JP7130313B2 - 新規抗ウロモジュリン抗体、その抗体を使用した血中ウロモジュリン濃度の測定方法及び測定キット、並びに、そのキットを用いた腎機能の評価方法 - Google Patents

新規抗ウロモジュリン抗体、その抗体を使用した血中ウロモジュリン濃度の測定方法及び測定キット、並びに、そのキットを用いた腎機能の評価方法 Download PDF

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本発明は、血中ウロモジュリン濃度の測定方法及び血中ウロモジュリン濃度測定を用いた腎機能の評価方法、早期腎機能低下の検出、腎予備力・腎脆弱性の評価方法に関する。
腎機能とは、糸球体濾過量(Glomerular Filtration Rate、以下、「GFR」と略する)のことを指し、これはイヌリン・クリアランス検査により算出される。ここで、腎機能は、「血液が腎臓を通過した際に、その血液中に含まれるある物質の全てが腎臓糸球体で濾過され、その後の尿路(尿細管)での再吸収を受けることなく、また分泌もされず、尿中に完全に排泄されうる、物質の排泄能力の大きさ(以下、「クリアランス」という。)」と生理学的に定義されている。また、GFRは「腎臓の糸球体で血液から1分間に濾過される液量」で表し、健常成人では約100 mL/分/1.73 m2とされている。
腎疾患に罹患するとGFRが低下することがあり、GFRが低下した状態を腎不全という。腎不全の原因となる代表的疾患である糖尿病性腎症の典型的な臨床経過を図1に示す。GFRは、図1の腎症前期(第1期)から早期腎症(第2期)までは大幅に低下することはないが、顕性腎症(第3期)に入ると急速に低下し、腎不全期(第4期)を経て、透析療法を要する第5期に進行することになる。
現在、わが国では、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease、以下、「CKD」と略する)の総患者数は1,330万人であり、有病率は成人の8人に1人という高いものとなっている。
ここで、CKDは、以下のいずれかの状態が3ヶ月以上持続する場合に該当すると定義されている。
(1)IgA腎症などの慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症など原疾患に関わらず、尿所見異常などの腎疾患・腎障害の存在を示す所見がある
(2)中等度以上の腎機能低下(推算GFR 60 ml/分/1.73 m2未満)を認める
わが国では、慢性維持透析患者が30万人を超えており(図2参照)、医療上の問題となっている。尿蛋白陽性患者のうち5~10%が、将来、末期腎不全に陥り透析療法を要するが、CKD患者として通院しているのはレセプトベースで45人中1人と極めて少なく、対象となる患者をより早期にスクリーニングし適切な治療を提供していく必要がある。腎疾患・透析医療に要する年間医療費は、約1.6兆円(国民医療費43兆円の約3.5%に相当する)となっており、医療経済的にも腎疾患治療の改善が望まれている。
臨床的には推算GFR(estimated GFR、以下、「eGFR」と略する)の測定値に基づいて患者の腎機能が評価され治療が行われている。腎機能を評価する方法としては、イヌリン・クリアランス法、より簡便なクレアチニン・クリアランス法、コッククロフト・ゴールト法、クレアチニン換算eGFR式(非特許文献1参照)等がある。また、クレアチニンと異なり、体格・筋肉量の影響を受けずに、より早期の腎機能低下を検出できるシスタチンCから換算したeGFR式が提案されている(非特許文献2参照)。
1950年にウイルス学者であるTammとHorsfallはウイルスによる血球凝集を抑制する蛋白質を尿中から発見し(非特許文献3参照)、その蛋白質はTamm-Horsfall proteinと命名された。また、1985年に妊婦の尿に免疫抑制作用のある約85 kDaの蛋白質が発見されuromodulin(ウロモジュリン)と命名された(非特許文献4参照)。1987年にTamm-Horsfall proteinとウロモジュリンは同一蛋白質であることが明らかにされ(非特許文献5参照)、現在はウロモジュリンの名前で統一されている。
ウロモジュリンは腎臓のみに特異的に発現し、腎臓の中でも尿細管の太いヘンレ係蹄上行脚から遠位尿細管近位部のみに発現し、そのほぼ全量が尿中に排泄される。一方で、ウロモジュリンは血中にもわずかに存在していることが知られていた。これは、上記尿細管細胞の基底膜側に、ごくわずかに発現したウロモジュリンが何らかの機序で血中にback leakしたものと考えられており、そのメカニズムや血中に存在するウロモジュリンの臨床的意義については不明であった。ノックアウトマウスを用いた基礎実験では、ウロモジュリンは腎の保護作用を有する可能性があると推測されるが、その理由は十分には解明されていない。
近年の遺伝子解析技術の進歩により、Genome wide association study が行われるようになると、将来的な腎機能の悪化に寄与する候補遺伝子としてウロモジュリン遺伝子のプロモーター部位の一塩基多型が最も集積していることが次々報告されるようになった(非特許文献6・7参照)。これは遺伝学的にも腎機能保持においてウロモジュリンが重要な蛋白質であることを示唆する。そのため、臨床医学において、ウロモジュリン蛋白質の量的評価を可能とするシステムの導入が望まれるが、これを可能とする測定手段が開発されてこなかった。
特開2018-185320号公報
Matsuo S, et al., Am J Kidney Dis 53:982-992, 2009 Horio M, et al., Am J Kidney Dis 61:197-203, 2013 Tamm I, et al. Proc Soc Exp Biol Med. 74:106-108, 1950 Muchmore AV, et al., Science 229:479-481, 1985 Pennica D, et al., Science 236:83-88, 1987 Kottgen A, et al., Nat Genet, 41:712-717, 2009 Gorski M, et al., Kidney Int., 87:1017-1029, 2015
上述したように、イヌリン・クリアランス法は、イヌリンを静脈内に持続点滴し、血中イヌリン濃度および尿中イヌリン濃度を基にGFRを算出するという方法である。この方法は、正確なGFRが算出できるという点では優れた方法であるが、持続点滴を要することから患者にとってやや負担となること、作業がやや煩雑であること、及び費用が高額であることから、日常診療において汎用される検査となり難いという問題がある。
クレアチニン・クリアランス法(2時間法・24時間法)は、イヌリン・クリアランス法よりも簡便に測定ができるという点では優れた方法であるが、イヌリン・クリアランス値(真の腎機能)よりも約30%高い数値が得られるため、腎機能を過大評価することになるという問題がある。
血清クレアチニンは、筋肉運動に必要なクレアチンというアミノ酸の代謝物質の血中濃度を測定したものであり、測定値がGFRに相関性を示すため、腎機能検査の指標として使用されている。正常値は、男性で0.6~1.1 mg/dL、女性で0.4~0.8 mg/dLである。しかし、血清クレアチニン測定における問題点としては、少なくとも30~40%以上の糸球体機能が失われるまで血中濃度が上昇しないため、早期の腎機能障害を検出することが難しく、逆に言えば、クレアチニン値が正常上限を超えた場合にはすでに腎機能は正常の半分程度まで落ち込んでいるという点である。
コッククロフト・ゴールト式は、クレアチニン・クリアランス値を推定する式である。((140-年齢)×体重/72×血清クレアチニン値)で得ることができる。女性の場合には、以上の式で得られた値に0.85をかけた値とする。この式を用いた方法は、簡便に推定クレアチニン・クリアランス値を得ることができるという点では優れた方法である。しかし、人種によって適用が難しい場合があるという問題がある。例えば、日本人では得られた結果の誤差が大きいという問題がある。
eGFRを用いる方法では、下記式(I:成人男性用)で求めることができる(成人女性では式(I)×0.739で算出される)。この式は、日本人用に作られているため、多くの日本人に適応できるという点では優れた方法であるが、その正確性は、実測GFR(イヌリン・クリアランス値)の±30%の範囲に77%の症例が含まれる程度である。また標準体型から離れると誤差が大きくなるという問題がある。
推算GFR = 194 × 血清クレアチニン-1.094 × 年齢-0.287・・・式(I)
近年では、実測GFR検査の代わりに、クレアチニン値と、これから算出される推算GFR値により評価されることが多くなっている。確かに、血清クレアチニン値は定期的に測定することにより、個々の症例における腎機能推移を把握するのには適している。しかし、血清クレアチニン値の測定は採血された者の体格・筋肉量・体液量の影響を受けるという問題がある。また、クレアチニンは筋肉由来の蛋白質であり、それ自体は腎機能や腎臓組織の状態を表すわけではないという問題がある。
血清シスタチンC値は、クレアチニン値とは異なってGFRが20~30%低下すると上昇する。このため、腎機能障害の早期診断に有用とされている。しかし、測定頻度が低いために、前値の評価がなされていない場合がほとんどであることから、血清シスタチンC値が上昇したかどうかを把握することが困難である場合が多い。
日本人の加齢変化とeGFRとの関係を見ると、eGFRは年間0.36ずつ低下すると言われている(Hypertension Research 31:433-441, 2008)。eGFRの正常とは100程度であることから、10年間で3~5程度、40年間で15~20程度低下することになるが、この程度の低下では腎機能に特段の問題は生じない。下記表1に、糖尿病性腎症の進展と年間死亡率・生命予後との関係を示す(Kidney International 63;225, 2003)。
Figure 0007130313000001
上記表1に示すように、腎症病期の進行につれて腎症進行率よりも大きく年間死亡率は増加し、さらにこれと反比例して10年後生存率は極めて大きく低下する。このため、早期に腎機能の低下を検出することは、CKDの進行を防止すること、さらには健康寿命を延長する予防医学的観点や医療費の抑制という面からも重要である。
ウロモジュリンは、腎臓特異的に発現し、そのほぼ全量が尿中に排泄されるが、ごく一部が血中にback leakして存在している。その血中に存在するウロモジュリンの臨床的意義及び生物学的意義についてはまだ明らかにされていない。しかし、上述したように、遺伝学的にも腎機能保持に関与すると考えられるウロモジュリンの定量システムの樹立は臨床医学的有用性が高いと考えられる。このため、血中に存在しているウロモジュリンを腎機能の評価等に使用できるか否かを見極めるためにも、正確に血中ウロモジュリン濃度を測定するためのツールとなり得る抗体に対する強い社会的な要請があった。
一方で、血中ウロモジュリンは、免疫グロブリンG(Immunoglobulin G、以下、「IgG」と略する)に対して非特異的に結合することが知られている(Kidney International 44:1014-1021, 1993)。血中には、ウロモジュリンの約1万倍程度のIgGが存在しているため、ウロモジュリン測定の感度・特異度を上げるためにはモノクローナル抗体を使用することが理想的である。現在市販されているウロモジュリンELISAキット(以下、「市販ELISAキット」という)では、ポリクローナル抗体が使用されたキットであれば当然のこと、モノクローナル抗体を使用したキットにおいても抗体情報が一切開示されておらず、測定の正確さの点で問題がある。
ヒトの腎機能を正確かつ簡便に評価する方法を確立すること、より早期の腎機能低下を検出すること、さらに、将来的に腎機能の悪化が想定される患者群を予めスクリーニングする方法を開発し臨床現場に導入することは、医療費の節約や今後の国策として予防医学に大きく舵を取ることになった点からも、強い社会的要請がある。そのため、クレアチニン値測定と併せて検討することで、腎疾患の評価精度を上げられるような新規測定物質に対する、強い社会的要請がある。また、このような物質を使用した精度の高い検出方法に対しても、強い社会的要請がある。
クレアチニンやシスタチンCは腎臓由来の蛋白質ではなく、上述のように臨床的ツールとしての限界があり、また、これまでに行われた遺伝学的研究においても将来的な腎機能悪化に関与すると考えられる候補遺伝子群には含まれてこない。その点、ウロモジュリンは、腎臓由来の蛋白質であり、高いエビデンスレベルの遺伝学的研究結果の後押しもあり、臨床医学的に大変有用である可能性がある。
本発明の発明者らは、腎機能を悪化させるリスク疾患に罹患した前後における腎予備力・脆弱性を評価することより腎機能が悪化しやすい患者を選別して医療介入し、健康状態の悪化を防止することを目指して鋭意研究を進め、本発明を完成したものである。ここで、前記リスク疾患とは、慢性糸球体腎炎、糖尿病、高血圧症その他の腎機能を悪化させるリスク疾患の総称である。
本発明は、悪化した腎機能の状態の評価、より早期の腎機能低下の検出に加え、健康であったと思われる時期(前記リスク疾患に罹患する前)、及び前記リスク疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価することと目的とする。具体的には、本発明は、新規抗ウロモジュリン抗体、その抗体を使用した血中ウロモジュリン濃度の測定方法及び測定キット、そのキットを用いた腎機能の評価方法並びに特定疾患の罹患予測方法を提供することを目的とする。また、急性尿細管質性腎炎、急性尿細管障害の検査用バイオマーカーとしての血中ウロモジュリンの使用を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の一態様は、下記配列で表される新規エピトープ配列(配列表の配列番号2又は3)を認識する、ことを特徴とするマウス抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体である。
GFTGDGLTCVDLD(配列番号2)
GSFSCVCPEGFRLSPGLGCT(配列番号3)
また、本発明の別の態様は、配列表の配列番号1で表されるヒトウロモジュリンのヌクレオチド配列の163~201番から翻訳されるペプチド配列(配列番号2)を新規抗原エピトープとする抗体、262~321番(配列番号3)を新規抗原エピトープとする抗体、及び322~381番から翻訳されるペプチド配列(配列番号)を新規抗原エピトープとする抗体からなる群から選ばれるいずれかのものである、マウス抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体。
GFTGDGLTCVDLD(配列番号2)
GSFSCVCPEGFRLSPGLGCT(配列番号3)
DVD ECAEPGLSHC HALATCV(配列番号
本発明の別の態様は、上記モノクローナル抗体のうち、前記配列番号又はで表されるエピトープを認識する2種類を用いることを特徴とする、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法である。ここで、上記酵素免疫法は、(a)前記モノクローナル抗体を第1次抗体として固相のウェルをコートする抗体固相化工程と;(b)前記第1次抗体の標的タンパク質の標準品又は前記標的タンパク質を含む採取試料を、前記固相の前記ウェルに所定量加え、室温で前記固相を所定時間静置する反応工程と;(c)前記反応工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第1洗浄工程と;
(d)希釈した試料を前記固相のウェル中に添加した後に、所望の酵素で標識した、前記第1次抗体とは異なる前記モノクローナル抗体を第2次抗体として所定量加える標識工程と;(e)前記標識工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第2洗浄工程と;(f)前記固相のウェルに希釈した試料を添加した後に、酵素で標識した前記モノクローナル抗体を所定量加える酵素標識工程と;(g)前記固相のウェルに所定量の発色液を添加して発色させ、停止液を加えて発色を停止させる発色工程と;(h)前記発色停止後に吸光度を測定する測定工程と;を備えることを特徴とする。
ここで、前記第1次抗体は前記配列表の前記配列番号2で表されるエピトープを認識する抗体であり、前記第2次抗体は前記配列表の前記配列番号3で表されるエピトープを認識する抗体である、ことを特徴とする。また、前記第2次抗体の標識に使用する標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ、又はアルカリフォスファターゼからなる群から選ばれるいずれかの酵素であることを特徴とする。
本発明のさらに別の態様は、前記の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法を用いて、採取試料中に含まれるヒト血中ウロモジュリン濃度を測定し、前記濃度の経時変化を確認する経時変化確認工程を備える、疾患への罹患リスクの評価方法である。ここで、前記疾患は、急性尿細管間質性腎炎又は急性尿細管障害であることを特徴とする。
本発明のさらにまた別の態様は、前記モノクローナル抗体のうち、前記配列番号4又は5で表されるエピトープを認識する2種類を用いることを特徴とする、血中ウロモジュリン検出用酵素免疫測定用キットである。ここで、ウェルを有する固相をコートする第1次抗体としての前記モノクローナル抗体のうちの一方、標識で標識された第2次抗体としての前記モノクローナル抗体うちの他方、凍結乾燥したウロモジュリンの標準品、試料希釈用の緩衝液及び洗浄用の緩衝液、発色液及び停止液を含む、ことを特徴とする。
ここで、前記標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ、又はアルカリフォスファターゼからなる群から選ばれるいずれかの酵素であることを特徴とする。そして、前記発色液は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンチジン、o-フェニレンジアミンジヒドロクロライド及び2,2'-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリン-6 スルフォン酸]ジアンモニウム塩からなる群から選ばれるいずれかの化合物であることを特徴とする。
本発明の別の態様は、(a)前記配列番号2及び3で表されるエピトープを認識するモノクローナル抗体を第1次抗体として固相のウェルをコートする抗体固相化工程と;(b)前記第1次抗体の標的タンパク質の標準品又は前記標的タンパク質を含む採取試料を、前記固相の前記ウェルに所定量加え、室温で前記固相を所定時間静置する反応工程と;(c)前記反応工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第1洗浄工程と;(d)希釈した試料を前記固相のウェル中に添加した後に、所望の酵素で標識した、前記第1次抗体とは異なる前記モノクローナル抗体を第2次抗体として所定量加える標識工程と;
(e)前記標識工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第2洗浄工程と;(f)前記固相のウェルに希釈した試料を添加した後に、酵素で標識した前記モノクローナル抗体を所定量加える酵素標識工程と;(g)前記固相のウェルに所定量の発色液を添加して発色させ、停止液を加えて発色を停止させる発色工程と;(h)前記発色停止後に吸光度を測定する測定工程と;を備える酵素免疫法を用いて、採取された血液試料中に含まれるウロモジュリン濃度を経時的に測定する工程とを備える酵素免疫法を用いて、採取された血液試料中に含まれるウロモジュリン濃度を経時的に測定し、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための検査方法である。
本発明のさらに別の態様は、下記のアミノ酸配列(配列表の配列番号1)を有する、血中ウロモジュリンをバイオマーカーとして測定する測定工程と、前記血中ウロモジュリンのレベルを健常人の血中ウロモジュリンレベルと対比する対比工程とを備える、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための検査方法である。
MGQPSLTWML MVVVASWFIT TAATDTSEAR WCSECHSNAT CTEDEAVTTC
TCQEGFTGDG LTCVDLDECA IPGAHNCSAN SSCVNTPGSF SCVCPEGFRL
SPGLGCTDVD ECAEPGLSHC HALATCVNVV GSYLCVCPAG YRGDGWHCEC
SPGSCGPGLD CVPEGDALVC ADPCQAHRTL DEYWRSTEYG EGYACDTDLR
GWYRFVGQGG ARMAETCVPV LRCNTAAPMW LNGTHPSSDE GIVSRKACAH
WSGHCCLWDA SVQVKACAGG YYVYNLTAPP ECHLAYCTDP SSVEGTCEEC
SIDEDCKSNN GRWHCQCKQD FNITDISLLE HRLECGANDM KVSLGKCQLK
SLGFDKVFMY LSDSRCSGFN DRDNRDWVSV VTPARDGPCG TVLTRNETHA
TYSNTLYLAD EIIIRDLNIK INFACSYPLD MKVSLKTALQ PMVSALNIRV
GGTGMFTVRM ALFQTPSYTQ PYQGSSVTLS TEAFLYVGTM LDGGDLSRFA
LLMTNCYATP SSNATDPLKY FIIQDRCPHT RDSTIQVVEN GESSQGRFSV
QMFRFAGNYD LVYLHCEVYL CDTMNEKCKP TCSGTRFRSG SVIDQSRVLN
LGPITRKGVQ ATVSRAFSSL GLLKVWLPLL LSATLTLTFQ(配列表の配列番号1)


酵素免疫方法に、本発明の新規抗ウロモジュリン抗体を使用することにより、血中のウロモジュリン濃度を、高感度で測定することが可能となる。また、この測定によって、前記血液を採取された者が、特定の疾病に罹患するリスクを評価することが可能となる。2種類のモノクローナル抗体を用いるサンドイッチアッセイとすることで、精度よく血中ウロモジュリンを測定することができる。
図1は、慢性腎臓病を来す代表的疾患である糖尿病性腎症の臨床経過を示す図である。 図2は、日本における人工透析患者数の増加を示すグラフである。 図3は、血中ウロモジュリン値とeGFR値との相関関係を示す図である。
図4は、ヒトウロモジュリンのドメイン構造(A)、及びヒト腎臓cDNAライブラリーよりヒト全長ウロモジュリン遺伝子をクローニング後にサブクローニングし発現ベクターに組み込んだ模式図(B)である。(B)で作製した発現ベクターを用いて、樹立したモノクローナル抗体のエピトープ検索を行った。 図5は、Euroimmune社のELISAキットを使用したときのウロモジュリンとeGFRとの相関関係を示すグラフ(A)、腎不全の各ステージにおけるウロモジュリンの値を示すグラフ(B)である。
図6は、得られたモノクローナル抗体がウロモジュリンを認識することをウェスタン・ブロッティングで示した図である。各ブロット図は3レーン分のサンプルを電気泳動しており、左から遺伝子導入をしなかったHeLa細胞の細胞溶解液、真ん中は全長ウロモジュリン(タグ蛋白付与なし)ベクターを遺伝子導入して得られた細胞溶解液、右はN861-FLAGベクターを遺伝子導入して得られた細胞溶解液である。図中のx 10,000もしくはx 1,000はモノクローナル抗体の希釈率を示している。 図7は、ELISAで使用する2種のモノクローナル抗体の抗原エピトープをウェスタン・ブロッティングで示した図である。下記の遺伝子を組み込んだベクターを、HeLa細胞に遺伝子導入し、導入遺伝子を発現させた蛋白質の結合性を確認したゲル電気泳動像である。(A)は、遺伝子導入なし(レーン1)、GFP(レーン2)、N162-GFP(レーン3)、N201-GFP(レーン4)及びN222-GFP(レーン5)をHeLa細胞に遺伝子導入して得られた細胞溶解液を電気泳動し(10%アクリルアミドゲル使用、120V、60分で分離)、抗GFP抗体又は抗ウロモジュリン抗体(3-5)を一次抗体として使用してウェスタン・ブロッティングで抗原エピトープを明らかにしたものである。
(B)は、遺伝子導入無し(レーン1)、FLAG(レーン2)、N261-FLAG(レーン3)、N321-FLAG(レーン4)及びN381-FLAG(レーン5)をHeLa細胞に遺伝子導入して得られた細胞溶解液を電気泳動し(10%アクリルアミドゲル使用、120V、60分で分離)、抗FLAG抗体又は抗ウロモジュリン抗体(29-9)を一次抗体として使用してウェスタン・ブロッティングで抗原エピトープを明らかにしたものである。
図8は、本発明のキットの検量線の一例を示す図である。 図9は、血中ウロモジュリンの安定性を検討した結果を示す図である。 図10は、血中ウロモジュリン濃度と、クレアチニンに基づくeGFR(eGFR-cre)(A)、シスタチンCに基づくeGFR(eGFR-cysc)(B)、及びCockcroft-Gault式に基づくクレアチニン・クリアランス(CCr-CG)との相関関係の有無を、健常人、及び慢性腎臓病患者から採取した血液を用いて測定した結果を示すグラフである。
図11は、症例1のガリウムシンチグラム(図11(A))及び血中クレアチニン濃度と血中ウロモジュリン濃度の臨床経過に伴う変化を示すグラフ(図11(B))を示す。 図12は、症例2のガリウムシンチグラム(図12(A))、腎生検の染色結果(図12(B))、及び血中クレアチニン濃度と血中ウロモジュリン濃度の臨床経過に伴う変化を示すグラフ(図12(C))を示す。
図13は、症例3のガリウムシンチグラム(図13(A))、腎生検の染色結果(図13(B))、及び血中クレアチニン濃度と血中ウロモジュリン濃度の臨床経過に伴う変化を示すグラフ(図13(C))を示す。
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の抗ヒトウロモジュリン抗体は、下記のアミノ酸配列を有するヒトウロモジュリン(配列表の配列番号1)に対するものである。
MGQPSLTWML MVVVASWFIT TAATDTSEAR WCSECHSNAT CTEDEAVTTC TCQEGFTGDG
LTCVDLDECA IPGAHNCSAN SSCVNTPGSF SCVCPEGFRL SPGLGCTDVD ECAEPGLSHC
HALATCVNVV GSYLCVCPAG YRGDGWHCEC SPGSCGPGLD CVPEGDALVC ADPCQAHRTL
DEYWRSTEYG EGYACDTDLR GWYRFVGQGG ARMAETCVPV LRCNTAAPMW LNGTHPSSDE
GIVSRKACAH WSGHCCLWDA SVQVKACAGG YYVYNLTAPP ECHLAYCTDP SSVEGTCEEC
SIDEDCKSNN GRWHCQCKQD FNITDISLLE HRLECGANDM KVSLGKCQLK SLGFDKVFMY
LSDSRCSGFN DRDNRDWVSV VTPARDGPCG TVLTRNETHA TYSNTLYLAD EIIIRDLNIK
INFACSYPLD MKVSLKTALQ PMVSALNIRV GGTGMFTVRM ALFQTPSYTQ PYQGSSVTLS
TEAFLYVGTM LDGGDLSRFA LLMTNCYATP SSNATDPLKY FIIQDRCPHT RDSTIQVVEN
GESSQGRFSV QMFRFAGNYD LVYLHCEVYL CDTMNEKCKP TCSGTRFRSG SVIDQSRVLN
LGPITRKGVQ ATVSRAFSSL GLLKVWLPLL LSAT(配列表の配列番号1)
前記モノクローナル抗体は、下記配列で表されるエピトープ配列(配列表の配列番号2又は3)を認識するか、又は、上記ヒトウロモジュリン中の下記のアミノ酸配列をエピトープとして認識する。
GFTGDGLTCVDLD(配列番号2)
GSFSCVCPEGFRLSPGLGCT(配列番号3)
配列表の配列番号1で表されるヒトウロモジュリンのヌクレオチド配列の163~201番
同262~321番
同322~381番
上記モノクローナル抗体は、上記配列を有するペプチドで、哺乳動物を免疫することによって得ることができる。こうした哺乳動物としては、マウス、ラット、ウサギ等を挙げることができるが、取扱いの容易さからマウスを使用することが好ましい。
例えば、約5週齢~7週齢のマウスに、所望の量のウロモジュリンを生理食塩水で所望の量に希釈した溶液を調製し、アジュバントとともに投与する。具体的には、約5~150 μgのウロモジュリンを、約0.05~0.2 mLの生理食塩水で希釈してマウス1匹当たりの抗原溶液として調製し、この抗原溶液に、等量のアジュバント、例えば、フロイントのアジュバント等を加えて乳化させ、この混合溶液をマウスの背部皮下に投与する。マウスの体内における抗体の産生量を増加させるために、適当な間隔を空けて投与を所望の回数繰り返し、免疫感作を行う。例えば、2~3週間おきに6~10回免疫を繰り返し、ブースターをかけるようにしてもよい。
上記のように免疫したマウスから脾臓を摘出して脾臓細胞を集め、所望のミエローマ細胞と所望の割合で混合し、ハイブリドーマを調製する。上記ミエローマとして、例えば、P3U1等を使用することができる。例えば、脾臓細胞とミエローマ細胞の割合が3:1~10:1の範囲となるように混合し、タッピング後に、例えば、所望量のPEG(ポリエチレングリコール)を混合しながら添加し、ハイブリドーマを得ることができる。
得られたハイブリドーマを、37℃、5%CO2インキュベーター中で、得られたハイブリドーマを7日~14日培養し、ELISA法で抗体産生能をスクリーニングし、抗ウロモジュリン陽性抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングすることができる。得られた抗ウロモジュリン陽性抗体産生ハイブリドーマを0.5個/ウェル~5個/ウェルまでの適当な数となるように播種し、所望の数のフィーダー細胞を加えてコロニーを形成させ、陽性反応を示すコロニーを選択する。フィーダー細胞の数は、5×105個/ウェル~2×106個/ウェルとすることができる。
ELISA法で陽性反応を示し、かつ細胞の状態が良好なハイブリドーマを得ることにより、樹立株とすることができる。得られた樹立株を所望の数でヌードマウスの腹腔内に投与し、腹水化法により、抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体を得ることができる。ヌードマウスの腹水を集めて、例えば、プロテインカラムで精製し、目的の抗体を得ることができる。
次いで、得られた抗体を精製し、その後結合性を確認する。例えば、所望量の抗体を取って水で希釈し、2-メルカプトエタノール含有バッファー又はSDSサンプルバッファーのいずれかを等量加えて加熱し、変性・還元条件下、又は変性・非還元条件下のいずれかで処理した抗体サンプル溶液を調製することができる。加熱は、92~98℃にて8~15分間行うことができる。
以上のように変性させた抗体サンプル溶液を、所望の濃度のアクリルアミドを含むゲルビーズを用いた電気泳動に供し、250 kDa以上の完全長抗体のバンドが形成されているか否かを確認する。
得られた抗体のエピトープを解析し、異なるエピトープを認識するモノクローナル抗体が産生されているか否かは、予め作製しておいたウロモジュリンの断片と反応させることによって、確認することができる。
次いで、上記表1に示した抗体のうち、異なるエピトープを認識する所望の2つの抗体を選択し、酵素免疫反応を利用したアッセイに使用することができる。この酵素免疫法は、以下の工程を備えるものとすることができる。
(a)前記モノクローナル抗体を第1次抗体として固相のウェルをコートする抗体固相化工程と;(b)前記第1次抗体の標的タンパク質の標準品又は前記標的タンパク質を含む採取試料を、前記固相の前記ウェルに所定量加え、室温で前記固相を所定時間静置する反応工程と;(c)前記反応工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第1洗浄工程と;(d)希釈した試料を前記固相のウェル中に添加した後に、所望の酵素で標識した、前記第1次抗体とは異なる前記モノクローナル抗体を第2次抗体として所定量加える標識工程と;(e)前記標識工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第2洗浄工程と;(f)前記固相のウェルに希釈した試料を添加した後に、酵素で標識した前記モノクローナル抗体を所定量加える酵素標識工程と;(g)前記固相のウェルに所定量の発色液を添加して発色させ、停止液を加えて発色を停止させる発色工程と;(h)前記発色停止後に吸光度を測定する測定工程と;を備える。
ここで、前記第1次抗体を、前記配列表の配列番号2で表されるエピトープを認識する抗体とし、前記第2次抗体を配列表の配列番号3で表されるエピトープを認識する抗体とすることが、アッセイの感度及び精度の面から好ましい。また、上記第2次抗体の標識に使用する標識は、HRP、又はALPといういずれかの酵素であることが、測定試料のバックグラウンドを低く保つことができる点で好ましい。
また、発色剤としては、TMB (3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン、測定波長は450 nm)、OPD (o-フェニレンジアミンジヒドロクロライド、測定波長は492 nm)、ABTS (2,2'-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリン-6 スルフォン酸]ジアンモニウム塩、測定波長は416 nm)等を使用することができ、TMBを使用することが汎用性の面から好ましい。
さらに、上記の酵素免疫法を用いて疾患への罹患リスクを評価する評価方法とすることができる。上記評価方法は、ヒト血中ウロモジュリン濃度を測定し、上記ヒト血中ウロモジュリン濃度の経時変化を確認することにより、経時変化確認工程を備えるものとすると、精度よく、疾患の罹患リスクを評価することができる。
上記疾患への罹患リスクを評価する評価方法は、慢性腎臓病に対して好適に使用することができる。ここで、前記慢性腎臓病は、尿所見異常・病理所見・画像所見により明らかな腎障害の存在を示す所見、又は推算GFRが60 mL/分/1.73 m2未満の腎機能低下を示す所見が認められる場合をいう。上記評価方法を使用することにより、前記慢性腎臓病に罹患している患者の腎臓の状態が、疾患の悪化を避けるためにどの程度の余力をもっているかどうかを評価することが可能となるため、医師による管理を容易にすることができる。また、非慢性腎臓病患者や健常人においてもクレアチニンやシスタチンCが腎機能評価マーカーとして使用されていることと同様に、血中ウロモジュリン測定も非慢性腎臓病患者や健常人における腎機能評価に対して好適に使用することができる。
前記腎疾患の存在を示す所見は、いかなる腎疾患の存在を示す所見であってもよく、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、及び腎硬化症からなる群から選ばれるいずれかの所見であることが好ましい。また、前記所見は、尿所見、画像所見、及び病理所見からなる群から選ばれるいずれかのものをいい、これらに現れた異常により腎障害の有無を判断する。ここで、前記尿所見は、具体的には、微量アルブミン尿、顕性尿蛋白、ネフローゼレンジ尿蛋白、及び血尿からなる群から選ばれるいずれかのものであることが好ましい。上記評価方法を使用することにより、前記慢性腎臓病に罹患している患者の腎臓の状態が、疾患の悪化を避けるためにどの程度の余力をもっているかどうかを評価することが可能となるため、医師による管理を容易にすることができる。
上記の酵素免疫法の検出感度及び検出精度は、市販されているキットと比較して確認することができる。こうしたキットとしては、例えば、BioVendor社製のキット、Euroimmune社製のキット等を使用することができる。
本発明の酵素免疫法を簡便に実施するために、本発明2つの抗体を含む以下のような構成のキットを作製し、これを使用することができる。
Figure 0007130313000002
上記のキットを使用することによって、患者から採取した血液中のウロモジュリンの量を、高感度かつ再現性良く測定することができる。
(実施例1)マウス抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体の調製
(1)ウロモジュリン
ウロモジュリンは、メルク社より購入した。5-7週齢のBalb/cマウスは、日本チャールズ・リバー(株)より購入した。
(2)抗原の作製及び動物の免疫
ウロモジュリン100μgを生理食塩水で0.1 mLに希釈したものをマウス一匹当たりの抗原溶液として調製した。この抗原溶液に、0.1 mLのFCAを加えて乳化させた混合溶液をマウスの背部皮下に投与した。2週間おきに8回免疫操作を行った。8回目の免疫は、100μgの抗原溶液を0.1 mLの生理食塩水に溶解した溶液を、マウス尾静脈から投与した。上記マウスは、室温25℃、湿度45~70%、明暗12時間の条件の下、飼料(オリエンタル酵母工業(株)製)及び水を自由摂取させて飼育した。
(3)動物の免疫
得られた抗原でBalb/cマウスを免疫した。10μgのウロモジュリンを生理食塩水で0.1 mLに希釈したものをマウス一匹当たりの抗原溶液として調製した。この抗原溶液に、0.1 mLのFCA(フロイントの完全アジュバント)を加えて乳化させた混合溶液をマウスの背部皮下に投与した。2週間おきに8回免疫操作を行った。8回目の免疫は、100μgの抗原溶液を0.1 mLの生理食塩水に溶解した溶液を、マウス尾静脈から投与した。
4回免疫後6日目及び6回免疫後8日目に、マウスの眼底から血液を採取して血清を分離した。この血清を用いて、血中抗体価を、ELISA法により定量した。
先ず、上記の抗原溶液を、PBS(pH 7.2~7.4)を用いて1.0μg/mlに調製した。これを、50μL/ウェルとなるよう96ウェルプレート(Falcon社製)に分注して、4℃で一晩静置して抗原を固相化させた。0.05% Tweenを含むPBSで抗体を固相化した96ウェルプレートを3回洗浄し、その後、ブロックエース(大日本製薬(株)製)を4倍希釈して100μL/ウェルとなるように加え、37℃で2時間静置してブロッキング処理を行った。0.05% Tweenを含むPBSで3回洗浄した後に、血清の原液を50 μL/ウェルとなるよう加え、37℃で1時間静置して反応させた。
ヤギ抗マウスIgG+IgM HRP標識(BIOSOUSE社製)をブロックエースで10倍希釈して、2次抗体を調製した。0.05 % Tweenを含むPBSで3回洗浄した後、上記2次抗体を50μL/ウェルとなるよう加え、37℃で1時間静置した。0.05% Tweenを含むPBSでこのプレートを3回洗浄し、その後、HRP基質(25 mLのHRP基質液(10.206 mg/mLのクエン酸一水和物、36.82 mg/mLのリン酸水素二ナトリウム12水和物を含む滅菌水)を50μL/ウェルとなるように加え、遮光して、室温にて20分間静置した。
その後、1N硫酸を50μL/ウェルとなるよう加えて反応を停止させ、492 nmの波長で吸光度を測定した。6回免疫後8日目のサンプルで十分な抗体価があることが判明したため、2回の追加免疫を行なった3日後に細胞融合を行った。
(4)細胞融合
マウスから脾臓を摘出し、予めシャーレ5枚に分注しておいた200 mLのRPMI 1640 S.P培地を用いて各1回ずつ計5回洗浄した。洗浄後、脾臓をメッシュに乗せて、ハサミで数回切り込みを入れ、ガラス棒ですり潰し、RPMI 1640 S.P培地でメッシュを洗って、40 mLのガラス製遠沈管に脾臓細胞を集めた。集めた脾臓細胞を1,200 rpm(270 × g)で10分間遠心し、上清を吸引ピペットで除いた。その後、RPMI1640 S.P培地を40 mL加え、1,200 rpm(270 × g)で10分間遠心して上清を除いた。得られた脾臓細胞に40 mLのRPMI1640 S.P培地を加えてよく撹拌し、血球計算盤で細胞数を計数した。
ミエローマ細胞(P3U1)を50 mLの遠沈管に集め、1,000 rpm(200 × g)で5分間遠心分離した。上清を吸引ピペットで除き、40 mLのRPMI1640 S.P培地を加え、再度、1,000 rpm( 200 × g)で5分間遠心分離した。上清を除き、得られたミエローマ細胞に40 mLのRPMI1640 S.P培地を加えてよく撹拌し、血球計算盤で細胞数を計数した。
上記の計数結果から、脾臓細胞とミエローマ細胞の割合が5対1となるように、脾臓細胞が入っていた50mLの遠沈管にミエローマ細胞を加えて混合した。その後、この細胞混合液を1,200 rpm(270 × g)で10分間遠心分離し、上清を吸引ピペットで除いてタッピングした。タッピング後1 mLのPEG(ポリエチレングリコール)を、混合しながら1分間かけてゆっくりと添加し、そのまま2分間混合を続けた。その後、予めウォーターバスで37℃に温めておいた1 mLのRPMI 1640 S.P培地を混合しながら1分間かけてゆっくりと添加した。この操作を3回繰り返した。その後、37℃に温めておいた10 mLのRPMI 1640 S.P培地を、混合しながら3分間かけてゆっくりと添加した。37℃、5%CO2インキュベーターで5分間加温した後、1,000 rpm(200 × g)で5分間遠心分離し、上清を吸引ピペットで除いて、ハイブリドーマを得た。
(5)抗ウロモジュリン陽性抗体産生ハイブリドーマのスクリーニング
15%FCS含有HAT培地を含むPMI1640 S.P培地を96ウェルプレートに入れ、上記で得られたハイブリドーマを播種した。37℃、5%CO2インキュベーター中で、得られたハイブリドーマを7日~14日培養し、コロニーの成長具合を見てELISA法で抗体産生能をスクリーニングした。
細胞融合から10日後に行ったELISA法でのスクリーニングから、吸光度の高いウェル中のハイブリドーマをクローニング用サンプルとした。96ウェルプレートのうち、3列に5個/ウェル及び1個/ウェル、並びに2列に0.5個/ウェルとなるように、ハイブリドーマを播種した。各ウェルには、1×106個/ウェルとなるようにフィーダー細胞を播種した。
クローニング後5日目にコロニーカウントを行い、コロニーが1個であるウェルを確認し、2~3日毎に培地を交換した。その後、コロニーがウェルの3分の1を占めてきたところで、ELISA法を用いてコロニー1個で陽性反応を示すウェルを選択した。こうして、45個のウェルから、ELISA法で陽性反応を示し、かつ細胞の状態が良好なハイブリドーマを得た。得られた12個のハイブリドーマを樹立株とした。これらを、ヌードマウスを用いた腹水化法により、12種類の抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体を作製し、得られた抗体をプロテインカラムで精製した。
(実施例2)ゲル電気泳動(ドデシル硫酸ナトリウムゲル電気泳動)等による解析
(1)抗体の精製
先ず、上記抗体(1 mg/mL)をそれぞれ1μLずつ取り、4μLの水を加えて総量5μLとした。10% 2-メルカプトエタノール含有2×SDS試料バッファー(125 mM Tris-HCl(pH 6.8)、4% SDS、10%グリセロール、0.004% ブロモフェノールブルーを含む)、又は2×SDSサンプルバッファーのみのいずれかを等量で加えた。その後、95℃で約10分加熱して、上記抗体を変性・還元条件下、又は変性・非還元条件下のいずれかで処理した抗体サンプル溶液を調製した。
続いて、上記のように調整したサンプル溶液を濃縮ゲル(4% アクリルアミド、125 mM Tris-HCl(pH 6.8)、0.1% SDS)を用いて、10 mAの定電圧下で濃縮した。次いで、分離ゲル(12% アクリルアミド、375 mM Tris-HCl(pH 8.8)、0.1% SDS)を用いて、20 mAの定電圧下で抗体を分離した。電気泳動後のポリアクリルアミドゲル上の蛋白質を、CBB溶液(0.25% クマシーブリリアントブルーR250、5% メタノール、7.5% 酢酸を含む)で染色した。その後、脱色液(25% メタノール、7.5% 酢酸を含む)を用いてバックグラウンドとなっているゲルの部分を脱色した。
上記抗体を変性・還元条件下(2-メルカプトエタノール含有2×SDS サンプルバッファー中で処理)すると、上記いずれの抗体においても、約50 kDaの重鎖(H鎖)及び約25 kDa程度の軽鎖(L鎖)のバンドが確認された。また、変性・非還元条件(2-メルカプトエタノールを含まない2×SDS サンプルバッファー中で処理)した抗体(非還元抗体)では、いずれにおいても、250 kDa以上の完全長抗体のバンドが確認された。また、抗体のY字型構造から推定される、完全長抗体の分子量(約150 kDa)よりも大きな分子量の分子の存在が確認された。
(2)抗体のエピトープ解析
上記で調製したハイブリドーマが産生した抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体が反応する抗原エピトープを、以下のようにして解析した。
まず、ヒト腎臓cDNAライブラリーより全長ヒトウロモジュリン遺伝子をPCRクローニングした。得られたPCR産物はシーケンスを行い変異が入っていないことを確認した(参照配列: NM_003361.3(GenBank))。全長ヒトウロモジュリン遺伝子に関しては終止コドンを残したものと、終止コドンに変異を施し、C末端にFLAGタグ蛋白を付与した2種類の発現ベクターを作製した。
続いて、図4(B)に示すウロモジュリンの断片蛋白をサブクローニングし、タグ蛋白であるGFP又はFLAGとの結合蛋白として蛋白発現する発現ベクターに組み込んだ。図中、シグナルペプチドは灰色で、抗原となり得る塩基配列を黒色でそれぞれ示した。また、N111-GFPは上記ヒトウロモジュリンのN末端から111番目までの塩基を含み、C末端にタグ蛋白GFPを付加したことを示す。14A.A.(Amino Acid)は蛋白発現後のウロモジュリン断片蛋白のアミノ酸数を示す。実際には、111塩基から37アミノ酸が翻訳されるが、そのうち23アミノ酸はシグナルペプチドとして翻訳され、最終的にシグナルペプチダーゼにより切断を受けるため、N111からは14アミノ酸にGFPタグが付加された蛋白質が発現していることになる。
上記のように作製した発現ベクターを、遺伝子導入試薬(Lipofectamine 3000(登録商標)、Thermo Fisher Scientific社製)を使用してHeLa細胞に遺伝子導入し、37℃のCO2インキュベーターで培養した。遺伝子導入より24~28時間培養したHeLa細胞を細胞溶解液で溶解し細胞溶解液を得た。
上記の細胞溶解液を抗原蛋白質としてウェスタン・ブロッティングを行った。結果を図6及び図7に示す。一次抗体は我々が樹立したモノクローナル抗体を使用した。二次抗体はJackson ImmunoResearch社のHRP標識抗マウスIgGモノクローナル抗体を使用した。化学発光による検出試薬は、Thermo Fisher Scientific社のECL Western Blotting Substrateを使用した。
図6では左レーンには遺伝子導入なしのHeLa細胞の細胞溶解液、真ん中のレーンには全長ウロモジュリン(FLAGタグなし)を遺伝子導入により蛋白発現させた細胞溶解液、右レーンにはN861-FLAGを遺伝子導入により蛋白発現させた細胞溶解液を電気泳動しウェスタン・ブロッティングを行った。これらの結果より、我々が樹立した全てのモノクローナル抗体は全長ウロモジュリンを認識し、かつ、ウロモジュリンのN端側に抗原エピトープを持つ抗体であった。
続いて、さらに詳細に抗原エピトープを明らかにするために図4で示した発現ベクターを順次遺伝子導入により蛋白発現させ、各モノクローナル抗体の抗原エピトープを確認した。最終的にキットで使用する3-5と29-9の2つの抗体の抗原エピトープを明らかにしたウェスタン・ブロッティングの結果を図7に示した。
図7(A)のウェスタン・ブロッティングは一次抗体として抗GFP抗体を使用した結果(左)、及び抗ウロモジュリン抗体(3-5)を使用した結果(右)を示す。レーン1は遺伝子導入なしの細胞溶解液を、レーン2~5は図4に示した発現ベクターのうち下記の発現ベクターを遺伝子導入した細胞溶解液を、それぞれ電気泳動した結果を示す(10%アクリルアミドゲル使用、120V、60分で分離)。レーン2はGFPベクター単独、レーン3はN162-GFP、レーン4はN201-GFP、及びレーン5はN222-GFPを電気泳動した。この結果により、モノクローナル抗体(3-5)は、ヒトウロモジュリン遺伝子のN端から163~201から翻訳されるペプチド配列を抗原エピトープとする抗体である。
図7(B)のウェスタン・ブロッティングは一次抗体として抗FLAG抗体を使用した結果(左)、及び抗ウロモジュリン抗体(29-9)を使用した結果(右)を示す。レーン1は遺伝子導入なしの細胞溶解液を、レーン2~5は図4に示した発現ベクターのうち下記の発現ベクターを遺伝子導入した細胞溶解液を、それぞれ電気泳動した結果を示す(10%アクリルアミドゲル使用、120V、60分で分離)。レーン2はFLAGベクター単独、レーン3はN261-FLAG、レーン4はN321-FLAG、レーン5はN381-FLAGを電気泳動した。この結果により、モノクローナル抗体(29-9)は、ヒトウロモジュリン遺伝子のN端から262~321から翻訳されるペプチド配列を抗原エピトープとする抗体である。
本発明のキットには使用していない抗体を含め、得られた新規モノクローナル抗体の抗原エピトープのまとめを下記表3に示す。
Figure 0007130313000003
(実施例3)ELISA kitの作成
上記表1に示した抗体のうち、3-5及び29-9を使用して、下記のようにしてELISAを行ない、検出精度及び検出感度を市販されているキット(Euroimmune社製)と比較した。
(1)ELISAキット
上記2つの抗体(3-5及び29-9)を含むELISA用キットは、イムノ・プローブ社より提供を受けた。本発明のELISAキット(ウロモジュリンELISAキット)の構成は下記表4に示す通りである。
Figure 0007130313000004
上記キットは冷蔵庫にて保存した。測定試料は後述するヒト血清とした。
上記の各試薬は、室温に戻してから使用した。まず、10×洗浄液に精製水450 mLを加えて10倍希釈し、洗浄用バッファーを調製した。次いで、ウロモジュリン標準品に1mLの試料希釈液を加えて40 ng/mLの標準試料溶液を調製した。この標準試料溶液を試料希釈液で2倍希釈し、20、10、5、2.5、1.25、0.62、0.31、0 ng/mLの標準試料希釈液を調製した。ブランク(0 ng/mL)には、ウロモジュリン標準品を含まない試料希釈液を使用した。以上の手順に従って作製した検量線を、図8示す。
上記血清を試料希釈液で10倍希釈又は50倍希釈し、試料として使用した。12 mLの試料希釈液に上記表2に示す標識抗体を120μL加えて、標識抗体含有溶液として使用した(100倍希釈品)。
以上のように調製した標準品又は試料を、上記の固相化プレートの各ウェルに100μLずつ加え、室温で1時間静置した。上記ウェル内の標準品又は試料を捨て、これらを加えていた各ウェルに300μLの洗浄液を加えて洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した。
洗浄した上記の96ウェルプレートに上記のように調製した標識抗体を100μLずつ加え、室温にて1時間静置した。上記ウェル内の標準品又は試料を捨て、これらを加えていた各ウェルに300μLの洗浄液を加えて洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返した。
次いで、上記表2に示す発色液を100μLずつ各ウェルに加えた。速やかにプレートをアルミホイルで遮光し、室温で20分間静置した。20分経過後、上記表2に示す反応停止液を各ウェルに100μLずつ加え、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad社製品)を用いて、主波長450 nm、副波長650 nmで測定した。上記標準品を用いて検量線を作製し、各試料の吸光度から、各試料中のウロモジュリン濃度を求めた。
本発明の検出キットの検出限界は、0.31 ng/mLであり、測定誤差は、10%以下であった(n = 3, P<0.05)。
(2)市販のキットとの比較
市販のキット(Euroimmune社製)の検出限界は、使用説明書に記載されている通り、2ng/mLであった。また、前記市販のキットを使用した場合のウロモジュリンとeGFRとの間の相関関係を図5(A)に、腎不全の各ステージにおけるウロモジュリンの値を図5(B)にそれぞれ示す。
図5(A)に示すように、ウロモジュリンとeGFRとの間に相関関係があることは示され、ウロモジュリンの濃度は、non-CKDの患者とCKDの患者とでは平均値及び中央値には有意差があること、及びステージが進むにつれて低下する傾向が見られることが示された。しかし、ステージ1と2との間及びステージ4と5との間ではいずれも有意差は見られなかった。また、いずれのステージにおいても、標準偏差が大きいことが示された。
以上の結果、本発明の抗体を含む上記キットは、市販品よりもほぼ10倍感度が高いことが示された。
(3)検体中のウロモジュリンの経時変化の検討
採取した検体を、即時測定する必要があるのか否かを確認するために、検体採取後の保存条件によるウロモジュリン測定値の差異を検討した。採取した血液は速やかに血清分離した後、図9に示すようにday 0(検体採取同日)~day 8(検体採取より9日目)で-80℃で凍結保存とした。検体採取後凍結保存までの期間は、4℃にて凍結せずに保存した。検体中のウロモジュリンの含有量を上記のELISAキットを用いて測定した。
検体採取から1ヶ月以内に、これらの凍結保存試料を氷上で融解し、上記のELISAキットを用いて測定した。結果を図9に示す。
測定結果から、検体採取から1週間以上経過した検体においても、4℃で保存されていれば、検体採取後速やかに凍結処理をせずとも検体中のウロモジュリンの測定値には、大きな変動はないことが示された。この結果より、検体採取後に速やかな凍結保存処理は必ずしも必要ではないこと、及び、4℃保存の条件下においては血中のウロモジュリン蛋白質自体は分離血清中で安定に存在していることが示された。
(実施例4)ヒト血中ウロモジュリン濃度及びeGFRの相関関係の検討
以下の実験は、東京女子医科大学病院で行われている「血中uromodulinの臨床的意義に関する研究」のプロトコルに従って行った。健常人、及びCKDステージ1~5の腎疾患の患者から得た血清を使用して、上記方法と同様の方法で血中ウロモジュリン濃度を測定した。疾患別の患者数を下記表5に示す。
eGFR-cre(クレアチニン換算eGFR)は、下記式にて算出した。
eGFR-cre(男性) = 194 × 血清クレアチニン-1.094 × 年齢-0.287
eGFR-cre(女性) = 194 × 血清クレアチニン-1.094 × 年齢-0.287 × 0.739
eGFR-cysc(シスタチンC換算eGFR)は、下記式にて算出した。
eGFR-cysc(男性) = (104 × シスタチンC-1.019 × 0.996年齢)-8
CCr-CG(Cockcroft-Gault式)は、下記式にて算出した。
CCr(男性) = {(140-年齢)×体重}/{72×血清クレアチニン値}
CCr(女性) = {(140-年齢)×体重}/{72×血清クレアチニン値}×0.85
Figure 0007130313000005
上記の検体を測定した結果を図10に示す。血中ウロモジュリン値とクレアチニン換算eGFR値(eGFR-cre)の相関係数は0.75、シスタチンC換算eGFR(eGFR-cysc)との相関係数は0.77と高い相関関係があることが示された。血中ウロモジュリン値とCockcroft-Gault式による推算クレアチニン・クリアランス値(CCr-CG)との相関係数は0.64であり、中等度の相関関係があることが示された。
(実施例5)ウロモジュリンが急性尿細管間質性腎炎(acute tubulointerstitial nephritis; aTIN)のマーカーとなり得るか否かの検討
aTINは、ほとんどがアレルギー性機序を含む薬の副作用によって生じることが知られている疾患である。発症時期は一定しておらず、投薬開始後数日で発症することもあれば、投薬開始後1年を超えて発症することもある。aTINの主な治療法は、被疑薬の中止であるが、症例によってはステロイドが投与されることもある。
以下に幾つかの症例について、ウロモジュリンの血中濃度を上記キットで測定し、マーカーとしての適否を検討した。個人情報の観点から、下記の実施例では、年についてはX年と記載した。
(1)症例1(84歳女性)
X年5月胸腰椎圧迫骨折を来し、自宅近くの整形外科にてチアラミド・ロキソプロフェン・エルデカルシトールを処方されたが、症状は改善しなかった。後にアセトアミノフェンが処方に追加され、神経ブロック注射も開始されたが奏功せず、自宅での生活が困難となった。このため、11月にY病院の整形外科に入院した。10月のクレアチニン値は0.88mg/dL(採血)であったが、同院への入院時に、クレアチニン値は8.05mg/dLと高くなっており、急激な腎機能悪化が認められた。このため、東京女子医科大学八千代医療センター腎臓内科へ転入院となった。
高度腎機能悪化のため、入院日より透析導入とした。腎機能悪化の原因としては、腎性腎不全が考えられた。水腎症がなく、腎後性腎不全は否定されたこと、及び腎前性腎不全も否定的であったからである。腎前性腎不全が否定的であった理由は、(a)明らかな体液量減少兆候は認められず、むしろ、(b)胸水貯留・下肢浮腫が認められ、体液過剰状態であったことによる。
以上から腎性腎不全、その中でも薬剤性腎障害が考えられた。また、ガリウムシンチグラフィを行なったところ、腎臓への集積が著明であり(図11(A)参照)、リンパ球幼若化試験ではカロナールが強陽性であった。
これらより、薬剤性アレルギー性aTINと考えられたため、被疑薬の投薬を中止した。しかし、腎機能はほとんど改善されず、ステロイド治療を行ったところ、腎機能が改善され、透析離脱となった。この患者は高齢者であり、腎生検による確定診断を行うことはできなかったが、上記の検査結果と臨床経過によりaTIN相応と考えられた。
この患者の場合、入院時、腎機能から推定される血中ウロモジュリン値と比べて、787ng/mLと著明に高値を示し、入院後、ウロモジュリン濃度は、最高で897ng/mLまで上昇した。また、尿細管マーカーである尿中α1マイクログロブリンは、正常値が8 mg/L未満であるのに対し10.3mg/Lとごく軽度上昇に留まった。また、正常値が11 IU/L未満であるNAGにおいても、15.0 IU/Lとごく軽度上昇に留まった。正常値が200未満であるβ2-マイクログロブリンの値は、6,706μg/Lと非常に高くなっていた。
β2-マイクログロブリンの値は、腎機能障害が高度であると血中濃度上昇により尿中濃度も上昇するため評価指標としては信頼性が落ちることが知られている。この患者の場合もそのような傾向が示された。
臨床経過における血中クレアチニン濃度と血中悪露モジュリン濃度の変化を図11(B)に示す。血中ウロモジュリンの濃度は、大きく低下し治療効果をよく反映していた。
(2)症例2(41歳)
この症例の患者は、元々アレルギー体質であった。X年11-12月に家族から勧められて何らかを成分として含有するサプリメントを複数摂取するようになった。また、12月にキムチを食べた後から食事アレルギーと思われる全身性浮腫を来した。しかし、病院で受診せず、自宅で経過観察とした。
翌年年3月にかけて次第に体調が悪化し、全身性に高度な落屑を伴う皮疹を認めるようになったため、他院の皮膚科を受診したところ、紅皮症と診断された。同時に、高度腎機能低下(クレアチニン値5.96mg/dL)が認められたため、東京女子医科大学八千代医療センター腎臓内科を受診し緊急入院となった。
高度腎機能悪化のため入院後速やかに透析導入とした。腎生検を行なったが糸球体には腎炎を疑う所見は見られず、高度尿細管間質障害が認められた。また、ガリウムシンチグラフィを行なったところ、腎臓への集積が著明であり(図12(A)参照)、急性尿細管間質性腎炎と考えられた(図12(B)参照)。その後、ステロイド治療を行ったところ、腎機能が改善され、透析離脱となった。
入院時のこの患者の血中ウロモジュリン値は、腎機能から推定される血中ウロモジュリン値と比べ、478.85ng/mLと高値であった。上記血中ウロモジュリン値は入院後もさらに上昇し、最高で1,336ng/mLとなった。これに対し、尿中α1マイクログロブリン値は17.3 mg/L、NAG値は16.4 IU/L、β2-マイクログロブリン値は181μg/Lと軽度上昇に留まっていた。臨床経過における血中クレアチニン濃度と血中悪露モジュリン濃度の変化を図12(C)に示す。血中ウロモジュリンの濃度は、大きく低下し治療効果をよく反映していた。
(3)症例3(58歳男性)
生来健康であったが、X年4月、発熱があり感冒症状を自覚したため、自宅近くの医院で受診し、感冒と診断された。ロキソプロフェン、レバミピド、及びモサプリドの処方を受けたが症状は改善されなかったため、他院を受診したところ、血中クレアチニン濃度が10.52mg/dLと高値を示し、肺炎及び高度腎機能障害を指摘されて、東京女子医科大学八千代医療センター腎臓内科を紹介され受診し緊急入院となった。
この患者も高度腎機能低下のため、入院後速やかに透析導入とした。腎機能悪化の原因は、腎性腎不全と考えられた。その理由は、(a)水腎症がなかったため腎後性腎不全は否定されたこと、(b)明らかな体液量減少兆候(脱水所見)が認められず腎前性腎不全も否定的であったことによる。また、尿所見異常にも乏しい(尿蛋白±、尿潜血±)ことから、薬剤性腎障害が疑われた。
ガリウムシンチグラフィを行なった結果、腎臓への集積を認めた(図13(A)参照)。腎生検の結果を図13(B)に示す。肺炎については、抗菌薬を投与したところ速やかに症状が改善したが、CRP(C-リアクディブ・プロテイン、炎症反応のマーカー)値が、入院時の37.7mg/dLであったのに対し、4日後でも35.53mg/dLと殆ど改善されなかった。このため、急性尿細管間質性腎炎からの炎症反応が遷延しているものと考えてステロイドパルスを追加した。その結果、CRP値の改善と腎機能の改善とを得て、透析離脱した。
この症例3では、入院時の腎機能から推定される血中ウロモジュリン値と比べ、血中ウロモジュリン濃度は1,218ng/mLと著明に高い値を示した。これに対し、尿中α1マイクログロブリン値は17.3 mg/L、NAG値は16.4 IU/L、β2-マイクログロブリン値は181μg/Lと軽度の上昇に留まっていた。臨床経過における血中クレアチニン濃度と血中悪露モジュリン濃度の変化を図13(C)に示す。血中ウロモジュリンの濃度は、大きく低下し治療効果をよく反映していた。
したがって、以上の3症例の結果が示すように、血中クレアチニン濃度よりも、血中ウロモジュリン濃度は、aTINの鋭敏なマーカーとなりえると考えられた。
本発明は、医学、薬学の分野において有用である。
配列番号1:ウロモジュリンのアミノ酸配列
配列番号2:抗ウロモジュリン抗体のエピトープ配列(1)
配列番号3:抗ウロモジュリン抗体のエピトープ配列(2)
配列番号4:抗ウロモジュリン抗体のエピトープ配列(3)

Claims (14)

  1. 下記配列で表される新規エピトープ配列(配列表の配列番号2又は3)を認識する、ことを特徴とするマウス抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体。
    GFTGDGLTCVDLD(配列番号2)
    GSFSCVCPEGFRLSPGLGCT(配列番号3)
  2. 配列表の配列番号1で表されるヒトウロモジュリンのヌクレオチド配列の163~201番から翻訳されるペプチド配列(配列番号2)を新規抗原エピトープとする抗体、262~321番から翻訳されるペプチド配列(配列番号3)を新規抗原エピトープとする抗体、及び322~381番から翻訳されるペプチド配列(配列番号)を新規抗原エピトープとする抗体からなる群から選ばれるいずれかのものである、マウス抗ヒトウロモジュリンモノクローナル抗体。
    GFTGDGLTCVDLD(配列番号2)
    GSFSCVCPEGFRLSPGLGCT(配列番号3)
    DVD ECAEPGLSHC HALATCV(配列番号
  3. 請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体のうち、前記配列番号2又は3で表されるエピトープを認識する2種類を用いることを特徴とする、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法。
  4. (a)前記配列番号2で表される抗原エピトープを認識するモノクローナル抗体を第1次抗体として固相のウェルをコートする抗体固相化工程と;
    (b)前記第1次抗体の標的タンパク質の標準品又は前記標的タンパク質を含む採取試料を、前記固相の前記ウェルに所定量加え、室温で前記固相を所定時間静置する反応工程と;
    (c)前記反応工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第1洗浄工程と;
    (d)希釈した試料を前記固相のウェル中に添加した後に、所望の酵素で標識した、前記第1次抗体とは異なる前記配列番号3で表される抗原エピトープを認識するモノクローナル抗体を第2次抗体として所定量加える標識工程と;
    (e)前記標識工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第2洗浄工程と;
    (f)前記固相のウェルに希釈した試料を添加した後に、酵素で標識した前記モノクローナル抗体を所定量加える酵素標識工程と;
    (g)前記固相のウェルに所定量の発色液を添加して発色させ、停止液を加えて発色を停止させる発色工程と;
    (h)前記発色停止後に吸光度を測定する測定工程と;
    を備えることを特徴とする、請求項3に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法。
  5. 前記第1次抗体は前記配列表の前記配列番号2で表されるエピトープを認識する抗体であり、前記第2次抗体は前記配列表の前記配列番号3で表されるエピトープを認識する抗体である、ことを特徴とする請求項4に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法。
  6. 前記第2次抗体の標識に使用する標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ、又はアルカリフォスファターゼからなる群から選ばれるいずれかの酵素であり、前記第1次抗体は前記配列番号2で表されるエピトープを認識する抗体であり、前記第2次抗体は前記配列番号3で表されるエピトープを認識する抗体であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法。
  7. 請求項3~6のいずれかに記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫法を用いて、採取試料中に含まれるヒト血中ウロモジュリン濃度を測定し、前記濃度の経時変化を確認する経時変化確認工程と、前記経時変化確認工程で得られた結果に基づいて、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの疾患への罹患リスクを判定する判定工程、又は前記リスク疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価する評価工程の少なくとも一方と、を備える腎疾患への罹患リスクの評価方法。
  8. 前記疾患は、急性尿細管間質性腎炎であることを特徴とする、請求項7に記載の疾患への罹患リスクの評価方法。
  9. 請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体のうち、前記配列番号2又は3で表されるエピトープを認識する2種類を用いることを特徴とする、血中ウロモジュリン検出用酵素免疫測定用キット。
  10. ウェルを有する固相をコートする第1次抗体としての前記モノクローナル抗体のうちの一方、標識で標識された第2次抗体としての前記モノクローナル抗体うちの他方、凍結乾燥したウロモジュリンの標準品、試料希釈用の緩衝液及び洗浄用の緩衝液、発色液及び停止液を含む、ことを特徴とする、請求項9に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫測定用キット。
  11. 前記標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ、又はアルカリフォスファターゼからなる群から選ばれるいずれかの酵素であることを特徴とする、請求項10に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫測定用キット。
  12. 前記発色液は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンチジン、o-フェニレンジアミンジヒドロクロライド及び2,2'-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリン-6 スルフォン酸]ジアンモニウム塩からなる群から選ばれるいずれかの化合物であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の血中ウロモジュリン検出用酵素免疫測定用キット。
  13. (a)前記配列番号2で表される抗原エピトープを認識するモノクローナル抗体を第1次抗体として固相のウェルをコートする抗体固相化工程と;
    (b)前記第1次抗体の標的タンパク質の標準品又は前記標的タンパク質を含む採取試料を、前記固相の前記ウェルに所定量加え、室温で前記固相を所定時間静置する反応工程と;
    (c)前記反応工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第1洗浄工程と;
    (d)希釈した試料を前記固相のウェル中に添加した後に、所望の酵素で標識した、前記第1次抗体とは異なる前記配列番号3で表される抗原エピトープを認識するモノクローナル抗体を第2次抗体として所定量加える標識工程と;
    (e)前記標識工程終了後に前記固相のウェル中の液体を捨て、洗浄液で洗浄する第2洗浄工程と;
    (f)前記固相のウェルに希釈した試料を添加した後に、酵素で標識した前記モノクローナル抗体を所定量加える酵素標識工程と;
    (g)前記固相のウェルに所定量の発色液を添加して発色させ、停止液を加えて発色を停止させる発色工程と;
    (h)前記発色停止後に吸光度を測定する測定工程と;
    を備える酵素免疫法を用いて、採取された血液試料中に含まれるウロモジュリン濃度を経時的に測定し、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための検査方法
  14. 下記のアミノ酸配列(配列表の配列番号1)を有する、血中ウロモジュリンをバイオマーカーとして測定する測定工程と、前記血中ウロモジュリンのレベルを健常人の血中ウロモジュリンレベルと対比する対比工程とを備える、IgA腎症、腎硬化症、糖尿病性腎症、微小変化型、巣状糸球体硬化症、多発性嚢胞腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、片腎、急性尿細管間質性腎炎及び急性尿細管障害からなる群から選ばれるいずれかの腎疾患に罹患した後の腎機能低下の検出、又は前記疾患に罹患する前もしくは前記疾患に罹患した時点における腎予備力・脆弱性を評価するための検査方法
    MGQPSLTWML MVVVASWFIT TAATDTSEAR WCSECHSNAT CTEDEAVTTC
    TCQEGFTGDG LTCVDLDECA IPGAHNCSAN SSCVNTPGSF SCVCPEGFRL
    SPGLGCTDVD ECAEPGLSHC HALATCVNVV GSYLCVCPAG YRGDGWHCEC
    SPGSCGPGLD CVPEGDALVC ADPCQAHRTL DEYWRSTEYG EGYACDTDLR
    GWYRFVGQGG ARMAETCVPV LRCNTAAPMW LNGTHPSSDE GIVSRKACAH
    WSGHCCLWDA SVQVKACAGG YYVYNLTAPP ECHLAYCTDP SSVEGTCEEC
    SIDEDCKSNN GRWHCQCKQD FNITDISLLE HRLECGANDM KVSLGKCQLK
    SLGFDKVFMY LSDSRCSGFN DRDNRDWVSV VTPARDGPCG TVLTRNETHA
    TYSNTLYLAD EIIIRDLNIK INFACSYPLD MKVSLKTALQ PMVSALNIRV
    GGTGMFTVRM ALFQTPSYTQ PYQGSSVTLS TEAFLYVGTM LDGGDLSRFA
    LLMTNCYATP SSNATDPLKY FIIQDRCPHT RDSTIQVVEN GESSQGRFSV
    QMFRFAGNYD LVYLHCEVYL CDTMNEKCKP TCSGTRFRSG SVIDQSRVLN
    LGPITRKGVQ ATVSRAFSSL GLLKVWLPLL LSATLTLTFQ(配列表の配列番号1)
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