JP7119848B2 - 車両用シート装置 - Google Patents

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本発明は、車両用シート装置に関する。
従来より、人が歩行状態や立位状態のとき、側面視にて背骨(脊柱)がS字状のカーブ(脊柱湾曲)を描いていることは知られている。
このS字状のカーブは生理的前湾と言われ、頚椎が約20度前湾し、胸椎が約20~40度後湾し、腰椎が約35~60度前湾することによって形成されている。
それ故、シートに着座している乗員(以下、単に乗員と略す。)の生理的前湾を歩行状態と同様に維持することにより、骨格における椎間板の負担等の違和感を最小化し、長時間の車両操作を可能にすることが可能である。そして、車両のシートにおいては、生理的前湾を維持するように、シートバックが乗員の上体、即ち、頭部、頚椎、胸椎、腰椎、骨盤を支持している。
また、車両の旋回走行時、乗員の操作姿勢を考慮して、乗員によるステアリングの操作性を向上する技術が提案されている。
特許文献1の車両用シート装置は、前後方向軸に対して回動可能なシートバックと、前後方向軸に対して回動可能なシートクッションとを備え、車両の旋回走行時、シートクッションの旋回方向内側部分が旋回方向外側部分よりも相対的に高くなるように回動させている。
WO2013/021497号公報
特許文献1の車両用シート装置は、乗員の骨盤と肩甲骨とを上下方向に逆動作させることにより、腰部の体幹筋を利用してステアリングの操作性の向上を図っている。
しかし、乗員の運転感覚が不安定になり、ステアリングの操作性を十分には向上することができない虞がある。
乗員の走行に伴う前方視界からの視覚情報と運転感覚とは密接な関係があり、特にヨー運動については体感情報よりも視覚情報の方が認識感度が高いことから、乗員の視界、所謂頭部位置を調整することによって運転感覚を調整することが可能である。
生理的前湾を維持して乗員の上体を支持する場合、胸椎と骨盤に比べて頭部、頚椎、及び腰椎は左右方向に動き易い状態で支持されている。
また、頭部、頚椎、胸椎、腰椎の上下方向の動きは、最下部の骨盤と連動している。
それ故、旋回時に発生する旋回加速度により、乗員の上体が旋回方向外側に倒れ込むため、上体の重みを受けて、旋回方向外側に相当する骨盤がシートクッションに沈み込む。この骨盤の沈み込みにより、乗員の上体は、更に旋回方向外側に倒れ込むことになる。
上記を踏まえ、特許文献1の車両用シート装置では、車両の左旋回時、重力を基準にした鉛直軸及び水平軸による座標系において、車両は右側にロールし、乗員は旋回横加速度によって上体が旋回方向外側に傾斜し、この上体の傾斜に伴って、乗員の運転感覚に影響する頭部も旋回方向外側に傾斜している。
このとき、傾斜した乗員頭部の鉛直軸及び水平軸を基準とした景色、所謂乗員が認識する前方視界は、進行方向前方の道路における鉛直軸及び水平軸と乖離したものとなるため、ステアリングの操作が乱れ、更に乗員の頭部位置が不安定になる。
即ち、乗員が着座するシートクッションにおいて、旋回方向内側部分を旋回方向外側部分よりも相対的に高くする特許文献1の車両用シート装置の場合、乗員の上体は旋回方向外側に傾き、上体の傾斜に伴って頭部も旋回方向外側に更に傾斜するため、乗員が認識する前方視界は、物理的な運転状態と更に乖離したものになっている。
本発明の目的は、車両旋回走行時における操舵操作性を向上可能な車両用シート装置等を提供することである。
請求項1の車両用シート装置は、シートクッションとシートバックとを有する車両用シートを制御する車両用シート装置において、車両のステアリングの操舵角を検出する旋回状態検出手段と、前記シートクッションの旋回方向外側部分と旋回方向内側部分について剛性値を夫々変更可能な1対の剛性値変更手段と、前記剛性値変更手段を制御可能な制御手段とを有し、
前記制御手段は、操舵角から検知される旋回状態のときに、前記剛性値変更手段を作動させることで、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くするように制御する際に、操舵角が第1閾値よりも大きく且つ第2閾値以下のときは、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を操舵角に比例した剛性値まで向上させ且つ旋回方向内側部分の座面の剛性値の変更を行わない単一調整制御を実行すると共に、操舵角が第2閾値よりも大きいときは、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を第2閾値に対応した定量値まで向上させ且つ旋回方向内側部分の座面の剛性値を操舵角と第2閾値との差分に比例した剛性値まで低減させる相対調整制御を実行することを特徴としている。
この車両用シート装置では、車両のステアリングの操舵角を検出可能な旋回状態検出手段と、前記シートクッションの剛性値を変更可能な剛性値変更手段と、前記剛性値変更手段を制御可能な制御手段とを有しているため、乗員の運転感覚と物理的な運転状態とが乖離する車両の旋回走行状態を検出し、旋回時には、旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くすることができる。
前記制御手段が、操舵角から旋回状態が検出されたとき、前記シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くするため、乗員の骨盤における旋回方向外側部分において、骨盤が下方に沈み込む押圧力に対して上方に向けた反発力がシートクッションから付与される。
これにより、乗員の骨盤による下方移動が抑制され、乗員の上体の沈み込みに起因した頭部による旋回方向外側への傾斜を防止することができる。
しかも、上記反発力により骨盤が上方に押し上げられるため、乗員の上体に対して旋回方向内側に回転する回転モーメントが発生するため、頭部自体の重みによって頭部が旋回方向外側に傾こうとする旋回方向外側への回転モーメントを打ち消すことができ、乗員の頭部位置の安定性を確保することができる。
これにより、乗員の頭部位置の安定化により乗員が認識する前方視界と車両の物理的な運転状態とを一致させることができ、操舵操作性を向上させている。
そして、操舵角が第1閾値よりも大きく且つ第2閾値以下のときは、旋回度合いがそれ程大きくなく、シートクッションの旋回方向外側部分の剛性調整のみで対応可能であるため、単一調整制御を実行し、操舵角が第2閾値よりも大きい場合、旋回度合いが大きく、シートクッションの旋回方向外側部分の剛性増加のみでは乗り心地が低下するため、相対調整制御を実行する。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記剛性値変更手段は、少なくとも乗員の臀部に対応する前記シートクッションの車幅方向内側部分と車幅方向外側部分とに夫々配設された左右1対のバッグ体と、前記1対のバッグ体のうち前記シートクッションの旋回方向外側部分に対応したバッグ体に旋回状態に応じて流体を給排可能な給排手段とを有することを特徴としている。
この構成によれば、流体流量を介して、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くすることができる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記剛性値変更手段が、少なくとも乗員の臀部に対応する前記シートクッションの車幅方向内側部分と車幅方向外側部分とに夫々配設された左右1対のシートクッション昇降手段を有し、前記シートクッション昇降手段は、旋回走行時に、前記シートクッションの旋回方向外側部分の高さを旋回方向内側部分の高さよりも高くすることを特徴としている。
この構成によれば、遠心力による乗員の沈み込み挙動を用いてシートクッションの旋回方向外側部分の圧縮率を旋回方向内側部分の圧縮率よりも高くすることにより、シートクッションの旋回方向外側部分の剛性値を旋回方向内側部分の剛性値よりも高くすることができる。
本発明の車両用シート装置によれば、乗員が認識する前方視界と車両の物理的な運転状態とを一致させることにより車両旋回走行時における操舵操作性を向上することができる。
実施例1に係る車両用シートの全体概略図である。 シートの分解斜視図である。 弾性特性変更機構の説明図である。 シートの電気系ブロック図である。 弾性特性変更制御処理のフローチャートである。 実施例1に係る圧力分布図であって、(a)は、シートクッションの圧力分布、(b)は、シートバックの圧力分布を示している。 比較例に係る圧力分布図であって、(a)は、シートクッションの圧力分布、(b)は、シートバックの圧力分布を示している。 変形例に係るブロック図である。 別の変形例に係るブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1~図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用シート1(車両用シート装置)は、着座した乗員(以下、単に乗員と略す。)Dの頭部を受けるヘッドレスト2と、シート1を車室床面に固定する脚機構3と、乗員Dが操舵可能なステアリング4と、乗員Dの脊椎(骨)に対応した部位(背部)を支持するシートバック10と、乗員Dの坐骨に対応した部位(臀部)を支持するシートクッション20と、シートクッション20の剛性値を変更可能な剛性値変更機構30(剛性値変更手段)等を備えている。
以下、乗員Dの視線方向を、前側とし、乗員Dの左方を、左側として説明する。
まず、本シート1の剛性に関する考え方について説明する。
シート1の剛性値は、シート1の弾性特性に相当し、また、ばね定数は作用させた荷重を変位量で除することにより求められるため、シート1の剛性値をばね定数によって表すことが可能である。それ故、このシート1は、同一の荷重を作用させた場合において、シート構成部材(弾性部材及びクッション部材)自体の変形量D、フレーム構造体(フレーム)の変形量Dとしたとき、次式(1)の条件を満足するように構成されている。
20≦D/D …(1)
このように、フレーム構造体のばね定数(N/mm)をシート構成部材のばね定数の20倍以上に設定することにより、フレーム構造体の剛性がシート構成部材の剛性よりも十分に高くなり、乗員Dが車両との一体感を体感することができる。
特に、フレーム構造体のばね定数を70N/mm以上に設定することで、乗り心地を一層向上させている。
また、本実施例では、シート1を左半部と右半部に区分した上で、左半部及び右半部を各々1つのばね特性(剛性値)を有する左右1対のばね構造モデルと見做し、左半部及び右半部のばね定数を夫々演算している。
具体的なばね定数の演算については、本出願人が既に出願している特許出願(例えば、特願2017-145340)を含め種々の手法が存在するため、詳細な説明を省略する。
ここで、車両用シート1の説明に戻る。
図1,図2に示すように、脚機構3は、車両床面に直接固定され、脚機構3と床面との間に、実質的にクッション性を与える部材は配設されていない。
脚機構3は、床面に対してシートバック10及びシートクッション20を前後にスライド可能にするスライド機構を備えている。このスライド機構は、左右1対のスライドレール6に沿ってスライド可能な1対のスライダ5を乗員Dが所望する位置で係止可能に形成されている。
ステアリング4は、乗員Dの操舵によってラックアンドピニオンを介して車輪を転舵可能に構成されている(何れも図示略)。このステアリング4のシャフトには、ステアリング4の操舵角θを検出可能な舵角センサ7が設けられている。
舵角センサ7が検出したステアリング4の操舵角θは、後述するECU(Electronic Control Unit)8に出力されている。
図2に示すように、シートバック10は、構造的強度を付与する左右1対の金属製縦フレーム11と、金属製弾性部材12と、ウレタン製のクッション部材13と、1対の縦フレーム11の上端部分に逆U字状に掛け渡された上部フレーム14と、これらを覆う表皮(図示略)等を備えている。
1対の縦フレーム11は、上下に延びる板材をプレス加工することにより夫々形成され、材質、板厚、寸法等同一仕様で構成されている。これら縦フレーム11の下端は、左右に延びる連結部材15によって連結されている。
弾性部材12は、網状に張り渡された複数の金属ワイヤから構成されたばねであり、その周囲が縦フレーム11に固定されている。この金属ワイヤの弾性変形によって乗員Dの背部を支持している。
クッション部材13は、縦フレーム11及び弾性部材12に支持され、これらを覆うように配設されている。このクッション部材13は、弾性変形特性と振動減衰特性を有している。これにより、乗員Dが着座したとき、クッション部材13は、前後方向に圧縮変形され、弾性部材12と協働して乗員Dの背部を支持している。乗員Dが離席したとき、圧縮変形したクッション部材13は、元の形状に復帰する。
本実施例のクッション部材13には、他の領域よりも剛性値が高く設定された寛骨支持部と胸郭支持部とが設けられている(何れも図示略)。
寛骨支持部は、寛骨の後端部相当の領域を後方から支持することにより骨盤を保持している。胸郭支持部は、乗員Dの第7胸椎に相当する領域を後方から支持することにより胸郭を保持している。これにより、車両の静的状態において、乗員Dがシートバック10に凭れたとき、乗員Dの背骨はS字状の生理的前湾(脊柱湾曲)の状態で保持される。
次に、シートクッション20について説明する。
図2に示すように、シートクッション20は、構造的強度を付与する左右1対の金属製サイドフレーム21と、金属製弾性部材22と、ウレタン製のクッション部材23と、サイドフレーム21の前端部分に左右に亙って掛け渡されたチルトパン24と、これらを覆う表皮(図示略)と、剛性値変更機構30等を備えている。
1対のサイドフレーム21は、前後に延びる板材をプレス加工することにより夫々形成され、材質、板厚、寸法等同一仕様で構成されている。
弾性部材22は、複数の金属製Sばねであり、その前後端がサイドフレーム21に固定されている。これにより、乗員Dが着座したとき、弾性部材22が弾性変形し、乗員Dの臀部を下方から支持している。
クッション部材23は、サイドフレーム21及び弾性部材22に支持され、これらを覆うように配設されている。このクッション部材23は、弾性変形特性と振動減衰特性を有している。これにより、乗員Dが着座したとき、クッション部材23は、上下方向に圧縮変形され、弾性部材22と協働して乗員Dの臀部及び大腿部を支持している。乗員Dが離席したとき、圧縮変形したクッション部材23は、元の形状に復帰する。
剛性値変更機構30は、舵角センサ7によって車両の旋回走行状態が検出されたとき、ECU8(制御手段)からの指令信号に基づきシートクッション20の旋回方向外側部分の剛性値を旋回方向内側部分の剛性値よりも高くするように構成されている。
これにより、車両の旋回走行前後に拘らず乗員Dの頭部位置を安定化している。
図3,図4に示すように、剛性値変更機構30は、蛇腹状の左右1対のバッグ体31と、これら1対のバッグ体31に夫々設けられた1対の電動ポンプ32(給排手段)等を有している。
1対のバッグ体31は、クッション部材23において乗員Dの左右の坐骨に夫々対応した領域に配設されている。何れかのバッグ体31にエアが供給されたとき、エアが供給されたバッグ体31の頂部位置が上昇し、エアが供給される前よりも剛性値が高くなっている。電動ポンプ32は、正回転時、接続されたバッグ体31にエアを供給し、逆回転時、接続されたバッグ体31からエアを排出している。
尚、1対のバッグ体31は、直進走行時、初期状態として予め少量のエアが充填され、僅かに膨張している。
ECU8は、操舵角θが閾値T1よりも大きく且つ閾値T2(>T1)以下のとき、単一調整制御を実行し、操舵角θが閾値T2よりも大きいとき、相対調整制御を実行する。
尚、閾値T2は、シートクッション20の旋回方向外側部分における剛性が所定値以上となる操舵角度に基づき設定されている。
単一調整制御は、旋回方向外側のバッグ体31に対して操舵角θに比例したエア量を供給し、旋回方向内側のバッグ体31に対してエアの給排を行わない制御である。これにより、旋回度合い(旋回半径)に適した姿勢を得ている。
相対調整制御は、旋回方向外側のバッグ体31に対して閾値T2に対応した定量のエアを供給し、旋回方向内側のバッグ体31から(θ-T2)に比例したエア量を排出する制御である。これにより、乗員Dの姿勢と乗り心地とを両立している。
次に、図5のフローチャートに基づいて、弾性特性変更制御処理手順について説明する。尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示す。
まず、S1にて、ステアリング4の操舵角θ、閾値T1,T2等各種情報を読み込み、S2に移行する。
S2では、操舵角θが閾値T1よりも大きいか否か判定する。
S2の判定の結果、操舵角θが閾値T1よりも大きい場合、乗員Dの前方視界に基づく乗員Dの運転感覚と物理的な運転状態とが乖離するため、S3に移行する。
S2の判定の結果、操舵角θが閾値T1以下の場合、乗員Dの運転感覚と物理的な運転状態との乖離が殆ど生じないため、リターンする。
S3では、操舵角θが閾値T2以下か否か判定する。
S3の判定の結果、操舵角θが閾値T2以下の場合、旋回度合いが然程大きくなく、シートクッション20の旋回方向外側部分の剛性調整(剛性増加)のみで対応可能であるため、単一調整制御を実行し(S4)、リターンする。
S3の判定の結果、操舵角θが閾値T2よりも大きい場合、旋回度合いが大きく、シートクッション20の旋回方向外側部分の剛性増加のみでは乗り心地が低下するため、相対調整制御を実行し(S5)、リターンする。
次に、上記車両用シート1の作用、効果について説明する。
作用、効果の説明にあたり、検証実験を行った。
この検証実験では、実施例1と同仕様のシートと比較例のシートを準備し、車両の左旋回走行時、シートクッションの圧力分布と、シートバックの圧力分布とを計測した。
比較例のクッション部材は、着座面全体に亙って一様な剛性に設定されている。
図6,図7に検証結果を示す。尚、高圧力程、高密度のハッチングで示している。
実施例1のシートでは、図6(a)に示すように、左右の坐骨周辺に夫々均等な荷重が掛かっていることから、右側股関節の外旋に伴う骨盤の後傾が抑制され、乗員の運転姿勢が適正化されている。図6(b)に示すように、シートバックに預ける荷重が小さいことから、十分なステアリング操作性を確保している。
比較例のシートでは、図7(a)に示すように、左右の坐骨周辺に掛かる荷重が不均等であり、坐骨周辺の荷重が小さく広範囲に亙っていることから、右側股関節が外旋し、骨盤が後傾していることが分かる。図7(b)に示すように、シートバックに預ける荷重が大きいことから、シートバックからの反力を用いてステアリングを操作している。
このシート1によれば、車両の旋回走行状態を検出可能な舵角センサ7と、シートクッション20の剛性値を変更可能な剛性値変更機構30と、剛性値変更機構30を制御可能なECU8とを有しているため、乗員Dの運転感覚と物理的な運転状態とが乖離する車両の旋回走行状態を検出し、旋回時には、旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くすることができる。
ECU8が、舵角センサ7によって旋回走行状態が検出されたとき、シートクッション20の旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くするため、乗員Dの骨盤における旋回方向外側部分において、骨盤が下方に沈み込む押圧力に対して上方に向けた反発力がシートクッション20から付与される。
これにより、乗員Dの骨盤による下方移動が抑制され、乗員Dの上体の沈み込みに起因した頭部による旋回方向外側への傾斜を防止することができる。
しかも、上記反発力により骨盤が上方に押し上げられるため、乗員Dの上体に対して旋回方向内側に回転する回転モーメントが発生するため、頭部自体の重みによって頭部が旋回方向外側に傾こうとする旋回方向外側への回転モーメントを打ち消すことができ、乗員Dの頭部位置の安定性を確保することができる。
これにより、乗員Dの頭部位置の安定化により乗員Dが認識する前方視界と車両の物理的な運転状態とを一致させることができ、操舵操作性を向上させている。
剛性値変更機構30は、少なくとも乗員Dの臀部に対応するシートクッション20の車幅方向内側部分と車幅方向外側部分とに夫々配設された左右1対のバッグ体31と、1対のバッグ体31のうちシートクッション20の旋回方向外側部分に対応したバッグ体31に旋回状態に応じて流体を給排可能な1対の電動ポンプ32とを有するため、流体流量を介して、シートクッション20の旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くすることができる。
舵角センサ7はステアリング4の操舵角を検出し、ECU8は、ステアリング4の操舵角θが閾値T1よりも大きいとき、剛性値変更機構30を作動させるため、乗員Dに煩わしさを与えることなく、車両旋回走行時における操舵操作性を確保することができる。
ECU8は、舵角センサ7によって旋回走行状態が検出され且つシートクッション20の旋回方向外側部分における座面の剛性値が所定値以上のとき、換言すれば、ステアリング4の操舵角θが閾値T2以上のとき、シートクッション20の旋回方向内側部分における座面の剛性値を旋回方向外側部分における座面の剛性値よりも低下させるため、座り心地を確保しつつ、車両旋回走行時における操舵操作性を確保することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、シートクッション20に左右1対のバッグ体31を設け、これらバッグ体31にエアを給排可能な剛性値変更機構30の例を説明したが、複数の金属製Sばねからなる弾性部材22の弾性特性を変更可能に構成しても良い。
図8に示すように、剛性値変更機構30Aは、左右のサイドフレームに夫々連結され且つ左右各々のSばねの締結力を変更可能な左右1対の締結手段33によって構成されている。車両の旋回走行時、ECU8Aは、旋回方向外側の締結手段33にSばねの締結力を高くする指令信号を出力している。
締結手段33は、旋回方向外側部分の剛性値を旋回方向内側部分の剛性値よりも高くする(例えば、隣り合うSばねの変位を制限する)ことで、乗員Dの旋回方向外側の大腿部の沈み込みを抑制している。
2〕前記実施例においては、旋回方向外側のバッグ体31にエアを供給してバッグ体31の頂部位置を高くした例を説明したが、旋回方向外側部分の高さ位置を直接的に高くしても良い。
図9に示すように、剛性値変更機構30Bは、乗員Dの臀部に対応するシートクッションの左右両側部分に夫々配設された左右1対の昇降手段34(シートクッション昇降手段)を有している。
1対の昇降手段34は、円板状の支持部34aと、この支持部34aに固着されたねじ部34bと、このねじ部34bに螺合し且つ正逆回転可能な回動部34cとを夫々備えている。車両の旋回走行時、ECU8Bは、旋回方向外側の回動部34cに正回転させる指令信号を出力している。昇降手段34は、支持部34aの高さ位置を高くすることで、旋回方向外側部分の剛性を高め、乗員Dの旋回方向外側の大腿部の沈み込みを抑制している。
この構成によれば、遠心力による乗員Dの沈み込み挙動を用いてシートクッション20の旋回方向外側部分の圧縮率を旋回方向内側部分の圧縮率よりも高くする、具体的には、旋回方向外側部分を旋回方向内側部分よりも大きく押し潰すことにより、シートクッション20の旋回方向外側部分の剛性値を旋回方向内側部分の剛性値よりも高くすることができる。
3〕前記実施例においては、クッション部材とフレームに支持された弾性部材(Sばね)からなるシートクッションの例を説明したが、弾性部材を省略し、クッション部材とパネル状フレームからなるシートクッションに適用しても良い。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 シート
4 ステアリング
7 舵角センサ
8,8A,8B ECU
10 シートバック
20 シートクッション
30,30A,30B 剛性値変更機構
31 バッグ体
32 電動ポンプ
33 締結手段
34 昇降手段

Claims (3)

  1. シートクッションとシートバックとを有する車両用シートを制御する車両用シート装置において、
    車両のステアリングの操舵角を検出する旋回状態検出手段と、
    前記シートクッションの旋回方向外側部分と旋回方向内側部分について剛性値を夫々変更可能な1対の剛性値変更手段と、
    前記剛性値変更手段を制御可能な制御手段とを有し、
    前記制御手段は、
    操舵角から検知される旋回状態のときに、前記剛性値変更手段を作動させることで、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を旋回方向内側部分の座面の剛性値よりも高くするように制御する際に、
    操舵角が第1閾値よりも大きく且つ第2閾値以下のときは、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を操舵角に比例した剛性値まで向上させ且つ旋回方向内側部分の座面の剛性値の変更を行わない単一調整制御を実行すると共に、
    操舵角が第2閾値よりも大きいときは、シートクッションの旋回方向外側部分の座面の剛性値を第2閾値に対応した定量値まで向上させ且つ旋回方向内側部分の座面の剛性値を操舵角と第2閾値との差分に比例した剛性値まで低減させる相対調整制御を実行する
    ことを特徴とする車両のシート装置。
  2. 前記剛性値変更手段は、少なくとも乗員の臀部に対応する前記シートクッションの車幅方向内側部分と車幅方向外側部分とに夫々配設された左右1対のバッグ体と、前記1対のバッグ体のうち前記シートクッションの旋回方向外側部分に対応したバッグ体に旋回状態に応じて流体を給排可能な給排手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
  3. 前記剛性値変更手段が、少なくとも乗員の臀部に対応する前記シートクッションの車幅方向内側部分と車幅方向外側部分とに夫々配設された左右1対のシートクッション昇降手段を有し、
    前記シートクッション昇降手段は、旋回走行時に、前記シートクッションの旋回方向外側部分の高さを旋回方向内側部分の高さよりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート装置。
JP2018183450A 2018-09-28 2018-09-28 車両用シート装置 Active JP7119848B2 (ja)

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