JP7132868B2 - 複合基材および半導体モジュールならびにこれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の主面を有する金属基材と金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜とを備えている複合基材、および、当該複合基材を用いた半導体モジュール、ならびに、これらの製造方法に関する。
パワー半導体として着目されているSiCは絶縁破壊電界強度がSiと比較して約10倍も高いことから、数百~数千Vの高耐電圧パワーデバイスとしての用途開発がなされ、特に、小型で大電力に対応可能なパワー半導体のモジュール化が検討されている。パワー半導体は、その発熱を放散させるためのヒートシンクなどの金属基材に搭載される必要があるが、半導体および金属基材の間の電気絶縁性を確保するため、当該半導体および当該金属基材の間にセラミックスの絶縁性基材を設けることが提案されている。
絶縁性基材としてのアルミナ(酸化アルミニウム)焼結体は、電気絶縁性に関しては優れているものの、薄型化が困難であるために熱抵抗が高く放熱性に関しては劣る。また、アルミナ焼結体は、金属基材との熱膨張係数の差が大きいため、熱サイクルを経験することにより当該金属基材から剥離しやすい。
そこで、絶縁性基材の熱特性の改善を図るため、当該絶縁性基材としてアルミナの焼結体ではなく溶射膜を採用することが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特許第5246143号公報 特許第5316397号公報 特許第5926654号公報
しかし、アルミナ溶射膜の緻密性はアルミナ焼結体と比較して低いため、高電圧が適用されるパワー半導体をモジュール化する際、当該半導体と金属基材との間の電気絶縁性が不十分になる可能性がある。
そこで、本発明は、金属基材と半導体等の対象物とのセラミックス溶射膜による十分かつ安定な絶縁性を実現しうる複合基材およびこれを用いた半導体モジュール等を提供することを目的とする。
本発明は、一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、を備えている複合基材に関する。さらに、本発明は、一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、前記絶縁性薄膜の上方に搭載されている半導体回路要素と、を備えている半導体モジュールに関する。
本発明の複合基材および半導体モジュールのそれぞれは、前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれ、前記絶縁性薄膜がセラミックス溶射膜により構成されていることを特徴とする。
本発明の金属基材の製造方法は、前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように、前記金属基材の少なくとも前記一方の主面を湿式エッチングまたはドライエッチングを施す前処理工程と、前記金属基材の前記一方の主面に、セラミックス原料粉を溶射することにより前記絶縁性薄膜としてのセラミックス溶射膜を形成する溶射工程と、を含んでいることを特徴とする。
本発明の半導体モジュールの製造方法は、前記前処理工程と、前記溶射工程と、に加えて、前記絶縁性薄膜の上方に前記半導体回路要素を搭載する工程と、を含んでいることを特徴とする。
本発明者が得た知見によれば、金属基材の一方の主面の表面粗さRaおよび粗さ曲線要素の平均長さRsmが前記範囲から外れている場合、当該金属基材の一方の主面を被覆するセラミックス溶射膜の絶縁性が低くなる傾向がある。
よって、前記方法にしたがって製造された、前記構成の複合基材および半導体モジュールによれば、金属基材と対象物とのセラミックス溶射膜による十分かつ安定な絶縁性が実現される。
本発明の一実施形態としての半導体モジュールの構成説明図。 半導体の製造方法に関するフローチャート。
(構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての半導体モジュールは、一対の主面として第1主面11および第2主面12を有する略平板状の金属基材10と、金属基材10の一方の主面としての第1主面11を覆う絶縁性薄膜20と、絶縁性薄膜20の上方に搭載されている半導体回路要素30と、半導体回路要素30を封止する封止部材40と、を備えている。金属基材10の内部には、水などの冷却媒体を流すための冷却媒体通路14が形成されている。金属基材10および絶縁性薄膜20により、本発明の一実施形態としての複合基材が構成されている。
金属基材10の第1主面11の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれている。金属基材10は、例えば、アルミニウムからなる略円板状の部材である。金属基材10は、銅(Cu)、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン合金、タングステン、シリコンまたは金属複合材料(MMC)などから構成されていてもよい。また、金属基材10の形状は、多角形板状または楕円板状など、円板状とは異なるさまざまな形状であってもよく、円板に複数の異なる形状の切り欠きが設けられているような複雑な形状であってもよい。
絶縁性薄膜20が50~250μmの範囲に含まれる厚さを有するセラミックス溶射膜により構成されている。セラミックス溶射膜として、例えば、イットリア(Y)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO2)、アルミナ-ジルコニア(Al-ZrO)またはスピネル(MgAl)などの絶縁性セラミックスなどの溶射膜が採用される。
半導体回路要素30として、例えば、SiC製またはGaN製のパワー半導体、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)またはMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)が用いられる。半導体回路要素30は、ボンディングワイヤー31を介してリードフレーム32に電気的に接続されている。
封止部材40として、例えば、エポキシ樹脂または無機フィラーが混合されたエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂が用いられる。封止部材40は、半導体回路要素30およびボンディングワイヤー31を全体的に覆う一方、リードフレーム32を部分的に露出させるように覆っている。
(製造方法)
本発明の一実施形態としての半導体モジュールの製造方法は、前処理工程(図2/STEP02)、溶射工程(図2/STEP04)、搭載工程(図2/STEP06)および封止工程(図2/STEP08)を含んでいる。
「前処理工程」において、金属基材10の第1主面11に対して湿式エッチングまたはドライエッチングが施される。エッチング条件は、金属基材10の第1主面11の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように調節される。
「溶射工程」において、金属基材10の第1主面11に、セラミックス原料粉を溶射することにより50~250μmの範囲に含まれる厚さのセラミックス溶射膜である絶縁性薄膜20が形成される。
「搭載工程」において、絶縁性薄膜20の上方に半導体回路要素30、ボンディングワイヤー31およびリードフレーム32が搭載される。
「封止工程」において、半導体回路要素30およびボンディングワイヤー31を全体的に覆う一方、リードフレーム32を部分的に露出させるように覆うように、半導体回路要素30が絶縁性樹脂により封止される。
(前処理工程)
例えば、金属基材10がCuである場合、硝酸塩もしくは塩化第二鉄などの塩化物、硫酸塩水溶液、酸、過酸化水素水またはこれらの混合物のほか、混酸がエッチャントとして湿式エッチングが実施される。具体的には、エッチャントに対して金属基材10をディッピングしたり、金属基材10に対してエッチャントをスプレーしたりすることにより湿式エッチングが実施される。
ドライエッチングによれば、金属基材10の第1主面11の全体にプラズマエッチングを行うことにより従来のブラスト加工で処理される表面よりも小さく均質な粗さに第1主面11を調整することができる。また、所定の形状の開口部を有するレジストマスクを用いてプラズマエッチングを行うことにより金属基材10に任意の凹凸形状を設けることができる。そのため、Raに対してRsmを小さくすることも容易になる。さらに、プラズマエッチングでは、ラジカルまたはガスによる等方性の化学エッチングとイオンおよび/または高速粒子による指向性のある物理エッチングの組み合わせをガスの圧力および/または高周波電力によるバイアスを調節することによって、金属基材10の第1主面11の表面性状の調節が可能になる。
(溶射材料作製)
スラリー溶射の製法について
溶射材料は、例えば、イットリア(Y)からなる。溶射材料は、平均粒子径が3~8μmの一次粒子からなる。例えば、溶射材料は、単一の一次粒子もしくは多数の一次粒子が凝集した大径の顆粒(溶射顆粒)またはこれらの混合物が採用されてもよい。平均粒子径は、レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所 型式LA-960S)を用いた粒度分布測定によりD50の値として求められる。
溶射材料は、イットリアのほか、イットリウムのフッ化物(YF)、イットリウムのオキシフッ化物(YOF、Y、Y)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ-ジルコニア(Al-ZrO)、スピネル(MgAl)などの絶縁性セラミックスからなるもの、またはこれらの何れかを主成分とするものであってもよい。
(溶射工程)
セラミックス溶射膜を作製するための溶射装置は、アーク溶射法またはプラズマ溶射法などの方法で溶射する市販の溶射装置であればよく、特に限定されない。プラズマガスとしては、Arガス、ArおよびNの混合ガス、ArおよびHの混合ガス、ArおよびCOの混合ガスまたはArおよびOの混合ガスなどが用いられる。
一次粒子が凝集している場合、その凝集を解砕し各一次粒子を個々に溶媒に分散させたスラリーの形態で溶射する湿式溶射を行うことによって、絶縁性薄膜20としてのセラミックス溶射膜が金属基材10の第1主面11に形成される。溶媒としては、エタノールなどの可燃性有機溶媒または水などが用いられる。一次粒子が凝集してなる顆粒を用いて粉末形式で溶射する乾式溶射を行うことによって、セラミックス溶射膜を金属基材10の第1主面11に形成する工程を行ってもよい。
溶射材料に含まれる一次粒子の平均粒子径が大きいので、一次粒子自体の強度が高く、溶射装置に溶射材料を供給する際に、一次粒子の破損による微細化が抑制できる。これにより、特に乾式溶射において溶射膜の塗着率の向上を図ることが可能となる。溶射材料に含まれる一次粒子の平均粒子径が8μmを超えると、湿式溶射の原料として使用した場合、溶媒に良好に分散させることができないので好ましくない
(実施例)
(実施例1)
金属基材10としてCu製の基材が採用された。金属基材10の第1主面11が、硝酸溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.2μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが111Raに調節された。溶射材料として、前記のように作製された平均粒径3μmのイットリア(Y)の原料粉末が用いられ、原料粉末を含むスラリーを供給する湿式溶射によって厚さ120μmのセラミックス溶射膜からなる絶縁性薄膜20が金属基材10の第1主面11の上に形成された。これにより、実施例1の複合基材が作製された。
(実施例2)
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.4μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが67Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例2の複合基材が作製された。
(実施例3)
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.8μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが48Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例3の複合基材が作製された。
(実施例4)
金属基材10の第1主面11がClガスを用いて減圧下でプラズマエッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.3μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例4の複合基材が作製された。
(実施例5)
金属基材10の第1主面11がClガスを用いて減圧下でプラズマエッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが1.0μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが45Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例5の複合基材が作製された。
(実施例6)
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.4μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが62Raに調節された。溶射材料として、平均粒径3μmのアルミナ(Al)の原料粉末が用いられた。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例6の複合基材が作製された。
(比較例)
(比較例1)
金属基材10の第1主面11が、硝酸溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.05μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが90Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例1の複合基材が作製された。
(比較例2)
金属基材10の第1主面11が、粒度#220(中央粒径45~53μm)のSiC砥粒が用いられ、圧力0.1MPaで砥粒を噴出する条件下でサンドブラスト加工された。これにより、第1主面11の表面粗さRaが1.2μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが50Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例2の複合基材が作製された。
(比較例3)
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.7μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが38Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例3の複合基材が作製された。
(比較例4)
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.3μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが125Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例4の複合基材が作製された。
各実施例および各比較例の複合基材における絶縁性薄膜20の耐電圧値の評価のため、ハイビッド絶縁抵抗計DI-11N(ムサシインテック社製)が測定器として用いられた。DC電圧が金属基材10と絶縁性薄膜20に接触させた針状プローブとの間に印加され、ブレークダウン電圧が測定された。ブレークダウン電圧が測定された。絶縁性薄膜20の100箇所が当該測定対象とされ、ワイブル確率紙に耐電圧値xと累積確率Fをプロットし、関係式(1)で表わされるワイブル分布関数FPのワイブルパラメータとして形状母数α、尺度母数βが推定された。なお、累積確率Fは平均ランク法を採用した。
推定されたパラメータより、耐電圧12kV/mmのときのワイブル分布関数値(累積確率)が推定された。耐電圧の評価基準値を12kV/mmとしたのは、高耐電圧使用の半導体モジュールに要求される耐電圧1.2kVに対し、安全率を10倍として信頼性評価の指標とするためである。
F(x;α,β)=1-exp{-(x/β)α} ‥(1)。
金属基材10に対する絶縁性薄膜20の密着力の評価のため、単純引張強度試験を行っている。具体的には、金属基材10上に形成された絶縁性薄膜20上に直径25mmの金属円柱を接着剤で接着し、これを単純引張することにより破断強度を測定し、面積当たりの密着力を測定した。
表1には、各実施例および各比較例の複合基材の当該評価結果が作製条件とともに示されている。
Figure 0007132868000001
実施例1~5と比較例1~4を比較すると、金属基材10の第1主面11が、表面粗さRaが0.1~1.0μm、かつRsm/Raが40~120の範囲に含まれるときに、Y溶射膜からなる絶縁性薄膜20の高い耐電圧と、絶縁性薄膜20と金属基材10との間の高い密着性が維持され、且つ、12kV印加時の累積確率が十分小さく、高耐電圧が必要とされるSiC半導体などを搭載できる半導体モジュール用の複合基材に好適であることが示された。アルミナ溶射膜からなる絶縁性薄膜20を形成した実施例6は、実施例1~5と同様に金属基材10の第1主面11が、表面粗さRaが0.1~1.0μm、かつRsm/Raが40~120の範囲に含まれる。
実施例6は、イットリア溶射膜からなる絶縁性薄膜20を形成した実施例1~5と比べて耐電圧は低いものの、比較例1~4と比べると耐電圧、密着力ともに高い結果が得られた。
また、実施例1~6によれば、金属基材10の第1主面11の表面粗さRa及びRsm/Raの値が所定の数値範囲に含まれていれば、金属基材10の前処理条件はエッチングに限定されないことが示された。これらに対して、比較例1は、金属基材10の第1主面11の表面粗さが小さすぎたために、実施例1~5と同じ1次粒子の小さいスラリー原料であってもその溶融粒子の寸法が第1主面11の粗さ寸法に対して大きすぎて十分な密着力が得られず、密着不良個所が形成され耐電圧が低かったと推定される。比較例2は、サンドブラスト法によってRa1.2μmに粗面化した金属基材10に実施例1~5と同じスラリー原料を用いて製膜したものである。
比較例2では、密着力および耐電圧が実施例1~5に比較して劣ることが確認された。これは絶縁性薄膜2の形態がRaの大きな第1主面11の形態に倣うことにより、絶縁性薄膜2に不均一な箇所が部分的に形成されたためと推定される。
比較例3は、粗さ曲線要素の平均長さRsmがRaに比較して小さすぎたため溶射材料の微細な溶融粒子が金属基材10の第1主面11の微小な凹凸の奥隅部に溶射粒子が入らず空間が残存することにより耐電圧及び密着力が低下したものと推定される。比較例4は、金属基材10の第1主面11の粗さ曲線要素の平均長さRsmがRaに比較して大きすぎたため金属基材10の第1主面11の微小な凹凸の奥隅部に溶射粒子が入り込んで固化しても溶射膜の密着メカニズムが働きにくく密着力が低下したものと推定される。
この実施例1~5の複合基材にSiC半導体を搭載してSiC半導体と金属基材10との間に1.2KVの電位差を印加したところ、耐電圧不良を生じることなく信頼性の高い半導体モジュールが作製された。これにより高耐電圧と高熱放散性が要求されるSiC半導体モジュールにおいて、絶縁性薄膜を所定の表面形態に制御された金属基材に対して溶射により薄く形成することによって、高い熱放散性を維持しつつ高い電気絶縁性を有するSiC半導体モジュールが得られた。
10‥金属基材、11‥第1主面(一方の主面)、12‥第2主面(他方の主面)、14‥冷却媒体通路、20‥絶縁性薄膜、30‥半導体回路要素、31‥ボンディングワイヤー、32‥リードフレーム、40‥封止部材。

Claims (4)

  1. 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、を備えている複合基材であって、
    前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれ、
    前記絶縁性薄膜がセラミックス溶射膜により構成されていることを特徴とする複合基材。
  2. 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、前記絶縁性薄膜の上方に搭載されている半導体回路要素と、を備えている半導体モジュールであって、
    前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれ、
    前記絶縁性薄膜がセラミックス溶射膜により構成されていることを特徴とする半導体モジュール。
  3. 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、を備えている複合基材の製造方法であって、
    前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように、前記金属基材の少なくとも前記一方の主面を湿式エッチングまたはドライエッチングを施す前処理工程と、
    前記金属基材の前記一方の主面に、セラミックス原料粉を溶射することにより前記絶縁性薄膜としてのセラミックス溶射膜を形成する溶射工程と、を含んでいることを特徴とする複合基材の製造方法。
  4. 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、前記絶縁性薄膜の上方に搭載されている半導体回路要素と、を備えている半導体モジュールの製造方法であって、
    前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように、前記金属基材の少なくとも前記一方の主面を湿式エッチングまたはドライエッチングを施す前処理工程と、
    前記金属基材の前記一方の主面に、セラミックス原料粉を溶射することにより前記絶縁性薄膜としてのセラミックス溶射膜を形成する溶射工程と、
    前記絶縁性薄膜の上方に前記半導体回路要素を搭載する工程と、を含んでいることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
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