JP7132868B2 - 複合基材および半導体モジュールならびにこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
図1に示されている本発明の一実施形態としての半導体モジュールは、一対の主面として第1主面11および第2主面12を有する略平板状の金属基材10と、金属基材10の一方の主面としての第1主面11を覆う絶縁性薄膜20と、絶縁性薄膜20の上方に搭載されている半導体回路要素30と、半導体回路要素30を封止する封止部材40と、を備えている。金属基材10の内部には、水などの冷却媒体を流すための冷却媒体通路14が形成されている。金属基材10および絶縁性薄膜20により、本発明の一実施形態としての複合基材が構成されている。
本発明の一実施形態としての半導体モジュールの製造方法は、前処理工程(図2/STEP02)、溶射工程(図2/STEP04)、搭載工程(図2/STEP06)および封止工程(図2/STEP08)を含んでいる。
例えば、金属基材10がCuである場合、硝酸塩もしくは塩化第二鉄などの塩化物、硫酸塩水溶液、酸、過酸化水素水またはこれらの混合物のほか、混酸がエッチャントとして湿式エッチングが実施される。具体的には、エッチャントに対して金属基材10をディッピングしたり、金属基材10に対してエッチャントをスプレーしたりすることにより湿式エッチングが実施される。
スラリー溶射の製法について
溶射材料は、例えば、イットリア(Y2O3)からなる。溶射材料は、平均粒子径が3~8μmの一次粒子からなる。例えば、溶射材料は、単一の一次粒子もしくは多数の一次粒子が凝集した大径の顆粒(溶射顆粒)またはこれらの混合物が採用されてもよい。平均粒子径は、レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所 型式LA-960S)を用いた粒度分布測定によりD50の値として求められる。
セラミックス溶射膜を作製するための溶射装置は、アーク溶射法またはプラズマ溶射法などの方法で溶射する市販の溶射装置であればよく、特に限定されない。プラズマガスとしては、Arガス、ArおよびN2の混合ガス、ArおよびH2の混合ガス、ArおよびCO2の混合ガスまたはArおよびO2の混合ガスなどが用いられる。
金属基材10としてCu製の基材が採用された。金属基材10の第1主面11が、硝酸溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.2μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが111Raに調節された。溶射材料として、前記のように作製された平均粒径3μmのイットリア(Y2O3)の原料粉末が用いられ、原料粉末を含むスラリーを供給する湿式溶射によって厚さ120μmのセラミックス溶射膜からなる絶縁性薄膜20が金属基材10の第1主面11の上に形成された。これにより、実施例1の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.4μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが67Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例2の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.8μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが48Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例3の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11がCl2ガスを用いて減圧下でプラズマエッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.3μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例4の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11がCl2ガスを用いて減圧下でプラズマエッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが1.0μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが45Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例5の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.4μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが62Raに調節された。溶射材料として、平均粒径3μmのアルミナ(Al2O3)の原料粉末が用いられた。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって実施例6の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、硝酸溶液中にディッピングされ湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.05μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが90Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例1の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、粒度#220(中央粒径45~53μm)のSiC砥粒が用いられ、圧力0.1MPaで砥粒を噴出する条件下でサンドブラスト加工された。これにより、第1主面11の表面粗さRaが1.2μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが50Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例2の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.7μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが38Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例3の複合基材が作製された。
金属基材10の第1主面11が、塩化第2鉄溶液をスプレーすることにより湿式エッチングされた。これにより、第1主面11の表面粗さRaが0.3μmに調節され、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが125Raに調節された。これ以外は実施例1と同様の条件にしたがって比較例4の複合基材が作製された。
Claims (4)
- 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、を備えている複合基材であって、
前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれ、
前記絶縁性薄膜がセラミックス溶射膜により構成されていることを特徴とする複合基材。 - 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、前記絶縁性薄膜の上方に搭載されている半導体回路要素と、を備えている半導体モジュールであって、
前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれ、
前記絶縁性薄膜がセラミックス溶射膜により構成されていることを特徴とする半導体モジュール。 - 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、を備えている複合基材の製造方法であって、
前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように、前記金属基材の少なくとも前記一方の主面を湿式エッチングまたはドライエッチングを施す前処理工程と、
前記金属基材の前記一方の主面に、セラミックス原料粉を溶射することにより前記絶縁性薄膜としてのセラミックス溶射膜を形成する溶射工程と、を含んでいることを特徴とする複合基材の製造方法。 - 一対の主面を有する金属基材と、前記金属基材の一方の主面を覆う絶縁性薄膜と、前記絶縁性薄膜の上方に搭載されている半導体回路要素と、を備えている半導体モジュールの製造方法であって、
前記金属基材の前記一方の主面の表面粗さRaが0.1~1.0μmの範囲に含まれ、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRsmが40Ra~120Raの範囲に含まれるように、前記金属基材の少なくとも前記一方の主面を湿式エッチングまたはドライエッチングを施す前処理工程と、
前記金属基材の前記一方の主面に、セラミックス原料粉を溶射することにより前記絶縁性薄膜としてのセラミックス溶射膜を形成する溶射工程と、
前記絶縁性薄膜の上方に前記半導体回路要素を搭載する工程と、を含んでいることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
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