以下、適宜図面が参照されつつ、本開示の実施形態が詳細に説明される。
なお、特に説明しない限り、本願における径方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジPC1の径方向を意味する。特に説明しない限り、本願における軸方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジPC1の軸方向を意味する。
特に説明しない限り、吐水ヘッドにおいて、先端側が前方又は前側とされ、根元側が後方又は後側とされる。換言すれば、操作部側が前方又は前側とされ、本体部側が後方又は後側とされる。特に説明しない限り、前後方向とは、前記前方と後方とを結ぶ方向である。前後方向は、前記軸方向とされうる。前後方向は、前記軸方向に略平行な方向を含む。略平行な方向とは、前記軸方向からの相違角度が30°以下、更には20°以下、更には10°以下の方向とされうる。
特に説明しない限り、本願における上流側とは、水の流れにおける上流の側、下流側とは水の流れにおける下流の側を意味する。
図1は、第1実施形態に係る水栓装置2の斜視図である。水栓装置2は、流し台(図示されず)に取り付けられる。なお、水栓装置2の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
水栓装置2は、本体部4、レバーハンドル6及び吐水ヘッド8を有する。水栓装置2は、いわゆるシングルレバー式水栓である。レバーハンドル6の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル6の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部4の内部には、吐水の温度及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。
図示は省略されているが、水栓装置2を有する水栓器具は、湯導入管及び水導入管を有する。湯導入管は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。
前記湯導入管には、加熱された湯が導入される。加熱は、給湯器によりなされる。前記水導入管には、加熱されていない水が導入される。前記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水及びこれらの混合液体が、単に「水」と称される場合がある。
吐水ヘッド8は、導水部10、切替部12、操作部14、水形調整部16及び吐出口18を有する。導水部10は、把持部としても機能する。
吐水ヘッド8は、着脱ヘッド部20を有する。切替部12、操作部14、水形調整部16及び吐出口18は、着脱ヘッド部20を構成する。浄水カートリッジPC1を交換するときは、着脱ヘッド部20が取り外される。
水形調整部16は、吐出される水の形状(水形)を変化させうる。シャワー水形、ストレート水形及びそれらの中間的な水形が選択されうる。
吐水ヘッド8は、原水流路及び浄水流路を有する。原水流路が選択された場合、吐出口18から原水が吐出される。原水が吐出される状態が、原水吐出状態とも称される。浄水流路が選択された場合、吐出口18から浄水が吐出される。浄水が吐出される状態が、浄水吐出状態とも称される。
切替部12は、操作部14の操作によって原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り換えうる切替機構を有している。この切替機構の詳細は、後述される。
図2(a)及び図2(b)は、吐水ヘッド8の正面図である。図2(a)は、原水吐出状態における正面図である。原水吐出状態では、操作部14の回転位置が原水吐出位置S1にある。図2(b)は、浄水吐出状態における正面図である。浄水吐出状態では、操作部14の回転位置が浄水吐出位置S2にある。操作部14の回転軸は、前後方向に沿った直線である。操作部14の回転軸は、軸方向に沿った直線である。操作部14の回転軸は、浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。操作部14をθ°回転することで、原水吐出状態と浄水吐出状態との間の切り替えが達成される。本実施形態では、角度θは90°である。
図3(a)は、図2(a)のA-A線に沿った断面図である。図3(a)は原水吐出状態における吐水ヘッド8の断面図である。図3(b)は、図2(b)のB-B線に沿った断面図である。図3(b)は、浄水吐出状態における吐水ヘッド8の断面図である。図4は、吐水ヘッド8の分解斜視図である。
図4が示すように、吐水ヘッド8は、外筒部24と、ヘッドカバー26とを有している。外筒部24は、2層構造の円筒部材である。外筒部24及びヘッドカバー26は、操作部14及び水形調整部16と共に、吐水ヘッド8の外面を形成している。
吐水ヘッド8は、浄水カートリッジPC1を有する。浄水カートリッジPC1は、外筒部24の内側に配置されている。前述した導水部(把持部)10が、外筒部24と浄水カートリッジPC1とを有する。
浄水カートリッジPC1の外側には原水流路WGが形成されており、浄水カートリッジPC1の内部には浄水流路WJが形成されている(図3(a)及び図3(b)参照)。原水吐出状態にあるとき、原水流路WGを通過した原水が、切替機構内の原水流路WGを経由して、吐出口18から排出される。一方、浄水吐出状態にあるとき、原水は、浄水カートリッジPC1の外側から内部に至る過程で、浄水カートリッジPC1の浄水機能部を透過して濾過され、浄水となる。浄水は、浄水カートリッジPC1の内部の浄水流路WJ及び切替機構内の浄水流路WJを経由して、吐出口18から排出される。
図4が示すように、吐水ヘッド8は、操作部14、操作部ガイド30、切替カバー32、第1切替コマ34、第1ヘッド36、切替軸38、第2切替コマ40、切替パッキン42、前方部材44、弾性体46、後方部材50、第2ヘッド52、及び、水形切替アッシー54を有する。
操作部14は操作部ガイド30に固定されている。操作部14は操作部ガイド30と共に回転する。切替カバー32は第1ヘッド36に固定されている。切替カバー32は第1切替コマ34を回転可能に支持している。第1切替コマ34は操作部ガイド30に固定されている。第1切替コマ34は操作部ガイド30と共に回転する。第1切替コマ34は操作部14と共に回転する。第2切替コマ40は切替コマ34と共に回転する。第1切替コマ34及び第2切替コマ40の回転は、前方部材44に伝達される。前方部材44は第1切替コマ34及び第2切替コマ40と共に回転する。後方部材50は前方部材44と共に回転する。前方部材44及び後方部材50は操作部14と共に回転する。前方部材44は、切替弁である。後方部材50は、前方部材44の後方に位置する。ただし、後方部材50の一部は前方部材44に挿入されている。前方部材44と後方部材50との関係については、後述される。
ヘッド本体h1は、第1ヘッド36及び第2ヘッド52を含む。ヘッド本体h1は、固定された部分である。操作部14が操作されても、ヘッド本体h1は動かない。操作部14が操作されても、ヘッド本体h1は回転しない。吐水ヘッド8において固定された部分は、ヘッド本体h1に含まれる。よって、第1ヘッド36及び第2ヘッド52の他に、例えばヘッドカバー26もヘッド本体h1である。
第1ヘッド36と第2ヘッド52とは互いに連結され、被規制部(後述)及び切替機構(後述)を収容している。弾性体46は圧縮コイルバネである。弾性体46は前方部材44と後方部材50との間に配置されている。弾性体46は後方部材50が前方部材44から離れるように後方部材50を付勢している。弾性体46は後方部材50を後方に付勢している。弾性体46は、後方部材50を前方部材44に対して後方に付勢している。水形切替アッシー54は、水形調整部16及び吐出口18を有している。
図5は、浄水カートリッジPC1が装着されていない吐水ヘッド8の断面図である。吐水ヘッド8は、カートリッジ装着部60を有している。カートリッジ装着部60は、外筒部24の内側に形成されている。図5と図3(a)又は図3(b)との対比から分かるように、カートリッジ装着部60に浄水カートリッジPC1が装着されているか否かによって、後方部材50の位置が変化する。この後方部材50の移動の詳細は、後述される。
図6(a)は前方部材44の斜視図であり、図6(b)は別の角度から見た前方部材44の斜視図であり、図6(c)は前方部材44を前方から見た正面図であり、図6(d)は前方部材44を後方から見た背面図である。
前方部材44は、全体として円筒状である。前方部材44の内側には前後方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は浄水流路WJを構成する。
前方部材44は、軸接続部70を有する。軸接続部70は、前方部材44の前面に設けられている。軸接続部70は、前方部材44の前面に形成された凹部(穴)である。この軸接続部70に、切替軸38の後端部が挿入される(図4参照)。この結果、切替軸38は前方部材44に固定される。切替軸38は、前方部材44に対して回転不能な状態で、前方部材44に係合している。切替軸38は操作部14と共に回転する。操作部14の回転は、切替軸38を介して、前方部材44に伝達される。なお、切替軸38の前端部は、第1切替コマ34に固定されている。第1切替コマ34の回転は切替軸38に伝達される。切替軸38は第1切替コマ34と共に回転する。
前方部材44は、複数の前面出口72を有する。前面出口72は、前面原水孔72aと、前面浄水孔72bとを有する。更に、前方部材44は、原水入口73を有している。前面原水孔72a及び前面浄水孔72bは、前方部材44の前面に配置されている。原水入口73は、前方部材44の側面に設けられている。原水入口73からの水路は、前面原水孔72aに繋がっている。原水入口73から前面原水孔72aに至る流路は、原水流路WGの一部である。前面浄水孔72bは、前方部材44の内部の浄水流路WJに繋がっている。前方部材44の側面には、前面浄水孔72bに繋がる孔は設けられていない。
前方部材44の内部には、浄水流路WJが形成されている。浄水流路WJは、後方部材50から前方部材44の内部に流れ込み、前面浄水孔72bから排出される。
複数(2つ)の前面原水孔72aが設けられている。複数(2つ)の前面浄水孔72bが設けられている。図6(c)がよく示すように、前面原水孔72aと前面浄水孔72bとは交互に配置されている。
図6(b)が示すように、前方部材44は、後方に向かって開放された筒部74を有する。筒部74は、前方部材44の後端部を構成している。筒部74は、スライド溝76を有する。複数のスライド溝76が設けられている。本実施形態では、4本のスライド溝76が、周方向において90°おきに設けられている。スライド溝76は、第1スライド溝76aと第2スライド溝76bとを含む。図6(d)が示すように、2本の第1スライド溝76aと、2本の第2スライド溝76bとが設けられている。2本の第1スライド溝76aは、周方向において180°おきに設けられている。2本の第2スライド溝76bは、周方向において180°おきに設けられている。スライド溝76のそれぞれは、軸方向に沿って延びている。スライド溝76のそれぞれは、後方に向かって開放されている。
筒部74は、後方部材50の先端部を受け入れている(図3(a)、図3(b)及び図5参照)。筒部74は、後方部材受入部78である。前方部材44は、後方部材50の先端部を受け入れる後方部材受入部78を有している。
図4が示すように、切替パッキン42は、前面出口72の配置に対応した形状を有している。切替パッキン42は、水密な流路の接続を達成しつつ、前面原水孔72aから出る原水と、前面浄水孔72bから出る浄水とを区画している。図示されないが、第1ヘッド36の後端面には、流入孔と通水遮断部とが設けられている。
操作部14の回転位置が原水吐出位置S1にあるとき、前方部材44は第1回転位置にある。前方部材44が第1回転位置にあるとき、前面原水孔72aから出た水が前記流入孔へと流れ込む。切替パッキン42により、前面原水孔72aと前記流入孔との水密な接続が達成されている。同時に、前方部材44が第1回転位置にあるとき、前面浄水孔72bは前記通水遮断部で塞がれる。切替パッキン42は、遮断された浄水の漏れを防止する。
操作部14の回転位置が浄水吐出位置S2にあるとき、前方部材44は第2回転位置にある。前方部材44が第2回転位置にあるとき、前面浄水孔72bから出た水が前記流入孔へと流れ込む。切替パッキン42により、前面浄水孔72bと前記流入孔との水密な接続が達成されている。同時に、前方部材44が第2回転位置にあるとき、前面原水孔72aは前記通水遮断部で塞がれる。切替パッキン42は、遮断された原水の漏れを防止する。
なお、通水遮断部は、切替パッキン42に設けられてもよい。この場合、第1ヘッド36の通水遮断部は不要とされうる。
図7(a)は後方部材50の斜視図であり、図7(b)は別の角度から見た後方部材50の斜視図であり、図7(c)は後方部材50を前方から見た正面図であり、図7(d)は後方部材50を後方から見た背面図である。図7(e)は後方部材50の側面図である。
後方部材50は、全体として円筒状である。後方部材50の内側には前後方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は浄水流路WJを構成する。
後方部材50は、カートリッジ受入部80と、スライドレール82と、被規制係合部84と、原水通過孔86と、シール配置部88とを有する。
カートリッジ受入部80は、後方部材50の後端部を構成している。カートリッジ受入部80は筒状である。カートリッジ受入部80は、後方に向かって開放された空洞を有する。カートリッジ受入部80の中心線は浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。カートリッジ受入部80の内側に浄水カートリッジPC1の接続端部(後述)が挿入される。カートリッジ受入部80に浄水カートリッジPC1が水密に接続される。
スライドレール82は、後方部材50の外面に設けられている。複数のスライドレール82が設けられている。本実施形態では、4本のスライドレール82が、周方向において90°おきに設けられている。スライドレール82は、第1スライドレール82aと第2スライドレール82bとを含む。図7(d)が示すように、2本の第1スライドレール82aと、2本の第2スライドレール82bとが設けられている。2本の第1スライドレール82aは、周方向において180°おきに設けられている。2本の第2スライドレール82bは、周方向において180°おきに設けられている。スライドレール82のそれぞれは、軸方向に沿って延びている。スライドレール82のそれぞれは、後方部材50の後端面90にまで延在している。
第1スライドレール82aは、前方部材44の第1スライド溝76aに、スライド可能に係合している。第1スライドレール82aは、第1スライド溝76a内でスライドする。このスライドにより、後方部材50は前後方向に移動する。加えて、第2スライドレール82bは、前方部材44の第2スライド溝76bに、スライド可能に係合している。第2スライドレール82bは、第2スライド溝76b内でスライドする。このスライドにより、後方部材50は前後方向に移動する。このように、スライドレール82はスライド溝76内でスライドする。このスライドにより、後方部材50が前後方向に移動する。このスライドにより、後方部材50が前方部材44に対して後方に移動する。後方部材50は、前方部材44に対してスライド移動しうる。
なお、言うまでもなく、前方部材44がスライドレールを有し且つ後方部材50がスライド溝を有していてもよい。
スライドレール82がスライド溝76に係合しているので、後方部材50は前方部材44に対して回転しない。前方部材44が回転すると、後方部材50も回転する。前方部材44と後方部材50とは一体的に回転する。
被規制係合部84は、後方部材50の外面に設けられている。被規制係合部84は、ヘッド本体h1と係合しうる。この係合により、後方部材50の回転が阻止される。本実施形態において、被規制係合部84は、凸部である。被規制係合部84は、径方向外側に向かって突出している。複数(2つ)の被規制係合部84が設けられている。複数(2つ)の被規制係合部84は、周方向において均等に分配されている。被規制係合部84とヘッド本体h1との係合については、後述される。
原水通過孔86は、後方部材50の外面の2箇所に設けられている。後方部材50には、第1の原水通過孔86から、第2の原水通過孔86に至る原水通路WG1が形成されている。一方の原水通過孔86から原水が流れ込み、他方の原水通過孔86から原水が排出される。前述の通り、後方部材50の内部には浄水流路WJが形成されている。しかし同時に、後方部材50の内部には、浄水流路WJから仕切られた原水通路WG1が形成されている。後述される浄水カートリッジPC1の第1シール部材は、後方部材50の内部において、浄水流路WJと原水流路WGとを仕切っている。本実施形態では、原水通路WG1は、径方向に沿って延びている。原水通路WG1は、後方部材50を横断している。原水通路WG1は、原水流路WGの分岐路である。原水通路WG1は、原水流路WGの迂回路である。原水通路WG1は、原水流路WGの一部である。
シール配置部88は、周溝である。図7(a)~(e)には記載されていないが、シール配置部88には、シール部材94が配置されている(図5参照)。このシール部材94は、リップパッキンである。シール部材94は、前方部材44の内周面に密着している。後方部材50は、前方部材44に水密に接続されている。後方部材受入部78は、前方部材44の後方部材受入部78に水密に接続されている。シール部材94として、リップパッキンの他、Oリングが例示される。好ましいリップパッキンとして、Yパッキン及びXパッキンが挙げられる。
図4が示すように、浄水カートリッジPC1は、浄水機能部100と、接続端部102とを有する。接続端部102は、浄水カートリッジPC1の前端部を構成している。接続端部102は、浄水機能部100の下流側に配置されている。前述の通り、浄水機能部100を透過することで、原水が浄水となる。接続端部102の少なくとも一部は、後方部材50に挿入される。接続端部102は、後方部材50に接続される。
図4の拡大部が示すように、接続端部102は、第1シール保持部104と、第2シール保持部106とを有する。第1シール保持部104は、浄水カートリッジPC1の先端部を構成している。第1シール保持部104には、第1シール部材108が装着されている。第2シール保持部106には、第2シール部材110が装着されている。第1シール部材108は、Oリングである。第2シール部材110は、Oリングである。第1シール部材108の外径は、第2シール部材110の外径よりも小さい。後述の通り、第1シール部材108は、後方部材50の内部において原水通路WG1を浄水流路WJから仕切る役割を果たす。第2シール部材110は、後方部材50の内面に密着する。第2シール部材110により、浄水カートリッジPC1は後方部材50に水密に接続している。
第1シール保持部104は、前端面112を有する。前端面112は、浄水カートリッジPC1の先端面でもある。第2シール保持部106は、前端面114を有する。前端面114は、前向き面である。前端面114は、円環面を含む。前端面114は、軸方向に対して垂直な平面である。前端面114は、浄水カートリッジPC1を正面(軸方向前方)から見たときに視認される面である。
接続端部102は、前向き面116を有する。前向き面116は、第2シール保持部106の後方に位置する。前向き面116は、円環面である。前向き面116は、軸方向に対して垂直な平面である。前向き面116は、浄水カートリッジPC1を正面(軸方向前方)から見たときに視認される面である。前向き面116の外径は、前端面114の外径よりも大きい。
接続端部102は、浄水出口孔120を有する。浄水機能部100の内部を通った浄水は、浄水出口孔120から浄水カートリッジPC1の外側に流れる。第1シール保持部104は、第2シール保持部106から離れている。第1シール保持部104と第2シール保持部106との間に、浄水出口孔120が形成されている。第1シール保持部104と第2シール保持部106とは、連結部122で連結されている。複数(4つ)の連結部122が、周方向に等間隔で配置されている。互いに隣り合う連結部122同士の間に、浄水出口孔120が形成されている。連結部122は、前端面114と、第1シール保持部104の後端面とを繋いでいる。各連結部122は、前方にいくほど浄水カートリッジPC1の中心線に近づくように傾斜している。
前述の通り、後方部材50は、カートリッジ受入部80を有する(図7(a)及び図5参照)。図3(a)及び図3(b)が示すように、カートリッジ受入部80に、浄水カートリッジPC1の第1シール保持部104が挿入される。前述した原水通路WG1は、このカートリッジ受入部80の内部を通過している。第1シール保持部104の第1シール部材108は、この原水通路WG1と、後方部材50の内部の浄水流路WJとを仕切っている。第1シール保持部104の前端面112は、原水通路WG1に面している。第1シール保持部104の前端面112は、原水流路WGに面している。
以下、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替える切替機構について説明する。
前述の通り、前方部材44は、操作部14と共に回転する。本願では、原水吐出状態における前方部材44の回転位置が、第1回転位置とも称される。本願では、浄水吐出状態における前方部材44の回転位置が、第2回転位置とも称される。操作部14が原水吐出位置S1にあるとき(図2(a))、前方部材44は第1回転位置R1にある(図3(a))。操作部14が浄水吐出位置S2にあるとき(図2(b))、前方部材44は第2回転位置R2にある(図3(b))。
第1ヘッド36、切替パッキン42及び前方部材44によって、原水吐出状態と浄水吐出状態との切替がなされる。切替パッキン42は、第1ヘッド36に固定されている。前方部材44の回転位置に関わらず、切替パッキン42は回転しない。前方部材44が第1回転位置R1及び第2回転位置R2にあるとき、切替パッキン42は、前方部材44の前面に当接している。
前方部材44が第1回転位置R1とされると、前面原水孔72aが前記流入孔に対応する位置となり、前面浄水孔72bが前記通水遮断部に対応する位置となる。前方部材44が第1回転位置R1にあるとき、前面原水孔72aは、切替パッキン42を介して、第1ヘッド36の前記流入孔(図示されず)に繋がる。このとき、前面浄水孔72bは、切替パッキン42を介して、第1ヘッド36の前記通水遮断部により塞がれる。この結果、原水は流れ、浄水は遮断される。
前方部材44が第2回転位置R2とされると、前面浄水孔72bが前記流入孔に対応する位置となり、前面原水孔72aが前記通水遮断部に対応する位置となる。前方部材44が第2回転位置R2にあるとき、前面浄水孔72bは、切替パッキン42を介して、第1ヘッド36の前記流入孔(図示されず)に繋がる。このとき、前面原水孔72aは、切替パッキン42を介して、第1ヘッド36の前記通水遮断部により塞がれる。この結果、浄水は流れ、原水は遮断される。
このように、前方部材44は、切替弁である。前方部材44は、回転によって原水吐出と浄水吐出とを切り替える回転切替弁である。
なお、本実施形態では、前方部材44が第1回転位置R1と第2回転位置R2との間の回転位置にあるとき、前方部材44が切替パッキン42から離れる。この離間は、第2切替コマ40に起因するカム機構によって達成されている。図4が示すように、第2切替コマ40は、コマ係合突起40aと、カム係合部40bとを有する。第1切替コマ34の後方突出部34aは、コマ係合突起40aと係合している。このため、第2切替コマ40は、第1切替コマ34と共に回転し、前方部材44と共に回転する。カム係合部40bは、切替カバー32に設けられたカム摺動面32a(図4参照)に係合している。カム摺動面32aに形成された凹凸に起因して、第2切替コマ40の回転運動が軸方向の移動に変換される。前方部材44が第1回転位置R1と第2回転位置R2との間の回転位置にあるとき、第2切替コマ40は後方に移動し、この第2切替コマ40に連動して、前方部材44も後方に移動する。このため前方部材44が切替パッキン42から離れる。前方部材44が第1回転位置R1及び第2回転位置R2にあるときは、第2切替コマ40は前方位置に戻り、切替パッキン42は前方部材44に密着する。このカム機構により、操作部14の操作力が低減し、軽快な切替操作が実現される。また、切替操作における切替パッキン42の摩耗が抑制される。
本実施形態は、前記カム機構に基づく前方部材44の後方への移動を許容しうるように構成されている。少なくとも非通水状態では、前方部材44と後方部材50との間には、前方部材44の後方への移動を許容する隙間がある。通水状態では、浄水カートリッジPC1が水圧を受け、浄水カートリッジPC1及び後方部材50が(若干)前方に移動してもよい。この場合、前記隙間が消滅しうるが、非通水状態だけでも前記カム機構が作動すれば十分である。なお、通水されるか否かによって後方部材50は若干移動してもよいが、この移動範囲の全てが前方位置P2(後述)である。
図8(a)は第2ヘッド52の斜視図であり、図8(b)は別の角度から見た第2ヘッド52の斜視図であり、図8(c)は第2ヘッド52を前方から見た正面図であり、図8(d)は図8(c)のd-d線に沿った断面図である。
第2ヘッド52は、ヘッド本体h1の一部である。第2ヘッド52は、全体として筒状である。第2ヘッド52の内部は空洞である。
図8(a)から(d)が示すように、第2ヘッド52は、回転結合部130と、シール配置部132と、規制部134と、非規制当接部136とを有している。
シール配置部132は、周溝である。シール配置部132は、第2ヘッド52の後端部に設けられている。シール配置部132は、第2ヘッド52の外面に設けられている。シール配置部132には、環状のシール部材が配置される。本実施形態では、シール配置部132にはOリング96が配置されている(図4及び図5参照)。
規制部134及び非規制当接部136は、第2ヘッド52の内側に設けられている。第2ヘッド52の内面には、前向き面が形成されている。前向き面とは、前方を向いた面である。図8(b)及び図8(d)が示すように、第2ヘッド52の内径を変化させることで、段差面140が形成されている。この段差面140が、前向き面を構成している。この段差面140に、規制部134及び非規制当接部136が形成されている。規制部134及び非規制当接部136は、前向き面である。
非規制当接部136は、円環状の前向き面である。ただし、非規制当接部136は、周方向の一部にいて途切れている。この途切れている部分に、規制部134が設けられている。規制部134は、非規制当接部136よりも後方に位置する前向き面を構成している。規制部134は、後方に向かって凹んでいる凹部である。段差面140の一部が後方に向かって凹んでおり、この凹みが規制部134を構成している。規制部134の底面は、非規制当接部136よりも後方に位置する前向き面である。周方向において、規制部134は非規制当接部136に隣接している。
規制部134の周方向幅は、被規制係合部84の周方向幅に対応している。図8(c)が示すように、規制部134は、周方向における2箇所に設けられている。複数の規制部134の周方向における配置は、複数の被規制係合部84の周方向における配置に対応している。
図4が示すように、回転結合部130は、第2ヘッド52の外面に設けられている。回転結合部130は、外筒部24に結合される。回転結合部130は、外筒部24の接続部24aに結合される。回転結合部130は、回転により、外筒部24の接続部24aに連結される(図4参照)。本実施形態では、回転結合部130は雄ねじである。本実施形態では、接続部24aは雌ねじである。
回転結合部130と接続部24aとのネジ結合は、着脱ヘッド部20と導水部10との結合部を構成している。着脱ヘッド部20を取り外し方向D1に回転させることで、このネジ結合が解除される(図1参照)。着脱ヘッド部20を取り外し方向D1に回転させることで、着脱ヘッド部20が導水部10から取り外される。着脱ヘッド部20が取り外されることで、カートリッジ装着部60の前方が開放され、浄水カートリッジPC1の交換が可能となる。浄水カートリッジPC1が交換された後、着脱ヘッド部20が導水部10に取り付けられる。着脱ヘッド部20を取り付け方向D2に回転させることで、前記ネジ結合が締結される(図1参照)。着脱ヘッド部20を取り付け方向D2に回転させることで、着脱ヘッド部20が導水部10に取り付けられる。
前述の通り、前方部材44と後方部材50との間に、弾性体46が配置されている。図3(a)及び図3(b)が示すように、弾性体46の中心線は、浄水カートリッジPC1の軸線(中心線)に一致している。弾性体46は圧縮コイルバネである。弾性体46は、後方部材50を常時後方に付勢している。弾性体46は、前方部材44に対して、後方部材50を後方に付勢している。
前方部材44及び後方部材50は、被規制部150を構成している。被規制部150は、操作部14に連動する部分である。被規制部150は、その動きが規制されると操作部14の操作が規制される部分である。本実施形態では、操作部14が回転すると、前方部材44及び後方部材50も回転する。前方部材44及び後方部材50の回転が規制されると、操作部14の回転操作も規制される。よって前方部材44及び後方部材50は被規制部150である。
被規制部150は、被規制係合部84を有する。被規制係合部84の動きが規制されることで、操作部14の操作が規制される。前述の通り、本実施形態では、後方部材50が被規制係合部84を有する。
以上の構成を有する吐水ヘッド8では、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないとき、前方部材44を第1回転位置R1から第2回転位置R2に回転することが規制される。浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないとき、操作部14を原水吐出位置S1から浄水吐出位置S2に回転することが規制される。
図3(a)又は図3(b)と図5との対比から理解されるように、浄水カートリッジPC1が装着されているか否かによって、後方部材50の軸方向位置が相違する。図5が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されていないとき、後方部材50は後方位置P1にある。図3(a)及び図3(b)が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されているとき、後方部材50は前方位置P2にある。前方位置P2は、後方位置P1よりも前方である。後方部材50は、浄水カートリッジPC1に押圧されて、後方位置P1から前方位置P2に移動する。本実施形態では、浄水カートリッジPC1の前向き面116(図4参照)が、後方部材50の後端面90を押圧している。本実施形態では、前向き面116が、規制解除部118である。規制解除部118は前向き面116に限られず、例えば前端面114であってもよい。本実施形態では、後端面90が、規制解除部118に当接する規制解除当接部92である。規制解除当接部92は後端面90に限られず、例えば後方部材50の内面に形成された後向き面であってもよい。
前述の通り、弾性体46は後方部材50を後方に付勢している。浄水カートリッジPC1が装着されていない状態では、後方部材50の位置は後方位置P1となる。浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されると、後方部材50は弾性体46の付勢力に抗して浄水カートリッジPC1によって押圧され、前方位置P2に移動する。後方部材50の規制解除当接部92が浄水カートリッジPC1の規制解除部118によって押圧され、後方部材50が前方位置P2に移動する。後方部材50の移動の方向は、前後方向である。後方部材50の移動の方向は、軸方向である。後方部材50は、回転することなく移動する。後方部材50の移動は、並進移動である。
前述したスライドレール82とスライド溝76との係合(スライド係合)により、前方部材44に対する後方部材50の移動は許容されている。後方部材50は、後方位置P1と前方位置P2との間を相互移行しうる。上記スライド係合は、後方部材50の移動方法を前後方向に案内する。上記スライド係合により、後方部材50の位置に関わらず、前方部材44と後方部材50とは一体的に回転する。
後方部材50が後方位置P1にあるとき、被規制部150は第1状態にある。本実施形態では、後方部材50が後方位置P1にあるとき、弾性体46は比較的長い。このとき、前方部材44と後方部材50とからなる部分は、相対的に、伸びた状態にある。この観点から、後方部材50が後方位置P1にあるときの被規制部150の状態が、伸長状態とも称される。本実施形態では、第1状態が伸長状態である。
後方部材50が前方位置P2にあるとき、被規制部150は第2状態にある。本実施形態では、後方部材50が前方位置P2にあるとき、弾性体46は比較的短い。このとき、前方部材44と後方部材50とからなる部分は、相対的に、縮んだ状態にある。この観点から、後方部材50が前方位置P2にあるときの被規制部150の状態が、圧縮状態とも称される。本実施形態では、第2状態が圧縮状態である。
弾性体46により、後方部材50は、常に、後方に向かって付勢されている。浄水カートリッジPC1が無いとき、後方部材50の後方への移動は、後方部材50の被規制係合部84と第2ヘッド52との当接により止められている。浄水カートリッジPC1が無いとき、被規制係合部84と第2ヘッド52との当接により、後方部材50が位置決めされる。浄水カートリッジPC1が無いとき、後方部材50の回転位置に関わらず、被規制係合部84は第2ヘッド52(ヘッド本体h1)に当接している。すなわち、浄水カートリッジPC1が無いとき、操作部14の回転位置に関わらず、被規制係合部84は第2ヘッド52(ヘッド本体h1)に当接している。浄水カートリッジPC1があるとき、後方部材50の後方への移動は、後方部材50の規制解除当接部92と浄水カートリッジPC1の規制解除部118との当接により止められている。
規制部134の周方向位置は、操作部14が原水吐出位置S1にあるときの、被規制係合部84の周方向位置に対応している。操作部14が原水吐出位置S1にあり、且つ、浄水カートリッジPC1が装着されていないとき、被規制部150は第1状態(伸長状態)となり、被規制係合部84は規制部134(凹部)に落ち込む。すなわち、被規制係合部84は規制部134に係合する。この係合により、被規制係合部84の周方向への移動が規制される。すなわち、この係合により、操作部14の回転が規制される。図5は、この状態の断面図である。
非規制当接部136の周方向位置は、操作部14が原水吐出位置S1以外にあるときの、被規制係合部84の周方向位置に対応している。原水吐出位置S1以外の位置とは、原水吐出位置S1と浄水吐出位置S2との間の位置及び浄水吐出位置S2である。操作部14が原水吐出位置S1以外にあり、且つ、浄水カートリッジPC1が装着されていないとき、被規制部150は第1状態(伸長状態)となり、被規制係合部84は非規制当接部136に当接する。この当接は、被規制係合部84の周方向への移動を規制しない。この状態では、操作部14の回転操作は可能である。非規制当接部136は、被規制係合部84を当接させつつ、操作部14の操作を許容する。ただし、操作部14が原水吐出位置S1となった瞬間に、被規制係合部84は規制部134に落ち込み、操作部14の回転が規制される。
操作部14が原水吐出位置S1にあるときに浄水カートリッジPC1が取り外されると、回転規制が働き、操作部14の回転が規制される。一方、操作部14が浄水吐出位置S2にあるときに浄水カートリッジPC1が取り外されると、そのままでは、回転規制は働かず、操作部14の回転は許容される。しかし、この状態から操作部14を回転させると、原水吐出位置S1に至った瞬間に回転規制が働く。このように、ヘット本体(規制部134)は、第1状態(伸長状態)にある被規制部150の回転を規制する。
なお、規制部134に係合しているときと、非規制当接部136に当接しているときとで、被規制係合部84の位置は相違している。しかしこの両方において、後方部材50の位置は後方位置P1と定義され、被規制部150は伸長状態と定義される。より詳細には、被規制係合部84が規制部134に係合しているときの後方部材50の位置が第1後方位置P11とされ、被規制係合部84が非規制当接部136に当接しているときの後方部材50の位置が第2後方位置P12とされるとき、第1後方位置P11は第2後方位置P12よりも後方である。後方位置P1は、第1後方位置P11及び第2後方位置P12を含む概念である。図5において、後方部材50は第1後方位置P11にある。
操作部14が原水吐出位置S1にあり、且つ、浄水カートリッジPC1が装着されているとき、被規制部150は第2状態(圧縮状態)となり、被規制係合部84は、規制部134よりも前方に位置し、規制部134に係合できない。よって、後方部材50の回転は規制されず、操作部14の回転操作は規制されない。規制部134は、第2状態にある被規制部150の回転を許容する。図3(a)は、この状態の断面図である。
操作部14が浄水吐出位置S2にあり、且つ、浄水カートリッジPC1が装着されているとき、被規制部150は第2状態(圧縮状態)となり、被規制係合部84は、規制部134よりも前方に位置し、規制部134に係合できない。よって、後方部材50の回転は規制されず、操作部14の回転操作は規制されない。規制部134は、第2状態にある被規制部150の回転を許容する。図3(b)は、この状態の断面図である。
操作部14の回転位置に関わらず、浄水カートリッジPC1が装着されているとき、被規制部150は第2状態(圧縮状態)となり、被規制係合部84は、規制部134よりも前方に位置し、規制部134に係合できない。よって、後方部材50の回転は規制されず、操作部14の回転操作は規制されない。規制部134は、第2状態にある被規制部150の回転を許容する。
このように、被規制部150は被規制係合部84を有している。被規制部150が伸長状態にあるとき、被規制係合部84は、規制部134に係合しうる。被規制部150が圧縮状態にあるとき、被規制係合部84は、規制部134に係合できない。ヘッド本体h1(第2ヘッド52)は、第1状態にある被規制部150の回転を規制し、第2状態にある被規制部150の回転を許容する規制部134を有している。被規制部150は、第1状態にあるとき規制部134に係合し、第2状態にあるとき規制部134に係合しない被規制係合部84を有している。
以上に説明されたように、吐水ヘッド8の切替機構は、操作部14と、操作部14に連動する被規制部150とを有している。上記実施形態では、この連動が回転であるが、この連動は、例えば、軸方向等における移動であってもよい。移動と回転との相互変換を行う機構は周知であり、そのような機構が本実施形態に適用されてもよい。
被規制部150は、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないときには第1状態となり、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されているときには第2状態となるように構成されている。上記実施形態では、第1状態が弾性体46の付勢により後方部材50が後方位置P1にある伸長状態であり、第2状態が、規制解除部118の押圧により後方部材50が前方位置P2にある圧縮状態である。被規制部150の状態変化は、この態様に限定されない。浄水カートリッジPC1が有るとき被規制係合部84と規制部134とが係合せず、浄水カートリッジPC1が無いとき被規制係合部84と規制部134とが係合するように、被規制部150の状態が変化すればよい。
ヘッド本体h1の規制部134は、伸長状態の被規制部150と係合して被規制部150の回転を規制し、前記圧縮状態の前記被規制部と係合せず当該被規制部の回転を許容する。規制部134は、固定部に設けられている。規制部134は、操作部14の操作によって動かない。規制部134は、操作部14の操作によって回転しない。固定部に規制部134を設けることで、被規制部150の動きが安定的且つ確実に規制される。
浄水カートリッジPC1は、被規制部150を第1状態から第2状態へと移行させる規制解除部118を有している。浄水カートリッジPC1が無い場合には被規制部150が第1状態となり、操作部14を浄水吐出位置S2とする操作が規制される。よって、浄水カートリッジPC1の入れ忘れ等により、操作部14が浄水吐出位置S2にあるにも関わらず原水が吐出されるという事態が防止されうる。
上記実施形態では、被規制部150が、切替弁44を含んでいる。よって、切替機構の構造が簡素化される。この結果、切替機構を小型化することができ、吐水ヘッド8のデザインの自由度が向上する。また、切替機構の動作の確実性が高められている。
なお、切替弁を構成せず、単に操作部14に連動して動作(回転)する部材も、本願における切替機構に含まれる。例えば、後方部材50も切換機構に含まれる。
上記実施形態では、被規制部150の回転軸が、前後方向に沿った直線である。被規制部150の回転軸は、軸方向に沿った直線である。このため、吐水ヘッド8の前端部に操作部14が設けられた構成を容易に実現することができる。この構成は、切替操作の操作性が高く、デザイン性に優れた吐水ヘッド8を実現しうる。図1が示すように、本実施形態では、操作部14の側面が、切替部12の外面と同じ円筒面を形成している。更に、切替部12の外面は導水部10の外面と同じ円筒面を形成している。吐水ヘッド8では、小型で細く且つシンプルな外観が実現されており、デザイン性が高い。
後方部材50は、浄水カートリッジPC1の接続端部102を受け入れるカートリッジ受入部80を有している(図7(b)参照)。カートリッジ受入部80を設けることで、浄水カートリッジPC1が安定的に後方部材50に当接し、浄水カートリッジPC1による後方部材50の押圧が確実に達成される。このため、後方部材50が後方位置P1から前方位置P2に確実に移動する。カートリッジ受入部80を有する後方部材50は、規制機構の動作安定性を高める。
上記実施形態では、前方部材44が、後方部材50の先端部を受け入れる後方部材受入部78を有している(図6(b)参照)。後方部材50の先端部が後方部材受入部78に挿入されることで、前方部材44に対する後方部材50のスライド移動を可能とする構成が容易に実現しうる。また、後方部材50の先端部が後方部材受入部78に挿入されることで、前方部材44と後方部材50とが一体回転する構成が容易に実現しうる。また、前方部材44と後方部材50との間に弾性体46を保持する構成が容易に実現しうる。後方部材受入部78を有する前方部材44は、伸長状態と圧縮状態との相互移行の動作安定性を高める。更に、後方部材50の先端部が後方部材受入部78に挿入されることで、後方部材50が前方部材44に水密に接続する構成が容易に実現されうる。この水密な接続により、後方部材50の内側及び前方部材44の内側を通る浄水流路WJを形成することができる。
前方部材44及び後方部材50は、その外側が原水流路WGであり且つその内側が浄水流路WJである部分を有する。浄水カートリッジPC1の接続端部102は後方部材50に水密に接続しており、後方部材50は前方部材44に水密に接続している。これらの接続により、浄水出口孔120から出た浄水は、後方部材50の内側及び前方部材44の内側を通り、前方部材44の前面浄水孔72bから排出される。原水は、浄水カートリッジPC1の外側から後方部材50の外側を経由して前方部材44の外側を流れ、原水入口73を経由して前面原水孔72aから排出される。このように、前方部材44と、後方部材50とは、浄水流路WJを原水流路WGとを仕切る流路形成部を構成している。すなわち、被規制部150は、浄水流路WJを原水流路WGとを仕切る流路形成部を構成している。被規制部150が、流路を仕切る部分を兼ねているため、吐水ヘッド8の小型化が可能となる。
前述の通り、上記実施形態では、第1状態と第2状態との相互移行が、回転を伴わない後方部材50の並進移動によるものである。このため、当該移行が安定的且つ確実になされうる。
上記実施形態では、後方部材50と前方部材44との間に弾性体46が配置されている。この弾性体46が、後方部材50を後方位置P1側に付勢している。この構成では、弾性体46が安定的に保持される。この構成では、浄水カートリッジPC1が装着されていないときに、後方部材50を確実に後方位置P1に戻すことができる。このため、被規制部150の回転阻止が確実に達成されうる。
操作部14の回転位置に関わらず、前方部材44と後方部材50とは、弾性体46によって常に前後方向に離れようとしている。前方部材44と後方部材50との間には、前後方向における被規制部150の伸長を拘束する構造はない。操作部14の回転位置に関わらず、被規制部150とその隣接部との間で、前後方向における遊びは生じない。よって、操作部14の回転位置に関わらず、被規制部150にガタつきは生じない。浄水カートリッジPC1の有無及び操作部14の回転位置に関わらず、被規制部150にガタつきは生じない。これは、規制機構の動作安定性を高める。
後方部材50は、浄水カートリッジPC1の規制解除部118に当接する規制解除当接部92を有している。図4の拡大部が示すように、規制解除部118は、浄水カートリッジPC1の中心線と同軸の円環面である。加えて、図7(b)が示すように、規制解除当接部92は、円環面である。規制解除当接部92は、浄水カートリッジPC1の中心線と同軸の円環面である。従って、浄水カートリッジPC1の回転位置(位相)に関わらず、浄水カートリッジPC1と後方部材50との当接が安定的且つ確実に達成される。これらの構造は、規制機構の動作安定性を高める。
操作部14の回転軸、被規制部150の回転軸及び浄水カートリッジPC1の中心線が共通である。上記実施形態では、操作部14の回転軸、前方部材44の回転軸、後方部材50の回転軸、及び、浄水カートリッジPC1の中心線が共通である。この構成では、操作部14の回転を被規制部150に伝達する回転伝達機構と、浄水カートリッジPC1により被規制部150を伸縮させる伸縮機構とを、一直線上に配置することができる。このため、吐水ヘッド8の小型化が達成され、吐水ヘッド8を細くしてデザイン性を高めることができる。
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。この規制部材は、圧力損失を生じさせうる。圧力損失が生じれば、浄水の流量が低下する。一方、上記実施形態では、被規制部150の内側に浄水流路が形成されており、被規制部150が浄水流路WJと原水流路WGとを仕切る役割を果たしている。また規制部134は、ヘッド本体h1の内面に形成されている。このため、浄水流路に規制部材を設けることによる前記圧力損失が防止される。
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。このため、浄水流路に当該規制部材の設置スペースを確保する必要がある。一方、上記実施形態では、浄水流路に規制部材の設置スペースを設ける必要がなく、吐水ヘッドの更なる小型化が可能となる。
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。このため、規制部材の大きさに限界があり、規制部材の強度に制約がある。一方、上記実施形態では、固定部であるヘッド本体h1に規制部134が設けられている。このため、規制部134の強度が高められうる。
特許第6356940号公報の第3実施形態では、カム機構により被規制部材が軸方向に移動し、規制部材がこの移動を阻止する。この場合、当該カム機構が介在しているため、移動規制が達成されるように規制部材の位置及び寸法を制御するのが難しい。一方、上記実施形態では、規制機構に当該カム機構が介在しておらず、被規制部材の回転を規制部が直接規制する構造である。規制機構の動作安定性が高まり、誤作動が抑制されうる。また、当該カム機構が不要とされることで、吐水ヘッドの小型化が可能となる。
上記実施形態では、通水により浄水カートリッジPC1が前方に受圧し、この受圧力が、被規制部150を介して、切替パッキン42を押圧している。すなわち、浄水カートリッジPC1の押圧力が、切替パッキン42と被規制部150の前面との間に作用するシール圧を高めている。このシール圧は、弾性体46によっても付与されているが、これに加えて、浄水カートリッジPC1も当該シール圧を付与している。よって、切替パッキン42と被規制部150(前方部材44)との間のシール性が高められている。高いシール圧により、浄水吐出状態において原水が漏れて浄水性能が低下することが抑制される。加えて、高いシール圧により、原水吐出状態において浄水が漏れてカートリッジ寿命が短縮されることも抑制される。
特許第6356940号公報の第3実施形態では、切替弁のシール性を確保する付勢部材とは別に、規制部材を第1状態とする付勢部材が必要である。一方、上記実施形態では、切替弁のシール性確保のための付勢部材(弾性体46)が、被規制部150を伸長状態とする付勢部材も兼ねている。このため、付勢部材が削減されうる。また、前方部材44と後方部材50との間に配置される弾性体46は大型化が可能であり、弾性体46と後方部材50との当接面積を大きくすることもできる。この結果、被規制部150の伸縮動作の確実性が高まる。更に、この弾性体46の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。このため、弾性体46は、浄水カートリッジPC1による押圧力を安定的に受け止めることができる。このような構成の弾性体46は、規制機構の動作安定性を高める。
図2(a)では、原水吐出位置S1から浄水吐出位置S2に移行するときの操作部14の回転方向がD3で示されている。本実施形態では、回転方向D3は、使用者側から見て、反時計回りである。一方、上述の通り、着脱ヘッド部20を回転方向D1に回転させると着脱ヘッド部20を取り外すことができる。この回転方向D1も、使用者側から見て、反時計回りである(図1参照)。このように、本実施形態では、原水吐出位置S1から浄水吐出位置S2に移行するときの操作部14の回転方向D3が、着脱ヘッド部20を取り外すときの着脱ヘッド部20の回転方向D1に一致している。
浄水カートリッジPC1が装着されていないとき、原水吐出位置S1おいて、操作部14の回転が規制される。ただし、使用者が、回転が規制された操作部14を、強引に回転しようとする場合がある。例えば使用者は、何らかの不具合で操作部14が回転しにくくなったと勘違いして、操作部14を強く回転しようとすることがありうる。強度の観点から、操作部14に、通常の操作時を大きく超える強い回転力が作用することは、好ましくない。
前記回転方向D3が前記回転方向D1に一致していることで、操作部14への回転力が所定の値に達すると、着脱ヘッド部20が回転し、着脱ヘッド部20が外れる。前記回転方向D3を前記回転方向D1に一致させることで、操作部14に一定以上の強い回転力が作用するのが防止されうる。このため、切替機構に係る部材を保護することができる。
操作部ガイド30の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、操作部ガイド30の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
切替カバー32の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、切替カバー32の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
第1切替コマ34の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、第1切替コマ34の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
第2切替コマ40の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、第2切替コマ40の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
切替軸38の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。材質が金属の場合、コストの観点から、切替軸38の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。前述の通り、操作部14に強い回転力が作用することがありうる。この場合、切替軸38に強いトルクが作用する。切替軸38の捻れ剛性及び捻れ強度を高める観点から、切替軸38の材質は、金属とされるのが好ましい。捻れ剛性及び捻れ強度の観点から、この金属としては、ステンレス鋼が好ましい。
生産性の観点からは、切替軸38と前方部材44(切替弁)とが一体成形されてもよい。切替軸38と前方部材44とで材質を変える観点からは、本実施形態のように、切替軸38が前方部材44とは別部材であるのが好ましい。この場合、切替軸38を金属として捻れ剛性を高め、且つ、前方部材44を樹脂として成形性を高めることができる。前述の通り、操作部14に強い回転力が作用することがありうる。この場合、切替軸38に強いトルクが作用する。切替軸38の材質を金属として捻れ剛性及び捻れ強度を高める観点からは、切替軸38と前方部材44とが別部材とされるのが好ましい。
前方部材44の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、前方部材44の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
後方部材50の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、後方部材50の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
浄水カートリッジPC1は所定の使用期間ごとに交換されるのに対して、浄水カートリッジPC1に押圧される後方部材50は交換されない。長期間繰り返し浄水カートリッジPC1に当接される後方部材50は、高い剛性及び高い耐摩耗性を有するのが好ましい。この観点から、後方部材50の材質の縦弾性係数は、0.1GPa以上が好ましく、1.0GPa以上がより好ましく、3.0GPa以上が更に好ましい。上述の好ましい材質を考慮すると、後方部材50の材質の縦弾性係数は、17GPa以下が好ましく、16GPa以下がより好ましく、15GPa以下が更に好ましい。後方部材50の材質の縦弾性係数は、浄水カートリッジPC1の規制解除部118の材質の縦弾性係数よりも大きいのが好ましい。上記縦弾性係数は、引張応力に対するひずみ量の関係から求められるもので、弾性範囲におけるひずみ量と応力の比例定数であり、ヤング率とも呼称される。一般的な材質の縦弾性係数は、多くの文献に記載されており、よく知られている。文献値が不明確である場合、縦弾性係数は、ASTM D638に準拠して測定されうる。この測定では、測定対象となる部材と同じ材質からなる試験片が用いられうる。
上記実施形態では、浄水機能部100が浄水カートリッジPC1の外周面から内部へと水を透過させうる態様である。しかし、浄水機能部100はこの態様に限られない。例えば、浄水カートリッジPC1の外周面は非通水性の外周壁で形成され、この外周壁の内側に透過部が設けられてもよい。この場合、水は浄水カートリッジPC1の上流側の端(後端)から浄水カートリッジPC1に流れ込み、当該透過部を透過して接続端部102に到達しうる。この構成では、浄水カートリッジPC1の後端部に原水取り入れ孔が設けられうる。
上記実施形態では、浄水機能部100が透過部とされ、この透過部に原水を透過させることで浄水が生成される。上述の通り、この透過部は浄水機能部の一例にすぎない。浄水は、透過部を透過せずに生成されてもよい。例えば、浄水カートリッジが金属材を有し、この金属材から、除菌、抗菌、殺菌又は菌増殖抑制の効果を有する金属イオンが放出されることでも、浄水が生成されうる。
本願において浄水とは、以下の(1)及び(2)の生成水を含む概念である。
(1)水中の物質又はイオンなどが吸着材又はろ過膜などで取り除かれた生成水。
(2)除菌などの機能を水に与える為に金属イオンを水に含ませるなど、水に金属イオン、電子、物質などを含ませて水に有益な機能を付与させた生成水。
具体的には、本願における浄水は、以下の機能A及び/又は機能Bにより生成される水を含む概念である。換言すれば、本願における浄水機能部は、以下の機能A及び/又は機能Bを有する機能部を含む概念である。
[機能A]
機能Aとは、以下のA1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択される1以上の機能である。
A1:活性炭などの吸着材を使用して、水中の物質を吸着して取り除く機能。
A2:ろ材を用いて水中の物質をろ過する機能。好ましくは、このろ材が逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ナノろ過膜、多孔質中空繊維膜などのろ過膜とされ、このろ過膜を使用して水中の物質をろ過する機能。
A3:イオン交換樹脂などを使用して、水中の金属イオンなどを取り込んで除去する機能。
A4:金属材から除菌、抗菌、殺菌、及び/又は、菌の増殖を抑止する効果を有する金属イオンを放出する機能。
A5:金属材から金属イオンを放出させると共に、この金属イオンの放出に伴って発生する電子を水中の酸素に取り込ませることによって活性酸素を生成させる機能。
浄化の対象とする水中の物質として、塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質、重金属などが例示される。塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質及び重金属からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
なお、本願において「塩素」とは、水道水中の残留塩素を含む概念である。この残留塩素は、遊離残留塩素と結合残留塩素とを含む。遊離残留塩素として、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとが挙げられる。結合残留塩素として、モノクロラミン、ジクロラミン及びトリクロラミンが挙げられる。水を消毒する目的で、塩素ガスを水に溶かすと、これらの残留塩素が生じうる。
前記揮発性有機化合物として、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンなどが例示される。クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記農薬物質として、2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンなどが例示される。2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンが除去されるのが好ましい。
前記かび臭物質として、2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン、フェノール類などが例示される。2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン及びフェノール類からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記重金属として、鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムなどが例示される。鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
前記機能A4における金属イオンとして、亜鉛イオン及び銀イオンが例示される。亜鉛イオン及び銀イオンからなる群から選択される1以上が放出されるのが好ましい。
前記機能A4における菌としては、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が除菌、抗菌、殺菌、又は増殖が抑止されるのが好ましい。
前記機能A5における活性酸素は、菌などの有機物を分解しうる。この菌として、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が分解されるのが好ましい。
なお、塩素や有害物質を効果的に取り除くことができると共に、浄水カートリッジの製造コストを抑えることができると言う観点から、機能A1を備える浄水カートリッジが好ましい。なお、機能A2、A3、A4及びA5から選ばれる1以上の機能と機能A1とを備える浄水カートリッジとすることもできる。
[機能B]
機能Bは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う機能である。言い換えると、浄水カートリッジは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う浄水機能部を備えるのが好ましい。
前記機能A及び/又は機能Bを有する浄水機能部は、浄水流路の一部を構成していてもよいし、浄水流路の中に配置されていてもよいし、浄水流路に流通する水溜まり部に配置されていてもよい。
浄水カートリッジは、その全体が分離不能に一体化された一体タイプであってもよいし、互いに分離しうる複数の部材で構成される複合タイプであってもよい。
前記複合タイプは、例えば、前記規制解除部を備えるアダプター部材と、カートリッジ本体部とを有する構成とすることができる。アダプター部材は、カートリッジ本体部に連結可能であってもよいし、連結不能であってもよい。換言すれば、アダプター部材は、カートリッジ本体部に装着可能であってもよいし、カートリッジ本体に装着不能であってもよい。アダプター部材がカートリッジ本体部に装着可能である場合、アダプター部材は、カートリッジ本体に取り外し可能に取り付けられてもよいし、取り外し不能に取り付けられてもよい。
アダプター部材及びカートリッジ本体の構成は限定されず、例えば、以下の構成B1からB4のいずれであってもよい。
B1:アダプター部材がカートリッジ本体に装着された状態で、カートリッジ装着部に装着する構成。
B2:先にアダプター部材をカートリッジ装着部に装着して、次にカートリッジ本体をアダプター部材に装着する構成。
B3:アダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、カートリッジ本体をカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
B4:先にアダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、次にカートリッジ本体をアダプター部材及びカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
上記構成B1からB4において、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられる構成であってもよいし、取り外し不能に取り付けられる構成であってもよい。ただし、取り外し不能の場合は、規制部材が前記第2状態のまま保持されてしまう。よって、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
ヘッド本体と、
原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替機構と、
浄水機能部及び接続端部を有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を備えており、
前記切替機構が、
操作部と、
前記操作部に連動する被規制部とを有しており、
前記被規制部が、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには第2状態となるように構成されており、
前記ヘッド本体が、前記第1状態にある前記被規制部の前記連動を規制し、前記第2状態にある前記被規制部の前記連動を許容する規制部を有しており、
前記浄水カートリッジが、前記被規制部を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有している浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記2]
ヘッド本体と、
原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替機構と、
浄水機能部及び接続端部を有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を備えており、
前記切替機構が、
回転操作される操作部と、
前記操作部に連動して回転する被規制部とを有しており、
前記被規制部が、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには第2状態となるように構成されており、
前記ヘッド本体が、前記第1状態にある前記被規制部の回転を規制し、前記第2状態にある前記被規制部の前記回転を許容する規制部を有しており、
前記浄水カートリッジが、前記被規制部を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有している浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記3]
前記被規制部が、前方部材と、前記前方部材に対してスライド移動しうる後方部材と、前記後方部材を前記前方部材に対して後方に付勢する弾性体とを有しており、
前記第1状態が、前記弾性体の付勢により前記後方部材が後方位置にある伸長状態であり、
前記第2状態が、前記付勢に抗した前記規制解除部の押圧により前記後方部材が前方位置にある圧縮状態である付記2に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記4]
前記ヘッド本体の前記規制部が、前記伸長状態の前記被規制部と係合して当該被規制部の回転を規制し、且つ、前記圧縮状態の前記被規制部と係合せず当該被規制部の回転を許容しており、
前記後方部材が、前記被規制部が前記伸長状態にあるとき前記規制部に係合し、前記被規制部が前記圧縮状態にあるとき前記規制部に係合しない被規制係合部を有している付記3に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記5]
前記被規制部が、前記原水吐出状態と前記浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁を含む付記1から4のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記6]
前記被規制部が、前記浄水カートリッジの前記接続端部を受け入れるカートリッジ受入部を有している付記1から5のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
[付記7]
付記1から6のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドを備えた水栓装置。
[付記8]
付記1から6のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドにおける前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
前記被規制部を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる前記規制解除部を有している浄水カートリッジ。
[付記9]
ヘッド本体と、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替機構と、カートリッジ装着部と、を有しており、前記切替機構が、操作部と、前記操作部に連動する被規制部とを有しており、前記被規制部が、第1状態と第2状態との相互移行が可能なように構成されており、前記ヘッド本体が、前記第1状態にある前記被規制部の前記連動を規制し、前記第2状態にある前記被規制部の前記連動を許容する規制部を有している浄水機能付き吐水ヘッドに装着される浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、
前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記被規制部を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、
前記被規制部に挿入される接続端部とを有する浄水カートリッジ
[付記10]
前記接続端部が、前記被規制部に水密に接続される付記9に記載の浄水カートリッジ。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成を備えなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。