JP7123037B2 - 多層構造体を含有する樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
多層構造体を含有する樹脂組成物およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7123037B2 JP7123037B2 JP2019510244A JP2019510244A JP7123037B2 JP 7123037 B2 JP7123037 B2 JP 7123037B2 JP 2019510244 A JP2019510244 A JP 2019510244A JP 2019510244 A JP2019510244 A JP 2019510244A JP 7123037 B2 JP7123037 B2 JP 7123037B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- acrylic polymer
- acrylic
- resin composition
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F265/00—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of unsaturated monocarboxylic acids or derivatives thereof as defined in group C08F20/00
- C08F265/04—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of unsaturated monocarboxylic acids or derivatives thereof as defined in group C08F20/00 on to polymers of esters
- C08F265/06—Polymerisation of acrylate or methacrylate esters on to polymers thereof
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J3/00—Processes of treating or compounding macromolecular substances
- C08J3/12—Powdering or granulating
- C08J3/16—Powdering or granulating by coagulating dispersions
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L51/00—Compositions of graft polymers in which the grafted component is obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers
- C08L51/06—Compositions of graft polymers in which the grafted component is obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds; Compositions of derivatives of such polymers grafted on to homopolymers or copolymers of aliphatic hydrocarbons containing only one carbon-to-carbon double bond
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
耐温水白化性の改良を狙ったものとして、例えば、特許文献1は、平均粒子径0.2~0.4μmのゴム粒子が分散したアクリル樹脂からなり、鉛筆硬度がH以上であり、厚さが300μm以下であるアクリル積層浴室内装壁材用アクリルフイルムを開示している。
特許文献3は、平均粒子径が10nm以上300nm以下であるゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂組成物を成形してなるフィルムであって、フィルム中に含有される長軸が500nm未満であるミクロボイドが30個/400μm2以下であるアクリル樹脂フィルムを開示している。
金属との密着性を良好にすることを図ったものとして、例えば、特許文献5は、酸価が0.2mmol/g以上のアクリル系ゴム粒子(A)を含有し、フィルムを構成する樹脂全体の酸価が0.15mmol/g以上1.5mmol/g以下である、(メタ)アクリル系樹脂フィルムを開示している。
含水率が0.3%以下で且つ
アセトン可溶分の酸価が0.020mmol/g以下である、
樹脂組成物。
〔3〕 多層構造体は、アクリル系軟質重合体(b2)の質量と、アクリル系軟質重合体(b1)の質量との比((b2)の質量/(b1)の質量)が、0.1/99.9~30/70である、〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕 アクリル系硬質重合体(a)は、アセトン可溶分が10質量%以下であり、
アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)は、いずれも、アセトン可溶分が10質量%以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
〔5〕 アクリル系硬質重合体(a)は、ガラス転移温度が30℃以上であり、
アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)は、いずれも、ガラス転移温度が30℃未満である、〔1〕~〔4〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
〔7〕 前記〔1〕~〔5〕のいずれかひとつに記載の樹脂組成物を80質量%以上含有するフィルム。
〔11〕 アクリル系硬質重合体(c)は、アセトン可溶分が90~100質量%である、〔9〕または〔10〕に記載の製造方法。
アクリル系硬質重合体(a)は、アセトン可溶分が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
メチルメタクリレートに由来する構造単位は、ガラス転移温度の調整に寄与する。スチレンに由来する構造単位は屈折率を調整し透明性向上に寄与する。メチルメタクリレートまたはスチレンに由来する構造単位の量が少ないほど耐衝撃性が向上する傾向がある。
また、アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)は、いずれも、アセトン可溶分が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
電子顕微鏡で観察される多層構造体の平均径は、0.13μm以上0.3μm以下、好ましくは0.15μm以上0.27μm以下である。平均径がこの範囲内であるとアクリル系軟質重合体(b2)の分散相が形成され易くなる。平均径が大きくなるほど耐衝撃性が向上する。多層構造体の平均径は、図2に示すような電子顕微鏡写真において観察される図1に示すような断面が表れている多層構造体の20個以上について環の外縁の長径と短径とを測定し、該測定値を算術平均して得られる値である。
この質量比は、電子顕微鏡写真において観察される多層構造体におけるアクリル系軟質重合体(b1)の層の面積Ab1とアクリル系硬質重合体(a)の層の面積Aaとアクリル系軟質重合体(b2)の分散相の面積Ab2とに基づいて次式によって推定できる。
(a)の質量/[(b1)および(b2)の合計質量]=
[(Aa+Ab2)1.5-Ab2 1.5]
/ [(Ab1+Aa+Ab2)1.5-(Aa+Ab2)1.5+Ab2 1.5]
また、多層構造アクリル系重合体を含有するラテックスを製造する際に使用する単量体の質量比から推定することもできる。アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)の合計質量に対するアクリル系硬質重合体(a)の質量の比が上記の範囲内であると、アクリル系軟質重合体(b2)の分散相が形成され易くなる。
この質量比は、電子顕微鏡写真において観察される多層構造体におけるアクリル系軟質重合体(b1)の層の面積Ab1とアクリル系軟質重合体(b2)の分散相の面積Ab2とに基づいて次式によって推定できる。
(b2)の質量/(b1)の質量=
Ab2 1.5 / [(Ab1+Aa+Ab2)1.5-(Aa+Ab2)1.5]
アクリル系硬質重合体(c)以外のマトリックス樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系重合体、塩化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂などを挙げることができる。マトリックス樹脂には、本発明で規定する多層構造体以外の多層構造体(e)が含まれていてもよい。マトリックス樹脂/多層構造体の質量の比は、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10である。マトリックス樹脂に該多層構造体(e)が含まれている場合、本発明で規定する多層構造体は、電子顕微鏡写真の任意の10μm2中に少なくとも一つ存在していればよい。
なお、多層構造体(e)は、例えば、アクリル系軟質重合体(b1)の層と、アクリル系軟質重合体(b1)の層によって被覆されたアクリル系硬質重合体(a)の層と、アクリル系硬質重合体(a)の層の中に分散した1つのアクリル系軟質重合体(b2)の分散相とを有するものであってもよいし、アクリル系軟質重合体(b1)の層とアクリル系軟質重合体(b1)の層によって被覆されたアクリル系硬質重合体(a)の層とを有するものであってもよいし、他の多層構造を成したものであってもよい。多層構造体(e)は、本発明で規定する多層構造体と同様に、多層構造体(e)を被覆する薄層のアクリル系硬質重合体(c)が存在してもよい。
アセトン可溶分の酸価は次のようにして測定する。試料2gをアセトン50mLに入れ常温にて24時間撹拌する。得られた液を、回転数20000rpm、温度0℃、180分間の条件にて、遠心分離する。上澄み液を分取し、50℃、真空下で8時間乾燥させて、アセトン可溶分を得る。アセトン可溶分1gを、クロロホルム50mLで溶解させる。この溶液をKOH水溶液にて中和滴定する。アセトン可溶分1gを中和するために必要なKOHのミリモル数を酸価〔mmol/g〕とした。
アグロメーションによる場合は、例えば、アクリル系硬質重合体(a)を含有するラテックスとアクリル系軟質重合体(b1)または(b2)を含有するラテックスと所定割合にて混ぜ合わせ、強撹拌などによってアグロメ処理して多層構造体を含有するラテックスを得、これに、アクリル系硬質重合体(c)を含有するラテックスを所定割合で混ぜ合わせ、強撹拌などによってアグロメ処理することによって多層構造アクリル系重合体を含有するラテックスを得ることができる。
乳化重合法による場合は、例えば、アクリル系硬質重合体(a)を構成するための単量体(a)を乳化重合してアクリル系硬質重合体(a)を含有するラテックスを得、これにアクリル系軟質重合体(b1)および(b2)を構成するための単量体(b)を添加して単量体(b)の一部をアクリル系硬質重合体(a)に吸収させ、次いで単量体(b)をシード膨潤乳化重合して多層構造体を含有するラテックスを得、これにアクリル系硬質重合体(c)を構成するための単量体(c)を加えて単量体(c)をシード乳化重合することによって、多層構造アクリル系重合体を含有するラテックスを得ることができる。
ラテックスに含まれる多層構造アクリル系重合体の平均粒子径は、好ましくは0.13μm以上0.4μm以下、より好ましくは0.15μm以上0.28μm以下である。ラテックスに含まれる多層構造アクリル系重合体の平均粒子径は、光散乱法によって測定することができる。
シード乳化重合はシード粒子の表面で単量体の重合反応を行わせる乳化重合である。シード乳化重合はコアシェル構造重合体粒子を得るために好ましく用いられる。
シード膨潤乳化重合は、シード粒子に単量体を吸収させてシード粒子の中で単量体の重合反応を行わせる乳化重合である。添加した単量体の量がシード粒子に吸収される単量体の量よりも多い場合には、シード粒子の中での重合反応とシード粒子の表面での重合反応を同時並行して行わせることができる。本発明における多層構造体は、シード膨潤乳化重合によって、比較的容易に形成することができる。
アクリル系樹脂(d)におけるメタクリル酸エステルに由来する構造単位の量は、アクリル系樹脂(d)の全構造単位の質量に対して、好ましくは85~100質量%、より好ましくは90~100質量%、さらに好ましくは90~99質量%である。アクリル系樹脂(d)におけるアクリル酸エステルに由来する構造単位の量は、アクリル系樹脂(d)の全構造単位の質量に対して、好ましくは0~15質量%、より好ましくは0~10質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
熱可塑性重合体成形品は、フィルム、シート、および板などのような面状成形品であってもよいし、管、棒などの線状成形品であってもよいし、レンズ、プリズム、容器などのような各種形状の成形品であってもよい。
樹脂フィルムから-100℃にてミクロトームを用いて80nmの薄膜切片を作成した。この薄片をルテニウムで染色後、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製HT7700)にて加速電圧100KVにて写真を撮影した。
構造体の平均径は、図2に示すような電子顕微鏡写真において観察される図1に示すような断面が表れている多層構造体の20個以上について環の外縁の長径と短径とを測定し、該測定値を算術平均して得た。分散層(b2)の数については、多層構造体の20個以上を対象として数を数え、平均値を求めた。
堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-910を用い、光散乱法によってその平均粒子径を決定した。
樹脂試料を105℃に設定された熱風乾燥機内で3時間加熱し、加熱前後での重量変化から、含水率を決定した。
樹脂試料2gをアセトン50mLに入れ常温にて24時間撹拌した。得られた液を、回転数20000rpm、温度0℃、180分間の条件にて、遠心分離した。上澄み液を50℃、真空下で8時間乾燥させて、アセトン可溶分を得た。
アセトン可溶分1gをクロロホルム50mLで溶解させた。該溶液に窒素ガスを5分間吹き込んだ。その後、ブロモチモールブルーを数滴添加した。N/100 KOH水溶液を用いて中性(緑色)になるまでの滴定量A[ml]を計測した。
クロロホルム50mLに窒素ガスを5分間吹き込み、その後、上記と同じ方法で中性(緑色)になるまでの滴定量B[ml]を計測した。
酸価C[mmol/g]を次式に基づいて算出した。
C=(A-B)×0.01×F/56.1
なお、Fは、N/100 KOH水溶液のファクターである。
樹脂フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出した。JIS K7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM-150)を用いて、室温下でヘイズ(H0)を測定した。
樹脂フィルムから50mm×50mmの試験片を切り出した。JIS K7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM-150)を用いて、室温下でヘイズ(H0)を測定した。
次いで、試験片を80℃の水に1時間浸漬した。その後、表面に付着した水滴を取り除き、30分間室温にて乾燥させた。ヘイズを測定した。
室温におけるヘイズから温水浸漬後におけるヘイズへの増加量(ΔH80)を算出した。
樹脂試料をベント付単軸押出機に供給して、滞留時間3.5分、265℃で溶融させ、Tダイから押し出した。押し出されたシート状溶融樹脂を冷却し厚さ4mmのシートを得た。得られたシートを切削して試験片を作製し、JIS K7111(1eA)に準拠した方法でノッチ付シャルピー破壊強さを測定した。
攪拌機および採取管付オートクレーブに、精製されたMMA92部、およびMA8部を入れて攪拌した。これにAIBN0.006部およびnOM0.15部を加えて溶解させて原料液を得た。窒素ガスにより製造装置内の酸素ガスを追出した。
前記原料液を、オートクレーブから、温度140℃に制御された連続流通式槽型反応器に、平均滞留時間120分間となるように、一定流量で供給して、重合転化率57%で塊状重合を行った。
連続流通式槽型反応器から排出される液を240℃に加温し、250℃に制御されたオープンベントと真空ベントとを具える二軸押出機に一定流量で供給して、押出機供給口で断熱フラッシュ蒸発を行った。断熱フラッシュ蒸発で揮発した成分(単量体、二量体、三量体など)をオープンベントから排出した。二軸スクリューによる溶融混練で揮発した成分(単量体など)を押出機供給口よりも下流側に設けられた6Torrに減圧された真空ベントから排出した。揮発成分がほぼ除去された樹脂成分を二軸スクリューで押し出してストランドを得、該ストランドをペレタイザーでカットして、ペレット状のアクリル系樹脂[B1]を得た。アクリル系樹脂[B1]は、Tgが110℃、MFRが2g/10minであった。
コンデンサ、温度計、および撹拌機を具えた容量100Lのグラスライニング反応槽に、イオン交換水48kgを投入し、次いでステアリン酸ナトリウム416g、ラウリルサルコシン酸ナトリウム128g、および炭酸ナトリウム16gを投入して溶解させた。次いで、MMA11.2kgおよびALMA110gを添加して、乳化させ、反応槽温度を70℃にした。その後、2%過硫酸カリウム水溶液560gを添加して乳化重合を開始した。反応熱により反応槽温度が上昇した。その後、反応槽温度が下降した。70℃まで下降した時点から70℃にてさらに30分間乳化重合を行って、アクリル系硬質重合体(a)を含有するラテックスを得た。
アクリル系硬質重合体(a)を含有するラテックスに、2%過硫酸ナトリウム水溶液720gを添加した。その後、nBA12.4kg、St1.76kg、およびALMA280gからなる混合物を60分間かけて滴下して、混合物の一部をアクリル系硬質重合体(a)に吸収させながらシード膨潤乳化重合を行った。滴下終了後、70℃でさらに60分間シード膨潤乳化重合を行って、アクリル系硬質重合体(a)ならびにアクリル系軟質重合体(b1)および(b2)を含む多層構造体を含有するラテックスを得た。
アクリル系硬質重合体(a)およびアクリル系軟質重合体(b)を含有するラテックスに、2%過硫酸カリウム水溶液320gを添加した。その後、MMA6.2kg、MA0.2kg、およびnOM200gからなる混合物を30分間かけて添加してシード乳化重合を行った。添加終了後、70℃にてさらに60分間シード乳化重合を行った。次いで室温まで冷まして、アクリル系硬質重合体(a)、アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)ならびにアクリル系硬質重合体(c)からなる多層構造アクリル系重合体(C-1)を40質量%含有するラテックスを得た。
これに2%過硫酸カリウム水溶液160gを添加し、次いでMMA27.4kg、MA1.44kg、およびnOM98gからなる混合物を2時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、70℃にてさらに60分間乳化重合を行った。次いで室温まで冷まして、体積基準平均粒径0.12μm、極限粘度0.44dl/gのアクリル系重合体(D-1)を40質量%含有するラテックスを得た。なお、アクリル系重合体(D-1)は多層構造アクリル系重合体(C-1)の分散を補助するための粒子である。
ステアリン酸ナトリウム416gを1320gに変更し、ラウリルサルコシン酸ナトリウム128gを407gに変更した以外は実施例1と同じ方法で多層構造アクリル系重合体(C-2)を40質量%含有するラテックスを得た。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管および還流冷却器を具える反応容器に、イオン交換水150部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3部および炭酸ナトリウム0.05部を仕込み、容器内を窒素ガスで充分に置換して実質的に酸素の影響がない状態とした。その後、反応容器内の温度を80℃にした。反応容器内に過硫酸カリウム0.015部を投入し、5分間撹拌した。次いで、MMA4部、nBA4部およびALMA0.02部からなる混合物を20分間かけて連続的に滴加し、乳化重合を行った。滴加終了後、さらに30分間撹拌し、乳化重合を転化率98%以上となるように行って、硬質重合体(a)を含有するラテックスを得た。
硬質重合体(a)を含有するラテックスの入った反応容器内に、過硫酸カリウム0.030部を投入し、5分間撹拌した。次いで、MMA4部、nBA26部およびALMA0.9部からなる混合物を40分間かけて連続的に滴加し、シード乳化重合を行った。滴加終了後、さらに30分間撹拌し、シード乳化重合を転化率98%以上となるように行って、硬質重合体(a)と軟質重合体(b)とを含有するラテックスを得た。
硬質重合体(a)と軟質重合体(b)と含有するラテックスの入った反応器内に、過硫酸カリウム0.055部を投入し、5分間撹拌した。その後、MMA56部、nBA6部およびnOM0.2部からなる混合物を100分間かけて連続的に滴加してシード乳化重合を行った。滴加終了後、さらに60分間撹拌し、シード乳化重合を転化率98%以上となるように行って、硬質重合体(a)、軟質重合体(b)および硬質重合体(c)を含有するラテックス(C-3)を得た。吸光度法により決定されたラテックス(C-3)の平均粒子径は0.09μmであった。
ラテックス(C-3)を-20℃の雰囲気に3時間置いて凍結させた。得られた凍結物を3倍量の80℃の温水に投入して融解させて、スラリーを得た。スクリューデカンタ式遠心分離機を用いてスラリーの洗浄および脱水を2回繰り返し行った。脱水されたスラリーを80℃に設定された棚段式乾燥機(平均滞留時間2.5時間)で乾燥させて、樹脂組成物[A3]を得た。樹脂組成物[A3]は、平均径0.08μmの図3に示すような粒子が散在して含有していることが電子顕微鏡観察によって確認された。樹脂組成物[A3]は、含水率が0.21質量%、アセトン可溶分の酸価が0.007mmol/gであった。なお、図3中の黒い点は、染色剤であるルテニウムの残渣である。
脱水されたスラリーを70℃で乾燥させなかった以外は実施例1と同じ方法で樹脂組成物[A4]を得た。樹脂組成物[A4]は、含水率が6質量%、アセトン可溶分の酸価が0.008mmol/gであった。樹脂組成物[A4]をベント付押し出し機に供給してフィルム成形を試みたが、ベントアップしてフィルムを得ることができなかった。
脱水されたスラリーの乾燥温度70℃を120℃に変えた以外は実施例1と同じ方法で樹脂組成物[A5]を得た。樹脂組成物[A5]は、含水率が0.11質量%、アセトン可溶分の酸価が0.028mmol/gであった。
樹脂組成物[A5]は乾燥時に融着して大きな塊になったのでベント付押し出し機に供給できる程度の大きさに粉砕した。樹脂組成物[A5]をベント付単軸押出機に供給して、平均滞留時間3.5分間、265℃で溶融混練し、Tダイからフィルム状に押し出した。押し出されたフィルム状溶融樹脂を鏡面ロールに巻き取って、厚さ50μmの樹脂フィルムを得た。樹脂フィルムの評価結果を表1に示す。
Claims (10)
- アクリル系重合体(b1)の層と、アクリル系重合体(b1)の層によって被覆されたアクリル系重合体(a)の層と、アクリル系重合体(a)の層の中に分散した少なくとも二つのアクリル系重合体(b2)の分散相とを有し、且つ 平均径が0.13μm以上0.3μm以下である、多層構造体の少なくとも一つが、
アクリル系重合体(c)の層によって被覆されてなる、コアシェル構造重合体粒子を含有し、
前記の多層構造体は、
アクリル系重合体(b1)および(b2)の合計質量に対するアクリル系重合体(a)の質量の比が、10/30~30/10であり、
アクリル系重合体(b1)の質量に対するアクリル系重合体(b2)の質量の比が、0.1/99.9~30/70であり、
アクリル系重合体(a)は、ガラス転移温度が30℃以上で且つメチルメタクリレートに由来する構造単位90~99.5質量%およびグラフト化剤に由来する構造単位0.01~1質量%を含有してなり、
アクリル系重合体(b1)は、ガラス転移温度が0℃未満で且つアルキルアクリレートに由来する構造単位80~99質量%およびグラフト化剤に由来する構造単位0.5~5質量%を含有してなり、且つ
アクリル系重合体(b2)は、ガラス転移温度が0℃未満で且つアルキルアクリレートに由来する構造単位80~99質量%およびグラフト化剤に由来する構造単位0.5~5質量%を含有してなり、
前記のコアシェル構造重合体粒子は、
コアシェル構造重合体粒子100質量部に対してアクリル系重合体(c)が、10~30質量部であり、且つ
アクリル系重合体(c)は、ガラス転移温度が80℃以上で且つメチルメタクリレートに由来する構造単位90~99質量%およびアルキルアクリレートに由来する構造単位1~10質量%を含有してなり、
含水率が0.3%以下で且つ
アセトン可溶分の酸価が0.020mmol/g以下である、
樹脂組成物。 - アクリル系硬質重合体(a)は、アセトン可溶分が10質量%以下であり、
アクリル系軟質重合体(b1)および(b2)は、いずれも、アセトン可溶分が10質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。 - アクリル系重合体(c)は、ガラス転移温度が90℃以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- アクリル系重合体(c)は、アセトン可溶分が90~100質量%である、請求項1~3のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。
- アクリル系重合体(a)は、アルキルアクリレートに由来する構造単位をさらに含有し、
アクリル系重合体(b1)は、スチレンに由来する構造単位をさらに含有し、且つ
アクリル系重合体(b2)は、スチレンに由来する構造単位をさらに含有する、請求項1~4のいずれかひとつに記載の樹脂組成物。 - 請求項1~5のいずれかひとつに記載の樹脂組成物を80質量%以上含有する成形体。
- 請求項1~5のいずれかひとつに記載の樹脂組成物を80質量%以上含有するフイルム。
- シード膨潤乳化重合およびシード乳化重合を行ってコアシェル構造重合体粒子を含有するラテックスを得、
該ラテックスを凝固させてスラリーを得、
該スラリーを脱水し、
脱水されたスラリーを30℃~80℃にて乾燥させることを含む、
請求項1~5のいずれかひとつに記載の樹脂組成物の製造方法。 - アクリル系重合体(c)は、ガラス転移温度が90℃以上である、請求項8に記載の製造方法。
- アクリル系重合体(c)は、アセトン可溶分が90~100質量%である、請求項8または9に記載の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017072980 | 2017-03-31 | ||
JP2017072980 | 2017-03-31 | ||
PCT/JP2018/013604 WO2018181897A1 (ja) | 2017-03-31 | 2018-03-30 | 多層構造体を含有する樹脂組成物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2018181897A1 JPWO2018181897A1 (ja) | 2020-02-13 |
JP7123037B2 true JP7123037B2 (ja) | 2022-08-22 |
Family
ID=63678012
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019510244A Active JP7123037B2 (ja) | 2017-03-31 | 2018-03-30 | 多層構造体を含有する樹脂組成物およびその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7123037B2 (ja) |
WO (1) | WO2018181897A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7332678B2 (ja) * | 2019-02-28 | 2023-08-23 | 株式会社クラレ | (メタ)アクリル系重合体凝固物の製造方法及び成形品 |
JPWO2020241690A1 (ja) * | 2019-05-28 | 2020-12-03 | ||
JPWO2021065823A1 (ja) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001106741A (ja) | 1999-09-27 | 2001-04-17 | Rohm & Haas Co | 被覆用ポリマー |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3280139B2 (ja) * | 1993-11-19 | 2002-04-30 | 日立化成工業株式会社 | 表示パネル |
JP3934754B2 (ja) * | 1997-08-28 | 2007-06-20 | 株式会社クラレ | アクリル系多層構造粒状複合体 |
-
2018
- 2018-03-30 WO PCT/JP2018/013604 patent/WO2018181897A1/ja active Application Filing
- 2018-03-30 JP JP2019510244A patent/JP7123037B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001106741A (ja) | 1999-09-27 | 2001-04-17 | Rohm & Haas Co | 被覆用ポリマー |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2018181897A1 (ja) | 2020-02-13 |
WO2018181897A1 (ja) | 2018-10-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6934881B2 (ja) | アクリル系樹脂フィルムおよびそれの製造方法 | |
JP7123037B2 (ja) | 多層構造体を含有する樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP7123030B2 (ja) | 重合体粒子を含有する樹脂組成物 | |
EP3655443A1 (en) | Poly(methyl methacrylate) resin composition | |
JP7202318B2 (ja) | アクリル系重合体凝固物 | |
JP3642919B2 (ja) | 耐衝撃性改良材およびそれを含有する熱可塑性重合体組成物 | |
WO2023208918A1 (en) | Poly(meth)acrylat impact modifier with improved optical properties and method for its production | |
JP7342033B2 (ja) | 多層構造重合体粒子、それを含む熱可塑性樹脂組成物、成形体及びフィルム | |
JP7321064B2 (ja) | ビニル重合体粉体、熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 | |
JP7332678B2 (ja) | (メタ)アクリル系重合体凝固物の製造方法及び成形品 | |
JP7149480B2 (ja) | アクリル系樹脂フィルムの製造方法 | |
JP2021130745A (ja) | 多層構造重合体粒子、それを含有する熱可塑性樹脂組成物、成形体及びフィルム | |
JP7455961B2 (ja) | 透明熱可塑性樹脂及びその製造方法 | |
JP3310362B2 (ja) | 耐衝撃性樹脂組成物 | |
JPH044323B2 (ja) | ||
JP2006016524A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
WO2023208919A1 (en) | Poly(meth)acrylat impact modifier with reduced metal ion content and method for its production | |
EP4279517A1 (en) | Resin additive, resin composition, and molded article | |
KR20230060195A (ko) | 2축 스크류형 압착탈수 건조기를 이용한 아크릴계 라미네이트 필름용 수지의 제조 방법 | |
JP2009235363A (ja) | カルボキシル基含有アクリル共重合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20201225 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220201 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220329 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220802 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220809 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7123037 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |