JP7120367B1 - ろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法 - Google Patents

ろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法 Download PDF

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Abstract

【課題】陰電荷膜法による処理の利便性を向上可能なろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法を提供する。【解決手段】ろ過部材110は、微生物が通過可能な孔径の孔を有し、電圧が印加された状態で正電荷又は負電荷に帯電する。【選択図】図5

Description

本開示は、ろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法に関する。
従来、水中のウイルスを検出する際の処理方法として、陰電荷膜法が知られている。例えば、特許文献1には、河川水、湖沼水、海水、雨水等の環境水、井戸水、水道水、ボトルドウォーター等の飲料水、下水、排水、プール水、農業用水、工業用水、冷媒水等の産業用水などのサンプル液から精製ウイルス液を調製し、調製された精製ウイルス液を陰電荷膜法などで濃縮し、核酸を抽出して、ウイルスを検出する方法が記載されている。
特開2015-195756号公報
陰電荷膜法では、試料水のろ過性能を担保するために、ろ過を行う度に、陰電荷膜を交換する必要がある。しかしながら、陰電荷膜の交換は手動で行う必要があるため、手間と時間を要する。また、交換するための陰電荷膜を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も必要となる。
本開示は、陰電荷膜法による処理の利便性を向上可能なろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法を提供することを目的とする。
幾つかの実施形態に係るろ過部材は、微生物が通過可能な孔径の孔を有し、電圧が印加された状態で正電荷又は負電荷に帯電する。これにより、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態で、試料水がろ過部材に供給されることにより、ろ過部材により帯電したウイルスが捕捉され、ろ過部材への電圧の印加が停止されることによりろ過部材から脱離し、この状態でろ過部材に誘出水が供給されることにより、ウイルスが誘出水とともにろ過部材から流れ出して回収される。そのため、ろ過部材からウイルスを確実に誘出して除去することができるため、ろ過部材を交換することなく繰り返し利用することができる。よって、ろ過部材を交換する手間及び時間を削減できるとともに、交換するための陰電荷膜を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も削減できるので、利便性が高まる。
一実施形態において、前記孔を形成する金属製のメッシュ構造又はパンチング構造を有する。これにより、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態でウイルスを捕捉し、ろ過部材への電圧の印加が停止された状態でウイルスをろ過部材から脱離させることが可能なろ過部材を実現できる。
一実施形態において、前記孔を形成するメッシュ構造又はパンチング構造を有する構造物に、導電性塗料又は金属膜をコーティングして形成される。これにより、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態でウイルスを捕捉し、ろ過部材への電圧の印加が停止された状態でウイルスをろ過部材から脱離させることが可能なろ過部材を実現できる。
一実施形態において、前記孔を形成する金属パイプを複数束ねることにより形成される。これにより、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態でウイルスを捕捉し、ろ過部材への電圧の印加が停止された状態でウイルスをろ過部材から脱離させることが可能なろ過部材を実現できる。
幾つかの実施形態に係る濃縮装置は、上述のろ過部材と、前記ろ過部材に電圧を印加する電源装置と、前記ろ過部材の上流側に配置され、試料水を供給する試料水供給部と、前記ろ過部材の上流側において前記試料水供給部と並列に配置され、誘出水を供給する誘出水供給部と、前記ろ過部材の上流側に配置された上流側配管に接続され、前記試料水供給部から前記ろ過部材に前記試料水を供給するための試料水供給配管と、前記上流側配管に分岐して接続され、前記ろ過部材に前記誘出水を供給するための誘出水供給配管と、前記ろ過部材の下流側に配置され、流体を外部に排出する排出口と、前記ろ過部材の下流側において前記排出口と並列に配置され、流体を回収する回収容器と、を備える。これにより、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態で、試料水がろ過部材に供給されることにより、ろ過部材により帯電したウイルスが捕捉され、ろ過部材への電圧の印加が停止されることによりろ過部材から脱離し、この状態でろ過部材に誘出水が供給されることにより、ウイルスが誘出水とともにろ過部材から流れ出して回収される。そのため、ろ過部材からウイルスを確実に誘出して除去することができるため、ろ過部材を交換することなく繰り返し利用することができる。よって、ろ過部材を交換する手間及び時間を削減できるとともに、交換するための陰電荷膜を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も削減できるので、利便性が高まる。
幾つかの実施形態に係る濃縮方法は、微生物が通過可能な孔径の孔を有し、電圧が印加された状態で正電荷又は負電荷に帯電する、ろ過部材と、前記ろ過部材に電圧を印加する電源装置と、前記ろ過部材の上流側に配置され、試料水を供給する試料水供給部と、前記ろ過部材の上流側において前記試料水供給部と並列に配置され、誘出水を供給する誘出水供給部と、前記ろ過部材の上流側に配置された上流側配管に接続され、前記試料水供給部から前記ろ過部材に前記試料水を供給するための試料水供給配管と、前記上流側配管に分岐して接続され、前記ろ過部材に前記誘出水を供給するための誘出水供給配管と、前記ろ過部材の下流側に配置され、流体を外部に排出する排出口と、前記ろ過部材の下流側において前記排出口と並列に配置され、流体を回収する回収容器と、を備える濃縮装置が実行する濃縮方法であって、前記電源装置により前記ろ過部材に電圧を印加した状態で、前記試料水供給部から前記ろ過部材に前記試料水を供給することにより、前記試料水のろ過を行う第1ステップと、前記電源装置から前記ろ過部材への電圧の印加を停止した状態で、前記誘出水供給部から前記ろ過部材に前記誘出水を供給することにより、前記ろ過部材に捕捉された微生物の濃縮液を回収する第2ステップと、を含む。これにより、第1ステップにおいて、ろ過部材に電圧が印加されて帯電した状態で、試料水がろ過部材に供給されることにより、ろ過部材により帯電したウイルスが捕捉され、第2ステップにおいて、ろ過部材への電圧の印加が停止されることによりろ過部材から脱離し、この状態でろ過部材に誘出水が供給されることにより、ウイルスが誘出水とともにろ過部材から流れ出して回収される。そのため、ろ過部材からウイルスを確実に誘出して除去することができるため、ろ過部材を交換することなく繰り返し利用することができる。よって、ろ過部材を交換する手間及び時間を削減できるとともに、交換するための陰電荷膜を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も削減できるので、利便性が高まる。
本開示によれば、陰電荷膜法による処理の利便性を向上可能なろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法を提供することができる。
試料水からウイルス粒子の濃縮液を回収する、比較例に係る濃縮設備の概略構成図である。 図1の設備により実行される陰電荷膜法の処理手順を説明するための概略図である。 図1の設備により実行される陰電荷膜法の処理手順を説明するための概略図である。 図1の設備により実行される陰電荷膜法の処理手順を説明するための概略図である。 本開示の一実施形態に係る濃縮装置の概略構成図である。 図5の濃縮装置により実行される陰電荷膜法の処理の第1ステップを説明するための概略図である。 図5の濃縮装置により実行される陰電荷膜法の処理の第2ステップを説明するための概略図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、陰電荷膜法によって細菌やウイルスなどを含む微生物の濃縮液を回収する設備の比較例について説明する。陰電荷膜法は、試料水からウイルスを濃縮することによってウイルス濃度を増加させた濃縮液を回収することを目的として行われる工程の一例である。細菌やウイルスなどを含む微生物は、中性からアルカリ性の水域では、負電荷に帯電するという性質を有する。陰電荷膜法による処理を実行する試料水は、中性からアルカリ性であるため、これらの微生物は、試料水中で負電荷に帯電している。
本明細書では、一例として、ウイルスの濃縮液を回収する場合について説明するが、細菌などの他の微粒子に対しても、同様の設備及び方法を適用可能である。ウイルスは、任意の公知のウイルスであってよい。ウイルスは、例えば、2本鎖DNAウイルス、1本鎖DNAウイルス、2本鎖RNAウイルス、1本鎖RNAウイルス、1本鎖RNA逆転写ウイルス、又は2本鎖DNA逆転写ウイルスを含んでよい。
図1は、陰電荷膜法の処理を実行可能な設備の比較例を説明するための概略構成図である。図1に示すように、比較例に係る設備1は、陰電荷膜2と、アスピレータ3と、吸引ビン4と、を備える。図1において、各構成要素を結合する実線は、流体を流す配管を示す。
陰電荷膜2は、負電荷に帯電した膜であり、例えばMillipore社製の混合セルロース膜(以下、単に「HA膜」とも言う)を用いることができる。混合セルロース膜は、例えば、ニトロセルロース系とセルロースアセテート系との混合膜である。陰電荷膜2には、ウイルスが通過可能で、水分子などの流体を構成する分子を透過可能な孔が設けられている。陰電荷膜2の孔の孔径は、適宜定められてよい。
陰電荷膜2の上流側には、流体を供給するための配管5が設けられている。図1に示す比較例では、配管5には、それぞれの手順ごとに3本の異なる配管5a、5b及び5cを手動で繋ぎ変えることで、それぞれ異なる流体が配管5を経由して陰電荷膜2に供給される。配管5に配管5a、5b及び5cが繋ぎ変えられる代わりに、配管5に投入する溶液を変えることで、それぞれ異なる流体が配管5を経由して陰電荷膜2に供給されてもよい。
3本の配管5a、5b及び5cのうち第1配管5aは、配管5と、試料水供給口6とをつなぐ配管である。試料水供給口6からは、ウイルスを含みうる試料水が第1配管5aに供給される。なお、試料水供給口6からは、水処理インフラの施設から採水された試料水に、所定の溶液が混合された溶液が供給されてもよい。所定の溶液は、例えば塩化マグネシウム溶液であってよい。塩化マグネシウム溶液を供給することにより、試料水中に含まれるウイルスに、マグネシウムの陽イオンが吸着され、ウイルスとマグネシウムイオンとの複合体が形成されることで、ウイルスが陰電荷膜2により捕捉されやすくなる。所定の溶液には、試料水の性質に応じて適宜の溶液が用いられてよい。また、所定の溶液は、試料水の性質に応じて、用いられなくてもよい。
3本の配管5a、5b及び5cのうち第2配管5bは、配管5と、酸性の水溶液が貯留された酸性溶液貯留タンク7とをつなぐ配管である。酸性溶液貯留タンク7からは、酸性の水溶液が第2配管5bに供給される。本明細書では、酸性の水溶液は、一例として硫酸溶液であるとして説明するが、これに限られない。
3本の配管5a、5b及び5cのうち第3配管5cは、配管5と、アルカリ性の水溶液が貯留されたアルカリ性溶液貯留タンク8とをつなぐ配管である。アルカリ性溶液貯留タンク8からは、アルカリ性の水溶液が第3配管5cに供給される。本明細書では、アルカリ性の水溶液は、一例として水酸化ナトリウム水溶液であるとして説明するが、これに限られない。
各手順で連結された3本の配管5a、5b及び5cのそれぞれから、配管5を介して、陰電荷膜2に流体が供給される。陰電荷膜2には、試料水、酸性の水溶液及びアルカリ性の水溶液のいずれか1つのみが、同じタイミングで供給される。すなわち、同じタイミングで、試料水、酸性の水溶液及びアルカリ性の水溶液の2つ以上が供給されないように、それぞれの手順ごとに配管5a、5b及び5cが手動で繋ぎ変えられる。
アスピレータ3は、陰電荷膜2に対して下流側に配置される。アスピレータ3は、減圧状態を作り出すことにより、陰電荷膜2に供給された流体を引き込む。図1に示す比較例では、試料水及び酸性の水溶液が陰電荷膜2に供給される場合に、アスピレータ3が駆動されて、流体がアスピレータ3側に引き込まれ、外部に排出される。
吸引ビン4は、陰電荷膜2に対して下流に配置され、アスピレータ3と並列に配置される。吸引ビン4は、減圧状態を作り出すことにより、陰電荷膜2に供給された流体を引き込んで、内部に設けられた濃縮液回収容器10に、流体を回収する。図1に示す比較例では、アルカリ性の水溶液が陰電荷膜2に供給される場合に、流体が吸引ビン4に引き込まれ、濃縮液回収容器10に回収される。
次に、図1の比較例に係る設備を用いた、陰電荷膜法による処理方法について説明する。図2から図4は、図1の設備1により実行される陰電荷膜法の処理手順を説明するための概略図である。図2から図4における太線は、流体の流れを表す。ここでは、ろ過する試料水が、例えば2リットル以下の小容量である場合について説明する。この場合、陰電荷膜2として、平膜が用いられる。
まず、配管5に第1配管5aが接続され、アスピレータ3が駆動されることによって、図2に示すように、試料水が試料水供給口6から第1配管5aを経由して陰電荷膜2に供給される。試料水には、負電荷に帯電したウイルスに陽イオンが吸着された複合体が含まれる。試料水が陰電荷膜2を通ると、試料水中に含まれるウイルスと陽イオンの複合体は、陰電荷膜2を通る際に、負電荷に帯電した陰電荷膜2に吸着されることによって捕捉される。陰電荷膜2として、このときにウイルスが通過可能なものが使用される。例えば、陰電荷膜2として、孔径0.45μm、口径13-90mmのHA膜を使用することができる。陽イオン及びウイルスが捕捉された試料水は、アスピレータ3により、陰電荷膜2の下流に配置された配管11及び11aを通して排水される。
次に、第1配管5aに代えて第2配管5bが配管5に接続され、アスピレータ3が駆動されることによって、図3に示すように、酸性溶液貯留タンク7から第2配管5bを通り硫酸溶液が陰電荷膜2に供給される。これにより、陰電荷膜2の酸洗浄が行われる。つまり、硫酸溶液を陰電荷膜2に供給し、アスピレータ3で下流に流すことにより、陰電荷膜2に捕捉された陽イオンが、陰電荷膜2から溶出して硫酸溶液とともに配管11及び11aを通して排水される。また、硫酸溶液が供給されることにより、陰電荷膜2に捕捉されたウイルスの表面が正電荷に帯電する。硫酸溶液は、酸洗浄が可能な任意のものであってよく、例えばpH3.0で、0.5mMの硫酸溶液を用いることができる。また、硫酸溶液は、適宜の量が供給されてよく、例えば供給された試料水の10分の1以下の容量が供給されてよい。酸洗浄により、陰電荷膜2にはウイルスが付着して残っている状態となる。
そして、第2配管5bに代えて第3配管5cが配管5に接続され、図4に示すように、アルカリ性溶液貯留タンク8から第3配管5cを通り水酸化ナトリウム水溶液が陰電荷膜2に供給される。これにより、陰電荷膜2に捕捉されたウイルスの表面が再び負電荷に帯電し、陰電荷膜2から溶出して水酸化ナトリウム水溶液とともに、配管11及び11bを通って吸引ビン4に流れ、濃縮液回収容器10に回収される。水酸化ナトリウム水溶液は、ウイルスを回収可能な任意のものであってよく、例えばpH10.5-10.8で、1.0mMの水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。また、水酸化ナトリウム水溶液は、適宜の量が供給されてよく、例えば1-10mlが供給されてよい。供給される水酸化ナトリウム水溶液は、少量であるほど、ウイルスの濃縮効果が高まるため、好ましい。
なお、濃縮液回収容器10には、ウイルスを回収した水酸化ナトリウム水溶液を中和するための溶液が、予め入れられていることが好ましい。例えば、濃縮液回収容器10には、5-50μlの0.2Nの硫酸溶液と、10-100μlのpH8.0の緩衝液とが、予め入れられていることが好ましい。
このように、図2から図4を参照して説明した処理により、設備1で陰電荷膜法を行うことにより、試料水中のウイルスを濃縮液回収容器10に回収することができる。
上述した陰電荷膜法では、pHに依存するプロトン(例えば上述の例ではMg2+)の着脱によってウイルスの表面荷電を変化させることにより、コロイドの分散安定性が制御される。
特許文献1に記載された例では、粒子(A)は表面電荷として正電荷を帯びている。そのため、表面電荷として負電荷を帯びる、ウイルス、フミン酸、及び粒子(B)は、粒子(A)に吸着される。このとき、ウイルスは、表面電荷として正電荷を帯びうるため、フミン酸及び粒子(B)と比較して、相対的に吸着されにくい。その結果、ウイルスは粒子(A)に吸着されず、フミン酸及び粒子(B)が粒子(A)に吸着される。そして、粒子(A)は、フミン酸又は粒子(B)を吸着した状態、すなわち粒径が大きくなった状態で、サンプル液から分離される。これによって、粒子(A)に吸着されたフミン酸及び粒子(B)も、粒子(A)と一緒にサンプル液から分離される。このようにして、フミン酸が除去された精製ウイルス液を得ることができる。
しかしながら、従来の陰電荷膜法では、試料のコンタミネーションを防ぎ、また、ろ過性能を担保するために、使い捨ての陰電荷膜2が使用され、この陰電荷膜2は、ろ過を実施するごとに交換される。しかしながら、陰電荷膜2の交換は手動で行う必要があるため、手間と時間を要する。また、交換するための陰電荷膜2を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も必要となる。
また、陰電荷膜2が平膜により構成されている場合、平膜が傷つきやすいことから、陰電荷膜2の交換作業にあたっては、平膜が傷つかないように作業を行う慎重さが求められる。陰電荷膜2としてカートリッジ式フィルタが用いられる場合もあるが、カートリッジ式フィルタは高価であるため、コストが高くなる。
以下、上述した問題を解決可能なろ過部材、濃縮装置及び濃縮方法について説明する。
図5は、本開示の一実施形態に係る濃縮装置100の概略構成図である。図5に示すように、本実施形態に係る濃縮装置100は、ろ過部材110と、第1ポンプ111と、第2ポンプ112と、電源装置113と、濃縮液回収容器114と、を備える。図5において、各構成要素を結合する実線は、流体を流す配管を示す。また、図5において、各構成要素を結合する破線は、電力を供給可能な配線を示す。
ろ過部材110は、上流側から供給された流体をろ過する部材である。ろ過部材110は、ウイルスを含む微生物が通過可能な孔径の孔を有する。例えば、ろ過部材110は、メッシュ構造又はパンチング構造を有する。この場合、ろ過部材110は、帯電した微生物を捕捉するとともに、メッシュ構造又はパンチング構造で形成されている孔により、微生物から分離した水等の流体を下流側に通過させる。メッシュ構造又はパンチング構造で形成されている孔の孔径は、例えば、0.1~30μmであってよい。なお、パンチング構造は、シート状または板状の材料に、穴や型が打ち抜かれた構造である。
ろ過部材110は、電源装置113と電気的に接続されており、電源装置113から電圧が印加されるように構成されている。ろ過部材110は、電源装置113から電圧が印加された状態で正電荷又は負電荷に帯電する部材により構成されている。例えば、ろ過部材110は、金属製である。つまり、ろ過部材110は、金属製のメッシュ構造又はパンチング構造を有していてよい。例えば、ろ過部材110は、荷電性を制御可能なステンレス製であってよい。ろ過部材110が正電荷又は負電荷のいずれに帯電するかは、電源装置113から供給される電力によって制御される。ろ過部材110は、電源装置113から電圧が印加されていない場合、無電荷となる。
ろ過部材110は、耐酸性の素材で構成されていることが好ましい。例えば、ろ過部材110は、pH2以下に耐えうる耐酸性の素材で構成されていることが好ましい。これにより、濃縮装置100による濃縮を行った後、ろ過部材110を強酸の溶液で洗浄することができる。ろ過部材110が耐酸性の素材で構成されている場合、強酸の溶液で洗浄しても、強酸の溶液の侵食を受けにくくなり、荷電性が劣化しない。
本実施形態において、ろ過部材110は、電源装置113から電圧が印加され、帯電した状態で、上流側から供給された試料水をろ過する。
電源装置113は、ろ過部材110に電力を供給する。電源装置113は、スイッチがオンの状態でろ過部材110に電力を供給し、スイッチがオフの状態でろ過部材110に電力を供給しない。電源装置113は、例えば濃縮装置100の全体を制御する制御部により、スイッチのオンとオフが制御されてもよく、例えば電源装置113を操作する人により、スイッチのオンとオフが制御されてもよい。
ろ過部材110の上流側には、流体を供給するための上流側配管101が設けられている。上流側配管101には、上流側に分岐する2本の配管が接続されている。すなわち、上流側配管101には、試料水供給配管102と、誘出水供給配管103との2本の配管が接続されている。試料水供給配管102の上流側には、試料水を供給する試料水供給部106が配置されている。試料水供給部106からは、ウイルスを含みうる試料水が試料水供給配管102に供給される。試料水供給部106から試料水供給配管102に供給された試料水は、上流側配管101を介してろ過部材110に供給される。試料水供給部106からは、比較例で説明したものと同様に、水処理インフラの施設から採水された試料水に、所定の溶液が混合された溶液が供給されてもよい。所定の溶液は、陽イオンを供給できる溶液である。例えば、所定の溶液は、塩化マグネシウム溶液又は塩化アルミニウム溶液である。ただし、所定の溶液は、塩化マグネシウム溶液又は塩化アルミニウム溶液に限られるものではない。塩化マグネシウム溶液を混合することにより、試料水中に含まれるウイルスと陽イオンにより複合体が形成され、その作用により負電荷に帯電したろ過部材110に、より捕捉されやすくなる。試料水供給配管102には、第1弁109aが設けられている。第1弁109aの開閉により、試料水供給配管102からの試料水の供給が制御される。
試料水供給配管102には、第1ポンプ111が設けられている。第1ポンプ111は、第1弁109aの上流側に設けられる。第1ポンプ111は、試料水供給部106から下流側へ試料水を送液する。第1ポンプ111は、送液ポンプ又は加圧式ポンプであってよい。例えば試料水中の濁質や不溶解性物質濃度が高いためろ過部材110にとって負荷の高い試料水をろ過する場合には、第1ポンプ111として加圧式ポンプが用いられることが好ましい。加圧式ポンプを用いることにより、より強い圧力で試料水を供給し、濁質や不溶解性物質の配管中での沈殿を防止しやすくなる。
ろ過部材110の上流側には、誘出水を供給する誘出水供給部107が配置されている。誘出水供給部107は、例えば誘出水を供給可能な特定の装置からホース又はチューブなどを介して誘出水を供給する機構として構成されていてもよく、誘出水を貯水するタンクとして構成されていてもよい。誘出水供給部107は、試料水供給部106と並列に配置されている。誘出水は、ろ過部材110により捕捉されたウイルスを、ろ過部材110から誘出させて下流側に流すためにろ過部材110に供給される流体である。誘出水は、例えば水であってよい。ただし、他の液体を誘出水として用いることも可能である。誘出水は、図5に示すように、誘出水供給部107から、誘出水供給配管103を通して、ろ過部材110に供給される。具体的には、誘出水供給配管103は、第1弁109aの下流側で上流側配管101と合流するように、上流側配管101に接続されている。つまり、誘出水供給配管103は、上流側配管101に分岐して接続されている。誘出水供給配管103には、第2弁109bが設けられている。第2弁109bの開閉により、誘出水供給配管103からの誘出水の供給が制御される。
誘出水供給配管103には、第2ポンプ112が設けられている。第2ポンプ112は、第2弁109bの上流側に設けられる。第2ポンプ112は、誘出水供給部107から下流側へ誘出水を送液する。第2ポンプ112は、送液ポンプであってよい。
ろ過部材110の下流側には、ろ過部材110を通った流体を排出するための下流側配管105が設けられている。下流側配管105には、2本の異なる配管105a及び105bが、分岐して連結されている。
下流側第1配管105aは、排出口125に連通しており、排出口125から流体を外部に排出する。下流側第1配管105aには、第3弁109cが設けられている。第3弁109cの開閉により、下流側第1配管105aからの流体の排出が制御される。
下流側第2配管105bは、下流側配管105と、濃縮液回収容器114とをつなぐ配管である。濃縮液回収容器114は、ろ過部材110の下流側において、排出口125と並列に排出されている。濃縮液回収容器114は、ウイルスの濃縮液を回収する容器である。具体的には、濃縮液回収容器114は、ろ過部材110においてウイルスを誘出させることにより、ウイルスを含んだ誘出水を回収する。下流側第2配管105bには、第4弁109dが設けられている。第4弁109dの開閉により、下流側第2配管105bから濃縮液回収容器114への濃縮液の送液が制御される。
次に、図5に示した濃縮装置100による陰電荷膜法の処理手順について、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、濃縮装置100により実行される陰電荷膜法の処理の各ステップを説明するための概略図である。図6及び図7では、要点を分かりやすくするため、ろ過部材110と、ろ過部材110に接続される上流側配管101及び下流側配管105の一部のみが図示されている。濃縮装置100では、第1ステップ及び第2ステップで陰電荷膜法によるウイルス粒子の濃縮液の回収を行う。
なお、第1ステップ及び第2ステップは、濃縮装置100が備える各機能部を自動的に制御可能な制御部が予め定められたプログラムに従って制御することにより自動的に実行されてもよく、人が操作することにより実行されてもよい。ここでは、第1ステップ及び第2ステップが、自動制御されているとする。
図6は、図5の濃縮装置100により実行される陰電荷膜法の処理の第1ステップを説明するための概略図である。第1ステップでは、電源装置113によりろ過部材110に電圧を印加した状態で、試料水供給部106からろ過部材110に試料水を供給することにより、試料水のろ過を行う。
具体的には、第1ステップでは、第1弁109a及び第3弁109cが開かれた状態となり、第2弁109b及び第4弁109dが閉じられた状態となる。また、電源装置113のスイッチがオンの状態となり、ろ過部材110に電力が供給されることにより、ろ過部材110が帯電する。ここでは、ろ過部材110が正電荷に帯電しているとする。
この状態で、第1ポンプ111が駆動することにより、ウイルスを含みうる試料水が、試料水供給部106から試料水供給配管102を介してろ過部材110に供給される。ろ過部材110に供給された試料水は、ろ過部材110によりろ過される。このとき、試料水中のウイルスは負電荷に帯電しており、ろ過部材110が正電荷に帯電しているため、図6に模式的に示すように、負電荷に帯電したウイルスがろ過部材110により捕捉される。ウイルスが除去された試料水は、下流側配管105から、下流側第1配管105aを介して、排出口125から排出される。
図6に示すように、ろ過部材110に試料水を供給している間に、ろ過部材110に印加される電圧は、捕捉対象となるウイルスの性質や、試料水の性質等に応じて、適宜定められてよい。例えば、ろ過部材110に印加される電圧は、試料水の電気分解が発生することを防止するために、1mVから1.23Vの間で設定されていてよい。ただし、試料水の流速と電気分解の速度とから、電気分解の影響が小さいと考えられる場合には、ろ過部材110に印加される電圧が1.23Vよりも高く設定されてもよい。
図7は、図5の濃縮装置100により実行される陰電荷膜法の処理の第2ステップを説明するための概略図である。第2ステップでは、電源装置113からろ過部材110への電圧の印加を停止した状態で、誘出水供給部107からろ過部材110に誘出水を供給することにより、ろ過部材110に捕捉された微生物の濃縮液を回収する。
具体的には、第2ステップでは、第1弁109a及び第3弁109cが閉じられた状態となり、第2弁109b及び第4弁109dが開かれた状態となる。また、電源装置113のスイッチがオフの状態となり、ろ過部材110に電力が供給されていない状態となる。すなわち、ろ過部材110は、帯電していない状態となる。
この状態で、第2ポンプ112が駆動することにより、誘出水が、誘出水供給部107から誘出水供給配管103を介してろ過部材110に供給される。このとき、ろ過部材110が帯電していないことから、ウイルスはろ過部材110のメッシュ構造又はパンチング構造から脱離した状態となっている。そのため、図7に模式的に示すように、誘出水がウイルスをろ過部材110から誘出して、下流側に流す。ウイルスを含んだ誘出水は、下流側第2配管105bから濃縮液回収容器114に流れ込み、濃縮液回収容器114に回収される。
濃縮が完了した場合、ろ過部材110を洗浄することにより、再度使用することができる。すなわち、濃縮装置100において、ろ過部材110を交換せずに再利用しても、コンタミネーションの問題が発生しにくい。これは、本実施形態に係る濃縮方法の第2ステップでろ過部材110への電圧の印加を停止することにより、ウイルスがろ過部材110から脱離し、誘出水によってろ過部材110から流されるので、ろ過部材110にウイルスが残存しにくいためである。
ろ過部材110が耐酸性の素材で構成されている場合、濃縮が完了した後、ろ過部材110を強酸の溶液で洗浄してもよい。強酸の溶液でろ過部材110を洗浄することにより、ろ過部材110にウイルスが残存していた場合、当該ウイルスのRNA(リボ核酸)及びDNA(デオキシリボ核酸)等の核酸を溶解することができる。これにより、ろ過部材110が洗浄されるため、同一のろ過部材110を次の処理に使用しても、次の処理で使用される試料への汚染等の影響を与えることがない。
このように、本実施形態に係る濃縮装置100は、電圧が印加された状態で帯電するろ過部材110を備える。ろ過部材110に電圧が印加されて帯電した状態で、試料水がろ過部材110に供給されることにより、ろ過部材110により帯電したウイルスが捕捉される。捕捉されたウイルスは、ろ過部材110への電圧の印加が停止されることによりろ過部材110から脱離し、この状態でろ過部材110に誘出水が供給されることにより、ウイルスが誘出水とともにろ過部材110から流れ出して回収される。このような濃縮方法を用いることにより、ろ過部材110からウイルスを確実に誘出して除去することができるため、ろ過部材110を交換することなく繰り返し利用することができる。そのため、ろ過部材110を交換する手間及び時間を削減できるとともに、交換するための陰電荷膜を購入するコストや、購入してから入手するまでの時間も削減できるので、利便性が高まる。
上記実施形態に係る濃縮装置100において、誘出水を水とした場合、目的のウイルスに対して、酸やアルカリ等によるストレスを与えることなく回収することができる。すなわち、ウイルスに対して与えるダメージを軽減することができる。
ただし、上記実施形態に係る濃縮方法の第2ステップにおいて、酸洗浄やアルカリ誘出を行うこともできる。つまり、誘出水に代えて、比較例で説明したように、硫酸溶液等の酸性の水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の水溶液をろ過部材110に供給することによっても、ろ過部材110によって捕捉されたウイルスを回収することができる。
上記実施形態では、試料水及び誘出水は、それぞれろ過部材110の上流側に配置された第1ポンプ111及び第2ポンプ112により送液されることで、下流側に供給されると説明した。しかしながら、濃縮装置100は、第1ポンプ111及び第2ポンプ112に代えて、ろ過部材110の下流側に、流体を引き込むポンプを備え、当該ポンプにより、流体(つまり試料水及び誘出水)を上流側から下流側に引き込んでもよい。
上記実施形態では、ろ過部材110が、金属製のメッシュ構造又はパンチング構造を有すると説明した。しかしながら、ろ過部材110は、必ずしも金属製のメッシュ構造又はパンチング構造を有していなくてもよい。ろ過部材110は、電圧の印加により帯電可能であり、試料水のろ過が可能であればよい。
例えば、ろ過部材110は、孔を形成するメッシュ構造又はパンチング構造を有する構造物に、導電性塗料又は金属膜をコーティングして形成されていてもよい。この場合も、ろ過部材110は、上記実施形態で説明したろ過部材110と同様に機能する。
また、例えば、ろ過部材110は、孔を形成する金属パイプを複数束ねることにより形成されていてもよい。金属パイプは、試料水が流れる方向に沿って孔を形成する中空部分が延在するように配置される。この場合、ろ過部材110に電圧が印加されると、ろ過部材110を形成する金属パイプが帯電し、当該金属パイプの内壁にウイルスが捕捉(吸着)される。ろ過部材110が複数の金属パイプを束ねて形成される場合、目的となるウイルスと金属パイプの孔を構成する内壁面との距離が近いほど、金属パイプによるウイルスの捕捉効率が高まる。そのため、金属パイプは内径がより小さい方が好ましい。金属パイプの内径は、例えば20μmとすることができる。
上記実施形態に係る濃縮装置100において、ろ過部材110に印加される電圧は、濃縮対象となる微生物に応じて適宜定めることができる。例えば、ノロウイルスや大腸菌ファージ等を含む各種ウイルスは、当該ウイルスを含む液体のpHによって表面電荷が変動する。そのため、当該液体のpHや塩濃度を変化させることによって、ウイルス吸着機構の電荷を正電荷又は負電荷に切り換えることができる。この性質を利用して、帯電したウイルスが引き寄せられる電荷をろ過部材110に与えることにより、目的となる特定のウイルスを回収することができる。
具体的には、ろ過部材110に印加する電圧の正負や、電圧の印加の有無を切り換えたり調整したりすることにより、特定のウイルスを選択的に回収できる。例えば、pH7の条件下で、腸管系のピコルナウイルス科や、植物に感染するティモウイルス科等の外殻タンパクは正に帯電し、胃腸炎等の原因となるカリシウイルス科は負に帯電する性質を有する。仮に、試料水にこれらのウイルスが混在している場合、ろ過部材110を正に帯電することにより、例えばカリシウイルス科に属するノロウイルスを選択的に捕捉することができる。このようにして、目的外のウイルスを濃縮液に含まないようにしつつ、目的のウイルスの濃縮液を回収することができる。
上記実施形態では、濃縮装置100が細菌やウイルスなどを含む微生物の濃縮液を回収する場合の例について説明したが、濃縮装置100は、液中で帯電して浮遊する微粒子やコロイド分散系に対しても、同様に適用可能である。
上述した濃縮装置100は、多様な分野及び用途に用いることができる。例えば、上述した濃縮装置100は、浄水場、下水処理場、水再生施設又は海水淡水化施設等の水処理インフラの水質管理や処理性能を把握するために用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、例えば、河川、海洋、親水域、プール又は水浴場等の水域における環境の動態調査のために用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、例えば、水域や環境インフラを網羅する都市の微生物感染リスクを把握するための、微粒子、コロイド分散系又は微生物等の水質検査に用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、飲料用又は加工食品の製造に使用される液体の質的リスク、安全把握又は品質管理を目的として、リスクを定量化したり、安全と判定できる閾値との比較検証を行ったりするために用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、工業用水、灌漑・農業用水などの水質検査に用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、例えば、ミスト散布、加湿装置又は打ち水等の温湿度管理に用いられる液体の質的リスク、安全把握又は品質管理を行うために用いることができる。また、上述した濃縮装置100は、医薬品製造又は人工透析療法等の医療に関連する水の品質管理検査に用いることができる。
また、上述した濃縮装置100は、上述のようにウイルスを選択的に回収できることから、例えば、水道、食品、飲料水又はその他の分野において、荷電状態の異なる粒子を対象として回収するという方法に活用することができる。さらに、誘出水として酸性溶液やアルカリ性溶液を用いないことにより、ウイルスに対して酸やアルカリ等によるストレスが与えられないため、ウイルス回収後の培養操作が実行可能になり得る。
本開示は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した開示の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
1 設備
2 陰電荷膜
3 アスピレータ
4 吸引ビン
5、11、11a、11b 配管
5a 第1配管
5b 第2配管
5c 第3配管
6 試料水供給口
7 酸性溶液貯留タンク
8 アルカリ性溶液貯留タンク
10 濃縮液回収容器
100 濃縮装置
101 上流側配管
102 試料水供給配管
103 誘出水供給配管
105 下流側配管
105a 下流側第1配管
105b 下流側第2配管
106 試料水供給部
107 誘出水供給部
109a 第1弁
109b 第2弁
109c 第3弁
109d 第4弁
110 ろ過部材
111 第1ポンプ
112 第2ポンプ
113 電源装置
114 濃縮液回収容器
125 排出口

Claims (3)

  1. 微生物が通過可能な孔径の孔を有し、電圧が印加された状態で正電荷又は負電荷に帯電し、前記孔を形成する金属パイプを複数束ねることにより形成される、ろ過部材。
  2. 請求項1に記載のろ過部材と、
    前記ろ過部材に電圧を印加する電源装置と、
    前記ろ過部材の上流側に配置され、試料水を供給する試料水供給部と、
    前記ろ過部材の上流側において前記試料水供給部と並列に配置され、誘出水を供給する
    誘出水供給部と、
    前記ろ過部材の上流側に配置された上流側配管に接続され、前記試料水供給部から前記
    ろ過部材に前記試料水を供給するための試料水供給配管と、
    前記上流側配管に分岐して接続され、前記ろ過部材に前記誘出水を供給するための誘出
    水供給配管と、
    前記ろ過部材の下流側に配置され、流体を外部に排出する排出口と、
    前記ろ過部材の下流側において前記排出口と並列に配置され、流体を回収する回収容器
    と、
    を備える、濃縮装置。
  3. 請求項1に記載のろ過部材と、
    前記ろ過部材に電圧を印加する電源装置と、
    前記ろ過部材の上流側に配置され、試料水を供給する試料水供給部と、
    前記ろ過部材の上流側において前記試料水供給部と並列に配置され、誘出水を供給する誘出水供給部と、
    前記ろ過部材の上流側に配置された上流側配管に接続され、前記試料水供給部から前記ろ過部材に前記試料水を供給するための試料水供給配管と、
    前記上流側配管に分岐して接続され、前記ろ過部材に前記誘出水を供給するための誘出水供給配管と、
    前記ろ過部材の下流側に配置され、流体を外部に排出する排出口と、
    前記ろ過部材の下流側において前記排出口と並列に配置され、流体を回収する回収容器と、
    を備える濃縮装置が実行する濃縮方法であって、
    前記電源装置により前記ろ過部材に電圧を印加した状態で、前記試料水供給部から前記ろ過部材に前記試料水を供給することにより、前記試料水のろ過を行う第1ステップと、
    前記電源装置から前記ろ過部材への電圧の印加を停止した状態で、前記誘出水供給部から前記ろ過部材に前記誘出水を供給することにより、前記ろ過部材に捕捉された微生物の濃縮液を回収する第2ステップと、
    を含む濃縮方法。
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