JP7127839B2 - 予測調整型サスペンション制御システム - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 平成30年3月6日に、日本機械学会 中国四国学生会 第48回学生員卒業研究発表講演会にて発表
本発明は、寝台(以下、架台と記すことがある。)付き福祉車両や救急救命車両(以下、車両と略記することがある。)に用いられる架台のサスペンション制御システムに関し、より詳細には、被搬送者(以下、患者と略記することがある。)の搬送走行中に、車両側で計測した自車両の位置、移動速度、3軸方向加速度、患者の体重等のデータをネットワークサーバに送信し、サーバ側ではリアルタイムで、サーバで記憶している道路凹凸情報から当該道路箇所での架台の振動を抑制するためのサスペンション装置のバネ定数と粘性係数の最適値を求めて車両側に送信し、車両側ではリアルタイムで、架台のサスペンション装置のバネ定数と粘性係数を最適値に調節することで、凹凸のある道路箇所を通過する際の架台の振動を抑制することを特徴とする予測調整型サスペンション制御システムに関する。
福祉車両や救命救急車両で搬送される患者は走行中の車両振動によって血管障害等のダメージを受ける可能性が高く、福祉車両や救急救命車両による搬送においては、患者に大きな振動や急激な衝撃等による負荷を与えることを避ける必要がある。道路路面凹凸に起因する振動や衝撃を低減するための装置として種々の架台用サスペンション装置が提案されているが、福祉車両や救急救命車両の対象となる患者の搬送という観点で十分な振動衝撃低減効果が得られているか否かには不安がある。(例えば、非特許文献3)
特許文献1には、サスペンション装置のバネの上部に、その内部にピストンを内蔵した減衰特性可変型のショックアブソーバを配置し、バネ上部の上下方向の振動加速度や振動速度に応じてショックアブソーバの減衰特性を可変設定する装置が開示されている。この装置はバネ上部の振動加速度や振動速度によって車両が通過している道路路面に起因する振動を検出し、そのレベルに応じてショックアブソーバの特性を変更設定する方式であるが、搬送走行中の振動レベルを事前に予測してショックアブソーバの特性を予測調整するという機能は無く、ショックアブソーバの応答には時間遅れがあることから、道路凹凸箇所を通過した瞬間の衝撃の低減は困難であり、福祉車両や救急救命車両に用いられる架台のサスペンション制御装置に適用可能な振動衝撃低減性能が得られているとは言えない。
非特許文献1には、構造物の振動対策としての可変ダンパの一つである磁性流体ダンパを利用し,振動を低減するためのダンパの減衰力をバネ上とバネ下の変位、速度、加速度から算出する方法が提案されているが、制御対象の質量は固定化されており、かつ振動の予測機能はない。この方式を緊急車両の架台サスペンションに適用しても、患者の体重に応じた制振制御、および道路凹凸箇所を通過した瞬間の振動や衝撃の低減は困難である。
非特許文献2には、スカイフック理論に基づいたサスペンション装置による制振制御方式が示されており、パッシブ方式、セミアクティブ方式、フルアクティブ方式による制振性能の比較が行われているが、道路凹凸を予測する機能はなく、解説されている方法では道路凹凸箇所を通過した瞬間の振動を抑制することは困難である。
特許第4697507号特許公報
畑中文章秀、北村幸嗣、生田目尚美、可変減衰機能を有するセミアクティブ同調質量ダンパーによる振動制御、土木学会第60回年次学術講演会、pp.1133-1134、2005 永井正夫、アクティブサスペンションの制御と制御理論、計測と制御、Vol.32、No4、pp.290-295、1993 安田康晴、二宮伸治、諫山憲司、竹井豊、救急自動車の振動と防振架台の効果と対策、日本臨床救急医学会雑誌、Vol.18、No1、pp.5-14、2015
福祉車両や救急救命車両での患者搬送中の走行においては、大きな振動や急激な衝撃による患者へのダメージの極小化の観点から、患者が横臥する架台には優れた防振性能が要求されるが、安価な装置構成で十分な効果が得られる装置は実現されていない。
本発明は、患者の搬送走行中において、凹凸のある道路箇所を通過する場合においても、患者が横臥する架台に発生する振動や衝撃を低減することができる、予測調整型サスペンション制御システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための本発明の予測調整型サスペンション制御システムは、患者搬送走行中に、自車両の位置、移動速度、3軸方向加速度(以下、自車両の位置、移動速度、3軸方向加速度を纏めて、車両情報と略記することがある。)、患者の体重を測定する計測部と、これらの計測データをネットワークサーバに送信する車両側通信部と、これらの計測データを受け取るサーバ側通信部と、受け取ったこれらの計測データを保存する記録部と、受け取ったこれらの計測データから道路凹凸箇所を検出する検出部と,検出された凹凸箇所について架台の振動を抑制するためのサスペンション装置のバネ定数と粘性係数の最適値を求める算出部と、検出された道路凹凸箇所とそれに対応するバネ定数と粘性係数の最適値を保存する記憶部と、車両からリアルタイムで受信する車両情報から通過が予想される道路凹凸箇所を予測する予測部と、サーバから受け取ったバネ定数と粘性係数の最適値を用いて架台のサスペンション装置のバネ定数と粘性係数を調節する制御部を車両側に備え、当該道路箇所を通過する際には制御部で架台のサスペンション装置のバネ定数と粘性係数を予め最適値に調整して、架台の振動を抑制することを特徴とする。
前記計測部は、GPS(Global Positioning System)等を利用して車両の緯度LAT、経度LNGを取得し、GPSまたは速度センサを利用して車両移動速度V(以下、移動速度Vと略記することがある。)を計測し、加速度センサを用いて車両の3軸方向加速度ACC(以下、3軸加速度ACCと略記することがある。)を計測し、圧力センサやひずみゲージを用いて患者の体重Mを計測することとしても良い。
前記検出部は、前記計測部で測定した車両情報から、前記記録部に保存されている道路凹凸箇所を検出し、3軸加速度ACCのうち上下方向加速度Aを2回積分して移動速度Vと患者体重Mごとに凹凸箇所通過時の車両のフロア変位X(V,M)を推定し、測定が同じ移動速度Vと患者体重Mで複数回行われた場合は、測定データごとに推定したフロア変位の平均値をX(V,M)とすることとしても良い。
前記算出部は、前記検出部で道路凹凸箇所ごとに推定されたフロア変位X(V、M)に対して、式(1)に示す架台の上下方向加速度AXの絶対値積分Jが最小となるようにサスペンション装置のバネ定数Kと粘性係数Cを、数値シミュレーションあるいは数理計画法等を利用して算出することとしても良い。
Figure 0007127839000001
式(1)
ここに、t1とt2は、それぞれ道路凹凸箇所の通過開始時刻と通過終了時刻である.
前記記憶部は、道路凹凸箇所ごとに、移動速度V、患者体重Mに対して、式(1)を最小にするバネ定数をK(V、M)、粘性係数をC(V、M)として、凹凸箇所の緯度LAT、経度LNG、K(V、M)、C(V、M)をセットにして、これらを保存することとしても良い。
前記予測部は、リンク(道路)とノード(交差点)で構成されるネットワークとして表現された道路網について、車両からリアルタイムで送られてくる緯度LAT、経度LNG、移動速度V、3軸加速度ACC、患者体重Mのうち、緯度LAT、経度LNG、移動速度Vから走行中のリンクを特定し,そのリンクの進行方向に記憶部に登録された道路凹凸箇所が存在すれば、それを通過予定の凹凸箇所とし、更に,走行リンクの先に接続するリンク上に登録されている凹凸箇所を予想通過箇所の候補に挙げておき、通過予定の凹凸箇所が存在した場合、移動速度Vから予想通過速度VEを予測し、その凹凸箇所、および予想通過速度VEと患者体重Mに対するバネ定数の最適値K(VE、M)と粘性係数の最適値C(VE、M)を記憶部から取得して、通信部に送出することとしても良い。
前記制御部は、車両側通信部を通じてネットワークサーバから送られてきたバネ定数の最適値K(VE、M)と粘性係数の最適値C(VE、M)を、道路凹凸箇所通過前にサスペンション装置に設定することとしても良い。
本発明によれば、福祉車両や救命救急車両の患者搬送走行中に、凹凸のある道路箇所を通過する前に、車両の緯度LAT、経度LNG、移動速度V、3軸加速度ACC、搬送中の患者の体重のデータを基に予め算出保存していた当該道路箇所に対応するバネ定数Kと粘性係数Cの最適値を取得し、凹凸箇所を通過する前に、それらの最適値をサスペンション装置に設定することで、凹凸のある当該箇所を通過する際の架台の振動や衝撃を効果的に抑制することが可能となり、患者への身体的ダメージの発生を防止することができる。
本発明のシステム構成を示す図である。 本発明での制御対象モデルを示す図である。 本発明での架台サスペンション予測制御手順を示す図である。 本発明での道路凹凸情報の更新手順を示す図である。 フロア変位Xの推定結果の一例を示す図である。 図5に対応する凹凸箇所に対する空気バネ標準長Hの最適値を示す図である。 図5に対応する凹凸箇所に対する粘性係数Cの最適値を示す図である。 図5に対応する凹凸箇所における車両フロアの上下加速度と,バネ標準長及び粘性係数を最適値に設定したときの架台の上下加速度を示す図である. 図5に対応する凹凸箇所における車両フロアの上下加速度と,バネ標準長及び粘性係数を既定値に設定したときの架台の上下加速度を示す図である. 図5に対応する凹凸箇所に対して,ISO2631-1に基づいて求めた車両フロアの周波数補正加速度実効値と,最適値と既定値を適用したときの架台上の周波数補正加速度実効値を示す図である.
以下、図を用いて、本発明の予測調整型サスペンション制御システムの構成及び制御処理手順とサスペンション装置のバネ定数と粘性係数の最適値の更新手順を説明する。
図1は本発明の予測調整型サスペンション制御システムの構成を示したものである。
図1において、1は福祉車両あるいは救急救命車両であり、2はサスペンション装置付きの架台であり、図には示さなかった患者を横臥させる。3は計測部であり、車両情報、架台上の患者の体重を測定する。4は通信部であり、計測部3で得た車両情報と患者の体重を7のネットワークサーバに送信する。5は制御部であり,6のサスペンション装置のバネ定数Kと粘性係数Cを調節する、8はネットワークサーバ7の通信部であり、車両情報と患者の体重の計測データを受信する。これらの計測データは、9の記録部に保存される。10は検出部であり、記録部9に保存されている車両情報から道路凹凸箇所を検出する。11は算出部であり、道路凹凸箇所ごとにサスペンション装置6のバネ定数Kと粘性係数Cの最適値を算出する。12は記憶部であり、道路凹凸箇所ごとに算出したバネ定数Kと粘性係数Cの最適値を保存する。13は予測部であり、通信部4から送信される車両情報から、通過が予想される道路凹凸箇所でのバネ定数Kと粘性係数Cの最適値、移動速度V、患者体重M(以下、道路凹凸箇所と当該凹凸箇所でのバネ定数Kと粘性係数Cの最適値、移動速度V、患者体重Mを纏めて、道路凹凸情報と略記することがある。)が記憶部12に存在するか判定し、存在していれば、バネ定数Kと粘性係数Cの最適値を、通信部8を経由して車両に送信する。車両1は、これらの最適値を通信部4で受信して制御部5に送出する。
図1は車両側の負荷の軽減の為、計算負荷や専有する計算資源の大きい、記録部9、検出部10、算出部11、記憶部12、予測部13をネットワークサーバ7側に設けるシステム構成について説明したが、車両側の計算資源に十分な余裕があれば、これらの一部あるいはすべてを車両側に設けることができるのは勿論である。
図2は本発明の制御対象モデルを示す図であり、図中、MMは架台重量と患者の体重を合算した重量、Kはサスペンション装置6のバネ定数、Cはサスペンション装置6の粘性係数、X、X1はそれぞれ、車両外に設けたある基準点に対する、車体の上下方向変位量、架台の上下方向変位量である。車両と架台が静止しており、釣り合いの状態にあるとき、X=0かつX1=0とする。
図3は本発明の制御処理手順の概要を示したものである。
ステップ1:車両情報、患者体重の計測
計測部3にある位置センサ、速度センサ、加速度センサ、圧力センサにより、自車両の位置(緯度と経度)、速度、3軸方向加速度、患者の体重を計測する。
ステップ2:通過予定箇所の道路情報有無の判定
ネットワークサーバの予測部13は、車両からリアルタイムで送られてくる位置に関する車両情報から、記憶部12に、車両通過予定箇所に対応する道路凹凸情報が保存されているか否かを判定する。
ステップ3:バネ定数Kと粘性係数Cの取得
記憶部12に道路凹凸情報が保存されていれば、現在の移動速度Vから凹凸箇所の予想通過速度VEを予測し、記憶部12から、予想通過速度VEと患者体重Mに対する最適なバネ定数K(VE、M)と粘性係数C(VE、M)を取得する。該当する道路凹凸情報が記憶部12にない場合は、バネ定数と粘性係数に既定値を割り当て、予測部13は、サーバ側通信部8を通じて車両に送信する。
ステップ4:バネ定数Kと粘性係数Cの設定
車両側では、ネットワークサーバから送信されたバネ定数Kと粘性係数Cを通信部4で受信し、制御部5に送出する。制御部5は、道路凹凸箇所を通過する前に、架台サスペンション装置6に対して、バネ定数と粘性係数を設定する。バネ定数Kの設定法としては、例えば、空気バネを利用する場合は、釣り合いの位置でのバネ長を変えることで行う。ただし,バネの伸び縮みに応じてバネ定数が変化するため、釣り合いの位置でのバネ定数の設定となる。粘性係数Cの設定法としては、例えば、オイルダンパであれば、オリフィスまたはバルブの開閉度を変えることで実現できる。MRダンパの場合は、減衰力を制御することで変えることができる。
図3では記憶部12に保存されている道路凹凸情報を利用する際の処理手順を説明したが、本発明の予測調整型サスペンション制御システムは、道路凹凸情報の更新機能も有している。
図4は道路凹凸情報の更新処理手順を示したものである。
ステップ1:車両情報、患者体重の計測
計測部3にある位置センサ、速度センサ、加速度センサ、圧力センサにより、自車両の位置(緯度と経度)、速度、3軸方向加速度、患者の体重を計測する。
ステップ2:記録部への保存
ステップ1で得た車両情報と患者の体重を記録部9に保存する。
ステップ3:道路凹凸箇所の検出
記録部9に保存されている車両の位置、移動速度、3軸方向加速度から、検出部10で、道路上の凹凸箇所の位置(緯度と経度)を検出し、その凹凸箇所通過時の上下加速度を2回積分することで、移動速度Vと患者の体重Mに対するフロア変位X(V、M)を推定する。
ステップ4:バネ定数Kと粘性係数Cの最適値の算出
算出部11で、検出された道路凹凸箇所に対して、推定されたフロア変位Xと患者の体重Mに対して、架台2の振動を抑えるバネ定数Kと粘性係数Cの最適値を、数値シミュレーションあるいは数理計画法等を利用して算出する。最適値としては、例えば、凹凸箇所通過中の架台上の上下加速度AXの絶対値積分である式(1)を最小とするように定める。
ステップ5:道路凹凸箇所、バネ定数Kと粘性係数Cの最適値の保存
ステップ3で検出した道路凹凸箇所の位置情報、およびステップ4で算出したその凹凸箇所に対するバネ定数Kと粘性係数Cの最適値を、それらを算出した際の車両移動速度V、患者体重Mと共に、記憶部12に保存する。車両移動速度V、患者体重M に対応するバネ定数Kと粘性係数Cの最適値がすでに保存されている場合は、既存値との平均として更新する.
本発明の実施形態によれば、福祉車両や救急救命車両での患者搬送走行中において、患者に悪影響を及ぼす可能性のある道路凹凸箇所の通過前に、道路凹凸情報として予め算出保存されている、当該箇所通過時の架台の振動を極小化するための架台サスペンションのバネ定数、粘性係数の最適値を取得設定することで、凹凸のある当該箇所通過時の架台の振動を抑制して、患者への悪影響の発生を防止することが可能となる。
普通自動車の走行データから,空気バネのバネ標準長(バネ定数に相当)とダンパの粘性係数の最適値を求めて,これらを用いてサスペンション装置を予測制御することの有用性を検証した結果について説明する。
実験で行った計測、データ処理、検証の手順は以下のとおりである。
1.車両位置、移動速度、3軸加速度ACCの計測
計測ソフトウェアを組み込んだスマート端末を普通自動車の車内に設置し、一般道路を走行して、緯度LAT、経度LNG、移動車速V、3軸加速度ACC記録した。記録後、3軸加速度ACCから道路凹凸箇所を抽出した。
2.車両フロア変位の推定
凹凸箇所と判定された道路箇所に記録された上下加速度Aを2回積分することで、この凹凸箇所通行時のフロア変位Xを推定した。図5に、移動速度V=40 km/hで通過したときの上下加速度Aから推定したフロア変位Xの一例を示す。
3.ばね標準値の最適値の推定
架台は図2で示したバネ・ダンパ系を4セット用いて支持されており、バネはシリンダ型の空気バネ、シリンダ内部の気体は理想気体であり熱の出入りはないと仮定し、図5の推定したフロア変位Xから、バネ定数Kを式(2)で模擬した。
Figure 0007127839000002
--- 式(2)
ここで、Hは釣り合い状態でのバネの標準長、ΔXは架台変位X1とフロア変位Xとの距離X1-X、Moは患者体重Mと架台重量の合算値の1/4質量(Mo = MM/4)、gは重力加速度、Patmは標準気圧、S=0.01 m2はシリンダ断面積である。バネ定数KはΔXに応じて変化することから、バネ定数Kの調整は、釣り合いの位置におけるバネ標準長Hを最適化することで行い、HとCの最適値でサスペンションを予測制御する。
4.バネ標準長の最適値H(V、M)、および粘性係数の最適値C(V、M)の計算
M=110 kg、架台重量50 kg、Mo=40 kgと設定し,バネ標準長Hと粘性係数Cを変えながら、図5のフロア変位Xをモデルに代入して,バネ上の上下加速度AXを数値シミュレーションにより算出した。
得られたバネ上の上下加速度AXについて、式(1)を最小にするバネ上の上下加速度AXが得られるバネ標準長Hと粘性係数Cを、凹凸箇所通過時のV=40 km/hとM=110 kgに対する最適値とした。異なるVとMに対しても、同様に最適値を求め、H(V、M)およびC(V、M)として保存した。
図6はバネ標準長の最適値H(V,M)を示したものであり、図7は粘性係数の最適値C(V,M)を示
したものである。
図6と図7から、患者体重Mが同じあっても,速度Vが異なれば,HとCの最適値が変わることが判る。これは、通過速度を正しく予測してサスペンション装置を調整すれば、防振性能が向上することを意味する。また、速度Vが同じであっても、患者体重Mが異なれば、HとCの最適値が変わることが判る。これは、患者体重を正しく設定すれば、防振性能が向上することを意味する。
図8は、図5のフロア変位XとM=110 kgの条件で,最適なHとCを適用して求めたバネ上の上下加速度AX(実線)とフロアの上下加速度A(点線)であり、バネ上の上下加速度AXではフロアの上下加速度Aの高周波成分が抑制されており、サスペンションによる防振効果が確認できる。
図9は、図5のフロア変位XとM=110 kgの条件で、最適値ではないバネ標準長規定値と粘性係数規定値をサスペンション装置に設定して求めたバネ上の上下加速度AX(実線)とフロアの上下加速度A(点線)を示したものである。
なお、バネ標準長の規定値は,H=0.15 mとした。これに対応するバネ定数Kの既定値は、式(2)でMo=60 kgと設定して、釣り合いの位置(ΔX=0)における値として求めた。また、粘性係数Cの既定値に関しては、釣り合いの位置で、図2のモデルを線形時不変2次系と見なして、減衰率がζ=1となるようにC=2(MoK)^(1/2)と設定した。このMoとKは,上記の既定値である。
図10は、図5のフロア変位XとM=110 kgの条件で、ISO2631-1に従って求めたフロア上の周波数補正加速度実効値AVと、架台上の周波数補正加速度実効値AXVを示したものである。点線のAXVがバネ標準長と粘性係数を既定値に設定した場合,実線のAXVがバネ標準長と粘性係数を最適値に設定した場合である。周波数補正加速度実効値は、その値が小さいほど乗り心地が良いことを示してしており、サスペンション付の架台によって車両フロア上の加速度実効値が低減され、サスペンションを最適値に予測制御することで、更に加速度実効値が低減されることが判る。
本発明の予測調整型サスペンション制御システムによれば、福祉車両や救急救命車両での患者搬送走行中において、患者に悪影響を及ぼす可能性のある道路凹凸箇所の通過前に、道路凹凸情報として予め算出保存されている、当該箇所通過時の架台の振動を極小化するための架台サスペンションのバネ定数、粘性係数の最適値を取得設定することで、凹凸のある当該箇所通過時の架台の振動を抑制して、患者への悪影響の発生を防止することが可能となり、福祉車両や救急救命車両用として好適な架台を提供することができる。
1 車両
2 架台
3 計測部
4 通信部
5 制御部
6 サスペンション装置
7 ネットワークサーバ
8 通信部
9 記録部
10 検出部
11 演算部
12 記憶部
13 予測部















Claims (7)

  1. 福祉車両や救命救急車両の患者搬送走行中において、自車両の位置、移動速度、3軸方向加速度、患者の体重を測定する計測部と、これらの計測データをネットワークサーバに送信する車両側通信部と、これらの計測データを受け取るサーバ側通信部と、受け取ったこれらの計測データを保存する記録部と、受け取ったこれらの計測データから道路凹凸箇所を検出する検出部と,検出された凹凸箇所について架台の振動を抑制するためのサスペンション装置のバネ定数と粘性係数の最適値を求める算出部と、検出された道路凹凸箇所とそれに対応するバネ定数と粘性係数の最適値を保存する記憶部と、車両からリアルタイムで受信する前記自車両の位置、移動速度、3軸方向加速度から通過が予想される道路凹凸箇所を予測する予測部と、サーバから受け取った前記バネ定数と粘性係数の最適値を用いて架台のサスペンション装置のバネ定数と粘性係数を調節する制御部を車両側に備え、当該道路箇所を通過する際には制御部で架台のサスペンション装置のバネ定数と粘性係数を予め最適値に調整して、架台の振動を抑制することを特徴とする予測調整型サスペンション制御システム。
  2. 前記計測部は、GPS(Global Positioning System)等を利用して車両の緯度LAT、経度LNGを取得し、GPSまたは速度センサを利用して車両移動速度Vを計測し、加速度センサを用いて車両の3軸方向加速度ACCを計測し、圧力センサやひずみゲージを用いて患者の体重Mを計測することを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。
  3. 前記検出部は、前記計測部で測定した車両情報から、前記記録部に保存されている道路凹凸箇所を検出し、3軸方向加速度のうち上下方向加速度Aを2回積分して移動速度Vと患者体重Mごとに凹凸箇所通過時の車両のフロア変位X(V,M)を推定し、測定が同じ通過速度Vと患者体重Mで複数回行われた場合は、測定データごとに推定したフロア変位の平均値をX(V,M)とすることを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。
  4. 前記算出部は、前記検出部で道路凹凸箇所ごとに推定されたフロア変位X(V、M)に対して、式(1)に示す架台の上下方向加速度AXの絶対値積分Jが最小となるようにサスペンション装置のバネ定数Kと粘性係数Cを算出することを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。
    Figure 0007127839000003
    式(1)
    ここに、t1とt2は、それぞれ道路凹凸箇所の通過開始時刻と通過終了時刻である.
  5. 前記記憶部は、道路凹凸箇所ごとに、通過速度V、患者体重Mに対して、式(1)を最小にするバネ定数をK(V、M)、粘性係数をC(V、M)として、凹凸箇所の緯度LAT、経度LNG、K(V、M)、C(V、M)をセットにして、これらを保存することを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。
  6. 前記予測部は、リンク(道路)とノード(交差点)で構成されるネットワークとして表現された道路網について、車両からリアルタイムで送られてくる緯度LAT、経度LNG、移動速度V、3軸加速度ACC、患者体重Mのうち、緯度LAT、経度LNG、移動速度Vから走行中のリンクを特定し,そのリンクの進行方向に記憶部に登録された道路凹凸箇所が存在すれば、それを通過予定の凹凸箇所とし、更に,走行リンクの先に接続するリンク上に登録されている凹凸箇所を予想通過箇所の候補に挙げておき、通過予定の凹凸箇所が存在した場合、移動速度Vから予想通過速度VEを予測し、その凹凸箇所、および予想通過速度VEと患者体重Mに対するバネ定数の最適値K(VE、M)と粘性係数の最適値C(VE、M)を記憶部から取得して、通信部に送出することを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。
  7. 前記制御部は、車両側通信部を通じてネットワークサーバから送られてきたバネ定数の最適値K(VE、M)と粘性係数の最適値C(VE、M)を、道路凹凸箇所通過前にサスペンション装置に設定することを特徴とする請求項1に記載の予測調整型サスペンション制御システム。




























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