JP7132533B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シートクッション、シートバックおよびヘッドレストを備えた乗物用シートに関する。
従来、後面衝突時に、慣性で後退移動しようとする乗員の上体をシートバックに沈み込ませることで乗員の頭部をヘッドレストに接近させて、頸部へ加わる衝撃を軽減するように構成された車両用シートが知られている(特許文献1参照)。この車両用シートでは、シートバック内に、板状の受圧部材を設け、この受圧部材により通常使用時の乗員の上体部からの荷重を支えるととともに、後面衝突時には、受圧部材が後方へ移動可能であることで、乗員の上体をシートバックに沈み込ませている。そして、シートバックパッドは、乗員の上体背部に対面する中央部と、当該中央部の左右両側に設けられて前に張り出した側部とを有しているところ、受圧部材は、中央部の後ろにのみ配置されていた。
特開2010-83268号公報
ところで、乗物用シートは、乗員が座ったときの違和感がなく、座り心地がよいことが求められている。
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、座り心地を良好にする乗物用シートを提供することを目的とする。
前記した課題を解決する本発明の乗物用シートは、左右に離間して配置された左右のサイドフレームを有するシートフレームと、左右のサイドフレームの間に配置された受圧部材と、受圧部材を、シートフレームに連結して支持させる連結部材とを備える。受圧部材は、左右のサイドフレームの間において左右方向の中央部に配置された受圧部と、受圧部の左右方向の両端部における一部から左右方向外側に乗員側に向けて前記受圧部に対して斜めに延出した支持部とを備える。連結部材は、受圧部を支持するとともに、支持部を支持する。
また、乗物用シートは、シートクッション、シートバックおよびヘッドレストを備え、前記シートバックが、当該シートバックのフレームを構成するシートバックフレームと、当該シートバックフレームを覆うシートバックパッドと、シートバックフレームに支持された受圧部材とを有し、乗員の上体から前記シートバックに後退移動荷重が作用したときに乗員の上体をシートバックに沈み込ませるように構成された乗物用シートであって、前記シートバックパッドは、乗員の上体背部に対面する中央部と、当該中央部の左右両側に設けられて前記中央部よりも前に張り出した左右の側部とを有し、前記受圧部材は、前記シートバック内で前記中央部に対応して配置され、前記シートバックフレームの左右のサイドフレームに連結部材を介して連結された受圧部と、前記受圧部の左右方向の両端部から左右方向外側に延出して前記側部の後ろに配置された支持部とを備え、前記側部の前面には、左右方向に延びる溝部が形成されていてもよい。
支持部は、連結部材に沿って延び、乗員と反対側に突出した第1の補強部を有し、前記第1の補強部は、左右方向に前記受圧部に対して斜めに延び、連結部材は、第1の補強部を避けて配置されていてもよい。
また、支持部は、端縁にフランジ形状の第2の補強部を有する構成としてもよい。
また、端縁は、左右方向に直交する方向の一方側に位置し、第2の補強部は、縁を乗員とは反対側にめくれさせた形状である構成としてもよい。
また、支持部は、第1の補強部を複数有してもよい。
また、支持部は、連結部材と係合する係合爪をさらに有し、係合爪は、複数の第1の補強部の間に位置してもよい。
また、第1の補強部はビード形状である構成としてもよい。
また、第1の補強部は、左右方向に延びていてもよい。
また、シートフレームに被さったクッション材と、クッション材に被さった表皮材と、ヘッドレストと、をさらに備えてもよい。
また、受圧部材は、シートバックに配置されてもよい。
このような構成によれば、受圧部材がシートバックパッドの中央部の後ろに配置された受圧部だけではなく、受圧部の左右方向の両端部から左右方向外側かつ前方に延出してシートバックパッドの側部の後ろに配置された支持部をも備えているので、後方移動荷重が発生したときに、シートバックパッドから受圧部と支持部の両方に荷重が掛かるので、受圧部材により迅速に荷重が伝わり、乗員を速やかにシートバックに沈み込ませることができる。特に、乗員の座り方が適正でなかったり、傾斜路や旋回走行中であった場合などに後面衝突が発生した場合には、乗員からシートに掛かる荷重が多少左右にずれる可能性もあるが、このような場合であっても、本発明の乗物用シートによれば、乗員からの荷重を効果的に受け止めて、乗員を速やかにシートバックに沈み込ませることができる。そして、支持部は連結部材に沿って延び乗員と反対側に突出した第1の補強部を有し、連結部材は第1の補強部を避けて配置されているので、支持部の剛性低下が抑制されるとともに、支持部の厚さが大きくなるのを抑制できる。
そして、乗物用シートは、支持部の上端縁が、受圧部の上端縁よりも低い場合、受圧部の上端縁が同じ高さで支持部の上端縁まで延びている場合に比較して、支持部の上角部で乗員に当たり感を感じさせにくく、良好な座り心地を実現することができる。また、シートバックパッドは、スポーツタイプではない通常タイプのシートでは、スポーツタイプのものとは違い、側部の前方への張り出し量が少ないため、支持部があまり上まで張り出していると、シートバックパッドとの不適切な干渉が生じかねないが、本発明の乗物用シートでは、支持部の上端縁を受圧部の上端縁より低くしているので、支持部とシートバックパッドの不適切な干渉を抑制することができる。
前記した乗物用シートにおいては、前記支持部の上端縁と前記受圧部の上端縁の間に段差がある構成とすることができる。
このような構成によれば、支持部が受圧部から延出する根本の部分で曲がりやすくなり、ソフトな座り心地を実現することができる。
前記した乗物用シートにおいては、前記支持部の上端縁に補強部を設ける構成とすることができる。
支持部の上端縁が受圧部の上端縁より低くなっている部分を、本明細書において便宜上「逃げ部」と呼ぶとすると、支持部に逃げ部が形成されたことで、支持部の剛性が多少小さくなる。しかし、上記の構成によれば、上端縁に補強部を設けたことで、逃げ部の形成による支持部の剛性低下を補強することができる。そのため、この構成によればスポーツタイプのシートなどにおいてしっかりとしたサポート感を与えることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記支持部は、後方に突出するビード部が設けられており、当該ビード部は、左右方向外側の斜め上に向けて延びている構成とすることができる。
このような構成によれば、支持部に逃げ部を形成したことによる支持部の剛性低下をビード部により補強して、スポーツタイプのシートなどにおいてしっかりとしたサポート感を与えることができる。
前記したビード部を有する乗物用シートにおいては、前記支持部の縁部のうち、少なくとも上端縁に補強部が設けられ、前記ビード部は、前記補強部まで延びている構成とすることができる。
このような構成によれば、支持部の剛性をより高くして、乗物用シートに、よりしっかりとしたサポート感を与えることができる。
前記した各乗物用シートにおいて、前記連結部材は、前記支持部の後ろを通っている構成とすることができる。
このような構成によれば、支持部が後方に押されたときに支持部によって連結部材に後方への荷重を与えるので、後突時により速やかに乗員をシートバックに沈み込ませることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記支持部は、前記連結部材が係合する係合爪を有する構成とすることができる。
このような構成によれば、連結部材と支持部が一体となってずれにくくなるので、振動による異音が発生しにくくなり、また、支持部に大きな荷重が掛かったときに、支持部から連結部材に効率的に荷重を伝えることができる。
前記した乗物用シートにおいては、前記サイドフレームに、エアバッグ装置を取り付けるための固定部材が設けられており、当該固定部材は、前記支持部の上端縁のうちの下端よりも上の高さに配置されていることが望ましい。
このような構成によれば、エアバッグ装置を取り付けるための、ボルトなどの固定部材が支持部に干渉することを抑制することができる。
本発明によれば、シートの座り心地を良好にすることができる。
一実施形態に係る乗物用シートとしての車両用シートの斜視図である。 車両用シートに内蔵されるシートフレームの斜視図である。 受圧部材の背面図である。 シートバックパッドの側部と支持部を示す鉛直断面図である。 第1の変形例に係る受圧部材の背面図である。 第2の変形例に係る受圧部材の背面図である。 第3の変形例に係る受圧部材の背面図である。 第4の変形例に係る受圧部材を後ろから見た斜視図である。 第5の変形例に係る受圧部材を後ろから見た斜視図である。
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、乗物用シートの一例としての車両用シートの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
図1に示すように、車両用シートSは、自動車の運転席に使用されるシートであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。
シートクッションS1およびシートバックS2には、図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するシートクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。シートクッションS1は、図1に示すように、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートクッションパッドP1と、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成され、シートバックS2は、シートバックフレームF2に、クッション材からなるシートバックパッドP2と、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成されている。
シートバックパッドP2は、乗員の上体背部に対面する中央部51と、当該中央部51の左右両側に設けられて中央部51よりも前に張り出した左右の側部52とを有している。
図2に示すように、シートクッションフレームF1は、自動車のフロアにスライドレールSLを介して設置されている。これにより、車両用シートSは、前後位置を調整可能となっている。また、シートバックフレームF2は、その下部がシートクッションフレームF1の後部にリクライニング機構RLを介して回動自在に連結されている。これにより、シートバックS2は、シートクッションS1に対し前後に傾動可能となっている。
なお、本明細書において、前後、左右および上下は、リクライニング機構RLによってシートバックS2が倒されていない状態の車両用シートSに着座した乗員を基準とする。
シートバックフレームF2は、上部フレーム10と、左右のサイドフレーム20と、下部フレーム30とを主に有して構成され、上部フレーム10、左右のサイドフレーム20および下部フレーム30が溶接などによって一体に結合された枠状に形成されている。そして、この枠状のシートバックフレームF2の内側には、後で詳述する受圧部材40が配置されている。
上部フレーム10は、略U形状に屈曲するパイプ材で構成されており、左右方向に延びる横パイプ部11の前側には、ヘッドレストS3を取り付けるための左右一対のサポートブラケット12が溶接によって固定されている。また、上部フレーム10の上下方向に延びる左右の縦パイプ部13は、それぞれ、その下部に結合される左右のサイドフレーム本体部21と一体となって左右のサイドフレーム20を構成している。
左右のサイドフレーム本体部21は、金属板をプレス加工するなどして断面視略U形状に形成され、左右方向に対向して配置されている。サイドフレーム本体部21は、その上部において縦パイプ部13を抱持した状態で縦パイプ部13と結合されており、その下部が上部よりも前方に向けて張り出す張出部22を有する形状に形成されている。
受圧部材40は、樹脂などからなる板状の部材であり、左右のサイドフレーム20の間で乗員の後方に配置されている。受圧部材40は、シートバックパッドP2の中央部51に対応して配置され、中央部51を介して乗員の背中を支持する受圧部41と、側部52の後ろに配置され、側部52を介して乗員の上体側部を支持する支持部42とを有している。
受圧部材40は、連結部材の一例としての上部連結ワイヤW1および下部連結ワイヤW2により後ろから支持され、上部連結ワイヤW1および下部連結ワイヤW2の両端部W11,W21(図3参照)左右のサイドフレーム20に連結されている。
受圧部41は、乗員の背中を広い面で支持するために比較的大きな面積(枠状のシートバックフレームF2の内部空間を少なくとも1/3以上を塞ぐ面積)で形成されている。
支持部42は、受圧部41の左右方向の両端部から左右方向外側かつ前方に延出して受圧部41と一体に形成されている。より具体的には、支持部42は、受圧部41の左右の両端部のうち、乗員の脇より下の所定範囲の上体側部に相当する高さの位置から延出している。
図3に示すように、受圧部41のうち、支持部42より上の部分の幅は、支持部42より下の部分の幅よりも大きくなっている。すなわち、受圧部41は、上にいくほど幅広となっており、乗員の体型に沿うようになっているため、乗員を安定して支持することができる。
受圧部41の上端縁41Aは、水平方向に略直線状に延び、支持部42の上端縁42Aは、受圧部41の上端縁41Aよりも一段低い位置から左右方向外側に延出している。すなわち、上端縁41Aと上端縁42Aの間には段差が形成されている。
支持部42の下端縁42Bは、受圧部41の左右の両端部の、中央付近の高さ位置から左右方向外側かつ上側に向けて延びている。図4に示すように、支持部42は、シートバックパッドP2の側部52の内側面に設けられた凹部52Aに入り込むように配置されている。すなわち、側部52のうち支持部42と対面する部分は、凹部52Aが形成されていることで、上下の部分よりも薄く形成され、これにより、乗員から大きな荷重が掛かったときに、撓みやすくなっている。また、シートバックパッドP2の前面には、支持部42の上下の位置に対応して溝部52Bが設けられており、シートバックパッドP2がより撓みやすくなっている。このように、側部52の、支持部42に対応する部分が撓みやすくなっていることで、乗員からの荷重を支持部42に伝えやすくなっている。このような撓みやすさは、一方で支持部42とシートバックパッドP2とを干渉させやすくしてしまうが、本実施形態の支持部42には逃げ部が設けられていることで、シートバックパッドP2と支持部42の干渉が効果的に抑制されている。
図3に示すように、受圧部41には、後方に突出し、前から見て凹んだ形状のビード部が複数設けられている。このビード部として、上下に延びる複数本の第1ビード部B1と、この第1ビード部B1を下部において繋ぎ、水平方向に延びる第2ビード部B2と、第1ビード部B1のうち、左右の最も外側に設けられた2本の上部から、左右方向の外側かつ斜め上に向けて延びる3本の第3ビード部B3とが設けられている。第3ビード部B3は、受圧部41から支持部42の境を跨って延び、その先端が、支持部42の左右の両端付近まで延びている。
受圧部材40には、上部連結ワイヤW1および下部連結ワイヤW2に係合する爪部が複数設けられている。具体的には、上部連結ワイヤW1を支持するための係合爪として、受圧部41の中央上端部に位置する第1係合爪45Aと、第1係合爪45Aの左右方向外側で、下方に位置する2つの第2係合爪45Bと、第2係合爪45Bの左右方向外側でやや上方の支持部42の部分に位置する2つの第3係合爪45Cとが設けられている。また、下部連結ワイヤW2を支持するための係合爪として、受圧部41の中央下部に位置する第4係合爪46Aと、第4係合爪46Aの左右方向外側でやや下に位置する2つの第5係合爪46Bとが設けられている。
上記の係合爪のうち、支持部42に設けられた第3係合爪45Cは、上下に並んだ第3ビード部B3の間に設けられている。このため、ビード部に重ねて係合爪を設ける場合に比較して支持部42の厚みを抑制することができる。また、第3係合爪45Cは、支持部42の剛性を向上している第3ビード部B3の間に設けられていることで、上部連結ワイヤW1による安定した支持が可能である。
上部連結ワイヤW1は、前記した第1係合爪45A、第2係合爪45B、第3係合爪45Cに係合し、これらを通過できるように上下に屈曲している。そして、上部連結ワイヤW1は、左右の両端部W11で下方に向けて屈曲し、図示は省略するが、この両端部W11において、サイドフレーム20に設けられた筒状の係止部に係止されている。
上部連結ワイヤW1は、支持部42の後ろで左右方向に通っており、支持部42を後ろから支持している。また、上部連結ワイヤW1は、支持部42に設けられた第3係合爪45Cに係合していることで、支持部42に対しずれにくくなっている。
下部連結ワイヤW2は、前記した第4係合爪46A、第5係合爪46Bに係合し、これらを通過できるように上下に屈曲している。そして、下部連結ワイヤW2は、左右の両端部W21において、揺動機構60(図2参照)の下端に係止されている。揺動機構60は、前後に揺動するリンクとバネとからなる公知の機構であり、通常時は、バネの付勢力によりリンクが前方に位置しているが、リンクの下端に後方への荷重が所定以上の大きさで掛かると一気に後方へ揺動するように動作するものである。
図2に示すように、サイドフレーム20の右側の縦パイプ部13には、ブラケット71が設けられており、ブラケット71に、エアバッグ装置72が固定部材の一例としてのボルト73により固定されている。このボルト73は、受圧部41の上端縁41Aより下で、支持部42の上端縁42Aよりも上の高さに配置されている。このため、ボルト73は、そのヘッドが左右方向内側に突出しているが、支持部42との干渉が抑制されている。
以上のように構成された車両用シートSの作用効果について説明する。
車両用シートSに乗員が座っているとき、通常、乗員の上体がシートバックS2にもたれかかる荷重は、図1に示すように、シートバックパッドP2を介して受圧部材40に支持される。受圧部材40は、上部連結ワイヤW1および上部連結ワイヤW1の弾性により僅かに後方に移動して乗員の上体を支える。このとき、乗員の上体背部は、シートバックパッドP2の中央部51に支持され、中央部51は、受圧部材40のうちの受圧部41に支持される。また、乗員の上体側部のうち、肩から脇の下あたりにかけては、シートバックパッドP2の側部52に支持され、側部52は、後にある支持部42に支持される。支持部42は、上端縁42Aが受圧部41の上端縁41Aよりも低く、逃げ部が形成されているため、支持部42の上角部で乗員に当たり感を感じさせにくく、良好な座り心地を実現することができる。
また、支持部42の上端縁42Aと受圧部41の上端縁41Aの間には段差が形成されているので、支持部42は、受圧部41から延出する根本の部分で曲がりやすく、ソフトな座り心地を実現することができる。もっとも、本実施形態における受圧部材40は、受圧部41と支持部42に跨り、後方に突出する第3ビード部B3が設けられており、第3ビード部B3は、左右方向外側の斜め上に向けて延びているので、逃げ部を形成したことによる支持部42の剛性低下が補強され、乗員の上体側部の適度なサポート感も発揮することができる。
また、支持部42は、上部連結ワイヤW1が係合する係合爪として第3係合爪45Cを有し、第3係合爪45Cにより上部連結ワイヤW1に係合しているので、上部連結ワイヤW1と支持部42が一体となってずれにくく、振動による異音が発生しにくい。
車両が後方から衝突された場合など、乗員に後方への移動荷重が発生した場合、乗員の上体がシートバックパッドP2に強く押し付けられる。このとき、シートバックパッドP2に掛かった荷重は、中央部51を介して受圧部41に掛かるとともに、側部52を介して支持部42にも掛かる。受圧部材40は、受圧部41と支持部42により荷重を受けて、揺動機構60を後方に揺動させながら、後方へ移動する。このようにして、乗員からの荷重を受圧部材40が効果的に受け止めて、乗員を速やかにシートバックS2に沈み込ませることができる。特に、本実施形態の車両用シートSは、上部連結ワイヤW1が支持部42の後を通っているので、乗員の上体側部からの荷重により支持部42が後方に押されたときに支持部42によって上部連結ワイヤW1に荷重を与えるので、乗員をシートバックS2に速やかに沈み込ませることができる。
このとき、図4に示すように、支持部42は、側部52の凹部52Aに入り込むように配置されているが、逃げ部が形成されていることで、シートバックパッドP2との不適切な干渉を抑制することができる。特に、通常タイプのシートでは、スポーツタイプのものとは違い、側部52の前方への張り出し量が小さいため、シートバックパッドP2との干渉が生じやすいが、本実施形態では、支持部42に逃げ部があることにより不適切な干渉を抑制することができる。
また、このとき、第3係合爪45Cが上部連結ワイヤW1に係合しているので、上部連結ワイヤW1と支持部42が一体となってずれにくく、支持部42から上部連結ワイヤW1に大きな荷重が掛かったときに、上部連結ワイヤW1に効率的に荷重を伝えることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
例えば、図5に示した第1の変形例に係る受圧部材140のように、第3ビード部B31を、左右方向外側の斜め上に延びるのではなく、水平方向に延びるように形成してもよい。また、図6に示した第2の変形例に係る受圧部材240のように、支持部242の上端縁242Aと受圧部41の上端縁41Aとの間に段差を設けずに、上端縁41Aの左右両端に支持部242の上端縁242Aが連続し、外側に行くにつれ徐々に低くなるように傾斜させて形成してもよい。このように上端縁242Aが、左右方向外側に向けて徐々に低くなっている場合、前記したエアバッグ装置72をサイドフレーム20に固定する固定部材は、受圧部41の上端縁41Aより下で、支持部242の上端縁242Aのうち、下端(つまり、左右方向の両端部)よりも上の高さに配置されているとよい。
また、この図6の形態と図3の形態の中間的な形態として、上端縁242Aを下側に凸となる湾曲形状(円弧状など)としてもよい(図示せず)。さらに、図7に示した第3の変形例に係る受圧部材340のように、図5の第3ビード部B31と図6の上端縁242Aを組み合わせた形態とすることもできる。
また、支持部42を補強する形態として、図8に示す第4の変形例に係る受圧部材440のように、支持部42の上端縁442Aから下端縁442Bにかけて、縁を後にめくれさせたフランジ形状の補強部445を設けることができる。これによれば、支持部42に逃げ部を設けたことによる剛性低下を補強部445が補強して剛性を高くし、車両用シートSに、しっかりとしたサポート感を与えることができる。なお、補強部445は、逃げ部に隣接する上端縁442Aに少なくとも設けられていればよい。
この補強部445を設けた図8の形態において、二点鎖線で示したように、第3ビード部B3を補強部445まで延ばすことができる。これによれば、支持部42の剛性をより高くして、車両用シートSに、よりしっかりとしたサポート感を与えることができる。
また、図9に示す第5の変形例に係る受圧部材540のように、受圧部材540の全周、つまり、受圧部41および支持部42の縁の全部にフランジ形状の補強部545を設ける形態とすることができる。このような形態によれば、受圧部材40の全体の剛性を高めることができ、スポーツタイプのシートなどにおいて、しっかりとした剛性感のある座り心地を提供することができる。
なお、前記した補強部445,545は、いずれも縁を後にめくれさせたフランジ形状により設けていたが、ビードや、肉厚部などにより形成することもできる。
前記実施形態においては、固定部材としてボルト73を例示したが、固定部材としては、ナット、車両の内装品を留めるのに用いられるようなクリップ、または、リベットなどであってもよい。
前記実施形態で示したシートフレームF(シートクッションフレームF1およびシートバックフレームF2)の具体的な構成は一例であり、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、シートバックフレームF2の左右のサイドフレーム20は、パイプ状の縦パイプ部13と、板状のサイドフレーム本体部21とから構成されていたが、これに限定されず、サイドフレームは、パイプ状のフレームだけから構成されていてもよいし、板状のフレームだけから構成されていてもよい。
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
20 サイドフレーム
30 下部フレーム
40 受圧部材
41 受圧部
41A 上端縁
42 支持部
42A 上端縁
42B 下端縁
51 中央部
52 側部
72 エアバッグ装置
73 ボルト
445,545 補強部
B3,B31 第3ビード部
P2 シートバックパッド
S 車両用シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
W1 上部連結ワイヤ
W2 下部連結ワイヤ

Claims (7)

  1. 左右に離間して配置された左右のサイドフレームを有するシートフレームと、
    前記左右のサイドフレームの間に配置された受圧部材と、
    前記受圧部材を、前記シートフレームに連結して支持させる連結部材とを備え、
    前記受圧部材は、前記左右のサイドフレームの間において左右方向の中央部に配置された受圧部と、前記受圧部の左右方向の両端部における一部から左右方向外側に乗員側に向けて前記受圧部に対して斜めに延出した支持部とを備え、
    前記受圧部は、前記連結部材に係合する第1係合爪を有し、
    前記支持部は、前記連結部材に係合する第2係合爪を有し、
    前記第2係合爪は、
    前記第1係合爪より上方に位置し、
    左右方向において、前記受圧部と前記支持部の境よりも、前記支持部の端縁の近くに位置することを特徴とする乗物用シート。
  2. 前記支持部は、前記支持部の端縁に設けられたフランジ形状の補強部を有することを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記受圧部材は、乗員と反対側に突出したビード部を有し、
    前記連結部材は、前記ビード部を避けて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記支持部の左右方向外側の端縁は、前記サイドフレームに沿って上下方向に延びていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  5. 前記連結部材は、前記第1係合爪と係合する部分から前記第2係合爪と係合する部分までの間に上方に延びる部分を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  6. 前記シートフレームに被さったクッション材と前記クッション材に被さった表皮材と、ヘッドレストと、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
  7. 前記受圧部材は、シートバックに配置されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
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