JP7131531B2 - 転炉排ガス処理装置のスカート位置監視・異常検知装置ならびにスカート位置監視方法およびその監視方法によるスカート位置異常検知方法 - Google Patents
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Description
また、スカートの下降限が高くなると、スカートと転炉との間隔が不適正になるので、OGが転炉周囲の空気を吸い込んでしまい、OGの負荷が大きくなったり、効率が悪くなったりするなどの悪影響が出る。
前記分散制御部は、前記測定装置から提供されたスカートの位置情報を前記プロセス処理部に送信するとともに、収集した転炉操業情報を前記プロセス処理部に送信する機能を有し、
前記プロセス処理部は、収集した前記スカート位置情報および前記転炉操業情報を用いて、スカート位置の下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを決定する処理部と、決定された前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを記憶する記憶部と、スカート位置の監視情報を生成する監視情報生成部と、前記決定されたスカート位置の下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを用いて、スカート位置の異常を判定する異常検知部と、を有することを特徴とする転炉排ガス処理装置のスカート位置監視・異常検知装置を提供する。
スカートの下降を指示してから所定時間経過後のスカート位置を下降限代表値Hdとし、
スカートの上昇を指示してから所定時間経過後のスカート位置を上昇限代表値Huとし、
前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huを当該吹錬のスカート位置の今回値として記憶することを特徴とする転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法を提案する。
a.スカート位置を連続的に測定する場合には、前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huは、予め設定した時間内の測定値の平均値から求められるスカート位置とし、
スカート位置を間欠的に測定する場合には、前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huは、予め設定した回数の測定値の平均値から求められるスカート位置とすること、
b.前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huが、予め設定した値の範囲を超えた場合に、前記今回値として記憶しないこと、
c.前記スカート位置を測定する測定装置を複数設置し、それぞれの測定装置から提供されたスカート位置情報を用いて決定した前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huを個々に、または統計処理した後に、今回値として記憶すること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
d.前記スカート位置の異常を判定するに際し、複数回の吹錬のスカート位置情報を用い、スカート位置の過去値または過去値を統計処理した値と今回値との差が一定値を超えた場合に異常と判定すること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
図1は、本発明の一実施形態のスカート位置監視方法およびスカート位置異常検知方法に用いる装置の概要図である。転炉1および排ガス処理設備の酸素転炉排ガス回収システム(OG)2の一部を側面図で示している。転炉1は、吹錬時には、直立(図1の点線)しており、OG2のスカート3(以下、単に「スカート」という)は転炉1の排ガスを吸引している。吸引された排ガスは、上部のフード4を通じて回収、処理される。スカート3には、スカート位置を測定する測定装置が設けられる。ここでは、スカート位置を測定するシンクロカムなどの高さ計5を設置する。高さ計5は、スカート位置を測定して、その測定値をスカート位置情報として後述する分散制御部100に送信する。吹錬中は、スカート3を下降限8まで下降させ、転炉1の炉口6になるべく近づけて、転炉排ガスの回収効率を高めている。吹錬終了後は、スカート3を上昇限9まで上昇させ、出鋼側10や排滓側11に転炉1を傾動させたときに、たとえば、炉底7がスカート3に衝突して、設備が破損することを防止している。図1の実線は排滓時の転炉2の傾動の様子を示しており、スカート3が十分に上昇しなかった場合(実線)、これ以上転炉を傾動させると炉底7がスカート3に衝突してしまうことになる。
なお、スカート位置情報の提供手段として、シンクロカム以外にも、レーザー距離計などを例示することができる。送信手段は、電気信号を使用しても、無線通信でもよい。
ここでは、スカート位置は、スカート3の底面の位置とする。ただし、スカート位置は、スカート内であれば適宜設定してよい。
なお、ここでは、分散制御部100で測定装置の測定値をスカート位置に変換する構成としたが、スカート位置の導出は、測定装置自体で行っても、プロセス処理部200で行っても良い。また、スカート位置を直接求めることが可能な測定装置であれば、上記の変換作業は不要となり、測定値を直接プロセス処理部200に送信することも可能である。
図3に転炉吹錬の経過とともに昇降するスカート位置の測定結果の一例を示す。スカート位置は、シンクロカムの高さ計5により、連続的に測定されて測定値が上記のようにスカート位置H[mm]に変換されている。スカート位置の測定は、一定時間間隔ごとに間欠的に測定してもよい。前吹錬の終了後、スカート3は、上昇限9にある。吹錬の開始にあたって、転炉1は、直立位置(図1の点線)に固定される。スカート3は、下降指示の信号を受けて下降する。ここで、下降限代表値Hdとして、スカート3の下降を指示してから所定時間経過後のスカート位置を採用する。吹錬の終了後、スカート3は、上昇指示の信号を受けて上昇する。ここで、上昇限代表値Huとして、スカート3の上昇を指示してから所定時間経過後のスカート位置を採用する。下降または上昇の開始を指示してから、代表値を求めるまでの時間を遅延時間と呼び、下降時および上昇時の遅延時間をそれぞれtdおよびtuとおく。あまりに早くスカート位置を求めると、下降途中や上昇途中のスカート位置を求めることになって、正しい下降限や上昇限が得られないことになってしまう。この遅延時間td、tuは、事前にスカートの昇降装置の速度と、昇降距離から計算して求めてもよいし、スカート位置の実績から経験的に定めてもよい。なお、遅延時間td、tuは、一定の値とするが、値自体は転炉ごとに異なっていてよい。
スカートの可動適正範囲を決めておき、上記のようにして求めた下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huが、予め定めた適正範囲の下限Xdおよび上限Xuの範囲内にあるかを図4に示すようなフローに基づき比較し、適正範囲内にある値のみを代表値とするよう図2のプロセス処理部200で異常判定することが好ましい。一方、適正範囲外にある場合には、スカート位置の代表値として採用しないことが好ましい。ここで、測定装置の異常による測定異常として、警報を発信してもよい。一例として、図4(a)では、上昇限代表値Huの今回値を読込み(S20)、HuがXuより大きいか、または、HuがXdより小さいかを比較し(S21)、いずれかを満足する場合には、測定装置の異常として、異常信号を出力し(S22)、Huの今回値を空にする(S23)。いずれも満足しない場合には、Huの今回値として記憶する。図4(b)に示すように、下降限代表値Hdも同様に処理することが好ましい。
図5に一例として、出鋼順にプロットした、スカート位置の上昇限代表値Huの推移グラフを示す。ここでは、測定装置起因の異常値等は除いている。このグラフでは、18番目の吹錬以降、スカート位置の上昇限代表値Huが低下していることがわかる。このようなグラフを転炉の操業実績情報として、たとえば、図2のスカート位置監視画面205に提供することにより、スカート位置の異常を早期に発見できる。このような上昇限Huが低下していく原因としては、スカート3とフード4との間に粉塵やスプラッシュ等が堆積し、物理的に邪魔してスカートの上昇を妨げていることが一因と考えられる。その場合にはソフトブローに変更するなどして操業条件に反映させたり、OGのメンテナンスの時期を調整したりして、出鋼不能による減産を回避することになる。
スカート位置の異常判定方法は、これらの判定方法の一を用いてもよいし、複数を組み合わせて判定してもよい。
なお、たとえば、ある吹錬で求められた下降限代表値Hdまたは上昇限代表値Huが前回の吹錬での当該数値よりも20%以上異なって求められた時は、測定装置に異常が発生した可能性があるので、測定装置の調査を行うなどして、適切な処置をとることが可能になる。
また、スカートを駆動するモーターの電流値等を同時にモニターするなどして、下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huが適正範囲の下限Xdおよび上限Xuの範囲から外れた場合に、異常の原因推定に活用しても差し支えないことは、言うまでもない。
2 OG(酸素転炉排ガス回収システム)
3 スカート
4 フード
5 高さ計(シンクロカム)
6 炉口
7 炉底フランジ
8 スカート下降限
9 スカート上昇限
10 出鋼側
11 排滓側
100 分散制御部(分散制御システム(DCS))
101 第1のスキャン実績タグ
102 第2のスキャン実績タグ
200 プロセス処理部(プロセスコンピュータ)
201 スキャン実績収集部
202 操業スキャン実績テーブル
203 実績締切処理部
204 スカート位置監視テーブル
205 スカート位置監視画面
206 スカート位置設定テーブル
207 記憶部(転炉生産実績ファイル)
209 生産実績ファイルデータ
220 アラーム出力対象画面
221 スカート位置異常画面
300 データベース部
301 転炉データベース
Hd 下降限代表値
Hu 上昇限代表値
td 下降遅延時間
tu 上昇遅延時間
ad 下降累積時間
au 上昇累積時間
nd 下降累積回数
nu 上昇累積回数
Claims (7)
- 転炉排ガス処理装置のスカート位置を測定する測定装置を含む分散制御部と、前記スカート位置の監視手段と前記スカート位置の異常検知手段とを含むプロセス処理部と、を有する転炉排ガス処理装置のスカート位置監視・異常検知装置において、
前記分散制御部は、前記測定装置から提供されたスカートの位置情報を前記プロセス処理部に送信するとともに、収集した転炉操業情報を前記プロセス処理部に送信する機能を有し、
前記プロセス処理部は、収集した前記スカート位置情報および前記転炉操業情報を用いて、スカート位置の下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを決定する処理部と、決定された前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを、測定装置原因による測定異常を排除したうえで記憶する記憶部と、スカート位置の監視情報を生成する監視情報生成部と、前記決定されたスカート位置の下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huを用いて、スカート位置の異常を判定する異常検知部と、を有することを特徴とする転炉排ガス処理装置のスカート位置監視・異常検知装置。 - 転炉排ガス処理装置のスカートを吹錬の進行とともに昇降させる際に、スカート位置を連続的、または、間欠的に測定し、
スカートの下降を指示してから所定時間経過後のスカート位置を下降限代表値Hdとし、スカートの上昇を指示してから所定時間経過後のスカート位置を上昇限代表値Huとし、測定装置原因による測定異常を排除したうえで前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huを当該吹錬のスカート位置の今回値として記憶することを特徴とする転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法。 - スカート位置を連続的に測定する場合には、前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huは、予め設定した時間内の測定値の平均値から求められるスカート位置とし、
スカート位置を間欠的に測定する場合には、前記下降限代表値Hdおよび上昇限代表値Huは、予め設定した回数の測定値の平均値から求められるスカート位置とすることを特徴とする請求項2に記載の転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法。 - 前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huが、予め設定した値の範囲を超えた場合に、前記今回値として記憶しないことを特徴とする請求項2または3に記載の転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法。
- 前記スカート位置を測定する測定装置を複数設置し、それぞれの測定装置から提供されたスカート位置情報を用いて決定した前記下降限代表値Hdおよび前記上昇限代表値Huを個々に、または統計処理した後に、今回値として記憶することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法。
- 請求項2~5のいずれか1項に記載の転炉排ガス処理装置のスカート位置監視方法によって記憶された、スカート位置情報に基づいて、スカート位置の異常を判定することを特徴とする転炉排ガス処理装置のスカート位置異常検知方法。
- 前記スカート位置の異常を判定するに際し、複数回の吹錬のスカート位置情報を用い、スカート位置の過去値または過去値を統計処理した値と今回値との差が一定値を超えた場合に異常と判定することを特徴とする請求項6に記載の転炉排ガス処理装置のスカート位置異常検知方法。
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