JP7128396B2 - 人工歯構造体、及び人工歯構造体用の充填体 - Google Patents

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本発明は、インプラント体を備え、インプラント体を歯槽骨に埋め込むことによって口腔内に取り付けられる人工歯構造体、及び人工歯構造体用の充填体に関する。
歯根を欠損した場合に歯を人工的に再生させる1つの方法としてインプラント治療がある。インプラント治療は、人工歯構造体を用いて歯を再生させる方法である。具体的に説明すると、人工歯構造体は、インプラント体、アバットメント、及び人工歯冠を備え、まずインプラント体が歯槽骨に埋め込まれる。次に、インプラント体にアバットメントを取り付け、更にアバットメントに人工歯冠を被せて固定する。固定する際の方式としては、例えばねじ固定式があり、ねじ固定式では、以下のようにしてアバットメントに人工歯冠が締結される。即ち、人工歯冠には、貫通孔であるアクセスホールが形成されている。アクセスホールは、人工歯冠を上下方向に貫通するように形成されており、そこに締結部材であるねじが挿入されている。また、アクセスホールは、その下側の開口がアバットメントに臨むように形成されており、挿入されたねじはアバットメントに螺合されている。これにより、人工歯冠がアバットメントに締結され、それに伴って人工歯冠がインプラント体に固定される。このような構造の人工歯構造体としては、例えば特許文献1の図8に記載されているようなものがある。
特開2012-29879号公報
特許文献1の人工歯構造体のように人工歯冠にアクセスホールが形成される場合、その中に食べ物等が入り込むことがある。そのような事態を防ぐべく、アクセスホールの上側の開口側部分に蓋を形成する。即ち、前記開口側部分にコンポジットレジンを注入し、それを硬化させて蓋を形成して開口側部分を塞ぐ。これにより、食べ物がアクセスホールに入り込むことを防ぐことができ、また人工歯構造体の審美性を高めることができる。他方、アクセスホールに蓋をすることで以下のような事態が発生する。
即ち、人工歯構造体では、ねじの緩み等によって人工歯冠がアバットメントから外れることがあり、緩み等が発生していないか定期的に点検が行われる。その際には、蓋を除去する必要があり、蓋の除去はドリル等の工具を使って行われる。しかし、蓋は、主に開口側部分を塞ぐこと及び点検時における除去のしやすさを考慮して形成されており、開口側部分にのみ蓋が形成されている。それ故、アクセスホールには、蓋とねじとの間に内空間が形成されている。内空間は、上側の開口側部分が閉じられているものの、蓋の経年劣化やマイクロムーブメント等に起因して隙間が発生する。内空間にこの隙間から細菌等が入り込み、入り込んだ細菌が内空間にて繁殖することが考えられる。
このような細菌の繁殖を抑制する対処法として、以下のようなことが考えられる。即ち、アクセスホール全体にコンポジットレジンを充填して内空間を埋め、細菌の繁殖を抑える。この方法の場合、点検時において硬化したコンポジットレジンをドリル等の工具によって削り取る必要がある。しかし、内空間は、アクセスホールの深いところであって口腔内のような暗視下に形成されている。それ故、内空間に形成されるコンポジットレジンに対する視認性は悪く、削り残しが生じる場合がある。削り残しが生じた場合には、ねじを回すことができず、ねじの緩みを解消することができない。他方、削り残しが生じないようにすると、削り取る際に誤ってねじまで削ってしまい、ねじを破壊してしまうことが考えられる。
そこで本発明は、人工歯冠の貫通孔における細菌の繁殖を抑制すると共に、容易に点検することができる人工歯構造体を提供することを目的としている。
本発明の人工歯構造体は、歯槽骨に埋設されるインプラント体と、前記インプラント体に取り付けられるアバットメントと、前記アバットメントに被せられ、前記アバットメントに向かって延びる貫通孔を有する人工歯冠と、前記人工歯冠を前記アバットメント又は前記インプラント体に締結すべく前記貫通孔に挿通される締結部材と、前記貫通孔の開口側部分を塞ぐ蓋と、前記蓋より靭性を有する合成樹脂から成り、且つ前記貫通孔における前記蓋と前記締結部材との間の内空間を満たすようにそこに配置されている充填体と、を備えるものである。
本発明に従えば、内空間が充填体によって満たされているので、内空間を細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。また、充填体が靭性を有しているので、充填体を内空間から取り出す際に充填体を摘まむ等して一つの塊として取り出すことができる。即ち、ドリル等の工具によって蓋を削り取った後、内空間から充填体を一気に抜き取ることができる。それ故、点検時において充填体を容易に外すことができ、容易に点検することができる。
上記発明において、前記充填体は、非吸水性の材料から成ることが好ましい。上記構成に従えば、充填体内にて細菌が繁殖することを抑制することができる。
上記発明において、前記充填体には、抗菌剤が含まれていることが好ましい。上記構成に従えば、内空間に細菌が入り込んでも充填体にある抗菌剤によって細菌の繁殖を更に抑制することができる。
上記発明において、前記充填体は、流動性を有する充填剤を前記内空間に充填した後に硬化させることができる硬化性材料から成ることが好ましい。
上記構成に従えば、充填剤を内空間に充填することで内空間に充填体を満たすことができるので、充填体の形成が容易である。また、充填剤が流動性を有しているので、充填剤を隙間に入り込ませることができ、内空間に充填体をより密に満たすことができる。これにより、内空間をより細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。
本発明の人工歯構造体は、歯槽骨に埋設されるインプラント体と、前記インプラント体に向かって延びる内孔を有し、前記インプラント体に取り付けられるアバットメントと、前記アバットメントに被せられて前記内孔の一方の開口部を塞ぐ人工歯冠と、前記アバットメントを前記インプラント体に締結すべく前記内孔に挿通される締結部材と、前記蓋より靭性を有する合成樹脂から成り、且つ前記内孔における前記一方の開口部と前記締結部材との間の内空間を満たすようにそこに配置されている充填体と、を備えるものである。
本発明に従えば、内空間が充填体によって満たされているので、内空間を細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。また、充填体が靭性を有しているので、充填体を内空間から取り出す際に充填体を摘まむ等して一つの塊として取り出すことができる。即ち、ドリル等の工具によって蓋を削り取った後、内空間から充填体を一気に抜き取ることができる。それ故、点検時において充填体を容易に外すことができ、容易に点検することができる。
本発明の人工歯構造体用の充填体は、歯槽骨に埋設されるインプラント体と、前記インプラント体に取り付けられるアバットメントと、前記アバットメントに被せられ、前記アバットメントに向かって延びる貫通孔を有する人工歯冠と、前記人工歯冠を前記アバットメント又は前記インプラント体に締結すべく前記貫通孔に挿通される締結部材と、前記貫通孔の開口側部分を塞ぐ蓋と、を備えるものであって、前記蓋より靭性を有する合成樹脂から成り、且つ前記貫通孔における前記蓋と前記締結部材との間の内空間を満たすようにそこに配置されるものである。
本発明に従えば、内空間が充填体によって満たされているので、内空間を細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。また、充填体が靭性を有しているので、充填体を内空間から取り出す際に充填体を摘まむ等して一つの塊として取り出すことができる。即ち、ドリル等の工具によって蓋を削り取った後、内空間から充填体を一気に抜き取ることができる。それ故、点検時において容易に外すことができ、容易に点検することができる。
本発明によれば、人工歯冠の貫通孔における細菌の繁殖を抑制すると共に、容易に点検することができる。
本発明の第1実施形態に係る人工歯構造体を示す断面図である。 図1の人工歯構造体を分解して示す分解図である。 図1の人工歯構造体の取付手順を示す図であり、(a)はインプラント体を歯槽骨に埋設した状態を示す図であり、(b)は、(a)のインプラント体にアバットメントを取り付けた状態を示す図である。 図1の人工歯構造体の取付手順を示す図であり、(a)は図3(b)アバットメントに人工歯冠を被せた状態を示す図であり、(b)は、(a)の人工歯冠の貫通孔に充填体を入れ込んだ状態を示す図である。 本発明の第2実施形態の人工歯構造体を示す断面図である。 本発明の第3実施形態の人工歯構造体を示す断面図である。
以下では、本発明の第1乃至第3実施形態に係る人工歯構造体1,1A,1Bについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する人工歯構造体1,1A,1Bは、本発明の一実施形態に過ぎない。したがって、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
[第1実施形態]
<人工歯構造体>
歯根を欠損した場合において、歯を人工的に再生させる1つの方法としてインプラント治療があり、インプラント治療では、例えば図1に示すような人工歯構造体1が用いられる。人工歯構造体1は、いわゆる自然に生えてくる歯(即ち、自然な歯)を模して作成される人工的な歯であり、その一部分を歯槽骨(例えば、下顎の歯槽骨)2に埋設させて口腔内に取り付けられる。具体的に説明すると、歯槽骨2には、図示しないドリル等によって予めインプラント窩3が形成され(図2参照)、人工歯構造体1は、その一部分をインプラント窩3に入れて埋設されている。このようにして取り付けられる人工歯構造体1は、図2にも示すようにインプラント体11と、アバットメント12と、人工歯冠13と、オクルーザルねじ14と、を備えている。
インプラント体11は、大略有底筒状に形成されており、例えばチタン及びチタン合金等の金属、セラミック、又はPEEK等の合成樹脂から成る。インプラント体11は、その外周面に雄ねじが形成されており、前述するインプラント窩3に螺合させるように挿入されている。即ち、インプラント体11は、歯槽骨2に螺合するように埋設される。即ち、インプラント体11は、まずインプラント窩3に埋入される。埋入後、インプラント体11の周辺の歯槽骨2及びその辺縁の歯肉4等が治癒して安定するまで待つ(例えば、3~16週間)ことによってインプラント体11が歯槽骨2に結合される。このようにインプラント体11は、インプラント窩3に埋入されて歯槽骨2に結合されることによって歯槽骨2に埋設される。このように埋設されるインプラント体11は、ねじ孔11aを有しており、インプラント体11のねじ孔11aは、以下のように形成されている。即ち、インプラント体11のねじ孔11aには、その開口側部分11bを除いた部分に雌ねじが形成されており、開口側部分11bは開口端に進むにつれて拡径するようにテーパ状に形成されている。このように形成されているインプラント体11には、埋設後にアバットメント12が取り付けられる。
アバットメント12は、例えばチタン及びチタン合金等の金属、セラミック、又はPEEK等の合成樹脂から成り、アバットメント本体21と、アバットメントねじ22とを有している。アバットメント本体21は、大略円筒状に形成されており、その外周面の軸線方向中間部分にフランジ21aを有している。フランジ21aは、前記中間部分において周方向全周にわたって形成されており、残余部分に対して半径方向外側に突出している。また、アバットメント本体21の上下の両端部分21b,21cは、共に開口端に向かって先細りのテーパ状に形成されている。即ち、その一端部分である上端部分21bは、大略円錐台状に形成され、他端部分である下端部分21cは、大略逆円錐台状に形成されている。
更に詳細に説明すると、下端部分21cは、インプラント体11の開口側部分11bの形状に合わせて形成されており、インプラント体11の開口側部分11bに嵌まり込むようになっている。このような形状を有するアバットメント本体21は、その下端部分21cを開口側部分11bにはめ込んだ状態でインプラント体11の上端に載せられている。また、アバットメント本体21は、内孔21dを有しており、内孔21dにはアバットメントねじ22が挿通されている。
アバットメントねじ22は、大略円柱状に形成されており、その外周面であって軸線方向中間部分に雄ねじ22aが形成されている。また、アバットメントねじ22の一端部には、頭部22bが形成されており、頭部22bは残余部より大径に形成されている。更に、頭部22bには、六角孔22cが、アバットメントねじ22の軸線に沿って形成されており、図示しない六角レンチ等を入れてアバットメントねじ22を回せるようになっている。
このような形状を有するアバットメントねじ22は、アバットメント本体21の内孔21dに挿通されており、その雄ねじ22aがアバットメント本体21から突出してインプラント体11のねじ孔11aに螺合されている。また、アバットメント本体21の内孔21dは、アバットメントねじ22の形状に合わせてその上端側部分が残余部分より大径に形成されている。それ故、アバットメント本体21の残余部分と上端側部分との間には、座部21eが形成されており、アバットメントねじ22の頭部22bが座部21eに着座している。これにより、アバットメント本体21がアバットメントねじ22とインプラント体11とによって挟持され、アバットメント12がインプラント体11に締結される。このように取り付けられるアバットメント12には、人工歯冠13が覆い被されて取り付けられている。
人工歯冠13は、いわゆる自然に生えてくる歯(即ち、自然な歯)の歯冠を模して作成されるものであり、例えば金属冠、硬質レジン前装冠、陶材焼き付け冠、及びジルコニア冠等がある。人工歯冠13は、隣接する歯との間の隙間、及び対向する歯との咬合を考慮しながら成形される。このように成形されている人工歯冠13には、その下端部分に凹所13aが形成されている。凹所13aは、大略逆円錐台状に形成されており、その中にアバットメント本体21の上端部分21bが収められるようになっている。このように構成される人工歯冠13は、凹所13aに前記上端部分21bを収め、且つその下端の外周縁をアバットメント本体21のフランジ21aに載せるようにしてアバットメント12に被せられる。また、人工歯冠13には、貫通孔13bが形成されている。貫通孔13bは、人工歯冠13の端面、即ち咬合面から凹所13aまで人工歯冠13を上下方向に貫通しており、貫通孔13bには、オクルーザルねじ14が挿入されている。
締結部材であるオクルーザルねじ14は、頭部14aを有するねじであり、その全体を貫通孔13bに挿通することができるようになっている。また、貫通孔13bでは、その凹所13aに繋がる部分が残余部分に対して小径となっている、即ちこの凹所13aと繋がる部分に小径部分13cが形成されている。この小径部分13cの孔径は、頭部14aの外径より小径となっており、貫通孔13bにオクルーザルねじ14を挿入すると、オクルーザルねじ14の頭部14aがこの小径部分13cに着座する。
他方、オクルーザルねじ14の先端部分の外径は、小径部分13cの孔径より小さくなっており、その先端部分は貫通孔13bから凹所13aへと突き出ている。また、オクルーザルねじ14には、頭部14aを除く残余部分の外周部に雄ねじが形成されており、アバットメントねじ22には、オクルーザルねじ14の先端部分に対応させるように雌ねじ部22dが形成されている。雌ねじ部22dは、アバットメントねじ22の軸線に沿って六角孔22cから更に先端側へ延在するように形成されている。このように形成される雌ねじ部22dには、凹所13aへと突き出たオクルーザルねじ14の先端部分が螺合されている。このように螺合されているオクルーザルねじ14は、その頭部14aを貫通孔13bの小径部分13cに着座させており、着座することで人工歯冠13がオクルーザルねじ14とアバットメント12とによって挟持されている。これにより、人工歯冠13がアバットメント12に締結されて取り付けられる。
このように構成されている人工歯構造体1では、前述の通り人工歯冠13に貫通孔13bが形成されており、そこに食べ物等が入り込まないように以下のように構成されている。即ち、貫通孔13bには、その開口側部分にコンポジットレジン等を硬化性の合成樹脂が注入され、貫通孔13bの開口側部分に蓋15が形成されている。これにより、貫通孔13bが塞がれてそこに食べ物等が入り込むことを防ぐことができる。他方、貫通孔13bの開口側部分に蓋15を形成することによって、蓋15とオクルーザルねじ14との間に内空間30が形成される。この内空間30は、蓋15によって塞がれてはいるが、経年劣化等やマイクロムーブメントによって様々な隙間が生じるので、必ずしも内空間30を外空間から断つことはできない。それ故、前述する隙間を介して内空間30に細菌が入り込んで繁殖することが考えられる。そこで、入り込んだ細菌が内空間30にて繁殖しないようにすべく、人工歯構造体1では内空間30が充填体16で満たされている。
人工歯構造体用である充填体16は、例えば印象材として使用されるシリコーン(シリコーン系印象材)や、歯科用高分子系仮封材等を成す合成樹脂であって、蓋15より靭性を有する合成樹脂から成る。即ち、充填体16は、充填剤を内空間30に充填して構成される。更に詳細に説明すると、充填剤は、2つの材料を練和することによって硬化する硬化性材料から成る。例えば、充填剤は、主剤(ベース)と硬化剤(キャタリスト)とを混ぜ合わせることによって短い時間(例えば、2分~6分程度)で硬化可能な流動性の合成樹脂が用いられ、例えば以下で説明する充填器具を用いて内空間30に充填される。即ち、充填器具では、主剤及び硬化剤が夫々別々のカートリッジに充填されており、主剤及び硬化剤の各々は、カートリッジからミキシングチップに押し出されて練和される。練和された後、主剤及び硬化剤から成る充填剤はミキシングチップの先端に取り付けられたノズルを介して貫通孔13bの開口側部分から内空間30に充填される。このような充填器具によって充填することによって、貫通孔13bのような孔径の小さい孔にも充填剤を密に充填することが容易である。
このようにして内空間30が充填剤で満たした後、そのまま放置して充填剤を硬化させると、内空間30に固形の充填体16が形成される。このように内空間30に充填剤を硬化させて固形の充填体16を内空間30に形成することによって、内空間30を充填体16で満たすことができる。また内空間30を充填体16で満たすことによって、細菌が繁殖するのに必要な水分等が内空間30に入り込むことを抑制することができる。即ち、内空間30を細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。また、内空間30に充填体16が満たされることによってオクルーザルねじ14の緩みも抑制することができる。
<人工歯構造体の装着例>
以下では、前述のように構成される人工歯構造体1の取付方法について、図1乃至4を参照しながら簡単に説明する。人工歯構造体1を歯槽骨2に取り付けるに当たっては、まず歯槽骨2に図示しないドリル等によってインプラント窩3が形成される(図2参照)。インプラント窩3が形成されると、インプラント窩3にインプラント体11を螺合しながら埋入する(図3(a)参照)。埋入後は、インプラント体11がその周辺の歯槽骨2及びその辺縁の歯肉4が治癒して安定するまで待つ。これにより、インプラント体11が歯槽骨2と結合する、即ち埋設される。埋設後、インプラント体11の上にアバットメント本体21が載せられ、アバットメント本体21の内孔21dにアバットメントねじ22が挿通される。更に、アバットメントねじ22の雄ねじ22aをインプラント体11のねじ孔11aに螺合させ、頭部22bが座部21eに着座するまでアバットメントねじ22が回される。これにより、アバットメント本体21がインプラント体11に締結されて、インプラント体11にアバットメント12が取り付けられる(図3(b)参照)。
更に、アバットメント12には、人工歯冠13が被せられ、貫通孔13bにオクルーザルねじ14が挿入される。挿通されたオクルーザルねじ14の先端部分は、貫通孔13bの小径部分13cに通され、アバットメントねじ22の雌ねじ部22dに螺合される。更にオクルーザルねじ14は、その頭部14aが貫通孔13bの小径部分13cに着座するまで回される。それによって人工歯冠13がアバットメント12に締結されて取り付けられる、即ちオクルーザルねじ14によって人工歯冠13がアバットメント12を介してインプラント体11に取り付けられる(図4(a)参照)。取り付けられた後、人工歯冠13の貫通孔13bには、例えば前述する充填器具を使用して充填剤が注入される。この際、充填剤は、貫通孔13bの開口側部分を残して(例えば、開口端から約1mm以上3mm以下の範囲を除いた部分)、即ち内空間30全体に充填される。充填後しばらくすると硬化して充填体16となり(図4(b)参照)、硬化した後、貫通孔13bの開口側部分、即ち充填体16の上にコンポジットレジンが充填される。このコンポジットレジンは、例えば光重合型のものが使用され、充填後に紫外線等の光を当てると硬化して蓋15となる(図1参照)。このようにしてコンポジットレジンが硬化して蓋15になることによって、内空間30が充填体16に満たされた状態で貫通孔13bが塞がれる。
このように構成されている人工歯構造体1では、人工歯冠13の内周面が以下のようにして構成されている。即ち、人工歯冠13の内周面は、凹凸がないように研磨されているが、咬合面の加工等の兼ね合いから開口側部分の表面粗さが残余の部分の表面粗さより大きい。それ故、内周面の開口側部分では、コンポジットレジンを内周面の微小な凹凸に入り込んだ状態で硬化させることができ、蓋15をその凹凸に引っ掛かけて人工歯冠13から外れないようにすることができる。他方、人工歯冠13の内周面において充填体16が形成される部分は、前述の通り表面粗さが小さい、即ち凹凸がないように研磨されており、その部分における引っ掛かりが少ない。それ故、内周面上を滑らせるように充填体16を貫通孔13bから取り出すことができる。このようにして取り出すことができる充填体16は、前述の通り蓋15より靭性を有する合成樹脂から成り、ドリル等の工具を使うことなく摘まんだり挟んだりすることができる。即ち、充填体16を一つの塊として貫通孔13bから抜くことができ、ドリル等の工具によって蓋15を削り取った後に充填体16を一気に抜き取ることができる。それ故、点検時の作業を容易にすることができる。
なお、内空間30を蓋15と同じコンポジットレジン等の脆性材で内空間30を埋めた場合、以下のようなことが生じる。即ち、内空間30に埋められた脆性材はドリル等の工具によって削り取られる必要があるが、内空間30が深く且つ口腔内に配置されているため、内空間30の視認性が悪く、脆性材が内空間30に残ることがある。特に、工具孔に脆性材が残るとオクルーザルねじ14を回すことができずに取外しが困難となる。他方、残らないように入念にドリル等の工具によって脆性材を削り取ると、やはり内空間30の視認性が悪いため、誤ってオクルーザルねじ14の頭部14a又はそれ全体を破損させることがある。これに対して充填体16は、内空間30から一気に抜き取ることができるので、取り出す際にドリル等の工具等を使う必要がない。それ故、誤ってオクルーザルねじ14の頭部14a又はそれ全体を破損させるような事態を生じることを防ぐことができる。
また、印象材に使用されるシリコーン材は、硬化前後の収縮率が微小である(例えば、硬化後の収縮率が0.02%以下)。それ故、前述のようなシリコーン材を用いると、硬化後も内空間30が充填体16にて満たされたままにすることができ、内空間30に形成される隙間が拡張されることを抑制することができる。それ故、硬化後において内空間30を細菌の繁殖に適さない環境にて維持することができ、細菌の繁殖を抑えることができる。また、印象材に使用されるシリコーン材は、非吸水性の材料、即ちその中に水分を蓄えない材料である。それ故、充填体16の中において細菌が繁殖することを抑制することができ、内空間30における細菌の繁殖を更に抑えることができる。なお、充填体16の材料は、前述するような機能(即ち、硬化前後の収縮率が微小且つ硬化後の吸湿性が低い)を有する合成樹脂であれば、前述するシリコーン材に限定されない。また、充填体16は、必ずしも前述するような機能を有する材料である必要はなく、蓋15より靭性を有する材料であればよい。なお、充填体16の材料となる充填剤には、抗菌剤(例えば、銀をベースとした抗菌性添加剤)が添加されてもよい。そうすると、充填体16が抗菌機能を有するようになり、更に細菌の繁殖を抑えることができる。
また、充填体16が流動性を有する充填剤を内空間30に充填し、そして硬化させて構成されているので、充填体16の形成が簡単である。また、内空間30を形成する様々な隙間に入り込ませることができ、内空間30に充填体16をより密に満たすことができる。これにより、内空間30をより細菌の繁殖に適さない環境にすることができ、細菌の繁殖を抑えることができる。
[その他の実施形態]
本実施形態の人工歯構造体1は、下顎の歯槽骨2に適用した場合について説明しているが、そこに限定されず上顎の歯槽骨に適用されてもよい。また、人工歯構造体1の構成も前述するものに限定されない。例えば、アバットメント本体21とアバットメントねじ22とが一体的に構成されているものであってもよい。また、前述する実施形態のアバットメントねじ22とオクルーザルねじ14とが一体的に構成されてもよい。即ち、図5に示す第2の実施形態の人工歯構造体1Aのように構成されていてもよい。人工歯構造体1Aでは、人工歯冠13とアバットメント12とが予め接合されており、それらが接合された状態でインプラント体11の上に載せられる。次に、アバットメントねじ22Aが貫通孔13b及び内孔21dに挿通され、アバットメントねじ22Aの先端部分がインプラント体11のねじ孔11aに螺合される。そうすることで、アバットメントねじ22Aの頭部22bが人工歯冠13の小径部分13cに着座し、アバットメント12Aと人工歯冠13とがアバットメントねじ22Aとインプラント体11とによって挟まれる。これにより、アバットメント12Aと人工歯冠13とがインプラント体11に締結されて取り付けられる。このように構成される人工歯構造体1Aもまた、貫通孔13bが形成されているので、そこに充填体16を充填することによって、前述する人工歯構造体1と同様の作用効果を奏する。
更に、人工歯構造体1Bは、図6に示すような構造であってもよい。即ち、第3実施形態の人工歯構造体1Bでは、アバットメント本体21Bの上端部分21bが上下方向に長尺に形成されており、アバットメント本体21Bの上端部分21bに人工歯冠13Bが被せられて隙間なくセメント合着されている。これにより、内孔21dの一方の開口部、即ち上側の開口部が塞がれ、内孔21dにはアバットメントねじ22の上方、即ち、上側の開口とアバットメントねじ22との間に内空間30Bが形成されている。内空間30Bには、第1実施形態の人工歯構造体1と同様に充填体16が満たされており、前述する人工歯構造体1と同様の作用効果を奏する。その他、人工歯構造体1の各構成の形状も前述のような形状に限定されず、貫通孔13bに充填体16を充填することで同様の作用効果を奏する。
また、充填体16を構成する材料も、前述する印象材に使用されるシリコーン材に限定されない。例えば、蓋15を構成する合成樹脂より靭性を有する合成樹脂(例えば、歯科用光重合型高分子系仮封材(エバダイン(商標) プラス))によって構成されてもよい。このような靭性を有する合成樹脂によって充填体16を構成することで、貫通孔13bから充填体16を摘まんで取り出すことができ、点検時における取外し作業が容易である。また、充填体16は、必ずしも充填剤を硬化させて形成する必要はなく、例えば靭性を有するテープ(例えば、PTFEのテープ)を内空間30に詰めて満たすことによって構成するようにしてもよい。
1 人工歯構造体
11 インプラント体
12 アバットメント
13 人工歯冠
13b 貫通孔
14 オクルーザルねじ(締結部材)
15 蓋
16 充填体
22A アバットメントねじ(締結部材)
30 内空間

Claims (5)

  1. 歯槽骨に埋設されるインプラント体と、
    前記インプラント体に取り付けられるアバットメントと、
    前記アバットメントに被せられ、前記アバットメントに向かって延びる貫通孔を有する人工歯冠と、
    前記人工歯冠を前記インプラント体に締結すべく前記貫通孔に挿通される締結部材と、
    前記貫通孔の開口側部分を塞ぐ蓋と、
    前記蓋より靭性を有する合成樹脂から成り、且つ前記貫通孔における前記蓋と前記締結部材との間の内空間を満たすようにそこに配置されている充填体と、を備える人工歯構造体。
  2. 歯槽骨に埋設されるインプラント体と、
    前記インプラント体に取り付けられるアバットメントと、
    前記アバットメントに被せられ、前記アバットメントに向かって延びる貫通孔を有する人工歯冠と、
    前記人工歯冠を前記アバットメントに締結すべく前記貫通孔に挿通される締結部材と、
    前記貫通孔の開口側部分を塞ぐ蓋と、
    前記蓋より靭性を有する合成樹脂から成り、且つ前記貫通孔における前記蓋と前記締結部材との間の内空間を満たすようにそこに配置されている充填体と、を備える人工歯構造体。
  3. 前記充填体は、非吸水性の材料からなる、請求項1又は2に記載の人工歯構造体。
  4. 前記充填体には、抗菌剤が含まれている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の人工歯構造体。
  5. 前記充填体は、流動性を有する充填剤を前記内空間に充填した後に硬化させることができる硬化性材料から成る、請求項1乃至の何れか1つに記載の人工歯構造体。
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