JP7119056B2 - フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、フィルタに関する。
誘電体基板の一方の主面側に形成された遮蔽導体に対向するストリップ線路と、一端が誘電体基板の他方の主面側に形成された遮蔽導体に接続され、他端がストリップ線路に接続されたビア電極とを有する共振器が提案されている。
また、特許文献1には、2つの共振器間に結合調整用ビアホールが設けられた共振器デバイスが開示されている。特許文献1によれば、2つの共振器間の誘導結合(結合度)が結合調整用ビアホールによって調整され得る。
特表2011-507312号公報
しかしながら、特許文献1では、共振器間の結合度を小さくすることはできるが、結合度の調整の自由度が狭いため、場合によっては良好な特性が得られないことが考えられる。また、結合調整用ビアホールを用いることなく、共振器間の距離を調整することにより、共振器間の結合度を調整することも考えられるが、共振器間の距離を大きくした場合には、フィルタのサイズが大きくなってしまうこととなる。
本発明の目的は、特性の良好な小型のフィルタを提供することにある。
本発明の一態様によるフィルタは、誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体のうちの第1遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する複数の誘電体層のうちの少なくとも一の誘電体層を介して前記第1遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路と、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する前記複数の誘電体層のうちの少なくとも他の誘電体層を介して前記第2遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の他端に接続された第2ストリップ線路とをそれぞれ有する複数の共振器と、前記第2遮蔽導体に形成されたスリットとを有し、前記スリットは、前記複数の共振器のうちの第1共振器の前記ビア電極部と、前記複数の共振器のうちの第2共振器の前記ビア電極部との間に少なくとも位置している。
本発明の他の態様によるフィルタは、誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体のうちの第1遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する複数の誘電体層のうちの少なくとも一の誘電体層を介して前記第1遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路と、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する前記複数の誘電体層のうちの少なくとも他の誘電体層を介して前記第2遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の他端に接続された第2ストリップ線路とをそれぞれ有する複数の共振器と、前記複数の共振器のうちの第1共振器の前記第1ストリップ線路と、前記第1共振器に隣接する第2共振器の前記第1ストリップ線路との間の領域を、前記第1ストリップ線路の長手方向である第1方向に延長した延長領域内において前記第1遮蔽導体に一端が接続され、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体に他端が接続された結合調整ビア電極とを有する。
本発明によれば、特性の良好な小型のフィルタを提供することができる。
第1実施形態によるフィルタを示す斜視図である。 図2A及び図2Bは、第1実施形態によるフィルタを示す断面図である。 第1実施形態によるフィルタを示す平面図である。 図4A及び図4Bは、ビア電極の配列の例を示す平面図である。 第1実施形態の変形例1によるフィルタを示す平面図である。 第1実施形態の変形例2によるフィルタを示す平面図である。 第1実施形態の変形例3によるフィルタを示す平面図である。 図8A及び図8Bは、第1実施形態の変形例4によるフィルタを示す断面図である。 第2実施形態によるフィルタを示す斜視図である。 図10A及び図10Bは、第2実施形態によるフィルタを示す断面図である。 第2実施形態によるフィルタを示す平面図である。 第2実施形態の変形例1によるフィルタを示す平面図である。 図13A及び図13Bは、第2実施形態の変形例2によるフィルタを示す断面図である。 第3実施形態によるフィルタを示す斜視図である。 図15A及び図15Bは、第3実施形態によるフィルタを示す断面図である。 第3実施形態によるフィルタを示す平面図である。 図17A及び図17Bは、第3実施形態の変形例によるフィルタを示す断面図である。
本発明に係るフィルタについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態によるフィルタについて図面を用いて説明する。図1は、本実施形態によるフィルタを示す斜視図である。図2A及び図2Bは、本実施形態によるフィルタを示す断面図である。図2Aは、図1のIIA-IIA線に対応している。図2Bは、図1のIIB-IIB線に対応している。
図1に示すように、本実施形態によるフィルタ10は、誘電体基板14を有する。誘電体基板14は、例えば直方体状に形成されている。誘電体基板14は、複数のセラミックスシート(誘電体セラミックスシート)を積層することにより構成されている。誘電体基板14は、4つの側面14a~14dを有している。側面(第1側面)14c及び側面(第2側面)14dの法線方向をX方向(第1方向)とする。側面(第3側面)14a及び側面(第4側面)14bの法線方向をY方向(第2方向)とする。誘電体基板14の一方の主面及び他方の主面の法線方向をZ方向とする。
誘電体基板14の一方の主面側、即ち、図1における誘電体基板14の上側には、上部遮蔽導体(遮蔽導体、第2遮蔽導体)12Aが形成されている。誘電体基板14のうちの他方の主面側、即ち、図1における誘電体基板14の下側には、下部遮蔽導体(遮蔽導体、第1遮蔽導体)12Bが形成されている。
誘電体基板14内には、下部遮蔽導体12Bに対向するストリップ線路(第1ストリップ線路)18が形成されている。ストリップ線路18の長手方向は、X方向である。
誘電体基板14内には、ビア電極部(第1ビア電極部)20A及びビア電極部(第2ビア電極部)20Bが更に形成されている。ビア電極部20A、20Bの一端は、ストリップ線路18に接続されている。ビア電極部20A、20Bの他端は、上部遮蔽導体12Aに接続されている。このように、ビア電極部20A、20Bは、ストリップ線路18から上部遮蔽導体12Aにかけて形成されている。ストリップ線路18とビア電極部20A、20Bとにより、構造体16が構成されている。フィルタ10には、構造体16をそれぞれ含む複数の共振器、即ち、第1共振器11A、第2共振器11B及び第3共振器11Cが備えられている。第1共振器(共振器)11Aと第2共振器(共振器)11Bと第3共振器(共振器)11Cとは、互いに隣接するようにY方向に配列されている。第1共振器11Aと第3共振器11Cとの間に、第2共振器11Bが位置している。
誘電体基板14の側面14aには、第1入出力端子22Aが形成されている。誘電体基板14の側面14bには、第2入出力端子22Bが形成されている。第1入出力端子22Aは、第1接続線路32aを介して上部遮蔽導体12Aに結合されている。また、第2入出力端子22Bは、第2接続線路32bを介して上部遮蔽導体12Aに結合されている。第1入出力端子22Aと第2共振器11Bとの間に、第1共振器11Aが位置している。第2入出力端子22Bと第2共振器11Bとの間に、第3共振器11Cが位置している。誘電体基板14の側面14cには、第1側面遮蔽導体(遮蔽導体)12Caが形成されている。誘電体基板14の側面14dには、第2側面遮蔽導体(遮蔽導体)12Cbが形成されている。誘電体基板14内において、第1ビア電極部20Aは側面14c側に位置し、第2ビア電極部20Bは側面14d側に位置している。
第1ビア電極部20Aは、複数のビア電極24aから構成されている。第2ビア電極部20Bは、複数のビア電極24bから構成されている。ビア電極24a及びビア電極24bは、誘電体基板14に形成されたビアホールにそれぞれ埋め込まれている。第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20Bとの間に他のビア電極部は存在していない。各々の構造体16間には、不図示のパターン(結合容量電極)が適宜設けられている。
図3は、本実施形態によるフィルタを示す平面図である。図3に示すように、第1共振器11Aのビア電極部20A、20Bの位置と、第2共振器11Bのビア電極部20A、20Bの位置とは、X方向において互いに異なっている。また、第2共振器11Bのビア電極部20A、20Bの位置と、第3共振器11Cのビア電極部20A、20Bの位置とは、X方向において互いに異なっている。
より具体的には、第1共振器11Aの第1ビア電極部20Aの位置P1Aと、第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aの位置P2Aとが、X方向において互いにずらされている。また、第1共振器11Aの第2ビア電極部20Bの位置P1Bと、第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bの位置P2Bとが、X方向において互いにずらされている。第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aの位置P2Aと、第3共振器11Cの第1ビア電極部20Aの位置P3Aとが、X方向において互いにずらされている。また、第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bの位置P2Bと、第3共振器11Cの第2ビア電極部20Bの位置P3Bとが、X方向において互いにずらされている。なお、ここでは、第1ビア電極部20Aの中心の位置を、第1ビア電極部20Aの位置P1A、P2A、P3Aとして説明することとする。また、第2ビア電極部20Bの中心の位置を、第2ビア電極部20Bの位置P1B、P2B、P3Bとして説明することとする。
第1共振器11Aの第1ビア電極部20Aの位置P1Aと、第1共振器11Aの第2ビア電極部20Bの位置P1BとのX方向における距離を、L1Xとする。第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aの位置P2Aと、第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bの位置P2BとのX方向における距離を、L2Xとする。第3共振器11Cの第1ビア電極部20Aの位置P3Aと、第3共振器11Cの第2ビア電極部20Bの位置P3BとのX方向における距離を、L3Xとする。本実施形態では、距離L2Xは、距離L1X、L3Xより大きく設定されている。
このように、本実施形態では、互いに隣接する共振器11A~11C間において、第1ビア電極部20Aの位置がX方向において互いに異なっている。また、本実施形態では、互いに隣接する共振器11A~11C間において、第2ビア電極部20Bの位置がX方向において互いに異なっている。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する第1ビア電極部20A間の距離を大きくすることができる。また、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する第2ビア電極部20B間の距離を大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11CのY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、フィルタ10のサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
図4A及び図4Bは、ビア電極の配列の例を示す平面図である。図4Aは、仮想の楕円形状(楕円)37の一部に沿うようにビア電極24a及びビア電極24bが配置されている例を示している。図4Bは、仮想のトラック形状38の一部に沿うようにビア電極24a及びビア電極24bが配置されている例を示している。トラック形状とは、対向する2つの半円部と、これら半円部を接続する2つの平行な直線部とから構成される形状である。
図4Aに示す例においては、複数のビア電極24aは、上面から見たとき、仮想の楕円形状37の一部を構成する仮想の第1湾曲線28aに沿って配列されている。また、図4Aに示す例においては、複数のビア電極24bは、上面から見たとき、仮想の楕円形状37の一部を構成する仮想の第2湾曲線28bに沿って配列されている。図4Bに示す例においては、複数のビア電極24aは、上面から見たとき、仮想のトラック形状38の一部を構成する仮想の第1湾曲線28aに沿って配列されている。また、図4Bに示す例においては、複数のビア電極24bは、上面から見たとき、仮想のトラック形状38の一部を構成する仮想の第2湾曲線28bに沿って配列されている。
仮想の楕円形状37又は仮想のトラック形状38に沿うようにビア電極24a及びビア電極24bを配列しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、フィルタのQ値を向上させるために、ビア電極部20A、20Bにおける電流密度を低下させることが考えられる。ビア電極部20A、20Bにおける電流密度を低下させるためには、ビア電極部20A、20Bの径を大きくすることが考えられる。しかし、ビア電極部20A、20Bの径を単に大きく設定した場合には、共振器11A~11C間に発生する電気壁と共振器11A~11Cとの間の距離が小さくなるため、Q値の劣化を招く。これに対し、ビア電極部20A、20Bを楕円形状37にし、当該楕円形状37の短軸方向に共振器11A~11Cを多段化すれば、ビア電極部20A、20B間の距離が互いに長くなるため、Q値の劣化を抑制することができる。また、ビア電極部20A、20Bをトラック形状38にし、当該トラック形状38の直線部の長手方向に垂直な方向に共振器11A~11Cを多段化すれば、ビア電極部20A、20B間の距離が互いに長くなるため、Q値の劣化を抑制することができる。このような理由により、本実施形態では、仮想の楕円形状37又は仮想のトラック形状38に沿うようにビア電極24a及びビア電極24bを配列している。
また、仮想の楕円形状37の端部、即ち、仮想の楕円形状37のうちの曲率の大きい両端部にビア電極24a及びビア電極24bをそれぞれ配置しているのは、以下のような理由によるものである。また、仮想のトラック形状38の半円部にビア電極24a及びビア電極24bをそれぞれ配置しているのは、以下のような理由によるものである。即ち、高周波電流は、仮想の楕円形状37の端部、即ち、仮想の楕円形状37のうちの曲率の大きい両端部に集中する。また、高周波電流は、仮想のトラック形状38の両端部、即ち、仮想のトラック形状38の半円部に集中する。このため、仮想の楕円形状37又は仮想のトラック形状38の両端部以外の部分にビア電極24a、24bを配置しないようにしても、Q値の大幅な低下を招くことはない。また、ビア電極24a、24bの数を減らせば、ビアを形成するために要する時間を短縮することができるため、スループットの向上を実現することができる。また、ビア電極24a、24bの数を減らせば、ビアに埋め込まれる銀等の材料を減らし得るため、コストダウンを実現することもできる。また、第1ビア電極部20Aと第2ビア電極部20B間には、電磁界が比較的疎である領域が形成されるため、当該領域に結合調整等のためのストリップ線路を形成することも可能である。このような観点から、本実施形態では、仮想の楕円形状37又は仮想のトラック形状38の両端部にビア電極24a及びビア電極24bを配置している。
ビア電極部20A、20Bと、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbとは、半同軸共振器のように振る舞う。ビア電極部20A、20Bに流れる電流の向きと第1側面遮蔽導体12Caに流れる電流の向きとは逆となり、また、ビア電極部20A、20Bに流れる電流の向きと第2側面遮蔽導体12Cbに流れる電流の向きとは逆となる。このため、遮蔽導体12A、12B、12Ca、12Cbによって囲まれた部分に電磁界を閉じ込めることができ、放射による損失を小さくすることができ、且つ、外部への影響を小さくすることができる。共振時のあるタイミングにおいては、上部遮蔽導体12Aの中心から上部遮蔽導体12Aの面全体に拡散するように電流が流れる。この際、下部遮蔽導体12Bには、下部遮蔽導体12Bの面全体から下部遮蔽導体12Bの中心に向かって集中するように電流が流れる。また、共振時の他のタイミングにおいては、下部遮蔽導体12Bの中心から下部遮蔽導体12Bの面全体に拡散するように電流が流れる。この際、上部遮蔽導体12Aには、上部遮蔽導体12Aの面全体から上部遮蔽導体12Aの中心に向かって集中するように電流が流れる。上部遮蔽導体12A又は下部遮蔽導体12Bの面全体に拡散するように流れる電流は、そのまま第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbにも同様に流れる。即ち、線幅の広い導体に電流が流れる。線幅の広い導体は抵抗成分が少ないため、Q値の劣化は小さい。第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bは、遮蔽導体12A、12B、12Ca、12Cbとともに、TEM波の共振器を実現する。即ち、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bは、遮蔽導体12A、12B、12Ca、12Cbを参照したTEM波の共振器を実現する。ストリップ線路18は、開放端容量を形成する役割を果たす。フィルタ10に備えられた各々の共振器11A~11Cは、λ/4共振器として動作し得る。
このように、本実施形態では、互いに隣接する共振器11A~11C間において、第1ビア電極部20Aの位置が、X方向において互いに異なっている。また、本実施形態では、互いに隣接する共振器11A~11C間において、第2ビア電極部20Bの位置が、X方向において互いに異なっている。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、第1ビア電極部20A間の距離を大きくすることができる。また、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、第2ビア電極部20B間の距離を大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、フィルタ10のサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
(変形例1)
本実施形態の変形例1によるフィルタについて図5を用いて説明する。図5は、本変形例によるフィルタを示す平面図である。
図5に示すように、本変形例では、第1共振器11Aに、1つのビア電極部(第3ビア電極部)20Cが備えられている。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、複数のビア電極24cから構成されている。ビア電極24cは、誘電体基板14に形成されたビアホールに埋め込まれている。1つのビア電極部20Cは、4つのビア電極24cによって構成されている。1つのビア電極部20Cを構成する4つのビア電極24cは、仮想の菱形26の頂点に位置している。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、当該第1共振器11Aのストリップ線路18のX方向における中心において当該ストリップ線路18に接続されている。
第2共振器11Bのビア電極部には、2つのビア電極部、即ち、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bが備えられている。第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aは、誘電体基板14の側面14c側に位置している。第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bは、誘電体基板14の側面14d側に位置している。
第3共振器11Cのビア電極部20Cには、1つのビア電極部(第3ビア電極部)20Cが備えられている。第3共振器11Cのビア電極部20Cは、当該第3共振器11Cのストリップ線路18のX方向における中心において当該ストリップ線路18に接続されている。なお、ここでは、1つのビア電極部20Cが4つのビア電極24cによって構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
第2共振器11Bのビア電極部20A、20Bの位置P2A、P2Bと、第1共振器11Aのビア電極部20Cの位置P1とは、X方向において異なっている。第3共振器11Cのビア電極部20Cの位置P3と、第2共振器11Bのビア電極部20A、20Bの位置P2A、P2Bとは、X方向において異なっている。なお、ここでは、第1共振器11Aのビア電極部20Cの中心の位置を、当該ビア電極部20Cの位置P1として説明することとする。また、第3共振器11Cのビア電極部20Cの中心の位置を、当該ビア電極部20Cの位置P3として説明することとする。第1共振器11Aのビア電極部20Cの位置、即ち、位置P1は、第1共振器11Aのストリップ線路18の中心である。第3共振器11Cのビア電極部20Cの中心の位置、即ち、位置P3は、第3共振器11Cのストリップ線路18の中心である。
このように、本変形例では、互いに隣接する共振器11A~11C間において、ビア電極部20A、20Bの位置とビア電極部20Cの位置とが、X方向において互いにずらされている。このため、本変形例によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、ビア電極部20A、20Bとビア電極部20Cとの間の距離を大きくすることができる。このため、本変形例によっても、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。従って、本変形例によっても、フィルタ10のサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
(変形例2)
本実施形態の変形例2によるフィルタについて図6を用いて説明する。図6は、本変形例によるフィルタを示す平面図である。
本変形例は、ビア電極部20Cを構成するビア電極24cがX方向に直線状に配列されており、ビア電極部20Cがストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14a、14b側に位置しているものである。
図6に示すように、本変形例では、第1共振器11Aに、1つのビア電極部20Cが備えられている。第1共振器11Aのビア電極部20Cを構成するビア電極24cは、仮想の直線40に沿ってX方向に配列されている。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、3つのビア電極24cによって構成されている。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、当該第1共振器11Aのストリップ線路18のX方向における中心において、当該ストリップ線路18に接続されている。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14a側に位置している。
第2共振器11Bには、2つのビア電極部、即ち、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bが備えられている。第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aは、側面14c側に位置している。第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bは、側面14d側に位置している。
第3共振器11Cには、1つのビア電極部20Cが構成されている。第3共振器11Cのビア電極部20Cを構成するビア電極24cは、仮想の直線40に沿ってX方向に配列されている。第3共振器11Cのビア電極部20Cは、3つのビア電極24cによって構成されている。第3共振器11Cのビア電極部20Cは、当該第3共振器11Cのストリップ線路18のX方向における中心において、当該ストリップ線路18に接続されている。第3共振器11Cのビア電極部20Cは、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14b側に位置している。
なお、ここでは、1つのビア電極部20Cが3つのビア電極24cによって構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
本変形例では、第2共振器11Bのビア電極部20A、20Bの位置P2A、P2Bと、共振器11A、11Cのビア電極部20Cの位置P1、P3とが、X方向においてずらされている。しかも、本変形例では、共振器11A、11Cのビア電極部20Cが、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14a、14b側にそれぞれ位置している。このため、本変形例によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、ビア電極部20A、20Bとビア電極部20Cとの間の距離をより大きくすることができる。このため、本変形例によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度をより小さくすることができる。従って、本変形例によれば、フィルタ10のサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度をより小さくすることができる。
また、本変形例によれば、共振器11A、11Cのビア電極部20Cが、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14a、14b側に位置している。このため、本変形例によれば、共振器11A、11Cのビア電極部20Cと、入出力端子22A、22Bとの間の距離を小さくすることができる。このため、本変形例によれば、共振器11A、11Cのビア電極部20Cと、入出力端子22A、22Bとの結合度を大きくすることができる。
(変形例3)
本実施形態の変形例3によるフィルタについて図7を用いて説明する。図7は、本変形例によるフィルタを示す平面図である。
図7に示すように、本変形例では、第1共振器11Aのビア電極部20Cが、複数のビア電極24c1~24c3によって構成されている。第1共振器11Aのビア電極(第1ビア電極)24c1は、第1共振器11Aのビア電極(第2ビア電極)24c2に対して側面14c側に位置している。第1共振器11Aのビア電極(第3ビア電極)24c3は、第1共振器11Aのビア電極24c2に対して側面14d側に位置している。第1共振器11Aのビア電極24c2は、第1共振器11Aのストリップ線路18のX方向における中心に位置している。第1共振器11Aのビア電極部20Cは、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14a側に位置している。第1共振器11Aのビア電極24c2と側面14aとの間の距離L1Y2は、第1共振器11Aのビア電極24c1と側面14aとの間の距離L1Y1より大きい。また、第1共振器11Aのビア電極24c2と側面14aとの間の距離L1Y2は、第1共振器11Aのビア電極24c3と側面14aとの間の距離L1Y3より大きい。
第2共振器11Bには、2つのビア電極部、即ち、第1ビア電極部20A及び第2ビア電極部20Bが備えられている。第2共振器11Bの第1ビア電極部20Aは、側面14c側に位置している。第2共振器11Bの第2ビア電極部20Bは、側面14d側に位置している。
第3共振器11Cのビア電極部20Cは、複数のビア電極24c1~24c3によって構成されている。第3共振器11Cのビア電極(第1ビア電極)24c1は、第3共振器11Cのビア電極(第2ビア電極)24c2に対して側面14c側に位置している。第3共振器11Cのビア電極(第3ビア電極)24c3は、第3共振器11Cのビア電極24c2に対して側面14d側に位置している。第3共振器11Cのビア電極24c2は、第3共振器11Cのストリップ線路18のX方向における中心に位置している。第3共振器11Cのビア電極部20Cは、ストリップ線路18のY方向における中心よりも側面14b側に位置している。第3共振器11Cのビア電極24c2と側面14bとの間の距離L3Y2は、第3共振器11Cのビア電極24c1と側面14bとの間の距離L3Y1より大きい。また、第3共振器11Cのビア電極24c2と側面14bとの間の距離L3Y2は、第3共振器11Cのビア電極24c3と側面14bとの間の距離L3Y3より大きい。
なお、ここでは、1つのビア電極部20Cが3つのビア電極24cによって構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
本変形例では、共振器11A、11Cのビア電極24c2と側面14a、14bとの間の距離が、共振器11A、11Cのビア電極24c1、24c3と側面14a、14bとの間の距離より大きい。このため、本変形例によれば、ビア電極部20Cとビア電極部20A、20Bとの結合度を小さく維持しつつ、ビア電極部20Cの見かけ上の断面積を大きくすることができる。ビア電極部20Cの見かけ上の断面積を大きくすることができるため、本変形例によれば、Q値の向上を図ることができる。
また、本変形例では、共振器11A、11Cのビア電極24c2と側面14a、14bとの間の距離が、共振器11A、11Cのビア電極24c1、24c3と側面14a、14bとの間の距離より大きい。このため、本変形例によれば、ビア電極部20Cと入出力端子22A、22Bとの結合度を調整しつつ、共振器11A~11C間の結合も調整することができる。
(変形例4)
本実施形態の変形例4によるフィルタについて図8A及び図8Bを用いて説明する。図8A及び図8Bは、本変形例によるフィルタを示す断面図である。
本変形例は、上部遮蔽導体12Aに対向する上部ストリップ線路(第2ストリップ線路)18Aと、下部遮蔽導体12Bに対向する下部ストリップ線路(第1ストリップ線路)18Bとが、誘電体基板14内に形成されているものである。
本変形例では、ビア電極部20A、20Bの一端は、上部ストリップ線路18Aに接続されており、ビア電極部20A、20Bの他端は、下部ストリップ線路18Bに接続されている。このように、ビア電極部20A、20Bは、上部ストリップ線路18Aから下部ストリップ線路18Bにかけて形成されている。ビア電極部20A、20Bとストリップ線路18A、18Bとにより、構造体16が構成されている。
ビア電極部20A、20Bと、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbとは、図1に示すフィルタ10の場合と同様に、半同軸共振器のように振る舞う。
本変形例では、ビア電極部20A、20Bが上部遮蔽導体12Aにも下部遮蔽導体12Bにも導通していない。ビア電極部20A、20Bに接続された上部ストリップ線路18Aと上部遮蔽導体12Aとの間には、静電容量(開放端容量)が存在する。また、ビア電極部20A、20Bに接続された下部ストリップ線路18Bと下部遮蔽導体12Bとの間にも、静電容量が存在する。ビア電極部20A、20Bは、上部ストリップ線路18A及び下部ストリップ線路18Bとともに、λ/2共振器を構成する。
図1に示すようなλ/4共振器においては、共振時に、ビア電極部20A、20Bと遮蔽導体12Aとが接している部分、即ち、短絡部に電流が集中する。ビア電極部20A、20Bと遮蔽導体12Aとが接している部分は、電流の経路が垂直に曲がる部分である。電流の経路が大きく曲がる箇所に電流が集中することは、Q値の低下をもたらし得る。短絡部への電流の集中を解消することによりQ値を向上すべく、電流経路の断面積を大きくすることも考えられる。例えば、ビア径を大きくすることや、ビアの本数を増やすことが考えられる。しかし、このようにした場合には、共振器の大きさが大きくなってしまい、共振器の小型化の要請を満たし得ない。これに対し、本変形例では、ビア電極部20A、20Bが上部遮蔽導体12Aにも下部遮蔽導体12Bにも接していない。即ち、本変形例では、両端開放型のλ/2共振器が構成されている。このため、本変形例では、局所的な電流の集中が上部遮蔽導体12A及び下部遮蔽導体12Bに生じることが防止される一方、ビア電極部20A、20Bの中心付近に電流を集中させることができる。電流が集中する箇所がビア電極部20A、20Bのみであるため、即ち、連続性(直線性)のある箇所に電流が集中するため、本変形例によれば、Q値を向上させることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態によるフィルタについて図面を用いて説明する。図9は、本実施形態によるフィルタを示す斜視図である。図10A及び図10Bは、本実施形態によるフィルタを示す断面図である。図10Aは、図9のXA-XA線に対応している。図10Bは、図9のXB-XB線に対応している。図11は、本実施形態によるフィルタを示す平面図である。第1実施形態によるフィルタと同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態によるフィルタ10Aは、上部遮蔽導体12Aにスリット30A、30Bが形成されているものである。スリット30Aは、共振器11Aの少なくともビア電極部20A、20Bに平面視において重なり合う上部遮蔽導体12Aの第1部分33Aと、共振器11Bの少なくともビア電極部20A、20Bに平面視において重なり合う上部遮蔽導体12Aの第2部分33Bとの間に位置する。スリット30Bは、共振器11Bの少なくともビア電極部20A、20Bに平面視において重なり合う上部遮蔽導体12Aの第2部分33Bと、共振器11Cの少なくともビア電極部20A、20Bに平面視において重なり合う上部遮蔽導体12Aの第3部分33Cとの間に位置する。なお、ここでは、上部遮蔽導体12Aの第1部分33Aと共振器11Aのストリップ線路18とが互いに重なり合っている場合が図示されているが、これに限定されるものではない。また、ここでは、上部遮蔽導体12Aの第2部分33Bと共振器11Bのストリップ線路18とが互いに重なり合っている場合が図示されているが、これに限定されるものではない。また、ここでは、上部遮蔽導体12Aの第3部分33Cと共振器11Cのストリップ線路18とが互いに重なり合っている場合が図示されているが、これに限定されるものではない。また、ここでは、共振器11Aのストリップ線路18と共振器11Bのストリップ線路18のいずれにも平面視において重なり合わないようにスリット30Aが形成されている場合が図示されているが、これに限定されるものではない。共振器11Aのストリップ線路18と共振器11Bのストリップ線路18とのうちの少なくともいずれかに、スリット30Aの一部が平面視において重なり合っていてもよい。また、ここでは、共振器11Bのストリップ線路18と共振器11Cのストリップ線路18のいずれにも平面視において重なり合わないようにスリット30Bが形成されている場合が図示されているが、これに限定されるものではない。共振器11Bのストリップ線路18と共振器11Cのストリップ線路18とのうちの少なくともいずれかに、スリット30Bの一部が平面視において重なり合っていてもよい。少なくとも、共振器11Aのビア電極部20Aと共振器11Bのビア電極部20Aとの間、及び、共振器11Aのビア電極部20Bと共振器11Bのビア電極部20Bとの間に、スリット30Aを形成するようにすればよい。また、少なくとも、共振器11Bのビア電極部20Aと共振器11Cのビア電極部20Aとの間、及び、共振器11Bのビア電極部20Bと共振器11Cのビア電極部20Bとの間に、スリット30Bを形成するようにすればよい。
本実施形態によれば、このようなスリット30Aが上部遮蔽導体12Aに形成されているため、共振器11Aと共振器11Bとの間の結合度を小さくすることができる。また、本実施形態によれば、このようなスリット30Bが上部遮蔽導体12Aに形成されているため、共振器11Bと共振器11Cとの間の結合度を小さくすることができる。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、フィルタ10Aのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
(変形例1)
本実施形態の変形例1によるフィルタについて図12を用いて説明する。図12は、本変形例によるフィルタを示す平面図である。
本変形例は、スリット30A、30Bによって上部遮蔽導体12Aが分離されているものである。即ち、本変形例では、上部遮蔽導体12Aの第1部分33Aを含む部分と上部遮蔽導体12Aの第2部分33Bを含む部分とが、スリット30Aによって分離されている。また、本変形例では、上部遮蔽導体12Aの第2部分33Bを含む部分と上部遮蔽導体12Aの第3部分33Cを含む部分とが、スリット30Bによって分離されている。
このように、スリット30A、30Bによって上部遮蔽導体12Aが分離されていてもよい。スリット30A、30Bをこのように形成した場合にも、フィルタ10Aのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
(変形例2)
本実施形態の変形例2によるフィルタについて図13A及び図13Bを用いて説明する。図13A及び図13Bは、本変形例によるフィルタを示す断面図である。
本変形例は、上部遮蔽導体12Aに対向する上部ストリップ線路18Aと、下部遮蔽導体12Bに対向する下部ストリップ線路18Bとが、誘電体基板14内に形成されているものである。共振器11Aの上部ストリップ線路18Aと共振器11Bの上部ストリップ線路18Aとのうちの少なくともいずれかに、スリット30Aの一部が、平面視において重なり合っていてもよいし、平面視において重なり合っていなくてもよい。共振器11Bの上部ストリップ線路18Aと共振器11Cの上部ストリップ線路18Aとのうちの少なくともいずれかに、スリット30Bの一部が、平面視において重なり合っていてもよいし、平面視において重なり合っていなくてもよい。少なくとも、共振器11Aのビア電極部20Aと共振器11Bのビア電極部20Aとの間、及び、共振器11Aのビア電極部20Bと共振器11Bのビア電極部20Bとの間に、スリット30Aを形成するようにすればよい。また、少なくとも、共振器11Bのビア電極部20Aと共振器11Cのビア電極部20Aとの間、及び、共振器11Bのビア電極部20Bと共振器11Cのビア電極部20Bとの間に、スリット30Bを形成するようにすればよい。
本変形例によれば、ビア電極部20A、20Bが上部遮蔽導体12Aにも下部遮蔽導体12Bにも接していない。このため、本変形例では、局所的な電流の集中が上部遮蔽導体12A及び下部遮蔽導体12Bに生じることが防止される一方、ビア電極部20A、20Bの中心付近に電流を集中させることができる。電流が集中する箇所がビア電極部20A、20Bのみであるため、即ち、連続性(直線性)のある箇所に電流が集中するため、本変形例によれば、Q値を向上させることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態によるフィルタについて図面を用いて説明する。図14は、本実施形態によるフィルタを示す斜視図である。図15A及び図15Bは、本実施形態によるフィルタを示す断面図である。図15Aは、図14のXVA-XVA線に対応している。図15Bは、図14のXVB-XVB線に対応している。図16は、本実施形態によるフィルタを示す平面図である。第1及び第2実施形態によるフィルタと同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態によるフィルタ10Bは、一端が上部遮蔽導体12Aに接続され、他端が下部遮蔽導体12Bに接続された結合調整ビア電極34a、34bが設けられているものである。
結合調整ビア電極34aは、共振器11Aのストリップ線路18と、共振器11Bのストリップ線路18との間の領域36Aを、X方向に延長した延長領域42A内において、遮蔽導体12A、12Bに接続されている。また、結合調整ビア電極34bは、共振器11Bのストリップ線路18と、共振器11Cのストリップ線路18との間の領域36Bを、X方向に延長した延長領域42B内において、遮蔽導体12A、12Bに接続されている。結合調整ビア電極34aは、共振器11Aと共振器11Bとの結合を打ち消すような磁界を発生する。また、結合調整ビア電極34bは、共振器11Bと共振器11Cとの結合を打ち消すような磁界を発生する。結合調整ビア電極34a、34bは、第1側面遮蔽導体12Ca及び第2側面遮蔽導体12Cbと同様に、側面グラウンドとして機能し得る。このため、結合調整ビア電極34a、34bの位置や本数を異ならせると、共振器11A~11Cから側面グラウンドまでの距離を異ならせることができる。このため、本実施形態では、小さいエリアにフィルタを形成した場合と同様の振る舞いが得られる。本実施形態によれば、フィルタのサイズを変更することなく、共振器11A~11C間の結合度を調整し得るため、様々な特性のフィルタを同じサイズで形成することができる。様々な特性のフィルタを同じサイズで形成し得るため、様々な特性のフィルタを同じ製造工程及び同じ製造方法で製造し得る。
本実施形態によれば、このような結合調整ビア電極34aが備えられているため、共振器11Aと共振器11Bとの間の結合度を小さくすることができる。また、本実施形態によれば、このような結合調整ビア電極34bが形成されているため、共振器11Bと共振器11Cとの間の結合度を小さくすることができる。このため、本実施形態によれば、互いに隣接する共振器11A~11C間のY方向における距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、フィルタ10Bのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器11A~11C間の結合度を小さくすることができる。
(変形例)
本実施形態の変形例によるフィルタについて図17A及び図17Bを用いて説明する。図17A及び図17Bは、本変形例によるフィルタを示す断面図である。
本変形例は、上部遮蔽導体12Aに対向する上部ストリップ線路18Aと、下部遮蔽導体12Bに対向する下部ストリップ線路18Bとが、誘電体基板14内に形成されているものである。
本変形例によれば、ビア電極部20A、20Bが上部遮蔽導体12Aにも下部遮蔽導体12Bにも接していない。このため、本変形例では、局所的な電流の集中が上部遮蔽導体12A及び下部遮蔽導体12Bに生じることが防止される一方、ビア電極部20A、20Bの中心付近に電流を集中させることができる。電流が集中する箇所がビア電極部20A、20Bのみであるため、即ち、連続性(直線性)のある箇所に電流が集中するため、本変形例によれば、Q値を向上させることができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
フィルタ(10)は、誘電体基板(14)内に形成されたビア電極部(20A、20B)と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体(12A、12B、12Ca、12Cb)のうちの第1遮蔽導体(12B)に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路(18)とをそれぞれ有する複数の共振器(11A~11C)を有し、前記複数の共振器のうちの第1共振器(11A)の前記ビア電極部の位置と、前記第1共振器に隣接する第2共振器(11B)の前記ビア電極部の位置とが、前記第1ストリップ線路の長手方向である第1方向(X)において互いにずらされている。このような構成によれば、互いに隣接する共振器間において、ビア電極部の位置が第1方向において互いに異なっている。このため、このような構成によれば、互いに隣接する共振器間の距離を大きくすることなく、ビア電極部間の距離を大きくすることができ、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。従って、このような構成によれば、フィルタのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。
前記第1遮蔽導体は、前記誘電体基板の一方の主面側に形成されており、前記誘電体基板は、法線方向が前記第1方向である第1側面(14c)と、前記第1側面に対向する第2側面(14d)とを有し、前記第1共振器及び前記第2共振器は、複数の前記ビア電極部をそれぞれ有し、前記複数のビア電極部のうちの第1ビア電極部は、前記第1側面側に位置し、前記複数のビア電極部のうちの第2ビア電極部は、前記第2側面側に位置し、前記第1共振器の前記第1ビア電極部の前記第1方向における位置と、前記第2共振器の前記第1ビア電極部の前記第1方向における位置とが、互いに異なっており、前記第1共振器の前記第2ビア電極部の前記第1方向における位置と、前記第2共振器の前記第2ビア電極部の前記第1方向における位置とが、互いに異なっているようにしてもよい。このような構成においても、フィルタのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。
前記誘電体基板は、法線方向が前記第1方向に交差する第2方向(Y)である第3側面(14a)と、前記第3側面に対向する第4側面(14b)とを更に有し、前記第3側面に形成され、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体(12A)に接続された入出力端子(22A)を更に有し、前記第1共振器は、前記入出力端子と前記第2共振器との間に位置し、前記第1共振器の前記第1ビア電極部と前記第1共振器の前記第2ビア電極部との前記第1方向における距離(L1X)は、前記第2共振器の前記第1ビア電極部と前記第2共振器の前記第2ビア電極部との前記第1方向における距離(L2X)より小さくなるようにしてもよい。このような構成によれば、第1共振器のビア電極部と第2共振器のビア電極部との結合度を小さくしつつ、第1共振器のビア電極部と入出力端子との間の結合度を大きくすることができる。
前記誘電体基板は、法線方向が前記第1方向である第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、法線方向が前記第1方向に交差する第2方向である第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面とを更に有し、前記第3側面に形成され、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体に接続された入出力端子を更に有し、前記第1共振器は、前記入出力端子と前記第2共振器との間に位置し、前記第1共振器は、1つの前記ビア電極部(20C)を有し、前記第2共振器は、複数の前記ビア電極部(20A、20B)を有し、前記第2共振器の前記複数のビア電極部のうちの第1ビア電極部は、前記第1側面側に位置し、前記第2共振器の前記複数のビア電極部のうちの第2ビア電極部は、前記第2側面側に位置し、前記第1共振器の前記ビア電極部の位置と、前記第2共振器の前記第1ビア電極部の位置とが、前記第1方向にずらされており、前記第1共振器の前記ビア電極部の位置と、前記第2共振器の前記第2ビア電極部の位置とが、前記第1方向にずらされているようにしてもよい。
前記第1共振器の前記ビア電極部は、前記第1共振器の前記第1ストリップ線路の前記第1方向における中心に位置するようにしてもよい。このような構成によれば、ビア電極部と入出力端子との結合度を大きくすることができる一方、第1共振器のビア電極部と第2共振器のビア電極部との間の結合度を小さくすることができる。
前記第1共振器の前記ビア電極部の中心(P1)の前記第2方向における位置は、前記第1共振器の前記第1ストリップ線路の中心の前記第2方向における位置よりも前記第3側面側に位置するようにしてもよい。このような構成によれば、ビア電極部と入出力端子との結合度を大きくすることができる一方、第1共振器のビア電極部と第2共振器のビア電極部との間の結合度を小さくすることができる。
前記第1共振器の前記ビア電極部は、複数のビア電極(24c)から構成され、前記第1共振器の前記ビア電極部を構成する前記複数のビア電極は、上面から見たとき、仮想の直線(40)に沿って配列されているようにしてもよい。このような構成によれば、ビア電極部と入出力端子との結合度を大きくすることができる一方、第1共振器のビア電極部と第2共振器のビア電極部との間の結合度を小さくすることができる。
前記第1共振器の前記ビア電極部は、複数のビア電極(24c1~24c3)から構成され、前記第1共振器の前記複数のビア電極のうちの第1ビア電極(24c1)は、前記第1共振器の前記複数のビア電極のうちの第2ビア電極(24c2)に対して、前記第1側面側に位置し、前記第1共振器の前記複数のビア電極のうちの第3ビア電極(24c3)は、前記第1共振器の前記複数のビア電極のうちの第2ビア電極に対して、前記第2側面側に位置し、前記第2ビア電極と前記第3側面との間の距離(L1Y2)は、前記第1ビア電極と前記第3側面との間の距離(L1Y1)より大きく、且つ、前記第3ビア電極と前記第3側面との間の距離(L1Y3)より大きくなるようにしてもよい。このような構成によれば、ビア電極部と入出力端子との結合度が過度に大きくなるのを防止しつつ、第1共振器のビア電極部と第2共振器のビア電極部との間の結合度を小さくすることができる。
フィルタ(10A)は、誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体のうちの第1遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路とをそれぞれ有する複数の共振器と、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体に形成されたスリット(30A)とを有し、前記スリットは、前記複数の共振器のうちの第1共振器の前記ビア電極部と、前記複数の共振器のうちの第2共振器の前記ビア電極部との間に少なくとも位置している。このような構成によれば、互いに隣接する共振器間において、第2遮蔽導体にスリットが設けられている。このため、このような構成によれば、互いに隣接する共振器間の距離を大きくすることなく、共振間の結合度を小さくすることができる。従って、このような構成によれば、フィルタのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。
前記誘電体基板は、法線方向が前記第1ストリップ線路の長手方向である第1方向に交差する第2方向である第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面とを更に有し、前記第3側面に形成され、前記第2遮蔽導体に接続された入出力端子を更に有するようにしてもよい。
フィルタ(10B)は、誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体のうちの第1遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路とをそれぞれ有する複数の共振器と、前記複数の共振器のうちの第1共振器の前記第1ストリップ線路と、前記第1共振器に隣接する第2共振器の前記第1ストリップ線路との間の領域(36A)を、前記第1ストリップ線路の長手方向である第1方向に延長した延長領域(42A)内において前記第1遮蔽導体に一端が接続され、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体に他端が接続された結合調整ビア電極(34a)とを有する。このような構成によれば、結合調整ビア電極が備えられているため、互いに隣接する共振器間の距離を大きくすることなく、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。従って、このような構成によれば、フィルタのサイズを小さく保ちつつ、互いに隣接する共振器間の結合度を小さくすることができる。
前記誘電体基板は、法線方向が前記第1方向に交差する第2方向である第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面とを更に有し、前記第3側面に形成され、前記第2遮蔽導体に接続された入出力端子を更に有するようにしてもよい。
前記第1共振器及び前記第2共振器は、複数の前記ビア電極部をそれぞれ有し、前記誘電体基板は、法線方向が前記第1ストリップ線路の長手方向である第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面とを更に有し、前記複数のビア電極部のうちの第1ビア電極部は、前記第1側面側に位置し、前記複数のビア電極部のうちの第2ビア電極部は、前記第2側面側に位置するようにしてもよい。
前記ビア電極部の他端は、前記第2遮蔽導体に接続されているようにしてもよい。
前記誘電体基板内において前記ビア電極部の他端に接続され、前記第2遮蔽導体に対向する第2ストリップ線路を更に有するようにしてもよい。このような構成によれば、第1遮蔽導体及び第2遮蔽導体に局所的な電流の集中が生じるのを防止しつつ、ビア電極部の中心付近に十分な電流を集中させることができる。従って、このような構成によれば、Q値の良好なフィルタを得ることができる。
前記第1ビア電極部及び前記第2ビア電極部は、複数のビア電極からそれぞれ構成され、前記第1ビア電極部を構成する前記複数のビア電極は、上面から見たとき、仮想の第1湾曲線(28a)に沿って配列され、前記第2ビア電極部を構成する前記複数のビア電極は、上面から見たとき、仮想の第2湾曲線(28b)に沿って配列されているようにしてもよい。
前記第1湾曲線及び前記第2湾曲線は、1つの楕円形状(37)の一部又は1つのトラック形状(38)の一部を構成しているようにしてもよい。
10、10A、10B…フィルタ 11A~11C…共振器
12A…上部遮蔽導体 12B…下部遮蔽導体
12Ca…第1側面遮蔽導体 12Cb…第2側面遮蔽導体
14…誘電体基板 14a~14d…側面
16…構造体
18…ストリップ線路、第1ストリップ線路
18A…上部ストリップ線路、第2ストリップ線路
18B…下部ストリップ線路、第1ストリップ線路
20A…第1ビア電極部 20B…第2ビア電極部
20C…第3ビア電極部 22A…第1入出力端子
22B…第2入出力端子 24a~24c…ビア電極
24c1…第1ビア電極 24c2…第2ビア電極
24c3…第3ビア電極 26…仮想の菱形
28a…仮想の第1湾曲線 28b…仮想の第2湾曲線
30A、30B…スリット 32a…第1接続線路
32b…第2接続線路 33A…第1部分
33B…第2部分 33C…第3部分
34a、34b…結合調整ビア電極 36A、36B…領域
37…仮想の楕円形状 38…仮想のトラック形状
40…直線 42A、42B…延長領域
L1X~L3X、L1Y1~L1Y3、L3Y1~L3Y3…距離

Claims (5)

  1. 誘電体基板内に形成されたビア電極部と、前記ビア電極部を囲うように形成された複数の遮蔽導体のうちの第1遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する複数の誘電体層のうちの少なくとも一の誘電体層を介して前記第1遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の一端に接続された第1ストリップ線路と、前記第1遮蔽導体に対向する第2遮蔽導体の主面に沿うように形成され、前記誘電体基板を構成する前記複数の誘電体層のうちの少なくとも他の誘電体層を介して前記第2遮蔽導体に対向するとともに前記ビア電極部の他端に接続された第2ストリップ線路とをそれぞれ有する複数の共振器と、
    前記第2遮蔽導体に形成されたスリットとを有し、
    前記スリットは、前記複数の共振器のうちの第1共振器の前記ビア電極部と、前記複数の共振器のうちの第2共振器の前記ビア電極部との間に少なくとも位置しており、
    前記スリットは、前記誘電体基板を貫くことなく、前記第2遮蔽導体にのみ形成されている、フィルタ。
  2. 請求項1に記載のフィルタにおいて、
    前記誘電体基板は、法線方向が前記第1ストリップ線路の長手方向である第1方向に交差する第2方向である第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面とを更に有し、
    前記第3側面に形成され、前記第2遮蔽導体に接続された入出力端子を更に有する、フィルタ。
  3. 請求項1又は2に記載のフィルタにおいて、
    前記第1共振器及び前記第2共振器は、複数の前記ビア電極部をそれぞれ有し、
    前記誘電体基板は、法線方向が前記第1ストリップ線路の長手方向である第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面とを更に有し、
    前記複数のビア電極部のうちの第1ビア電極部は、前記第1側面側に位置し、
    前記複数のビア電極部のうちの第2ビア電極部は、前記第2側面側に位置する、フィルタ。
  4. 請求項に記載のフィルタにおいて、
    前記第1ビア電極部及び前記第2ビア電極部は、複数のビア電極からそれぞれ構成され、
    前記第1ビア電極部を構成する前記複数のビア電極は、上面から見たとき、仮想の第1湾曲線に沿って配列され、
    前記第2ビア電極部を構成する前記複数のビア電極は、上面から見たとき、仮想の第2湾曲線に沿って配列されている、フィルタ。
  5. 請求項に記載のフィルタにおいて、
    前記第1湾曲線及び前記第2湾曲線は、1つの楕円形状の一部又は1つのトラック形状の一部を構成している、フィルタ。
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