JP7131064B2 - 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置 - Google Patents
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このようなスポット溶接自体は公知の通りであり、溶接される複数の材料が重ねられ、これを2つの電極の間に挟んで押圧しつつ通電する。そして以下に示す形態は当該スポット溶接のシミュレーションに関する。
このようなプロセス解析方法S10では、スポット溶接において鋼材を押圧して加熱、溶融、冷却までの一貫プロセスを模擬したシミュレーションを行う。シミュレーションはいわゆるFEM(有限要素法)解析で行われることが好ましく、従って、適切な大きさの微小な要素(メッシュ)に分割された解析モデルにより行われる。
そして本形態ではプロセス解析方法S10は全体として、電場-温度場-応力場の連成解析により行われ、その際には、被溶接材の解析要素、被溶接材端部の境界条件、スポット溶接の電極が被溶接材を加圧する負荷条件による変位・応力解析を行う。このような連成解析は公知の通りであり、例えば非特許文献1に記載のような手法を用いることができる。
すなわち、図4(a)に示したように、2つの鋼材10、鋼材11が重ね合わされた状態において、図4(a)のIVb部を拡大した図4(b)のように、鋼材10、鋼材11の端部には移動及び回転が禁止された拘束条件Aが与えられる(図4(b)では鋼材10についてのみ表示)。このような拘束条件Aは最も自由度が低い拘束条件である。
これに対して収束性判定処理S21では、予め決めておいた閾値の時間刻みΔT2を用い、収束性(所望の解析結果を得られること。)の判定を行う。
時間刻み取得S21aではプロセス解析方法S10にて解析が進行している最中にその時点における解析の時間刻みΔT1を、当該時間刻みΔT1に基づいてその都度取得する。
そして、ΔT1>ΔT2であれば解の収束が適切に進んでいると判断し(Yes)、次の時間刻み取得S21aを待つ。
一方、ΔT1≦ΔT2であると、プロセス解析方法S10にて時間刻みを小さくして収束を図ることが行われていると考えられるため、解の収束が適切に進んでいないと判断し(No)、拘束条件再設定処理S22に進む。
例えば現時点において上記のように拘束条件Aが適用されていた場合には、拘束条件Bや拘束条件Cへの変更を行う。図5に拘束条件B、図6に拘束条件Cについて説明する図を示した。
拘束条件Bでは、図5(c)に示したように電極1で鋼材10、鋼材11を押圧すると、図5(c)のVd部を拡大した図5(d)のように、鋼材10、鋼材11の端部は、拘束された角部は移動することはないが回転は可能であるため、当該角部を中心に端部が回転しつつ解析が進められていく(図5(d)では鋼材10についてのみ表示)。
拘束条件Cでは、図6(c)に示したように電極1で鋼材10、鋼材11を押圧すると、図6(c)のVId部を拡大した図6(d)のように、鋼材10、鋼材11の端部は、1つの端部において拘束されていない方向(本例では紙面左右方向)への移動、及び回転が可能であるため、水平方向に移動及び、当該角部を中心に端部が回転しつつ解析が進められていく(図6(d)では鋼材10についてのみ表示)。
特に限定されることはないが、拘束条件の変更は、想定される複数の拘束条件のうち、現時点の拘束条件に対して1段階自由度が高まる拘束条件への変更が好ましい。すなわち、変数であるPhaseを1加算することが好ましい。
拘束条件の大きな変更は得られる結果の精度に影響を与えるため、解を得られる限りにおいては、できるだけ現時点の拘束条件に近い拘束条件が適用されることが好ましい。すなわち、3つ拘束条件A、B、Cが想定されている本形態の場合には、変数であるPhaseを1加算することになる。従って本形態ではこのときには、拘束条件Aから拘束条件Bへの変更、及び、拘束条件Bから拘束条件Cへの変更となる。
通電加熱プロセス解析S11及び冷却プロセス解析S12を1つの解析として境界条件設定方法S20が適用されたときには、全ての解析を通じて必ず拘束条件が一定となる。
通電加熱プロセス解析S11と冷却プロセス解析S12とは別の解析として境界条件設定方法S20が適用されたときには、全ての解析を通じて同じ拘束条件が一定となる場合と、通電加熱プロセス解析S11と冷却プロセス解析S12とが異なる拘束条件で解析される場合とがある。
外部記憶装置21cは、公知の外部接続可能な記憶手段であり、記憶媒体としても機能する。ここには特に限定されることなく、必要とされる各種プログラム、データを記憶させておくことができる。例えば上記した記憶手段25と同様のプログラム、データがここに記憶されていても良い。
外部記憶装置21cとしては、公知の装置を用いることができる。これには例えばCD-ROM及びCD-ROMドライブ、DVD及びDVDドライブ、ハードディスク、各種メモリ等を挙げることができる。
評価対象としたのは、板厚が異なる高張力鋼板が重ね合わされてなる3枚板組で、上から板厚1.8mm、0.7mm、1.6mmである。スポット溶接の溶接条件は加圧力5.9kN、電流7kA、通電時間22サイクル(周波数60Hz)、保持時間40サイクルとし、電場-温度場-応力場の連成解析によりスポット溶接の通電加熱から冷却プロセスのFEM解析シミュレーションを行った。
閾値の時間刻みΔT2は1×10-10、変数のPhaseにはそれぞれの鋼板に対して1を設定した。
実施例2では、板隙を1.0mmとして実施例1と同様に解析を行った。図10に解析モデルを示した。他の条件は実施例1と同じである。
その結果、1回、時間刻みΔT1が閾値の時間刻みΔT2より小さくなったため、変数のPhaseを2として拘束条件Bの境界条件で再計算を行ったところ、図11のように適切に解析が終了した。
実施例3では、板隙を1.4mmとして実施例1と同様に解析を行った。図12に解析モデルを示した。他の条件は実施例1と同じである。
その結果、2回にわたって時間刻みΔT1が閾値の時間刻みΔT2より小さくなったため、その都度Phaseを1加算し、最終的にはPhaseを2回加算して3として拘束条件Cの境界条件で再計算を行ったところ、図13のように適切に解析が終了した。
10 鋼材
11 鋼材
20 計算装置
21 入力手段
22 演算装置
23 演算手段
25 記憶手段
28 表示手段
A 溶融ナゲット
S10 プロセス解析方法
S11 通電加熱プロセス解析
S12 冷却プロセス解析
S20 境界条件設定方法
S21 収束性判定処理
S21a 時間刻み取得
S21b 収束性判定
S22 拘束条件再設定処理
S22a 拘束条件変更
S22b 割り込み処理
Claims (3)
- 計算装置が、解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記拘束条件を設定する方法であって、
前記計算装置が、
解析中における時間刻みΔT1と、予め設定された時間刻みΔT2とを比較する過程を含む収束性判定処理と、
前記収束性判定処理で前記ΔT1が前記ΔT2以下になったときに前記拘束条件を、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更する拘束条件再設定処理と、を含む処理を行う、
境界条件設定方法。 - 計算装置が、解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記計算装置に前記拘束条件を設定するプログラムであって、
前記計算装置に
解析中における時間刻みΔT1と、予め設定された時間刻みΔT2とを比較するステップと、
前記比較の結果、前記ΔT1が前記ΔT2以下になったときに前記拘束条件を、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更するステップと、を含む処理を行わせる、
境界条件設定プログラム。 - 解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記拘束条件を設定する計算装置であって、
プログラムが記憶された記憶手段と、
前記プログラムに基づいて演算を行う演算手段と、
前記演算手段により演算された結果を表示する表示手段と、を備え、
前記演算手段では、
解析中における時間刻みΔT1と、予め設定された時間刻みΔT2とを比較する演算と、
前記ΔT1が前記ΔT2以下になったときに前記拘束条件を直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更する演算と、を行う、境界条件設定の計算装置。
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JP2018093877A JP7131064B2 (ja) | 2018-05-15 | 2018-05-15 | 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置 |
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JP2019200528A JP2019200528A (ja) | 2019-11-21 |
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- 2018-05-15 JP JP2018093877A patent/JP7131064B2/ja active Active
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