JP7127697B2 - 情報処理装置、制御方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明はガスの特徴の解析に関する。
ガスをセンサで測定することにより、ガスに関する情報を得る技術が開発されている。特許文献1は、ナノメカニカルセンサで試料ガスを測定することで得られるシグナル(検出値の時系列データ)を利用して、試料ガスの種類を判別する技術を開示している。具体的には、センサの受容体に対する試料ガスの拡散時定数が、受容体の種類と試料ガスの種類の組み合わせによって決まるため、信号から得られる拡散時定数と、受容体の種類とに基づいて、試料ガスの種類を判別できることが開示されている。
特開2017-156254号公報
特許文献1では、試料ガスに含まれている分子が1種類であることが前提となっており、複数種類の成分が混合している試料ガスを扱うことが想定されていない。本願発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数種類の分子が混合しているガスの特徴を抽出する技術を提供することである。
本発明の情報処理装置は、1)測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得部と、2)測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解部と、を有する。
センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化する。
測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上である。
本発明の制御方法は、コンピュータによって実行される。当該制御方法は、1)測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得ステップと、2)測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解ステップと、を有する。
センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化する。
測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上である。
本発明のプログラムは、コンピュータに、本発明の制御方法が有する各ステップを実行させる。
本発明によれば、複数種類の分子が混合しているガスの特徴を抽出する技術が提供される。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
実施形態1の情報処理装置(図3における情報処理装置)の概要を例示する図である。 情報処理装置が取得するデータを得るためのセンサを例示する図である。 実施形態1の情報処理装置の機能構成を例示する図である。 情報処理装置を実現するための計算機を例示する図である。 実施形態1の情報処理装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。 実施形態2の分解部によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。 実施形態3の情報処理装置の概要を例示する図である。 実施形態3の情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。 実施形態3の情報処理装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。 単位成分情報をテーブル形式で例示する図である。 測定対象ガスに含まれる単位成分をグラフで表す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、特に説明する場合を除き、各ブロック図において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
[実施形態1]
<発明の概要>
図1は、実施形態1の情報処理装置(図3における情報処理装置2000)の概要を例示する図である。また、図2は、情報処理装置2000が取得するデータを得るためのセンサ10を例示する図である。センサ10は、分子が付着する受容体を有し、その受容体における分子の付着と離脱に応じて検出値が変化するセンサである。ここで、ガスをセンシングしたことに応じてセンサ10から出力される検出値の信号データ(時系列データ)を、信号データ14と呼ぶ。なお、必要に応じ、信号データ14を信号ベクトル Y とも表記し、時刻 t の検出値を y(t) とも表記する。Y は、y(t) が列挙されたベクトルとなる。
例えばセンサ10は、膜型表面応力(Membrane-type Surface Stress; MSS)センサである。MSS センサは、受容体として、分子が付着する官能膜を有しており、その官能膜に対する分子の付着と離脱によってその官能膜の支持部材に生じる応力が変化する。MSS センサは、この応力の変化に基づく検出値を出力する。なお、センサ10は、MSS センサには限定されず、受容体に対する分子の付着と離脱に応じて生じる、センサ10の部材の粘弾性や動力学特性(質量や慣性モーメントなど)に関連する物理量の変化に基づいて検出値を出力するものであればよく、カンチレバー式、膜型、光学式、ピエゾ、振動応答などの様々なタイプのセンサを採用することができる。
ここで、センサ10を用いた測定の結果により、測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを得ることができることから、センサ10を「においセンサ」とも呼ぶことができる。すなわち、或る物質が発するにおいの特徴を把握したい場合に、その物質から生じる蒸気(物質が気体であればその気体そのもの)をセンサ10で測定し、その測定結果に基づく特徴ベクトルを得ることで、その物質が発するにおいの特徴を把握することができる。
情報処理装置2000は、測定対象ガスをセンサ10でセンシングすることで得られた信号データ14に基づいて得られる特徴ベクトル20を取得する。測定対象ガスには複数の分子が含まれているとする。特徴ベクトル20は、測定対象ガスの特徴量がベクトルで表現されたものである。例えば特徴ベクトル20は、信号データ14に含まれる各周波数成分の強さを表すスペクトルデータである。この場合、特徴ベクトル20の各要素が1つの周波数成分に対応し、その要素の値がその周波数成分の大きさを表す。ただし、特徴ベクトル20は周波数成分のスペクトルデータに限定されない。特徴ベクトル20の詳細については後述する。
ここで、測定対象ガスに複数の成分が含まれている場合、測定対象ガスの特徴を表す特徴ベクトル20は、測定対象ガスに含まれる複数の成分それぞれの特徴ベクトルが合成されたものであると考えられる。特に、周波数スペクトルなど、線形性を持つ特徴量を扱うと、特徴ベクトル20は、各成分の特徴ベクトルの錐結合で表すことができる。以下の式(1)は、特徴ベクトル20を複数の成分それぞれの特徴ベクトルの錐結合で表している。
Figure 0007127697000001
ここで、Ft は特徴ベクトル20を表し、Fi は各成分iの特徴ベクトルを表す。また、αi は、測定対象ガスにおける成分iの錐結合係数を表す。なお、αi>=0 とする。また、αi の総和を1にすれば、αi は混合比(濃度比)を表す。
そこで情報処理装置2000は、非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)を利用して、特徴ベクトル20を複数の特徴ベクトルに分解する。より具体的には、情報処理装置2000は、特徴ベクトル20を、複数の特徴ベクトルそれぞれの錐結合係数を表す1つのベクトルと、それら複数の特徴ベクトルを表す1つの行列との積に分解する。以下、このベクトルと行列をそれぞれ、係数ベクトルと特徴行列と呼ぶ。係数ベクトルは、式(1)においてαiが列挙されているベクトルに相当する。特徴行列は、式(1)において特徴ベクトル Fi が列挙されている行列に相当する。
このように、NMF を利用することで、特徴ベクトル20を、複数のベクトルの錐結合に分解することができる。すなわち、情報処理装置2000によれば、複数の分子を含む測定対象ガスについて、その中に含まれる複数の成分(単一分子や複数の分子の組み合わせ)それぞれについての特徴を得ることができる。
ここで、情報処理装置2000は、測定対象ガスに含まれる1つ以上の成分が未知であるケースで特に有用である。なぜなら、NMF は、その実行の結果得られる行列についての事前知識が無くても実行可能であるためである。同様の理由で、測定対象ガスに含まれる成分は既知であるが、その中の1つ以上の成分について特徴ベクトルが未知であるというケースでも特に有用である。
なお、図1及び図2を参照した上述の説明は、情報処理装置2000の理解を容易にするための例示であり、情報処理装置2000の機能を限定するものではない。以下、本実施形態の情報処理装置2000についてさらに詳細に説明する。
<機能構成の例>
図3は、実施形態1の情報処理装置2000の機能構成を例示する図である。実施形態1の情報処理装置2000は、取得部2020及び分解部2040を有する。取得部2020は、測定対象ガスの特徴ベクトル20を取得する。分解部2040は、測定対象ガスの特徴ベクトル20について NMF を実行することで、特徴ベクトル20を係数ベクトルと特徴行列の積に分解する。
<情報処理装置2000のハードウエア構成>
情報処理装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、情報処理装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
図4は、情報処理装置2000を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は、Personal Computer(PC)やサーバマシンなどの据え置き型の計算機である。その他にも例えば、計算機1000は、スマートフォンやタブレット端末などの可搬型の計算機である。計算機1000は、情報処理装置2000を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1120が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
ストレージデバイス1080は、情報処理装置2000の各機能構成部を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
<処理の流れ>
図5は、実施形態1の情報処理装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。取得部2020は、測定対象ガスの特徴ベクトル20を取得する(S102)。分解部2040は、NMF により、測定対象ガスの特徴ベクトル20を、係数ベクトルと特徴行列の積に分解する(S104)。
<特徴ベクトル20の取得:S102>
取得部2020は、測定対象ガスの特徴ベクトル20を取得する。特徴ベクトル20の取得方法は様々である。例えば取得部2020は、特徴ベクトル20が記憶されている記憶装置にアクセスすることで、特徴ベクトル20を取得する。この記憶装置は、情報処理装置2000の内部に設けられていてもよいし、情報処理装置2000の外部に設けられていてもよい。その他にも例えば、取得部2020は、他の装置から送信される特徴ベクトル20を受信することで、特徴ベクトル20を取得してもよい。この「他の装置」は、例えば、測定対象ガスについてセンサ10から得られた信号データ14から、特徴ベクトル20を算出する装置である。
<NMF の実行:S104>
分解部2040は、特徴ベクトル20について NMF を実行することで、特徴ベクトル20を係数ベクトルと特徴行列に分解する(S104)。NMF の具体的なアルゴリズムには、既存の種々のアルゴリズムを利用できる。
ここで、特徴ベクトル20をいくつの特徴ベクトルに分解するか、すなわち、特徴行列の列数(=係数ベクトルの要素数)は、NMF を実行する前に設定されてもよいし、設定されなくてもよい。前者の場合、分解部2040は、係数ベクトルの要素数と特徴ベクトルの列数が所定の数であるという制約条件の下で、NMF を実行する。
一方、後者の場合、分解部2040は、係数ベクトルの要素数と特徴ベクトルの列数を限定せずに NMF を実行する。ここで、このような限定を行わずに行う NMF のアルゴリズムには、既存のアルゴリズムを利用することができる。このケースでは、NMF を実行した結果として特徴行列の列数が決まり、その列数が測定対象ガスに含まれる成分の数を表すことになる。
なお、特徴行列の列数を予め設定する場合、その列数は任意の方法で設定できる。例えば特徴行列の列数は、ユーザ入力によって与えられる。その他にも例えば、特徴行列の列数は、分解部2040に予め固定で設定されていてもよい。
<処理結果の出力について>
情報処理装置2000は、分解部2040による処理の結果を示す情報(以下、出力情報)を出力する。出力情報の出力態様は様々である。例えば情報処理装置2000は、出力情報を記憶装置に記憶させたり、ディスプレイ装置に表示させたり、他の装置に送信したりする。
出力情報には、係数ベクトルや特徴行列を表すデータが含まれる。このデータは、文字列データや画像データなど、種々の形式のデータとすることができる。
<特徴ベクトル20について>
測定対象ガスの特徴を表す特徴ベクトル20は、1)測定対象ガスをセンサ10でセンシングすることで得られる信号データ14に対して所定の処理を加えることで得られ、2)全ての要素の値が0以上(非負)であり、なおかつ3)線形性を有するという条件を満たすベクトルである。このような特徴ベクトルには、例えば、信号データ14から得られる種々のスペクトルを表すベクトルを利用できる。
例えば特徴ベクトル20には、信号データ14に含まれる複数の周波数成分それぞれの強さを表す周波数スペクトルを用いることができる。信号データ14の周波数スペクトルは、信号データ14に対して離散フーリエ変換を施すことで得られる。
その他にも例えば、特徴ベクトル20には、信号データ14から得られる速度定数や時定数などの種々の定数(以下、特徴定数)に関するスペクトルデータを用いることができる。以下、特徴定数のスペクトルデータについて詳細に説明する。
まず、センサ10のように、分子が付着する受容体を有し、その受容体における分子の付着と離脱に応じて検出値が変化するセンサにおけるセンシングは、以下のようにモデル化できる。
(1)センサ10は、K 種類の分子を含む測定対象ガスに曝されている。
(2)ガスにおける各分子 k の濃度は一定のρkである。
(3)センサ10には、合計 N 個の分子が吸着可能である。
(4)時刻t においてセンサ10に付着している分子k の数は nk(t) 個である。
センサ10に付着している分子 k の数 nk(t) の時間変化は、以下のように定式化できる。
Figure 0007127697000002
式(2)の右辺の第1項と第2項はそれぞれ、単位時間当たりの分子 k の増加量(新たにセンサ10に付着する分子 k の数)と減少量(センサ10から離脱する分子 k の数)を表している。また、αk とβk はそれぞれ、分子 k がセンサ10に付着する速度を表す速度定数と、分子 k がセンサ10から離脱する速度を表す速度定数である。
ここで、濃度ρkが一定であるため、上記式(2)から、時刻t における分子 k の数 nk(t) は、以下のように定式化できる。
Figure 0007127697000003
また、時刻 t0(初期状態)でセンサ10に分子が付着していないと仮定すれば、nk(t) は以下のように表される。
Figure 0007127697000004
センサ10の検出値は、ガスに含まれる分子によってセンサ10に働く応力などの粘弾性や動力学特性に関連する物理量によって定まる。そして、複数の分子によってセンサ10から得られる物理量は、個々の分子による物理量への寄与の錐結合で表すことができると考えられる。ただし、分子による物理量への寄与は、分子の種類によって異なると考えられる。すなわち、センサ10の検出値に対する分子の寄与は、その分子の種類によって異なると言える。
そこで、センサ10の検出値 y(t) は、以下のように定式化できる。
Figure 0007127697000005
ここで、γk とξk はいずれも、センサ10の検出値に対する分子 k の寄与を表す。
なお、パージガスとは、センサ10から測定対象ガスの影響を取り除いて、センサ10の状態を初期状態に戻すために利用されるガスである。センサ10による測定対象ガスの測定で得られる信号データ14としては、センサ10を測定対象ガスに曝したときにセンサ10から得られる信号データだけでなく、測定対象ガスに曝された後のセンサ10をパージガスに曝すことで得られる信号データを利用することもできる。
ここで、特徴定数の集合Θ={θ1, θ2,..., θm} を定義すると、信号データ14を以下の式(6)に示すように分解することができる。
Figure 0007127697000006
ここで、ξi は、センサ10の検出値に対する特徴定数θi の寄与を表す寄与値である。なお、センシングしたガスに含まれていない成分に対応する特徴定数については、寄与ξがゼロとなる。
或る種類の特定定数について寄与値ξを列挙したベクトルΞは、信号データ14におけるその特徴定数に関するスペクトルデータを表すと言える。そこで、このベクトルΞを、特徴ベクトル20として用いることができる。
特徴定数θとしては、前述した速度定数βや、速度定数の逆数である時定数τを採用することができる。すなわち、信号データ14から得られる、速度定数βに関するスペクトルデータや時定数τに関するスペクトルデータを、特徴ベクトル20として利用することができる。なお、θとしてβとτを使う場合それぞれについて、式(6)は、以下のように表すことができる。
Figure 0007127697000007
<<特徴ベクトル20に負の要素が含まれうるケースについて>>
NMF で分解するベクトルは、全ての要素が0以上である必要がある。そこで、特徴ベクトルに負の要素が含まれうる場合、分解部2040は、特徴ベクトル20の要素に負の値が含まれないように前処理を行うことが好適である。例えばこの前処理は、特徴ベクトル20に含まれる負の要素をその絶対値や0に変換する処理である。また、分解部2040は、特徴行列に含まれる要素のうち、前処理で負の値からその絶対値に変換された要素を分解することで得られた各要素については、符号を負に変換する(-1 をかける)後処理を行うことが好適である。例えば、特徴ベクトル20の j 行目の要素が負からその絶対値に変換された場合、分解部2040は、特徴行列の j 行目の各要素の符号を負に変換する。
[実施形態2]
実施形態2の情報処理装置2000は、測定対象ガスに含まれる1つ以上の成分について、特徴ベクトルが既知であるケースを想定する。例えば、測定対象ガスに水蒸気が含まれていること、及び水蒸気の特徴ベクトルが分かっているケースなどである。このように測定対象ガスに含まれる一部の成分が既知であったとしても、残りの成分が分からない場合には、情報処理装置2000を利用して各成分の特徴ベクトルを抽出することが有用である。
そこで実施形態2の情報処理装置2000では、特徴行列の中に含まれる一部の特徴ベクトルを既知のものとして、測定対象ガスの特徴ベクトル20に対する NMF が実行される。すなわち、実施形態2の分解部2040は、測定対象ガスに含まれていることが既知である成分についての特徴ベクトルを示す情報(以下、前提情報)を取得し、その特徴ベクトルが特徴行列に含まれるという制約条件の下で、測定対象ガスの特徴ベクトル20について NMF を実行する。
取得部2020が前提情報を取得する方法には、特徴ベクトル20を取得する方法と同様に、様々な方法を採用できる。ただし、前提情報を取得する方法と特徴ベクトル20を取得する方法は、互いに異なっていてもよい。
例えば前提情報に、測定対象ガスに含まれる成分のうち、k 個の成分についての特徴ベクトルが示されているとする。この場合、例えば以下に再掲する式(1)において、F1 から Fk に既知である特徴ベクトルを予め設定した上で、NMF が実行される。これにより、係数ベクトル及び F_k+1 以降の特徴ベクトルが算出される。なお、前述した通り、αi>=0 である。
Figure 0007127697000008
ここで、結果として得られる行列を構成する1つ以上のベクトルが既知であるという制約条件の下で NMF を実行する具体的なアルゴリズムには、教師有り NMF や半教師有り NMF などと呼ばれる NMF のアルゴリズムを利用することができる。
<作用効果>
本実施形態の情報処理装置2000によれば、測定対象ガスに含まれる一部の成分及びその特徴ベクトルが既知である場合に、その特徴ベクトルを特徴行列に設定した上で NMF を行うことで、測定対象ガスに含まれる他の成分の特徴ベクトルを得ることができる。このように NMF で算出する行列の一部が予め分かっていると、NMF で行われる探索が少なくなるため、NMF の実行に要する時間が短くなる。また、NMF で算出する行列の一部が予め分かっていると、NMF の結果(すなわち、係数ベクトルと特徴行列)の精度が高くなる。
よって、本実施形態の情報処理装置2000によれば、予め分かっている成分に関する情報を有効活用することで、係数ベクトル及び特徴行列を得るための処理に要する時間を短くしつつ、これらを精度良く算出することができる。
<機能構成の例>
実施形態2の情報処理装置2000の機能構成は、実施形態1の情報処理装置2000の機能構成と同様に、例えば図3で表される。ただし、実施形態2の分解部2040は、前提情報を取得し、前提情報に示される特徴ベクトルが NMF によって得られる特徴行列に含まれるという制約条件の下で、特徴ベクトル20について NMF を実行する。
<ハードウエア構成の例>
実施形態2の情報処理装置2000を実現する計算機のハードウエア構成は、実施形態1と同様に、例えば図4によって表される。ただし、本実施形態の情報処理装置2000を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の情報処理装置2000の機能を実現するプログラムモジュールが記憶される。
<処理の流れ>
図6は、実施形態2の分解部2040によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。このフローチャートは、図5におけるS104の中で行われる処理を表している。分解部2040は、前提情報を取得する(S202)。分解部2040は、前提情報を用いて、特徴ベクトル20について NMF を実行する(S204)。
<変形例>
分解部2040は、前提情報に示される各特徴ベクトルを特徴行列に設定した上で、それらの特徴ベクトルが或る程度変更されることを許容して、NMF を実行してもよい。具体的には、分解部2040は、特徴行列の列ベクトルの初期値として前提情報に示される特徴ベクトルを設定した上で、基底変換型教師有り NMF を実行する。基底変換型教師有り NMF では、NMF の結果として得られる行列の一部の初期値として既知のベクトルが設定されるが、このように初期値として設定されたベクトルの変化が許容される。なお、基底変換型教師有り NMF の具体的なアルゴリズムには、既知のものを利用できる。
センサ10でガスをセンシングすることで得られる信号データ14は、温度などの測定環境やノイズの影響を受ける。そのため、既知の特徴ベクトルを持つ成分が測定対象ガスに含まれていたとしても、その成分の特徴ベクトルが既知のデータと完全に一致するとは限らない。そこで、上述したように初期値として設定したベクトルの変更を許容する基底変換型教師有り NMF を利用することにより、このような測定環境やノイズなどの影響による特徴ベクトルの変動を考慮した上で、測定対象ガスの特徴ベクトル20から係数ベクトルと特徴行列を得ることができる。よって、測定対象ガスに含まれる各成分の錐結合係数と特徴ベクトルをより高い精度で算出することができる。
ここで、前提情報は、既知の特徴ベクトルについて、その特徴ベクトルの変形をどの程度許容するかを表す情報をさらに含んでもよい。例えば、或る成分について様々な測定環境下でテストを行って特徴ベクトルを算出することで、その成分の特徴ベクトルの変動具合を把握しておく。具体的な例としては、テストで得られた複数の特徴ベクトルについて、平均ベクトルμと、平均ベクトルμからの距離の標準偏差σを算出しておく。そして、前提情報に、その成分の特徴ベクトルとして平均ベクトルμを含め、その特徴ベクトルについて変形を許容する範囲を表す指標値(以下、許容指標値)として標準偏差σそのもの又はその定数倍(2σや3σなど)などの値を含めるようにする。
この場合、分解部2040は、前提情報に示されている平均ベクトルμを特徴行列の初期値として与え、初期値との距離が許容指標値以下であるという制約条件の下で NMF を実行する。こうすることで、既知の特徴ベクトルについても変形を許容しつつ、その変形が過度に大きくならないようにすることができる。
[実施形態3]
図7は、実施形態3の情報処理装置2000の概要を例示する図である。実施形態3の情報処理装置2000は、分解部2040によって得られた特徴行列を用いて、測定対象ガスに含まれる1つ以上の単位成分を特定する。単位成分は、例えば単一の種類の分子である。その他にも例えば、単位成分は、特定のにおいを生じる分子の組み合わせである。例えば、リンゴのにおいを生じさせる単位成分は、リンゴのにおいを生じる分子の組み合わせ(すなわち、リンゴから生じるガスに含まれる分子の組み合わせ)である。
情報処理装置2000は、分解部2040によって得られた特徴行列に含まれる特徴ベクトルの中から、既知の単位成分の特徴ベクトルに類似するものを特定する。特徴行列に含まれる特徴ベクトルが、或る単位成分の特徴ベクトルと類似している場合、情報処理装置2000は、その単位成分を、測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する。
このような処理を実現するために、既知の単位成分それぞれについての特徴ベクトルを表す情報を予め用意しておく。この情報を、単位成分情報と呼ぶ。単位成分情報は、単位成分の識別子と、その単位成分の特徴ベクトルとを対応づけた情報である。単位成分の特徴ベクトルは、例えば、その単位成分のみを含むガスをセンサ10でセンシングすることで得られる信号データについて算出される特徴ベクトルである。
分解部2040は、特徴行列に含まれる複数の特徴ベクトルそれぞれについて、単位成分情報に示される各特徴ベクトルとの比較を行う。これにより分解部2040は、単位成分情報の中から、特徴行列に含まれる特徴ベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、特定された特徴ベクトルに対応する識別子を持つ単位成分を、測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する。
また、情報処理装置2000は、係数ベクトルに基づいて、特定した単位成分の測定対象ガスにおける錐結合係数を特定してもよい。例えば特徴行列の i 列目の特徴ベクトルが単位成分 X の特徴ベクトルと類似していると判定された場合、分解部2040は、係数ベクトルの i 番目の要素の値を、測定対象ガスにおける単位成分 X の錐結合係数として特定する。
<作用効果>
本実施形態の情報処理装置2000によれば、特徴ベクトル20を NMF により分解することで得られた特徴行列に含まれる特徴ベクトルについて、その特徴ベクトルに類似する既知の単位成分の特徴ベクトルを特定することにより、測定対象ガスに含まれる単位成分が特定される。よって、情報処理装置2000によれば、測定対象ガスの特徴ベクトル20から、測定対象ガスにどのような成分が含まれているのかを容易に把握することができる。
<機能構成の例>
図8は、実施形態3の情報処理装置2000の機能構成を例示するブロック図である。実施形態3の情報処理装置2000は、取得部2020及び分解部2040に加え、成分特定部2060を有する。成分特定部2060は、単位成分情報の中から、分解部2040によって得られた特徴行列に含まれるベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、特定した特徴ベクトルに対応する単位成分を、測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する。
<ハードウエア構成の例>
実施形態3の情報処理装置2000を実現する計算機のハードウエア構成は、実施形態1と同様に、例えば図4によって表される。ただし、本実施形態の情報処理装置2000を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の情報処理装置2000の機能を実現するプログラムモジュールが記憶される。
<処理の流れ>
図9は、実施形態3の情報処理装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。図9のS102及びS104はそれぞれ、図5のS102及びS104と同じである。S104の後、成分特定部2060は、単位成分情報を取得する(S302)。成分特定部2060は、単位成分情報の中から、特徴行列に含まれるベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、特定した特徴ベクトルに対応する単位成分を、測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する(S304)。
<単位成分情報について>
前述したように、単位成分情報は、単位成分の識別子と、その単位成分の特徴量とを対応づけた情報である。単位成分が単一の種類の分子であるとする。この場合、単位成分情報は、分子の識別子と、その分子の特徴ベクトルとを対応づけている。分子の識別子は、その分子の名称や化学式などである。分子の特徴ベクトルは、その分子のみを含むガスをセンサ10でセンシングすることで得られる信号データから得られる特徴ベクトルである。なお、単位成分情報は、情報処理装置2000の内部又は外部に設けられている記憶装置に予め記憶されているものとする。
単位成分が、特定のにおいを生じる分子の組み合わせであるとする。この場合、単位成分情報が示す単位成分の識別子は、例えば、においの名称(以下、においラベル)である。また、単位成分の特徴ベクトルは、そのにおいラベルで特定されるガスの特徴ベクトルである。
ここで、「特定のにおい」とは、「りんごのにおい」や「お酒のにおい」などのように、特定の物質から生じるにおいである。なお、物質は食品には限定されず、機械、建材、薬品、カビ、焦げ、又は生ゴミなどといった任意の物とすることができる。この場合、においラベルは、そのにおいを発する物質の名称などである。
また、「特定のにおい」は、「カフェのにおい」、「プールのにおい」、「青臭いにおい」、「押し入れのようなにおい」、「甘いにおい」、「生臭いにおい」、又は「雨の日のにおい」などのように、そのにおいがする場所や状況などといった抽象的な概念と結びつくにおいであってもよい。この場合、においラベルは、このような抽象的な概念を表す言葉(例えば、場所の種類や名称、状況を表す言葉など)である。
図10は、単位成分情報をテーブル形式で例示する図である。図10のテーブルを、テーブル300と呼ぶ。テーブル300は、識別子302及び特徴ベクトル304という2つの列を有する。テーブル300の各レコードは、識別子302に示される単位成分の識別子に、特徴ベクトル304に示される特徴ベクトルを対応づけている。識別子302は、分子の識別子やにおいラベルを表す。
<特徴ベクトル同士の比較について>
分解部2040は、特徴行列に含まれる特徴ベクトルと、単位成分情報が示す特徴ベクトルとが類似しているか否かを判定する。例えば分解部2040は、これらの間の類似度を算出する。そして、分解部2040は、算出した類似度が所定値以上である場合に、比較した特徴ベクトルが互いに類似すると判定する。この所定値は、分解部2040からアクセス可能な記憶装置に記憶させておく。
ここで、特徴行列に含まれる或る特徴ベクトルAについて、類似度が閾値以上である単位成分の特徴ベクトルが複数存在する場合がある。この場合、例えば成分特定部2060は、類似度が最大の単位成分を、特徴ベクトルAに対応する単位成分として特定する。その他にも例えば、成分特定部2060は、類似度が所定値以上である複数の単位成分それぞれを、測定対象ガスの含まれている可能性がある単位成分として特定してもよい。
比較する2つの特徴ベクトルの類似度は、例えばベクトル間の距離を用いて表すことができる。ベクトル間の距離には、L1 ノルムや L2 ノルムなどといった様々なノルムを利用できる。
<特定結果の出力について>
情報処理装置2000は、測定対象ガスに含まれる単位成分を表す情報(以下、第2出力情報)を出力する。例えば第2出力情報は、測定対象ガスに含まれる各単位成分の識別子及びそれらの錐結合係数を示すテキストデータや画像データである。その他にも例えば、第2出力情報は、測定対象ガスに含まれる各単位成分の識別子及びそれらの錐結合係数を、表やグラフで表現したグラフィカルな情報であってもよい。
図11は、測定対象ガスに含まれる単位成分をグラフで表す図である。この例では、錐結合係数の総和を1にするという条件の下で NMF を実行することで、錐結合係数が混合比を表すようにしている。グラフは、横軸に測定対象ガスに含まれる各分子の名称を示し、縦軸に各分子の混合比を示している。ここで、分解部2040により、測定対象ガスの特徴ベクトル20から、5つの特徴ベクトルを有する特徴行列が算出されたとする。そして、これら5つの特徴ベクトルのうち、4つの特徴ベクトルがそれぞれ、分子B、C、E、及びGの特徴ベクトルと類似していると判定されたとする。すなわち、測定対象ガスに、分子B、C、E、及びGが含まれていることが特定されたとする。
この結果から、図11に示すグラフには、分子B、C、E、及びGが示されている。さらに、これらの分子の混合比(すなわち、これらの特徴ベクトルに対応する係数ベクトルの要素の値)が、これらの分子の縦軸の値として示されている。特徴行列に含まれる特徴ベクトルのうち、1つの特徴ベクトルについては、対応する単位成分が不明である。そのため、図11のグラフには、「不明」というラベルが示されている。なお、このグラフにおいて、単位成分は、混合比の降順にソートされている。ただし、成分が不明なものについては、最後に示されている。
このように測定対象ガスの成分をグラフィカルな情報で出力することにより、情報処理装置2000のユーザが、測定対象ガスの成分を直感的に容易に理解できるようになる。
<成分を特定した結果の利用例>
測定対象ガスに含まれる成分を特定した結果は、様々なことに利用できる。例えば、測定対象ガスから得られた特徴量について判別分析を行う際に、成分特定部2060による処理の結果を利用できる。具体的には、対象ガスの特徴ベクトル20について判別分析を行う前に、判別分析の精度を下げてしまう余分な成分の特徴ベクトルを除くことができる。
例えば、清涼飲料水やアルコールでは、水分が多く含まれていることが多い。この場合、これらの飲料の蒸気の特徴ベクトルをそのまま比較すると、水蒸気の特徴ベクトルという共通項の影響が大きく、精度の高い比較を行うことが難しい。
そこで、情報処理装置2000を用いて飲料の蒸気を表す測定対象ガスの特徴ベクトル20を複数の特徴ベクトルに分解し、その中から水蒸気の特徴ベクトルを特定し、水蒸気の特徴ベクトルを取り除いた上で判別分析を行うことが好適である。こうすることで、水分以外の成分による比較、すなわち各飲料の特徴的な成分同士の比較が可能になり、判別分析の精度が高くなる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態を組み合わせた構成や、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. 測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた前記測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得部と、
前記測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解部と、を有し、
前記センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化し、
前記測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上である、情報処理装置。
2. 前記分解部は、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列に前記取得した特徴ベクトルが含まれるという条件の下で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて NMF を実行する、1.に記載の情報処理装置。
3. 前記分解部は、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列にベクトルの初期値に前記取得した特徴ベクトルを設定した上で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて基底変換型教師あり NMF を実行する、1.に記載の情報処理装置。
4. 単位成分とその単位成分の特徴ベクトルとを対応づけた単位成分情報の中から、前記分解部によって得られた行列に含まれるベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、前記特定した特徴ベクトルに対応する単位成分を、前記測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する成分特定部を有する、1.乃至3.いずれか一つに記載の情報処理装置。
5. 前記成分特定部は、前記分解部によって得られたベクトルの要素のうち、前記測定対象ガスに含まれる単位成分の特徴ベクトルに対応する要素を、前記測定対象ガスにおけるその単位成分の錐結合係数として特定する、4.に記載の情報処理装置。
6. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データの周波数スペクトルを表す、1.乃至5.いずれか一つに記載の情報処理装置。
7. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データに対する、複数の特徴定数それぞれの寄与の大きさを表し、
前記特徴定数は、前記センサに付着している分子の量の時間変化の大きさに関する時定数又は速度定数である、1.乃至6.いずれか一つに記載の情報処理装置。
8. コンピュータによって実行される制御方法であって、
測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた前記測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得ステップと、
前記測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解ステップと、を有し、
前記センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化し、
前記測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上である、制御方法。
9. 前記分解ステップにおいて、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列に前記取得した特徴ベクトルが含まれるという条件の下で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて NMF を実行する、8.に記載の制御方法。
10. 前記分解ステップにおいて、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列にベクトルの初期値に前記取得した特徴ベクトルを設定した上で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて基底変換型教師あり NMF を実行する、8.に記載の制御方法。
11. 単位成分とその単位成分の特徴ベクトルとを対応づけた単位成分情報の中から、前記分解ステップによって得られた行列に含まれるベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、前記特定した特徴ベクトルに対応する単位成分を、前記測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する成分特定ステップを有する、8.乃至10.いずれか一つに記載の制御方法。
12. 前記成分特定ステップにおいて、前記分解ステップによって得られたベクトルの要素のうち、前記測定対象ガスに含まれる単位成分の特徴ベクトルに対応する要素を、前記測定対象ガスにおけるその単位成分の錐結合係数として特定する、11.に記載の制御方法。
13. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データの周波数スペクトルを表す、8.乃至12.いずれか一つに記載の制御方法。
14. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データに対する、複数の特徴定数それぞれの寄与の大きさを表し、
前記特徴定数は、前記センサに付着している分子の量の時間変化の大きさに関する時定数又は速度定数である、8.乃至13.いずれか一つに記載の制御方法。
15. 8.乃至14.いずれか一つに記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。

Claims (9)

  1. 複数の成分を含む測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた前記測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得部と、
    前記測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解部と、を有し、
    前記センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化し、
    前記測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上であり、
    前記分解部によって得られる行列は、前記測定対象ガスに含まれる各成分の特徴を示す特徴ベクトルが、複数列挙されている行列であり、
    前記分解部によって得られるベクトルは、当該行列に列挙される複数の特徴ベクトルそれぞれに対する錐結合係数を表す
    情報処理装置。
  2. 前記分解部は、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列に前記取得した特徴ベクトルが含まれるという条件の下で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて NMF を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記分解部は、前記測定対象ガスに含まれる成分の特徴ベクトルを取得し、前記行列にベクトルの初期値に前記取得した特徴ベクトルを設定した上で、前記測定対象ガスの特徴ベクトルについて基底変換型教師あり NMF を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 単位成分とその単位成分の特徴ベクトルとを対応づけた単位成分情報の中から、前記分解部によって得られた行列に含まれるベクトルと類似する特徴ベクトルを特定し、前記特定した特徴ベクトルに対応する単位成分を、前記測定対象ガスに含まれる単位成分として特定する成分特定部を有する、請求項1乃至3いずれか一項に記載の情報処理装置。
  5. 前記成分特定部は、前記分解部によって得られたベクトルの要素のうち、前記測定対象ガスに含まれる単位成分の特徴ベクトルに対応する要素を、前記測定対象ガスにおけるその単位成分の錐結合係数として特定する、請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データの周波数スペクトルを表す、請求項1乃至5いずれか一項に記載の情報処理装置。
  7. 前記測定対象ガスの特徴ベクトルは、前記測定対象ガスをセンシングした前記センサから得られる検出値の信号データに対する、複数の特徴定数それぞれの寄与の大きさを表し、
    前記特徴定数は、前記センサに付着している分子の量の時間変化の大きさに関する時定数又は速度定数である、請求項1乃至6いずれか一項に記載の情報処理装置。
  8. コンピュータによって実行される制御方法であって、
    複数の成分を含む測定対象ガスをセンシングしたセンサの検出値の信号データに基づいて得られた前記測定対象ガスの特徴ベクトルを取得する取得ステップと、
    前記測定対象ガスの特徴ベクトルを非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)によってベクトルと行列の積に分解する分解ステップと、を有し、
    前記センサの検出値は、センシングしたガスに含まれる分子の付着と離脱に応じて変化し、
    前記測定対象ガスの特徴ベクトルの各要素の値は0以上であり、
    前記分解ステップで得られる行列は、前記測定対象ガスに含まれる各成分の特徴を示す特徴ベクトルが、複数列挙されている行列であり、
    前記分解ステップで得られるベクトルは、当該行列に列挙される複数の特徴ベクトルそれぞれに対する錐結合係数を表す制御方法。
  9. 請求項8に記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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