JP7132201B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関する。
相手コネクタとの正規嵌合を検知して保証する嵌合検知部材(CPA:Connector Position Assurance)を備えるコネクタが知られている(例えば特許文献1等)。
図10に、特許文献1に開示される従来の電気コネクタ501の分解斜視図を示す。電気コネクタ501は、嵌合検知部材(CPA装置とも称す)503に加え、端子位置保証(TPA:Terminal Position Assurance)装置を備える。
端子位置保証装置(TPA装置とも称す)505は、コネクタハウジング507の空洞部509の中で端子挿入位置から端子係止位置まで移動可能となっている。TPA装置505は、端子係止位置にあるときに、電気端子511の係止表面に係合し、電気端子511を空洞部509の中に固定する。一方、CPA装置503は、コネクタと相手コネクタ(図示略)が結合完了したときに仮係止位置から本係止位置(嵌合保証位置)に移動が可能となる。
CPA装置503は、仮係止位置において、係止部513がコネクタハウジング507の係止突起515に係止される。また、アーム部517の係合突部519がコネクタハウジング507に係合されることで本係止位置への移動が規制される。一方、CPA装置503は、コネクタハウジング507に相手ハウジングが嵌合されると、相手ハウジングのロック爪等がアーム部517の係合突部519を押下し、コネクタハウジング507との係合が解除されて本係止位置へ移動できる。これにより、CPA装置503は、本係止位置に至ることをもって、コネクタハウジング507に相手ハウジングが正規嵌合されたことを検知することができるように構成されている。
特開2017-98222号公報
しかしながら、従来の電気コネクタ501は、CPA装置503が仮係止状態にある時、CPA装置503とコネクタハウジング507の間にがたつきがあると、CPA装置503が傾き、コネクタハウジング507との係止代が減少することがある。そこで、CPA装置503は、意図しない本係止状態への移行が起こってしまう可能性があり、動作信頼性を低下させる虞があった。また、電気コネクタ501は、CPA装置503が載置される検知部材搭載面を形成する搭載壁部の肉厚が薄いと、撓みやすい。そのため、相手コネクタからのコネクタ離脱時に、離脱力の一部がCPA装置503に加わり、コネクタハウジング507からCPA装置503が抜けてしまう虞があり、これによっても動作信頼性を低下させる虞があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、嵌合検知部材の動作信頼性を向上させることができるコネクタを提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部における後方の辺部に沿って前記凸板部から突出して形成され、前記凸板部と前記案内溝との間のクリアランスにより生じるガタを利用して、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、を備えることを特徴とするコネクタ。
上記(1)の構成のコネクタによれば、嵌合検知部材は、凸板部がコネクタハウジングの案内溝に係合されて仮係止位置から本係止位置へ移動される。嵌合検知部材は、ロック部に接近する方向に延出するアーム部を有する。アーム部は、延出自由端に、係合突部を有する。嵌合検知部材は、このアーム部の係合突部が、コネクタハウジングのロック部に当接することにより、本係止位置への移動が規制される。
ここで、嵌合検知部材は、コネクタハウジングとの間にがたつきがあると傾く。嵌合検知部材は、傾くと、係合突部がアーム部の延出自由端に設けられているため、ロック部に対する係合突部の係止代が減少する。嵌合検知部材は、係合突部の係止代が減少すると、ロック部との係止が解除されやすくなり、意図しない本係止状態への移行が起こる場合がある。
即ち、嵌合検知部材は、凸板部を案内溝に係合することにより、案内溝に沿って摺動する。凸板部は、案内溝を摺動するために、案内溝との間に、僅かなクリアランスが必要となる。嵌合検知部材は、このクリアランスを有することにより、僅かに生じたガタによって傾斜する。嵌合検知部材は、アーム部の基端で生じた傾斜が、アーム部の先端では増幅されて、ロック部から係合突部が係止解除する方向の大きな変位として作動してしまう。
そこで、嵌合検知部材には、案内溝に係合する凸板部に、ガタ詰め用突起が形成されている。ガタ詰め用突起は、クリアランスにより生じるガタを利用して、ロック部に対する係合突部の係止代が増加する方向に、嵌合検知部材を傾ける。
これにより、嵌合検知部材は、アーム部の延出自由端に設けられた係合突部の変位が、ロック部との係止代を増大させる方向に増幅される。ロック部との係止代が増大された嵌合検知部材は、意図しない本係止状態への移行が抑制される。その結果、コネクタは、嵌合検知部材の動作信頼性を向上させることができる。
(2) 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部に形成され、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、を備え、前記コネクタハウジングに形成され、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動される検知部材搭載面を有して前記コネクタハウジングから延出される搭載壁部と、前記検知部材搭載面に突設され、前記嵌合検知部材の前記仮係止位置において前記嵌合検知部材を係止して前記嵌合検知部材の前記検知部材搭載面からの離脱を規制する係止突起と、前記搭載壁部の延出下面と前記コネクタハウジングとに渡って形成される支え壁と、を備えることを特徴とするコネクタ。
上記(2)の構成のコネクタによれば、嵌合検知部材は、コネクタハウジングに形成される搭載壁部の検知部材搭載面を摺動して仮係止位置から本係止位置へ移動される。ここで、嵌合検知部材は、仮係止位置において、本係止位置への移動は係合突部がロック部に当接することにより規制され、その反対方向(即ち、検知部材搭載面から離脱する方向)の移動は検知部材搭載面に突設された係止突起に、係止部を係止することにより規制(抜け止め)されている。
このため、嵌合検知部材は、コネクタハウジングに形成される搭載壁部が薄厚等の原因により低強度であると、搭載壁部と共に係止突起が、係止部との係止代を減少させる方向に変位する。
本構成のコネクタでは、相手ハウジングとの嵌合を解除する際、嵌合検知部材が仮係止位置に移動される。仮係止位置では、上記したように、嵌合検知部材は、係止部が係止突起に係止することのみにより抜け止めされている。嵌合検知部材は、この状態で、離脱力の一部が加わってしまうと、係止突起との係止代が不十分な場合、検知部材搭載面から離脱してしまう虞がある。
そこで、コネクタでは、搭載壁部の延出下面とコネクタハウジングとに渡って支え壁が形成される。この支え壁は、係止突起が係止部から離反する方向の搭載壁部の撓みを規制することができる。
これにより、コネクタは、嵌合検知部材が仮係止位置の状態において、コネクタ離脱力の一部が嵌合検知部材に加わっても、係止部が係止突起に強固に係止し、搭載壁部からの離脱が抑制される。その結果、コネクタは、嵌合検知部材の動作信頼性を向上させることができる。
(3) 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部に形成され、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、を備え、前記コネクタハウジングに形成され、前記嵌合検知部材を前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動する検知部材搭載面を有して前記コネクタハウジングから延出する搭載壁部と、前記検知部材搭載面に対向する前記嵌合検知部材の底板部に形成され、前記アーム部の基端が接続されるとともに、前記検知部材搭載面に摺接する底板下面凸部と、前記搭載壁部に形成され、前記底板下面凸部が摺接する摺接路を挟む両側が厚肉にされた肉付け部と、を備えることを特徴とするコネクタ。
上記(3)の構成のコネクタによれば、嵌合検知部材は、コネクタハウジングに形成される搭載壁部の検知部材搭載面を、摺動して仮係止位置から本係止位置へ移動される。ここで、嵌合検知部材は、仮係止位置において、本係止位置への移動は係合突部がロック部に当接することにより規制され、その反対方向(即ち、検知部材搭載面から離脱する方向)の移動は検知部材搭載面に突設された係止突起に、係止部を係止することにより規制(抜け止め)されている。
このため、嵌合検知部材は、コネクタハウジングに形成される搭載壁部が薄厚等の原因により低強度であると、搭載壁部と共に係止突起が、係止部との係止代を減少させる方向に変位する。
本構成のコネクタでは、相手ハウジングとの嵌合を解除する際、嵌合検知部材が仮係止位置に移動される。仮係止位置では、上記したように、嵌合検知部材は、係止部が係止突起に係止することのみにより抜け止めされている。嵌合検知部材は、この状態で、離脱力の一部が加わってしまうと、係止突起との係止代が不十分な場合、検知部材搭載面から離脱してしまう虞がある。
そこで、本構成のコネクタでは、嵌合検知部材が、底板部に形成した底板下面凸部を検知部材搭載面の摺接路に載置して、仮係止位置に保持される。ここで、コネクタハウジングは、検知部材搭載面を有する搭載壁部が、摺接路を挟む両側で、摺接路よりも厚肉の肉付け部となっている。搭載壁部は、この肉付け部を有することにより、搭載壁部が高強度となる。搭載壁部は、高強度となることにより、係止突起が係止部との係止代を減少させる方向に変位しにくくなる。
これにより、本構成のコネクタは、嵌合検知部材が仮係止位置の状態において、コネクタ離脱力の一部が嵌合検知部材に加わっても、係止部が係止突起に強固に係止し、搭載壁部からの離脱が抑制される。その結果、コネクタは、嵌合検知部材の動作信頼性を向上させることができる。
(4) それぞれの前記肉付け部の前記摺接路と反対側の外側縁部が、前記摺接路よりも肉厚に形成されて前記コネクタハウジングの後端面に接続されることを特徴とする上記(3)に記載のコネクタ。
上記(4)の構成のコネクタによれば、肉付け部の摺接路と反対側の外側縁部が、摺接路よりも肉厚に形成されて、コネクタハウジングの後端面に接続される。即ち、搭載壁部は、上記した肉付け部に加え、外側縁部によっても補強される。これにより、搭載壁部は、更に高強度となり、係止突起が係止部との係止代を減少させる方向により変位しにくくなる。
その結果、本構成のコネクタは、嵌合検知部材の動作信頼性を更に向上させることができる。
本発明に係るコネクタによれば、嵌合検知部材の動作信頼性を向上させることができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。 ガタ詰め用突起により嵌合検知部材を仮係止位置に傾けて保持したコネクタハウジングの縦断面図である。 図1に示したコネクタのフロントホルダ及び嵌合検知部材が装着された状態の外観斜視図である。 図1に示した嵌合検知部材の斜視図である。 図1に示したコネクタハウジングを後方より見た斜視図である。 図4に示した嵌合検知部材を要部拡大図と共に表した縦面図である。 ガタ詰め用突起によりガタ詰めされた嵌合検知部材を装着するコネクタハウジングを要部拡大図と共に表した縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るコネクタにおけるコネクタハウジングを後方上側より見た斜視図である。 肉付け実施前の参考例に係るコネクタハウジングの背面図である。 CPA装置を含む従来の電気コネクタの分解斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ11の分解斜視図である。
本第1実施形態に係るコネクタ11は、コネクタハウジング13と、案内溝15(図5)と、アーム部17と、ガタ詰め用突起19(図6)と、支え壁21(図2)とを主要な構成として有する。
コネクタハウジング13は、合成樹脂材により略直方体の外形状を有して一体成形される。コネクタハウジング13は、長手方向の一方の面が、相手ハウジング(図示略)と嵌合する側の前面となり、その反対側の他方の面が、装着する端子(図示略)を挿入する後面となる。コネクタハウジング13は、長手方向に直交する一方が、相手ハウジングとの嵌合を固定するロックアーム23を備えた上面となり、長手方向に直交する他方が、下面となる。また、コネクタハウジング13は、長手方向及び上下方向に直交し、かつコネクタハウジング13から前方を向いたときの左右が側面となる。
コネクタハウジング13の前面には、相手ハウジングに収容された例えば雄端子(図示略)を受け入れる複数の端子受入口25(図2)が縦横に開口する。
なお、ここで、雄端子を収容する相手コネクタは、雄コネクタと称す。この場合、コネクタハウジング13に装着される端子は、雄端子と電気的に接触する雌端子となる。雌端子を収容するコネクタ11は、雌コネクタと称す。なお、コネクタ11は、雄端子を収容する雄コネクタとしてもよく、この場合、相手コネクタは、雌コネクタとなる。
図2は、ガタ詰め用突起19により嵌合検知部材を仮係止位置に傾けて保持したコネクタハウジング13の縦断面図である。
端子受入口25は、例えば左右方向に5つ、上下方向に2段の合計10個が設けられる。この端子受入口25のそれぞれは、コネクタハウジング13の内方に画成される端子収容室27に通じ、それぞれの端子収容室27は、後面で端子挿入口29(図5)となって開口する。つまり、コネクタハウジング13には、10個の端子収容室27が形成される。なお、端子収容室27の数や配列はこれに限定されない。
図3は、図1に示したコネクタ11のフロントホルダ31及び嵌合検知部材が装着された状態の外観斜視図である。
コネクタハウジング13の前面には、端子位置保証(TPA:Terminal Position Assurance)装置としてのフロントホルダ31が装着される。フロントホルダ31は、それぞれの端子受入口25と連なって通じる連通口33を有する。相手コネクタの雄端子は、この連通口33を介して端子受入口25に挿入される。フロントホルダ31には、それぞれの端子収容室27に挿入される複数のランス接触板35(図1)が突出する。ランス接触板35は、フロントホルダ31が前面に装着されると、それぞれの端子収容室27に設けられた図2に示す弾性可撓係止片37(ランスとも称す)に接触する。
フロントホルダ31は、コネクタハウジング13の前面に挿入されると、端子に正規に係止して配置された弾性可撓係止片37により形成される退避空間39(図2)に、図1に示したランス接触板35を挿入する。弾性可撓係止片37は、端子収容室27に挿入された端子に不完全係止のとき、一部が退避空間39に突出する。そうすると、前面に挿入されたフロントホルダ31は、ランス接触板35が弾性可撓係止片37に干渉して装着が不能となる。これにより、フロントホルダ31は、装着不能となることをもって、端子が不完全係止であることを検知する。また、フロントホルダ31は、全ての弾性可撓係止片37が端子に完全に係止していると、前面への装着が完了する。前面に装着されたフロントホルダ31は、ランス接触板35が退避空間39に嵌入することにより、弾性可撓係止片37の係止解除方向の移動を規制して、端子を二重に抜け止めするようにも働く。
コネクタハウジング13は、相手ハウジングが外嵌される嵌合面側上面41の上方に、相手ハウジングが係止するロック部43を備える。ロック部43は、ロックアーム23に設けられる。ロックアーム23は、基端がコネクタハウジング13の前部に接続し、上向き後方に向かって延出した片持ち梁状に形成される。従って、ロックアーム23の延出端は自由端となって上下に弾性変位可能となっている。ロックアーム23は、一対の平行な側板部45が架橋部47と、自由端側の操作部49とに連結されて形成される。ロック部43は、架橋部47と操作部49の間で、一対の側板部45に渡って形成される。
コネクタ11は、コネクタハウジング13の後面に、図1に示す検知部材装着部51を開口する。コネクタハウジング13は、検知部材装着部51の前方に、CPAストッパ壁53が起立して形成される。この検知部材装着部51には、相手コネクタとの正規嵌合を検知して保証する嵌合検知部材(CPA:Connector Position Assurance)が装着される。この嵌合検知部材(CPA装置とも称す)55は、検知部材装着部51において、仮係止位置(図5に示す位置)から本係止位置(図示略)へ移動される。
CPA装置55は、検知部材装着部51の検知部材搭載面57を摺動することにより仮係止位置から本係止位置へ移動される。検知部材搭載面57は、コネクタハウジング13の後面から更に後方へ延出した搭載壁部59の上側面となる。
検知部材搭載面57の中央後部には、係止突起61(図2)が突設される。この係止突起61は、CPA装置55の後部下面に形成される係止部63に係止する。係止突起61に係止部63が係止したCPA装置55は、検知部材装着部51からの後抜けが規制される。
図4は、図1に示した嵌合検知部材の斜視図である。
CPA装置55は、左右に長い矩形状の底板部65の両側に一対の平行な起立壁部67が形成される。起立壁部67の上端には、進退操作部69が架橋される。底板部65は、両側が起立壁部67よりも外側に突出した凸板部71となる。進退操作部69は、両側が起立壁部67よりも外側に突出して垂下する垂下部73を有する。垂下部73と起立壁部67との間には、下方に開口する係合溝75が形成される。
CPA装置55は、CPA本体部77の底板部65から嵌合面側上面41の上方に延出して形成されるアーム部17を有する。アーム部17は、延出自由端79の上側面に係合突部81が形成される。この係合突部81は、CPA装置55の仮係止位置でロック部43に当接する。
図5は、図1に示したコネクタハウジング13を後方より見た斜視図である。
CPA装置55は、進退操作部69が手指により把持されて底板部65が検知部材搭載面57を摺動する。CPA装置55は、一対の凸板部71が、検知部材装着部51の内面に形成された一対の案内溝15にそれぞれ挿入される。案内溝15は、CPA装置55を仮係止位置から本係止位置へガイドする。また、CPA装置55は、一対の係合溝75が、検知部材装着部51の両側でコネクタハウジング13に起立する一対の案内壁83(図4参照)に係合する。
コネクタ11は、コネクタハウジング13の後面から更に後方へ延出した上記の搭載壁部59を有する。この搭載壁部59の下面には、支え壁21が形成される。支え壁21は、搭載壁部59の延出下面とコネクタハウジング13の後端面とに渡って形成される。
図6は、図4に示した嵌合検知部材を要部拡大図と共に表した側面図である。
CPA装置55は、ガタ詰め用突起19を有する。ガタ詰め用突起19は、案内溝15に係合するCPA装置55の凸板部71に形成される。一対の凸板部71は、図4に示すように、一対の起立壁部67の下部から略垂直に外側に張り出して形成される。凸板部71は、平面視でCPA装置55の摺動方向に長い矩形状となる。ガタ詰め用突起19は、この凸板部71の後方の辺部に沿って凸板部71から突出して形成される。
図7は、ガタ詰め用突起19によりガタ詰めされた嵌合検知部材を装着するコネクタハウジング13を要部拡大図と共に表した縦断面図である。
CPA装置55は、仮係止位置で検知部材装着部51に装着されると、ガタ詰め用突起19が案内溝15の上側溝面に接する。CPA装置55は、ガタ詰め用突起19が上側溝面に接することにより、凸板部71の後部が押し下げられる。CPA装置55は、凸板部71の後部が押し下げられることにより、図2に示すように、アーム部17が上方(矢印U方向)へ押し上げられる方向へ傾斜する。つまり、ガタ詰め用突起19は、CPA装置55の仮係止位置において、ロック部43に対する係合突部81の係止代が増加する方向にCPA装置55を傾ける(図2に示す状態)。
次に、コネクタ11の組付け手順を説明する。
コネクタ11は、フロントホルダ31を未挿入としたコネクタハウジング13において、端子(図示略)が、端子挿入口29より各端子収容室27に挿入される。端子は、所定の位置に挿入されると、弾性復帰した弾性可撓係止片37が弾接して後抜けが規制される。このとき、CPA装置55は、係止部63が係止突起61に係止するとともに、係合突部81がロック部43に当接(若しくはクリアランスを有して近接)した仮係止位置となっている。
全ての端子が各端子収容室27に装着完了すると、フロントホルダ31がコネクタハウジング13の前面に装着される。フロントホルダ31は、ランス接触板35が退避空間39に嵌入することにより、弾性可撓係止片37の係止解除方向の移動を規制して、端子を二重に抜け止めする。
コネクタ11は、相手コネクタが嵌合されると、相手コネクタのロック爪(図示略)がロック部43を押下し、ロックアーム23を押し下げる。相手コネクタのロック爪は、嵌合が完了すると、コネクタハウジング13の後面に向かってロック部43を通過する。すると、ロックアーム23は、弾性復帰してロック部43がロック爪を係止し、相手コネクタとコネクタ11とが嵌合状態で固定(ロック)される。
このとき、ロック部43を通過したロック爪は、係合突部81を下方向に押下する。アーム部17は、係合突部81が押下されると延出自由端79が、円弧状の軌跡を描いて揺動される。これにより、CPA装置55のアーム部17は、ロック部43との係合が解除され、本係止位置への移動が可能となる。
検知部材搭載面57を前方に摺動されたCPA装置55は、アーム部17の係合突部81がロック部43の下面に摺接する。アーム部17は、係合突部81がロック部43を通過すると、弾性復元力により上方へ揺動し、上側の面がロック部43に当接する。CPA装置55は、CPA本体部77が、CPAストッパ壁53に当接することで、本係止位置への移動が完了する。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るコネクタ11では、CPA装置55が、凸板部71を、コネクタハウジング13の案内溝15に係合して仮係止位置から本係止位置へ移動される。CPA装置55は、ロック部43に接近する方向に延出するアーム部17を有する。アーム部17は、延出自由端79に、係合突部81を有する。CPA装置55は、このアーム部17の係合突部81が、コネクタハウジング13のロック部43に当接することにより、本係止位置への移動が規制される。つまり、仮係止位置となる。
ここで、CPA装置55は、コネクタハウジング13の間にがたつきがあると傾く。CPA装置55は、傾くと、係合突部81がアーム部17の延出自由端79に設けられているため、ロック部43に対する係合突部81の係止代が減少する。CPA装置55は、係合突部81の係止代が減少すると、ロック部43との係止が解除されやすくなり、意図しない本係止状態への移行が起こる場合がある。
即ち、CPA装置55は、凸板部71を案内溝15に係合することにより、案内溝15に沿って摺動する。凸板部71は、案内溝15を摺動するために、案内溝15との間に、僅かなクリアランスが必要となる。CPA装置55は、このクリアランスを有することにより、僅かに生じたガタによって傾斜する。CPA装置55は、アーム部17の基端で生じた傾斜が、アーム部17の先端では増幅されて、ロック部43から係合突部81が係止解除する方向の大きな変位として作動してしまう。
そこで、CPA装置55には、案内溝15に係合する凸板部71に、ガタ詰め用突起19が形成されている。ガタ詰め用突起19は、クリアランスにより生じるガタを利用して、ロック部43に対する係合突部81の係止代が増加する方向に、CPA装置55を傾ける。
これにより、CPA装置55は、アーム部17の延出自由端79に設けられた係合突部81の変位が、ロック部43との係止代を増大させる方向に増幅される。ロック部43との係止代が増大されたCPA装置55は、意図しない本係止状態への移行が抑制される。その結果、コネクタ11は、CPA装置55の動作信頼性を向上させることができる。
また、このコネクタ11では、CPA装置55が、コネクタハウジング13に形成される搭載壁部59の検知部材搭載面57を摺動して仮係止位置から本係止位置へ移動される。ここで、CPA装置55は、仮係止位置において、本係止位置への移動は係合突部81がロック部43に当接することにより規制されている。そして、CPA装置55の反対方向(即ち、検知部材搭載面57から離脱する方向)の移動は、検知部材搭載面57に突設された係止突起61に係止部63が係止されることにより規制(抜け止め)されている。
このため、CPA装置55は、コネクタハウジング13に形成される搭載壁部59が薄厚等の原因により低強度であると、搭載壁部59と共に係止突起61が、係止部63との係止代を減少させる方向に変位する。
コネクタ11では、相手ハウジングとの嵌合を解除する際、CPA装置55が仮係止位置に移動される。仮係止位置では、上記したように、CPA装置55は、係止部63が係止突起61に係止することのみにより抜け止めされている。CPA装置55は、この状態で、離脱力の一部が加わってしまうと、係止突起61との係止代が不十分な場合、検知部材装着部51の検知部材搭載面57から離脱してしまう虞がある。
そこで、コネクタ11では、搭載壁部59の延出下面とコネクタハウジング13とに渡って支え壁21が形成される。この支え壁21は、係止突起61が係止部63から離反する方向の搭載壁部59の撓みを規制することができる。
これにより、コネクタ11は、CPA装置55が仮係止位置の状態において、コネクタ離脱力の一部がCPA装置55に加わっても、係止部63が係止突起61に強固に係止し、搭載壁部59からの離脱が抑制される。その結果、コネクタ11は、CPA装置55の動作信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るコネクタを説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るコネクタにおけるコネクタハウジング87を後方上側より見た斜視図である。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態で示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。 本第2実施形態に係るコネクタのコネクタハウジング87は、肉付け部85を有する。検知部材搭載面57に対向するCPA装置55の底板部65には、アーム部17の基端を接続する底板下面凸部89(図4参照)が形成される。この底板下面凸部89は、検知部材搭載面57に摺接する。この底板下面凸部89の後端面は、上記の係止部63となる。コネクタハウジング87において、搭載壁部91は、底板下面凸部89が摺接する摺接路93を挟む両側が、厚肉にした肉付け部85となっている。
また、本第2実施形態に係るコネクタは、それぞれの肉付け部85の摺接路93と反対側の外側縁部95が、摺接路93よりも肉厚に形成されてコネクタハウジング87の後端面に接続される。
本第2実施形態に係るコネクタでは、CPA装置55は、コネクタハウジング87に形成される搭載壁部91の検知部材搭載面57を摺動して仮係止位置から本係止位置へ移動される。ここで、CPA装置55は、仮係止位置において、本係止位置への移動は係合突部81がロック部43に当接することにより規制されている。そして、CPA装置55の反対方向(即ち、検知部材搭載面57から離脱する方向)の移動は、検知部材搭載面57に突設された係止突起61に、係止部63が係止されることにより規制(抜け止め)されている。
図9は、肉付け実施前の参考例に係るコネクタハウジング97の背面図である。
CPA装置55は、コネクタハウジング97に形成される搭載壁部99が薄肉部101を有すると、搭載壁部99が低強度となる。このようなコネクタハウジング97では、搭載壁部99と共に係止突起61が、係止部63との係止代を減少させる方向に変位する。
この参考例に係るコネクタでは、相手ハウジングとの嵌合を解除する際、CPA装置55が仮係止位置に移動される。仮係止位置では、上記したように、CPA装置55は、係止部63が係止突起61に係止されることのみにより抜け止めされている。CPA装置55は、この状態で、離脱力の一部が加わってしまうと、係止突起61との係止代が不十分な場合、検知部材装着部51の検知部材搭載面57から離脱してしまう虞がある。
そこで、上記第2実施形態に係るコネクタハウジング87は、検知部材搭載面57を有する搭載壁部91が、摺接路93を挟む両側で、摺接路93よりも厚肉の肉付け部85となっている。搭載壁部91は、この肉付け部85を有することにより、搭載壁部91が高強度となる。搭載壁部91は、高強度となることにより、係止突起61が係止部63との係止代を減少させる方向に変位しにくくなっている。
これにより、本第2実施形態に係るコネクタは、CPA装置55が仮係止位置の状態において、コネクタ離脱力の一部がCPA装置55に加わっても、係止部63が係止突起61に強固に係止され、搭載壁部91からの離脱が抑制される。その結果、本第2実施形態に係るコネクタハウジング87を有するコネクタは、CPA装置55の動作信頼性を向上させることができる。
また、本第2実施形態に係るコネクタでは、肉付け部85の摺接路93と反対側の外側縁部95が、摺接路93よりも肉厚に形成されて、コネクタハウジング87の後端面に接続される。即ち、搭載壁部91は、上記した肉付け部85に加え、外側縁部95によっても補強される。これにより、搭載壁部91は、更に高強度となり、係止突起61が係止部63との係止代を減少させる方向により変位しにくくなっている。
その結果、本第2実施形態に係るコネクタハウジング87を有するコネクタは、CPA装置55の動作信頼性を更に向上させることができる。
これに加え、本第2実施形態に係るコネクタハウジング87は、上記第1実施形態に係るコネクタハウジング13における支え壁21を省略できる。そこで、端子を端子収容室27へ挿入する際に、指が支え壁21に干渉しなくなり、端子挿入時の作業性を向上することができる。
従って、上記各実施形態に係るコネクタ11によれば、CPA装置55の動作信頼性を向上させることができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 相手ハウジングが係止するロック部(43)を備えたコネクタハウジング(13,87)と、
前記コネクタハウジング(13)に形成されて嵌合検知部材(CPA装置55)を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝(15)と、
前記嵌合検知部材(CPA装置55)から前記ロック部(43)に接近する方向に延出した延出自由端(79)に設けられた係合突部(81)が、前記仮係止位置で前記ロック部(43)に当接するアーム部(17)と、
前記案内溝(15)に係合する前記嵌合検知部材(CPA装置55)の凸板部(71)に形成され、前記仮係止位置において前記ロック部(43)に対する前記係合突部(81)の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材(CPA装置55)を傾けるためのガタ詰め用突起(19)と、
を備えることを特徴とするコネクタ(11)。
[2] 前記コネクタハウジング(13)に形成され、前記嵌合検知部材(CPA装置55)が前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動される検知部材搭載面(57)を有して前記コネクタハウジング(13)から延出される搭載壁部(59)と、
前記検知部材搭載面(57)に突設され、前記嵌合検知部材(CPA装置55)の前記仮係止位置において前記嵌合検知部材(CPA装置55)を係止して前記嵌合検知部材(CPA装置55)の前記検知部材搭載面(57)からの離脱を規制する係止突起(61)と、
前記搭載壁部(59)の延出下面と前記コネクタハウジング(13)とに渡って形成される支え壁(21)と、
を備えることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(11)。
[3] 前記コネクタハウジング(87)に形成され、前記嵌合検知部材(CPA装置55)を前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動する検知部材搭載面(57)を有して前記コネクタハウジング(87)から延出する搭載壁部(91)と、
前記検知部材搭載面(57)に対向する前記嵌合検知部材(CPA装置55)の底板部(65)に形成され、前記アーム部(17)の基端が接続されるとともに、前記検知部材搭載面(57)に摺接する底板下面凸部(89)と、
前記搭載壁部(91)に形成され、前記底板下面凸部(89)が摺接する摺接路(93)を挟む両側が厚肉にされた肉付け部(85)と、
を備えることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(11)。
[4] それぞれの前記肉付け部(85)の前記摺接路(93)と反対側の外側縁部(95)が、前記摺接路(93)よりも肉厚に形成されて前記コネクタハウジング(87)の後端面に接続されることを特徴とする上記[3]に記載のコネクタ(11)。
11…コネクタ
13…コネクタハウジング
15…案内溝
17…アーム部
19…ガタ詰め用突起
21…支え壁
43…ロック部
55…CPA装置(嵌合検知部材)
57…検知部材搭載面
59…搭載壁部
61…係止突起
65…底板部
71…凸板部
79…延出自由端
81…係合突部
85…肉付け部
89…底板下面凸部
93…摺接路
95…外側縁部

Claims (4)

  1. 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、
    前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、
    前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、
    前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部における後方の辺部に沿って前記凸板部から突出して形成され、前記凸板部と前記案内溝との間のクリアランスにより生じるガタを利用して、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、
    を備えることを特徴とするコネクタ。
  2. 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、
    前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、
    前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、
    前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部に形成され、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、
    を備え、
    前記コネクタハウジングに形成され、前記嵌合検知部材が前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動される検知部材搭載面を有して前記コネクタハウジングから延出される搭載壁部と、
    前記検知部材搭載面に突設され、前記嵌合検知部材の前記仮係止位置において前記嵌合検知部材を係止して前記嵌合検知部材の前記検知部材搭載面からの離脱を規制する係止突起と、
    前記搭載壁部の延出下面と前記コネクタハウジングとに渡って形成される支え壁と、
    を備えることを特徴とするコネクタ。
  3. 相手ハウジングが係止するロック部を備えたコネクタハウジングと、
    前記コネクタハウジングに形成されて嵌合検知部材を仮係止位置から本係止位置へガイドする案内溝と、
    前記嵌合検知部材から前記ロック部に接近する方向に延出した延出自由端に設けられた係合突部が、前記仮係止位置で前記ロック部に当接するアーム部と、
    前記案内溝に係合する前記嵌合検知部材の凸板部に形成され、前記仮係止位置において前記ロック部に対する前記係合突部の係止代が増加する方向に前記嵌合検知部材を傾けるためのガタ詰め用突起と、
    を備え、
    前記コネクタハウジングに形成され、前記嵌合検知部材を前記仮係止位置から前記本係止位置へ摺動する検知部材搭載面を有して前記コネクタハウジングから延出する搭載壁部と、
    前記検知部材搭載面に対向する前記嵌合検知部材の底板部に形成され、前記アーム部の基端が接続されるとともに、前記検知部材搭載面に摺接する底板下面凸部と、
    前記搭載壁部に形成され、前記底板下面凸部が摺接する摺接路を挟む両側が厚肉にされた肉付け部と、
    を備えることを特徴とするコネクタ。
  4. それぞれの前記肉付け部の前記摺接路と反対側の外側縁部が、前記摺接路よりも肉厚に形成されて前記コネクタハウジングの後端面に接続されることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
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