはカートリッジ受け11の内部に挿入されていない。この状態では、浄水カートリッジの中心線z1がカートリッジ受け11に対して傾斜しやすい。この傾斜により、下流側のOリング13aの両側に位置する壁部の径方向先端17、18が、カートリッジ受け11の内面に当接する。この当接を発生させながら、接続筒部10aがカートリッジ受け11に挿入されるので、カートリッジ受け11の内面に傷付きが発生しやすい(改善対象2)。
出口10eの断面積を確保しながら、出口10eを径方向に対して傾斜させると、出口10eの周辺部分の軸方向長さが増大する。この軸方向長さの増大により、浄水カートリッジの全長が長くなったり、浄水性能(浄水材の長さ)が犠牲になったりしやすい。一方、出口10eが径方向に延びている状態では、径方向外方に吐出された浄水が、流路形成部材の面にほぼ垂直に当たってから下流側に流れていくことになる(図13の矢印参照)。この場合、流路抵抗が増加しやすい(改善対象3)。
下流側のOリング13aの上流側に位置する前記壁部の径方向先端17と対向部材との間の隙間19には、水アカ、汚れなどが堆積しうる。この堆積物は、浄水カートリッジを取り外す際に、下流側のOリング13aによって掻き出され、浄水受け入れ口11aから浄水流路に入ってしまう場合がある(改善対象4)。
以下の実施形態は、新たに見いだされた上記改善対象を改善しうる。
[第1実施形態]
図1は、一実施形態に係る水栓装置102の斜視図である。水栓装置102は、流し台(図示されず)に取り付けられている。図1では、視認されない部分、すなわち、流し台の内部にある部分の記載は省略されている。なお、水栓装置102の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
水栓装置102は、本体部104、レバーハンドル106及び浄水機能付き吐水ヘッド108を有する。水栓装置102は、いわゆるシングルレバー式水栓である。レバーハンドル106の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル106の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部104の内部には、吐水の温度及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。
図示しないが、水栓装置102を有する水栓器具は、湯導入管及び水導入管を有する。湯導入管は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。
前記湯導入管には、加熱された湯が導入される。加熱は、給湯器によりなされる。前記水導入管には、加熱されていない水が導入される。前記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水及びこれらの混合液体が、単に「水」とも称される。
吐水ヘッド108は、導水部110、切換部112、操作部114、水形調整部116、表示部120及び吐出口122を有する。本実施形態では、操作部114は、押しボタンである。導水部110は、把持部としても機能する。
水形調整部116は、吐出される水の形状(水形)を変化させうる。水形調整部116は、水形調整レバー118を有する。水形調整レバー118を操作することで、水形が変化しうる。水形調整レバー118の操作により、二種以上の水形が選択されうる。二種の水形が選択されうる構成の場合は、ストレート水形とシャワー水形を選択できるようにするのがよい。三種の水形が選択されうる構成の場合は、ストレート水形と、異なるシャワー吐水様態の第一のシャワー水形と第二のシャワー水形とが選択されうるのが好ましく、本実施形態ではこの構成が採用されている。シャワー吐水様態とは、シャワー吐水範囲、シャワー吐水量、シャワー吐水の勢いなどである。
吐水ヘッド108は、原水流路及び浄水流路を有する。原水流路が選択された場合、吐出口122から原水が吐出される。原水が吐出される状態が、原水吐出状態とも称される。浄水流路が選択された場合、吐出口122から浄水が吐出される。浄水が吐出される状態が、浄水吐出状態とも称される。
切換部112は、操作部114の操作によって吐水が浄水か原水かを切り換えうる切換機構を有している。この切換機構により、原水吐出状態か浄水吐出状態かが選択されうる。
図2は、吐水ヘッド108の正面図である。図3(a)及び図3(b)は、図2のA-A線に沿った断面図である。図3(a)と図3(b)との違いは、浄水カートリッジの周方向位置(位相)である。図3(a)及び図3(b)において、操作部114は飛び出し位置にある。図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)も、吐水ヘッド108の断面図である。図4(a)は、図4(b)のa-a線に沿った断面図である。図4(b)は、図4(a)のb-b線に沿った断面図である。図4(a)及び図4(b)において、操作部114は飛び出し位置にある。図5(a)は、図5(b)のa-a線に沿った断面図である。図5(b)は、図5(a)のb-b線に沿った断面図である。図5(a)及び図5(b)において、操作部114は押し込み位置にある。なお、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)では、断面の背景に見える線の記載が省略されている。
操作部114は、切換ボタンとして機能する。流路を切り換える際には、操作部114が押圧される。操作部114を押圧するごとに、原水流路と浄水流路との間の切換がなされる。換言すれば、操作部114を押圧するごとに、原水吐出状態と浄水吐出状態との間の切換がなされる。前記切換機構は、オルタネイト動作方式のスラストロック機構を有している。このスラストロックにより、操作部114の押しボタン動作が実現されている。押圧操作するごとに、押しボタン114は、飛び出し位置と押し込み位置との間を相互に移行する。この切換機構は公知である。
本実施形態では、押しボタン114が飛び出し位置にあるとき原水が吐出され、押しボタン114が押し込み位置にあるとき浄水が吐出される。よって、図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)は原水吐出状態であり、図5(a)及び図5(b)は浄水吐出状態である。逆に、押しボタン114が飛び出し位置にあるとき浄水が吐出され、押しボタン114が押し込み位置にあるとき原水が吐出されてもよい。
吐水ヘッド108は、浄水カートリッジPC1を有する。浄水カートリッジPC1は、導水部110の内部に配置されている。導水部110は、外筒部124を有している。外筒部124の内側に、浄水カートリッジPC1が配置されている。
浄水カートリッジPC1の外側には、原水流路WGが形成されている。浄水カートリッジPC1の内部には、浄水流路WJが形成されている。原水吐出状態にあるとき、原水流路WGを通過した原水が、切換機構内の原水流路WGを経由して、吐出口122から排出される。一方、浄水吐出状態にあるとき、原水は、浄水カートリッジPC1の外側から内部に至る過程で、浄水カートリッジPC1の透過部126で濾過されて、浄水となる。浄水は、浄水カートリッジPC1の内部の浄水流路WJ及び切換機構内の浄水流路WJを経由して、吐出口122から排出される。なお、この透過部126は、浄水機能部の一例である。
吐水ヘッド108の切換部112は、第1バルブ130と、第2バルブ132とを有する。2つのバルブの開閉によって、吐水が切り換えられる。
図4(b)が示すように、第1バルブ130は、弁座130aと第1弁体130bとボール保持体130cと弾性体130dとを有する。第1バルブ130は、ボール弁である。第1弁体130bは、ボールである。弁座130aは、円形孔の開口縁である。ボール130bは、ボール保持体130cに保持されている。ボール保持体130cは、下方に開放されている。ボール保持体130cの上部とボール130bとの間に弾性体130dが配置されている。この弾性体130dはコイルスプリングである。弾性体130dによって、ボール130bは常に弁座130a側に付勢されている。
図5(b)が示すように、第2バルブ132は、弁座132aと第2弁体132bとボール保持体132cと弾性体132dとを有する。第2バルブ132は、ボール弁である。第2弁体132bは、ボールである。弁座132aは、円形孔の開口縁である。ボール132bは、ボール保持体132cに保持されている。ボール保持体132cは、下方に開放されている。ボール保持体132cの上部とボール132bとの間に弾性体132dが配置されている。この弾性体132dはコイルスプリングである。弾性体132dによって、ボール132bは常に弁座132a側に付勢されている。
押しボタン114は、前記スラストロック機構を介して、ボール保持体130c及びボール保持体132cに接続されている。ボール保持体130c及びボール保持体132cは、押しボタン114と共に移動する。ボール130bはボール保持体130cと共に移動し、ボール132bはボール保持体132cと共に移動する。弁座130aと弁座132aとは、押しボタン114の移動方向に対して略垂直な方向に並列しているが、それらの位置は、前記移動方向において(若干)相違している。
図4(a)及び図4(b)を参照して、操作部114が飛び出し位置にあるとき、ボール132bが弁座132aに嵌まり込み、第2バルブ132が閉じる。このとき、ボール130bの中心は弁座130aの中心からズレており、第1バルブ130は開いている。この状態では、原水が吐出される。第2バルブ132は、浄水流路を閉じる浄水遮断弁である。
図5(a)及び図5(b)を参照して、操作部114が押し込み位置にあるとき、ボール130bが弁座130aに嵌まり込み、第1バルブ130が閉じる。このとき、ボール132bの中心は弁座132aの中心からズレており、第2バルブ132は開いている。この状態では、浄水が吐出される。第1バルブ130は、原水流路を閉じる原水遮断弁である。
吐水ヘッド108は、浄水カートリッジ装着部134を有する。浄水カートリッジ装着部134は、浄水カートリッジPC1の中間部が配置される円筒空洞部136と、接続受け部138とを有する。円筒空洞部136は、外筒部124の内側に形成されている。接続受け部138は、円筒空洞部136の下流側に位置する。
図6は、浄水カートリッジPC1の斜視図である。図7(a)は浄水カートリッジPC1の側面図であり、図7(b)は浄水カートリッジPC1の正面図であり、図7(c)は図7(b)のc-c線に沿った断面図であり、図7(d)は、図7(b)のd-d線に沿った断面図である。
浄水カートリッジPC1は、中間部150と、中間部150の前端部に配置された接続端部152と、中間部150の後端部に配置された後方形成部154とを有する。接続端部152は、中間部150と同軸である。後方形成部154は、中間部150と同軸である。
接続端部152は、中間部150の下流側に設けられている。接続端部152の内部は空洞である。この空洞は浄水流路WJとして機能する。すなわち、接続端部152はその内部に浄水流路WJを有する。接続端部152の材質は、樹脂である。接続端部152は、その全体が一体である。接続端部152は、樹脂により一体成形されている。接続端部152は、別個に成形された複数の部材が組み合わされることで形成されていてもよい。
中間部150は、円筒形である。中間部150は、水を透過させうる透過部151を有する。中間部150は、ろ過機能を有する。中間部150は、その内部に、空洞部を有する。この空洞部は浄水流路WJとして機能する。中間部150は、例えば、外側ろ過層と内側ろ過層とを有していてもよい。外側ろ過層と内側ろ過層との間に、水質浄化材が配置されてもよい。水質浄化材は、例えば活性炭を主成分とする。外側ろ過層及び内側ろ過層には、例えば不織布が用いられる。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、滅菌作用を有するセラミックが採用されてもよい。外側ろ過層及び/又は内側ろ過層に、イオン交換体が採用されてもよい。外側ろ過層は複数層であってもよい。内側ろ過層は複数層であってもよい。なお、本実施形態の中間部150は浄水機能部(浄水機能を発揮する部分)の一例である。中間部150は、ろ過機能を有していなくてもよい。中間部150は、水を透過させない円筒壁部であってもよい。
本実施形態の浄水カートリッジPC1は、塩素を除去しうる浄化材を有している。この浄化材として、活性炭が例示される。
後方形成部154は、中間部150の後方側を閉塞している。一方、接続端部152は通水可能である。接続端部152の内部空間は浄水流路WJである。中間部150を通過して生じた浄水が、接続端部152を通過して、切換部112に至る。
なお、後方形成部154は、通水可能とされていてもよい。例えば、原水が、浄水カートリッジPC1の後方形成部154に設けられた貫通孔から、中間部150の内部に流入してもよい。この場合、中間部150は、非通水性の円筒壁部とされうる。
接続端部152は、第1円筒部160を有する。更に、接続端部152は、第2円筒部162を有する。更に、接続端部152は、第3円筒部164を有する。更に、接続端部152は、保持円筒部166を有する。第1円筒部160は、第2円筒部162の下流側に位置する。第2円筒部162は、第3円筒部164の下流側に位置する。第3円筒部164は、保持円筒部166の下流側に位置する。第2円筒部162は、第1円筒部160と第3円筒部164との間に位置する。第1円筒部160と第2円筒部162とは同軸である。第2円筒部162と第3円筒部164とは同軸である。第3円筒部164と保持円筒部166とは同軸である。第1円筒部160の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。第2円筒部162の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。第3円筒部164の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。保持円筒部166の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
接続端部152は、第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2を有している。本実施形態では、第1環状パッキンs1はOリングである。本実施形態では、第2環状パッキンs2はOリングである。
接続端部152は、最大外径部を有する。本実施形態では、接続端部152の最大外径部は、保持円筒部166である。この最大外径部(保持円筒部166)は、中間部150の下流側の端部を覆っている。この最大外径部(保持円筒部166)は、中間部150の下流側の端部を保持している。
第1円筒部160の外径は、第2円筒部162の外径より小さい。第2円筒部162の外径は、第3円筒部164の外径より小さい。第3円筒部164の外径は、保持円筒部166の外径より小さい。
接続端部152は、第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2を有している。第1環状パッキンs1は、第1円筒部160に配置されている。第2環状パッキンs2は、第2円筒部162に配置されている。
図8は、図7(c)の部分拡大図である。図9は、図7(d)の部分拡大図である。
第1円筒部160は、接続端部152の下流側の端部を構成している。第1円筒部160は、浄水カートリッジPC1の下流側の端部を構成している。
第1円筒部160は、浄水カートリッジPC1の下流側の端部を構成している。第1円筒部160は、接続端部152の下流側の端部を構成している。
接続端部152は、先端部170を有している。本実施形態では、第1円筒部160が、先端部170である。先端部170は、第1溝172を有している。第1溝172は、先端部170(第1円筒部160)の外周面に形成されている。第1溝172は、周溝である。第1溝172は、前方壁部173aと後方壁部173bとの間に形成されている。前方壁部173aは、第1溝172の前方の側面を形成している。後方壁部173bは、第1溝172の後方の側面を形成している。
第1環状パッキンs1は、先端部170に配置されている。第1環状パッキンs1は、第1溝172に配置されている。
先端部170は、先端面174を有する。先端面174は、浄水カートリッジPC1の先端面である。先端面174は、接続端部152の先端面である。先端面174は、平面である。先端面174は、径方向に沿って延びている。先端面174は、環状である(図7(b)参照)。先端面174は、周方向の全体に亘って設けられている。先端面174の中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。
先端部170は、非通水性である。先端部170の内面は、浄水流路WJに面している。本実施形態では、先端部170の内面は、後述の内面194を含む。先端部170の外面は、原水流路WGに面している。本実施形態では、先端部170の外面は、先端面174及び凹部176を含む。先端部170の外面は、凹部176を有している。先端部170の内面と外面とは、第1環状パッキンs1によって仕切られている。先端部170の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。先端部170は、浄水カートリッジPC1の中心線z1と交差する位置に配置されている。
凹部176は、下流側に開放されている。凹部176は、軸方向前方に向かって開放されている。凹部176は、原水流路WGに開放されている。凹部176は、非通水性である。凹部176の断面形状は円形である(図7(b)参照)。凹部176の周囲(径方向外側)に、先端面174が配置されている。凹部176は、先端部170の内側に、空洞を形成している。凹部176は、円筒状の空洞を形成している。凹部176により形成された空洞は、第1環状パッキンs1の径方向内側に存在している。凹部176により形成された空洞は、第1溝172の径方向内側に存在している。先端面174の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
図8及び図9が示すように、凹部176は、側面178と、底面180とを有する。側面178は円周面である。側面178は、第1溝172の径方向内側に位置する。底面180は平面である。底面180は径方向に沿って延びている。底面180は円形である。底面180の中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。
第1溝172の径方向内側には、凹部176により空洞が形成されている。底面172aの径方向内側には、凹部176により空洞が形成されている。
先端部170は、仕切り壁190を有する。仕切り壁190は、非通水性である。仕切り壁190は、先端面174よりも上流側に位置する。仕切り壁190は、径方向に沿って延びている。仕切り壁190の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。
仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差している。すなわち、仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差する位置に設けられている。本実施形態では、仕切り壁190は、その中心において、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差している。仕切り壁190は、その中心以外の位置で、浄水カートリッジPC1の中心線z1に交差していてもよい。仕切り壁190は、凹部176の底面180を構成している。底面180は、仕切り壁190の外面192である。このように、先端部170の外面が、仕切り壁190の外面192を底面180とする凹部176を有している。
仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の内部と外部とを仕切っている。仕切り壁190の外面192は、浄水カートリッジPC1の外側の面を構成している。外面192は、原水流路WGに面している。仕切り壁190の内面194は、浄水カートリッジPC1の内側の面を構成している。内面194は、浄水流路WJに面している。
接続端部152は、連結延在部200を有する。連結延在部200は、第1円筒部160と第2円筒部162とを繋いでいる。図6及び図7(b)が示すように、複数の連結延在部200が、周方向に等間隔で配置されている。本実施形態では、4つの連結延在部200が周方向に等間隔で配置されている。連結延在部200は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に対して傾斜した方向に延びている。連結延在部200は、下流側に行くほど径方向内側となるように延びている。連結延在部200は、第2円筒部162の下流側と第1円筒部160の上流側とを繋いでいる。
第2円筒部162は、第2溝210を有する。第2溝210は、周溝である。第2溝210は、第2円筒部162の外周面に形成されている。第2溝210に、第2環状パッキンs2が配置されている。第2円筒部162の内部は空洞である。第2円筒部162の内部は、浄水流路WJである。
第2円筒部162は、下流側端面212を有する。下流側端面212は、平面である。下流側端面212は、径方向に沿って延びている。下流側端面212は、環状である。下流側端面212は、周方向の全体に亘って形成されている。
下流側端面212は、周方向全体に途切れなく連続して形成されていてもよい。下流側端面212は、連結延在部200によって区分けされた区分け部が周方向に並ぶことで形成されていてもよい。下流側端面212は、周方向全体に途切れなく連続して形成される部分と、連結延在部200によって区分けされた区分け部が周方向に並んだ部分とを有していてもよい。本実施形態では、下流側端面212は、連結延在部200によって区分けされた4つの区分け部214が周方向に並ぶことで形成されている。
連結延在部200は、延在部下流面202を有する。延在部下流面202は、連結延在部200の下流側の面である。延在部下流面202は、下流側に行くほど径方向内側となるように延びているという構成1を備える。この構成1により、浄水カートリッジPC1の接続端部152を吐水ヘッド108の浄水カートリッジ装着部134の接続受け部138に挿入する時に、延在部下流面202に当たった接続受け部138の部位が、接続端部152の中心線と接続受け部138の中心線とが一致する方向に変位し、結果として、接続端部152や接続受け部138の各部位の傷付きを防止できると共に、浄水カートリッジPC1の接続端部152を吐水ヘッド108の浄水カートリッジ装着部134の接続受け部138に挿入する時の操作性が向上するという効果1が生じる。
一方、下流側端面212は、径方向に延びている、つまり、軸方向に垂直な面であるという、構成2を備える。吐水ヘッド108が、浄水カートリッジPC1の接続端部152を接続受け部138に挿入する時に、浄水カートリッジPC1に押圧される押圧部を有しており、この押圧部が押圧されることで特定の機能が奏される浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置が考えられる。この特定の機能として、例えば、吐水状態(原水・浄水)の切替、及び、吐水形態の切替の制御が挙げられる。この場合、前記押圧部を押圧する接続端部の部位の面が径方向に延びる、つまり、軸方向に垂直な面であることで、前記押圧部の押圧を正確及び/又は良好に行うことができるという効果2が生じる。下流側端面212が径方向に延びることで、この効果2が発現する。
上記構成1及び上記構成2は、接続端部152の同じ軸方向領域に配されているにも関わらず、効果1と効果2の両方を実現することができる。さらに、両構成は、接続端部152の同じ軸方向領域に配されているから、結果として、浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置の大型化の防止、及び、浄化機能部の配置可能領域の増加をも達成できる。
第3円筒部164は、円周面220と、段差面222とを有する。円周面220は、円周面である。円周面220の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1である。段差面222は、平面である。段差面222は、径方向に沿って延びている。段差面222は、環状である。段差面222は、周方向の全体に亘って形成されている。第3円筒部164の内部は、浄水流路WJである。
保持円筒部166は、円周面230と、段差面232とを有する。円周面230は、円周面である。円周面230の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1である。段差面232は、平面である。段差面232は、径方向に沿って延びている。段差面232は、環状である。段差面232は、周方向の全体に亘って形成されている。段差面232は、円周面220の上流側と円周面230の下流側とを繋いでいる。
接続端部152は、浄水出口孔240を有する。第1環状パッキンs1は、浄水出口孔240よりも下流側に位置する。第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240よりも上流側に位置する。浄水出口孔240は、第1円筒部160(先端部170)と第2円筒部162との間に位置する。第1円筒部160は第2円筒部162から離れており、この離間によって浄水出口孔240が形成されている。周方向に隣り合う連結延在部200同士の間に、浄水出口孔240が形成されている。
図10は、図3(b)の部分拡大図である。図10は、接続端部152付近の拡大図である。前述の通り、吐水ヘッド108の浄水カートリッジ装着部134は、接続受け部138を有する。接続受け部138は、第1受け円筒部254と、第2受け円筒部256を有する。第1受け円筒部254は、第2受け円筒部256よりも下流側に位置する。第1受け円筒部254は、第2受け円筒部256よりも下流側に位置する。第1受け円筒部254の内径は、第2受け円筒部256の内径よりも小さい。第1受け円筒部254の外径は、第2受け円筒部256の内径よりも小さい。
接続端部152は、接続受け部138に、水密に接続されている。第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2が、水密性を担保している。第1受け円筒部254の内側に、接続端部152の第1円筒部160(先端部170)が挿入されている。第1環状パッキンs1は、第1受け円筒部254の内周面に密着している。第2受け円筒部256の内側に、接続端部152の第2円筒部162が挿入されている。第2環状パッキンs2は、第2受け円筒部256の内周面に密着している。第2受け円筒部256の端面258は、段差面222に当接している。この当接により、浄水カートリッジPC1の軸方向における位置決めがなされている。
接続受け部138は、浄水出口孔240から出た浄水を原水流路WGから区分し浄水流路WJの一部を構成する浄水通路WJ1を有している(図5(b)及び図10参照)。また、接続受け部138は、原水を浄水通路WJ1から区分し原水流路WGの一部を構成する原水通路WG1を有する(図4(a)及び図10参照)。接続受け部138は、原水通路WG1を形成する隔壁260を有する(図10参照)。隔壁260は、第1受け円筒部254の下流側の端部に繋がっている。隔壁260は、凹部176の下流側に位置する。隔壁260は、径方向に沿って延びている。隔壁260は、隔壁260と凹部176との間に原水通路WG1を形成している。原水通路WG1は、左右方向に貫通する原水流路WGを形成している(図4(a)参照)。原水通路WG1は、原水を、浄水カートリッジPC1の先端面174に導いている。原水通路WG1は、原水を、凹部176に導いている。先端面174は、原水流路WGに面している。凹部176は、原水流路WGに面している。第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240から出た浄水が原水流路WGに流れ込むのを防止している。第1環状パッキンs1は、原水通路WG1からの水が浄水流路WJに流入するのを防止している。第2環状パッキンs2は、原水流路WGからの水が浄水出口孔240の出口に流れ込むのを防止している。第2環状パッキンs2は、浄水出口孔240から出た浄水が原水流路WGに流れ込むのを防止している。
凹部176の下流側に、通水性部材270が設置されている(図10参照)。通水性部材270は、先端面174に対向して配置されている。通水性部材270は、原水通路WG1に面して設置されている。通水性部材270は、原水通路WG1と先端面174との間に配置されている。通水性部材270は、原水通路WG1と凹部176との間に配置されている。本実施形態では、通水性部材270は網である。この網は、金属網(メッシュ金属網)である。通水性部材270は、原水流路WGの流れを阻害しない。原水通路WG1の水流は先端面174に当たりうる。原水通路WG1の水流は凹部176に流れ込みうる。通水性部材270は、原水通路WG1への異物の侵入を阻止しうる。
図11は、図5(b)の部分拡大図である。浄水カートリッジPC1の浄水出口孔240は、出口開口縁242を有する。出口開口縁242は、径方向内側縁242aと、径方向外側縁242bとを有する。径方向内側縁242aは、全体として円である。径方向内側縁242aの中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。径方向外側縁242bは、全体として円である。径方向外側縁242bの中心は、浄水カートリッジPC1の中心線z1上に位置する。径方向内側縁242aは、径方向外側縁242bよりも径方向内側に位置する。径方向内側縁242aは、径方向外側縁242bよりも下流側に位置する。
図11において破線で示されるのは、径方向内側縁242aと径方向外側縁242bとを結ぶ直線L1である。図11において2点鎖線で示されるのは、直線L1に垂直な直線L2である。直線L2は、下流側にいくに従って径方向外側にいくように傾斜している。図11において両矢印θで示されるのは、浄水カートリッジPC1の中心線z1と直線L2との成す角度である。この角度θは、開口傾斜角度とも称される。
図11において両矢印S1で示されているのは、浄水出口孔240の出口開口縁242の径方向開口幅である。出口開口縁242は、径方向開口幅S1を有する。径方向開口幅S1は、径方向内側縁242aと径方向外側縁242bとの間の径方向距離である。図11において両矢印Vで示されているのは、出口開口縁242の軸方向幅である。出口開口縁242は、軸方向幅Vを有する。軸方向幅Vは、径方向内側縁242aと径方向外側縁242bとの間の軸方向距離である。
浄水出口孔240は、軸方向に貫通している。換言すれば、浄水出口孔240は、軸方向に繋がっている。図12は、図11の一部が拡大された拡大断面図である。中心線z1に沿った断面において、浄水出口孔240は、軸方向に延びる直線Xを通過させうる(図12の矢印y1参照)。中心線z1に沿った断面において、浄水出口孔240は、上記直線Xとして、最も径方向外側に位置する直線X1と、最も径方向内側に位置する直線X2とを有する。直線X1と直線X2とは、径方向に離れている。すなわち、直線X1と直線X2との間に径方向距離が存在する。この径方向距離が、前後貫通幅とも称される。浄水出口孔240は、前後貫通幅S2を有する。本実施形態では、この前後貫通幅S2が、前記径方向開口幅S1に等しい。
図9において両矢印M1で示されるのは、第1溝172の幅である。溝幅M1(mm)は、軸方向に沿って測定される。図9において両矢印M2で示されるのは、第2溝210の幅である。溝幅M2(mm)は、軸方向に沿って測定される。溝幅M1は、溝幅M2よりも大きい。
本願では、第1環状パッキンs1の断面の直径が断面直径D1(mm)とされ、第2環状パッキンs2の断面の直径が断面直径D2(mm)とされる。なお、断面直径D1は、第1環状パッキンs1単体での直径である。すなわち、断面直径D1は、第1環状パッキンs1に外力が付加されていない状態において測定される。同様に、断面直径D2は、第2環状パッキンs2単体での直径である。すなわち、断面直径D2は、第2環状パッキンs2に外力が付加されていない状態において測定される。
断面直径D1は、断面直径D2よりも小さい。断面直径D1は、溝幅M1よりも小さい。断面直径D2は、溝幅M2よりも小さい。
図9が示すように、溝幅M1は、第1環状パッキンs1の断面直径D1よりも大きい。第1溝172において、第1環状パッキンs1は、軸方向の隙間を有している。第1溝172において、第1環状パッキンs1は、軸方向に移動しうる。
第1溝172の底面172aは、全体として円周面であり、直径を有する。底面172aの直径は、軸方向位置によって変化している。本実施形態では、底面172aの直径は、上流側よりも下流側のほうが小さい。図9では、第1環状パッキンs1は、第1溝172内で最も上流側に位置している。第1環状パッキンs1が第1溝172内で下流側に移動したとき、第1環状パッキンs1の圧縮が緩む。また、第1環状パッキンs1が第1溝172内で下流側に移動したとき、第1環状パッキンs1は内径が小さくなると共に外径も小さくなる。第1環状パッキンs1が下流側に移動することで、浄水カートリッジPC1の取り外しが容易となる。
図9が示すように、溝幅M2は、第2環状パッキンs2の断面直径D2よりも大きい。第2溝210において、第1環状パッキンs1は、軸方向の隙間を有している。第2溝210において、第2環状パッキンs2は、軸方向に移動しうる。
第2溝210の底面210aは、全体として円周面であり、直径を有する。底面210aの直径は、底面172aの直径よりも大きい。底面210aの直径は、軸方向位置によって変化していない。底面210aの直径は一定である。図9では、第2環状パッキンs2は、第2溝210内で最も上流側に位置している。第2環状パッキンs2が第2溝210内で軸方向に移動しても、第2環状パッキンs2の圧縮度は変化しない。
図9において両矢印G1で示されるのは、第1環状パッキンs1の外径である。外径G1は、第1環状パッキンs1が第1溝172に装着され且つ浄水カートリッジPC1が吐水ヘッド108に装着されていない状態で、測定される。換言すれば、外径G1は、浄水カートリッジPC1単体の状態で測定される。図9において両矢印G2で示されるのは、第2環状パッキンs2の外径である。外径G2は、第2環状パッキンs2が第2溝210に装着され且つ浄水カートリッジPC1が吐水ヘッド108に装着されていない状態で、測定される。換言すれば、外径G2は、浄水カートリッジPC1単体の状態で測定される。なお、第1溝172の底面172aのように、溝の底面の直径が変化している場合、環状パッキンの外径G1及びG2は、溝の底面の外径が最大である位置に環状パッキンが配置された状態で測定される。
第1環状パッキンs1の外径G1は、第2環状パッキンs2の外径G2よりも小さい。
図9において両矢印W1で示されるのは、溝幅M1から断面直径D1を引いた幅である。すなわち、W1=M1-D1である。図9において両矢印W2で示されるのは、溝幅M2から断面直径D2を引いた幅である。W2=M2-D2である。なお、図9における第1環状パッキンs1及び第2環状パッキンs2は、装着状態なので、圧縮されている。よって、図9における第1環状パッキンs1の断面幅は、正確には、断面直径D1ではない。同じく、図9における第2環状パッキンs2の断面幅は、断面直径D2ではない。この観点からは、図9に幅W1及び幅W2を図示するのは不適切であるが、分かりやすさの観点から、図9に幅W1及び幅W2が図示されている。同様に、図9に断面直径D1及び断面直径D2を図示するのは不適切であるが、分かりやすさの観点から、図9に断面直径D1及び断面直径D2が図示されている。
幅W1は、幅W2よりも大きい。換言すれば、差(M1-D1)は、差(M2-D2)よりも大きい。
環状パッキンでシールされたシール部では、水に含まれるカルシウムや汚れ等が堆積し、環状パッキンの固着が生じる。また、常に水に晒されている環状パッキンは膨潤し、この膨潤も上記固着を促進しうる。この固着に起因して、接続受け部138から浄水カートリッジPC1を取り外しにくくなる。また、取り外しに大きな力を要することで、環状パッキンに負荷がかかり、環状パッキンの劣化が促進されうる。
幅W1及び幅W2を設けることで、浄水カートリッジPC1の取り外しの際に、環状パッキンs1、s2の変形が容易になる。このため、取り外し性が向上する。また、環状パッキンs1、s2は、溝内を移動することができる。よって、固着部分が段階的に剥がれ、取り外し性が向上する。
本実施形態は、以下の効果を奏する。
[G1<G2の効果]
浄水カートリッジPC1では、下流側に位置する第1環状パッキンs1の外径G1が、上流側に位置する第2環状パッキンs2の外径G2よりも小さい(図9参照)。
この構成は、前述した改善対象1を改善する。下流側の第1環状パッキンs1は、外径G1が小さいため、第2受け円筒部256のエッジ259に擦られる確率は低い(図10参照)。よって、前記従来技術(図13)のように、一回の挿入で二度に亘って擦られることはほとんどない。このため、下流側の第1環状パッキンs1の傷つきが抑制される(パッキン傷つき抑制効果)。
更に、この構成は、前述した改善対象2を改善する。第1環状パッキンs1の外径G1が小さいため、この第1環状パッキンs1が配置されている第1円筒部160の外径も小さい(図7(a)参照)。よって、浄水カートリッジPC1の挿入の初期段階において、浄水カートリッジPC1の中心線z1が傾斜しても、第1円筒部160が第2受け円筒部256の内面に当たる確率は低い(図10参照)。このため、接続受け部138の内面の傷つきが抑制される(受け部傷つき抑制効果)。
更に、G1<G2との構成により、浄水出口孔240の向きである直線L2(図11)を傾斜させやすくなり、また、浄水出口孔240を軸方向に貫通させやすくなる。よってこの構成は、改善対象3及び改善対象4の改善にも寄与している。
第1環状パッキンs1の外径G1が過小であると、浄水カートリッジPC1の先端部170の強度が低下しやすく、また第1環状パッキンs1での水密性が低下しやすい。この観点から、外径G1は、7mm以上が好ましく、9mm以上がより好ましく、10mm以上が更に好ましい。外径G1が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、外径G1は、18mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、13mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、外径G1は11mmである。
第2環状パッキンs2の外径G2が過小であると、浄水の流量が低下しやすい。この観点から、外径G2は、12mm以上が好ましく、14mm以上がより好ましく、16mm以上が更に好ましい。外径G2が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、外径G2は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、21mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、外径G2は18.8mmである。
差(G2-G1)が過小であると、前述のパッキン傷つき抑制効果及び受け部傷つき抑制効果が低下し、改善対象3及び改善対象4の改善効果も低下しうる。また、差(G2-G1)が過小であると、浄水の流量が減少しやすい。これらの観点から、差(G2-G1)は、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、6mm以上が更に好ましい。差(G2-G1)が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、差(G2-G1)は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、差(G2-G1)は7.8mmである。
比(G2/G1)が過小であると、前述のパッキン傷つき抑制効果及び受け部傷つき抑制効果が低下し、改善対象3及び改善対象4の改善効果も低下しうる。また、G2/G1が過小であると、浄水の流量が減少しやすい。この観点から、G2/G1は、1.2以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。G2/G1が過大であると、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大きくなり、水栓が大型化しやすい。この観点から、G2/G1は、2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、1.9以下が更に好ましい。上記実施形態では、G2/G1は1.7である。
[開口傾斜角度θの効果]
図11が示すように、浄水出口孔240(出口開口縁242)は、開口傾斜角度θを有する。
この開口傾斜角度θは、前述した改善対象3を改善する。開口傾斜角度θにより、浄水出口孔240の軸方向長さが抑制されつつ、浄水が浄水出口孔240を斜め前方に流れることができる。浄水出口孔240の軸方向長さが抑制されているので、浄水カートリッジPC1の全長が長くなったり、浄水性能(浄水材の長さ)が犠牲になったりすることが抑制されている(軸方向長さ抑制効果)。また、浄水が浄水出口孔240から斜め前方に吐出されることで、浄水が流路形成部材の面に垂直に当たることが抑制され、流路抵抗が低減されうる(流路抵抗低減効果)。
更に、この開口傾斜角度θは、前述した改善対象4を改善する。図13で示される形態では、下流側のOリング13aの上流側に位置する前記壁部の径方向先端17と対向部材との間の隙間19には、水が流れ込みにくい。なぜなら、隙間19の延在方向が軸方向であるのに対して、隙間19に隣接する水流の向きは略径方向だからである(図13の矢印参照)。よって、この隙間19には水が滞留しやすく、隙間19に水アカや汚れなどが堆積しやすい。これに対して図11の実施形態では、開口傾斜角度θが90°未満であり、この角度θに起因して、浄水出口孔240で斜め前方に向かう水流が生じうる(図12の矢印y2参照)。この斜め前方に向かう水流は、軸方向前方に向かう成分を含み、後方壁部173bと第1受け円筒部254との間の隙間280に流れ込みやすい。よって、隙間280に水が滞留しにくく、隙間280に水アカや汚れなどが堆積しにくい。前述の通り、仮に隙間280に堆積物があると、この堆積物は、浄水カートリッジPC1を取り出す際に第1環状パッキンs1によって掻き出され、浄水出口孔240から浄水流路WJに入りやすい。しかし、水が滞留しにくい隙間280では、当該堆積物が抑制され、掻き出された堆積物が浄水流路WJに流れ込む不都合が抑制される(堆積物抑制効果)。
開口傾斜角度θが過小であると、接続端部152が長くなり、上記軸方向長さ抑制効果が低下する。この観点から、開口傾斜角度θは、30°以上が好ましく、40°以上がより好ましく、50°以上が更に好ましい。開口傾斜角度θが過大であると、流路抵抗低減効果及び堆積物抑制効果が低下する。この観点から、開口傾斜角度θは、80°以下が好ましく、70°以下がより好ましく、60°以下が更に好ましい。本実施形態では、開口傾斜角度θは56°である。
[軸方向に貫通した浄水出口孔の効果]
前述の通り、浄水出口孔240は軸方向に貫通している(図12の矢印y1参照)。このため、水流が隙間280に入り込みやすく、前述の堆積物抑制効果が更に高まる。また、浄水出口孔240を通過する水が軸方向に流れやすいので、前述の流路抵抗低減効果が更に高まる。
前後貫通幅S2(図12参照)が過小であると、堆積物抑制効果及び流路抵抗低減効果が低下する。この観点から、前後貫通幅S2は、1.05mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましい。前後貫通幅S2が過大であると、第2環状パッキンs2の外径G2が大きくなり、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大型化する。また、外径G2が大きくなると、第2環状パッキンs2により生じる水密性が低下しやすい。これらの観点から、前後貫通幅S2は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。本実施形態では、前後貫通幅S2は1.1mmである。
径方向開口幅S1(図11参照)が過小であると、堆積物抑制効果及び流路抵抗低減効果が低下する。この観点から、径方向開口幅S1は、1.05mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましい。径方向開口幅S1が過大であると、第2環状パッキンs2の外径G2が大きくなり、浄水カートリッジPC1及び吐水ヘッド108が大型化する。また、外径G2が大きくなると、第2環状パッキンs2により生じる水密性が低下しやすい。これらの観点から、径方向開口幅S1は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。本実施形態では、径方向開口幅S1は1.1mmである。
[D1<D2の効果]
前述の通り、第1環状パッキンs1の断面直径D1は、第2環状パッキンs2の断面直径D2よりも小さい。
環状パッキンの外径が小さいと、環状パッキンを伸ばす作業が行いにくくなるなど、環状パッキンの取り扱い性が低下する。このため、外径が小さい環状パッキンは溝に装着しにくい。すなわち、外径の小さな環状パッキンの装着性は低く、外径が大きい環状パッキンの装着性は高い。
環状パッキンの断面直径が小さいと、環状パッキンは伸びやすく、溝への装着は容易である。すなわち、断面直径の小さい環状パッキンの装着性は高い。断面直径の大きな環状パッキンは、伸びにくく、装着性が低い。
断面直径が小さい環状パッキンは、可能なつぶし代が小さく、シール性が低い。断面直径が大きい環状パッキンは、つぶし代を大きくすることができるので、シール性が高い。また、つぶし代が大きいと、周辺部材の製造寸法誤差が生じても、シール性を確保しやすい。
上記実施形態では、下流側の第1環状パッキンs1は、小さい外径G1に起因して装着性が低下しうる。このため、断面直径D1を小さくすることで、装着性を改善している。
一方、上流側の第2環状パッキンs2は、大きい外径G2に起因して装着性が高く、装着性に余裕がある。このため、断面直径D2を大きくしてシール性を高めている。
シール性の観点から、第1環状パッキンs1の断面直径D1は、1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましく、1.3mm以上が更に好ましい。装着性の観点から、断面直径D1は、2.0mm以下が好ましく、1.9mm以下がより好ましく、1.7mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、断面直径D1は1.5mmである。
シール性の観点から、第2環状パッキンs2の断面直径D2は、1.3mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、1.7mm以上が更に好ましい。装着性の観点から、断面直径D2は、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.3mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、断面直径D2は1.9mmである。
断面直径D2が過小であると第2環状パッキンs2におけるシール性が悪くなりやすく、また、断面直径D1が過大であると第1環状パッキンs1の装着性が悪くなりやすくなる。つまり、断面直径D2が過小であったり、断面直径D1が過大であったりすると、水密性と装着性との総合性能が低下する。この観点から、差(D2-D1)は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が更に好ましい。断面直径D2が過大であると第2環状パッキンs2の装着性が悪くなりやすく、断面直径D1が過小であると第1環状パッキンs1におけるシール性が悪くなりやすくなる。つまり、断面直径D2が過大であったり、断面直径D1が過小であったりすると、水密性と装着性との総合性能が低下する。この観点から、差(D2-D1)は、1.0mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.6mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、差(D2-D1)は0.4mmである。
断面直径D2が過小であったり、断面直径D1が過大であったりすると、水密性と装着性との総合性能が低下する。この観点から、比(D2/D1)は、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましい。断面直径D2が過大であったり、断面直径D1が過小であったりすると、水密性と装着性との総合性能が低下する。この観点から、比(D2/D1)は、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下が更に好ましい。上記実施形態では、比(D2/D1)は1.27である。
[W1>W2の効果]
前述の通り、幅W1は、幅W2よりも大きい。換言すれば、差(M1-D1)は、差(M2-D2)よりも大きい(図9参照)。
上流側の第2環状パッキンs2は、断面直径D2が大きいので、浄水カートリッジPC1を取り外す際に変形しやすい。よって、第2環状パッキンs2は、取り外し性を低下させる要因にはなりにくい。一方、下流側の第1環状パッキンs1は、断面直径D1が小さいので、浄水カートリッジPC1を取り外す際に変形しにくい。よって、第1環状パッキンs1は、取り外し性を低下させる要因になりやすい。そこで、変形しにくい第1環状パッキンs1に係る幅W1を幅W2よりも大きくすることで、取り外し性が向上している。なお、幅W1と幅W2の両方を大きくすると、接続端部152の軸方向長さが大きくなり、浄水カートリッジPC1の長尺化又は浄水性能(浄水材の長さ)の低下を招来する。幅W2を幅W1よりも小さくすることで、これらの不都合が抑制される。
取り外し性の観点から、幅W1は、0.7mm以上が好ましく、0.9mm以上がより好ましく、1.1mm以上が更に好ましい。浄水カートリッジPC1の長尺化及び浄水性能の低下を抑制する観点から、幅W1は、2.0mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。本実施形態では、幅W1は1.3mmである。
取り外し性の観点から、幅W2は、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましい。浄水カートリッジPC1の長尺化及び浄水性能の低下を抑制する観点から、幅W2は、1.5mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、0.8mm以下が更に好ましい。本実施形態では、幅W2は0.6mmである。
過小な幅W1及び過大な幅W2を抑制する観点から、差(W1-W2)は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。過大な幅W1及び過小な幅W2を抑制する観点から、差(W1-W2)は、1.5mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、0.8mm以下が更に好ましい。本実施形態では、差(W1-W2)は0.7mmである。
過小な幅W2及び過大な幅W1を抑制する観点から、比(W2/W1)は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましい。過大な幅W2及び過小な幅W1を抑制する観点から、比(W2/W1)は、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下が更に好ましい。本実施形態では、比(W2/W1)は0.46である。
[凹部の効果]
前述の通り、浄水カートリッジPC1の先端部170の外面は、凹部176を有している(図9参照)。
先端部170には第1環状パッキンs1が配置されるので、先端部170は所定の軸方向長さを要する。また、先端部170には第1溝172が配置されており、その底面172aの寸法精度は、第1環状パッキンs1によるシール性を高めるための重要な要素である。
所定の軸方向長さを有するパッキン配置部の内部が中実であると、成形時におけるヒケ(成形収縮)が大きくなる。この現象は、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であっても生じうる。例えば、熱可塑性樹脂の射出成形において、冷却の際にヒケが生じうる。例えば、熱硬化性樹脂の成形において、樹脂の硬化時にヒケが生じうる。また、所定の軸方向長さを有するパッキン配置部の内部が中実であると、個体間における寸法のバラツキが大きくなる。
パッキン配置部の径方向内側に空洞を設けることで、前記ヒケが抑制され、寸法のバラツキも抑制される。したがって、第1溝172の底面172aの寸法精度が高まり、第1環状パッキンs1によるシール性が向上する。
パッキン配置部の径方向内側に位置する凹部は、浄水カートリッジPC1のように先端部170の外面に設けることもできるが、先端部170の内面に設けることもできる。
凹部を先端部170の内面に設ける場合、この凹部は浄水流路WJに面することになる。この凹部には浄水が流入し、滞留しうる。衛生面を考慮すると、塩素が除去された浄水がこの凹部に滞留することは好ましくない。これに対して、本実施形態では、凹部176を先端部170の外面に設けている。凹部176は、原水流路WGに面している。凹部176に滞留するのは、原水である。本実施形態では、塩素が除去された浄水が凹部に滞留するという事態が回避されている。
また、凹部を先端部170の内面に設ける場合、この凹部により、浄水出口孔240の径方向内側における流路の形状が複雑になり、乱流が生じやすい。この乱流により、浄水出口孔240における流量が低下しうる。浄水は浄水カートリッジPC1の浄水機能部を経由しているため、浄水流路WJの水圧は原水流路WGの水圧よりも低い。上記乱流により、浄水出口孔240における流量が低下すると、浄水流路WJの流量が更に低下してしまう。本実施形態では、そのような事態が回避されている。
図9において両矢印Tで示されているのは、第1溝172の底面172aと凹部176(側面178)との間の最短距離である。最短距離Tが過小であると、強度の低下及び底面172aの変形に伴うシール性の低下が生じうる。この観点から、最短距離Tは、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.2mm以上が更に好ましい。最短距離Tが過大であると、前述のヒケが大きくなる。この観点から、最短距離Tは、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.8mm以下が更に好ましい。上記実施形態では、最短距離Tは1.5mmである。
原水吐出状態と浄水吐出状態との間の切換では、第1バルブ130(原水遮断弁)又は第2バルブ132(浄水遮断弁)が瞬間的に閉鎖される。原水吐出状態から浄水吐出状態での切換では、水圧の高い原水流路WGが瞬間的に遮断されるので、水撃又は高水圧が、第1バルブ130(原水遮断弁)から、原水流路WGの上流側に伝達される。
前述の通り、先端部170の外面は原水流路WGに面している。(図11参照)。この水撃又は高水圧が、先端部170に作用することで、浄水カートリッジPC1が揺動しうる。吐水を切り換える度に、この揺動が生じうる。この揺動により、パッキンs1、s2の固着が抑制されうる。
前述の通り、先端部170には、仕切り壁190が設けられている。仕切り壁190は非通水性である。また、仕切り壁190は、浄水カートリッジPC1の中心線z1と交差する位置に設けられている。よって、仕切り壁190に作用した水撃又は高水圧は、浄水カートリッジPC1を効果的に揺動させうる。よって、パッキンs1、s2の固着が効果的に抑制されうる。
仕切り壁190は、径方向に沿って延びるのがよいが、径方向に沿って延びていなくてもよい。上記実施形態では、仕切り壁190は、径方向に沿って延びている。このため、仕切り壁190に作用した水撃又は高水圧が、軸方向の力に効果的に変換されうる。この軸方向の力は、浄水カートリッジPC1を軸方向(前後方向)に効果的に揺動させうる。
仕切り壁190の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致しているのがよいが、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致していなくてもよい。上記実施形態では、仕切り壁190の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線z1に一致している。このため、仕切り壁190に作用した圧力が効果的に浄水カートリッジPC1に伝達されうる。
前述の通り、先端部170の外面には、凹部176が設けられている。凹部の無い平面等に比較して、凹部176は、水撃又は高水圧を効率的に捕捉しうる。凹部176は、浄水カートリッジPC1の揺動を促進しうる。よって、パッキンs1、s2の固着が効果的に抑制されうる。
原水通路WG1は、径方向に沿って延びている。凹部176を設けることで、径方向に沿って延びる原水通路WG1の水流が効果的に捕捉されうる。凹部176は、径方向に沿って延びる原水通路WG1における水撃又は高水圧を効果的に捕捉しうる。
図8が示すように、凹部176は、側面178と底面180とを有する。底面180は、径方向に延在している。よって、底面180に作用した水撃又は高水圧は、軸方向への揺動を生じさせうる。側面178は、軸方向に延在している。よって、側面178に作用した水撃又は高水圧は、径方向への揺動を生じさせうる。2方向への揺動により、パッキンs1、s2の固着が効果的に抑制されうる。
上記実施形態では、環状パッキンs1,s2として、Oリングが用いられている。このOリングの断面形状は、円形である。環状パッキンの断面形状は、円形でなくてもよい。例えば、環状パッキンとして、断面形状が楕円形のOリングが用いられてもよい。環状パッキンは、Oリングに限定されない。また、環状パッキンの断面形状は限定されない。例えば、環状パッキンとして、断面が方形の方形パッキン、断面がU形のUパッキン、断面がV型のVパッキン、断面がY形のYパッキン、断面がX形のXパッキンなどが使用されうる。なお、浄水カートリッジ及び周辺部材と環状パッキンとの固着抑制及びシール性(水密性)確保の総合面で、Oリングが好ましく、特に断面が円形のOリングを用いるのが好ましい。
接続端部152の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、接続端部152の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。コストの観点から、金属よりも樹脂が好ましい。この樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
先端部170の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、先端部170の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。コストの観点から、金属よりも樹脂が好ましい。この樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
上記実施形態の浄水カートリッジPC1では、中間部150が浄水カートリッジPC1の外周面から内部へと水を透過させうる透過部151を有する。中間部150の構成はこの態様に限られない。例えば、浄水カートリッジPC1の外周面は非通水性の外周壁で形成され、この外周壁の内側に透過部が設けられてもよい。この場合、浄水カートリッジPC1の後端からの水の流入が許容されてもよい。例えば、浄水カートリッジPC1の上流側の端(後端)に流入口が設けられうる。この流入口は、後方形成部154に設けられうる。水は、この流入口から浄水カートリッジPC1に流れ込み、当該透過部を透過して接続端部152に到達しうる。
上記実施形態では、浄水機能部が透過部とされ、この透過部に原水を透過させることで浄水が生成される。上述の通り、この透過部は浄水機能部の一例にすぎない。浄水は、透過部を透過せずに生成されてもよい。例えば、浄水カートリッジが金属材を有し、この金属材から、除菌、抗菌、殺菌又は菌増殖抑制の効果を有する金属イオンが放出されることでも、浄水が生成されうる。
本願において浄水とは、以下の(1)及び(2)の生成水を含む概念である。
(1)水中の物質又はイオンなどが吸着材又はろ過膜などで取り除かれた生成水。
(2)除菌などの機能を水に与える為に金属イオンを水に含ませるなど、水に金属イオン、電子、物質などを含ませて水に有益な機能を付与させた生成水。
具体的には、本願における浄水は、以下の機能A及び/又は機能Bにより生成される水を含む概念である。換言すれば、本願における浄水機能部は、以下の機能A及び/又は機能Bを有する機能部を含む概念である。
[機能A]
機能Aとは、以下のA1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択される1以上の機能である。
A1:活性炭などの吸着材を使用して、水中の物質を吸着して取り除く機能。
A2:ろ材を用いて水中の物質をろ過する機能。好ましくは、このろ材が逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ナノろ過膜、多孔質中空繊維膜などのろ過膜とされ、このろ過膜を使用して水中の物質をろ過する機能。
A3:イオン交換樹脂などを使用して、水中の金属イオンなどを取り込んで除去する機能。
A4:金属材から除菌、抗菌、殺菌、及び/又は、菌の増殖を抑止する効果を有する金属イオンを放出する機能。
A5:金属材から金属イオンを放出させると共に、この金属イオンの放出に伴って発生する電子を水中の酸素に取り込ませることによって活性酸素を生成させる機能。
浄化の対象とする水中の物質として、塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質、重金属などが例示される。塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質及び重金属からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
なお、本願において「塩素」とは、水道水中の残留塩素を含む概念である。この残留塩素は、遊離残留塩素と結合残留塩素とを含む。遊離残留塩素として、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとが挙げられる。結合残留塩素として、モノクロラミン、ジクロラミン及びトリクロラミンが挙げられる。水を消毒する目的で、塩素ガスを水に溶かすと、これらの残留塩素が生じうる。
前記揮発性有機化合物として、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンなどが例示される。クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記農薬物質として、2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンなどが例示される。2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンが除去されるのが好ましい。
前記かび臭物質として、2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン、フェノール類などが例示される。2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン及びフェノール類からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記重金属として、鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムなどが例示される。鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記機能A4における金属イオンとして、亜鉛イオン及び銀イオンが例示される。亜鉛イオン及び銀イオンからなる群から選択される1以上が放出されるのが好ましい。
前記機能A4における菌としては、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が除菌、抗菌、殺菌、又は増殖が抑止されるのが好ましい。
前記機能A5における活性酸素は、菌などの有機物を分解しうる。この菌として、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が分解されるのが好ましい。
なお、塩素や有害物質を効果的に取り除くことができると共に、浄水カートリッジの製造コストを抑えることができると言う観点から、機能A1を備える浄水カートリッジが好ましい。なお、機能A2、A3、A4及びA5から選ばれる1以上の機能と機能A1とを備える浄水カートリッジとすることもできる。
[機能B]
機能Bは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う機能である。言い換えると、浄水カートリッジは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う浄水機能部を備えるのが好ましい。
前記機能A及び/又は機能Bを有する浄水機能部は、浄水流路の一部を構成していてもよいし、浄水流路の中に配置されていてもよいし、浄水流路に流通する水溜まり部に配置されていてもよい。
浄水カートリッジは、その全体が分離不能に一体化された一体タイプであってもよいし、互いに分離しうる複数の部材で構成される複合タイプであってもよい。
前記複合タイプは、例えば、アダプター部材と、カートリッジ本体部とを有する構成とすることができる。アダプター部材は、カートリッジ本体部に連結可能であってもよいし、連結不能であってもよい。換言すれば、アダプター部材は、カートリッジ本体部に装着可能であってもよいし、カートリッジ本体に装着不能であってもよい。アダプター部材がカートリッジ本体部に装着可能である場合、アダプター部材は、カートリッジ本体に取り外し可能に取り付けられてもよいし、取り外し不能に取り付けられてもよい。アダプター部材の機能は限定されない。例えば、アダプター部材は、操作部(押しボタン)114の操作性に係る機能を有していてもよい。
アダプター部材及びカートリッジ本体の構成は限定されず、例えば、以下の構成B1からB4のいずれであってもよい。
B1:アダプター部材がカートリッジ本体に装着された状態で、カートリッジ装着部に装着する構成。
B2:先にアダプター部材をカートリッジ装着部に装着して、次にカートリッジ本体をアダプター部材に装着する構成。
B3:アダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、カートリッジ本体をカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
B4:先にアダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、次にカートリッジ本体をアダプター部材及びカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
上記構成B1からB4において、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられる構成であってもよいし、取り外し不能に取り付けられる構成であってもよい。アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
浄水機能付き吐水ヘッドの浄水カートリッジ装着部に配置される浄水カートリッジであって、
前記浄水カートリッジ装着部の接続受け部に接続される接続端部を有しており、
前記接続端部が、浄水出口孔と、前記浄水出口孔よりも下流側に位置する第1環状パッキンと、前記浄水出口孔よりも上流側に位置する第2環状パッキンとを有しており、
前記第1環状パッキンの外径G1が、前記第2環状パッキンの外径G2よりも小さい浄水カートリッジ。
[付記2]
前記浄水出口孔が、出口開口縁を有しており、
前記出口開口縁が、径方向内側縁と、径方向外側縁とを有しており、
前記浄水カートリッジの中心線に沿った断面において、前記径方向内側縁と前記径方向外側縁とを通る直線がL1とされ、前記直線L1に垂直な直線がL2とされるとき、前記直線L2は、下流側にいくに従って径方向外側にいくように傾斜している付記1に記載の浄水カートリッジ。
[付記3]
前記浄水出口孔が、軸方向に貫通している付記1又は2に記載の浄水カートリッジ。
[付記4]
前記第1環状パッキンの断面直径D1が、前記第2環状パッキンの断面直径D2よりも小さい付記1から3のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
[付記5]
前記接続端部が、前記第1環状パッキンが配置されている第1溝と、前記第2環状パッキンが配置されている第2溝とを有しており、
前記第1溝の幅M1が、前記断面直径D1よりも大きく、
前記第2溝の幅M2が、前記断面直径D2よりも大きく、
差(M1-D1)が、差(M2-D2)よりも大きい付記4に記載の浄水カートリッジ。
[付記6]
塩素を除去しうる浄化材を有しており、
前記接続端部が、前記第1環状パッキンが配置された非通水性の先端部を有しており、
前記先端部の材質が、樹脂であり、
前記先端部の内面が、前記浄水流路に面しており、
前記先端部の外面が、前記原水流路に面しており、
前記先端部の外面が、凹部を有しており、
前記凹部により形成された空洞が、前記第1環状パッキンの径方向内側に存在している付記1から5のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
[付記7]
吐出口と、
原水流路と、
浄水流路と、
前記原水流路と前記浄水流路との切り換えを行う切換機構と、
前記浄水流路において前記浄水を生成する浄水カートリッジと、
前記浄水カートリッジが配置される浄水カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジ装着部が、前記浄水カートリッジと接続する接続受け部を有しており、
前記浄水カートリッジが、前記接続受け部に接続される接続端部を有しており、
前記接続端部が、
浄水出口孔と、前記浄水出口孔よりも下流側に位置する第1環状パッキンと、前記浄水出口孔よりも上流側に位置する第2環状パッキンとを有しており、
前記第1環状パッキンの外径が、前記第2環状パッキンの外径よりも小さい浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記8]
付記7に記載の浄水機能付き吐水ヘッドを備えた水栓装置。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成を備えなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。