JP7129389B2 - 鉄銅基焼結含油軸受 - Google Patents

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本発明は、自動車の電装モータ出力軸などの低速で高負荷が作用する条件で使用される鉄銅基焼結含油軸受に関するものである。
焼結含油軸受として、コストパフォーマンスに優れた鉄銅基焼結含油軸受が多く用いられている。
近年は、自動車電装用モータの出力軸にも鉄銅基の焼結含油軸受が採用されているが、従来よりも高出力対応がなされる一方で、モータの小型高性能化に伴い軸受のサイズも小型化しているため、軸受には従来以上の負荷面圧が作用する。さらに、これらモータの出力軸は200rpm以下の低速であることから、焼結含油軸受特有の油膜形成が不十分で、シャフトと軸受間で金属接触の摺動となり、軸受が摩耗してしまうことが多い。
このような油潤滑効果の少ない摺動条件であっても優れた耐摩耗性に対応した鉄銅基焼結含油軸受が知られている(特許文献1)。しかし、モータ出力軸と軸受のクリアランスは、モータから発生する高い負荷で出力軸が撓むこともあり、一般的なクリアランスよりも広く設計される場合がある。広いクリアランスで出力軸が撓むと出力軸と軸受の当たりが偏り、軸受には局部的な高負荷が作用し、軸受摩耗が大きくなったり異常摩耗が発生したりするため、片当たりの摺動についても優れた耐摩耗性を有する軸受が求められていた。
このような厳しい高負荷環境下での耐摩耗性対策には、焼結含油軸受の材料と潤滑油の改良による対応がなされる。鉄を70%以上含む鉄系焼結含油軸受用の含浸油としての潤滑油としては、酸化防止剤が添加された炭化水素系潤滑油基油に摩擦調整材としてリン酸エステル類、そのアミン塩及び硫黄系極圧剤から選ばれる少なくとも一種を添加した焼結含油軸受油組成物が知られている(特許文献2)。しかし、それでも耐摩耗性は十分とは言えず、改良の余地があった。
特開2018-025288号公報 特開2004-149708号公報
そこで、本発明は、特に潤滑油に注目し、高面圧下の摺動条件においても優れた耐摩耗性を有する鉄銅基焼結含油軸受を提供すること目的とする。
課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、高面圧下の摺動条件において、硫黄系の耐荷重添加剤を含む潤滑油を鉄銅基の焼結含油軸受に含浸して使用すると、軸受摺動面の銅相部分に亀裂が入り、それにより摺動面が荒れてしまうなどして、摩耗粉が発生し、その摩耗粉が軸受と相手シャフトとの間に入り込み、軸受と相手シャフトの摩耗を促進させる現象が起きることが分かった。
一方、リン系の耐荷重添加剤を含み、硫黄系の耐荷重添加剤を含まない潤滑油を使用すると、軸受の摺動表面が滑らかになり、摩耗粉の発生が少なくなり、軸受と相手シャフトの摩耗が少なくなるという結果が得られた。
そして、これらの結果をもとに、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の鉄銅基焼結含油軸受は、以下の構成を有する。
(1)金属材料成分に鉄、銅、スズ、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析した鉄銅基焼結含油軸受であって、リン系の耐荷重添加剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤極圧剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させたことを特徴とする。
(2)上記(1)において、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
(3)金属材料成分に鉄、銅、スズ、リン、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析した鉄銅基焼結含油軸受であって、リン系の耐荷重添加剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させたことを特徴とする。
(4)上記(3)において、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、リン:0.05~0.6%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
(5)金属材料成分に鉄、銅、スズ、亜鉛、リン、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析した焼結含油軸受であって、リン系の耐荷重添加剤耐摩耗剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤極圧剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させたことを特徴とする。
(6)上記(5)において、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、亜鉛:0.5~4%、リン:0.05~0.6%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
(7)上記(1)~(6)にいずれかにおいて、軸受内径表面において、銅相の面積率が30%以上であって、遊離黒鉛の面積率が5~35%である。
(8)上記(7)において、軸受内径表面において、鉄相の硬さがHv200以下である。
本発明の鉄銅基焼結含油軸受によれば、リン系の耐荷重添加剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させたことにより、高面圧下の摺動条件においても優れた耐摩耗性を有する鉄銅基焼結含油軸受を提供することができる。
遊離黒鉛などの面積率の測定方法を説明するための模式図であり、測定状態(A)と升目を塗り分けた状態(B)を示す。 本発明例の鉄銅基焼結含油軸受の切断面の金属組織写真である。
本発明の鉄銅基焼結含油軸受は、金属材料成分に鉄、銅、スズ、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析している。又は、金属材料成分に鉄、銅、スズ、リン、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析しているか、或いは、金属材料成分に鉄、銅、スズ、亜鉛、リン、黒鉛を含み、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析している。
そして、本発明の鉄銅基焼結含油軸受は、リン系の耐荷重添加剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させたものである。
金属材料成分に鉄、銅、スズ、黒鉛を含む場合、好ましくは、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
金属材料成分に鉄、銅、スズ、リン、黒鉛を含む場合、好ましくは、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、リン:0.05~0.6%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
金属材料成分に鉄、銅、スズ、亜鉛、リン、黒鉛を含む場合、好ましくは、金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、亜鉛:0.5~4%、リン:0.05~0.6%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄である。
本発明の鉄銅基焼結含油軸受は、好ましくは、軸受内径表面において、銅相の面積率が30%以上であって、遊離黒鉛の面積率が5~35%である。より好ましくは、軸受内径表面において、鉄相の硬さがHv200以下である。
本発明の焼結含油軸受の組成及び含浸油について、以下に詳細に説明する。
(1)銅(Cu):10~55質量%
銅(Cu)は、スズ(Sn)、又は、スズ(Sn)、リン(P)、又は、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、リン(P)と固溶体を形成し、軸受の強度を向上させる。Cu-Sn固溶体、Cu-Sn-P固溶体、又は、Cu-Sn-Zn-P固溶体は、相手軸よりも軟らかく、相手軸とのなじみ性を向上させ、もって軸受の耐摩耗性向上に寄与する。銅(Cu)の含有量が10質量%未満では、所望の効果が得られず、一方、その含有量が55質量%を超えると、軸受の強度が不足するようになり、高負荷条件での軸受の摩耗が大きくなるので、好ましくない。
(2)スズ(Sn):0.5~4質量%
スズ(Sn)は、銅(Cu)、又は、銅(Cu)、リン(P)、又は、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、リン(P)と固溶体を形成し、軸受の強度を向上させ、もって軸受の耐摩耗性向上に寄与する。スズ(Sn)の含有量が0.5質量%未満では、所望の効果が得られず、一方、その含有量が4質量%を超えると、焼結体の変形が起きやすく、寸法精度が低下するので、好ましくない。
(3)亜鉛(Zn):0質量%、又は、0.5~4質量%
亜鉛(Zn)は、銅(Cu)、スズ(Sn)、リン(P)と固溶体を形成し、軸受の耐食性、なじみ性及び強度を向上させる作用がある。亜鉛(Zn)の含有量が4質量%を超えても効果が向上しないので、添加する場合は、0.5~4質量%とするのが好ましい。
(4)リン(P):0質量%、又は、0.05~0.6質量%
リン(P)は、Cu-8P合金粉末で添加され、焼結時に液相を発生させて焼結を進めるとともに、銅(Cu)、スズ(Sn)、又は、銅(Cu)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)と固溶体を形成し、軸受の耐摩耗性を向上させる作用がある。リン(P)の含有量が0.6質量%を超えても効果が向上せず、かえって焼結時の変形が大きくなるので好ましくないため、添加する場合は、0.05~0.6質量%とするのが好ましい。
(5)黒鉛(C):0.2~5質量%
黒鉛(C)は、軸受合金の素地中に遊離黒鉛として分散分布し、軸受の摺動面に露出することで、軸受に優れた潤滑性を付与し、もって耐摩耗性向上及び摩擦係数低減に寄与する。黒鉛(C)の含有量が0.2質量%未満では、所望の効果が得られず、一方、その含有量が5質量%を超えると、摩耗が進行する場合があるので、好ましくない。
(6)銅相の面積率:30%以上
軸受内径表面は、銅又は銅合金からなる銅相と、鉄又は鉄合金からなる鉄相のほか、遊離黒鉛及び気孔から構成されている。軸受内径表面の銅相の面積率が30%以上あると、油潤滑効果の少ない低速高負荷の厳しい摺動条件において、相手シャフトとの初期なじみ性が良く、軸受の耐摩耗性が向上する。このため、軸受内径表面の銅相の面積率は、30%以上あることが好ましい。この銅相の面積率を確保するためには、原料粉末中に添加する銅粉末の量を多くするのが有効である。また、扁平銅粉を用いると、軸受内径表面の銅相の面積率が向上する。
(7)遊離黒鉛の面積率:5~35%
原料粉末に用いる黒鉛粉末としては、鱗状黒鉛粉末及び鱗片状黒鉛粉末のうちの少なくとも1種類を用いることができる。鱗状黒鉛粉末と鱗片状黒鉛粉末は、その扁平形状に起因して、圧縮成形工程の成形金型キャビティへ原料粉を充填するときに軸受内径面に黒鉛の面積が大きくなるように配向しやすい性質があるため、黒鉛粉末の添加量に対し軸受内径表面の遊離黒鉛の面積率を所定量確保する効果がある。軸受内径表面に配向した黒鉛は、黒鉛の滑る面と一致するため、軸受に優れた潤滑性を付与する。軸受内径表面の遊離黒鉛の面積率は、5%未満では所望の効果が得られず、一方、35%を超えると軸受表面の遊離黒鉛が脱落しやすくなり、耐摩耗性が向上せず、かえって摩耗しやすくなるので、好ましくない。
(8)鉄相の硬さ:Hv200以下
軸受内径表面の鉄相の硬さは、相手軸を傷つけないような硬さにコントロールすることが重要である。原料粉末の鉄粉と黒鉛粉が焼結中に反応することにより、鉄相の硬度が上がり、エンドガス雰囲気中で焼結した場合には、エンドガス中のCOと鉄粉が反応することにより、鉄相の硬度が上がる。鉄相の硬さが200Hvを超えると、低速、高負荷条件の摺動で軸に傷が入りやすくなり、傷付いた軸が軸受を摩耗させるため、好ましくない。鉄相の硬さは、焼結中の鉄粉と黒鉛粉の反応、又は、鉄粉とCOガスの反応を制御することで、コントロールすることができる。具体的には、黒鉛粉末の粒径や焼結温度を調整し、又は、焼結雰囲気をCOガスの入っていないNベースの雰囲気にするか、エンドガス中のCOガス量を低減することにより、反応をコントロールすることができる。
(9)潤滑油の添加剤
焼結軸受に含浸して使用する潤滑油としては、鉱油や合成油などがある。それらの潤滑油には、酸化防止剤、防錆剤、清浄剤、耐荷重添加剤など各種の添加剤が配合され、その中の耐荷重添加剤は、油性剤、耐摩耗剤、極圧剤、固体潤滑剤に分類される。本発明は、この耐荷重添加剤の中の耐摩耗剤と極圧剤に関するものである。
なお、摩耗を低減する作用を有するのが耐摩耗剤で、焼き付きを防止する作用を有するのが極圧剤であるが、これらは厳密に区別されるものではない。
本発明において用いられるポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油は、耐荷重添加剤として、リン酸エステルなどのリン系の耐摩耗剤を含み、硫黄系の極圧剤を含まない。リン系の耐摩耗剤は、一種を単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。リン系の耐摩耗剤の添加量は、0.05~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。
また、本発明において用いられる潤滑油は、硫黄系の極圧剤を含まなければよく、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)などの亜鉛系の耐摩耗剤やその他の耐荷重添加剤を含んでもよい。
本発明において用いられる潤滑油は、それを含浸させた鉄銅基焼結含油軸受の低速高荷重の摺動条件において、軸受と相手軸の摺動面に入る傷を少なくして平滑な摺動面を形成し、摩耗の進行を抑える効果がある。その一方で、硫黄系の極圧剤が配合された、ポリアルファオレフィン系やエステル系の潤滑油を用いた場合は、軸受と相手軸の摺動面に傷が入り、発生した摩耗粉により軸受と相手軸の摩耗が進行する。
以下、実施例に基づき、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
原料粉末として、粉末冶金用の電解銅粉末(Cu粉末)、扁平銅粉末(Cu扁平粉末)、還元鉄粉末(Fe粉末)、Cu-8質量%P粉末(Cu-P粉末)、Cu-9質量%Sn粉末(Cu-Sn粉末)、スズ粉末(Sn粉末)、Cu-20質量%Zn粉末(Cu-Zn粉末)、鱗状黒鉛粉末(鱗状黒鉛(C)粉末)を用意した。これらの原料粉末をそれぞれ、表1に示す組成のとおりに配合した。
Figure 0007129389000001
配合したそれぞれの原料粉末にステアリン酸亜鉛を0.5%加えて、V型混合機で20分間混合して混合粉末とした後、プレス成形して圧粉体を製作した。この圧粉体を、天然ガスと空気を混合し加熱した触媒に通すことで分解変成させたエンドサーミックガス(endothermic gas)雰囲気中、表2に示す840~940℃の範囲内の所定の温度で焼結して焼結体を得た。所定の圧力でサイジングを行い、それぞれ外径:18mm×内径:8mm×高さ:8mmの寸法を有し、表2に示す組成成分を有するリング状の鉄銅基焼結含油軸受の試験片を製作した。
つぎに、リング状軸受の試験片に、潤滑油として、ポリアルファオレフィン油又はエステル油を含侵させた。本発明例の試験片に含侵させた潤滑油には、耐荷重添加剤としてリン化合物、又は、リン化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)を添加したものを用いた。比較例の試験片に含侵させた潤滑油には、耐荷重添加剤として硫黄化合物、又は、硫黄化合物とリン化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)を添加したものを用いた。
こうして得られたリング状軸受の試験片について、低速高負荷条件の摩耗試験を行った。
リング状軸受に外径:8mmのS45C炭素鋼製軸を挿入し、軸受の外側から200kgfの荷重をかけながら、軸を2m/分で100時間回転させた。その後、リング状軸受の摺動面の最大摩耗深さと相手軸の摺動部の最大摩耗深さを測定して、耐摩耗性評価を行った。
遊離黒鉛の面積率、銅相の面積率、気孔率は、軸受の内径表面をCCDカメラでカラー写真撮影(倍率×100)し、決められた2mm方眼のトレース用紙のフレームを写真上に重ね合わせて、以下のようにして算出することにより求めた。
図1を参照しながら説明すると、図1(A)は、軸受の表面のカラー写真を図案化したものであり、表面には、銅又は銅合金の銅範囲11と鉄又は鉄合金の鉄範囲12と黒鉛の黒鉛範囲13と気孔の気孔範囲14とが表れる。透明板などからなるフレーム21の所定の範囲に、縦横に並んだ升目22を形成し、図1では縦10個×横10個のものを例示している。そして各升目22において一番面積を占める範囲をその対応する範囲として数え、気孔範囲14を除いた表面の黒鉛範囲13の面積率と銅範囲11の面積率を算出する。説明のために、図1(B)は、升目22を各範囲11、12、13、14に塗り分けたものを示し、例えば、図1(B)において、各升目22の数は、銅範囲11が40個、鉄範囲12が30個、黒鉛範囲13が10個、気孔範囲14が20個である。気孔範囲14を除いた表面の黒鉛範囲13が占める面積率が遊離黒鉛の面積率であり、遊離黒鉛の面積率は、10/80×100=12.5%となる。同様に、気孔範囲14を除いた表面の銅範囲11が占める面積率が銅相の面積率であり、銅相の面積率は、40/80×100=50%となる。表面全体の気孔範囲14が占める面積率が気孔率であり、気孔率は、20/100×100=20%となる。
一例として、遊離黒鉛が分散分布した本発明例の鉄銅基焼結含軸受の内径表面の写真を図2に示す。
圧環強さはJIS Z 2507に準じた方法で測定した。
軸受内径表面の鉄相の硬さは、軸受の端面を金属組織が見えるまで研磨を行い、マイクロビッカースを用いて、鉄又は鉄合金の相を選定して狙い、測定荷重50gで3点の硬さを測定し、その平均値を求めた。
各試験片の成分組成、遊離黒鉛の面積率、銅相の面積率、気孔率、圧環強度、鉄相の硬さ、及び、摩耗試験後の軸受と相手軸の最大摩耗深さを表2に示す。
なお、表2の耐荷重添加剤の欄の「P系」はリン化合物、「Zn系」はジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、「S系」は硫黄化合物のことを指す。
Figure 0007129389000002
これらの結果により、硫黄系の耐荷重添加剤を含む潤滑油を含侵させた比較例の軸受に対し、硫黄系の耐荷重添加剤を含まない本発明例の軸受は、顕著に優れた耐摩耗性を有することが明らかになった。

Claims (1)

  1. 金属材料成分に質量%で、銅:10~55%、スズ:0.5~4%、亜鉛:0~4%、リン:0~0.6%、黒鉛:0.2~5%を含み、残部が鉄であり、少なくとも軸受内径表面に銅相と遊離黒鉛が偏析し、軸受内径表面において、銅相の面積率が30%以上、遊離黒鉛の面積率が5~35%、鉄相の硬さがHv200以下であり、リン系の耐荷重添加剤を含み硫黄系の耐荷重添加剤を含まない、ポリアルファオレフィン系潤滑油又はエステル系潤滑油を含浸させた鉄銅基焼結含油軸受であって、外径:18mm×内径:8mm×高さ:8mmの寸法を有するリング状の前記鉄銅基焼結含油軸受に外径:8mmのS45C炭素鋼製軸を挿入し、前記鉄銅基焼結含油軸受の外側から200kgfの荷重をかけながら、前記S45C炭素鋼製軸を2m/分で100時間回転させた後において、前記鉄銅基焼結含油軸受の摺動面の最大摩耗深さが35μm以下であり、前記S45C炭素鋼製軸の摺動部の最大摩耗深さが8μm以下であることを特徴とする鉄銅基焼結含油軸受。
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