以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置は、腰掛大便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設置された衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者の便座200への着座を検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(図2参照)を操作すると、局部洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)473を便器800のボウル801内に進出させたり、ボウル801内から後退させたりすることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
ノズル473は、人体局部に向けて水(洗浄水)を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bが設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口474aから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口474bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「ビデ洗浄」と、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、を実行することができる。
なお、図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口474aがおしり洗浄吐水口474bよりもノズル473の先端側に設けられているが、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。ビデ洗浄吐水口474aは、おしり洗浄吐水口474bよりもノズル473の後端側に設けられていてもよい。また、図1に表したノズル473では、2つの吐水口が設けられているが、3つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば、以下に説明する電磁弁431、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
導水部20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、管路20aを開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、管路20a内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
逆止弁433の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れが無い時に、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば、管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調部454が設けられている。圧力変調部454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bやノズル洗浄部478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、制御部405に接続されている。圧力変調部454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、管路20a内の水の圧力を変動させる。
圧力変調部454の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄部478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471及び流路切替部472は、1つのユニットとして設けてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471及び流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり、ボウル801内から後退したりする。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいてノズル473を進退させる駆動装置である。
ノズル洗浄部478は、例えば、吐水部から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
また、流路切替部472の下流には、おしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21及びやわらか洗浄流路22は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をおしり洗浄吐水口474bへ導く。ビデ洗浄流路23は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をビデ洗浄吐水口474aへ導く。
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄部478の吐水部へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24と、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、ビデ洗浄吐水口474a、おしり洗浄吐水口474b、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調部454や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズルモータ476などの動作を制御する。
また、制御部405は、例えば、人体検知センサ403や着座検知センサ404の検知情報に基づいて、照光部700を制御する。照光部700は、ノズル473の周辺(後述のノズル収納部など)に除菌作用を有する光である除菌光を照射する。照光部700については、後述する。
人体検知センサ403は、図1に表したように、ケーシング400の上面に形成された凹設部409に埋め込まれるように設けられ、便座200に近づいた使用者(人体)を検知する。換言すれば、人体検知センサ403は、衛生洗浄装置100の近傍にいる使用者を検知する。また、便蓋300の後部には透過窓310が設けられている。そのため、便蓋300が閉じた状態において、人体検知センサ403は、透過窓310を介して使用者の存在を検知することができる。制御部405は、例えば、人体検知センサ403による使用者の検知に応答して、便蓋300を自動的に開く。
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を表す断面図である。
図4は、実施形態に係る衛生洗浄装置の内部構造を表す平面図である。
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置のノズル収納部を表す斜視図である。
図6は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を表す正面図である。
図7は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を表す正面図である。
なお、図4では、衛生洗浄装置100のノズル473以外の構成が省略されている。
図3(a)及び図4に表したように、ケーシング400は、ノズル473を後退させた状態において、ノズル473の全体を収納可能なノズル収納部480を有する。ノズル収納部480は、ノズル473を収納するための部材であり、ノズル473の全体が収納された状態でノズル473に隣接する。この例では、図5に表したように、ノズル収納部480として、ノズル支持部482及びノズル洗浄部478が設けられている。
ノズル支持部482は、ノズル473の下方においてノズル473を支持する。ノズル支持部482は、後方から前方に向かう方向において、下方に傾斜している。ノズル473は、ノズル支持部482に対して摺動しながら、進出及び後退する。ノズル収納部480には、例えば、ノズル473を収納する筒状の部材が設けられてもよい。
ノズル洗浄部478は、ノズル支持部482の前端に取り付けられている。図3(a)及び図3(b)に表したように、ノズル洗浄部478は、洗浄水を吐水する吐水穴が形成された部材(吐水部)478aと、その支持体478bと、を含む。図3(a)、図3(b)、及び図7に表したように、ノズル収納部480の前端には、開口481が設けられている。開口481は、ケーシング400の前端の下部に設けられている。ノズル洗浄部478は、開口481の後方に位置する。ノズル洗浄部478は、例えば、ノズル473が進退する際に、吐水部478aから機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する(セルフクリーニング)。
ノズル473の前方には、ノズル蓋600が設けられている。ノズル蓋600は、ノズル収納部480の前端に設けられた開口481に対して開閉可能に設けられる。ノズル蓋600は、図3(b)に表すように、ノズル473が進出した状態では開口481を開く開状態であり、図3(a)に表すように、ノズル473の全体がノズル収納部480に収納された状態では開口481を閉じる閉状態である。例えば、ノズル蓋600が閉状態のとき、開口481の前方は、ノズル蓋600により塞がれている。
ノズル蓋600は、裏面600aと、表面600bと、を有する。裏面600aは、閉状態においてノズル473側に位置する面である。表面600bは、裏面600aと反対側に位置する面である。換言すれば、裏面600aは、閉状態において後方側に位置する面であり、表面600bは、閉状態において前方側に位置する面である。
ノズル473は、使用されていない状態では、図3(a)に表すように、ノズル収納部480に収納されている。ノズル473によって局部洗浄が行われる場合、ノズル収納部480に対してノズル473が前下方に摺動する。ノズル473が前下方に摺動すると、ノズル473がノズル洗浄部478に接触し、ノズル洗浄部478の吐水部478a及びノズル蓋600が上方に押し上げられる。例えば、ノズル473が所定の位置に到達するまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、ノズル473が洗浄される。
図3(b)に表すように、ノズル473が所定の位置に到達すると、ビデ洗浄吐水口474aまたはおしり洗浄吐水口474bから使用者の局部に向けて水が吐出され、洗浄が行われる。局部洗浄が完了すると、ノズル473は、ノズル収納部480に向けて後上方に摺動する。例えば、ノズル473がノズル収納部480に収納されるまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、ノズル473が洗浄される。ノズル473は、所定の位置まで後退し、図3(a)に表した状態のように、ノズル収納部480に収納される。
図3(a)、図3(b)、図4、及び図6に表したように、衛生洗浄装置100は、除菌作用を有する光である除菌光を照射する照光部700を備える。照光部700は、例えば、ケーシング400の内部に設けられる。図4及び図6に表したように、この例では、照光部700は、2つの発光部710を有している。2つの発光部710は、それぞれ、ノズル支持部482の下方の左右の側部に設けられており、2つの発光部710の間の上方に位置するノズル支持部482及びノズル473、並びにノズル473の前方に位置するノズル蓋600に向けて除菌光を照射する。また、2つの発光部710は、それぞれ、ノズル収納部480の前方側(開口481側)に設けられており、ノズル収納部480の前方側に除菌光を照射する。
照光部700は、例えば、発光素子720(発光体)を有する。発光素子720は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。発光素子720は、LEDに限ることなく、例えば、LD(Laser Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などでもよい。発光素子720は、例えば冷陰極管や熱陰極管であってもよい。発光素子720により放射される除菌光の波長は、例えば、250nm~480nmである。発光素子720は、例えば、基板を介して制御部405に接続されており、制御部405の制御に基づいて、点灯及び消灯する。制御部405は、発光素子720の点灯及び消灯を制御することで、照光部700の作動を制御する。また、制御部405は、例えば、発光素子720に印加する電圧を調整することで、発光素子720の放射強度を制御してもよい。発光素子720は、例えば、発光部710に設けられる。
実施形態において、照光部700は、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bに対して、除菌光を照射する。これにより、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bは、除菌光によって除菌される。
照光部700は、例えば、除菌光の照射により、ノズル収納部480などに付着した菌の少なくとも一部を死滅又は不活性化させる。これにより、照光部700は、ノズル収納部480などに付着した生きた菌を減らす。このように、照光部700は、除菌光の照射により、ノズル収納部480などを除菌する。
通常、ノズル収納部480に除菌光を照射した場合、ノズル収納部480側に位置するノズル蓋600の裏面600aには除菌光が照射されるものの、ノズル収納部480と反対側に位置するノズル蓋600の表面600bには除菌光が照射されない。そのため、ノズル蓋600の表面600bには汚れが付着する恐れがある。ノズル蓋600の表面600bが汚れていると、ノズル蓋600の奥側にあるノズル収納部480も汚れているかもしれないという疑念を抱く可能性が高まる。
これに対し、実施形態においては、ノズル収納部480やノズル蓋600の裏面600aだけでなく、ノズル蓋600の表面600bに対しても除菌光を照射することで、ノズル蓋600の表面600bに汚れが付着することを抑制し、ノズル蓋600の奥側にあるノズル収納部480が除菌光によってきれいになっていることを使用者に認識させることができる。これにより、ノズル473が清潔な場所に収納されていることを認識できるため、清潔意識の高い使用者においても、ノズル473を安心して使用することができる。
ノズル収納部480やノズル蓋600の裏面600aに付着する汚れは、主に大気中を浮遊する菌による汚れであるのに対し、ノズル蓋600の表面600bに付着する汚れは、主に尿などの人由来の菌による汚れである。人由来の菌は、大気中を浮遊する菌に比べて除菌されやすいため、ノズル蓋600の表面600bは、ノズル収納部480やノズル蓋600の裏面600aに比べて汚れ負荷が小さい。したがって、例えば、ノズル蓋600の表面600bは、ノズル収納部480やノズル蓋600の裏面600aに比べて除菌光による除菌力を小さくしても汚れを抑制できる。また、ノズル蓋600の表面600bに照射する除菌光は、使用者に近い位置で照射される光であるため、除菌光による除菌力を小さくすることが好ましい。
そこで、実施形態においては、例えば、ノズル蓋600の表面600bにおける除菌光の放射照度を、ノズル蓋600の裏面600aにおける除菌光の放射照度よりも小さくする。このように、汚れ負荷が比較的小さいノズル蓋600の表面600bにおける除菌光の放射照度を、汚れ負荷が比較的大きいノズル蓋600の裏面600aにおける除菌光の放射照度よりも小さくすることで、使用者に除菌光が照射されることを抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めつつ、ノズル収納部480及びノズル蓋600の裏面600aとノズル蓋600の表面600bとの両方において十分な除菌効果を得ることができる。
また、実施形態においては、例えば、ノズル蓋600の表面600bに照射される除菌光のピーク波長を、ノズル蓋600の裏面600aに照射される除菌光のピーク波長よりも長くしてもよい。このように、汚れ負荷が比較的小さいノズル蓋600の表面600bに照射される除菌光のピーク波長を、汚れ負荷が比較的大きいノズル蓋600の裏面600aに照射される除菌光のピーク波長よりも長くすることで、使用者に除菌力の強い(波長の短い)除菌光が照射されることを抑制できる。これにより、使用者の安全性を高めつつ、ノズル収納部480及びノズル蓋600の裏面600aとノズル蓋600の表面600bとの両方において十分な除菌効果を得ることができる。
図8は、実施形態に係る衛生洗浄装置のノズル蓋周辺を表す正面図である。
図9は、実施形態に係る衛生洗浄装置のノズル蓋周辺を表す斜視図である。
なお、図8では、便蓋300は省略している。
実施形態においては、ノズル蓋600の表面600bに除菌光が照射される。ノズル蓋600の表面600bに照射される除菌光は、ケーシング400の内側から照射されてもよいし、ケーシング400の外側から照射されてもよい。換言すれば、照光部700は、ケーシング400の内側に設けられた発光部710と、ケーシング400の外側に設けられた発光部710と、を有していてもよく、ノズル蓋600の表面600bは、ケーシング400の内側に設けられた発光部710から除菌光を照射されてもよいし、ケーシング400の外側に設けられた発光部710から除菌光を照射されてもよい。
ケーシング400の内側からノズル蓋600の表面600bに除菌光が照射される場合、例えば、図8及び図9に表したように、ノズル蓋600の裏面600aに照射された除菌光をノズル蓋600の表面600bに透過可能なノズル蓋600が設けられる。除菌光を透過可能なノズル蓋600を設けることで、ノズル蓋600の裏面600aに照射された除菌光を利用してノズル蓋600の表面600bにも除菌光を照射することができる。これにより、照光部700に設ける光源の数をより少なくすることができ、衛生洗浄装置100を小型化することができる。
また、除菌光を透過可能なノズル蓋600を設ける場合、例えば、ノズル蓋600を透過した後の除菌光の放射強度は、ノズル蓋600を透過する前の除菌光の放射強度よりも小さくてもよい。換言すれば、ノズル蓋600は、除菌光を透過可能であり、かつ透過した除菌光の放射強度を弱めることができるものであってもよい。
このようなノズル蓋600を設けることで、ノズル蓋600の表面600bにおける除菌光の放射照度を、ノズル蓋600の裏面600aにおける除菌光の放射照度よりも小さくすることができる。
また、除菌光を透過可能なノズル蓋600を設ける場合、例えば、ノズル蓋600を透過した後の除菌光のピーク波長は、ノズル蓋600を透過する前の除菌光のピーク波長よりも長くてもよい。換言すれば、ノズル蓋600は、除菌光を透過可能であり、かつ透過した除菌光のピーク波長を長くすることができるものであってもよい。
より具体的には、ノズル蓋600は、例えば、波長変換材料を含んでもよい。波長変換材料は、例えば、光が照射された際に、照射された光とは異なるピーク波長を有する光(例えば、照射された光よりも長波長側にピーク波長を有する光)を放出する材料である。波長変換材料は、例えば、蛍光材料である。波長変換材料は、例えば、2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)などである。
ノズル蓋600が波長変換材料を含むことで、ノズル蓋600に照射された除菌光の波長を変換することができる。これにより、ノズル蓋600を透過した除菌光のピーク波長を長くすることができる。このような透過した除菌光のピーク波長を長くすることができるノズル蓋600を設けることで、ノズル蓋600の表面600bに照射される除菌光のピーク波長を、ノズル蓋600の裏面600aに照射される除菌光のピーク波長よりも長くすることができる。
また、除菌光を透過可能なノズル蓋600を設けた場合、図9に表したように、除菌光の照射時に、ケーシング400の内側で照射した除菌光を、ノズル蓋600からケーシング400の外側に放出することができる。これにより、除菌光が可視光成分を含む場合、使用者は、除菌光の照射時に、除菌光が照射されていることを認識できる。図9に示す例では、ノズル蓋600からケーシング400の外側に可視光成分(可視光VL)を含む除菌光が放出されている。
また、例えば、除菌光が可視光成分を含まない場合であっても、ノズル蓋600が波長変換材料を含む場合には、ノズル蓋600からケーシング400の外側に可視光成分を含む光を放出することができ、除菌光が照射されていることを使用者に認識させることができる。
また、実施形態において、ノズル蓋600は、例えば、蓄光材料を含んでもよい。蓄光材料は、例えば、照射された光のエネルギーを吸収し、光として放出する材料である。蓄光材料は、例えば、アルミン酸ストロンチウムなどである。
除菌光は、除菌作用を有する光であるため、基本的には使用者に照射しないことが好ましい。ノズル蓋600が蓄光材料を含むことで、実際には除菌光を照射していない場合においても、除菌光で除菌しているように見せることが可能となる。これにより、より安全に除菌光で除菌していることを使用者に認識させることができる。
図10は、実施形態に係る衛生洗浄装置のノズル蓋周辺の別の例を表す正面図である。
なお、図10では、便蓋300は省略している。
実施形態においては、図10に表したように、ノズル蓋600の表面600b、及び、ノズル蓋600が設けられているケーシング400の側面400aに除菌光が照射されてもよい。この場合は、例えば、ケーシング400の外側に設けられた照光部700の発光部710から、ノズル蓋600の表面600b、及び、ノズル蓋600が設けられているケーシング400の側面400aに除菌光が照射される。
このように、ノズル蓋600が設けられているケーシング400の側面400aにも除菌光を照射することで、ノズル蓋600の表面600bだけでなく、ノズル蓋600が設けられているケーシング400の側面400aも除菌することができる。また、より広い範囲に除菌光を照射するため、例えば、除菌光が可視光成分を含む場合には、除菌光が照射されていることを使用者が認識しやすい。
次に、照光部700から照射される除菌光について説明する。
実施形態において、照光部700は、例えば、紫外光成分を含む除菌光を照射する。照光部700は、好ましくは、紫外光成分と可視光成分とを含む除菌光を照射する。このように、除菌性能の高い紫外光成分と、紫外光成分に比べて除菌性能は低いものの視認可能な可視光成分と、の両方を含む照射光を照射することで、例えば、除菌効果と使用者への視認効果とを両立することができる。
可視光成分は使用者が視認できる程度の放射強度があれば十分であり、除菌効果を高めるためには紫外光成分の放射強度を大きくすることが望ましい。そこで、実施形態において、照光部700は、例えば、紫外光成分の放射強度が可視光成分の放射強度よりも大きい除菌光を照射する。これにより、使用者への視認効果を満足しつつ、除菌効果を更に高めることができる。
除菌光のピーク波長は、例えば、250nm以上480nm以下である。除菌光のピーク波長は、好ましくは、350nm以上480nm以下である。このように、除菌光のピーク波長を可視光域と紫外光域の境界である400nm付近(例えば、350nm以上480nm以下)に設定することで、1つの光源(発光素子720)から紫外光成分と可視光成分とを含む除菌光を照射することができる。これにより、照光部700に設ける光源の数をより少なくすることができ、衛生洗浄装置100を小型化することができる。
図11は、実施形態に係る衛生洗浄装置の除菌光の波長分布の例を表すグラフである。
図11に表したように、この例では、除菌光は、約360nm~約420nmの波長の光を含み、ピーク波長は、約385nmである。このように、除菌光のピーク波長を、可視光域と紫外光域の境界付近に設定することで、例えば、紫外光成分であるUV-A成分(315nm以上400nm以下)と紫~青の可視光成分(400nm以上480nm以下)とを含む除菌光を照射することができる。このような除菌光であれば、除菌効果と使用者への視認効果とを両立することができる。
なお、除菌光の光源は、1つに限定されない。例えば、除菌光として、1つの光源から紫外光成分を含み可視光成分を含まない光を照射するとともに、別の光源から可視光成分を含み紫外光成分を含まない光を照射してもよい。換言すれば、除菌光に含まれる紫外光成分と可視光成分とは、それぞれ、異なる光源から同時に照射されていてもよい。
また、除菌光は、紫外光成分と可視光成分とを含む光に限定されない。例えば、ノズル蓋600が波長変換材料を含む場合、除菌光は、紫外光成分を含み可視光成分を含まない光であってもよい。
図12は、実施形態に係る衛生洗浄装置の照光部の変形例を表す平面図である。
図12に表したように、発光素子720はノズル収納部480から離れた位置に設けられてもよい。この例では、ノズル収納部480から左右に離れた位置に2つの発光素子720が設けられており、2つの発光素子720は、それぞれ、光ファイバ730を介してノズル収納部480の左右の側部に設けられた2つの発光部710に接続されている。
実施形態においては、このように、発光素子720から光ファイバ730などで発光部710に除菌光を導光し、ノズル収納部480付近に設けられた発光部710からノズル収納部480などに除菌光を照射してもよい。
次に、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図13は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
なお、この例では、照光部700は、可視光成分を含む除菌光を照射する。したがって、使用者は、除菌光の照射時に、除菌光が照射されていることを認識できる。
図13に表したように、人体検知センサ403が使用者を検知していない状態では、照光部700は作動していない(タイミングt0)。より具体的には、照光部700の発光素子720(例えば、LED)は、消灯している(OFF)。
人体検知センサ403が衛生洗浄装置100に近づいた使用者を検知すると、制御部405は、照光部700を作動させる(タイミングt1)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を点灯させる(ON)。
このように、使用者が衛生洗浄装置100に近づいたことを検知したタイミングで照光部700を作動させることで、使用者が便座200に着座する前に、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bを除菌光で除菌していることを使用者に認識させることができる。
照光部700は、例えば、着座検知センサ404が使用者の着座を検知するまで作動し続ける。換言すれば、制御部405は、人体検知センサ403が使用者を検知し、かつ着座検知センサ404が着座を検知していない状態において、照光部700を作動させ続ける。
着座検知センサ404が使用者の着座を検知すると、制御部405は、照光部700の作動を停止させる(タイミングt2)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を消灯させる(OFF)。
使用者が便座200に着座した後は、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bを使用者が視認できない状態となる。また、ケーシング400の外側で除菌光を照射している場合(例えば、ケーシング400の外側に設けられた発光部710からノズル蓋600の表面600bに除菌光が照射される場合)、使用者に除菌光の一部が照射されやすい状態となる。これに対し、使用者が便座200に着座したタイミングで照光部700の作動を停止させることで、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bを除菌光で除菌していることを使用者に認識させるという効果を損なうことなく、使用者に除菌光が照射されることを抑制し、使用者の安全性をより高めることができる。
照光部700は、例えば、着座検知センサ404が使用者の離座を検知するまで作動を停止し続ける。換言すれば、制御部405は、着座検知センサ404が着座を検知している状態において、照光部700の作動を停止させ続ける。
着座検知センサ404が使用者の離座を検知すると(着座検知センサ404が着座を検知している状態から着座を検知していない状態になると)、制御部405は、照光部700を作動させる(タイミングt3)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を点灯させる(ON)。これにより、離座した使用者に、ノズル収納部480、ノズル蓋600の裏面600a、及びノズル蓋600の表面600bの除菌が再開されたことを認識させることができる。
照光部700は、所定時間TM1が経過するまで作動し続ける。換言すれば、制御部405は、人体検知センサ403が使用者を検知している状態から使用者を検知しない状態になっても、所定時間TM1が経過するまで照光部700を作動させ続ける(タイミングt4)。
所定時間TM1が経過すると、制御部405は、照光部700の作動を停止させる(タイミングt5)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を消灯させる(OFF)。
照光部700は、未使用の状態で所定時間TM2が経過すると作動する。換言すれば、制御部405は、人体検知センサ403が使用者を検知せず、かつ着座検知センサ404が着座を検知していない状態で、所定時間TM2が経過すると、照光部700を作動させる(タイミングt6)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を点灯させる(ON)。このように、制御部405は、人体検知センサ403が使用者を検知していない状態において、照光部700を作動させてもよい。
人体検知センサ403が使用者を検知していない状態においても除菌光を照射することで、除菌光の照射時間を長くすることができる。これにより、除菌光による除菌効果を高めることができる。また、除菌光の照射時間を長くすることで、ピーク波長が比較的長波長の除菌光を照射する場合であっても、除菌効果が低下することを抑制できる。したがって、除菌効果が低下することを抑制しつつ、使用者の安全性を高めることができる。
所定時間TM3が経過すると、制御部405は、照光部700の作動を停止させる(タイミングt7)。より具体的には、制御部405は、照光部700の発光素子720を消灯させる(OFF)。
所定時間TM1~TM3は、任意の時間でよい。所定時間TM1~TM3は、例えば、人体検知センサ403が使用者を検知していない状態における照光部700の作動時間が、人体検知センサ403が使用者を検知している状態における照光部700の作動時間よりも長くなるように、設定される。換言すれば、制御部405は、例えば、人体検知センサ403が使用者を検知していない状態における照光部700の作動時間が、人体検知センサ403が使用者を検知している状態における照光部700の作動時間よりも長くなるように照光部700を制御する。これにより、除菌効果を更に高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。