JP7131321B2 - 複合部材及びその製造方法 - Google Patents
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図2~図4に示す木材4は、所定の厚みを持った概ね矩形の板状部材であり、複合部材2の芯部を構成している。この木材4は、図4を参照して、外部への露出が想定されている表側(図4の上面)の表面部位5と、表面部位5とは反対の裏側(図4の下面)の裏面部位6と、表面部位5と裏面部位6の間に配置する周面(四つの側面部位7a~7d)とを有している。そして表面部位5と裏面部位6は、概ね同形同寸の平坦面であり、両面部位5,6の外形にて木材4の前後左右の外形寸法が規定されている。また木材4の周面は、前側の前側面部位7aと、後側の後側面部位7bと、右側の右側面部位7cと、左側の左側面部位7dとで構成されている。そして図2を参照して、複合部材2の厚み寸法T1は、木材4の厚みとなる各側面部位7a~7dの上下寸法と、後述する被覆材10及びバインダ部14の厚みによって規定されている。
図2及び図3に示す被覆材10は、繊維体12を織編又は積層してなる布帛(織物,編物,不織布)製の面材である(各図では、便宜上、各被覆材に共通の符号10を付し、特定の繊維体にのみ符号12を付している)。そして複合部材2では、木材4の外側表裏をなす表面部位5と裏面部位6に概ね矩形の被覆材10をそれぞれ配置でき、本実施形態では、同一構成で不織布製の被覆材10を配置している。この被覆材10では、積層された繊維体12同士がランダムに交絡して一体化されており、被覆材10全体としてみた場合には繊維体12が途切れなく連続的に配置しているため、連続繊維で形成されているとみなすことができる。なお不織布製の被覆材10の製造方法は特に限定しないが、典型的には、乾式又は湿式等の手法で複数の繊維体12を積層したのち、機械的又は融着や接着などの手法で繊維体12同士を交絡する。なお繊維体12の平均繊維長は不織布を形成可能である限り特に限定しないが、例えば後述するガラス繊維の場合には、典型的に10mm以上であり、好ましくは20mm以上である。また繊維体12の繊維径(繊度)も特に限定しないが、例えば後述するガラス繊維の繊維径は、強度性を考慮して通常3~25μmに設定され、好ましくは10~23μmに設定される。そして不織布製の被覆材10では、後述する織地や編地よりも繊維体12が個々に動きやすい状態となっており、後述する製造工程にて多くの繊維体12を木材4に係止しておくことができる。
上述の繊維体12の素材は、適度な強度性を備えている限り特に限定されず、有機系の繊維体や無機系の繊維体を選択又は併用して用いることが可能である。無機系の繊維体の素材として、無アルカリガラスや低アルカリガラスや含アルカリガラスなどのガラス組成を備えたガラス繊維、PAN系やピッチ系のカーボン繊維、セラミック繊維、金属繊維、ボロン繊維、活性炭繊維を例示できる。また有機系の繊維体の素材として、アラミドなどの芳香族ポリアミド繊維、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂繊維、ナイロンなどのポリアミド樹脂繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂繊維、ポリベンズアゾール樹脂繊維、ビニロン繊維、ポリアリレート繊維、動物系又は植物系の天然繊維を例示できる。なかでもガラス繊維やカーボン繊維やアラミド繊維製の繊維体は、適度な強度性を有して耐衝撃性に優れているため、図2等に示す繊維体12として好適に使用することが可能である。
ここで被覆材は、不織布のほか、織物や編物で形成でき、複数の被覆材を用いる場合には、それぞれ独立に、不織布と織物と編物のいずれかで各被覆材を形成することができる。例えば繊維体を織編してなる被覆材では、複数の繊維体が糸をなして連続している(連続繊維となっている)とともに、糸同士が交絡して織地又は編地を形成している。例えば織物製の被覆材では、経糸又は緯糸をなす繊維体製の糸が規則的に交絡して織地を形成している。この種の織地の組織として、基本組織(平織,斜文織,朱子織)やその変化組織を例示でき、なかでも斜文織や朱子織の織地は、相対的に糸同士が疎に配置されて被覆材10が解れやすくなっている。また編物製の被覆材では、コース方向又はウエール方向の繊維体製の糸が規則的に交絡して編地を形成しており、織地に比して伸縮性に優れて編地が解れやすくなっている。この種の編地の組織として、緯編の基本組織(平編,ゴム編,パール編)やその変化組織、経編の基本組織(デンビー編,コード編,アトラス編,鎖編)やその変化組織を例示できる。また編地の形成手法として、横編、縦編、丸編を例示でき、例えば後述する丸編にて編地を筒状(木材を包むように筒状)に編地を形成することもできる。
図2及び図3に示すバインダ部14は、被覆材10を木材4に固着してこれらを結着する樹脂製の部位である。このバインダ部14の内部には、被覆材10とともに、被覆材10から解けた状態の繊維体12がランダムに分散した状態で含まれている。そしてバインダ部14内でランダムに配置された繊維体12の一部は、木材4側に係止された状態となっており、複合部材2の強度性向上に資する構成となっている。このような繊維体12の係止状態は、後述するように溶融時の流動性に優れる熱可塑性樹脂を溶融固化してバインダ部14を形成することで実現することができる。例えばバインダ部14をなす熱可塑性樹脂は、ISO1133に準拠して230℃及び21.18Nの条件で測定したメルトフローレイトの値が30g/10min以上であることが好ましく、より好ましくは同値が35g/10min以上、更に好ましくは同値が40g/10min以上である。こうして流動性に優れる熱可塑性樹脂を用いることにより、後述する製造方法にて、被覆材10が解けるような熱可塑性樹脂の流動を起こさせることが可能となる。そして被覆材10が解けて各繊維体12同士の交絡が緩むことにより、各繊維体12が、木材4側に向けて動きやすい状態となる。なおメルトフローレイトの値が極端に小さい樹脂の場合には、後述の製造工程の際に樹脂の流動が不十分となり、木材4側への繊維体12の移動が生じにくくなる。
そしてポリオレフィン系樹脂は、耐水性に優れているため、熱可塑性樹脂として好適に使用することが可能である。ここでポリオレフィン系樹脂の種類は、所定の耐水性を得られるならば特に限定されず、モノマーの単独重合体や、2種類以上のモノマーの共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体)を適宜選択して使用できる。例えばポリプロピレン(ポリプロピレン系樹脂)として、プロピレンを主要な構成成分としてなる重合体を使用でき、プロピレン単独重合体、他のα-オレフィンとの共重合体を適宜選択して用いることができる。なおモノマーとして、プロピレンのほか、エチレン、1-ブテン、イソブテン、4-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテンを例示できる。
また図2及び図3に示すバインダ部14は、複合部材2の品質や性能向上に寄与する成分を添加剤として含むことができる。この種の添加剤として、耐光剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、金属不活性剤、帯電防止剤、分散剤、滑剤、酸変性ポリプロピレンを例示できる。そしてバインダ部14は、被覆材10の耐候性を向上させるために耐光剤や酸化防止剤や熱安定化剤を含むことが望ましく、なかでも光(紫外線、可視光線、赤外線)を吸収又は反射する耐光剤を含むことが好ましい。この種の耐光剤として、色素(顔料や染料)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フィラー、光安定化剤を例示できる。そして色素として、カーボンブラックなどの炭素化合物、ベンジリデン化合物、アゾ化合物、インドール化合物、アゾメチン系化合物、キサンテン系化合物、フタロシアニン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、アントラキノン系化合物、油溶性フタレイン系染料、油溶性トリアリルメタン系染料誘導体を例示できる。また紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系の紫外線吸収剤を例示できる。また赤外線吸収剤として、六ホウ化ランタン、セシウム酸化タングステン、各種の色素を例示できる。またフィラーとして、酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属フィラー、マイカや炭酸カルシウムなどの無機フィラー、木粉などの有機フィラーを例示できる。そして光安定化剤として、ヒンダードアミン系の光安定化剤を例示できる。
図2に示す複合部材2の製造方法では、図5~図7を参照して、木材4と、被覆材10及び熱可塑性樹脂14Xを一体化した成形材20(詳細後述)とを用意し、後述の配置工程と加圧工程を行う。例えば本実施形態では、図5に示す木材4として針葉樹の合板材を用意でき、この合板材は、比較的安価で且つ低比重(典型的に比重0.4~0.7)である。そして合板材製の木材4では、その表面部位5と裏面部位6に、複数又は単数の凹み箇所DPが意図的に残されて非平滑な状態となっている。
また図5に示す成形材20は、熱可塑性樹脂14Xを被覆材10に充填して一体となるように成形された部材であり、木材4の表裏(5,6)にそれぞれ配置することができる(図5では、便宜上、各成形材に共通の符号20を付している)。この種の成形材20として、複合部材2に要求される性能を備えた成形材20を使用でき、独自に成形した成形材20を使用してもよく、市販されている成形材20を使用してもよい。例えばクオドラント・プラスチック・コンポジット社製のガラスマット強化熱可塑性プラスチック(GMT又はGMTex(登録商標))、ボンドラミネーツ社製の強化熱可塑性プラスチック(CFRTP又はGFRTP、商品名:tepex(登録商標))を好適に使用できる。そしてこの種の成形材20においては、被覆材10をなす繊維体12の間に熱可塑性樹脂14Xが充填された状態(完全に含侵した状態)で固化しており、固化した熱可塑性樹脂14Xが各繊維体12に固着して一体化されている。なお成形材20全体における被覆材10(繊維体12)の重量比は、複合部材2に求められる性能に応じて適宜設定可能であり、典型的に20~80重量%の範囲に設定され、強度性確保の観点から30~70重量%の範囲に設定されることが望ましい。そして成形材20中の被覆材10は、典型的に固化した熱可塑性樹脂14Xに埋没しているが、複合部材2の性能が過度に低下しない場合には、被覆材10の一部が外部に露出していてもよい。
図5に示す配置工程では、成形材20を、熱可塑性樹脂14Xが溶融した状態で、木材4の外側を表裏から挟み付けるように配置して図6に示す複合成形材22を形成する。この配置工程では、熱可塑性樹脂14Xの融点以上の温度域で成形材20と木材4を加熱することにより、熱可塑性樹脂14Xを徐々に溶融させていくことができる。例えば図5を参照して、成形材20を、木材4の表面部位5と裏面部位6とに配置したのち、これらを所定温度に加温されたオーブン30内に載置し、成形材20中の熱可塑性樹脂14Xが全体的に溶融するまで加熱する。このオーブン30内の温度は、ポリプロピレン(単独重合の場合の融点は160~165℃)を熱可塑性樹脂14Xとして使用する場合には190℃~260℃の温度域に設定でき、典型的には概ね230℃に設定できる。このように成形材20と木材4を加熱して、熱可塑性樹脂14Xを徐々に溶融させることにより、十分に溶融した熱可塑性樹脂14Xを、途中で固化させることなく被覆材10と木材4の各面部位(5,6)に十分に行き渡らせて馴染ませておくことができる。そして熱可塑性樹脂14Xが被覆材10に馴染んだ状態で柔らかくなるに従って、被覆材10の繊維体12同士の交絡が緩んでこれらが解けやすくなっていく。また配置工程においては、木材4を加熱していくことにより、この木材4中の余分な水分や揮発性成分を十分に除去することができ、木材4の水分含量の調整を配置工程と同時に行うことができる。こうして配置工程において、木材4と成形材20とから図6に示す複合成形材22が形成され、この複合成形材22では、十分に溶融した熱可塑性樹脂14Xによって、木材4と成形材20とが適度に結着されている。
つぎに図6に示す加圧工程では、被覆材10を木材4に押し付ける方向(図6の上下方向)に複合成形材22を加圧しながら、溶融状態とした熱可塑性樹脂14Xを固化させていく。この加圧工程では、熱可塑性樹脂14Xの融点未満の温度域で複合成形材22を加圧することにより、熱可塑性樹脂14Xを徐々に固化させていくことができる。例えば図6を参照して、押圧成形用の金型32を用意し、金型32のボード形状のキャビティ32a内に複合成形材22をセットしておく。なおキャビティ32aは、複合成形材22よりも前後左右の寸法が大きくてもよく(リブ形成用のキャビティとなっていてもよく)、複合成形材22と概ね同寸となっていてもよい(リブ非形成用のキャビティとなっていてもよい)。例えば本実施形態のようにリブ形成用のキャビティ32aでは、熱可塑性樹脂14Xが木材4の各側面部位7a,7b等に回り込むことが許容されている。そして金型32内の温度は、ポリプロピレンを熱可塑性樹脂14Xとして使用する場合には100℃以下の温度域に設定でき、典型的には概ね50℃に設定することができる。また金型32の圧力は、木材4を厚み方向に過度に潰すことのないように低圧に設定することが望ましい。例えば金型32の圧力を1MPa以下に設定することで木材4の潰れを極力回避でき、典型的には0.005MPa~1MPaの範囲に圧力を設定することができる。
本実施形態では、図1に示すトラックTRの荷台3Tの床面側に、図1~図3及び図7に示す複合部材2を設置しておく。このとき複合部材2は、木材4の表面部位5を覆う被覆材10部分を外部(各図の上側)に露出させた状態として荷台3Tに設置することができる。なお複合部材2は、荷台3Tの形状などに合わせて適宜裁断されることがあり、この場合には木材4の一部(例えば前側面部位7a)が外部に露出することがある。このような場合においても、非裁断状態のその他の側面部位7b~7dは、繊維体12を含むバインダ部14(リブRB)で被覆されているため、裁断による過度の強度性の低下を極力回避することが可能となっている。そして荷台3Tの外装材となる複合部材2は、木材4の軽量性と被覆材10の強度性を兼ね備え、さらに木材4の外部露出が極力回避された状態となっている。また複合部材2は、繊維体12を含むバインダ部14にて被覆材10が木材4により強固に固着されているため、強度性や耐久性に優れた構成となっている。このときバインダ部14として耐水性に優れるポリオレフィン系樹脂を用いることにより、水による木材4の過度の劣化をバインダ部14にて極力回避できる。また光を吸収又は反射する成分をバインダ部14に含ませることにより、光による木材4の過度の劣化をバインダ部14にて極力回避できる。こうして複合部材2は、被覆材10と木材4とがバインダ部14にて性能良く固着されているため、木材4の種類に極力左右されることなく強度性などの各種性能の向上を図ることができる。このため軽量性や価格に着目して木材4を選定して複合部材2に用いたとしても、この複合部材2を外装材として適切に活用することができ、木材4の選択の自由度を高めることが可能となっている。
ここで複合部材の製造方法は、上述の手順のほか、各種の手順を取り得る。例えば変形例1では、図8に示す下型ポンチ34aと上型ダイ34bとを備えたプレス機34を用いて、配置工程と加圧工程を行う。そして配置工程では、適温に加熱された下型ポンチ34aと上型ダイ34bの間に成形材20と木材4をセットする。このとき準備しておいたシム35(スペーサー)を、同じく下型ポンチ34aと上型ダイ34bの間にセットして、成形材20と木材4の周囲に設置しておく。このシム35は、図2及び図8を参照して、複合部材2と概ね同一の厚み寸法T2(T2=T1)を備えた板状又は柱状の部材であり、配置工程において設定された圧力設定で形が変化しないように鋼材などの高剛性の素材にて形成されている。そして配置工程においては、成形材20と木材4とを、下型ポンチ34aと上型ダイ34bで挟み付けながら加熱する。このときシム35によって成形材20と木材4に過度の圧が極力かからない状態として、熱可塑性樹脂14Xを徐々に溶融させていくことができる。そして加圧工程においては、プレス機34からシム35を除去し、実施形態と同様の条件で複合成形材を加圧する。こうして製造された図9の複合部材2では、木材4の表面部位5と裏面部位6とが、被覆材10とバインダ部14とによって被覆された状態となっているが、図4に示す各側面部位7a~7dは外部に露出した状態となっている。このような形態においても、図9に示すように表面部位5と裏面部位6とを被覆材10とバインダ部14とで被覆することにより、木材4の過度の外部露出を極力回避することが可能となる。
また配置工程に先立って、成形材だけを熱可塑性樹脂が溶融するまで加熱しておくこともできる。例えば変形例2では、図5を参照して、成形材20だけを熱可塑性樹脂14Xが溶融するまで加熱しておく。つぎにこの成形材20を、配置工程において木材4の外側を表裏から挟み付けるように配置して図6に示す複合成形材22を形成する。そして図6を参照して、加圧工程において、成形材20を木材4に押し付ける方向に複合成形材22を加圧しつつ、溶融状態の熱可塑性樹脂14Xを固化させていく。このとき金型32の圧力は、バインダ部14で木材4を包み込む場合には高圧力(例えば15MPa以上の圧力)に設定しておくことが望ましい。こうして本変形例においても、熱可塑性樹脂を固化させてなるバインダ部14を、被覆材10から解けた状態の繊維体12を含ませつつ木材4に固着させることができる。そして本変形例では、予め成形材20を加熱することにより、配置工程にかかる時間を短縮でき、さらに加熱による木材4の負担を極力減らすことが可能である。このような構成は、十分に乾燥された木材4を使用する際に好適な構成である。また高圧力によって木材4を厚み方向に適度に潰しておくことで、複合部材2の薄型化に資する構成となる。なお本変形例においても、リブ非形成用のボード状のキャビティを用いたり、圧力又は加圧時間を少なくしたりすることで、熱可塑性樹脂14Xを、表面部位5と裏面部位6にのみ行き渡らせて木材4に固着することも可能である。
また複合部材の構成も、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図10に示す変形例3の複合部材2Aでは、筒状に編製された丸編製の被覆材10Aを用いている。この複合部材2Aでは、筒状の被覆材10Aが、木材4の表面部位5と裏面部位6と側面部位7a,7b等に途切れなく配置されて固着されるため、強度性の向上に更に資する構成となっている。
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。本試験では、実施例の成形材として、クオドラント・プラスチック・コンポジット社製のガラスマット強化熱可塑性プラスチック(被覆材:不織布、ガラス繊維製の繊維体の含有率:40重量%、熱可塑性樹脂:ポリプロピレン)を用いた。また比較例の成形材として、プライムポリマー社製のガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(原料:日本ポリプロ株式会社製のペレット(商品名:ファンクスター(登録商標))、ガラス繊維製の繊維体の含有率:40重量%、熱可塑性樹脂:ポリプロピレン)を用いた。比較例の成形材では、ガラス繊維が非連続状態で熱可塑性樹脂に分散されている点が実施例と異なっている。そして実施例と比較例の成形材の耐衝撃性(シャルピー衝撃値)を、「ISO 179-1」に準拠して測定した。
比較例の成形材のシャルピー衝撃値は21.3kJ/m2であった。これに対して実施例の成形材のシャルピー衝撃値は82kJ/m2であり、比較例よりも耐衝撃性が格段に向上していた。この結果から実施例のように不織布製(連続繊維製)の被覆材を使用した成形材は優れた強度性を有していることがわかった。このため本実施形態のように被覆材と木材とをバインダ部で性能良く固着することで、複合部材の性能をより向上できることが容易に推察された。
2T ボディ
3T 荷台
2 複合部材
4 木材
5 表面部位
6 裏面部位
7a 前側面部位
7b 後側面部位
7c 右側面部位
7d 左側面部位
DP 凹み箇所
RB リブ
10 被覆材
12 繊維体
14 バインダ部
14X 熱可塑性樹脂
20 成形材
22 複合成形材
30 オーブン
32 金型
32a キャビティ
34 プレス機
34a 下型ポンチ
34b 上型ダイ
35 シム
2A 変形例3の複合部材
10A 変形例3の被覆材
Claims (7)
- 木材と、前記木材の外側を被覆する被覆材と、前記被覆材を前記木材に固着させる樹脂製のバインダ部とを備えた複合部材において、
前記被覆材は、繊維体を織編又は積層してなる布帛で構成されているとともに、前記木材の外側を表裏から挟み付けた状態で前記被覆材内に充填された前記バインダ部にて前記木材に固着されており、
前記バインダ部は、熱可塑性樹脂を溶融固化させることで形成されているとともに、前記被覆材から解けた状態の前記繊維体が含まれており、
前記木材は、板状又は柱状の部材であって、前記木材の表側をなす表面部位と、前記表 面部位の反対に位置して前記木材の裏側をなす裏面部位と、前記表面部位と前記裏面部位 の間の側面部位とを有し、前記表面部位と前記裏面部位とは、その他の箇所に比して凹の 凹み箇所が意図的に残されることで非平滑な状態となっており、
前記繊維体を含む前記バインダ部は、前記表面部位と前記側面部位と前記裏面部位とに 跨った状態で前記木材に固着され、且つ、前記凹み箇所に侵入した状態で固着されている複合部材。 - 前記繊維体を含む前記バインダ部は、前記木材を包み込んだ状態で前記木材に固着され ている請求項1に記載の複合部材。
- 前記熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂である請求項1又は2に記載の複合部材。
- 前記バインダ部は、光を吸収又は反射する成分を含んでいる請求項1~3のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記被覆材は、前記繊維体を積層してなる不織布である請求項1~4のいずれか一項に記載の複合部材。
- 木材と、前記木材の外側を被覆する被覆材と、前記被覆材を前記木材に固着させる樹脂 製のバインダ部とを備えた複合部材の製造方法において、
繊維体を織編又は積層してなる布帛製の前記被覆材内に熱可塑性樹脂を充填して一体化 した成形材と、板状又は柱状の前記木材とを用意し、
前記木材は、前記木材の表側をなす表面部位と、前記表面部位の反対に位置して前記木 材の裏側をなす裏面部位と、前記表面部位と前記裏面部位の間の側面部位とを有し、前記 表面部位と前記裏面部位とは、その他の箇所に比して凹の凹み箇所が意図的に残されるこ とで非平滑な状態となっており、
前記成形材を、前記熱可塑性樹脂が溶融した状態で、前記木材の外側を表裏から挟み付 けるように配置して複合成形材を形成する配置工程と、
前記被覆材を前記木材に押し付ける方向に前記複合成形材を加圧しながら、溶融状態と した前記熱可塑性樹脂を固化させていくことにより、前記熱可塑性樹脂を固化してなる前 記バインダ部を、前記被覆材から解けた状態の前記繊維体を含ませつつ前記木材の前記表 面部位と前記側面部位と前記裏面部位とに固着させ、且つ、前記凹み箇所に侵入させて固 着させる加圧工程とを有する複合部材の製造方法。 - 前記配置工程にて、前記熱可塑性樹脂の融点以上の温度域で前記成形材と前記木材を加 熱することにより、前記熱可塑性樹脂を徐々に溶融させていき、
前記加圧工程にて、前記熱可塑性樹脂の融点未満の温度域で前記複合成形材を加圧する ことにより、前記熱可塑性樹脂を徐々に固化させていく請求項6に記載の複合部材の製造方法。
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