JP7125716B2 - エアレス車輪 - Google Patents

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Description

本発明は、エアレス車輪に関する。
通常のアスファルト道路で使用されている空気入りタイヤは、鉄くずや岩石や瓦礫等が散在する不整地を走行すると、鉄くずや瓦礫等が空気入りタイヤを損傷するためパンクが発生しやすい。
東日本大震災では、緊急車両が震災後の瓦礫を含む道路走行中にタイヤのパンクが多発していた。
このようなパンクを防止するための技術として、エアレスタイヤがあり、例えば接地面を有するトレッドリングに特殊ゴムを使用する技術が開示されている(特許文献1)。
このような発明では、空気入りタイヤではないため、パンクを回避することができる。
特開2017-185925号公報
しかし、土砂災害等の現場では、砂や泥を含む軟弱地盤となった道路において、緊急車両のタイヤがスリップしてしまい、タイヤの走行性が失われてしまう場合がある。さらに、緊急車両では通常のアスファルト道路を走行する場合がある。
したがって、緊急車両用のタイヤとしては、瓦礫等を含む道路でもパンクせずに、また砂や泥を含む軟弱地盤でも走行可能であり、さらに通常のアスファルト道路のような路面でも走行性能が良好なタイヤが必要となる。
通常のアスファルト道路のような路面では剛性の高いタイヤが安定した走行性能を得られるが砂や泥等を含む軟弱地盤では、剛性の高いタイヤではスリップしやすくなると推察される。
一方、そのような軟弱地盤では、剛性が低くて変形能が高く接地面積が通常よりも増えるようなタイヤの方が有効と推察されるが、そのような剛性の低いタイヤでは、通常のアスファルト道路のような路面での走行性能が落ちることになる。
上述した特許文献1に記載の発明では、特殊ゴムの成分等を調整しても路面の状況に応じてその都度タイヤの剛性を変化させることはできないため、上述したような全ての場合に対応することは難しくなるという問題点があった。
本発明は、パンクすることなく、軟弱地盤でもスリップの発生を抑えるとともに、通常のアスファルト道路のような路面でも走行性能に優れたエアレス車輪を提供することを目的とする。
本発明に係るエアレス車輪10は、次の点を特徴とする。すなわち、車輪の円周方向と交差する方向に連続すると共に円周方向に並べられた複数の横部材41及び円周方向に互いに隣接する前記横部材41間をそれぞれ連結する連結部42を備えたトレッド部40と、
前記トレッド部40の内周面側に位置して、複数の前記横部材41の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられることで前記トレッド部40全体の剛性を高くすることが可能な押当部70と、
前記押当部70の前記横部材41への押し当て力を変化させることで前記トレッド部40の全体の剛性を変化させることが可能な剛性可変部60とを備えた。
本発明によれば、剛性可変部60が、押当部70の横部材41への押し当て力を増大させると、押当部70が複数の横部材41の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てる押し当て力が増大する。
ここで、隣接する横部材41間は、少なくとも1つの連結部42により連結されていることで、押当部70により押し当て力が加わった状態で移動等することなく固定された状態を維持する。これにより、複数の横部材41及び隣接する横部材41間を連結する連結部42により、押当部70により押し当て力が加わった状態で所定の曲面状態となったトレッド部40は、その曲面状態が保持された状態となり、当該トレッド部40全体の剛性が高まった状態で、その曲面状態が保持されることになる。
一方、剛性可変部60が、押当部70の横部材41への押し当て力を減少させると、押当部70が複数の横部材41の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し上げる押し当て力が減少する。
押し当て力が減少すると、隣接する横部材41間を連結する連結部42と横部材41との間で容易に変形し易くなり、両者の位置関係が容易に変化し易くなる。これにより、複数の横部材41及び隣接する横部材41間を連結する連結部42により形成されるトレッド部40全体の平面形状が容易に変形し易くなり、トレッド部40全体の剛性が低くなる。すなわち、トレッド部40としての曲面に曲げやねじりが加わると容易にトレッド部40全体が変形し易い状態となる。
結果として、剛性可変部60が押当部70のトレッド部40への押し当て力を変化させることで、横部材41及び連結部42からなるトレッド部40全体の剛性を変化させることができ、トレッド部40が接地する接地面の状態に応じて、トレッド部40全体の剛性を変化させるようなことが可能となる。
これにより、アスファルト道路のような硬い接地面を走行するときは、剛性可変部60が押当部70の横部材41への押し当て力を大きくすることで、トレッド部40全体の剛性を高くすることができ、安定した走行を保持することが可能となる。
一方、接地面として砂や泥等の軟弱地盤を走行するときは、剛性可変部60が押当部70の横部材41への押し当て力を小さくすることで、トレッド部40全体の剛性を低くすることができ、トレッド部40の接地面積を増やして、スリップの発生を抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態であって、トレッド部の一部外観平面図である。 本発明の第1の実施の形態であって、トレッド部の一部外観拡大平面図である。 本発明の第1の実施の形態であって、(A)(B)(C)(D)は、押当部が無い状態のトレッド部を示す概略説明図、(E)は押当部を設けた状態のトレッド部を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るエアレス車輪の概略説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るエアレス車輪の概略断面図である。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の実験装置の概略図を示すものである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪であって、(A)はエアレス車輪の柔軟モード(柔軟車輪)の軸部及び弾性リング部の位置関係を示す概略側面図、(B)はその概略斜視図である。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪であって、エアレス車輪の柔軟モード(柔軟車輪)を示す外観斜視図である。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪であって、(A)はエアレス車輪の剛体モード(剛体車輪)の軸部、弾性リング部、固定器具の位置関係を示す概略側面図、(B)は概略斜視図である。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪であって、エアレス車輪の剛体モード(剛体車輪)を示す外観斜視図である。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪を用いて回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の剛体面及び軟弱地盤を移動させた場合の移動速度の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の柔軟車輪を用いて回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の剛体面及び軟弱地盤を移動させた場合の移動速度の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪を用いて回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の剛体面及び軟弱地盤を移動させた場合の移動速度の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の柔軟車輪を用いて回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の剛体面及び軟弱地盤を移動させた場合の移動速度の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪及び柔軟車輪を用いて、回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の軟弱地盤を移動させた場合のスリップ率の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪及び柔軟車輪を用いて、回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の軟弱地盤を移動させた場合のスリップ率の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪及び柔軟車輪を用いて、回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の剛体面を移動させた場合の電流値(抵抗)の測定結果を示す表及びグラフである。 本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の剛体車輪及び柔軟車輪を用いて、回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の剛体面を移動させた場合の電流値(抵抗)の測定結果を示す表及びグラフである。 (A)は本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の概略断面図、(B)はその概略正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の概略斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の外観斜視図ある。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の展開状態の側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の一部の展開状態の側面図である。 本発明の第4の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の格納状態の外観斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の格納状態の外観正面図である。 本発明の第4の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の展開状態の外観斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係るエアレス車輪の円環展開機構の展開状態の外観正面図である。
(第1の実施の形態)
図1は本実施の形態に係るエアレス車輪10(図4~図6)におけるトレッド部40の一部外観平面図であり、図2は当該トレッド部40の一部拡大平面図である。
このトレッド部40は、エアレス車輪10の円周方向Cと交差する方向(本実施の形態では直交する方向、いわゆるエアレス車輪10の幅方向W)に連続すると共に円周方向に並べられた複数の横部材41及び円周方向に互いに隣接する横部材41間をそれぞれ連結する連結部42を備えている。
このトレッド部40は、上述した横部材41及び連結部42により全体として、平面状のものであって、当該平面状のものが、エアレス車輪10の周囲にリング状に巻かれている。
横部材41は、エアレス車輪10のトレッド部40の幅方向の全幅に対して連続して直線棒状に形成されている。前記連結部42は、この直線棒状の横部材41間を複数箇所で連結している短尺状の部分である。なお、図1に示すトレッド部40においては、連結部42は、隣接する横部材41間に所定の間隔で6個又は5個配置されているが、特に当該個数に限定されるものではなく、隣接する横部材41間に少なくとも1個設けてあればよいものである。
横部材41及び連結部42は、材質としては弾性変形可能な樹脂から形成されているが、特に当該材質に限定されるものではなく、弾性変形可能な金属等からなるものでもよいものである。また、横部材41及び連結部42は、同一材質(樹脂)で一体成形されているものであるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、横部材41が硬質樹脂、連結部42が軟質樹脂からなるように両者が異なる材質からなるものでもよい。
結果として、トレッド部40は、横方向に長尺状の横部材41及び横部材41が互いに離れないように横部材41間を連結する連結部42からなる、いわゆるすだれ状のものであればよいものである。
図3(A)~(E)は、このトレッド部40と押当部70との有無により、トレッド部40の剛性の変化の程度を説明するための概略説明図である。
本実施の形態に係るトレッド部40は、上述したような横部材41及び連結部42の構成により、円周方向Cに対しては、曲がり易い性質を有し、幅方向Wに対しては曲がり難い性質を有している。
図3(A)~(D)は、例えば、トレッド部40を長方形状に切り取ったものに対して、トレッド部40の内周面側に押当部70が押し当てられていない状態のものを示し、図3(E)は、トレッド部40の内周面側に押当部70が押し当てられてる状態のものを示している。
図3(A)~(D)に示すように、トレッド部40を長方形状に切り取ったものに対して、トレッド部40の内周面側に押当部70が押し当てられていない状態では、トレッド部40は、外力により簡単に変形するものであって、図3(A)(B)に示すように、トレッド部40全体がエアレス車輪10の円周方向に対して容易に凹状や凸状に変形可能に形成されている。
また、図3(C)(D)に示すように、トレッド部40の内周面側に押当部70が押し当てられていない状態では、トレッド部40は、外力により簡単にねじれ方向に変形するように形成されている。
一方、図3(E)に示すように、トレッド部40を長方形状に切り取ったものに対して、トレッド部40の一方の面(例えば内周面側)に円周方向Cに沿って剛性の高い金属片等を押し当てると、曲がり易い円周方向Cが補強されるため、長方形状のトレッド部40の全体が、一枚の平板状の金属板になったかのように全体として剛性を持つ状態になる。この押当部70が直線状のものであれば、トレッド部40も全体として平板状のものになるが、当該押当部70がエアレス車輪10の円周曲率に沿ったものであれば、トレッド部40も全体としてエアレス車輪10の円周曲率に沿ったリング状のものとなる。
図4は、本実施の形態に係るエアレス車輪10の概略説明図である。
本実施の形態に係るエアレス車輪10の周囲の外周表面には、上述したようなトレッド部40がリング状に形成されている。
このトレッド部40の内周側には、渦巻状(ゼンマイ状)の渦巻ばね76(いわゆるぜんまいばね)が配置されてあり、この渦巻ばね76の外側端部の一端は、トレッド部40の内周曲面の一部に固定されている。
このトレッド部40の内周面側に位置して、複数の横部材41の一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって渦巻ばね76の外側の一部を押し当てることでトレッド部40全体の剛性を高くすることが可能な押当部70が形成されている。
この押当部70は、具体的には、上述した渦巻ばね76の一番外側の外周表面となるものである。
なお、渦巻ばね76は、後述するようにトレッド部40の横幅の両端側に1個ずつ合計2個(具体的には、第1渦巻ばね77、第2渦巻ばね78、図5参照)設けてある。
原理としては、図4の左側に示すように、渦巻ばね76の中心側を時計回り方向に回転させると、渦巻ばね76全体が外側に拡がる方向に変形し、渦巻ばね76の一番外側の外周表面がトレッド部40の内周表面を外側方向(径方向外側)に向かって押し込むことになる。これにより、トレッド部40全体の剛性を高くすることができ、全体として剛性の高い剛体車輪にすることができる。
一方、図4の右側に示すように、渦巻ばね76の中心側を反時計回り方向に回転させると、渦巻ばね76全体が内側に縮む方向(縮径方向)に変形し、渦巻ばね76の一番外側の外周表面がトレッド部40の内周表面を外側方向(径方向外側)に向かって押し込む力が弱くなる。これにより、トレッド部40全体の剛性を低くすることができ、全体として剛性の低い柔軟車輪にすることができる。
具体的な構成を図5のエアレス車輪10の概略断面図を用いて説明する。
エアレス車輪10には、2個の剛性可変用モータ80(具体的には、第1剛性可変用モータ81と、第2剛性可変用モータ82との2個)が車軸20に固定されてあり、この2個の剛性可変用モータ80の回転軸は、それぞれ異なる内歯車72と噛み合うように形成されている。この2個の左右の内歯車72は、一方が、左側の第1内歯車ホルダ73に固定され、他方が、右側の第2内歯車ホルダ74に固定されている。
第1内歯車ホルダ73及び第2内歯車ホルダ74は、車軸20との間にベアリング75が介在して、両者は車軸20の回転とは別個に回転可能に形成されている。
図5に示すように、車軸20の巾方向(軸方向)の左右には、第1渦巻ばね77が第1内歯車ホルダ73及びベアリング75を介して車軸20に対して回動可能に固定され、第2渦巻ばね78が第2内歯車ホルダ74及びベアリング75を介して車軸20に対して回動可能に固定されている。具体的には、第1渦巻ばね77の内側の一端が第1内歯車ホルダの外周表面に固定され、第1渦巻ばね77の外側の一端がトレッド部40の内周表面に固定されている。
また、第2渦巻ばね78の内側の一端が第2内歯車ホルダ74の外周表面に固定され、第2渦巻ばね78の外側の一端がトレッド部40の内周表面に固定されている。
この第1剛性可変用モータ81及び第2剛性可変用モータ82を回転させることにより、対応する内歯車72が回転し、そして、第1内歯車ホルダ73及び第2内歯車ホルダ74も回転することで、第1渦巻ばね77及び第2渦巻ばね78が回転し、各渦巻ばね76の一番外側の押当部70の前記横部材41への押し当て力を変化させることが可能となり、前記トレッド部40の全体の剛性を変化させることができるように形成されている。
すなわち、渦巻ばね76(第1渦巻ばね77、第2渦巻ばね78)、第1内歯車ホルダ73、第2内歯車ホルダ74、内歯車72、剛性可変用モータ80(第1剛性可変用モータ81、第2剛性可変用モータ82)により、押当部70のトレッド部40の内周面への押し当て力を変化させることで、トレッド部40の全体の剛性を変化させることが可能な剛性可変部60を形成している。
なお、第1渦巻ばね77及び第2渦巻ばね78は、両方の押当部70の力が同一となるように同期するように形成されているが、意図的に、いずれか一方の渦巻ばね76だけの押当部70の押し当て力が大きくなるようにすることも可能である。
なお、剛性可変部60は、上述した構成に限定されるものではなく、トレッド部40への内周面側への押し当て力を変化させることで、トレッド部40全体の剛性を変化させることができるものであれば良いものである。具体的には、例えば、後述する図20に示すような円環展開機構150でも良いものである。
図6は、本発明の理解を深めるために簡易モデルによるエアレス車輪の実験装置の概略図である。
本実施例は、上述したような剛性可変部60によりトレッド部40の全体の剛性を高くした状態を想定した剛体車輪12と、上述したような剛性可変部60によりトレッド部40の全体の剛性を低くした状態を想定した柔軟車輪14との2種類のエアレス車輪10を用いて、図6に示すような実験装置により、エアレス車輪10の走行実験を行った。
図6に示すように、エアレス車輪10を平行四辺形状のパラレルリンク100を用いて、左右に移動可能に支持可能なキャリッジ110を用いて、パラレルリンク100の先端に車輪重量調整用バランサ120を配置することで、エアレス車輪10の荷重がいずれも6.0kgとなるように設定している。
エアレス車輪10の車軸20には、同一性能の駆動装置としての駆動モータ130の回転軸が連結され、その回転軸には、回転角度の履歴を測定可能なロータリーエンコーダが取り付けられている。そして、エアレス車輪10の回転を4.7rpmと、9.3rpmとの2種類で走行させ、水平方向に対する接地面の傾斜角度としては、0度、5度、10度、15度の4種類で走行させた。
エアレス車輪10としては、剛性の高い状態(剛体モード)を想定した剛体車輪12と、剛性の低い状態(柔軟モード)を想定した柔軟車輪14とを用いた。
柔軟車輪14は、具体的には、図7に示すような円筒状の車軸20の廻りに金属薄片をリング状にした4個の弾性リング部30と、その廻りに図8に示すように、上述したようなトレッド部40を巻いただけで、接地面に対して自由に変形することができるものである。
また、剛体車輪12は、具体的には、図9(A)(B)に示すような円筒状の車軸20の廻りに金属薄片をリング状にした4個の弾性リング部30と、車軸20の軸方向の両端に樹脂製であって、変形し難い円板状の固定部50を固定し、それらの廻りに図10に示すように、上述したようなトレッド部40を巻いているものである。この剛体車輪12は、固定部50が当接していない部分のトレッド部40の外周表面も全体として硬くなって全体として剛性が高い状態となっている。
これらの柔軟車輪14と剛体車輪12との2種類のエアレス車輪10を用いて、接地する地面として、厚板アクリル板の剛体面と、所定厚さの砂を表面に散布した状態の軟弱地盤とで走行性能を調査した。
また、上述した剛体車輪12と、柔軟車輪14との転がり抵抗の比較をするために、各エアレス車輪10の車軸20に直結する駆動部としての駆動モータ130に流れる電流値を記録し、その平均値を算出した。
上述したような剛体車輪12を用いて、回転速度4.7rpmで回転させ、接地面として上述したような剛体面と、軟弱地盤とを、昇りの傾斜角度0度、5度、10度、15度で剛体車輪12の移動速度の5回の平均値の結果は、図11の表及びグラフに示す結果となった。
また、上述したような柔軟車輪14を用いて、回転速度4.7rpmで回転させ、接地面として上述したような剛体面と、軟弱地盤とを、昇りの傾斜角度0度、5度、10度、15度で柔軟車輪14の移動速度の5回の平均値の結果は、図12の表及びグラフに示す結果となった。
さらに、上述したような剛体車輪12を用いて、回転速度9.3rpmで接地面として剛体面と、軟弱地盤とを昇りの傾斜角度0度、5度、10度、15度で剛体車輪12の移動速度の5回の平均値の結果は、図13の表及びグラフに示す結果となった。
また、上述したような柔軟車輪14を用いて、回転速度9.3rpmで接地面として剛体面と、軟弱地盤とを昇りの傾斜角度0度、5度、10度、15度で柔軟車輪14の移動速度の5回の平均値の結果は、図14の表及びグラフに示す結果となった。
これらの結果、剛体車輪12と柔軟車輪14とのいずれの場合も、同一傾斜角度では、接地面としては、軟弱地盤の方が剛体面よりもエアレス車輪10の移動速度は小さくなっており、滑り易くなっていると推察される。
また、いずれの場合も、傾斜角度が大きくなる程、移動速度は、全体的に低下している。すなわち、傾斜角度が大きくなる程、エアレス車輪10が滑り易くなっていると推察される。
また、停止している状態から所定時間だけ回転駆動させ、各タイヤが実際に移動した距離と、ロータリーエンコーダからの回転角度の測定結果により算出される理論上の距離とを算出し、これらの数値に基づいてスリップ率を算出した。
なお、駆動の場合のスリップ率は、((タイヤ速度-車両速度)/タイヤ速度)により算出されるものである。
その結果、上述したような剛体車輪12及び柔軟車輪14を用いて、回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の軟弱地盤を移動させた場合のスリップ率の測定結果を図15に示し、回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の軟弱地盤を移動させた場合のスリップ率の測定結果を図16に示す。
図15、図16に示すスリップ率の測定結果においても、図11~図14の実験結果からの考察と略一致しており、斜度が0度、5度、10度、15度と大きくなる程、スリップ率は全体的に大きくなって滑り易くなっている。
また、柔軟車輪14と剛体車輪12とでは、斜度の小さい0度、5度、10度では、スリップ率に大きな差は見られないが、斜度15度の滑り易い状態において、剛体車輪12のスリップ率が柔軟車輪14より著しく大きくなっており、それも回転速度4.7rpmよりも回転速度が大きい回転速度9.3rpmにおいて、剛体車輪12のスリップ率が柔軟車輪14より大きくなっている。
すなわち、軟弱地盤では、スリップ率を考慮すると、剛体車輪12よりも柔軟車輪14の方が適していると推定される。
上述した剛体車輪12と、柔軟車輪14との転がり抵抗の比較をするために、剛体車輪12及び柔軟車輪14の車軸20に直結する駆動部としての駆動モータ130に流れる電流値を記録し、その平均値を算出した。回転速度4.7rpmにおける複数の斜度の剛体面を移動させた場合の電流値(抵抗)の測定結果を図17に示し、回転速度9.3rpmにおける複数の斜度の剛体面を移動させた場合の電流値(抵抗)の測定結果を図18に示す。
図17、図18に示すように、全体としての傾向は、斜度が大きくなる方が電流値(抵抗)が大きくなり転がり抵抗は大きくなった。また、回転速度4.7rpmよりも回転速度9.3rpmの方が電流値(抵抗)が大きくなり転がり抵抗は大きくなった。
ここで、同一斜度で比較すると、回転速度4.7rpmの低速回転では、柔軟車輪14の方が、剛体車輪12よりも電流値は小さくなり転がり抵抗は小さくなる傾向があり、一方、回転速度9.3rpmの高速回転では、同一斜度において、剛体車輪12の方が、柔軟車輪14よりも電流値は小さくなり、転がり抵抗は小さくなる傾向が観察された。
すなわち、4.7rpmの低速回転では、柔軟車輪14の方が、剛体車輪12よりも転がり抵抗は小さく効率的な走行が可能であり、9.3rpmの高速回転では、剛体車輪12の方が、柔軟車輪14よりも転がり抵抗は小さく効率的な走行が可能となるものである。すなわち、回転速度によって、転がり抵抗を小さくすることができるエアレス車輪10の適正な剛性が異なるものであり、回転速度によって、エアレス車輪10の剛性を変化させることに意義が生じることになるものである。結果として、エアレス車輪10を可変剛性とすることに大きな利点があることになる。
上述したような構成を有することで本実施の形態では以下に示すような作用及び効果を奏する。
本実施の形態によれば、剛性可変部60が、押当部70の横部材41への押し当て力を増大させると、押当部70が複数の横部材41の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てる押し当て力が増大する。
ここで、隣接する横部材41間は、連結部42により連結されていることで、押当部70により押し当て力が加わった状態で移動等することなく固定された状態を維持する。これにより、複数の横部材41及び隣接する横部材41間を連結する連結部42により、押当部70により押し当て力が加わった状態で所定の曲面状態となったトレッド部40は、その曲面状態が保持された状態となり、当該トレッド部40全体の剛性が高まった状態で、その曲面状態が保持される。
一方、剛性可変部60が、押当部70の横部材41への押し当て力を減少させると、押当部70による複数の横部材41の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し上げる押し当て力が減少する。
この押し当て力が減少すると、隣接する横部材41間を連結する連結部42と横部材41との間で容易に変形し易くなり、両者の位置関係が容易に変化し易くなる。これにより、複数の横部材41及び隣接する横部材41間を連結する連結部42により形成されるトレッド部40全体の平面形状が容易に変形し易くなり、トレッド部40全体の剛性が低くなる。すなわち、トレッド部40としての曲面に曲げやねじりが加わると容易にトレッド部40全体が変形し易い状態となる。
結果として、剛性可変部60が押当部70のトレッド部40への押し当て力を変化させることで、横部材41及び連結部42からなるトレッド部40全体の剛性を変化させることができ、トレッド部40が接地する接地面の状態に応じて、トレッド部40全体の剛性を変化させるようなことが可能となる。
これにより、アスファルト道路のような硬い接地面を走行するときは、剛性可変部60が押当部70の横部材41への押し当て力を大きくすることで、トレッド部40全体の剛性を高くすることができ、安定した走行を保持することが可能となる。
一方、接地面として砂や泥等の軟弱地盤を走行するときは、剛性可変部60が押当部70の横部材41への押し当て力を小さくすることで、トレッド部40全体の剛性を低くすることができ、トレッド部40の接地面積を増やして、スリップの発生を抑制することが可能となる。
以上の実施例の結果により、剛体面としてのアスファルト道路のような路面や、砂地による軟弱地盤におけるエアレス車輪10の有効性を示すことができた。特に、エアレス車輪10により剛性を可変させることによる有効性や可能性を示すことができた。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、剛性可変部60としては、トレッド部40の内周面に、渦巻ばね76の一番外側の部分が拡径方向に移動するように回転させることで、渦巻ばね76の外周面が押当部70となって、トレッド部40の内周面側の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられることで、トレッド部40全体の剛性を高めることができ、エアレス車輪10を可変剛性としているものであった。本実施の形態では、第1の実施の形態のような渦巻ばね76を用いずに、剛性可変部60として、車軸20の軸方向の両端側に円環展開機構150を有しているものである。その他のトレッド部40、車軸20、弾性リング部30等は、第1の実施の形態で説明したものと同一であって、それらの説明を省略する。
図20は円環展開機構の一部の概略斜視図、図21は円環展開機構の一部の平面図、図22は円環展開機構の一部の正面図、図23は円環展開機構の一部の外観斜視図、図24は円環展開機構の一部の側面図、図25は円環展開機構の一部の展開状態の側面図である。
本実施の形態に可係る剛性可変部60としての円環展開機構150は、後述する円環部180の位置の相違により、第1円環展開機構160と、第2円環展開機構170とを備えている。
この円環展開機構150は、車軸20の外周表面に固定されている内側箱体200と、この内側箱体200の車軸20の径方向外側に配置され、車軸20の径方向外側に向かって平行移動して展開可能な機構を内部に有する外側箱体210と、この外側箱体210の外側に固定され、外側箱体210が展開した状態において、トレッド部40の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられることでトレッド部40の全体の剛性を高くすることが可能な押当部70としての円環部180を備えている。図20に示すように、第1円環展開機構160は、円環部180としての第1円環部181が車軸20の軸方向端部側に配置され、第2円環展開機構170は、円環部180としての第2円環部182が車軸20の軸方向の中央側に配置されている。この第1円環展開機構160と、第2円環展開機構170とは、上述したように円環部180の配置位置が異なるだけでその他の構成や機構は略同一に形成されている。
第1円環展開機構160及び第2円環展開機構170は、いずれも同一の機構により、内側箱体200から外側箱体210が図24及び図25に示すように径方向外側に向かって、平行移動可能に形成されている。具体的には、内側箱体200の内部に内側収納部220を有し、外側箱体210の内部に外側収納部222を有している。内側収納部220及び外側収納部222は、全体として収納空間を有し、この収納空間内部に、図24及び図25に示すような長尺薄片状の第1スライド片250及び第2スライド片260を収納している。
また、内側箱体200の側面には、内側収納部220と連通する内側スリット230が開口されて、外側箱体210の側面には、外側収納部222と連通する外側スリット240が開口されている。
図24及び図25に示すように、第1スライド片250の一方の端部には、内側箱体200に回動可能に固定されている第1固定軸252が設けられ、第1スライド片250の他方の端部には、外側箱体210の外側スリット240内をスライド可能な第1スライド軸254が設けられている。
第2スライド片260の一方の端部には、外側箱体210に回動可能に固定されている第2固定軸262が設けられ、第2スライド片260の他方の端部には、内側箱体200の内側スリット230をスライド可能な第2スライド軸264が設けられている。
なお、図20~図22では、車軸20の廻りに第1円環展開機構160と、第2円環展開機構170とが1個ずつ、合計2個しか円環展開機構150を記載して、他は省略しているが、実際には、車軸20の廻りに第1円環展開機構160と、第2円環展開機構170とが、それぞれ全周に渡って同様に形成されているものである。
車軸20が回転していない状態では、図24に示すように内側箱体200の上面に外側箱体210が当接した状態となっているが、車軸20が回転すると、円環部180に加わる遠心力により、図25に示すように、外側箱体210が車軸20の径方向外側に向かって展開状態となる。
その際、第1スライド軸254が外側スリット240内部をスライドし、第2スライド軸264が内側スリット230内部をスライドすることで、外側箱体210が径方向外側に向かって平行移動することになる。
円環部180の外周表面の曲率は、展開状態において、トレッド部40の内周曲面の曲率と一致するように予め形成されてある。これにより、車軸20が回転することで、円環部180が径方向外側に平行移動して図25に示すような展開状態となり、トレッド部40の内周曲面に位置して、トレッド部40の複数の横部材41の一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられることで、トレッド部40全体の剛性を高くすることが可能な押当部70として機能する。
この円環展開機構150は、車軸20の廻り全周に渡って配置されていることにより、トレッド部40の内周曲面の全周に渡って径方向外側に向かって押し当てることができ、トレッド部40全体の剛性を高くすることができることになる。
図17及び図18で説明したように、上述した実験結果では、回転速度の高い場合、柔軟車輪14よりも剛性の高い剛体車輪12の方が、電流値は低くなり、転がり抵抗は低くなって、効率的な走行性能を得られることが実験結果として得られている。
本実施の形態の円環展開機構150では、車軸20の回転速度が高い程、円環部180には、大きな遠心力が加わって、トレッド部40の内周曲面を径方向外側に向かって押し当てる押し当て力が大きくなり、トレッド部40全体の剛性を高くすることができる。これにより、回転速度が高い程、トレッド部40全体の剛性を高くすることができ、より剛性の高い剛体車輪12にすることができ、それに伴って転がり抵抗を低く抑えて、効率的な走行性能を得ることができるという効果を得ることができる。
本実施の形態では、エアレス車輪10の剛性可変を回転速度の遠心力により自動的に増加させて、より剛性の高い剛体車輪12にすることができる。例えば、第1の実施の形態では、剛性可変用モータ80を回転速度に対応して制御して、渦巻ばね76の剛性を可変する等の複雑な制御機構を必要とするが、本実施の形態では、そのような制御を有することなく、エアレス車輪10の剛性可変調整を、回転速度の遠心力により自動的に調整することができる。さらに、本実施の形態でも、第1の実施の形態で説明したものと同様の作用及び効果を奏することができるものである。
なお、本実施の形態は、上述したような遠心力を利用するものに限定されるものではなく、ソレノイドを用いたアクチュエーター等による駆動手段により、第1スライド片250及び第2スライド片260を強制的に移動させることで、押当部70としての円環部180を移動させてトレッド部40の剛性を変化させるようにしてもよいものである。
(第3の実施の形態)
図26は、本実施の形態に係るエアレス車輪10の円環展開機構150のリンク機構を示すものである。
上述した第2の実施の形態では、図25に示すように、押当部70を有する円環部180をトレッド部40の内周曲面側の径方向外側に向かって押し当てるために、遠心力により円環部180を径方向外側に移動させ、或いは、ソレノイドを用いたアクチュエーター等の駆動手段により第1スライド片250及び第2スライド片260を用いて、第2スライド片260の第2スライド軸264を内側スリット230内でスライドさせることで、第1スライド片250の第1スライド軸254を外側スリット240内でスライドさせ、円環部180を径方向の外側又は内側に向かって平行移動させるためのリンク機構を形成していた。
本実施の形態では、図26に示すように、第2の実施の形態の第1スライド片250及び第2スライド片260に加えて、さらに、第3スライド片270及び第4スライド片280を設けることで、円環部180を有する外側箱体210を径方向の外側又は内側に向かって平行移動させるためのリンク機構を同様に形成しているものである。第2の実施の形態にさらに2つのスライド片を加えたことで、径方向の外側又は内側に向かって、円環部180を有する外側箱体210を移動させる移動距離を第2の実施の形態よりも長くすることができるように形成されている。
なお、第1スライド片250と第2スライド片260との間には、互いに回動可能な回転支持軸275が形成されている。また、同様に第3スライド片270と第4スライド片280との間には、互いに回動可能な回転支持軸275が形成されている。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に遠心力により円環部180を径方向外側に移動させるようにしてもよいものである。或いは、ソレノイドを用いたアクチュエーター等の駆動手段により、第2スライド片260の第2スライド軸264を内側スリット230に沿って強制的に横方向に移動させることで、円環部180を有する外側箱体210を径方向の外側又は内側に向かって平行移動させるための第1スライド片250、第2スライド片260、第3スライド片270、第4スライド片280を用いたリンク機構を介して、押当部70を有する円環部180を径方向の外側又は内側に向かって移動させて、押当部70のトレッド部40の内周曲面側に押し当てる力を変化させることで、トレッド部40の剛性を変化させることができるように形成されているものである。
なお、その他の構成は、第2の実施の形態と略同様であって、同様の作用及び効果を奏するものであり、それらの説明は省略する。
(第4の実施の形態)
図27~図30は、第4の実施の形態を示すものであって、図27は、エアレス車輪10の円環展開機構150の格納状態の外観斜視図、図28は、エアレス車輪10の円環展開機構150の格納状態の外観正面図、図29は、エアレス車輪10の円環展開機構150の展開状態の外観斜視図、図30は、エアレス車輪10の円環展開機構150の展開状態の外観正面図である。
第1の実施の形態では、剛性可変部60としては、トレッド部40の内周面に、渦巻ばね76の一番外側の部分が拡径方向に移動するように渦巻きばね76の中心を回転させることで、渦巻ばね76の外周面が押当部70となって、トレッド部40の内周面側の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられ、トレッド部40全体の剛性を高めることができ、エアレス車輪10を剛性を高める等の可変剛性としているものであった。
本実施の形態では、第1の実施の形態に示すような渦巻ばね76を用いずに、第2及び第3の実施の形態に示すように、剛性可変部60として、車軸20の軸方向の両端側に円環展開機構150を有しているものである。本実施の形態では、円環展開機構150を格納状態から展開状態へ移行させる場合、また、展開状態から格納状態へ移行させる場合、エアレス車輪10の剛性可変調整を、回転速度の遠心力により調整するものではなく、ソレノイドを用いたアクチュエーターによる駆動手段310により、第2スライド片260の第2スライド軸264を強制的に横方向に移動させることで、第3の実施の形態で説明した第1スライド片250、第2スライド片260、第3スライド片270及び第4スライド片280からなるリンク機構を介して押当部70としての円環部180を径方向外側又は内側に平行移動させ、トレッド部40の内周曲面側に対して押当部70の押し当て力を変化させることで、トレッド部40全体の剛性を変化させるものである。
なお、トレッド部40等は、第1の実施の形態で説明したものと同一であって、それらの説明を省略する。
本実施の形態に係る図面では、駆動手段310は、シリンダー状のソレノイドを用いたアクチュエーターであって、図27~図30に示すように、円周方向に180度間隔で2箇所、配置されているように記載されているが、図面が複雑とならずに見やすいように一部を省略しているものである。実際には、図28及び図30の記号A、Bの箇所にも、同様の駆動手段310が配置されているがそれらの記載を省略しているものであって、駆動手段310は、実際には、円周方向に90度間隔で合計4箇所、配置されているものである。これにより、駆動手段310の円周方向両隣のリンク機構を強制的に格納状態から展開状態までの任意の位置に移動することができ、当該エアレス車輪10の円周方向全てのリンク機構を駆動手段310により任意の位置に移動することができるものである。
この駆動手段310は、シリンダー状の軸方向側に向かって、特に図示していないが所定部材を電磁力により移動させることができるソレノイドであって、この駆動手段310の当該所定部材と共に、この駆動手段310の円周方向に隣接する2つの第2スライド片260の第2スライド軸264が連動するように連結されてあり、駆動手段310に隣接する第2スライド軸264を内側スリットに沿って、任意の位置にスライド可能に形成されている。そして、円周方向に90度間隔で配置された4箇所の駆動手段310の前記所定部材の移動は、互いに連動(同期)するように設定されてある。
さらに、各駆動手段310は、図27に示すように、車軸方向と平行な同一線上に、2個のシリンダー状のソレノイドが設けられている。この車軸方向と平行な同一線上にあって、車軸方向の両端部に位置する駆動手段310としての2つのソレノイドの各所定部材間の距離が、同時に開くように、或いは、狭くなるように、同時に同期して移動するように設定されている。
これにより、車軸方向の両側にある各第2スライド軸264が同期して移動することとなり、両方の平行リンク機構により車軸方向の両側にある押当部70を有する円環部180を径方向外側又は内側に同一方向に同一距離だけ同一タイミングで移動させることができる。
結果として、車軸方向の両側のトレッド部40への押し当て力を同一の力で同一タイミングで変化させることができ、トレッド部40の車軸方向の剛性を同一タイミングで同一に維持することができ、トレッド部40全体の剛性の変化を均一に変化させることができる。
このように、車軸方向の両側の駆動手段310としてのシリンダーは、各所定部材を同一の距離だけ移動させて、車軸方向の両側の第2スライド軸264を同一距離だけ移動させることができるように形成されている。
なお、車軸方向の両側の第2スライド軸264の移動における摩擦力等の抵抗力が同一に設定されているような場合には、駆動手段310としてのソレノイドは、車軸方向には固定せずに移動可能(スライド可能)に固定し、両側の第2スライド軸264間の距離を変化させるように形成してもよい。
このように駆動手段310の所定部材を移動させることにより、第2スライド片260の第2スライド軸264が内側スリット230に沿って移動することで、図26に示すように、第1スライド片250、第2スライド片260、第3スライド片270、第4スライド片280からなる平行リンク機構により、押当部70を有する円環部180をエアレス車輪10の径方向外側又は内側に平行移動させることができる。これにより、トレッド部40への押し当て力を変化させることができ、トレッド部40全体の剛性を変化させることができるように形成されている。
なお、シリンダー状の駆動手段310の軸方向側に向かって移動する所定部材と、第2スライド片260の第2スライド軸264とが連動して移動するための両者の連結機構は、特に図示していないが、内側スリット230を介して、第2スライド軸264と前記所定部材とが連動して移動するように形成されている。この連結機構の構造は特に限定されるものではなく、両者が連動して移動することができるような構成であればどのようなものでもよいものであって、所定の連結機構に限定されるものではない。具体的には、例えば、図23に示す内側収納部220から駆動手段310の前記所定部材と連動する薄板長尺状の部材が差し込まれ、当該部材の先端側と第1スライド軸254が連結されていることにより、駆動手段310の所定部材の動きが、第1スライド軸254の動きと連動するようにしてもよい。
また、内側スリット230及び外側スリット240は、必ずしも横方向にスリット状に開口していることに限定されるものではなく、上述したような駆動手段310との連動機構を有して第2スライド軸264や、第3スライド軸274が横方向にスライド可能であれば、特に開口しているものに限定されるものではなく、内側収納部220や外側収納部222の内壁面に凹状であって、第2スライド軸264や、第3スライド軸274が入り込んで横方向にスライド可能な凹溝状のものでもよい。
図27、図28に示すように、エアレス車輪10の円環展開機構の格納状態では、第1円環部181と、第2円環部182とが、径方向に縮んだ(縮径した)格納状態であって、エアレス車輪10の車軸の両端側の円周方向には、千鳥状に配置された第1円環部181と、第2円環部182とが、長尺方向(円周方向)において3分の2程が重なり合うような状態で格納されている。この状態は、第1スライド片250、第2スライド片260、第3スライド片270、第4スライド片280からなる平行リンク機構が折り畳まれた格納状態であり、円環展開機構150の直径は図29、図30と比較して短いものになっている。この格納状態では、円環部180の押当部70がトレッド部40に押し当てる押当力も小さく、トレッド部40の剛性は小さな状態に維持される。
一方、図29、図30に示すように、エアレス車輪10の円環展開機構150の展開状態では、エアレス車輪10の第1円環部181と、第2円環部182とが、径方向に拡がった(拡径した)展開状態である。この展開状態では、エアレス車輪10の車軸の両端側の円周方向において、千鳥状に配置された第1円環部181と、第2円環部182とが、長尺方向(円周方向)における4分の1程が重なり合うような状態で展開されている。この状態では、第1スライド片250、第2スライド片260、第3スライド片270、第4スライド片280からなる平行リンク機構が折り畳まれた格納状態から展開した展開状態であり、円環展開機構150の直径は図27、図28と比較して長いものになっている。この展開状態では、円環部180の押当部70がトレッド部40に対して押し当てる押当力が大きく、トレッド部40全体としての剛性は大きな状態に維持される。
10 エアレス車輪 12 剛体車輪
14 柔軟車輪 20 車軸
30 弾性リング部 40 トレッド部
41 横部材 42 連結部
50 固定部 60 剛性可変部
70 押当部 72 内歯車
73 第1内歯車ホルダ 74 第2内歯車ホルダ
75 ベアリング 76 渦巻ばね
77 第1渦巻ばね 78 第2渦巻ばね
80 剛性可変用モータ 81 第1剛性可変用モータ
82 第2剛性可変用モータ 100 パラレルリンク
110 キャリッジ 120 車輪重量調整用バランサ
130 駆動モータ 150 円環展開機構
160 第1円環展開機構 170 第2円環展開機構
180 円環部 181 第1円環部
182 第2円環部 200 内側箱体
210 外側箱体 220 内側収納部
222 外側収納部 230 内側スリット
240 外側スリット 250 第1スライド片
252 第1固定軸 254 第1スライド軸
260 第2スライド片 262 第2固定軸
264 第2スライド軸 270 第3スライド片
274 第3スライド軸 275 回転支持軸
280 第4スライド片 282 第4固定軸
310 駆動手段

Claims (1)

  1. 車輪の円周方向と交差する方向に連続すると共に円周方向に並べられた複数の横部材及び円周方向に互いに隣接する前記横部材間をそれぞれ連結する連結部を備えたトレッド部と、
    前記トレッド部の内周面側に位置して、複数の前記横部材の少なくとも一部の内周曲面に沿って径方向外側に向かって押し当てられることで前記トレッド部全体の剛性を高くすることが可能な押当部と、
    前記押当部の前記横部材への押し当て力を変化させることで前記トレッド部の全体の剛性を変化させることが可能な剛性可変部とを備えたエアレス車輪。
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