以上の開閉装置において、渦巻きばねのばね力は、扉体の開閉移動距離や移動速度等に応じた適切値に調整することが求められ、このような渦巻きばねのばね力調整作業は、無目部材の開口部を閉じていた点検カバーを取り外し、駆動装置のケースの外面に露出して操作部をドライバー等の工具で操作することにより行われている。
本発明の目的は、渦巻きばねのばね力を調整するための作業を、ドライバー等の工具を用いることなく、かつ駆動装置のケースの影響を受けることなく容易に実施できるようになる開閉装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置は、点検カバーにより開閉される開口部を有する無目部材の内部に配置されたガイド手段と、このガイド手段から吊り下げられているとともに、前記ガイド手段に案内されて開閉移動する扉体と、前記無目部材の内部に配置され、前記扉体を移動させるための駆動装置とを含んで構成され、前記駆動装置が、端部が前記扉体に連結された紐状部材と、この紐状部材を繰り出し自在に巻き取るために前記駆動装置のケースの内部に回転自在に収納された巻取りリールと、前記ケースの内部に収納され、前記巻取りリールから前記紐状部材が繰り出されたときにこの巻取りリールが前記紐状部材を巻き取るための戻しばね力が蓄圧される渦巻きばねとを備えている開閉装置において、前記渦巻きばねの内端部は、前記巻取りリールの回転の中心となっている中心軸に連結されているとともに、外端部は前記巻取りリールに連結され、前記中心軸の端部は前記ケースの外側に延出した延出端部となっていて、この延出端部に前記中心軸を回転させるために回転操作される回転操作部材が取り付けられ、この回転操作部材は前記ケースの下面よりも下側へ突出した突出部を有していることを特徴とするものである。
このように本発明に係る開閉装置では、渦巻きばねの内端部が、巻取りリールの回転の中心となっている中心軸に連結されていて、外端部が巻取りリールに連結され、中心軸の端部は駆動装置のケースの外側に延出した延出端部となっていて、この延出端部に中心軸を回転させるために回転操作される回転操作部材が取り付けられているため、この回転操作部材を回転操作することにより、ドライバー等の工具を用いることなく、渦巻きばねのばね力を容易に調整することができる。また、回転操作部材は、駆動装置のケースの下面よりも下側へ突出した突出部を有しているため、この突出部により、渦巻きばねのばね力を調整するための回転操作部材の回転操作作業を、駆動装置のケースの影響を受けることなく容易に実施することができる。
なお、無目部材の内部に扉体を開閉移動自在に案内するために配置するガイド手段は、扉体の上部に設けられたローラが転動自在に載置されるガイドレールでもよく、あるいは、無目部材に取り付けられるアウター部材と、このアウター部材よりも扉体の開閉移動方向の長さが短くて、扉体に取り付けられるインナー部材と、これらのアウター部材とインナー部材との間に転動自在に配置され、インナー部材をアウターに対して扉体の開閉移動方向に移動自在とするボールとを含んで構成されるスライドレール等でもよい。
また、以上の本発明において、渦巻きばねのばね力を調整する作業は、無目部材の開口部を閉じていた点検カバーを取り外す等することにより開口部を開け、この開口部から無目部材の内部に挿入した手によって回転操作部材を回転させることにより実施できるようにしてもよいが、無目部材の開口部を点検カバーによって閉じているときに、この点検カバーと扉体との間に下から挿入した手によって前記突出部で回転操作部材を回転操作可能としてもよい。
これによると、無目部材に点検カバーをセットして開口部を閉じたままの状態で、突出部で回転操作部材を回転操作して渦巻きばねのばね力を調整する作業を行えるため、この作業を一層容易に実施することができるようになる。
また、このように無目部材の開口部を点検カバーによって閉じているときに、この点検カバーと扉体との間に下から挿入した手により突出部で回転操作部材を回転操作可能とする場合には、この回転操作部材の突出部を点検カバーの下面よりも下側へ突出させないことが好ましい。
これによると、点検カバーが無目部材の開口部を閉じているときは、回転操作部材の突出部を点検カバーで常時覆われた状態にすることができるため、回転操作部材を回転させるために操作されるこの突出部に予期しない外力等が作用することを防止できる。
また、回転操作部材の突出部は、種々の形態により回転操作部材に設けることができる。その一例の形態は、回転操作部材の外周部に、中心軸を中心とする円周方向に複数個の突部を設け、これらの突部を突出部とすることである。また、他の例の形態は、回転操作部材を、中心軸を中心とする円形の部材とし、この円形のうち、駆動装置のケースの下面よりも下側へ突出した部分を突出部とすることである。
また、前者のように回転操作部材の外周部に、中心軸を中心とする円周方向に複数個の突部を設け、これらの突部を前記突出部とする場合には、複数個の突部についての前記円周方向の間隔を、回転操作部材の回転角度の如何にかかわらず、少なくとも1個の突部が駆動装置のケースの下面よりも下側へ突出している間隔とすることが好ましい。
これによると、回転操作部材の回転角度の如何にかかわらず、少なくとも1個の突部が駆動装置のケースの下面よりも下側へ突出しているため、常に突部によって回転操作部材を回転操作することができるようになる。
また、複数個の突部は、中心軸を中心に等角度で設けてもよく、不等角度で設けてもよい。
さらに、複数個の突部を、中心軸を中心に等角度で設ける場合には、前記駆動装置に回転操作部材の回転により中心軸を節度的に一定角度ずつ回転可能とするための節度的回転手段を設け、この節度的回転手段により中心軸が節度的に回転する角度を、複数個の突部についての前記等角度と同じ角度にすることが好ましい。
これによると、それぞれの突部により回転操作部材を回転操作することを、節度的回転手段により中心軸を節度的に一定角度ずつ回転させながら行うことができるため、回転操作部材の回転操作作業を行う者が、回転操作部材の回転角度や回転数を明確に感じてこの回転操作作業を行えるようになる。
なお、節度的回転手段は、中心軸を節度的に一定角度ずつ回転させることができるものであれば、任意の機構によるものでよい。その一例の節度的回転手段は、中心軸に設けられた四角や六角、八角等の多角形部と、この多角形部に弾性接触するばね部材とを含んで構成されたものであり、他の例の節度的回転手段は、中心軸の円周方向に等角度間隔で設けられた複数個の被係止部と、中心軸に対して揺動し、この揺動によりそれぞれの被係止部材に係止する係止部を有するラチェット部材とを含んで構成されたものである。
以上説明した本発明において、ガイド手段により案内されて開閉移動する扉体は、引戸装置のための扉体でもよく、すなわち、本発明に係る開閉装置は、引戸装置でもよく、また、扉体は、折れ戸装置のための扉体でもよく、すなわち、本発明に係る開閉装置は、折れ戸装置でもよく、さらに、扉体は、引戸装置と折れ戸装置を複合させた横引き折れ戸装置のための扉体でもよく、すなわち、本発明に係る開閉装置は、横引き折れ戸装置でもよい。
また、本発明は、扉体が、無目部材の内部に配置されたガイドレール等によるガイド手段と、このガイド手段よりも下側に配置された下レール部材とにより案内されて開閉移動自在となっている開閉装置にも適用することができる。
本発明によると、渦巻きばねのばね力を調整するための作業を、ドライバー等の工具を用いることなく、かつ駆動装置のケースの影響を受けることなく容易に実施できるようになるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る開閉装置は引戸装置であり、図1には、扉体1が直線的に移動することにより出入口2を開閉するこの引戸装置の全体正面図が示され、図1は、全閉位置に達している扉体1により出入口2が閉じられているときの状態を示している。この引戸装置の外枠組みは、上枠部材である無目部材3と、扉体1が全閉位置に達して出入口2を閉じたときにこの扉体1の先端が当接する戸先側の竪枠部材4と、この戸先側の竪枠部材4とは扉体1の移動方向反対側に配置されている戸尻側の竪枠部材5と、これらの戸先側の竪枠部材4と戸尻側の竪枠部材5との間に配置されているとともに、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋8における出入口2側の端部に配置された竪額縁部材6と、床9における戸袋8の下端に配置された幅木7とにより形成されている。
出入口2は、これらの無目部材3と戸先側の竪枠部材4と戸尻側の竪枠部材5と竪額縁部材6と幅木7により形成された外枠組みの内側の一部の空間となっており、この出入口2は扉体1で開閉されるとともに、出入口2を開けたときの扉体1が収納される戸袋8は、壁10の内部に収納された壁収納式の戸袋となっている。無目部材3は、戸先側の竪枠部材4から戸尻側の竪枠部材5まで延びる全長を有し、竪額縁部材6は、戸袋8における出入口2側の見切り部材となっている。
図2には、竪額縁部材6を二点鎖線で示した無目部材3の内部構造が示されており、また、図3には、図1のS3-S3線断面図が示されている。この図3に示されているように、無目部材3の全長のうち、出入口2と対応する長さ部分における扉体1の厚さ方向片側には、通常時は点検カバー11で閉じられている点検用開口部3Aが設けられている。点検カバー11の上端部には、無目部材3に形成された被係止部3Bに係止する係止部11Aが設けられ、この係止部11Aを被係止部3Bに上から係止することにより、無目部材3の点検用開口部3Aは点検カバー11により塞がれる。また、図2に示されているように、戸先側の竪枠部材4にはブラケット4Aが設けられているとともに、竪額縁部材6にもブラケット6Aが設けられ、これらのブラケット4A,6Aに形成された雌ねじ孔に、図1で示した止めねじ12,13の雄ねじ軸部を点検カバー11に形成された孔を貫通させて螺入することにより、点検カバー11は無目部材3にセットされて、この点検カバー11より無目部材3の点検用開口部3Aが閉じられるようになっている。
また、止めねじ12,13を取り外し、点検カバー11の係止部11Aを無目部材3の被係止部3Bから外すことにより、点検カバー11は無目部材3から取り外され、これにより、点検用開口部3Aが開放されるため、この点検用開口部3Aから、無目部材3の内部に、扉体1を開閉移動させるために収納配置されている扉体移動機構についてのメインテナンス作業等を行えるようになる。
次に、この扉体移動機構について説明する。図3に示されているように、無目部材3の上面3Cにおける扉体1の厚さ方向両端部のうち、点検用開口部3A側とは反対側の端部から垂下部3Dが垂下し、この垂下部3Dにおける無目部材3の内側の面に、板金の折り曲げ品による補強部材14が取り付けられている。戸先側の竪枠部材4から戸尻側の竪枠部材5まで達する長さ寸法を有するこの補強部材14に、無目部材3の略全長に渡る長さとなったガイドレール15がビス等の結合具16により結合され、このガイドレール15は、扉体1の直線の開閉移動を案内するための本実施形態におけるガイド手段となっている。図2に示されているように、扉体1は、この扉体1の上部において、ガイドレール15の係合部15A(図3の一部拡大図である図5も参照)の上面に転動自在に係合しているローラ17を備えており、ブラケット18に回転自在に保持されているこのローラ17は、無目部材3の長手方向である扉体1の開閉移動方向に2個設けられている。このため、本実施形態に係る引き戸装置は、扉体1が2個のローラ17により、無目部材3の内部に配置されたガイドレール手段となっているガイドレール15から吊り下げられた上吊り式の引戸装置になっており、扉体1はガイドレール15に案内されて開閉移動自在となっている。
また、図2に示されているように、無目部材3の内部空間には、扉体1を自動的に閉じ移動させるための渦巻きばね式の駆動装置20が配置され、この駆動装置20は、無目部材3における戸先側の竪枠部材4に近い端部の近傍において、図3に示されているように、ガイドレール15に、ブラケット20Aとビス及びナットによる結合具22とにより取り付けられている。駆動装置20からは、後述するように、この駆動装置20の内部に回転自在に収納されている巻取りリールに一端が結合された図2の合成樹脂製等の紐状部材21が導出され、この紐状部材21の他端は、上述した2個のローラ17のうち、戸先側のローラ17Aを回転自在に保持しているブラケット18Aに結合されている。扉体1の戸先側の先端が戸先側の竪枠部材4に当接していて扉体1が前記出入口2を全閉としているときに、図1で示す把持部1Aを握った手によって扉体1を開き移動させると、駆動装置20から紐状部材21が巻取りリールを回転させながら繰り出されるとともに、この巻取りリールの回転により、駆動装置20の内部に収納されている渦巻きばねに戻しばね力が蓄圧され、把持部1Aから手を離すと、この蓄圧された戻しばね力によって巻取りリールが紐状部材21を巻き取ることにより、扉体1が自動的に全閉位置まで閉じ移動する。このため、本実施形態に係る引戸装置は、自動閉鎖式の引戸装置である。
また、図2に示されているように、無目部材3の内部空間には、シリンダ式の制動装置23がピストンロッド23Aを戸尻側の竪枠部材5の側に向けて配置され、この制動装置23は、ガイドレール15にブラケット24とビス及びナットによる結合具25とにより取り付けられている。扉体1の前述した2個のローラ17のうち、戸尻側のローラ17Bを回転自在に保持しているブラケット18Bには、ピストンロッド23Aの先端部と扉体1の開閉移動方向に対向する当接部材26が取り付けられ、これらのピストンロッド23Aの先端部と当接部材26とのうち、ピストンロッド23Aの先端部には、当接部材26と磁力で接離自在となったマグネットによる接離部材27が設けられている。
全閉位置に達している扉体1を上述のように開き移動させたときには、当接部材26に接離部材27の磁力で接続当接状態となっているピストンロッド23Aは伸び作動し、このピストンロッド23Aの伸び作動の限度を越えて扉体1が開き移動すると、当接部材26はピストンロッド23Aから分離する。また、扉体1が閉じ移動すると、その途中で当接部材26はピストンロッド23Aの先端部の接離部材27に当接し、扉体1が閉じ移動を継続することにより、ピストンロッド23Aは縮み作動を始める。制動装置23には、このときにシリンダ式の制動装置23の内部の空気を絞りながら排出するバルブが設けられているため、扉体1は、このバルブの絞り作用による制動力を受けながら、駆動装置20により低速で全閉位置まで自動移動する。
なお、上記バルブは、ピストンロッド23Aが伸び作動するときには、空気を絞らずにシリンダ式の制動装置23の内部に流入させるタイプのものであるため、全閉位置からの扉体1の開き移動を、駆動装置20の渦巻きばねに上述した戻しばね力を蓄圧させるだけの小さな力によって行える。
図2で示されているとおり、戸尻側の竪枠部材5には、ストップ部材30が取り付けられ、ゴム等の弾性材料からなるこのストップ部材30は、扉体1の開き移動限位置である後退限位置を規定するものであり、扉体1の戸尻側の端部がストップ部材30に当接したときに、扉体1は後退限位置に達する。また、当接部材26には、板ばねで形成されている係止部材31が取り付けられ、戸尻側の竪枠部材5側へ延びているこの係止部材31の戸尻側の端部にはV字形状部31Aが設けられている。また、無目部材3又はガイドレール15には、回転自在なローラによる被係止部材32が取り付けられている。扉体1が開き移動し、V字形状部31Aが係止部材31の上側への弾性変形によって被係止部材32を乗り越えることにより、V字形状部31Aが被係止部材32に係止されたときに、扉体1はストップ部材30で規定される後退限位置に達し、V字形状部31Aの被係止部材32への係止作用によって扉体1は後退限位置に停止する。
そして、図1で示した把持部1Aを握った手で扉体1に閉じ移動力を付与すると、係止部材31の弾性変形によってV字形状部31Aは被係止部材32を乗り越え、扉体1は、前述したように、駆動装置20の渦巻きばねに蓄圧された戻しばね力により、前述したように自動的に閉じ移動する。
また、図1で示した床9のうち、出入口2における前記竪額縁部材6に近い位置には、ガイドローラ33が配置されている。このガイドローラ33は、図3で示されているとおり、下方に向かって開口している扉体1の下端部に挿入され、前述したように扉体1がガイドレール15で案内されて行われる開閉移動は、扉体1の下端部がガイドローラ33で案内されながら行われるようになっている。
図4は、駆動装置20の周辺を示す図2の一部拡大図であり、この図4に示されているように、駆動装置20には、扉体1の厚さ方向が軸方向となっている中心軸35と、この中心軸35を回転させるために作業者の手で回転操作される回転操作部材36とが設けられている。図6には、回転操作部材36を二点鎖線で示した駆動装置20の正面図が示され、図7には、駆動装置20の平断面図が示されている。この図7に示されているように、中心軸35は、軸方向に離れた二箇所で駆動装置20のケース37により回転自在に支持されているとともに、中心軸35の軸方向の両端部のうち、一方の端部は、ケース37の外側へ延出した延出端部35Aとなっており、この延出端部35Aに回転操作部材36が取り付けられている。ケース37の内部には、前述した巻取りリール38が収納配置され、中心軸35を中心に回転自在となっているこの巻取りリール38には、図2及び図4でも示されている紐状部材21が巻回されている。この紐状部材21の一方の端部は巻取りリール38に結合されていて、紐状部材21は、ケース37に形成された図7の孔37Bからケース37の外部へ導出され、紐状部材21の他方の端部は、前述したように、扉体1をガイドレール15から吊り下げている2個のローラ17のうち、戸先側のローラ17Aを回転自在に保持しているブラケット18Aに図4で示した結合具39で結合されている。
図7に示されているように、巻取りリール38の内部には、ぜんまいばねによる前述した渦巻きばね40を収納した空間が設けられ、中心軸35の外周に巻回状態で配置されているこの渦巻きばね40の外端部40Aは、連結具41により巻取りリール38に連結されているとともに、内端部40Bは、中心軸35に形成された長孔35Bに挿入されることにより、この中心軸35に連結されている。このため、前述したように、扉体1を全閉位置から開き移動させると、駆動装置20から紐状部材21が巻取りリール38を回転させながら繰り出され、紐状部材21を繰り出すためのこの巻取りリール38の回転により、渦巻きばね40に戻しばね力が蓄圧されることになり、この蓄圧された戻しばね力によって巻取りリール38が紐状部材21を巻き取ることにより、扉体1は自動的に閉じ移動する。
そして、扉体1が全閉位置等で停止しているときに、作業者が手で回転操作部材36を回転操作し、この回転操作により中心軸35を回転させると、この回転方向に応じて渦巻きばね40は巻き締められたり、巻き緩められたりするため、渦巻きばね40の初期値のばね力を調整することができ、これにより、渦巻きばね40のばね力を、扉体1の開閉移動距離や移動速度等に応じて適切値に調整することができる。
また、図6及び図7に示されているように、本実施形態の駆動装置20には、回転操作部材36を回転操作したときに、中心軸35を節度的に一定角度ずつ回転可能とするための節度的回転手段43が設けられている。この節度的回転手段43は、ケース37の内部において、中心軸35に設けられた多角形部44と、この多角形部44の外面に弾性接触しているばね部材45とを含んで構成されているものであり、本実施形態の多角形部44は、中心軸35の外周に螺合等で固定された六角ナットによるものとなっているため、この多角形部44は、回転操作部材36と節度的回転手段43との関係を概略正面図として示している図8及び図9のように、中心軸35の円周方向に6個の突起44Aが60度の等間隔で設けられた六角形部となっている。また、ばね部材45は、図6、図8及び図9に示されているように、多角形部44における互いに平行となっている2つの外面に弾性的に接触していて、これらの外面を弾性的に挟着するU字状又は略U字状の板ばねによるものであり、このばね部材45は、ケース37の内面に止着具46で止着された止め部材47により連結部材48を介してケース37に止められている。
このため、回転操作部材36により中心軸35を回転させたときには、図8及び図9に示されているように、多角形部44における互いに平行となっている2つの外面に弾性接触していたばね部材45は、多角形部44に中心軸35を中心として60度の等角度で設けられている突起44Aを、ばね部材45が弾性的に開くことにより、乗り越え、そして、多角形部44における互いに平行となっている次の2つの外面に弾性接触するため、回転操作部材36による中心軸35の回転は、60度の一定角度ずつの節度的な回転として行われることになる。そして、ばね部材45が多角形部44における互いに平行となっている2つの外面に弾性接触しているときは、回転操作部材36及び中心軸35の回転はばね部材45の挟着力により停止することになる。
また、中心軸35を回転させるために回転操作される回転操作部材36は、図3及び図5に示されているように、扉体1の厚さ方向が厚さ寸法の方向となっている鉛直姿勢の板状のものであり、この回転操作部材36の外周部には、図6に示されているように、外径方向に突出した突部36Aと内径方向に窪んだ窪み部36Bとが、中心軸35を中心とする円周方向に交互に6個ずつ設けられ、このため、回転操作部材36の正面形状は、星形状となっている。そして、6個の突部36Aは、中心軸35を中心とする回転操作部材36の円周方向に等間隔で設けられているため、これらの突部36Aは、中心軸35を中心に60度の等角度で設けられ、この60度の角度は、多角形部44の上述した6個の突起44Aについての中心軸35を中心とする60度の等角度の角度と同じである。
なお、回転操作部材36の外周部に設けられているそれぞれの窪み部36Bは、図6に示されているように、中心軸35を中心とする回転操作部材36の円周方向に互いに隣接している2個の突部36Aの間の中央位置に設けられているため、これらの窪み部36Bも、突部36Aと同様に、中心軸35を中心に60度の等角度で設けられている。
そして、多角形部44の突起44Aの位置と、回転操作部材36の突部36Aの位置とが、中心軸35を中心とする円周方向における同じ角度位置となって、回転操作部材36は、中心軸35の前述した延出端部35Aに取り付けられている。
また、図6及び図8に示されているように、中心軸35の回転が節度的回転手段43により停止しているときに、回転操作部材36の外周部に6個設けられている突部36Aのうち、1個の突部36Aの位置が中心軸35の真下又は略真下の位置となるように、中心軸35に対する多角形部44及び回転操作部材36の回転方向の位置が設定されている。
また、このように6個の突部36Aのうち、1個の突部36Aの位置が中心軸35の真下又は略真下の位置となったときには、この突部36Aは、図5及び図6に示されているように、駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出している。
さらに、回転操作部材36により中心軸35を図6及び図8で示されている状態から回転させて、中心軸35の回転角度が、図9に示されているように、ばね部材45が多角形部44の突起44Aに弾性接触する角度となったときには、6個の突部36Aのうち、中心軸35を中心として回転操作部材36の円周方向に互いに隣接して設けられている2個の突部36Aが、駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出している。
これを言い換えると、本実施形態の回転操作部材36では、この回転操作部材36に6個設けられている突部36Aについての中心軸35を中心とする円周方向の間隔は、中心軸35の回転角度の如何にかかわらず、すなわち、回転操作部材36の回転角度の如何のかかわらず、少なくとも1個の突部36Aが駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出する間隔となっている。
以上説明した本実施形態に係る駆動装置20によると、この駆動装置20の内部に紐状部材21を繰り出し自在に巻き取るために収納されている巻取りリール38に戻しばね力を作用させるための渦巻きばね40は、中心軸35を回転させることにより、ばね力を調整できるものとなっているとともに、この中心軸35には、駆動装置20のケース37の外側へ延出した延出端部35Aが設けられ、この延出端部35Aに回転操作部材36が取り付けられているため、この回転操作部材36を作業者が手で回転操作することにより、渦巻きばね40のばね力を調整するための作業を、ドライバー等の工具を用いることなく、容易に実施することができる。
また、回転操作部材36には、この回転操作部材36の回転角度がどのような角度になっても、駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出した少なくとも1個の突部36Aが設けられており、この突部36Aは、図5で示したように、ケース37の下面37Aから下側へ突出していて、作業者の手(図5では手の指)50により回転操作部材36を回転操作することができる突出部となっているため、手50により回転操作部材36を回転させて中心軸35を回転させるための作業を、ケース37の影響を受けることなく容易に実施することができる。
さらに、本実施形態では、前述した無目部材3の点検用開口部3Aは点検カバー11により開閉されるものとなっているが、図5に示されているように、この点検カバー11を無目部材3にセットしたままの状態で、すなわち、点検カバー11により無目部材3の点検用開口部3Aを塞いだままの状態で、この点検カバー11と扉体1との間に下から挿入した手50により突部36Aで回転操作部材36を回転操作することができ、このため、渦巻きばね40のばね力を調整する作業を、点検カバー11を無目部材3から取り外すことなく実施できるため、この渦巻きばね40のばね力調整作業を一層容易にかつ短時間で行えるようになる。
また、図5に示されているように、回転操作部材36のうち、駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出していて、作業者が手50で回転操作部材36を回転操作するための前述の突出部となっている突部36Aは、点検カバー11の下面11Bよりも下側へ突出しておらず、この突部36Aは点検カバー11により覆われているため、突部36Aに予期しない外力等が作用することを点検カバー11により防止できる。
さらに、回転操作部材36に6個設けられている突部36Aについての中心軸35を中心とする円周方向の間隔は、前述したように、回転操作部材36の回転角度の如何のかかわらず、少なくとも1個の突部36Aが駆動装置20のケース37の下面37Aから下側へ突出する間隔となっているため、回転操作部材36がどのような回転角度になっても、回転操作部材36についての回転操作作業を行える。
さらに、本実施形態に係る駆動装置20には、回転操作部材36の回転により中心軸35を節度的に60度の一定角度ずつ回転可能とするための節度的回転手段43が設けられ、この一定角度となっている60度は、回転操作部材36に60度の等角度で6個設けられている突部36Aについてのこの等角度と同じ角度であるため、回転操作部材36の回転操作作業を行う作業者が、回転操作部材36と中心軸35の回転角度や回転数を明確に感じてこの回転操作作業を行えるようになる。
また、前述したように、中心軸35に設けられている多角形部44の突起44Aの位置と、回転操作部材36の突部36Aの位置とが、中心軸35を中心とする円周方向における同じ角度位置となっているため、回転操作部材36の回転操作作業を行う作業者は、節度的回転手段43により、回転操作部材36を介した中心軸35の回転を、一層実感のある節度的回転として感じながらこの回転操作作業を行える。