JP7117764B2 - 片脚立位計測システム - Google Patents
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装置を用いずに開眼片脚立位時間を計測する場合、被検者に目を開けた状態で両手を腰に当て、片脚で立ってもらい、そのままの状態でどのくらいの時間維持できるか(手が腰から離れるか、支持脚がずれるか、支持脚以外の身体の一部が床に触れるか)をストップウオッチで計測していた。測定上限時間としては、60秒又は120秒が一般的である。
しかし、このような方法では、被検者は限界まで我慢して片脚で立ち続けなくてはならないため、被検者の転倒のおそれがあり危険である。また測定完了までに非常に時間がかかってしまう。
例えば、特許文献1に記載されている身体バランス計測装置は、両足それぞれにおける踵載置部と足先載置部が設けられており、これらの下方にはひずみゲージを用いたロードセルから構成される重量センサが配置されている。
しかし、ロードセル、ひずみセンサは応答速度が遅く(~20Hz程度)、被検者の細かい振動やぐらつきを測定することができない。
すなわち、本発明にかかる片脚立位計測システムによれば、被検者の右脚又は左脚のうちのいずれか一方の足が載置される踏板と、該踏板の下方に所定間隔をあけて配置されたベースプレートと、前記踏板と前記ベースプレートの間の複数個所に取り付けられた圧電素子と、各前記圧電素子から出力される電圧信号に基づく振動値の大きさを被検者のぐらつきの状態値として数値化する計測回路と、該計測回路によって算出されたぐらつきの状態値を表示する表示部と、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、複数の圧電素子による電圧信号により被検者のぐらつきの状態を計測するので、ロードセルやひずみセンサ等で計測する場合より高い周波数の振動・動揺を検出することができる。つまり、従来よりも細かい振動を計測するため、筋肉の収縮の状態などロードセルやひずみセンサ等では計測できない事象も把握できるため、被検者のバランスを維持しようとする筋肉の動きをとらえることができ、被検者のバランス維持の限界までの時間を計測しなくてもバランス能力を把握することができる。
また片脚分の測定を実行する構成としたため、部品コスト等の面で低価格に抑えることができる。
この構成によれば、被検者の足の前側、後側、左側、右側のいずれかの方向に被検者が傾いているかを判定することができる。
この構成によれば、重量センサでは、被検者の体重を測定することができる。
この構成によれば、圧電素子は圧力の大きさによって出力電圧が異なるため、被検者の体重で補正をかけることにより、体重の軽重によって異なる状態値とならないようにすることができる。
この構成によれば、例えば5秒間又は10秒間などの短い時間を設定しておくことで被検者は短時間で計測を終えることもできるし、大きくぐらつくまでを計測することも可能となる。
この構成によれば、重量センサをシステム全体の脚として兼ねることができる。
この構成によれば、被検者は片脚立位をしてから自分の準備(心の準備と体の準備の両方)が整ってから自分のタイミングで計測が開始されるので、安定した状態値の算出に寄与する。
図1に片脚立位計測システムの全体構成を、図2に本体部の組立分解図を示す。
片脚立位計測システム20は、本体部23と、表示ユニット25とを備えている。
本体部23は、被検者が実際に足を載せる部位であり、踏板21と、踏板21の下面に取り付けられた複数の圧電素子22(図1では図示されていない)とを備えている。踏板21の材質は被検者が乗っても変形しないような金属製の平板が好ましい。
本実施形態では、被検者の足の前側、後側、左側、右側それぞれのふらつきを検出するため、圧電素子22を4つ用い、足の前後左右の4箇所に配置している。ただし、圧電素子の数は4つに限定するものではない。
表示部26は、計測された結果を表示するものであり、液晶その他のディスプレイを採用することができる。操作部28は、計測モードの変更、又は表示部26に表示させる内容の変更などの設定が可能となっている。
図3に示すように、被検者は、片脚で踏板21の上面に立ち、スタートスイッチ30を持って自分の好きなタイミングでスイッチボタン33を押下する。スイッチボタン33が押下されることにより、計測回路は被検者のぐらつきの状態値を計測をスタートする。計測モードとしては、後述するように5秒間計測、10秒間計測、振動値が閾値を超えるまで計測など、複数のモードを選択可能としておくとよい。計測モードの選択は、表示ユニット25の操作部28を操作することで実行することができる。
本実施形態では、両脚ではなく片脚立位計測に特化することで無駄な機能を省き、コストダウンに寄与することができる。
4つの圧電素子22の信号電圧は、それぞれ計測回路36に入力される。計測回路36は、計装アンプ37と、プロセッサ(MPU)38とを備えている。
各圧電素子22から出力される信号電圧は、まず計測回路36の計装アンプ37に入力され増幅される。計装アンプ37で増幅された信号電圧は、MPU38に内蔵されているA/Dコンバータ39に入力されて、所定のサンプリング周波数に基づいてA/D変換される。
本実施形態ではch1を足の前側、ch2を足の後側、ch3を足の右側、ch4を足の左側としている。図5では、所定の電圧値に対して電圧が上下するように振動していることが観測されており、被検者の振動が高感度で検出されていることがわかる。
なお、本実施形態で用いている圧電素子22は、圧力変化による発電が一定時間蓄電されるため、振動波形に不要な発電波形が重畳する。
振動周波数が被測定者毎に異なり、ハードウェアによるフィルタリングで発電波形を除去することが困難なため、MPU38が、振動値として用いる値は、所定のサンプリング周期毎に計測した電圧値からソフトウェアにより前回サンプリング値との差分を抽出し加算したものとしている。
そこで、MPU38は、複数の重量センサ34により構成される回路で被検者の体重を測定し、予め設定した基準値を被検者の体重で除算して得られた補正値を、振動値に乗算することで、体重補正された状態値を算出する。
計測モードとして5秒間計測モードの場合、MPU38はスタートスイッチ30が押下されてから5秒間の各圧電素子からの電圧信号に基づいて状態値を算出する。10秒間計測モードの場合、MPU38はスタートスイッチ30が押下されてから10秒間の各圧電素子からの電圧信号に基づいて状態値を算出する。
さらに、振動値が閾値を超えるまでの計測モードでは、MPU38は、予め振動値の閾値の基準値を設定しておき、被検者がスタートスイッチ30を押下してから体重で補正された振動値が閾値を超えるまでの時間を算出する。
なお、本実施形態では、状態値の算出例として以下のような算出式を採用しているが、あくまで一例であってこの式に限定するものではない。
点数(状態値)=100-(振動値4chの合計/100)×(基準値/体重)
体重で補正された振動値=振動値4chの合計×(基準値/体重)
時間計測は一定時間(例えば120秒)を限度とし、これを超えた場合は計測を終了し結果が良好である旨の表示を行なう。
図6では、10秒間片脚で立てなかった例を示している。
この場合、両脚をついてしまうと、計測回路36で測定していた片脚分の各圧電素子22からの電圧信号の入力が0となり、且つ重量センサ34で計測していた体重も急激に減少する(ほぼ0になる)。計測回路36では、このように計測時間中に各圧電素子22からの圧力信号が0となり、且つ重量センサ34での重量も急激に減少した場合には、計測を中止し、表示部26に計測不能又は計測中断の旨の表示をさせ、状態値(点数)を算出しない。
この場合、すべての圧電素子22の振動値が最大1200程度にまで上昇しており、平均800程度である。
図8に、状態値(点数)が6点の例を示している。
この場合、最も振動値が大きい圧電素子22は、最大1100程度にまで上昇しており、平均500程度である。
この場合、最も振動値が大きい圧電素子22は最大700程度であり、平均400程度である。
図10に、状態値(点数)が50点の例を示している。
この場合、最も振動値が大きい圧電素子22は、最大600程度であり、平均300程度である。
この場合、最も振動値が大きい圧電素子22は最大400程度であり、平均200程度である。
図12に、状態値(点数)が84点の例を示している。
この場合、最も振動値が大きい圧電素子22は、最大200程度であり、平均100程度である。
例えば両脚立ちの状態から右脚を上げて左脚のみで立つ場合、最初に右中殿筋と右腓腹筋が活動し、引き続いて左中殿筋、右縫工筋、右外側広筋、右外側ハムストリングが活動することが分かっている。
本実施形態では、これらの筋肉の細かい振動を計測できるので、従来にはない観点から被検者の健康状態を判定することができる。
この実施形態では、MPU38内の通信I/F41から計測回路36に設けた通信部46を経て電圧信号を外部にデータ出力可能とする。通信部46によるデータ送信は、ケーブル等の有線であっても、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線であってもよい。
コンピュータ40は、一般的な市販のコンピュータを採用することができ、MPUやメモリ等から構成される制御部42を有している。制御部42は、予め設定されたプログラムによって動作する。
また、コンピュータ40は、片脚立位計測システム20から送信されたデータを受信する受信部44を備えている。受信部44としては、例えばBluetooth(登録商標)の受信部であったりリLANボードなどが考えられる。
ぐらつき具合の可視化は、例えば図14に示すように、グラフの中心を被検者の足の中心とし、x軸正方向を右、x軸負方向を左、y軸正方向を前、y軸負方向を後と設定し、制御部42は被検者の前後左右に相当する各圧電素子22の振動値の大きさをグラフ上にプロットする。
図14の下2つのグラフは、状態値(点数)が良い2人の被検者の例を示している。この場合、2人ともグラフの中心に振動値を表す点が集まっており、ぐらつきが極めて小さいだけでなく、重心が足の中心にあることがわかる。
このような場合、複数の片脚立位計測システム20から、インターネット上のデータサーバ48にデータを収集し、このデータサーバ48では多数の情報を共有することができ、片脚立位において大量のデータに基づく分析を実行可能となる。また、これらの分析は、インターネットを介して接続された他のコンピュータや携帯端末等がデータサーバ48に接続して内容を把握することができる。
21 踏板
22 圧電素子
23 本体部
24 ベースプレート
25 表示ユニット
26 表示部
28 操作部
30 スタートスイッチ
31 把持部
32 信号線
33 スイッチボタン
34 重量センサ
36 計測回路
37 計装アンプ
38 MPU
39 A/Dコンバータ
40 コンピュータ
41 通信I/F
42 制御部
44 受信部
46 通信部
48 データサーバ
Claims (7)
- 被検者の右脚又は左脚のうちのいずれか一方の足が載置される踏板と、
該踏板の下方に所定間隔をあけて配置されたベースプレートと、
前記踏板と前記ベースプレートの間の複数個所に取り付けられた圧電素子と、
各前記圧電素子から出力される電圧信号に基づく振動値の大きさを被検者のぐらつきの状態値として数値化する計測回路と、
該計測回路によって算出されたぐらつきの状態値を表示する表示部と、を具備することを特徴とする片脚立位計測システム。 - 各前記圧電素子は、被検者の足が載置される箇所の前後左右の4箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載の片脚立位計測システム。
- 前記ベースプレートの下面には、重量センサが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の片脚立位計測システム。
- 前記計測回路は、
各前記圧電素子から出力される信号電圧の大きさを被検者のぐらつきの状態値として数値化する際に、前記重量センサによって計測された被検者の体重の基準体重に対する割合を用いて補正することを特徴とする請求項3記載の片脚立位計測システム。 - 前記計測回路は、
予め設定された計測時間内に計測された各前記圧電素子から出力される電圧信号に基づく振動値の大きさ、又は、振動値の大きさが予め設定された値を基にした閾値を超えるまでの時間を被検者のぐらつきの状態値として数値化することを特徴とする請求項1~請求項4記載の片脚立位計測システム。 - 前記重量センサは、
前記ベースプレートの四隅に設けられていることを特徴とする請求項3記載の片脚立位計測システム。 - 前記計測回路に接続され、被検者が把持可能なスタートスイッチが設けられ、
前記計測回路は、各前記圧電素子から出力される電圧信号に基づく振動値の大きさを被検者のぐらつきの状態値として数値化の開始を、前記スタートスイッチが押下されたときから開始することを特徴とする請求項1~請求項6記載の片脚立位計測システム。
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