JP7131064B2 - 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置 - Google Patents

境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7131064B2
JP7131064B2 JP2018093877A JP2018093877A JP7131064B2 JP 7131064 B2 JP7131064 B2 JP 7131064B2 JP 2018093877 A JP2018093877 A JP 2018093877A JP 2018093877 A JP2018093877 A JP 2018093877A JP 7131064 B2 JP7131064 B2 JP 7131064B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
analysis
constraint
constraint condition
condition
boundary condition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018093877A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019200528A (ja
Inventor
秀樹 上田
学 福本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018093877A priority Critical patent/JP7131064B2/ja
Publication of JP2019200528A publication Critical patent/JP2019200528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7131064B2 publication Critical patent/JP7131064B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、スポット溶接等のように、負荷を付与して行う加工の数値解析シミュレーションにおける境界条件の設定に関し、より詳しくは、精度のよいシミュレーションを可能としつつ、計算時間の低減及び解取得の安定性を図ることができる境界条件の設定に関する。
例えば、自動車の車体等、各種工業部材における金属材料同士の接合ではスポット溶接が広く利用されている。近年、例えば自動車車体に使用される鋼板には軟鋼板、高張力鋼板、ホットスタンプ鋼板等があり、このような異なる種類の様々な強度の鋼板を組み合わせて溶接することが多くなっている。
スポット溶接を行うに際しては、実際に溶接することにより溶接条件や継手強度を確かめつつ最適条件を決めることもできるが、それには時間がかかり手間も大きい。そこで近年では溶接条件及び継手強度の検討のためにFEM解析シミュレーションが有効に用いられている。
例えば非特許文献1には、電場-温度場-応力場の増分連成解析手法に基づくスポット溶接解析システムが開示されている。これによれば、めっき鋼板を対象に溶接ナゲット形成を精度良く推定し、更に、溶融金属が鋼板外へ飛散するスパッタ発生の予測も可能である。
また、特許文献1には、鋼板への加圧力と鋼板界面である圧接部の接触圧からスパッタ発生を予測する技術が開示されている。これによればスパッタ発生を予測することができるとともに、溶接部の強度が最大となりつつも溶接に要するエネルギー効率が良好になるような溶接条件を求めることができる。
このような、スポット溶接では、被溶接材の端部をチャックで挟んで固定することがあり、これも考慮して数値解析シミュレーションを行う必要がある。そしてその際には、解析モデルに対して境界条件を付与する必要があるが、その境界条件が計算時間と解析精度に影響を及ぼすため、境界条件設定の適正化が重要となる。ところが、非特許文献1や特許文献1にはこのような境界条件について検討されていない。
例えば特許文献2は、スポット溶接過程のシミュレーションではないが境界条件の適正化について開示しており、解析実行前に、接触する1対のマスタ面とスレーブ面上の節点を空間判別部で干渉判断できるとされている。しかしながら、これは、接触対の干渉判定に関するものであり、スポット溶接における境界条件に適用して例えば解の収束性を適正化することはできない。
また、特許文献3には、剛体変位状態(負荷による剛体の平行移動や回転運動)を回避するため、ダミー節点を用いた技術が開示されており、これによれば適切な拘束条件を設定できるとされている。しかしながら、これは剛体自由度除去を目的とした拘束条件の設定方法に関するものであり、スポット溶接における境界条件に適用して例えば解の収束性を適正化することはできない。
また、特許文献4には、大すべり等大幅な変形が発生するケースにおいても、接触領域判定長を用いて接触条件を設定できる技術が開示されている。しかしながら、これは解析による移動・変形後の接触面の設定方法に関するものであり、スポット溶接における境界条件に適用して例えば解の収束性を適正化することはできない。
福本、岡村、福井、「自動車用鋼板を対象とした高精度スポット溶接CAE技術の開発」、自動車技術会2006年度春季学術講演会前刷集、No.74-06、(2006)
特開2007-283328号公報 特開2006-185369号公報 特開2008-084031号公報 特開2009-059028号公報
以上のように、非特許文献1及び特許文献1では、スポット溶接の数値解析シミュレーションにおける境界条件について記載がなく、計算時間や解析精度に問題を生じる虞がある。
一方、特許文献2~特許文献4に開示された境界条件に関する技術については、スポット溶接の数値解析シミュレーションの境界条件に適用して例えば解の収束性を適正化することはできない。
そこで本発明は上記問題点に鑑み、スポット溶接シミュレーションを行う場合において、適正な解析結果を得つつも、計算時間の短縮を図り、良好な解の収束性を得ることが可能な境界条件設定方法を提供することを課題とする。また、そのための境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置を提供する。
発明者は、スポット溶接の数値解析シミュレーションにおいて、計算時間を考慮すると、被溶接材の解析モデルの端部(チャックで挟み固定する部位)には接触条件ではなく移動、及び/又は、回転の拘束条件を付与することが望ましいとの知見を得た。ところが一方で、拘束が強すぎると解析モデルへの負荷が著しく増大し、変位の解等の収束性を悪化させ解析ができない場合があることも突き止めた。また、逆に拘束が弱いと端部固定の条件が成り立たず、解析結果は実際のものと対応しなくなることも知見した。そこで、発明者は、拘束の強さを解の収束に合わせ段階的に変化させ、計算時間の低減と解取得の安定を両立した境界条件の設定をする着想を得て、これを具体化することにより本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。
本発明の1つの態様は、解析モデルの端部に拘束条件を与え、解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて拘束条件を設定する方法であって、解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較する過程を含む収束性判定処理と、収束性判定処理でΔTがΔT以下になったときに拘束条件を変更する拘束条件再設定処理と、を含む、境界条件設定方法である。
拘束条件再設定処理では、変更された拘束条件は、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件とすることもできる。
本発明の他の態様は、解析モデルの端部に拘束条件を与え、解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて拘束条件を設定するプログラムであって、解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較するステップと、比較の結果、ΔTがΔT以下になったときに拘束条件を変更するステップと、を含む、境界条件設定プログラムである。
拘束条件を変更するステップでは、変更された拘束条件は、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件とすることもできる。
本発明の他の態様は、解析モデルの端部に拘束条件を与え、解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて拘束条件を設定する計算装置であって、プログラムが記憶された記憶手段と、プログラムに基づいて演算を行う演算手段と、演算手段により演算された結果を表示する表示手段と、を備え、演算手段では、解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較する演算と、ΔTがΔT以下になったときに拘束条件を変更する演算と、を行う、境界条件設定の計算装置である。
拘束条件を変更する演算では、変更された拘束条件は、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件とすることもできる。
本発明によれば、解析モデルの拘束の強さを解の収束に合わせて変化させ、計算時間の低減と解取得の安定を両立した境界条件の設定をすることができる。
図1は、スポット溶接の場面、及び、このときに形成される溶融ナゲットについて説明する模式図である。 図2は、スポット溶接シミュレーション方法に含まれるプロセス解析方法S10の流れを示した図である。 図3は、スポット溶接シミュレーション方法に含まれる境界条件設定方法S20の流れを示した図である。 図4(a)~図4(d)は拘束条件Aを説明する図である。 図5(a)~図5(d)は拘束条件Bを説明する図である。 図6(a)~図6(d)は拘束条件Cを説明する図である。 図7は、計算装置の構成を説明する図である。 図8は、実施例1のモデルを説明する図である。 図9は、実施例1の結果を示す図である。 図10は、実施例2のモデルを説明する図である。 図11は、実施例2の結果を示す図である。 図12は、実施例3のモデルを説明する図である。 図13は、実施例3の結果を示す図である。
図1は、スポット溶接の場面、及び、スポット溶接中における溶接部分を概略的に示した断面図である。ここでは2つの鋼板10、鋼板11が重ねられ、その一方面側と他方面側から2つの電極1により挟んでスポット溶接する場面を示している。ここで図1にAで示した部分が溶融部(溶融ナゲット)である。
このようなスポット溶接自体は公知の通りであり、溶接される複数の材料が重ねられ、これを2つの電極の間に挟んで押圧しつつ通電する。そして以下に示す形態は当該スポット溶接のシミュレーションに関する。
図2にはスポット溶接シミュレーション方法に含まれるプロセス解析方法S10、図3にはスポット溶接シミュレーション方法に含まれる境界条件設定方法S20の流れをそれぞれ表している。
プロセス解析方法S10は、スポット溶接シミュレーションを行う主要部分となる解析であり、通電加熱プロセス解析S11と、温度依存の応力解析を行う冷却プロセス解析S12とを含んでいる。
このようなプロセス解析方法S10では、スポット溶接において鋼材を押圧して加熱、溶融、冷却までの一貫プロセスを模擬したシミュレーションを行う。シミュレーションはいわゆるFEM(有限要素法)解析で行われることが好ましく、従って、適切な大きさの微小な要素(メッシュ)に分割された解析モデルにより行われる。
そして本形態ではプロセス解析方法S10は全体として、電場-温度場-応力場の連成解析により行われ、その際には、被溶接材の解析要素、被溶接材端部の境界条件、スポット溶接の電極が被溶接材を加圧する負荷条件による変位・応力解析を行う。このような連成解析は公知の通りであり、例えば非特許文献1に記載のような手法を用いることができる。
通電加熱プロセス解析S11では、重ね合わされた複数の鋼材に対して、スポット溶接を再現するように加熱条件を付与して溶融ナゲットの形成に関するシミュレーションを行う。
そして冷却プロセス解析S12では、通電加熱プロセス解析S11で得られた溶融ナゲットに対して、温度依存の応力解析を行う。
ここで、初期値として与えられる境界条件のうち、溶接される鋼材の端部における移動及び回転に関する境界条件である拘束条件は、本形態では図4(a)~図4(d)に示したように、移動及び回転を許容しない拘束(拘束条件A)である。このときの変数をPhaseとして1を設定する。
すなわち、図4(a)に示したように、2つの鋼材10、鋼材11が重ね合わされた状態において、図4(a)のIVb部を拡大した図4(b)のように、鋼材10、鋼材11の端部には移動及び回転が禁止された拘束条件Aが与えられる(図4(b)では鋼材10についてのみ表示)。このような拘束条件Aは最も自由度が低い拘束条件である。
拘束条件Aでは、図4(c)に示したように電極1で鋼材10、鋼材11を押圧すると、図4(c)のIVd部を拡大した図4(d)のように、鋼材10、鋼材11の端部は移動及び回転しないで解析が進められていく(図4(d)では鋼材10についてのみ表示)。
図3に戻って境界条件設定方法S20について説明する。境界条件設定方法S20は、収束性判定処理S21及び拘束条件再設定処理S22を含んで構成されている。
収束性判定処理S21では、プロセス解析方法S10で解析が行われている最中に、そのデータの中から時間刻みΔTを取得し、このΔTに基づいた解析が適切に収束するかを判断する。プロセス解析方法S10にて適用される静的陰解法の汎用コードでは解が収束しない(釣り合い方程式が解けない)場合に、時間刻みΔTを小さくして解析を繰り返し行うことが多い。そして、時間刻みΔTが限界値より小さくなるとそこで計算が打ち切られ所望の解析結果を得られないことになる。これでは、計算時間が長くなるとともに、その後に結局解を得られないことになり、無駄がある。
これに対して収束性判定処理S21では、予め決めておいた閾値の時間刻みΔTを用い、収束性(所望の解析結果を得られること。)の判定を行う。
具体的に収束性判定処理S21は、図3からわかるように、時間刻み取得S21a及び収束性判定S21bを含んで構成されている。
時間刻み取得S21aではプロセス解析方法S10にて解析が進行している最中にその時点における解析の時間刻みΔTを、当該時間刻みΔTに基づいてその都度取得する。
収束性判定S21bは、時間刻み取得S21aで取得した時間刻みΔTと、予め決めておいた閾値としての時間刻みΔTとを比較する。
そして、ΔT>ΔTであれば解の収束が適切に進んでいると判断し(Yes)、次の時間刻み取得S21aを待つ。
一方、ΔT≦ΔTであると、プロセス解析方法S10にて時間刻みを小さくして収束を図ることが行われていると考えられるため、解の収束が適切に進んでいないと判断し(No)、拘束条件再設定処理S22に進む。
拘束条件再設定処理S22では、収束性判定処理S21において収束性が適切でないと判断されたことを受けて、拘束条件を変更する。これによりプロセス解析方法S10における解析の収束性を高め、速く精度よい結果を確実に得られるようにすることができる。具体的に拘束条件再設定処理S22は、本形態では拘束条件変更S22a及び割り込み処理S22bを含んで構成されている。
拘束条件変更S22aでは、プロセス解析方法S10で行われている解析に適用されている拘束条件を変更する設定を行う。この拘束条件の変更は、現時点の拘束条件に対して自由度を高める方に変更することが好ましい。
例えば現時点において上記のように拘束条件Aが適用されていた場合には、拘束条件Bや拘束条件Cへの変更を行う。図5に拘束条件B、図6に拘束条件Cについて説明する図を示した。
拘束条件Bでは、図5(a)に示したように、2つの鋼材10、鋼材11が重ね合わされた状態において、図5(a)のVb部を拡大した図5(b)のように、鋼材10、鋼材11の端部では、2つの角のうち一方の角において移動が禁止されているが、回転は許容されている。そして他方の角は自由である(図5(b)では鋼材10についてのみ表示)。このような拘束条件Bは、拘束条件Aよりも自由度が高い拘束条件である。このときの変数のPhaseとして2を設定する。
拘束条件Bでは、図5(c)に示したように電極1で鋼材10、鋼材11を押圧すると、図5(c)のVd部を拡大した図5(d)のように、鋼材10、鋼材11の端部は、拘束された角部は移動することはないが回転は可能であるため、当該角部を中心に端部が回転しつつ解析が進められていく(図5(d)では鋼材10についてのみ表示)。
拘束条件Cでは、図6(a)に示したように、2つの鋼材10、鋼材11が重ね合わされた状態において、図6(a)のVIb部を拡大した図6(b)のように、鋼材10、鋼材11の端部で、2つの角のうち一方の角において平面内の直交する2つの座標軸方向のうち一方への移動のみ(本例では紙面上下方向)が禁止され、他方の座標軸方向(本例では紙面左右方向)への移動、及び回転が許容されている。そして他方の角は自由である(図6(b)では鋼材10についてのみ表示)。このような拘束条件Cは、拘束条件A及び拘束条件Bよりもさらに自由度が高い拘束条件である。このときの変数のPhaseとして3を設定する。
拘束条件Cでは、図6(c)に示したように電極1で鋼材10、鋼材11を押圧すると、図6(c)のVId部を拡大した図6(d)のように、鋼材10、鋼材11の端部は、1つの端部において拘束されていない方向(本例では紙面左右方向)への移動、及び回転が可能であるため、水平方向に移動及び、当該角部を中心に端部が回転しつつ解析が進められていく(図6(d)では鋼材10についてのみ表示)。
拘束条件変更S22aでは、例えば拘束条件Aから拘束条件Bへの変更(変数であるPhaseを1から1加算して2とする。)、拘束条件Aから拘束条件Cへの変更(変数であるPhaseを1から2加算して3とする。)を設定する。
特に限定されることはないが、拘束条件の変更は、想定される複数の拘束条件のうち、現時点の拘束条件に対して1段階自由度が高まる拘束条件への変更が好ましい。すなわち、変数であるPhaseを1加算することが好ましい。
拘束条件の大きな変更は得られる結果の精度に影響を与えるため、解を得られる限りにおいては、できるだけ現時点の拘束条件に近い拘束条件が適用されることが好ましい。すなわち、3つ拘束条件A、B、Cが想定されている本形態の場合には、変数であるPhaseを1加算することになる。従って本形態ではこのときには、拘束条件Aから拘束条件Bへの変更、及び、拘束条件Bから拘束条件Cへの変更となる。
割り込み処理S22bでは、拘束条件変更S22aで設定した新たな拘束条件を適用してプロセス解析方法S10で解析をやり直すように、プロセス解析方法S10に割り込んで実行させる。これにより、プロセス解析方法S10は、新しい拘束条件で再度解析をおこなう。
割り込み処理S22bを実行した後は、再度、収束性判定処理S21に戻り、上記の処理を繰り返す。ただし、拘束条件変更S22aによる拘束条件の変更で、想定された最も自由度が高い拘束条件(本形態の場合は拘束条件C)を適用した場合には、これ以上の拘束条件の変更はできないため、収束性判定処理S21を行わなくてもよい。
なお、本形態では、プロセス解析方法S10が通電加熱プロセス解析S11及び冷却プロセス解析S12を含んでいるところ、境界条件設定方法S20は、通電加熱プロセス解析S11及び冷却プロセス解析S12を1つの解析として適用されてもよいし、通電加熱プロセス解析S11と冷却プロセス解析S12とは別の解析として適用されてもよい。
通電加熱プロセス解析S11及び冷却プロセス解析S12を1つの解析として境界条件設定方法S20が適用されたときには、全ての解析を通じて必ず拘束条件が一定となる。
通電加熱プロセス解析S11と冷却プロセス解析S12とは別の解析として境界条件設定方法S20が適用されたときには、全ての解析を通じて同じ拘束条件が一定となる場合と、通電加熱プロセス解析S11と冷却プロセス解析S12とが異なる拘束条件で解析される場合とがある。
評価対象となる鋼材の端部をチャック等で固定し、加圧や引張等の負荷を付与する条件のスポット溶接の数値解析シミュレーションでは、チャックで固定された部位に対応する境界条件(拘束条件)が計算時間と解析精度に影響を及ぼすため、境界条件設定の適正化が重要となる。上記示したスポット溶接シミュレーション方法によれば、境界条件設定方法S20により拘束の強さを解の収束に合わせ変化させ、計算時間の低減と解取得の安定を両立させることができる。
そして本発明は、被溶接材の端部をチャックで挟み固定し、被溶接材に電極の加圧を負荷するスポット溶接シミュレーションに適用できる他、材料や部材の強度試験として頻繁に用いられる三点曲げ試験モデル、又は、片持ち梁試験モデル等の数値解析シミュレーションにも適用できる。
図7は、上記したスポット溶接シミュレーション方法に沿って具体的に演算を行う1つの形態にかかる計算装置20の構成を概念的に表した図である。計算装置20は、入力手段21、演算装置22、及び表示手段28を有している。そして演算装置22は、演算手段23、RAM24、記憶手段25、受信手段26、及び出力手段27を備えている。また、入力手段21にはキーボード21a、マウス21b、及び記憶媒体の1つとして機能する外部記憶装置21cが含まれている。
演算手段23は、いわゆるCPU(中央演算子)により構成されており、上記した各構成部材に接続され、これらを制御することができる手段である。また、記憶媒体として機能する記憶手段25等に記憶された各種プログラム25aを実行し、これに基づいて上記したスポット溶接シミュレーション方法に含まれるプロセス解析方法S10、境界条件設定方法S20の各処理を実行するのも演算手段23である。
RAM24は、演算手段23の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する構成部材である。RAM24は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
記憶手段25は、各種演算の根拠となるプログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段25には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。より具体的には記憶手段25には、プログラム25a、鋼材データベース25bが記憶(保存)されている。またその他情報も併せて保存されていてもよい。
ここで、保存されているプログラムには、上記したスポット溶接シミュレーション方法の各処理を演算する根拠となる溶接シミュレーションプログラムが含まれる。すなわち、溶接シミュレーションプログラムは、図2のフローに対応するように、通電加熱プロセス演算ステップと、温度依存の応力解析を行う冷却プロセス演算ステップとを含んでいる。このプログラムの具体的な演算内容は上記したプロセス解析方法S10で説明した通りである。
そして溶接シミュレーションプログラムにはさらに、図3のフローに対応するように、上記の境界条件設定方法S20を具体的に演算するための根拠となる計算プログラムが含まれる。従って、この計算プログラムは、収束性判定処理S21である時間刻み取得S21a及び収束性判定S21b、並びに、拘束条件再設定処理S22である拘束条件変更S22a及び割り込み処理S22bに対応した、時間刻み取得ステップ、収束性判定ステップ、拘束条件変更ステップ、及び割り込み処理ステップを有している。このプログラムの具体的な演算内容は上記した境界条件設定方法S20で説明した通りである。
鋼材データベース25bは、鋼材に関する物性値等の各特性が収納されたデータベースである。このデータベースからプログラムの求めに応じて必要なデータがプログラムに提供される。
受信手段26は、外部からの情報を演算装置22に適切に取り入れるための機能を有する構成部材であり、入力手段21が接続される。いわゆる入力ポート、入力コネクタ等もこれに含まれる。
出力手段27は、得られた結果のうち外部に出力すべき情報を適切に外部に出力する機能を有する構成部材であり、モニター等の表示手段28や各種装置がここに接続される。いわゆる出力ポート、出力コネクタ等もこれに含まれる。
入力装置21には、例えばキーボード21a、マウス21b、外部記憶装置21c等が含まれる。キーボード21a、マウス21bは公知のものを用いることができ、説明は省略する。
外部記憶装置21cは、公知の外部接続可能な記憶手段であり、記憶媒体としても機能する。ここには特に限定されることなく、必要とされる各種プログラム、データを記憶させておくことができる。例えば上記した記憶手段25と同様のプログラム、データがここに記憶されていても良い。
外部記憶装置21cとしては、公知の装置を用いることができる。これには例えばCD-ROM及びCD-ROMドライブ、DVD及びDVDドライブ、ハードディスク、各種メモリ等を挙げることができる。
また、その他、ネットワークや通信により受信手段26を介して演算装置に情報が提供されてもよい。同様にネットワークや通信により出力手段27を介して外部の機器に情報を送信することができてもよい。
このような計算装置20によれば、上記説明したスポット溶接シミュレーション方法を効率的に精度よく行なうことが可能となる。計算装置20としては例えばコンピュータを用いることができる。
以下、スポット溶接の数値解析シミュレーションの実施例に従い、本発明についてより詳しく説明する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
評価対象としたのは、板厚が異なる高張力鋼板が重ね合わされてなる3枚板組で、上から板厚1.8mm、0.7mm、1.6mmである。スポット溶接の溶接条件は加圧力5.9kN、電流7kA、通電時間22サイクル(周波数60Hz)、保持時間40サイクルとし、電場-温度場-応力場の連成解析によりスポット溶接の通電加熱から冷却プロセスのFEM解析シミュレーションを行った。
鋼板と鋼板の間の隙間(板隙)の影響を調査するため、実験では鋼板端部にシムを挟んで溶接してチャックで固定し、これに対応した解析モデルを作成した。図8に板隙0.4mmの条件における解析モデルを示した。軸対称形でモデル化をしており、鋼板10、鋼板11、及び鋼板12を0.4mmの間隔を有して配置し、2つの電極1で挟んだ。実験でのシムとチャックによる固定を再現するため上記した拘束条件Aの境界条件を設定した。
閾値の時間刻みΔTは1×10-10、変数のPhaseにはそれぞれの鋼板に対して1を設定した。
図9に解析結果を示す。図9は通電加熱プロセス終了後の変形状態を示しており、本例である板隙0.4mmの条件では拘束条件Aを変更する必要がなく拘束条件Aのまま(Phaseが1のまま)で適切に解析が終了した。
<実施例2>
実施例2では、板隙を1.0mmとして実施例1と同様に解析を行った。図10に解析モデルを示した。他の条件は実施例1と同じである。
その結果、1回、時間刻みΔTが閾値の時間刻みΔTより小さくなったため、変数のPhaseを2として拘束条件Bの境界条件で再計算を行ったところ、図11のように適切に解析が終了した。
<実施例3>
実施例3では、板隙を1.4mmとして実施例1と同様に解析を行った。図12に解析モデルを示した。他の条件は実施例1と同じである。
その結果、2回にわたって時間刻みΔTが閾値の時間刻みΔTより小さくなったため、その都度Phaseを1加算し、最終的にはPhaseを2回加算して3として拘束条件Cの境界条件で再計算を行ったところ、図13のように適切に解析が終了した。
以上のように、板隙が大きくなるほど鋼板の変形が大きくなり、端部の拘束が強いと解の収束性が悪化する。本発明によればこのような場合でも適正な拘束の境界条件に変更しつつ解析を進めることができるため、解析が適切に終了し適正な解析結果を得ることができた。
1 電極
10 鋼材
11 鋼材
20 計算装置
21 入力手段
22 演算装置
23 演算手段
25 記憶手段
28 表示手段
A 溶融ナゲット
S10 プロセス解析方法
S11 通電加熱プロセス解析
S12 冷却プロセス解析
S20 境界条件設定方法
S21 収束性判定処理
S21a 時間刻み取得
S21b 収束性判定
S22 拘束条件再設定処理
S22a 拘束条件変更
S22b 割り込み処理

Claims (3)

  1. 計算装置が、解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記拘束条件を設定する方法であって、
    前記計算装置が、
    解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較する過程を含む収束性判定処理と、
    前記収束性判定処理で前記ΔTが前記ΔT以下になったときに前記拘束条件を、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更する拘束条件再設定処理と、を含む処理を行う
    境界条件設定方法。
  2. 計算装置が、解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記計算装置に前記拘束条件を設定するプログラムであって、
    前記計算装置に
    解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較するステップと、
    前記比較の結果、前記ΔTが前記ΔT以下になったときに前記拘束条件を、直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更するステップと、を含む処理を行わせる
    境界条件設定プログラム。
  3. 解析モデルの端部に移動及び/または回転の拘束条件を与え、前記解析モデルに負荷を付与して解析を行う数値シミュレーションにおいて前記拘束条件を設定する計算装置であって、
    プログラムが記憶された記憶手段と、
    前記プログラムに基づいて演算を行う演算手段と、
    前記演算手段により演算された結果を表示する表示手段と、を備え、
    前記演算手段では、
    解析中における時間刻みΔTと、予め設定された時間刻みΔTとを比較する演算と、
    前記ΔTが前記ΔT以下になったときに前記拘束条件を直前の拘束条件よりも自由度が高い拘束条件に変更する演算と、を行う、境界条件設定の計算装置。
JP2018093877A 2018-05-15 2018-05-15 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置 Active JP7131064B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018093877A JP7131064B2 (ja) 2018-05-15 2018-05-15 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018093877A JP7131064B2 (ja) 2018-05-15 2018-05-15 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019200528A JP2019200528A (ja) 2019-11-21
JP7131064B2 true JP7131064B2 (ja) 2022-09-06

Family

ID=68612119

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018093877A Active JP7131064B2 (ja) 2018-05-15 2018-05-15 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7131064B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111651843B (zh) * 2020-07-03 2023-06-06 三一重能股份有限公司 发电机主机架的设计方法、系统及电子设备

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006018616A (ja) 2004-07-02 2006-01-19 Hitachi Ltd 3次元発泡解析方法、それを用いた製品設計支援方法及びそれらを記録した記録媒体
JP2006160576A (ja) 2004-12-09 2006-06-22 Olympus Corp ガラス成形素子のプレス成形の数値解析方法及び装置
JP2007122269A (ja) 2005-10-26 2007-05-17 Sony Corp 流体−構造体の連成数値シミュレーション方法及び流体−構造体の連成数値シミュレーション用記憶装置のプログラム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006018616A (ja) 2004-07-02 2006-01-19 Hitachi Ltd 3次元発泡解析方法、それを用いた製品設計支援方法及びそれらを記録した記録媒体
JP2006160576A (ja) 2004-12-09 2006-06-22 Olympus Corp ガラス成形素子のプレス成形の数値解析方法及び装置
JP2007122269A (ja) 2005-10-26 2007-05-17 Sony Corp 流体−構造体の連成数値シミュレーション方法及び流体−構造体の連成数値シミュレーション用記憶装置のプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019200528A (ja) 2019-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wan et al. Investigation of influence of fixture layout on dynamic response of thin-wall multi-framed work-piece in machining
TWI405964B (zh) Fracture analysis method, device, computer program and computer-readable recording medium
JP5090426B2 (ja) 有限要素解析法におけるスポット溶接部破壊判定方法
CN109416707B (zh) 车身的接合位置的最优化分析方法及装置
JP4418818B2 (ja) 溶接変形算出装置、及びコンピュータプログラム
US20210024142A1 (en) Automotive body adhesive bonding position optimization analysis method and optimization analysis device
KR102198584B1 (ko) 파단 예측 방법 및 장치, 그리고 기록 매체
Kaid et al. Effect of friction stir welding (FSW) parameters on the peak temperature and the residual stresses of aluminum alloy 6061-T6: Numerical modelisation
JP7131064B2 (ja) 境界条件設定方法、境界条件設定プログラム、及び、境界条件設定の計算装置
Zhou et al. Prediction of angular distortion in the fiber laser keyhole welding process based on a variable-fidelity approximation modeling approach
JP6582811B2 (ja) 抵抗スポット溶接のナゲット径予測方法、コンピュータプログラム、および、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
US20230161930A1 (en) Optimization analysis method and apparatus of adhesive position in automotive body
JP7328516B2 (ja) スポット溶接による溶接継手の破断予測方法、スポット溶接による溶接継手の破断予測プログラム、及び、スポット溶接による溶接継手の破断予測装置
JP6172104B2 (ja) 構造体モデルの連続接合適用部位特定装置及び方法
Zhu et al. Numerical analysis of projection welding on auto-body sheet metal using a coupled finite element method
JP7287336B2 (ja) 車体の接合位置の最適化解析方法及び装置
JP7059665B2 (ja) 材料特性データ計算方法、材料特性データ計算プログラム、及び、材料特性データ計算装置
JP4826311B2 (ja) 有限要素法を用いた衝突解析装置、衝突解析方法および衝突解析プログラム
JP7328517B2 (ja) スポット溶接による溶接継手の破断予測方法、スポット溶接による溶接継手の破断予測プログラム、及び、スポット溶接による溶接継手の破断予測装置
Mendizabal et al. Improved accuracy of the inherent shrinkage method for fast and more reliable welding distortion calculations
JP6048006B2 (ja) 構造体を構成する部品の最適局所的補強位置検出方法、装置および最適局所的補強位置検出方法に基づいて部品を補強する方法
Nnaji et al. Welding distortion minimization for an aluminum alloy extruded beam structure using a 2D model
JP2016024741A (ja) シミュレーション装置及びシミュレーション方法
Hamed et al. An ALE approach for large-deformation thermoplasticity with application to friction welding
Liu Variation simulation for deformable sheet metal assembly

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220726

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220808

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7131064

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151