JP7126871B2 - セメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔5〕を提供する。
〔1〕下記工程(1)~(3)を含む、セメント組成物の製造方法。
工程(1):水硬性材料を含むベースコンクリートに、ポリカルボン酸系化合物及び/又はリグニンスルホン酸系化合物からなるセメント混和剤(A)を添加し、混練して混練物を調製する工程。
工程(2):セルロース系担体(B)に、ポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(D)、及び消泡剤(E)を担持させて、フロック状セメント混和剤(F)を調製する工程。
工程(3):混練開始から60分以上経過後に、前記混練物に前記フロック状セメント混和剤(F)を添加し、ドラム型ミキサで混合し、セメント組成物を製造する工程。
〔2〕前記ポリカルボン酸系共重合体(C)が、下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)、及び下記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)からなる群から選択される少なくとも2種の構成単位を有する共重合体である、上記〔1〕に記載のセメント組成物の製造方法。
〔3〕前記フロック状セメント混和剤(F)中、前記セルロース系担体(B)100重量部に対して、前記ポリカルボン酸系共重合体(C)が10~500重量部である、上記〔1〕又は〔2〕に記載のセメント組成物の製造方法。
〔4〕前記増粘剤(D)が、25℃で液状の増粘剤である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のセメント組成物の製造方法。
〔5〕前記消泡剤(E)が、25℃で液状の消泡剤である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のセメント組成物の製造方法。
本発明のセメント組成物の製造方法は、工程(1)~(3)を含む。
工程(1):水硬性材料を含むベースコンクリートに、ポリカルボン酸系化合物及び/又はリグニンスルホン酸系化合物からなるセメント混和剤(A)を添加し、混練して混練物を調製する工程。
工程(2):セルロース系担体(B)に、ポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(D)、及び消泡剤(E)を担持させて、フロック状セメント混和剤(F)を調製する工程。
工程(3):混練開始から60分以上経過後に、混練物にフロック状セメント混和剤(F)を添加し、ドラム型ミキサで混合し、セメント組成物を製造する工程。
以下、各工程の詳細について説明する。
工程(1)は、水硬性材料を含むベースコンクリートに、ポリカルボン酸系化合物及び/又はリグニンスルホン酸系化合物からなるセメント混和剤(A)を添加し、混練して混練物を調製する工程である。
工程(1)で調製する混練物は、混練開始から時間が経過していない状態では、十分な流動性と高い自己充填性を有するが、長距離(長時間)輸送し、スランプロスが大きい場合、流動性と高い自己充填性を維持することが困難となり得る。
ベースコンクリートは、水硬性材料を含み、水、セメント混和剤(A)を除く他の混和剤(以下、単に「他の混和剤」ともいう)、骨材等のセメントを作製するのに通常使用される成分を含んでもよい。
セメントは、水硬性セメントであれば特に限定されない。例えば、普通、低熱、中庸熱、早強、超早強、耐硫酸塩等のポルトランドセメント、ポルトランドセメントの低アルカリ形、高炉セメント(A種、B種、C種)、シリカセメント(A種、B種、C種)、フライアッシュセメント(A種、B種、C種)、エコセメント(普通、速硬)、シリカヒュームセメント、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント、セメント系固化材が挙げられる。
なお、他の混和剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上の他の混和剤を任意の比率で組み合わせて用いもよい。
セメント混和剤(A)は、ポリカルボン酸系化合物及び/又はリグニンスルホン酸系化合物からなるものである。
リグニンスルホン酸系化合物は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、商品名「フローリックVP10」、「フローリックS」、「フローリックR」、「フローリックSV」、「フローリックRV」、「フローリックSV10」(以上、フローリック社製)、商品名「マスターポゾリスNo.70」、「マスターポリヒード15Sシリーズ」(以上、BASFジャパン社製)、商品名「ダーレックスWRDA」(グレースケミカル社製)、商品名「プラスクリートNC」、「プラスクリートR」(以上、日本シーカ社製)、商品名「ヤマソー80P」、「ヤマソー90シリーズ」、「ヤマソー98シリーズ」、「ヤマソー02NL-P」、「ヤマソー02NLR-P」、「ヤマソー09NL-P」、「ヤマソーNLR-P」(以上、山宗化学社製)、商品名「チューポールEX60シリーズ」、「チューポールLS-Aシリーズ」(以上、竹本油脂社製)、「リグエースUAシリーズ」、「リグエースURシリーズ」、「リグエースVFシリーズ」(以上、リグエース社製)が挙げられる。
各材料を混練する方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記各成分と水とを同時に混練する方法、混和剤を予め水に添加しておく方法、混和剤を後添加若しくは分割添加する方法が挙げられる。
混練時間は、使用する混練機にもよるが、一般には、全材料を混練機に投入後、少なくとも60秒以上であり、好ましくは90秒~10分間である。なお、工程(3)の混練開始の起算は、全材料を混練機に投入した時である。
このような混練して調製した混練物を、ミキサ車に積み込んで工事現場まで運搬する。
工程(2)は、セルロース系担体(B)に、ポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(D)、及び消泡剤(E)を担持させて、フロック状セメント混和剤(F)を調製する工程である。
工程(2)で調製するフロック状セメント混和剤(F)は、セルロース系担体(B)に、ポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(D)、及び消泡剤(E)を担持させている。このフロック状セメント混和剤(F)は、担持成分の性能を劣化することなく、良好な作業性を有し、混練物に添加した際に、担持成分の遊離性に優れるものである。
なお、ここでいう「フロック状」とは、流動性が低く液状を示さない状態をいい、固体状、粉末状、粒状、ゲル状等を含む。
セルロース系担体(B)は、水に浸した際に吸水し、保水性を示すセルロースを主成分とする物であれば特に制限無く使用し得る。中でも、粉末状セルロースを含むことが好ましい。
Xc:セルロースの結晶化度(%)
I002C:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
吸収率は、次のようにして算出した値である。蒸留水20gに加水処理前のセルロース系担体(B)1g(温度25℃、湿度50%で3時間調湿)を分散し、十分に撹拌したスラリーを得る。該スラリーを1G1ガラスろ過器(東京ガラス機器、最大細孔100~120μm)を用い、20分間自然濾過し、フィルター上に残留した加水処理後のセルロース系担体(B)を得る。加水処理前後のセルロース系担体(B)の重量を秤量し、次の式に代入することにより、吸水率を算出し得る。
式:(加水処理後の重量(g)-加水処理前の重量(g))/加水処理前の重量(g)×100
セルロース系担体(B)に担持させるポリカルボン酸系共重合体(C)は、一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)、一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)、及び一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)からなる群から選択される少なくとも2種の構成単位を有する共重合体であることが好ましい。
構成単位(I)は、上記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位である。一般式(1)中、R1~R3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。炭素原子数1~3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。炭素原子数1~3のアルキル基は、置換基を有していてもよい(但し、置換基の炭素原子数は、アルキル基の炭素原子数に含まないものとする)。R1は、水素原子であることが好ましい。R2は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。R3は、水素原子であることが好ましい。
この方法で製造され得る単量体としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールアリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコールメタリルエーテル、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、親水性及び疎水性のバランスの観点から、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテルが好ましい。
なお、ここでいう「(メタ)アリル」とは、アリル及びメタリルの両概念を含む意味である。
この方法で製造され得る単量体としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレン(ポリ)ブチレングリコール(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、ここでいう「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両概念を含む意味である。
構成単位(II)は、上記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位である。一般式(2)中、R5~R7は、それぞれ独立に、水素原子、-CH3又は-(CH2)rCOOM2を表す。なお、(CH2)rCOOM2は、互いに-COOM1又は他の-(CH2)rCOOM2と無水物を形成していてもよく、無水物を形成する場合はM1、M2は存在しない。R5は、水素原子であることが好ましい。R6は、水素原子、メチル基又は(CH2)rCOOM2であることが好ましい。R7は、水素原子であることが好ましい。
構成単位(III)は、上記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位である。一般式(3)中、R8~R10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表す。炭素原子数1~3のアルキル基の例は、R1~R3における例と同様である。R8は、水素原子であることが好ましい。R9は、水素原子であることが好ましい。R10は、水素原子であることが好ましい。
構成単位(IV)は、上記単量体(I)~(III)と共重合可能な単量体に由来する構成単位である。上記単量体(I)~(III)と共重合可能な単量体は、上記一般式(1)~(3)により表される単量体と構造上区別される。構成単位(IV)を構成する単量体は特に限定されなく、例えば、下記の各単量体を挙げることができる。なお、これらの単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
共重合体(C1)は、構成単位(I)及び構成単位(II)を有する。構成単位(I)の含有比の下限は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限は、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましい。また、構成単位(II)の含有比の下限は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、その上限は、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましい。
共重合体(C2)は、構成単位(I)、構成単位(II)及び構成単位(III)を有する。構成単位(I)の含有比の下限は、1モル%以上が好ましく、4モル%以上がより好ましい。また、その上限は、98モル%以下が好ましく、89モル%以下がより好ましい。また、構成単位(II)の含有比の下限は、1モル%以上が好ましい。また、その上限は、98モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましい。さらに、構成単位(III)の含有比の下限は、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。また、その上限は、98モル%以下が好ましく、89モル%以下がより好ましい。
その含有比は、特に限定されるものではなく、2種用いる場合、1~99重量%/1~99重量%であることが好ましく、10~90重量%/10~90重量%であることがより好ましく、20~80重量%/20~80重量%であることが更に好ましい。
ポリカルボン酸系共重合体(C)は、それぞれ所定の単量体を、公知の方法によって共重合して製造し得る。該方法としては、例えば、溶媒中での重合、塊状重合等の重合方法が挙げられる。
水溶媒中で重合反応を行う際に使用し得る重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の水溶性過酸化物が挙げられる。この際、L-アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、モール塩等の促進剤を併用してもよい。
低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル類又はケトン類等の有機溶媒中で重合反応を行う際に使用し得る重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等のパーオキサイド;クメンパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。この際、アミン化合物等の促進剤を併用してもよい。
水-低級アルコール混合溶剤中で重合反応を行う場合に使用し得る重合開始剤は、前述の重合開始剤、又は重合開始剤と促進剤との組合せの中から適宜選択すればよい。重合温度は、用いる溶媒、重合開始剤の種類等の重合条件によって適宜異なるけれども、通常は50~120℃である。
使用カラム;Shodex Column OH-pak SB-806HQ、SB-804HQ、SB-802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー社製又はGLサイエンス社製)
検出器;示差屈折計(東ソー社製)
検量線;ポリエチレングリコール基準
増粘剤(D)は、当該技術分野で使用される増粘剤であればよい。このような増粘剤としては、例えば、セルロース系増粘剤、アクリル系増粘剤、澱粉系増粘剤が挙げられる。増粘剤(D)は、セルロース系単体(B)に担持させることを考慮すると、25℃で液状の増粘剤であることが好ましい。
なお、増粘剤(D)は、1種類の増粘剤を用いてもよく、2種以上の増粘剤を併用して用いてもよい。
消泡剤(E)は、当該技術分野で使用される消泡剤であればよい。このような消泡剤としては、例えば、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、ポリアルキレングリコール系消泡剤、非イオン界面活性剤系消泡剤が挙げられる。消泡剤(E)は、セルロース系単体(B)に担持させることを考慮すると、25℃で液状の消泡剤であることが好ましい。
なお、消泡剤(E)は、1種類の消泡剤を用いてもよく、2種以上の消泡剤を併用して用いてもよい。
フロック状セメント混和剤(F)の各成分の配合量は次の通りである。
ポリカルボン酸系共重合体(C)の配合量は、セルロース系担体(B)100重量部に対して、10~500重量部であることが好ましく、50~400重量部であることがより好ましく、60~300重量部であることがさらに好ましい。ポリカルボン酸系共重合体(C)の配合量が10重量部以上であると、期待される分散性を得ることができる。一方、500重量部以下であると、フロック状セメント混和剤(F)のベタツキが大きくなりすぎず、作業性の低下を防止し得るとともに、セルロース担体に均等に担持でき、均一な分散性を期待し得る。
増粘剤(D)の配合量は、セルロース系担体(B)100重量部に対して、0.5~40重量部であることが好ましく、1~35重量部であることがより好ましく、1.5~30重量部であることがさらに好ましく、1.5~10重量部であることがさらにより好ましい。増粘剤(D)の配合量が40重量部以下であると、増粘成分が多すぎることによる、後添加後の所定の流動性が得られない事態を防止し得る。一方、0.5重量部以上であると、十分な自己充填性を確保し得る。
消泡剤(E)の配合量は、セルロース系担体(B)100重量部に対して、0.5~20重量部であることが好ましく、1~15重量部であることがより好ましく、2~10重量部であることがさらに好ましい。消泡剤(E)の配合量が20重量部以下であると、所定の空気量を確保でき、セメントの耐凍害性を向上し得る。一方、0.5重量部以上であると、増粘剤由来の巻き込み空気を抑制できないことによる、セメントの耐凍害性を損なう事態を防止し得る。
フロック状セメント混和剤(F)は、セルロース系担体(B)に上記の担持成分を担持させることで調製し得る。担持方法は特に限定されず、セルロース系担体(B)と各担持成分を接触撹拌して、必要に応じて乾燥することで調製し得る。
なお、調製の際に、他のセメント分散剤、水溶性高分子、硬化促進剤、増粘剤、遅延剤、高分子エマルジョン、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、消泡剤、AE剤、界面活性剤等の任意成分も担持し得る。
これらの任意成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(3)は、混練開始から60分以上経過後に、混練物にフロック状セメント混和剤(F)を添加し、ドラム型ミキサで混合し、セメント組成物を製造する工程である。
工程(3)では、工程(2)で調製したフロック状セメント混和剤(F)を添加する。このフロック状セメント混和剤(F)は、担持成分の性能を劣化することなく、担持成分の遊離性に優れるものである。そのため、混練物の混練開始から所定時間経過後に流動化を行うことができ、高い自己充填性を有するものとし得る。また、セルロース系担体(B)に各成分を担持するので、各成分は液状や粉末状の種類に限らず使用することができ、かつ、多量の水で溶解する必要がないことから、コンクリート中の単位水量の管理も容易にし得る。そのため、良好な作業性を有する。また、担持成分として消泡剤(E)を使用しているため、コンクリートの耐凍害性を向上し得る。
なお、混練物にフロック状セメント混和剤(F)を添加する際の、混練開始からの時間の上限は特に限定されるものではないが、通常の運搬を考慮すると、210分以下である。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたステンレス製反応容器に水8000kgを仕込み、攪拌下で反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(MPEG-MA)(エチレンオキサイドの平均付加モル数14)2500kg(33モル%)、メタクリル酸(MAA)400kg(67モル%)、水2670kgを混合したモノマー水溶液と、過硫酸ナトリウム50kg及び水500kgの攪拌混合液を、各々2時間かけて100℃に保持した反応容器に連続滴下した。温度を100℃に保持した状態で1時間重合反応を行った後、反応容器の後段に位置する追加装置にて、65℃まで冷却し、水酸化ナトリウムでpH7に中和すると同時に加水することで、濃度20%の共重合体(C-1)(重量平均分子量Mw18000、Mw/Mn1.5)の水溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流装置、窒素導入管及び滴下装置を備えたステンレス製反応容器に水8000kgを仕込み、攪拌下で反応容器を窒素置換した。窒素雰囲気下で100℃に昇温した後、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(MPEG-MA)(エチレンオキサイドの平均付加モル数14)3000kg(40モル%)、メタクリル酸(MAA)500kg(60モル%)、水2670kgを混合したモノマー水溶液と、過硫酸ナトリウム50kg及び水500kgの攪拌混合液を、各々2時間かけて100℃に保持した反応容器に連続滴下した。温度を100℃に保持した状態で1時間重合反応を行った後、反応容器の後段に位置する追加装置にて、65℃まで冷却し、水酸化ナトリウムでpH7に中和すると同時に加水することで、濃度20%の共重合体(C-2)(重量平均分子量Mw16000、Mw/Mn1.3)の水溶液を得た。
(B):晒し木材パルプシート(針葉樹由来パルプNDSP、日本製紙社製、平均重合度1600)を原料として、トルネードミル(日機装社製)を用いて機械的に粉砕を行って得た、平均粒子径67.0μm、平均重合度1479、見掛け比重は0.24g/cm3、アルカリ溶出率が0.4%、吸水率が690%の粉末状セルロース。
表1記載の配合量にて、セルロース系担体(B)、ポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(D)、消泡剤(E)及び他の分散剤をよくかき混ぜてフロック状セメント混和剤(F-1)~(F-4)を得た。
なお、増粘剤は、市販品のセルロース系増粘剤と市販品のアクリル系増粘剤を併用した。これらの併用物は、25℃で液状であった。
消泡剤は、市販品で非イオン界面活性剤系消泡剤を用いており、25℃で液状であった。
他の分散剤は、市販品を用いており、オキシカルボン酸系の分散剤である。
環境温度(20℃)において、表2の配合量となるようにセメント、水、細骨材および粗骨材を投入して、さらに初期分散剤としてポリカルボン酸系化合物であるフローリック社製「SF500S」をセメントに対し0.5部添加し、ミキサによる機械練りにより低速60秒間、高速90秒練混ぜて、表2記載のベースコンクリートを得た。なお、表2中、水の単位量は、SF500Sの含有水分量を含む。
普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(トクヤマ社製、比重3.16)
W:水道水
S:掛川産陸砂(密度2.58)
G:青梅産砕石(密度2.65)
上記で得たベースコンクリートに対して、混練開始から80分後後に、フロック状セメント混和剤(F)を添加して混練することにより、セメント組成物を製造した。製造したセメント組成物の評価を併せて表3に記す。
フロック状セメント混和剤(F)を添加しなかったこと以外は、実施例1~4と同様にしてセメント組成物を製造した。製造したセメント組成物の評価を併せて表3に記す。
フロック状混和剤(F)の代わりにライオン社製の流動化剤「レオパックG100」を添加したこと以外は、実施例1~4と同様にしてセメント組成物を製造した。製造したセメント組成物の評価を併せて表3に記す。
Claims (5)
- 下記工程(1)~(3)を含む、セメント組成物の製造方法。
工程(1):水硬性材料を含むベースコンクリートに、ポリカルボン酸系化合物及び/又はリグニンスルホン酸系化合物からなるセメント混和剤(A)を添加し、混練して混練物を調製する工程。
工程(2):平均粒子径10μm以上の粉末状セルロースを含み、吸水率が150%以上であるセルロース系担体(B)に、前記担体(B)100重量部に対し10~500重量部のポリカルボン酸系共重合体(C)、増粘剤(ただし、平均粒子径10μm以上の粉末状セルロースを除く)(D)、及び消泡剤(E)を担持させて、固体状、粉末状、粒状又はゲル状であるフロック状セメント混和剤(F)を調製する工程。
工程(3):混練開始から60分以上経過後に、前記混練物に前記フロック状セメント混和剤(F)を添加し、ドラム型ミキサで混合し、セメント組成物を製造する工程。 - 前記ポリカルボン酸系共重合体(C)が、下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)、及び下記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)からなる群から選択される少なくとも2種の構成単位を有する共重合体である、請求項1に記載のセメント組成物の製造方法。
- 前記フロック状セメント混和剤(F)中、前記セルロース系担体(B)100重量部に対して、前記ポリカルボン酸系共重合体(C)が10~500重量部である、請求項1又は2に記載のセメント組成物の製造方法。
- 前記増粘剤(D)が、セルロース系増粘剤、アクリル系増粘剤及び澱粉系増粘剤から選ばれる1種以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のセメント組成物の製造方法。
- 前記消泡剤(E)が、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤、ポリアルキレングリコール系消泡剤及び非イオン界面活性剤系消泡剤から選ばれる1種以上を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のセメント組成物の製造方法。
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