JP7130522B2 - 画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、原稿から読み取られた画像データを処理する画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムに関する。
複写機やマルチファンクションプリンタは、原稿から画像を読み取るための画像読取装置を備える。従来、画像読取装置として、例えば、セルフォック(登録商標)レンズを介してリニアセンサで画像を直接読み取るコンタクトイメージセンサ(CIS)を備えたものが知られている。
このような画像読取装置では、ある方向に長さを持つリニアセンサを平行に複数並べ、これらのリニアセンサを該リニアセンサに直交する方向に物理的に走査することによって原稿を読み取る構成のものが広く用いられている。それぞれのリニアセンサ内には、同じ分光感度を有するフォトエレメントを複数配列されている。また、複数のリニアセンサは、それぞれ例えばRed・Green・Blueといった異なる色を読み取ることを目的としたリニアセンサ毎に対応するカラーフィルタが、受光面上に塗布されて構成される。これによって各センサが互いに異なる分光感度を有することとなる。それぞれのリニアセンサで読み取り光電変換した信号値と読み取り座標を合成して、読み取り画像データを生成する。異なる分光感度を有するセンサの信号値を一つの座標の信号値として合成するため、カラーの画像データを生成することができる。
また、同色の分光感度を有するラインセンサを複数並行に並べる代わりに、一列のラインセンサの中に複数の異なる分光感度を有するフォトエレメントを配列し、これを複数並行に並べたものを走査させて画像読み取りを行う画像読取装置も知られている。
さらに、ラインセンサではなく複数の異なる分光感度を有するフォトエレメントを二次元に配列したエリアセンサ(例えばベイヤー配列のCCDイメージセンサ)を走査させて画像読み取りを行う画像読取装置も知られている。なお、CCDは、Charge Coupled Deviceの略語である。
これらの画像読取装置では、単色ラインセンサのようにセンサの走査方向と垂直方向に同じ分光特性を有するフォトエレメントを配列するのではなく、異なる分光特性のフォトエレメントをある特定のパターンで配列する。これにより、より高密度、高速、高精度な読み取りを実現することが可能となる。
しかし、画像読み取りの際の、センサの光学的な誤差や、走査のための駆動の誤差、外部的な要因による装置の揺れ等によって、原稿の文字や線といったオブジェクトのエッジ部分に画質劣化が発生することがある。
図8は、画質劣化(周期的な凹凸・色ずれ)の例を示す図である。
図8において、800は、Red・Green・Blueのうち、Greenのセンサのみを用いて読み取りを行い、単色グレー画像を生成した際にモノクロ線のエッジ部に発生する画質劣化を表す。この例では、モノクロ線のエッジ部が均一に並ばず、周期的な凹凸(いわゆるガタガタ)が発生している。
また、801は、Red・Green・Blueの3色のセンサを用いて読み取りを行い、カラー画像を生成した際にモノクロ線のエッジ部に発生する画質劣化を表す。この例では、モノクロ線のエッジ部のRed・Green・Blue各色が均一にならず、周期的に色ズレが発生している。
さらに、このような色ズレが発生する場合、その課題は画質劣化だけにとどまらない。画像読取装置には、読み取った原稿がカラーで印刷されたものであるか、モノクロのみで印刷されたものであるかを判定する自動カラー判定(ACS:Auto Color Select)という画像処理技術を搭載したものがある。このACSにおいて、色ズレ発生領域をカラー画素で構成された連続領域であると判断して、モノクロ原稿であってもカラー原稿として誤判定してしまうという場合があった。
このような課題を解決する技術として、読み取り画像に対して補正の要否を判定した上で、色ズレを補正する技術(特許文献1)や、色ズレを補正してからACSを実施する技術(特許文献2)がある。
特開2017-208602号公報 特開2011-259427号公報
上述のような周期的な凹凸の発生や色ズレに代表される画質劣化の位置と量が画像読取装置の既知の特性として判明していれば、画質劣化を補正したり、ACS判定の参照の対象から除外したりすることにより、正確なACSを実施することが可能となる。
しかし、画質劣化は必ずしも既知の原因による再現性のあるものだけでなく、外部的な要因による画像読取装置の揺れや、原稿やセンサの駆動による再現性のない揺れによって発生するものがある。このような突発的な要因による場合は、従来の技術では、画質劣化を改善することができない。
また、読み取り画像データから、画質劣化が発生している位置と量を正確に判定することができれば、同じく、画質劣化を補正したり、ACS判定の参照の対象から除外したりすることによって、正確なACSを実施したりすることが可能である。しかし、もともと原稿に存在するコンテンツと、画質劣化によって発生した現象とを判別することは困難であり、誤った判別の結果、正しい原稿のコンテンツが過剰に補正されてしまう可能性がある。
このように、画質劣化を含む読み取り画像に対して、従来の技術では、画質の改善効果を有する補正や、正確なACSの実施を行うことができないという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、異なる分光感度特性のフォトエレメントが周期的に配列されている複数種類の読取素子のうち少なくとも1種類の読取素子を用いた原稿の走査による読み取りによって得られた画像データに対して、簡便な構成によって画質を改善する仕組みを提供することを目的とする。
本発明は、互いに分光感度特性が異な第1の方向に周期的に配列された複数の種類の読取素子のうち少なくとも1種類の読取素子を用いて前記第1方向と垂直な第2方向に原稿を走査して原稿を読み取る読取手段により生成された画像データの処理を行う画像処理装置であって、前記画像データに対して、少なくとも前記第1方向の前記読取素子の種類分の画素値を平均化するフィルタ処理を施す処理手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、異なる分光特性のフォトエレメントが周期的に配列されている複数種類の読取素子のうち少なくとも1種類の読取素子を用いた原稿の走査による読み取りによって得られた画像データに対して、簡便な構成によって画質を改善することが可能になる
本実施形態を示す画像処理装置の構成の一例を示す図。 本実施形態における画像処理装置の動作の一例を示すフローチャート。 読み取り部におけるセンサを模式的に示す図。 理想的な画像読み取りについて説明する図。 周期的な凹凸が発生する状態での単色グレー画像の画像読み取りの様子を示す図。 画像劣化発生時の画像とフィルタ処理の効果について説明する図。 第3実施形態における色ズレ発生時の画像とフィルタ処理の効果について説明する図。 画質劣化(周期的な凹凸・色ずれ)の例を示す図。
以下、添付の図面を参照して、本発明を実施する形態について説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
〔第1実施形態〕
本実施形態では、異なる分光感度特性のフォトエレメント(読取素子)が特定のパターンで配列されているセンサのうち、特定の一つの分光特性のフォトエレメントのみを用いて、600dpiのグレー画像を生成する構成について説明する。グレー画像の生成には、この他にも、カラー画像を生成した上で各色をブレンドしてグレー画像を生成する構成もありうる。しかし、このブレンドを行う構成に対して、本実施形態の構成は、簡便で高速にグレー画像の生成を行うことができるという特徴を持つ。
図1は、本発明の一実施形態を示す画像処理装置の構成の一例を示す図である。以下、本実施形態の画像処理装置において、原稿を読み取り単色グレー画像を生成した上で、その画像の画質を改善する構成を示す。
図1に示すように、本実施形態の画像処理装置100は、主制御部110、記憶部120、操作部130、読み取り部101、フィルタ処理部102を有する。
主制御部110は、画像処理装置100全体の制御を行う。主制御部110は、例えばコントローラであり、CPU110aや不揮発性メモリ110b等を有する。CPU110aは、不揮発性メモリ110bに格納されたプログラムを実行することにより、各種制御を実現する。
記憶部120は、画像データ及びそれに付随する情報等を記憶する。記憶部120は、例えばDRAMで構成される。
操作部130は、操作者からの命令受信及び操作者への情報表示を行う。操作部130は、例えば操作タッチパネルUIである。
読み取り部101は、後述する図3に示すセンサ300を有する。読み取り部101は、センサ300により原稿の読み取りを行って画像データを生成する。
フィルタ処理部102は、画像に対してフィルタ処理を行う。フィルタ処理については後述する。
図2は、本実施形態における画像処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図2(a)は、本実施形態における全体の動作を示す。図2(b)は、本実施形態におけるフィルタ処理の詳細を示す。なお、図2(a)及び図2(b)に示すフローチャートの処理は、主制御部110のCPU110aが不揮発性メモリ110bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、図2(a)の処理は、操作者による操作部130を介した読み取り開始の操作に応じて、主制御部110が処理を開始する。
S201において、主制御部110による制御のもと、読み取り部101が原稿を読み取って画像データを生成し、読み取った画像データを記憶部120に保存する。以下、この画像データが画像処理の対象となる。
ここで、読み取り部101におけるセンサの構成について説明する。
図3は、読み取り部101におけるセンサ300を模式的に示す図である。
図3において、方向302は、センサ300により走査する方向(走査方向)である。また、方向301は、方向302の垂直方向である。
センサ300は、方向302及び方向301に、一定のパターンでRed・Green・Blueの輝度信号を取得するフォトエレメントが配列されている。
すなわち、方向301には、R→G→Bの3色の繰り返し順でフォトエレメントが配列されている。
また、方向302にはR→B→G、G→R→B又はB→G→Rの順に3個フォトエレメントが配列されている。すなわち方向302について、このセンサの配列パターンの最小単位は3で繰り返されている。本実施形態では、このようなセンサ300において、Greenのフォトエレメントのみを用いて読み取りを行う。
すなわち、読み取り部101は、互いに分光感度特性が異なる複数の種類の読取素子(Red・Green・Blueのフォトエレメント)が方向301に周期的に配列したセンサ300を有する。読み取り部101は、複数の種類のフォトエレメントのうち少なくとも1種類(上記例ではGreen)を用いて方向302に原稿を走査して原稿を読み取り画像データを生成する。
まず、理想的な画像読み取りが行われた場合について説明する。
図4は、理想的な画像読み取りについて説明する図である。ここでは、理想的な状態、すなわち画質劣化が発生しない状態での単色グレー画像の画像読み取りの様子を示す。なお、図3と同一のものには同一の符号を付してある。
原稿410には、白背景中に黒いオブジェクトがある画像が印刷されている。
センサ300を原稿410に対して302方向に走査しながら画像読み取りを行うと、例えば420、421、423に示すような8bitの輝度信号が得られる。なお、輝度信号420は、センサ300のように並ぶGreenのフォトエレメントが、取得時間tにおける取得座標(x,y)が互いに異なることを利用して生成されている。
例えば、411、412、413をそれぞれ時間t=0、1、2におけるセンサ位置と定義する。また、センサ300の時間tにおけるセンサ座標(X,Y)の取得輝度信号値をL(X,Y,t)定義する。すると、原稿410の座標(x,y)=(0,2)のGreen信号値はL(0,2,0)として取得される(420のy=2の値に対応)。同様に、原稿410の座標(x,y)=(1、2)のGreen信号値はL(1,0,2)として取得される(421のy=2の値に対応)。また、座標(x,y)=(2,2)のGreen信号値はL(2,1,1)として取得される(422のy=2の値に対応)。これら各画素のGreen信号を再構成することによって、原稿410を正しくデジタル画像データとして再現した430を得る。
次に、画質劣化のある画像読み取りが行われた場合について説明する。
図5は、周期的な凹凸が発生する状態での単色グレー画像の画像読み取りの様子を示す図である。なお、図3、図4と同一のものには同一の符号を付してある。
図4で説明したように、原稿410には、白背景中に黒いオブジェクトがある画像が印刷されている。
センサ300を原稿410に対して302方向に走査しながら画像読み取りを行うと、例えば520、521、523に示すような8bitの輝度信号が得られる。
511、512、513、514、515をそれぞれ時間t=0、1、2、3、4における理想的なセンサ位置と定義する。
ここで、時間t=2においてセンサ位置513にあるべきセンサ300が、302方向上向きにずれて時間t=1と同じセンサ位置512に留まったとする。この時、センサ300のGreenフォトエレメントは、x=0の列においては、本来は座標(x,y)=(0,4)すなわち黒画素516の信号(0)を読み取るべき時間に、座標(x,y)=(0,3)すなわち白画素517の信号(255)を読み取る。
一方で、例えばx=1の列においては、座標(x,y)=(1,4)すなわち黒画素518の信号(0)をセンサ300が正しい位置515にある時(t=4)に読み取る。
この結果、x=0の座標では、520にあるようにセンサの輝度信号が、x=1の座標のケース521やx=2の座標のケース522に比べて、302方向下向きに1画素分の突出が発生することとなる。すなわち、原稿410にあるような黒オブジェクトのエッジ部において3画素周期の凹凸(画像劣化)が発生する。このような状態で取得したデジタル画像データが530である。
520の座標(x,y)=(0,4)、521の座標(x,y)=(3,4)、522の座標(x,y)=(6,4)に対応するのが、それぞれデジタル画像データ530の画素531、532、533である。すなわち、図5のケースでは、エッジ部に3画素周期の凹凸が発生していることがわかる。
図5のケースでは、説明の簡単化のため、黒画素と白画素しかない画像を鈍りなく読み取るケースについて説明した。また、画像劣化の原因となるセンサ位置のずれも、1画素ちょうどのずれについて説明した。また、センサ位置のずれの発生時間もある時間1フレームに限定して説明した。
しかし、実際には、黒画素と白画素のエッジ部には、原稿の印刷特性による鈍りや、読み取り部の光学系の特性による鈍りが存在する。また、センサ位置のずれも1画素ちょうどとは限らず、1画素を超えることや、1画素未満となることもある。また、センサ位置のずれの発生時間も1フレーム分だけとは限らず、複数フレームに跨がることが多い。
このような場合に原稿410を読み取って画像劣化が発生した画像データを図6の600に示す。
図6は、画像劣化発生時の画像とフィルタ処理の効果について説明する図である。なお、図5と同一のものには同一の符号を付してある。
図6において、画像データ600は、上述したような画質劣化が発生するような場合に、原稿410を読み取って生成された画像データである。画像データ600の各画素に記載された数値は、8bitの輝度信号を示すものであり、この値が高いほど白く、低いほど黒いことを示している。すなわち、センサの走査方向302に注目すると、原稿の印字品質や読み取りセンサの精度によって、3画素程度の鈍りを有していることがわかる。また、方向302と垂直の方向301に注目すると、センサの位置ずれによって3画素周期の濃淡が発生していることがわかる。
以下、図2(a)のフローチャートの説明に戻る。
S201の処理が完了すると、主制御部110は、S202に処理を進める。
S202において、主制御部110による制御のもと、フィルタ処理部102が画像データに対して畳み込みによるフィルタ処理を実施する。詳細は図2(b)に示す。
図2(b)のS203~S206において、主制御部110は、上記S201で読み取られた画像内の全ての画素に対して、S204~S205の処理を繰り返すように制御する。
S204において、主制御部110による制御のもと、フィルタ処理部102が注目画素とその左右近傍画素に対して重み付けの積算を行う。図6の610に、1×3のフィルタ係数を示す。フィルタ係数610は、注目画素630とその左右近傍の3画素を等価に重み付けして平均化するフィルタである。すなわち、フィルタ係数610は、読み取り部101で生成された画像データに対して、少なくとも垂直方向301におけるフォトエレメントの種類分の画素値を平均化する。ここではRed・Green・Blueの3種類のフォトエレメントがあるため、3画素値を平均化している。フィルタ処理部102は、フィルタ係数610を用いて、S204の処理を行うものとする。
画像データ640は、画像データ600の一部605を切り出したものである。画像データ640のような画素値を有する画像に対して、フィルタ係数610を適用して重み付けを行うと、画像データ641のような結果が得られる。
次にS205において、主制御部110による制御のもと、フィルタ処理部102が注目画素とその近傍画素(すなわち上記S205の重み付けの結果の値)を和算し、注目画素の画素値とする。画像データ641を和算した結果が注目画素642である。
S205が完了すると、主制御部110は、次の画素についてS204及びS205を繰り返すように制御する。なお、画像データ600内の全ての画素について処理が完了すると、主制御部110は、図2(b)のフィルタ処理(図2(a)のS202)を終了する。
画像データ600に対してフィルタ係数610を畳み込んだ結果が画像データ601である。画像データ601では、画像データ600に存在した3画素周期の凹凸が平均化処理によって改善され、平滑化されている。
上記S202が完了すると、主制御部110は、図2(a)の処理を終了する。
以上が本実施形態における動作の説明である。
以上のように、本実施形態では、3画素周期の凹凸(画像劣化)を、平均化を行うフィルタ処理によって改善を行うことが可能であることを示した。この3画素という周期はフォトエレメントの配列パターンに依存するため、これに限るものでなく、2画素や4画素以上の周期の場合でも、それに応じた平均化を行うことで同様の効果を得ることが可能である。従って、異なる分光特性のフォトエレメントが特定のパターンで配列されているセンサの走査による読み取りによって得られた画像データに対して、簡便な構成によって、画質を改善し、特にエッジ部の画質劣化を防ぐことが可能になる。
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、フィルタ処理の対象となる画像データの中には、図6の600に示したような横線エッジだけでなく、図6の602に示すような縦線エッジも含まれる。この画像データ602に対して、フィルタ係数610を用いてフィルタ処理を行うと、図6に示す画像データ603が得られる。画像データ603では、画像データ602と比較して、縦線エッジが平均化され鈍くなっている。すなわち、フィルタ係数610を用いてフィルタ処理を行うと、元の画像よりもエッジが鈍るという課題がある。
そこで、第2実施形態では、横線エッジだけでなく縦線エッジにも対応可能なフィルタ処理について説明する。
第2実施形態では、図6に示すフィルタ係数611を用いる。フィルタ係数611は、631を注目画素とする1×5のフィルタ係数である。また、フィルタ係数611は、フィルタ係数610にエッジ強調フィルタ612を畳み込んだものである。この際、フィルタ係数610の端部は0として処理する。
フィルタ係数611を用いて、横線エッジを有する画像データ600にフィルタ処理を施した結果が画像データ601である。
また、フィルタ係数611を用いて、縦線エッジを有する画像データ602にフィルタ処理を施した結果が画像データ604である。
このフィルタ処理では、601のように、横線エッジの凹凸を改善しながら、604のように、縦線エッジについては元画像とほとんど変わらない鋭さのエッジを維持している。すなわち、フィルタ係数611を用いて生成された画像データ604では、第1実施形態のフィルタ係数610を用いて生成された画像データ603より、縦線エッジの課題が改善されている。これは、600dpiの読み取り画像において、3画素周期の凹凸が有する周波数特性が約8line/mmであるのに対し、文字や線等のエッジ部が有する周波数特性が3~5line/mm程度であるという違いを利用している。一般的に原稿となるドキュメントでは、3~5line/mm程度の周波数特性を有することが多いとされている。例えば、漢字の中で比較的高周波な明朝体の「電」の文字の場合、可読限界に近い5PtのMS明朝体の文字では、雨冠の上の棒から、田の字の下の棒まで約1.4mmの間に横棒が7本あり、約5line/mmとなる。なお、実際には5Ptより大きなフォントで且つ周波数成分が比較的低い文字が大多数であるため、エッジ部の鈍りにもよるが、文字や線等が有する周波数を3~5line/mmとなる。
以上のように、本実施形態では、画像劣化による凹凸を平均化フィルタの成分でスムージングし、エッジ成分についてはエッジ強調フィルタによって先鋭性を維持するというフィルタ係数611を用いて読み取り画像データのフィルタ処理を行う。このフィルタ係数611の特徴により、横線エッジの凹凸を改善しながら縦線エッジについては元画像とほとんど変わらない鋭さのエッジを維持することができる。
〔第3実施形態〕
本実施形態では、異なる分光特性のフォトエレメントが特定のパターンで配列されているセンサ(例えば図3に示したセンサ300)を用いて、600dpiのカラー画像を生成する構成について説明する。
カラー画像の読み取りの場合も、画像読取装置の装置構成や動作を示すフローチャートは、第1、2実施形態で示したグレースケール画像の読み取りの場合と同じである。異なるのは、以下に示すように、画像読み取り及びフィルタ処理を単色処理でなく、Red・Green・Blueそれぞれについて行う点である。以下、図2及び図7を用いて詳細に説明する。
第3実施形態では、図2(a)のS201において、主制御部110による制御のもと、読み取り部101が原稿を読み取ってフルカラー(Red・Green・Blue)の画像データを生成し、読み取った画像データを記憶部120に保存する。すなわち、Redの画像データ、Greenの画像データ、Blueの画像データが記憶部120に保存される。
図7は、第3実施形態における色ズレ発生時の画像とフィルタ処理の効果について説明する図である。
図7において、画像データ700、701、702はそれぞれ、第1実施形態と同じ原稿410、すなわち白背景中に黒いオブジェクトがある画像を読み取らせたときのRed、Green、Blueの画像データを示す。
画像データ701はGreenのフォトエレメントによる読み取り輝度信号に対応するため、図6に示した画像データ600と同等のものである。
また、画像データ700はRedのフォトエレメントによる読み取り輝度信号に対応する。さらに、画像データ702はBlueのフォトエレメントによる読み取り輝度信号に対応する。画像データ700、702もフォトエレメントの配列の位相以外は、画像データ701と同等条件である。このため、画像データ700、702は、画像データ600の位相をずらした画像に対応する。すなわち、画像データ700~702は、すべて色ごとに異なる位相で同じ凹凸(画像劣化)が発生しているといえる。
画像データ703は、画像データ700(Red)、701(Green)、702(Blue)を合成したカラー画像データを模式的に示すものである。
画像データ703において、「W」は白画素、「Bk」は黒画素を示す。また、「R」はグレー純色よりも赤みがかった画素、「G」はグレー純色よりも緑がかった画素、「B」はグレー純色よりも青みがかった画素を示す。
すなわち、画像データ703では、Red・Green・Blueの輝度信号がそれぞれ異なる位相を有するため、3画素周期でB→R→Gの順に色づく。つまり、画像データ703では、白背景と黒オブジェクトとの境界となるエッジ領域に色ズレが発生している。
以下、図2(a)のフローチャートの説明に戻る。
S201の処理が完了すると、主制御部110は、S202に処理を進める。
第3実施形態では、S202において、主制御部110による制御のもと、フォトエレメントの種類(Red・Green・Blue)ごとに、フィルタ処理部102が画像データに対して畳み込みによるフィルタ処理を実施する。
具体的には、主制御部110による制御のもと、フィルタ処理部102がRedの画像データ700、Greenの画像データ701、Blueの画像データ702に対してそれぞれ、フィルタ処理を実施する。画像データ700、701、702に対して、図6のフィルタ係数611を用いてフィルタ処理した結果が、それぞれ画像データ710、711、712である。第1実施形態におけるフィルタ処理の効果と同じく、エッジ領域における凹凸は改善されている。
また、画像データ710、711、712を合成したカラー画像を模式的に示したものが画像データ713である。画像データ713において、「W」は白画素、「Bk」は黒画素、「Gy」はグレー画素を示している。画像データ713では、Red・Green・Blueの輝度信号がすべての画素で等量となるため、エッジ領域についても全てグレー画素で表現される。すなわち、色ズレが改善される。
上記S202が完了すると、主制御部110は、図2(a)の処理を終了する。
以上が本実施形態における動作の説明である。
以上のように、本実施形態では、3画素周期の色ズレについて、フィルタ処理によって改善を行うことが可能であることを示した。上述した第1実施形態と同じく、この3画素という周期はフォトエレメントの配列パターンに依存するため、これに限るものでなく、2画素や4画素以上の周期の場合それに応じた平均化を行うことで同様の効果を得ることが可能である。
以上のように、各実施形態によれば、異なる分光特性のフォトエレメントが特定のパターンで配列されているセンサの走査による読み取りによって得られた画像データに対して、簡便な構成によって、画質を改善することができる。特にエッジ部の画質劣化を防ぐことが可能となる。この結果、自動カラー判定(ACS)の誤判定を抑えることも可能となる。
なお、上記各実施形態では、図1に示したように、読み取り部101、フィルタ処理部102等を有する画像処理装置100を例に説明した。なお、読み取り部101を有する画像読取装置(スキャナ)で原稿から読み取られて生成された画像データを入力可能な情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ(PC))がフィルタ処理部102を備え、図2(b)のフィルタ処理を行う構成でもよい。この場合、このPCにインストールされスキャナドライバ(読み取り部101を有するスキャナを制御するスキャナドライバ)が、フィルタ処理部102の機能を備えていてもよい。また、読み取り部101を有するスキャナで生成された画像データをPCからアクセス可能な記憶装置等に一旦保存し、該画像データをPCに備えられたフィルタ処理部102で処理する構成でもよい。
以上のような構成でも、上述した各実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、従来では特定の配列パターンを有するセンサを使って画像の読み取りを行う際、周期的な凹凸(いわゆるガタガタ)や色ズレが発生することによって画質が劣化するという問題があった。また、これに伴い正確なACS判定ができないという問題があった。本実施形態によれば、読み取り画像に対して、センサの走査方向と垂直方向に近傍画素を平均化する等のフィルタ処理を実施することにより、これらの課題を解決することができる。
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されていてもよい。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施形態を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
100 画像処理装置
101 読み取り部
102 フィルタ処理部
110 主制御部
120 記憶部
130 操作部

Claims (9)

  1. 互いに分光感度特性が異な第1の方向に周期的に配列された複数の種類の読取素子のうち少なくとも1種類の読取素子を用いて前記第1方向と垂直な第2方向に原稿を走査して原稿を読み取る読取手段により生成された画像データの処理を行う画像処理装置であって、
    前記画像データに対して、少なくとも前記第1方向の前記読取素子の種類分の画素値を平均化するフィルタ処理を施す処理手段を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記処理手段は、前記画像データに対して、さらに前記第1の方向のエッジを強調するフィルタ処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記処理手段は、前記複数の種類の読取素子を用いて生成された前記読取素子の種類ごとの画像データに対して、それぞれ前記フィルタ処理を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
  4. 前記複数の種類の読取素子は、Red、Green、Blueの3種類の読取素子であることを特
    とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記読取手段を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記読取手段を有する画像読取装置で生成された前記画像データを入力可能な情報処理装置であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記処理手段は、前記画像読取装置を制御するスキャナドライバの機能として実現されることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 互いに分光感度特性が異な第1の方向に周期的に配列された複数の種類の読取素子のうち少なくとも1種類の読取素子を用いて前記第1方向と垂直な第2方向に原稿を走査して原稿を読み取る読取手段により生成された画像データの処理を行う画像処理装置の制御方法であって、
    前記画像データに対して、少なくとも前記第1方向の前記読取素子の種類分の画素値を平均化するフィルタ処理を施す処理ステップを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
  9. コンピュータを、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理手段として機能させるためのプログラム。
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