以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係などは正確に図示されたものではない。図1から図3、図5(a)から図7、図9から図11および図14(a)から図16のそれぞれには、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、露光装置10の主走査方向がY軸方向とされ、露光装置10の副走査方向がX軸方向とされ、X軸方向とY軸方向との両方に直交する垂直方向がZ軸方向とされている。具体的には、重力方向(鉛直方向)が-Z方向とされている。また、図6(a)から図7、図10、図11および図14(a)から図16のそれぞれには、互いに直交するx軸およびy軸が付されている。ここでは、空間光変調器820としてのDMDにおいて複数のマイクロミラーM1が配列されている第1の方向(第1配列方向ともいう)がx軸方向とされ、このDMDにおいて複数のマイクロミラーM1が配列されている第2の方向(第2配列方向ともいう)がy軸方向とされている。
<1.第1実施形態>
<1-1.露光装置>
図1は、第1実施形態に係る露光装置10の概略的な構成の一例を示す側面図である。図2は、第1実施形態に係る露光装置10の概略的な構成の一例を示す平面図である。
露光装置10は、処理対象物に、CADデータなどに応じて空間変調したパターン光(描画光)を照射して、パターンを露光(描画)する装置(パターン露光装置ともいう)である、直描型の描画装置である。処理対象物には、例えば、レジストなどの感光材料の層が形成された基板Wなどが適用される。基板Wには、例えば、半導体基板、プリント基板、液晶表示装置などに具備されるカラーフィルタ用基板、液晶表示装置またはプラズマ表示装置などに具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板ならびに太陽電池パネル用基板などが含まれる。以下の説明では、基板Wが、長方形状の基板であるものとする。基板Wに露光(描画)されるパターンには、例えば、回路パターンが適用される。
露光装置10は、例えば、基台15および支持フレーム16を備えている。支持フレーム16は、例えば、基台15上に位置し、基台15をX軸方向に沿って横断している状態にある門型状の形状を有する。また、露光装置10は、例えば、ステージ4、ステージ駆動機構5、ステージ位置計測部6、露光部8および制御部9を備えている。
<ステージ4>
ステージ4は、基板Wを保持するための部分(保持部ともいう)である。ステージ4は、例えば、基台15の上に位置している。具体的には、ステージ4は、例えば、平板状の外形を有する。この場合、ステージ4は、例えば、平坦な上面の上に水平に沿った姿勢で載置された基板Wを保持することができる。ここで、例えば、ステージ4の上面に複数の吸引孔(図示省略)が存在していれば、ステージ4は、これらの複数の吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することで、ステージ4の上面に基板Wを固定した状態で保持することができる。
<ステージ駆動機構5>
ステージ駆動機構5は、例えば、ステージ4を基台15に対して移動させることができる。これにより、ステージ駆動機構5は、例えば、ステージ4を露光部8に対して相対的に移動させることができる。ステージ駆動機構5は、例えば、基台15上に位置している。ステージ駆動機構5は、例えば、回転機構51、支持プレート52および副走査機構53を有する。回転機構51は、例えば、ステージ4を回転方向(Z軸周りの回転方向(θ方向))に回転させることができる。支持プレート52は、例えば、回転機構51を介してステージ4を支持している。副走査機構53は、例えば、支持プレート52を副走査方向(X軸方向)に移動させることができる。これにより、ステージ駆動機構5は、例えば、副走査方向に沿ってステージ4を露光部8に対して相対的に移動させることができる。また、ステージ駆動機構5は、例えば、ベースプレート54および主走査機構55を有する。ベースプレート54は、例えば、副走査機構53を介して支持プレート52を支持している。主走査機構55は、例えば、ベースプレート54を主走査方向(Y軸方向)に移動させることができる。これにより、ステージ駆動機構5は、例えば、主走査方向に沿ってステージ4を露光部8に対して相対的に移動させることができる。
具体的には、回転機構51は、例えば、ステージ4の上面(基板Wが載置される被載置面)の中心を通り、この被載置面に垂直な仮想の回転軸Aを中心としてステージ4を回転させることができる。回転機構51の構成としては、例えば、回転軸部511および回転駆動部(例えば、回転モータ)512とを含む構成が採用され得る。この場合には、回転軸部511は、鉛直方向(-Z方向)に沿って延在している状態にある。回転軸部511の上端は、例えば、ステージ4の裏面側に固定されている状態にある。回転駆動部512は、例えば、回転軸部511の下端を回転自在に保持している状態にあり、回転軸部511を回転させることができる。このような構成によれば、例えば、回転駆動部512による回転軸部511の回転に応じて、ステージ4が水平面内で回転軸Aを中心として回転し得る。ここでは、例えば、回転機構51を設ける代わりに、後述するパターンデータ960にアフィン変換などの公知の回転補正を施すことで回転方向の位置合わせなどを行っても良い。
副走査機構53は、例えば、リニアモータ531および一対のガイド部材532を有する。リニアモータ531は、例えば、支持プレート52の下面に取り付けられた状態で位置している移動子と、ベースプレート54の上面に敷設された状態で位置している固定子と、を有する。一対のガイド部材532は、例えば、ベースプレート54の上面に、副走査方向に沿って互いに平行な状態で敷設された状態で位置している。ここで、各ガイド部材532と支持プレート52との間には、例えば、ボールベアリングが位置している。このボールベアリングは、例えば、ガイド部材532に対して摺動しながらこのガイド部材532の長手方向(副走査方向)に沿って移動することができる。このため、支持プレート52は、ボールベアリングを介して一対のガイド部材532によって支持されている状態にある。これにより、例えば、リニアモータ531を動作させると、支持プレート52は、一対のガイド部材532に案内されつつ副走査方向に沿って滑らかに移動し得る。
主走査機構55は、例えば、リニアモータ551および一対のガイド部材552を有する。リニアモータ551は、例えば、ベースプレート54の下面に取り付けられた状態にある移動子と、基台15上に敷設された状態にある固定子と、を有する。一対のガイド部材552は、例えば、基台15の上面に、主走査方向に沿って互いに平行に敷設された状態にある。ここで、各ガイド部材552には、例えば、機械の直線運動部を"転がり"を用いてガイドする機械要素部品としてのLMガイド(登録商標)を適用することができる。また、各ガイド部材552とベースプレート54との間に、例えば、エアベアリングが位置していれば、ベースプレート54は一対のガイド部材552に対して非接触の状態で支持される。このような構成が採用されれば、例えば、リニアモータ551を動作させると、ベースプレート54は、一対のガイド部材552に案内されつつ主走査方向に沿って摩擦を生じずに滑らかに移動し得る。
<ステージ位置計測部6>
ステージ位置計測部6は、例えば、ステージ4の位置を計測することができる。ステージ位置計測部6としては、例えば、干渉式のレーザ測長器が採用される。干渉式のレーザ測長器は、例えば、ステージ4の外からステージ4に向けてレーザ光を出射するとともにその反射光を受光し、この反射光と出射光との干渉に基づいてステージ4の位置(具体的には、主走査方向に沿うY方向の位置)を計測することができる。ここでは、例えば、レーザ測長器に代えて、リニアスケールを用いても良い。
<露光部8>
露光部8は、例えば、パターン光を形成して、そのパターン光を基板Wに照射することができる。露光部8は、例えば、複数の露光ユニット800およびセンサ部850を有する。図3は、第1実施形態に係る露光ユニット800およびセンサ部850の構成を示す概略斜視図である。図4は、第1実施形態に係る露光ヘッド82およびセンサ部850の構成を示す概略側面図である。図4では、ミラー825が省略されており、空間光変調器820、第1結像光学系822、マイクロレンズアレイ部(MLA部ともいう)824、第2結像光学系826およびセンサ部850が同一の光軸上に並べられている。露光部8は、例えば、図3でそれぞれ示される複数台(ここでは9台)の露光ユニット800を有する。ここでは、例えば、露光部8における露光ユニット800の台数は、9台でなくてもよく、1台以上であってもよい。各露光ユニット800は、例えば、露光ヘッド82を有しており、支持フレーム16によって支持されている。ここでは、支持フレーム16は、例えば、X軸方向に並んでいる複数の露光ヘッド82をそれぞれ含み且つY軸方向に並んでいる複数(例えば、2つ)の露光ヘッド82の列を支持している状態で位置している(図2および図9参照)。
<光源部80>
光源部80は、例えば、露光部8が基板Wに照射するパターン光のもととなる光を発生させることができる。例えば、各露光ユニット800が、1つの光源部80を有していてもよいし、複数の露光ユニット800が、1つの光源部80を有していてもよい。
図5(a)は、第1実施形態に係る光源部80の構成の一例を示す概略側面図である。図5(b)は、第1実施形態に係る光源部80の構成の一例を示す概略平面図である。図5(a)および図5(b)で示されるように、光源部80は、例えば、光源80aと、照明光学系80bと、を有する。
光源80aは、例えば、複数の半導体レーザLD1を有する。ここで、複数の半導体レーザLD1は、例えば、図5(a)で示されるように鉛直方向(-Z方向)に並んでいてもよいし、図5(b)で示されるように水平方向(X軸方向)に並んでいてもよい。複数の半導体レーザLD1は、それぞれレーザ光を発する。
照明光学系80bは、例えば、コリメートレンズアレイ80b1、集光レンズ80b2およびロッドインテグレータ80b3を有する。
コリメートレンズアレイ80b1は、例えば、複数のコリメートレンズCL1が配列された部分である。マイクロレンズアレイ80b1には、例えば、各半導体レーザLD1から発せられる光を平行光にするコリメートレンズとしての機能をそれぞれ有する複数の微小なレンズ(マイクロレンズ)が一体的に構成されたものが適用される。集光レンズ80b2は、例えば、各半導体レーザLD1から発せられてマイクロレンズで平行光とされたレーザ光をロッドインテグレータ80b3の第1端面Ef1に対して集光する。
ロッドインテグレータ80b3は、例えば、第1端面Ef1から入射される光を内部で複数回反射させることで、ロッドインテグレータ80b3の第2端面(不図示)から出射される光を、光軸に垂直な断面における強度分布が略均一な光とすることができる。これにより、照明光学系80bは、光源80aから出力された光(スポットビーム)を、光軸に垂直な断面における強度分布が略均一な光とすることができる。ここでは、ロッドインテグレータ80b3の代わりに、例えば、フライアイレンズなどのその他の構成によって、光軸に垂直な断面における強度分布が略均一な光とされてもよい。
光源部80から出力された光は、露光ヘッド82に入力される。ここで、例えば、1つの光源部80から出力されるレーザ光が、複数のレーザ光に分割されて、複数の露光ヘッド82に入力されてもよい。
<露光ヘッド82>
露光ヘッド82は、例えば、空間光変調器820、第1結像光学系822、MLA部824、ミラー825および第2結像光学系826を有する。また、露光ヘッド82は、例えば、測定器84を有していてもよい。
第1実施形態では、例えば、図3で示されるように、空間光変調器820、第1結像光学系822およびMLA部824は、支持フレーム16の+Z方向の端部側(上側)に位置している。そして、例えば、第2結像光学系826および測定器84は、支持フレーム16の+Y方向の端部側(側方側)に位置している。このような露光ヘッド82は、例えば、第1の収容ボックス(不図示)に収容されている状態で位置している。この場合には、第1の収容ボックスは、支持フレーム16の+Z方向の端部側において+Y方向に延び、さらに支持フレーム16の+Y方向の端部側において-Z方向に延びている状態で位置している。光源部80は、例えば、第1の収容ボックスの+Z方向の端部側に固定された状態で位置している第2の収容ボックス802内に位置している。ここでは、例えば、光源部80から-Z方向に出力された光は、ミラー804で反射して、空間光変調器820に入射する。これにより、例えば、光源部80から出力される光軸に垂直な断面における強度分布が略均一な光が空間光変調器820に照射される。
また、第1実施形態では、図3で示されるように、空間光変調器820、第1結像光学系822およびMLA部824は、第1結像光学系822の光軸822pに沿った一直線上に位置している。ここで、図3で示されるように、第1結像光学系822およびMLA部824を通過したパターン光は、+Y方向に進んでミラー825に照射され、-Z方向に反射する。この反射したパターン光は、第2結像光学系826に入射する。このため、例えば、露光ヘッド82に含まれている構成のうち、一部の構成がY軸方向に沿った一直線上に位置し、他の一部の構成がZ軸方向に沿った一直線上に位置している。換言すれば、例えば、露光ヘッド82に含まれている複数の構成が、L字状の経路上に並んでいる。これにより、例えば、露光ヘッド82に含まれている複数の構成が、Z軸方向に沿った一直線上に位置している場合と比較して、Z軸方向における露光ヘッド82の高さが低減され得る。その結果、例えば、露光装置10の高さが低減されて、露光装置10の設置の自由度が高まり得る。また、このように、露光ヘッド82に含まれている複数の構成が、L字状の経路上に並んでいれば、ステージ4上の基板Wにおける主走査方向としてのY軸方向は、空間光変調器820、第1結像光学系822およびMLA部824におけるZ軸方向に対応する。
<空間光変調器820>
空間光変調器820は、例えば、デジタルミラーデバイス(DMD)を有する。図6(a)は、第1実施形態に係るDMDの構成の一例を示す概略正面図である。図6(b)は、第1実施形態に係るDMDを構成する複数のマイクロミラーM1の区分けの一例を示す概略正面図である。
DMDは、例えば、2次元状に配列された複数のマイクロミラーM1を有する。図6(a)の例では、DMDは、例えば、第1配列方向としての+x方向および第2配列方向としての+y方向にそれぞれ並べられるように、2次元状に配列された複数のマイクロミラーM1を有する。DMDには、例えば、多数(例えば、1920×1080=1966080)個のマイクロミラーM1がメモリセル上にマトリックス状に配列された空間変調素子が適用される。ここでは、例えば、+x方向に1920個のマイクロミラーM1が配列され、+y方向に1080個のマイクロミラーM1が配列されている態様が考えられる。ここで、例えば、DMDにおける+x方向および+y方向のそれぞれに沿ったマイクロミラーM1の個数は、適宜変更されてもよい。
DMDは、例えば、光源部80からの入射光のうち、基板Wに対する描画に用いるパターン光の形成に必要な光(必要光ともいう)と、パターン光の形成に必要でない光(不必要光ともいう)とを、互いに異なる方向に反射する。これにより、DMDは、入射光を空間変調することができる。換言すれば、DMDは、例えば、基板Wに向けて光をそれぞれ発することが可能である複数のマイクロミラーM1を有する部分(発光部ともいう)である。ここで、複数のマイクロミラーM1は、例えば、基板Wに向けて光をそれぞれ発する複数の領域(発光領域ともいう)としての役割を果たす。ここでは、複数のマイクロミラーM1は、光源部80からの光をそれぞれ反射することで基板Wに向けて光をそれぞれ発することが可能である複数の反射部である。このように、例えば、光源部80からの光を反射するタイプの空間光変調器820を用いれば、光源部80からの光の強度が大きい場合でも、複数のマイクロミラーM1において吸収されるエネルギーが小さくなる。このため、例えば、空間光変調器820における温度の上昇に起因する熱膨張が生じにくい。これにより、例えば、基板Wに対する露光の精度が低下しにくい。
ここで、各マイクロミラーM1は、例えば、マイクロミラーM1側から平面視した場合に、1辺が約10.8μmの正方形状である1画素を構成している。このため、DMDは、マイクロミラーM1側から平面視した場合に、例えば、約2cm×約1cmの矩形状の外形を有する。DMDでは、例えば、制御部9からの制御信号に基づいて、メモリセルにデジタル信号が書き込まれ、マイクロミラーM1のそれぞれが、対角線を中心として所要の角度に傾く。これにより、デジタル信号に応じたパターン光が形成される。
図6(a)および図6(b)で示されるように、DMDは、複数のマイクロミラーM1のうちの一部のマイクロミラーM1を含む領域(第1領域ともいう)Ar1を有する。換言すれば、DMDでは、全てのマイクロミラーM1によって構成される領域(空間変調領域ともいう)A0の一部が第1領域Ar1となっている。第1領域Ar1に配列された複数のマイクロミラーM1は、基板Wに照射するパターン光を形成するために通常使用される。換言すれば、第1領域Ar1は、基板Wをパターン光で露光させて描画を行うための領域(描画用領域ともいう)である。第1領域Ar1は、例えば、空間変調領域A0のうち、第2配列方向(+y方向)における中央部分に位置している。
図7は、第1実施形態に係るDMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1の配列状態の一例を示す概略正面図である。図7では、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1の位置を、左上を原点とした+x方向の座標および+y方向の座標を付した形式であるM1(x,y)で示している。図7で示されるように、第1領域Ar1には、例えば、第1配列方向(+x方向)に並んだ所定数(第1所定数ともいう)v1のマイクロミラーM1をそれぞれ含む、所定数(第2所定数ともいう)v2の本数のマイクロミラーM1の列G1が第2配列方向(+y方向)に並んでいる。第1所定数v1および第2所定数v2は、それぞれ適宜設定される。例えば、第1所定数v1には、1920が適用され、第2所定数v2には、464が適用される。ここでは、-Y方向に第1領域Ar1を平面視した場合に、マイクロミラーM1が、1辺が約10.8μmの正方形状であれば、第1領域Ar1は、第1配列方向(+x方向)に沿った一辺が約20.7mmであり且つ第2配列方向(+y方向)に沿った一辺が約5.0mmである矩形状の領域である。このような場合には、例えば、図6(a)で示されるように、光源部80から出力された光が、DMDにおける第1領域Ar1を包含し且つ第1領域Ar1よりも1回り大きなエリア(照射エリアともいう)Ap1に照射される。図6(a)では、第1領域Ar1および照射エリアAp1のそれぞれの外縁が太い2点鎖線で描かれている。この照射エリアAp1には、例えば、第1配列方向(+x方向)に沿った一辺が約21.0mmであり且つ第2配列方向(+y方向)に沿った一辺が約6.0mmの矩形状のエリアが適用される。ここでは、例えば、照射エリアAp1が、第1領域Ar1に対して、+x方向、-x方向、+y方向および-y方向に1回り大きなエリアであれば、光源部80から出力された光が第1領域Ar1の全域に確実に照射され得る。この場合には、照射エリアAp1には、第1領域Ar1の+y方向および-y方向にそれぞれ0.5mm程度の第1領域Ar1外のエリアが存在する状態となる。
また、図6(b)および図7で示されるように、第1領域Ar1は、例えば、第2配列方向(+y方向)において互いに逆側に位置している、第1端部および第2端部を有する。第1端部としては、例えば、第1領域Ar1の-y方向の側に位置している第1配列方向(+x方向)に沿った第1辺Sd1が採用される。第2端部としては、例えば、第1領域Ar1の+y方向の側に位置している第1配列方向(+x方向)に沿った第2辺Sd2が採用される。また、DMDは、例えば、第1領域Ar1の周囲に位置している、第1辺Sd1に沿った領域(第2領域ともいう)Ar2と、第2辺Sd2に沿った領域(第3領域ともいう)Ar3と、を有する。ここで、例えば、第2領域Ar2は、照射エリアAp1のうち、第1領域Ar1から-y方向にはみ出た領域に設定され、第3領域Ar3は、照射エリアAp1のうち、第1領域Ar1から+y方向にはみ出た領域に設定される。
第1実施形態では、例えば、基板Wにパターンを露光する際に、DMDを構成する複数のマイクロミラーM1のうち、第1領域Ar1を構成する複数のマイクロミラーM1を用いる。そして、第1領域Ar1を構成する複数のマイクロミラーM1のうちの1つ以上のマイクロミラーM1について、基板Wに対する露光量を低下させる不具合がある場合には、第1領域Ar1に隣接する第2領域Ar2および第3領域Ar3における1つ以上のマイクロミラーM1を用いて、露光量の低下を補う。このため、例えば、第2領域Ar2および第3領域Ar3を含む領域を、基板Wに対する露光量を補正するための領域(補正用領域ともいう)Ar10として用いる。
また、第1実施形態では、DMDは、第2配列方向(+y方向)に沿った仮想線が、Y軸に平行な基準軸Ax0を中心として、主走査方向に対応する方向(第1方向ともいう)としての+Z方向に沿った仮想線に対して角度(傾斜角度ともいう)αを成すように傾斜している。ここで、傾斜角度αは、DMDを構成する複数のマイクロミラーM1において、第2配列方向(+y方向)に沿ってn個(nは自然数)進むごとに、X軸方向においてマイクロミラーM1の一辺の長さだけ位置がずれるような角度とされている。ここでは、tanα=1/nの式が成立する。この場合には、例えば、1つの露光ユニット800が主走査方向に沿って基板Wにパターン光を照射する際に、基板Wにおいてパターン光が走査される軌跡(走査軌跡とも走査線ともいう)の本数は、第1領域Ar1の第1配列方向(+x方向)におけるマイクロミラーM1の数である第1所定数v1の約n倍となる。つまり、DMDの傾斜角度αにより、露光の解像度が約n倍に向上している。
ここで、例えば、第1所定数v1が1920であり、自然数nが58である場合を想定する。この場合には、1つの露光ユニット800が主走査方向に沿って基板Wにパターン光を照射する際に、基板Wにおける走査線の本数は、例えば、111360(=1920×58)本となる。また、ここでは、例えば、1つの露光ユニット800が第1領域Ar1の複数のマイクロミラーM1によって主走査方向に沿って基板Wにパターン光を照射すれば、基板Wにおける同一の走査線上の同一箇所に、第2所定数v2を自然数nで除した値(第3所定数ともいう)v3(=v2/n)の回数だけパターン光を照射することができる。換言すれば、例えば、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する多重露光を行わせることができる。ここで、例えば、第1所定数v1が1920であり、第2所定数v2が464であり、自然数nが58であれば、第3所定数v3は8となる。
また、ここでは、補正用領域Ar10は、第2配列方向(+y方向)に沿って、n個のマイクロミラーM1を有する。このため、補正用領域Ar10には、例えば、第1配列方向(+x方向)に並んでいる第1所定数v1のマイクロミラーM1をそれぞれ含む、n本のマイクロミラーM1の列が第2配列方向(+y方向)に並んでいる。例えば、第1所定数v1に1920が適用され、自然数nに58が適用される。また、補正用領域Ar10では、例えば、第2領域Ar2および第3領域Ar3のそれぞれにおける第2配列方向(+y方向)に沿ったマイクロミラーM1の数は、互いに同一の数であるn/2であってもよいし、互いに異なる数であってもよい。
<第1結像光学系822>
第1結像光学系822は、第1鏡筒8220および第2鏡筒8222を有する。図4で示されるように、第1鏡筒8220は、第1レンズ10Lを保持している状態にある。第2鏡筒8222は、第2レンズ12Lを保持している状態にある。第1レンズ10Lおよび第2レンズ12Lは、空間光変調器820によって形成されたパターン光の経路上に位置している。図3で示されるように、例えば、第1結像光学系822の光軸822pは、Y軸方向に沿って位置している。ここで、第1レンズ10Lは、例えば、空間光変調器820の各マイクロミラーM1から出力されたパターン光をY軸方向に沿った平行光に整えて第2レンズ12Lに導くことができる。第1レンズ10Lは、例えば、1つのレンズで構成されてもよいし、複数のレンズで構成されてもよい。第2レンズ12Lは、例えば、像側テレセントリックのものであり、第1レンズ10Lからのパターン光を、第2レンズ12Lの光軸822pに対して平行な状態でMLA部824に導くことができる。ここでは、第1結像光学系822には、例えば、空間光変調器820で形成されたパターン光を、1倍を超える横倍率(例えば、約2倍)で結像する拡大光学系が適用される。この場合、例えば、第2レンズ12Lの半径は、第1レンズ10Lの半径よりも大きくなっている。第1鏡筒8220および第2鏡筒8222は、例えば、支持フレーム16に対して直接的もしくは他の部材を介して間接的に固定されている状態で位置している。他の部材には、例えば、上述した第1の収容ボックスなどが含まれ得る。
<マイクロレンズアレイ部(MLA部)824>
MLA部824は、マイクロレンズアレイ(MLAともいう)824aを有する。このMLA824aは、複数のマイクロレンズML1を有する。第1実施形態のMLA824aでは、複数のマイクロレンズML1が一体的に構成されている状態で位置している。複数のマイクロレンズML1は、例えば、空間光変調器820における複数の発光領域としての複数のマイクロミラーM1に対応するようにマトリックス状に配列している状態で位置している。第1実施形態では、第1配列方向(+x方向)および第2配列方向(+y方向)のそれぞれにおいて、予め設定された所定のピッチで、複数のマイクロレンズML1が位置している。そして、空間光変調器820における複数の発光領域としての複数のマイクロミラーM1のそれぞれが発する光の経路(光路ともいう)上に、マイクロレンズML1がそれぞれ位置している。これにより、複数のマイクロレンズML1のそれぞれには、マイクロミラーM1が発するビームの1画素分のスポットが形成される。
マイクロレンズアレイ824aで形成される複数のスポット(集光スポットともいう)の配列およびピッチは、マイクロレンズアレイ824aにおける複数のマイクロレンズML1の配列およびピッチに対応する。ここでは、複数の集光スポットを有して構成されているスポットアレイ824SAが形成される。ここで、例えば、空間光変調器820で形成された約20mm×約6mmのパターン光は、第1結像光学系822によって約2倍に拡大されて、像サイズが約40mm×約12mmであるスポットアレイ824SAを形成する。ここで、DMDの各マイクロミラーM1からの光は、マイクロレンズML1によって集光されるため、各マイクロミラーからの光が結ぶスポットのサイズは絞られて小さく保たれる。このため、基板Wに投影される像(DMD像)の鮮鋭度は高く保たれ得る。
<第2結像光学系826>
第2結像光学系826は、例えば、MLA部824における複数のマイクロレンズML1から出射される光の経路上に位置している。この第2結像光学系826は、例えば、第1鏡筒8260および第2鏡筒8262を有する。第1鏡筒8260は、例えば、第1レンズ20Lを保持している状態にある。第2鏡筒8262は、例えば、第2レンズ22Lを保持している状態にある。第1レンズ20Lおよび第2レンズ22Lは、例えば、Z軸方向に所要の間隔をあけて、支持フレーム16に対して固定されている状態にある。より具体的には、第1鏡筒8260および第2鏡筒8262は、例えば、連結部材によって一体に連結されており、これらの鏡筒間の間隔が一定に維持されている。この連結部材としては、例えば、第1鏡筒8260および第2鏡筒8262を収容する筐体が採用される。第1レンズ20Lは、1つのレンズで構成されてもよいし、複数のレンズで構成されてもよい。
第2結像光学系826は、例えば、両側テレセントリックとされている。例えば、第2結像光学系826の像側がテレセントリックとされていれば、基板Wの感光材料の位置がパターン光の光軸方向にずれても、パターン光の像の大きさが一定となり、高精度での露光が可能である。ここで、例えば、第2結像光学系826の物体側もテレセントリックとされていれば、仮に、第1結像光学系822の第2レンズ12LおよびMLA部824が光軸方向に移動可能であっても、第2結像光学系826の像側におけるパターン光の像の大きさが維持されたまま基板Wの感光材料の露光を行うことが可能である。
第2結像光学系826の第2レンズ22Lには、例えば、1倍を超える横倍率(例えば、約3倍)でパターン光を拡大して結像する拡大光学系が適用される。このとき、第2レンズ22Lの半径は、第1レンズ20Lの半径よりも大きい。このため、例えば、スポットアレイ824SAは、第2結像光学系826によって約3倍に拡大されて、約120mm×約36mmの大きさとなり、基板Wに投影される。ここでは、基板Wの感光材料の上面が、露光ヘッド82によってパターン光が投影される面(投影面ともいう)FL1である。
<露光ヘッド82によるパターン光の投影>
上記構成を有する第1実施形態に係る露光ヘッド82によれば、空間光変調器のDMDによって形成されたパターン光は、第1結像光学系822、MLA部824および第2結像光学系826を介して、基板Wに投影される。そして、DMDによって形成されるパターン光は、主走査機構55によるステージ4の移動に伴って、主走査機構55のエンコーダー信号を元に作られるリセットパルスによって連続的に変更される。これにより、パターン光が基板Wに照射され、ストライプ状の像が形成される(図9参照)。
ここで、例えば、第1結像光学系822の第2レンズ12LおよびMLA部824を光軸方向(ここでは、Y軸方向)に移動可能に保持するレンズ移動部が存在していてもよい。このレンズ移動部は、例えば、移動プレート、一対のガイドレールおよび移動駆動部を備えて構成され得る。例えば、一対のガイドレールは、例えば、支持フレーム16上に位置している。移動プレートは、例えば、矩形の板状に形成された部材であって、ガイドレール上に位置している。第2鏡筒8222およびMLA部824は、例えば、移動プレートの上面に、Y軸方向に所要の間隔をあけて固定された状態で位置している。このとき、例えば、移動プレートは、移動駆動部からの駆動力を受けて、一対のガイドレールに案内されつつ、Y軸方向に沿って移動することが可能である。これにより、第2レンズ12LおよびMLA部824は、第1レンズ10Lに対して近づく方向(-Y方向)および離れる方向(+Y方向)に移動することができる。移動駆動部は、例えば、リニアモータ式またはボールネジ式の駆動部などで構成される。この移動駆動部は、例えば、制御部9からの制御信号に基づいて移動プレートを移動させることができる。
このように、例えば、第2レンズ12LおよびMLA部824が、光軸方向(Y軸方向)に移動可能であれば、図3に示すように、測定器84が存在していてもよい。測定器84は、露光ヘッド82と基板Wの表面(投影面FL1)との間の離間距離を測定することができる。測定器84は、例えば、第2鏡筒8262の下端部、第2結像光学系826から離れた位置または支持フレーム16上に配置される。測定器84は、例えば、レーザ光を基板Wに照射する照射器840と、基板Wで反射したレーザ光を受光する受光器842とを有する。照射器840は、例えば、基板Wの表面に対する法線方向(ここでは、Z軸方向)に対して所定の角度傾斜した軸に沿って、基板Wの上面にレーザ光を照射する。受光器842は、例えば、Z軸方向に延びるラインセンサを有し、そのラインセンサ上において基板Wの上面で反射したレーザ光の入射位置を検出することができる。これにより、例えば、露光ヘッド82と基板Wの表面(投影面FL1)との間の離間距離が測定され得る。制御部9は、測定器84で検出された離間距離に係る信号に応じて、露光ヘッド82が出力するパターン光の光軸方向における結像位置(ピント位置)を調整することができる。この場合には、例えば、制御部9は、レンズ移動部に制御信号を出力して移動プレートを移動させることで、第2鏡筒8222の第2レンズ12LおよびMLA部824をY軸方向に沿って移動させることができる。
ここで、例えば、基板Wの表面(投影面FL1)のうちの第2結像光学系826から出力されるパターン光が照射される位置に測定器84が近接していれば、露光の直前または露光とほぼ同時に、基板Wの表面(投影面FL1)の高さの変動が測定され得る。このとき、例えば、その測定結果に基づいて、制御部9によってパターン光のピント位置が調整され得る。また、例えば、基板Wの表面(投影面FL1)の各部分の高さを露光前に測定しておき、各部分ごとに露光ヘッド82が露光するタイミングで制御部9がピント位置を調整してもよい。
<センサ部850>
センサ部850は、例えば、光学系851と、センサ852と、を有する。光学系851およびセンサ852は、例えば、空間光変調器820から発せられて第1結像光学系822および第2結像光学系826を通過した光の経路上に位置することができるように配置されている。具体的には、例えば、図3および図4で示されるように、露光ヘッド82が基板Wにパターン光を照射する際に露光ヘッド82によってパターン光が投影される投影面FL1が位置する面を仮想基準面とした場合に、センサ部850は、仮想基準面を挟んで、露光ヘッド82とは逆側に位置することができる。センサ部850は、例えば、基台15上において、露光部8の直下からステージ4が退避している状態で、露光ヘッド82の直下に位置するように配置される。センサ部850は、例えば、基台15の上面に沿って移動可能な状態で基台15によって保持されていてもよい。この場合には、センサ部850は、例えば、リニアモータ、リニアガイドおよびプレートの組合せなどによって、基台15の上面に沿ってX軸方向およびY軸方向のそれぞれに移動可能な構成を有する。
光学系851は、例えば、対物レンズおよび結像レンズなどを有する。対物レンズには、例えば、適切な倍率を有するレンズが適用される。結像レンズは、例えば、被写体から対物レンズを介して入射する光をセンサ852に結像させることができる。第1実施形態では、光学系851は、例えば、空間光変調器820のDMDの第1領域Ar1における各マイクロミラーM1から発せられる光を、センサ852の受光面上に結像させることができる。センサ852には、例えば、エリアセンサなどが適用される。エリアセンサは、例えば、2次元状に配列された複数の受光素子を有する。複数の受光素子の2次元状の配列状態としては、例えば、互いに直交する2方向のそれぞれに沿って複数の受光素子が並んでいる状態、または直角とは異なる角度(例えば、60°など)で交差している2方向のそれぞれに複数の受光素子が並んでいる状態、が考えられる。エリアセンサには、例えば、CCDなどの撮像素子が適用される。
上記構成を有するセンサ部850は、例えば、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1から順に発せられる光を受光して、その光をそれぞれ捉えた画像に係る信号(画像信号ともいう)を制御部9に出力することができる。制御部9では、例えば、センサ部850から入力される画像信号に基づいて、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1のそれぞれから発せられてセンサ部850に至る光の光量を認識することができる。このため、センサ部850は、例えば、空間光変調器820のDMDの第1領域Ar1における各マイクロミラーM1からステージ4によって基板Wが保持される位置に至る光の光量を検出するための情報を得ることができる。このようなセンサ部850を用いた情報の取得は、例えば、露光装置10を組み立てたタイミングおよび所定のメンテナンスのタイミングなどの種々のタイミングで実行され得る。
<制御部9>
図8は、第1実施形態に係る露光装置10のバス配線の一例を示すブロック図である。制御部9は、例えば、一般的なコンピュータの構成を有する。制御部9は、中央演算ユニット(CPU)90、読み取り専用メモリ(ROM)92、RAM(Random Access Memory)94および記憶部96を有する。CPU90は、演算回路としての機能を有する。RAM94は、CPU90の一時的なワーキングエリアとしての機能を有する。記憶部96には、例えば、不揮発性の記録媒体が適用される。
制御部9は、例えば、露光部8およびステージ駆動機構5の動作を制御することができる。制御部9は、例えば、ステージ駆動機構5の構成要素および露光部8の構成要素などを含む露光装置10の構成要素と、それぞれバス配線、ネットワーク回線またはシリアル通信回線などで接続されており、各種構成要素の動作を制御する。ステージ駆動機構5の構成要素は、例えば、回転機構51、副走査機構53および主走査機構55を含む。露光部8の構成要素は、例えば、光源部80(例えば、光源ドライバ)、空間光変調器820、測定器84およびセンサ部850などを含む。露光部8の構成要素には、例えば、第2レンズ12LおよびMLA部824を光軸方向(Y軸方向)に移動可能に保持するレンズ移動部が含まれていてもよい。
CPU90は、ROM92内に格納されているプログラム920を読み取りつつ実行することで、RAM94または記憶部96に保存されている各種データについての演算を行う電気回路である。ここでは、処理部としてのCPU90によってプログラム920が実行されることで、露光装置10の各種機能を実現する。ここで、例えば、描画制御部900、光量判定部910および照射変更部911は、CPU90がプログラム920に従って動作することで実現される機能的な要素である。これらの要素の一部または全部は、例えば、論理回路などで実現されてもよい。ここで、例えば、描画制御部900は、制御部9に接続されている各種構成要素の動作を制御することで、基板Wにパターン光(描画光)を照射することができる。ここでは、制御部9は、例えば、描画制御部900などによって、DMDのマイクロミラーM1のそれぞれを、基板Wに向けて光を発する状態(第1状態ともいう)と、基板Wに向けて光を発しない状態(第2状態という)と、に選択的に設定することができる。なお、プログラム920は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体に、制御部9により読み出し可能に記録された状態で提供され、記憶部96にインストールされる構成であっても良い。
記憶部96は、例えば、基板W上に描画すべきパターンを示すパターンデータ960を記憶する。パターンデータ960には、例えば、CADソフトなどで作成されたベクトル形式のデータを、ラスター形式のデータに展開した画像データが適用される。制御部9は、例えば、パターンデータ960に基づいて空間光変調器820のDMDを制御することで、露光ヘッド82から出力する光ビームを変調することができる。露光装置10では、例えば、主走査機構55のリニアモータ551から送られてくるリニアスケール信号に基づいて、変調のリセットパルスが生成され得る。このリセットパルスに基づいて動作する空間光変調器820のDMDによって、基板Wの位置に応じて変調されたパターン光が、各露光ヘッド82から出力され得る。第1実施形態では、パターンデータ960は、例えば、単一の画像(基板Wの全面に形成すべきパターンを示す画像)を示すものであってもよいし、その単一の画像のうちの各露光ヘッド82が描画を担当する部分の画像を個別に示すものであってもよい。このような動作により、例えば、露光装置10では、基板Wに対して、主走査方向において複数の走査線のそれぞれに沿った露光が行われる。
制御部9には、例えば、表示部980および操作部982が接続されている。表示部980には、例えば、一般的なCRTモニタまたは液晶ディスプレイなどが適用される。この表示部980は、各種データに係る画像を表示可能である。操作部982は、例えば、各種ボタン、各種キー、マウスおよびタッチパネルの少なくとも何れかで構成され、オペレータが露光装置10に各種指令を入力する際に操作される。例えば、操作部982がタッチパネルを含む場合、操作部982が表示部980の機能の一部または全部を有していてもよい。
図9は、パターン露光を行っている複数の露光ヘッド82の一例を示す概略斜視図である。図9で示されるように、複数の露光ヘッド82は、例えば、複数の列(ここでは、2列)に沿って直線状に並べられた状態で位置している。このとき、2列目の露光ヘッド82は、例えば、副走査方向(X軸方向)において、隣接する1列目の2つの露光ヘッド82の間に位置している。換言すれば、複数の露光ヘッド82は、千鳥状に並んだ状態で位置している。各露光ヘッド82の露光エリア82Rは、主走査方向(Y軸方向)に沿った短辺を有する矩形状である。ステージ4のY軸方向への移動に伴って、基板W上には、各露光ヘッド82について帯状の被露光領域8Rが形成される。ここでは、上述したように、例えば、複数の露光ヘッド82が千鳥状の配列などの相互にずれた配列を有していれば、帯状の被露光領域8RがX軸方向に隙間なく並び得る。帯状の被露光領域8RがX軸方向に隙間なく並ぶように構成すれば、副走査方向(X軸方向)へステージ4を移動させる必要がなくなるため副走査機構53は不要となる。複数の露光ヘッド82の配列は、図9に示されるものに限定されない。例えば、隣接する被露光領域8R間に、露光エリア82Rの長辺の長さの自然数倍の隙間が生じるように、複数の露光ヘッド82が配列されていてもよい。この場合、露光装置10は、例えば、Y軸方向の主走査を、X軸方向に露光エリア82Rの長辺の長さ分ずらしながら複数回行うことで、基板W上に複数の帯状の被露光領域8Rを隙間なく形成することができる。
ここで、上述したように、DMDが傾斜角度αを成すように傾斜していれば、各露光ヘッド82は、第1領域Ar1の副走査方向(X軸方向)の両端部において、走査線に対するマイクロミラーM1の数が第2所定数v2よりも少ない部分が生じる。この部分については、例えば、露光装置10は、相互に隣り合う露光ヘッド82の間で、各走査線についてマイクロミラーM1の数を補い合うことができる。
<1-2.露光の補正>
露光装置10では、例えば、制御部9は、露光部8およびステージ駆動機構5の動作によって、通常は、基板Wにおける主走査方向に沿った複数の走査線のそれぞれについて、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を照射する多重露光を実行させることが可能である。ここでは、例えば、露光装置10は、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する多重露光を行うことができる。この場合には、例えば、制御部9が、第1領域Ar1に含まれる複数のマイクロミラーM1のそれぞれを、第1状態と第2状態とに選択的に設定することで、基板Wにおける主走査方向に沿った複数の走査線のそれぞれについて、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する多重露光を行わせることができる。
図10は、第1領域Ar1の複数のマイクロミラーM1による多重露光の一例を説明するための図である。図10では、第1領域Ar1のうち、図6(b)の太い2点鎖線で囲まれた部分Pn1の複数のマイクロミラーM1による多重露光の一例が示されている。また、図10には、第1領域Ar1における基準となる1つのマイクロミラーM1(x0,y0)の中心を通り且つ主走査線に対応するZ軸に平行な仮想線Ln1が2点鎖線で描かれている。基準となる1つのマイクロミラーM1(x0,y0)は、第1領域Ar1のうちの最も第1辺Sd1に近いそれぞれ第1配列方向(+x方向)に沿ったn列のマイクロミラーM1に含まれる。このため、数値x0には、例えば、1920以下の自然数が適用され、数値y0には、例えば、1からnの自然数が適用される。
図10で示されるように、第1領域Ar1には、仮想線Ln1がそれぞれ中心を通る第3所定数v3個のマイクロミラーM1が存在する。これらの第3所定数v3個のマイクロミラーM1は、-Z方向において順に位置している、基準となる1番目のマイクロミラーM1(x0,y0)、2番目のマイクロミラーM1(x0-1,y0+n)、・・・、v3-1番目のマイクロミラーM1(x0-(v3-2),y0+(v3-2)n)およびv3番目のマイクロミラーM1(x0-(v3-1),y0+(v3-1)n)を含む。この場合には、これらの第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する多重露光が行われ得る。
ここで、例えば、第2所定数v2が464であり、数値x0が1100であり、数値y0が1であり、自然数nが58である場合を想定する。この場合には、第3所定数v3個のマイクロミラーM1は、1番目のマイクロミラーM1(1100,1)、2番目のマイクロミラーM1(1099,59)、3番目のマイクロミラーM1(1098,117)、4番目のマイクロミラーM1(1097,175)、5番目のマイクロミラーM1(1096,233)、6番目のマイクロミラーM1(1095,291)、7番目のマイクロミラーM1(1094,349)および8番目のマイクロミラーM1(1093,407)を含む8つのマイクロミラーM1となる。この場合には、これらの8個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を8回照射する多重露光が行われ得る。
ところで、ここで、例えば、光源部80からDMDに照射される光が、光量のムラ(光量分布ともいう)を有していれば、基板Wにおいて露光量の不足が生じ得る。また、例えば、DMDの第1領域Ar1およびMLA824aの何れかに形状の崩れおよびゴミの付着などの欠陥(画素欠陥ともいう)が存在していれば、基板Wにおける画素欠陥に対応する位置で露光量の不足が生じ得る。
そこで、第1実施形態に係る露光装置10では、通常は、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いて基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する。そして、第1実施形態に係る露光装置10では、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いた露光において露光量が不足する場合には、DMDのうちの第1領域Ar1の周囲(例えば、補正用領域Ar10)に位置するマイクロミラーM1を用いて、基板Wの同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させる。ここでは、例えば、制御部9は、基板Wにおける複数の走査線のうちの一部の走査線について、複数のマイクロミラーM1のうちの第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1発光領域としての第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)とは逆の第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2発光領域としての第2のマイクロミラーM1の少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、基板Wにおける同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させることが可能である。
図11は、補正用領域Ar10のマイクロミラーM1によって多重露光における光の照射回数を増加させる一例を説明するための図である。図11では、第1領域Ar1および補正用領域Ar10のうち、図6(b)の太い2点鎖線で囲まれた部分Pn1に含まれる複数のマイクロミラーM1による多重露光の一例が示されている。また、図11には、図10と同様に、基準となる1つのマイクロミラーM1(x0,y0)の中心を通り且つZ軸に平行な仮想線Ln1が2点鎖線で描かれている。
図11で示されるように、補正用領域Ar10には、仮想線Ln1が中心を通るマイクロミラーM1が存在する。図11の例では、補正用領域Ar10において仮想線Ln1が中心を通るマイクロミラーM1は、マイクロミラーM1(x0-v3,y0+v3×n)である。この場合には、このマイクロミラーM1(x0-v3,y0+v3×n)によって、基板Wの同一箇所に、第1領域Ar1における第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって光を第3所定数v3の回数だけ照射するとともに、補正用領域Ar10におけるマイクロミラーM1(x0-v3,y0+v3×n)によって光を照射する多重露光が行われる。
ここで、例えば、第2所定数v2が464であり、数値x0が1100であり、数値y0が1であり、自然数nが58である場合を想定する。この場合には、補正用領域Ar10において仮想線Ln1が中心を通るマイクロミラーM1は、マイクロミラーM1(1092,465)となる。そして、この場合には、基板Wの同一箇所に、第1領域Ar1に含まれる8つのマイクロミラーM1によって光を8回照射するとともに、補正用領域Ar10に含まれる1つのマイクロミラーM1によって光を1回照射することで、光の照射回数を9回に増加させた多重露光が行われ得る。このように、例えば、基板Wの同一箇所に光が照射される回数が8回から9回に増加されれば、第1領域Ar1による予め設定された8回の光の照射による多重露光における露光量の1/8(=12.5%)の露光量が追加され得る。これにより、例えば、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いた露光において露光量が10%以上不足するような場合において、多重露光における露光量の不足に応じた補正を効果的に行うことができる。
このとき、露光装置10では、図6(b)で示されるように、例えば、DMDのうちの第1領域Ar1に含まれる複数のマイクロミラーM1に加えて、第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に突出するように位置している領域Ad2および第1領域Ar1から第2方向(-Z方向)に突出するように位置している領域Ad3の少なくとも一方の領域に含まれるマイクロミラーM1を用いて、基板Wに対する多重露光を行うことができる。
このようにして、例えば、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いて基板Wにおける各走査線上の多重露光を行う際に、第1領域Ar1の周囲に位置している通常は使用しないマイクロミラーM1を用いて多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。これにより、例えば、露光装置10において、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行いつつ、光源部80から発せられる光の利用効率を高めることができる。
ここで、制御部9は、例えば、光量判定部910によって、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いた露光において露光量が不足するか否か判定することができる。ここでは、例えば、制御部9は、光量判定部910によって、センサ部850から入力される画像信号に基づき、基板Wにおける露光部8による複数の走査線のそれぞれについて、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たすか否か判定することができる。換言すれば、例えば、制御部9は、センサ部850で得られた情報に基づいて、複数の走査線のそれぞれについて、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たすか否かを判定することができる。
ここで、上述したように、例えば、第1領域Ar1において、主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って第3所定数v3個のマイクロミラーM1が位置している場合を想定する。この場合には、例えば、制御部9は、光量判定部910によって、センサ部850から入力される画像信号に基づき、基板Wにおける露光部8による複数の走査線のそれぞれについて第3所定数v3個のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たすか否か判定することができる。換言すれば、例えば、制御部9は、センサ部850で得られた情報に基づいて、一部の走査線について第3所定数v3個のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たすか否かを判定することができる。
この判定は、例えば、次のようにして実行され得る。まず、光量判定部910は、例えば、センサ部850による撮像で得られた各画像信号に基づいて、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1のそれぞれから発せられてセンサ部850に至る光の光量を認識する。次に、光量判定部910は、例えば、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1のうちの、基板Wにおける同一の走査線上の同一箇所に多重露光を行う第3所定数v3個のマイクロミラーM1の各組について、センサ部850に至る光の光量の総和を算出する。そして、光量判定部910は、例えば、第3所定数v3個のマイクロミラーM1の各組について算出された光の照射光量の総和が、予め設定された所定条件を満たすか否か判定する。所定条件には、例えば、予め設定された照射光量の基準値に対して予め設定された所定の関係を有する条件が適用され得る。所定の関係には、例えば、第3所定数v3個のマイクロミラーM1の各組について算出された光の照射光量の総和が、照射光量の基準値に対して所定割合未満となる関係が適用され得る。ここで、所定割合には、9割などが適用される。
また、制御部9は、例えば、照射変更部911によって、基板Wにおける複数の走査線のうちの一部の走査線について、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たす場合に、複数のマイクロミラーM1のうちの第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)とは逆の第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1の少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、基板Wにおける同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。
ここで、上述したように、例えば、第1領域Ar1において、主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って第3所定数v3個のマイクロミラーM1が位置している場合を想定する。この場合には、制御部9は、例えば、照射変更部911によって、基板Wにおける複数の走査線のうちの一部の走査線について、第3所定数v3個のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たす場合に、第1領域Ar1の周囲の領域(補正用領域Ar10)における第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1のうちの少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、基板Wにおける一部の走査線の上で同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。ここで、例えば、補正用領域Ar10における第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に突出するように位置している第1のマイクロミラーM1は、第2領域Ar2に含まれる。例えば、補正用領域Ar10における第1領域Ar1から第2方向(-Z方向)に突出するように位置している第2のマイクロミラーM1は、第3領域Ar3に含まれる。
これにより、例えば、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いて基板Wにおける各走査線上の多重露光を行う際に、多重露光で照射される光の光量が足りない部分について、第1領域Ar1の周囲に位置しているマイクロミラーM1を用いて多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。これにより、例えば、DMDのうちの第1領域Ar1の周囲に照射される光を利用して、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行うことができる。したがって、例えば、露光装置10において、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行いつつ、光源部80から発せられる光の利用効率を高めることができる。
また、ここでは、照射変更部911は、例えば、光量判定部910による判定結果を得ることで、所定条件を満たしている状態か否かを認識することができる。これにより、例えば、センサ部850を用いて、第1領域Ar1における各マイクロミラーM1から基板Wが配置される位置に至る光の光量を検出した結果に応じて、多重露光で照射される光の光量が足りない部分について、第1領域Ar1の周囲に位置している補正用領域Ar10のマイクロミラーM1を用いて多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。これにより、例えば、DMDの第1領域Ar1の周囲に照射される光を利用して、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行うことができる。したがって、例えば、露光装置10において、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行いつつ、光源部80から発せられる光の利用効率を高めることができる。
また、ここでは、照射変更部911は、例えば、補正用領域Ar10のうち、基板Wに対する多重露光を行うために光を基板Wに照射する補正用のマイクロミラーM1を特定する情報を、記憶部96に記憶する。補正用のマイクロミラーM1を特定する情報には、例えば、マイクロミラーM1の位置を特定する座標(x,y)などが適用される。
そして、制御部9は、例えば、描画制御部900によって、パターンデータ960に基づいて露光ヘッド82から出力する光ビームを変調して、基板Wの露光を行う際に、記憶部96に記憶されている補正用のマイクロミラーM1を特定する情報を参照し、補正用のマイクロミラーM1も含めて、パターンデータ960に基づいてDMDを制御することができる。このとき、まず、描画制御部900は、例えば、露光に用いる補正用のマイクロミラーM1を認識する。次に、描画制御部900は、例えば、パターンデータに基づき、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1および補正用のマイクロミラーM1を制御するための信号(制御信号ともいう)を生成する。そして、DMDでは、例えば、制御部9からの制御信号に基づいて、DMDのうちの補正用のマイクロミラーM1も含めた複数のマイクロミラーM1に係るメモリセルにデジタル信号が書き込まれ、マイクロミラーM1のそれぞれが、対角線を中心として所要の角度に傾くことで、デジタル信号に応じたパターン光が形成される。このようにして形成されるパターン光によって基板Wの露光が行われる。これにより、例えば、DMDの第1領域Ar1の周囲に照射される光を利用して、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行うことができる。
<1-3.露光装置の動作>
図12は、第1実施形態に係る露光装置10における各走査線の同一箇所に対する光の照射回数の設定についての動作フローの一例を示す流れ図である。本動作フローは、例えば、制御部9が、露光装置10の各部の動作を制御することで実現される。
図12のステップSp1では、センサ部850が、DMDの第1領域Ar1における各マイクロミラーM1から発せられる光を受光して、その光をそれぞれ捉えた画像に係る画像信号を取得し、ステップSp2に進む。ここで、センサ部850で取得された画像信号は、制御部9に送信される。ここでは、センサ部850によって、DMDの第1領域Ar1における各マイクロミラーM1からステージ4によって基板Wが保持される位置に至る光の光量を検出するための情報が得られる。
ステップSp2では、光量判定部910が、判定の対象となる走査線の順番を示す数値kを1に設定する。これにより、例えば、+X方向におけるk本目(ここでは1本目)の走査線が判定の対象とされる。
ステップSp3では、光量判定部910が、k本目の走査線について、多重露光に係る照射光量を認識する。ここでは、光量判定部910は、例えば、第1領域Ar1のうちのk本目の走査線に対応する第3所定数v3個のマイクロミラーM1について、ステップSp1で取得した画像信号に基づき、センサ部850に至った光の光量の総和を算出する。
ステップSp4では、光量判定部910が、ステップSp3で算出された光量の総和が所定条件を満たすか否か判定する。所定条件には、例えば、予め設定された照射光量の基準値に対して所定割合(例えば、9割)未満となっている条件が適用される。ここでは、ステップSp3で算出された光量の総和が、所定条件を満たせば、ステップSp5に進み、所定条件を満たさなければ、ステップSp6に進む。このステップSp4では、光量判定部910は、例えば、ステップSp1においてセンサ部850で得られた情報に基づいて、k本目の走査線について2つ以上の第3所定数v3個のマイクロミラーM1による基板Wの同一箇所に対する光の照射光量が低下する所定条件を満たすか否かを判定する。
ステップSp5では、照射変更部911が、k本目の走査線について、多重露光を行うための光の照射回数を増加させる。ここでは、照射変更部911は、例えば、補正用領域Ar10のうち、k本目の走査線に対応する補正用のマイクロミラーM1を特定する情報を、記憶部96に記憶する。これにより、例えば、照射変更部911は、基板Wにおける露光部8によるk本目の走査線について、補正用領域Ar10における第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1の少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、基板Wにおけるk本目の走査線上で同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。
ステップSp6では、光量判定部910が、判定の対象となる走査線の順番を示す数値kが、最大値である数値kmaxに到達したか否か判定する。つまり、光量判定部910が、全ての走査線について判定を行った否かを判定する。数値kmaxは、例えば、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1の数を規定する第1所定数v1および第2所定数v2ならびにDMDの傾斜角度αに係る自然数nに基づき、予め決定される。ここで、数値kが、数値kmaxに到達していなければ、ステップSp7に進み、数値kが数値kmaxに到達していれば、本動作フローを終了する。
ステップSp7では、光量判定部910が、判定の対象となる走査線の順番を示す数値kを1つ増加させて、ステップSp3に進む。
図13(a)および図13(b)は、第1実施形態に係る露光装置10における露光方法についての動作フローの一例を示す流れ図である。本動作フローは、例えば、制御部9が、露光装置10の各部の動作を制御することで実現される。
図13(a)のステップSp11では、描画制御部900が、露光に用いる補正用のマイクロミラーM1を認識する。ここでは、描画制御部900は、例えば、記憶部96に記憶されている補正用のマイクロミラーM1を特定する情報を参照することで、補正用のマイクロミラーM1を認識することができる。
ステップSp12では、描画制御部900が、記憶部96に記憶されたパターンデータ960に基づいて、DMDの動作を制御するための制御信号を生成する。ここでは、描画制御部900は、例えば、記憶部96に記憶されたパターンデータ960に基づいて、第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1およびステップSp11で認識された補正用のマイクロミラーM1を制御するための制御信号を生成する。
ステップSp13では、描画制御部900が、ステップSp12で生成された制御信号に基づいて、DMDの動作を制御することで、DMDによって形成されるパターン光によって基板Wの露光を行う。ここでは、制御部9が、ステージ4に保持される基板Wに対して、基板Wにパターン光を照射する露光部8を主走査方向に沿って相対的に移動させて、基板Wの露光を行う。このとき、図13(b)で示されるように、ステップSp131の処理およびステップSp132が適宜行われる。
ステップSp131では、描画制御部900が、ステップSp12で生成された制御信号に基づき、基板Wにおける走査方向(+Y方向)に沿った複数の走査線のうちの一部の走査線以外のそれぞれについて、第1領域Ar1において走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1によって、基板Wの第1の箇所(第1箇所ともいう)に光を照射することで、多重露光を行う。ここで、例えば、第1領域Ar1において、主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って第3所定数v3個のマイクロミラーM1が位置している場合を想定する。この場合には、例えば、描画制御部900が、ステップSp12で生成された制御信号に基づき、一部の走査線以外のそれぞれについて、第1領域Ar1のマイクロミラーM1のみを用いて、基板Wの同一箇所に対して第3所定数v3の回数の光の照射によって多重露光を実行する。ここでは、例えば、描画制御部900は、第1領域Ar1における各マイクロミラーM1を、基板Wに向けて光を発する第1状態と基板Wに向けて光を発しない第2状態とに選択的に設定する。これにより、例えば、基板Wにおける主走査方向に沿った複数の走査線のうちの一部の走査線以外のそれぞれについて、第1領域Ar1における主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って位置している第3所定数v3個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光を第3所定数v3の回数だけ照射する多重露光が実行される。
ステップSp132では、描画制御部900が、ステップSp12で生成された制御信号に基づき、一部の走査線について、第1領域Ar1において第1方向(+Z方向)に沿って位置している2つ以上のマイクロミラーM1によって、基板Wの第2の箇所(第2箇所ともいう)に光を照射するとともに、複数のマイクロミラーM1のうちの第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)とは逆の第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1の少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、第2箇所に光を照射することで、多重露光を行う。ここで、例えば、第1領域Ar1において、主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿って第3所定数v3個のマイクロミラーM1が位置している場合を想定する。この場合には、例えば、描画制御部900が、ステップSp12で生成された制御信号に基づき、一部の走査線について、第1領域Ar1および補正用領域Ar10のマイクロミラーM1を用いて、基板Wの同一箇所に対して第3所定数v3よりも多い回数の光の照射によって多重露光を実行する。ここでは、例えば、描画制御部900は、第1領域Ar1における各マイクロミラーM1を、基板Wに向けて光を発する第1状態と、基板Wに向けて光を発しない第2状態と、に選択的に設定するとともに、補正用領域Ar10における第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1および第1領域Ar1から第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1の少なくとも1つのマイクロミラーM1を、適宜第1状態に設定する。これにより、基板Wにおける一部の走査線上における同一箇所に光を照射する回数を第3所定数v3よりも増加させて多重露光を行うことができる。
<1-4.第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る露光装置10によれば、例えば、DMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1を用いて基板Wにおける各走査線上の多重露光を行う際に、第1領域Ar1の周囲に位置している通常は露光に使用しないマイクロミラーM1を用いて多重露光を行うための光の照射回数を増加させることができる。これにより、例えば、露光装置10において、多重露光における露光量の不足に応じた補正を行いつつ、光源部80から発せられる光の利用効率を高めることができる。
<2.他の実施形態>
本発明は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、空間光変調器820のDMDは、第2配列方向(+y方向)に沿った仮想線が、Y軸に平行な基準軸Ax0を中心として、主走査方向に対応する第1方向(+Z方向)に沿った仮想線に対して傾斜していなくてもよい。
図14(a)は、第2実施形態に係るDMDの構成の一例を示す概略正面図である。図14(b)は、第2実施形態に係るDMDの複数のマイクロミラーM1の区分けの一例を示す概略正面図である。図15は、第2実施形態に係るDMDの第1領域Ar1における複数のマイクロミラーM1の配列状態の一例を示す概略正面図である。図14(a)、図14(b)および図15は、それぞれ図6(a)、図6(b)および図7の傾斜角度αが0°にされたものである。
図16は、第2実施形態に係る複数のマイクロミラーM1による多重露光の一例を説明するための図である。図16では、図10と同様に、第1領域Ar1における基準となる1つのマイクロミラーM1(x0,y0)の中心を通り且つ走査線に対応するZ軸に平行な仮想線Ln1が2点鎖線で描かれている。
ここでは、図14(a)、図14(b)および図15に示されるように、例えば、第2配列方向(+y方向)と第2方向(-Z方向)とが一致している。このため、第1領域Ar1において第2配列方向(+y方向)に沿って並んでいる第2所定数v2個のマイクロミラーM1の全ての中心を仮想線Ln1が通る。このため、第1領域Ar1において、仮想線Ln1がそれぞれ中心を通る第3所定数v3個のマイクロミラーM1と、第1領域Ar1において第2配列方向(+y方向)に沿って並んでいる第2所定数v2個のマイクロミラーM1と、が一致している。
DMDがこのような構成を有する場合には、例えば、制御部9は、補正用領域Ar10における第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)に飛び出すように位置している第1のマイクロミラーM1(x0,y0-1)および第1領域Ar1から第1方向(+Z方向)とは逆の第2方向(-Z方向)に飛び出すように位置している第2のマイクロミラーM1(x0,y0+v2)のうちの少なくとも1つのマイクロミラーM1によって、基板Wにおける一部の走査線上で同一箇所に多重露光を行うための光の照射回数を増加させてもよい。
<2-2.その他>
上記各実施形態において、補正用領域Ar10は、例えば、第2配列方向(+y方向)に沿って、自然数nのm倍(mは2以上の自然数)の個数のマイクロミラーM1を有していてもよい。この場合には、例えば、補正用領域Ar10には、第1配列方向(+x方向)に並んだ第1所定数v1のマイクロミラーM1をそれぞれ含む、自然数nのm倍の本数のマイクロミラーM1の列が第2配列方向(+y方向)に並んでいる。ここで、例えば、自然数nに58が適用される場合には、補正用領域Ar10は、第2配列方向(+y方向)に沿って、自然数nのm倍である、116、174、・・・個のマイクロミラーM1を有する。ここでも、補正用領域Ar10では、例えば、第2領域Ar2および第3領域Ar3のそれぞれにおける第2配列方向(+y方向)に沿ったマイクロミラーM1の数は、同一の数である(n×m)/2であってもよいし、異なる数であってもよい。このような構成が採用されれば、例えば、補正用領域Ar10におけるマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光が照射される回数が1回からm回まで増加させることができる。これにより、例えば、(100/v3)%のピッチで露光量を増加させることができる。ここで、例えば、第2所定数v2が464で、自然数nが58である場合には、第3所定数v3が8となり、補正用領域Ar10におけるm個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光が照射される回数が、8回から(8+m)回まで増加させることができる。これにより、12.5%のピッチで基板Wの露光量を増加させることができる。
上記各実施形態において、例えば、露光部8は、DMDにおける複数のマイクロミラーM1のうちの第1領域Ar1の外側に位置しているマイクロミラーM1から基板Wに至る光路上に位置している減光フィルタ(NDフィルタ)F1ndを含んでいてもよい。減光フィルタ(NDフィルタ)F1ndは、入射光を透過させる際に、入射光の一部を透過させることなく、入射光の強度を低減することができる。このような減光フィルタ(NDフィルタ)F1ndは、例えば、補正用領域Ar10の各マイクロミラーM1から基板Wに至る光路上に配置される。この場合には、例えば、MLA824aにおける全てのマイクロレンズML1のうち、補正用領域Ar10における複数のマイクロミラーM1のそれぞれが発する光の経路上に位置している複数のマイクロレンズML1上に、図3で示されるように、減光フィルタF1ndが設けられている態様が考えられる。減光フィルタF1ndは、例えば、MLA部824以外の第1結像光学系822および第2結像光学系826などに設けられてもよい。ここで、減光フィルタF1ndは、例えば、クロム(Cr)の薄膜などで構成される。減光フィルタF1ndは、例えば、マスクを用いた蒸着またはスパッタリングなどの手法で、MLA部824上に形成され得る。
減光フィルタF1ndの光の透過率(T)は、減光フィルタF1ndの厚さなどに応じて調整され得る。ここで、例えば、透過率Tを適宜変更することで、補正用領域Ar10のマイクロミラーM1によって追加される露光量を増減させることができる。例えば、補正用領域Ar10における1つのマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光が照射される回数が8回から9回に増加される場合を想定する。この場合には、仮に減光フィルタF1ndが存在していなければ、第1領域Ar1による予め設定された8回の光の照射による多重露光における露光量の1/8(=12.5%)の露光量が追加され得る。この場合において、例えば、透過率Tを有する減光フィルタF1ndが存在していれば、第1領域Ar1による予め設定された8回の光の照射による多重露光における露光量の1/8に透過率Tを乗じた露光量が追加され得る。ここで、Tが0.1(10%)であれば、第1領域Ar1による予め設定された8回の光の照射による多重露光における露光量を基準として、露光量を1.25%の増加させることが可能である。
これにより、例えば、補正用領域Ar10の各マイクロミラーM1から基板Wに至る光路上に減光フィルタF1ndを配置することで、多重露光における露光量が足りなくなる部分について、光の照射回数の増加による露光量の増加を細かく調整することができる。これにより、例えば、多重露光における露光量の不足に応じた補正を精度良く行うことができる。
ここで、例えば、上述したように、補正用領域Ar10は、例えば、第2配列方向(+y方向)に沿って、自然数nのm倍(mは2以上の自然数)の個数のマイクロミラーM1を有していれば、補正用領域Ar10におけるm個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光が照射される回数を第3所定数v3(=v2/n)回から(v3+m)回まで増加させることで、{(100/v3)×T}%のピッチで露光量を増加させることができる。具体的には、第2所定数v2が464で、自然数nが58で、透過率Tが0.1(10%)である場合には、第3所定数v3が8となり、補正用領域Ar10におけるm個のマイクロミラーM1によって、基板Wの同一箇所に光が照射される回数を8回から(8+m)回まで増加させることができる。これにより、1.25%のピッチで基板Wの露光量を増加させることができる。
上記各実施形態において、例えば、補正用領域Ar10は、第2領域Ar2および第3領域Ar3のうちの何れか一方の領域で構成されていてもよい。このような構成が採用されても、上記各実施形態と同様な効果が得られる。
上記各実施形態において、複数の発光領域は、DMDのマイクロミラーM1のように光の反射によって光を発するものに限られず、例えば、自発光などの他の形態で光を発するものであってもよい。換言すれば、例えば、発光部としての空間光変調器820は、基板Wに向けて光をそれぞれ発することが可能であり、2次元状に配列された複数の発光領域を有するものであってもよい。この場合には、空間光変調器820には、例えば、第1配列方向(+x方向)および第2配列方向(+y方向)にそれぞれ並べられるように2次元状に配列された複数の発光領域を有するものが適用される。ここでも、空間光変調器820には、例えば、第1領域Ar1と補正用領域Ar10とが存在している態様が採用され得る。第1領域Ar1には、例えば、第1配列方向(+x方向)に並んだ第1所定数v1個の発光領域をそれぞれ含む第2所定数v2本の発光領域の列が第2配列方向(+y方向)に並んでおり且つ第2配列方向(+y方向)において互いに逆側に位置している第1配列方向(+x方向)に沿った第1辺Sd1および第2辺Sd2を有する構成が適用される。補正用領域Ar10には、例えば、第1領域Ar1の周囲における第2領域Ar2および第3領域Ar3の少なくとも一方を含む構成が適用される。
ここでは、例えば、発光部としての空間光変調器820は、光源部80からの入射光のうちの、パターンの描画に寄与させる必要光と、パターンの描画に寄与させない不要光と、について透過および遮蔽を切り換えることで、入射光を空間変調してもよい。この場合には、例えば、光源部には、自発光を行うバックライトなどが適用される。空間光変調器820には、例えば、複数の領域における光の透過と遮蔽とを切り換え可能な透過型の液晶などが適用される。このような構成では、透過型の液晶が、光源部としてのバックライトから入射した光の透過によって光をそれぞれ発する複数の発光領域を有する発光部として機能する。
具体的には、空間光変調器820には、DMDとは異なる構成を有する、例えば、LCOS(Liquid crystal on silicon)またはPLV(Planar Light Valve)などのその他の空間光変調素子が適用されてもよい。ここでも、例えば、複数の発光領域が、光源部80からの光をそれぞれ反射することで基板Wに向けて光をそれぞれ発することが可能である複数の反射部を含むものであれば、光源部80からの光の強度が大きい場合でも、複数の発光領域において吸収されるエネルギーが小さくなり、発光部における温度の上昇に起因する熱膨張が生じにくい。これにより、例えば、基板Wに対する露光の精度が低下しにくい。
上記各実施形態において、例えば、発光部としての空間光変調器820では、第1配列方向(x軸方向)と第2配列方向(y軸方向)とが直交していなくてもよく、第1配列方向(x軸方向)と第2配列方向(y軸方向)とが60°を成すようにハニカム状に複数の発光領域が配列されたものであってもよい。
上記各実施形態において、露光ユニット800は、例えば、MLA部824を有していなくてもよい。
上記各実施形態において、露光装置10は、センサ部850を常時有するものではなく、センサ部850が、露光装置10に後付け可能なものであってもよいし、露光装置10に脱着可能に装着されるものであってもよい。
上記各実施形態において、例えば、ステージ4を露光部8に対して相対的に移動させる代わりに、ステージ4に対して露光部8を相対的に移動させることが可能であってもよい。換言すれば、例えば、露光装置10は、基板Wを保持する保持部としてのステージ4と、露光部8と、を少なくとも主走査方向に沿って相対的に移動させる駆動機構を有していてもよい。
上記各実施形態において、例えば、制御部9が、照射変更部911によって、操作部982で入力される信号に応答して、基板Wの同一箇所に対する多重露光のための光の照射回数を増加させるための補正用のマイクロミラーM1を特定する情報を、記憶部96に記憶してもよい。
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。