JP7117554B2 - 積層型電池の検査装置 - Google Patents
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Description
特許文献1記載の積層型電池70について図33を用いて説明する。図33は、積層型電池70の展開図で、上部外装体71と下部外装体72に積層体77が収納されている。積層体77は、複数の正極とセパレータと負極とを積層したものである。
そのため、正極と負極とを外装体に収めた後に、正極と負極の相対位置について放射線による透視検査が行われている。正極と負極の相対位置を高精度に検査する従来の検査方法としては、例えば、特許文献2記載の方法がある。
セパレータ付き負極81と正極79にて構築された、積層体77が、上部外装体71と下部外装体72に収められた積層型電池70において、特許文献2記載の従来の検査方法について図38を用いて説明する。図38は、特許文献2に記載の従来の検査装置100の構成を示す概略側面図である。
この検査装置100は、X線を照射するX線源101と、X線を受線して透過X線画像を出力するディテクタ102と、測定物を搭載するステージ103と、で構成されている。
ステージ103に搭載された積層型電池70は、所定の撮影位置になるようにステージ103にて、移動される。移動された積層型電池70にX線源101から出力されたX線が照射され、積層型電池70を透過したX線をディテクタ102にて受線することで透過X線画像が得られる。
図39に示すように、積層型電池70の1つ角にX線が照射され、撮影される。この時の図39のC-C‘断面を図40に示す。
図40Aに示すように、ステージ103に搭載された積層型電池70の角の上部中心に撮影する状態で、積層型電池70の角の上部を撮影し、上部画像104を得る。また、図42Bに示すように、ステージ103により、積層型電池70の角の中央部を中心に撮影する状態で、中央部画像105を得る。さらに、図42Cに示すように、ステージ103により、積層型電池70の角の下部を中心に撮影する状態で、下部画像106を得る。
図43Aに示すように、得られた上部画像104と中央部画像105と下部画像106をステージ103のz方向の移動量に基づいて画像を合成し、合成画像107を得る。
図44に示すように、合成画像107の正極像109と負極像108のギャップを測定する。このギャップ量から正極板のズレ量を把握し検査を行う。これらの作業をステージ103により、他の角に対して繰り返し行うことでズレ検査が可能である。
次に、このような検査方法のフローについて図45を用いて述べる。図45は従来の検査方法のフローチャートである。図45において、積層型電池70にある角は4個として、それぞれの角をC1、C2、C3、C4として説明する。
(1)検査装置100のステージ103に積層型電池70をセットする(S101)。
(2)積層型電池70のC1を撮影できるようにステージ103のzθで積層型電池70を移動する(S102)。
(3)角C1の上部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S103)。
(4)上部を中心で撮影し、上部画像104を得る(S104)。
(5)角C1の中央部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S105)。
(6)中央部を中心で撮影し、中央部画像105を得る(S106)。
(7)角C1の下部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S107)。
(8)下部を中心で撮影し、下部画像106を得る(S108)。
(9)上部画像104と中央部画像105と下部画像106をステージ103の移動量に基づき、画像を合成し、合成画像107を得る(S109)。
(10)得られた合成画像107の負極像108、正極像109の各層でのギャップを測定し、ズレを判定する(S110)。
(11)ステップS102からS110を角C2、C3、C4についても同様に繰り返し、角C1~C4における電極板のズレを検査する。
(12)ステージ103のx方向、y方向、z方向で積層型電池70を取り出し位置へ移動する(S111)。
(13)積層型電池70を検査装置100から取り出す(S112)。
以上の工程によって取り出された積層型電池70は、次の工程に進められる。
前記積層体の前記積層方向にわたって前記電極板の端部にX線を照射するX線源と、
前記積層体を前記積層方向に沿って搬送移動させるステージと、
前記積層体の端部に照射され、前記積層体を透過したX線を受け、透過X線画像を得るディテクタと、
前記積層体の前記積層方向に沿った複数枚の透過X線画像について、前記透過X線画像における前記電極板による像の前記積層方向に沿った強度のラインプロファイルの値が最大強度に対する閾値以上の領域を用いて、隣接する2つの前記透過X線画像で対応する前記電極板の像を接続して、前記積層体の前記積層方向の全体にわたる全体透過X線画像を画像合成する画像合成部と、
前記全体透過X線画像に基づいて前記積層体を構成する前記電極板の前記面内方向の位置を検出し、前記電極板の位置ズレを検査する検査部と、
を備える。
前記積層体の前記積層方向にわたって前記電極板の端部にX線を照射するX線源と、
前記積層体を前記積層方向に沿って搬送移動させるステージと、
前記積層体の端部に照射され、前記積層体を透過したX線を受け、透過X線画像を得るディテクタと、
前記積層体の前記積層方向に沿った複数枚の透過X線画像について、前記透過X線画像における前記電極板による像の前記積層方向に沿った強度のラインプロファイルの値が最大強度に対する閾値以上の領域を用いて、隣接する2つの前記透過X線画像で対応する前記電極板の像を接続して、前記積層体の前記積層方向の全体にわたる全体透過X線画像を画像合成する画像合成部と、
前記全体透過X線画像に基づいて前記積層体を構成する前記電極板の前記面内方向の位置を検出し、前記電極板の位置ズレを検査する検査部と、
を備える。
前記検査部は、画像補正後の前記全体透過X線画像に基づいて位置ズレを検査してもよい。
図1は、実施の形態1に係る積層型電池の検査装置10の構成を示すブロック図である。図2は、積層型電池の複数の電極板が積層された積層体15の端部にX線を照射し、透過した透過X線画像との関係を示す概略図である。実施の形態1に係る積層型電池の検査装置10は、複数の電極板が積層された積層体を含む積層型電池の検査装置であり、積層体を構成する前記各電極板の積層方向と垂直な面内方向の位置ズレを検査する。
この積層型電池の検査装置10は、X線源11と、ステージ(図示せず)と、ディテクタ12と、画像合成部35aと、検査部35bと、を備える。X線源11によって、積層体15の積層方向にわたって電極板の端部にX線を照射する。ステージによって積層体15を積層方向に沿って搬送移動させる。ディテクタ12によって、積層体15の端部に照射され、積層体15を透過したX線を受け、透過X線画像を得る。画像合成部35aによって、積層体15の積層方向(Z方向)に沿った複数枚の透過X線画像について、透過X線画像における電極板16、17による像26、27の積層方向に沿った強度のラインプロファイルの値が最大強度に対する閾値以上の領域を用いて、隣接する2つの透過X線画像で対応する電極板16、17の像26、27を接続して、積層体15の積層方向の全体にわたる全体透過X線画像を画像合成する。検査部35bによって、全体透過X線画像に基づいて積層体15を構成する電極板16、17の面内方向の位置を検出し、電極板16、17の位置ズレを検査する。
上記検査装置10によって、直進方向から外れた両端のX線ビームによる電極板の像26、27の拡がりを含む箇所を除いた最適な部分を用いて画像合成を行って良好なコントラストを有する全体透過X線画像を得ることができる。そこで、より正確に電極板の積層ズレを検査できる。
X線源11によって、積層体15の積層方向(Z方向)にわたって電極板16、17の端部にX線を照射する。X線源11には、例えば、拡大時の輪郭ボケを低減するマイクロファーカスX線で、透過性の観点から200kVのものを用いることができる。
ステージ(図示せず)によって、積層体15を積層方向(Z方向)に沿って搬送移動させる。この場合、積層体15の中央部と、上部及び下部による透過X線画像において重なりが生じるように積層体15を移動させているが、これに限られない。例えば、それぞれの透過X線画像において積層体の積層方向の全体にわたって電極板の像のラインプロファイルが閾値以上となる場合には、それぞれの透過X線画像に重なりがほとんどないように移動させてもよい。
制御部30は、例えば、コンピュータ装置である。このコンピュータ装置としては、汎用的なコンピュータ装置を用いることができ、例えば、図3に示すように、処理部31、記憶部32、表示部33を含む。なお、さらに、入力装置、記憶装置、インタフェース等を含んでもよい。
制御部30によって、X線源11と、ディテクタ12、ステージ13と、を制御する。
処理部31は、例えば、中央処理演算子(CPU)、マイクロコンピュータ、又は、コンピュータで実行可能な命令を実行できる処理装置であればよい。
記憶部32は、例えば、ROM、EEPROM、RAM、フラッシュSSD、ハードディスク、USBメモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の少なくとも一つであってもよい。
記憶部32には、プログラム35を含む。なお、制御部30がネットワークに接続されている場合には、必要に応じてプログラム35をネットワークからダウンロードしてもよい。
プログラム35には、画像合成部35aと、検査部35bとを含んでいる。画像合成部35aと、検査部35bとは、実行時には、記憶部32から読み出されて処理部31にて実行される。図9は、画像合成部35aによる画像合成方法のフローチャートである。図10は、検査部35bによる検査方法のフローチャートである。
図9に示すように、画像合成部35aによる画像合成は、以下のステップで行われる。
(1)積層体の前記積層方向に沿った複数枚の透過X線画像を得る(S01)。
(2)複数枚の透過X線画像について、各透過X線画像における電極板による像の積層方向(Z方向)に沿った強度のラインプロファイルを得る(S02)。
(3)ラインプロファイルの値が最大強度に対する閾値以上の領域を用いて、隣接する2つの透過X線画像で対応する電極板の像を接続して、積層体の積層方向の全体にわたる全体透過X線画像を画像合成する(S03)。なお、上記閾値は、例えば、ラインプロファイルにおける最大強度の75%である。閾値が最大強度の75%以上の領域は、図8A、図8B等に示すように、電極板の像26、27が良好なコントラストを有する領域である。
以上によって良好なコントラストを有する全体透過X線画像を得ることができる。
(a)全体透過X線画像に基づいて積層体を構成する電極板の面内方向の位置を検出する(S11)。
(b)検出した電極板の面内位置が許容範囲か否か判断して位置ズレを検査する(S12)。
以上によって、積層型電池における電極板の位置ズレをより正確に検査できる。
表示部33は、例えば、画像合成部35aによって算出されたラインプロファイルや、各透過X線画像、全体透過X線画像等を表示してもよい。
図11Aは、積層体の上部の角にX線を照射した場合の照射位置と積層体との配置関係を示す概略図である。図11Bは、積層体の中央部の角にX線を照射した場合の照射位置と積層体との配置関係を示す概略図である。図11Cは、積層体の下部の角にX線を照射した場合の照射位置と積層体との配置関係を示す概略図である。図12Aは、図11Aの積層体の上部の角にX線を照射した場合に得られる透過X線画像を示す概略図である。図12Bは、図11Bの積層体の中央部の角にX線を照射した場合に得られる透過X線画像を示す概略図である。図12Cは、図11Cの積層体の下部の角にX線を照射した場合に得られる透過X線画像を示す概略図である。
なお、上記閾値42は、例えば、ラインプロファイルにおける最大強度の75%である。これは、2つの明点が近接した場合にそれぞれを2つの点として認識するには2つの点境界を弁別する必要があり、その点境界の弁別条件として一般に最大強度の25%未満であることが知られていることに基づくものである。上記明点は、輝度が反転した黒点であっても同様である。また、透過X線画像では、電極板の像はX線が透過しない影として形成されるので、ディテクタによる透過X線画像において上記強度は、100%透過する場合の透過X線の強度からの差分として換算すればよい。
図16は、実施の形態2に係る積層型電池の検査装置10aの構成を示すブロック図である。図17は、実施の形態1に係る積層型電池の検査装置の方法を示す図である。図18は、図17の積層型電池の検査装置の斜視図である。図19は、積層体77と基準マーカ201との配置関係を示す概略図である。図16において、図1と同じ構成要素については説明を省略する。図17において、図33~図44と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
本発明者は、特許文献1及び2等に記載の従来の検査方法において、次の問題点があることも見出していた。つまり、図42A乃至図42Cに示すように、上部画像104の両端部と中央部で倍率が異なる。同様に中央部画像105と下部画像106も両端部と中央部で異なる。そのため、上部画像104と中央部画像105と下部画像106との画像をステージ103の移動量に基づき、画像を合成しても、誤差が生じてしまいギャップ計測に誤差が発生し、ズレ検査の精度が低下してしまうという課題を有している。
そこで、本発明者は、各画像に写り込むように基準マーカを配置し、基準マーカ像が映り込んだ透過X線画像を基準マーカ像に基づいて各画像について画像補正を行うことで、全体合成X線画像における誤差を抑制できることを見出し、実施の形態2に係る開示に至ったものである。
図23Aは、実施の形態2において用いる基準マーカの較正を示す概略斜視図である。図23Bは、図23Aの基準マーカの詳細なサイズを示す図である。
基準マーカ201は、マーカ取付部材202により、ステージ103に取り付けられており、ステージ103にて、幅150mm、高さ80mm、厚み28.8mmの積層型電池70と一緒に、z方向、x方向、y方向に移動することが出来る。さらにyθに傾斜することと、zθに回転させることが出来る。
また、基準マーカ201は、積層型電池70の各角の近接に、配置されている。例えば、積層型電池70の各角の頂点と基準マーカ201との間隔は、位置による倍率誤差を最小限に留めるため1mmとしてもよい。なお、ここでは、透過X線画像における一定の長さとして、図23Bでは凹凸の幅をそれぞれ1.6mmとしているが、これに限られず、それ以下の幅としてもよい。
また、基準マーカ201は、透過X線画像に像として映る材料を含んでもよい。
(1)ステージ103に搭載された積層型電池70と基準マーカ201は、積層型電池70の角と基準マーカ201の配置を保ったまま、所定の撮影位置になるようにステージ103にて移動される。
(2)移動された積層型電池70にX線源101から出力されたX線が照射され、積層型電池70を透過したX線をディテクタにて受線することで透過X線画像が得られる。
積層型電池70の1つ角と基準マーカ201にX線が照射し、撮影される。
図19に示すように、上部外装体71と下部外装体72に画成された内部に積層体77が収められており、その近傍に基準マーカ201が一緒に透過X線画像に映りこむように配置されている。ズレ量の測定は、積層体77の正極79と負極85の各層のギャップ量を測ることで測定できるので、積層体77と基準マーカ201が一緒に映った画像を測定に用いることで可能となる。
(a)図20Aに示すように、ステージ103に搭載された積層型電池70の角と基準マーカ201の積層型電池70の厚み方向の上部中心に撮影する状態で、積層型電池70の角と基準マーカ201の上部を一緒に撮影し、上部画像204を得る。
(b)図20Bに示すように、ステージ103により、積層型電池70の角と基準マーカ201の積層型電池70の厚み方向の中央部を中心に一緒に撮影する状態で、中央部画像205を得る。
(c)図20Cに示すように、ステージ103により、積層型電池70の角と基準マーカ201の積層型電池70の厚み方向の下部を中心に一緒に撮影する状態で、下部画像206を得る。
以上、図20A乃至図20Cに示すように、上部画像204と中央部画像205と下部画像206において、それぞれ正極像209と負極像208と基準マーカ像210が得られる。
図22に示すように、合成画像207を、さらに、中央部画像205に映り込んだ基準マーカ像210より得られる倍率差に基づき、補正後の合成画像211を得る。補正後の合成画像211の正極像209と負極像208のギャップを測定する。このギャップ量からズレ量を把握し検査を行う。これらの作業をステージ103により、他の角に対して繰り返し行うことでズレ検査が可能となる。
これらの画像では、特に説明に関係しない外装体の像を省略し、説明に関係する正極像209と、負極像208と、基準マーカ像210と、基準マーカ像210の幅A~Iとを用いて説明する。
先ず初めに、画像合成について説明する。
(1)上部画像204の基準マーカ像210の幅A,B,Cのピクセル数をそれぞれ測定し、理論上の画素分解能0.03mm/ピクセルを掛けて幅をそれぞれ算出する。これらの算出結果と基準マーカ201の実寸法1.6mmから倍率の分布を求める。
(2)同様に、下部画像206も基準マーカ像210の幅G、H、Iのピクセル数をそれぞれ測定し、理論上の画素分解能0.03mm/ピクセルを掛けて幅をそれぞれ算出する。これらの算出結果と基準マーカ201の実寸法1.6mmから倍率の分布を求める。
(3)さらに、中央部画像205も、基準マーカ像210の幅A~Iのピクセル数をそれぞれ測定し、理論上の画素分解能0.03mm/ピクセルを掛けて幅をそれぞれ算出する。これらの算出結果と基準マーカ201の実寸法1.6mmから倍率の分布を求める。
(4)このようにして、得られた上部画像204、中央部画像205、下部画像206、のそれぞれの倍率の分布を用いて、各画像の補正を実施し、補正後の各画像を合成する。具体的には、中央部画像205の基準マーカ像210の幅A,B,Cの倍率と、上部画像204の基準マーカ像210の幅A,B,Cの倍率とが同じになるように、倍率補正をする。ここでは、中央部画像205に、上部画像204を合わせ込む。
(6)そして、合わせ込んだ画像を、ステージ103のz方向の移動量に基づき、中央部画像205の上部画像204と下部画像206の対応範囲を削除し、連結する画像合成を行うと合成画像207となる。ステージ103のz方向移動量については、理論上の画素分解能0.03mm/ピクセルと実際の移動量の中央部画像205の撮影位置±19.3mmより算出された中央部画像205のピクセル位置で行う。
次に、画像補正について説明する。
(i)合成画像207の基準マーカ像210の幅A~Iのピクセル数をそれぞれ測定し、理論上の画素分解能0.03mm/ピクセルを掛けて幅をそれぞれ算出する。これらの算出結果と基準マーカ201の実寸法1.6mmから倍率の分布を求め、幅A~Iの倍率の分布が全て等しくなるように、合成画像207を倍率補正する。この時の幅A~Iの補正処理を施す領域は、画像の幅方向では、各幅A~Iの中心±1.6mmで、画像の高さ方向とする。つまり、合成画像207のサイズが幅28.8mm×高さ28.8mmであった場合、各幅A~Iの中心±1.6mm×28.8mmということになる。このようにして、補正された画像が補正後画像211となる。
(ii)そして、補正後画像211の正極像109と負極像108のギャップを測定することで、電極板のズレ量を把握し、検査を行うことが出来る。
次に、実施の形態2に係る積層型電池の検査方法のフローについて図27を用いて述べる。図27は、実施の形態2に係る検査方法のフローチャートである。
図27において、積層型電池70にある角と基準マーカ201は4個として、それぞれの角をC1、C2、C3、C4として説明する。
(1)積層型電池の検査装置200に積層型電池70をセットする(S21)。
(2)積層型電池70のC1と基準マーカ201を撮影できるようにステージ103のzθで積層型電池70を移動する(S22)。
(3)角C1と基準マーカ201の上部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S23)。
(4)角C1と基準マーカ201の上部を中心で撮影し、上部画像204を得る(S24)。
(5)角C1と基準マーカ201の中央部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S25)。
(6)角C1と基準マーカ201の中央部を中心で撮影し、中央部画像205を得る(S26)。
(7)角C1と基準マーカ201の下部を中心に撮影できる状態になるようにステージ103でx方向、y方向、z方向で積層型電池70の位置を移動する(S27)。
(8)角C1と基準マーカ201の下部を中心で撮影し、下部画像206を得る(S28)。
(9)上部画像204、中央部画像205、下部画像206のそれぞれの基準マーカ像210より倍率分布を測定する(S29)。
(10)ステップS29で得られた倍率の分布に基づき、画像合成を行うために倍率を調整する(S30)。
(11)上部画像204、下部画像206の各画像より得られた倍率分布に基づき補正した画像をステージ103の移動量と中央部画像205の倍率分布に基づき、画像を合成し、合成画像207を得る(S31)。
(12)合成画像207の倍率分布を測定する(S32)。
(13)合成画像207の基準マーカ像210より、倍率分布と中央部画像205の倍率分布に基づき、合成画像207を補正し、補正後の合成画像211を得る(S33)。
(14)得られた補正後の合成画像211の負極像208、正極像209の各層でのギャップを測定し、ズレを判定する(S34)。
(15)ステップS22からS34を角C2、C3、C4についても同様に繰り返し、角C1~C4における電極板のズレを検査する。
(16)ステージ103のx方向、y方向、z方向で積層型電池70を取り出し位置へ移動する(S35)。
(17)積層型電池70を積層型電池の検査装置200から取り出す(S36)。
以上の工程によって取り出された積層型電池70は、次の工程に進められる。
図28Aでは、縦軸が従来の検査方法によるズレ量で、横軸がX線CT装置によるズレである。縦軸、横軸ともに、単位はmmである。
図28Bでは、縦軸が本実施の形態2に係る検査方法によるズレ量で、横軸がX線CT装置によるズレである。縦軸、横軸ともに、単位はmmである。
図28A及び図28Bを比較してみると、図28Aの相関係数は0.9252、図28Bの相関係数は0.9639であった。よって、本実施の形態2に係る検査方法により相関係数が向上したので、効果があったと判断できる。
次に、実施の形態2における基準マーカ201が装置の空間的な制約で設置できない場合について図29乃至図32を用いて説明する。図29は、実施の形態3の基準マーカの説明図である。図29乃至32において、図17から図28B及び図34乃至図37、図38乃至図44と同じ構成要素や原理については、同じ符号を用い、説明を省略する。
図29は、基準マーカ201が装置の空間的な制約で設置できない場合を示す場合の装置構成300を示す斜視図である。
この積層型電池の検査装置300は、X線を照射するX線源101と、X線を受線してX線画像を出力するディテクタ102と、測定物を搭載するステージ103と、で構成されている。
ステージ103は、マーカ付き積層型電池700を搭載し、z方向、x方向、y方向に移動することが出来る。さらにyθに傾斜することと、zθに回転させることが出来る。この時のx方向は、ディテクタ102とX線源101の方向である。y方向は、図36の紙面上の手前奧の方向である。z方向は、ステージ103と搭載されたマーカ付き積層型電池700の方向である。yθは、y方向の軸を中心に傾斜する方向で、マーカ付き積層型電池700をディテクタ102とX線源101の方向に傾斜させる。また、zθは、z方向の軸を中心に積層型電池700を回転させる。
ステージ103に搭載されたマーカ付き積層型電池700は、所定の撮影位置になるようにステージ103にて、移動される。移動されたマーカ付き積層型電池700にX線源101から出力されたX線が照射され、マーカ付き積層型電池700を透過したX線をディテクタにて受線することで透過X線画像が得られる。
図31は、マーカ付き積層型電池700の展開図である。マーカ付き積層型電池700の外装体の基準マーカ711について述べる。マーカ付き積層型電池700の各角C1~C4に、外装体の基準マーカ711は配置されている。
外装体の基準マーカ711には、基準マーカ部712が形成されている。外装体の材質は、積層型電池の外装体に一般的に用いられるアルミニウムの複合材料である。基準マーカ部712は、マーカ付き積層型電池700の厚み28.8mmの長さで、凸部分、凹分が1.6mmピッチで交互に配置されている。外装体の基準マーカ711の像では、A~Iの幅を測定することで倍率の差を求めることができる。
そこで、実施の形態2と同様の要領で、上部画像、中央部画像、下部画像は、ステージ103のz方向の移動で得られる。具体的には、中央部画像がマーカ付き積層型電池700の厚み方向の全域で幅A~Iが映るように、幅Eの中点を中心に撮影される。また、上部画像が、幅A,B,Cが映り込むように撮影される。さらに、下部画像が、幅G、H、I、が映り込むように撮影される。
さらに、上部画像は、幅Bの中点が中心に±4.8mmで撮影され、下部画像は、幅Hの中点が中心に±4.8mmで撮影される。よって、ステージ103のz方向の位置は、この時、上側をプラスとすると中央部画像に撮像位置に対して、+19.2mmで上部画像、-19.2mmで下部画像が撮影される。
したがって、実施の形態3においても実施の形態2と同等の補正後画像が得られ、正極像と負極像のギャップを測定することで、実施の形態2と同等の精度で、ズレ量を把握し検査を行うことが出来る。なお、基準マーカ部712を外装体に形成したが、缶形状の外装体に、基準マーカ711のような部材を装着しても、基準の幅が画像上でピクセル測定可能であれば、問題はない。
11 X線源
12 ディテクタ
13 ステージ
14 角
15 積層体
16 負極板
17 正極板
21、21a、21b、21c X線ビーム
26 負極像
27 正極像
28 負極影
30 制御部(コンピュータ装置)
31 処理部
32 記憶部
33 表示部
35 プログラム
35a 画像合成部
35b 検査部
35c 画像補正部
41 ラインプロファイル
42 閾値
43a、43b 繋ぎ位置
70 積層型電池
71 上部外装体
72 下部外装体
77 積層体
78 正極リード部
79 正極
80 セパレータ付き負極リード部
81 セパレータ付き負極
85 負極
86 上部セパレータ
87 下部セパレータ
88 負極リード部
90 正極芯材
91 上部正極活物質
92 下部正極活物質
96 負極芯材
97 上部負極活物質
98 下部負極活物質
100 検査装置
101 X線源
102 ディテクタ
103 ステージ
104 上部画像
105 中央部画像
106 下部画像
107 合成画像
108 負極像
109 正極像
200 積層型電池の検査装置
201 基準マーカ
202 マーカ取付部材
204 上部画像
205 中央部画像
206 下部画像
207 合成画像
208 負極像
209 正極像
210 基準マーカ像
211 補正後の合成画像
302 基準マーカ部
303 取付フランジ
600 積層型電池の検査装置
700 マーカ付き積層型電池
701 マーカ付き上部外装体
702 マーカ付き下部外装体
711 外装体の基準マーカ
712 外装体の基準マーカ部
Claims (10)
- 複数の電極板が積層された積層体を含む積層型電池の検査装置において、前記積層体を構成する前記各電極板の積層方向と垂直な面内方向の位置ズレを検査する積層型電池の検査装置であって、
前記積層体の前記積層方向にわたって前記電極板の端部にX線を照射するX線源と、
前記積層体を前記積層方向に沿って搬送移動させるステージと、
前記積層体の端部に照射され、前記積層体を透過したX線を受け、透過X線画像を得るディテクタと、
前記積層体の前記積層方向に沿った複数枚の透過X線画像について、前記各透過X線画像における前記電極板による像の前記積層方向に沿った強度のラインプロファイルの値が透過量の最大強度に対する閾値以上の前記各透過X線画像における領域を特定し、前記各透過X線画像の特定された前記閾値以上の前記領域を用いて、前記積層方向について隣接する2つの前記透過X線画像で対応する前記電極板の像を接続して、前記積層体の前記積層方向の全体にわたる全体透過X線画像を画像合成する画像合成部と、
前記全体透過X線画像に基づいて前記積層体を構成する前記電極板の前記面内方向の位置を検出し、前記電極板の位置ズレを検査する検査部と、
を備えた、検査装置。 - 前記画像合成部において画像合成する領域を判定するための前記閾値は、前記ラインプロファイルの最大強度に対して75%である、請求項1に記載の検査装置。
- 前記透過X線画像に、前記積層体と一緒に映りこむ位置に設けられ、前記積層方向に沿って、所定の一定の長さの部分が繰り返されて延在している各部分を含む基準マーカであって、前記透過X線画像に影として映る材料を含み、前記全体透過X線画像における複数の前記透過X線画像に映り込んでいる前記基準マーカの前記各部分に倍率を乗じて画像補正を行うための前記基準マーカをさらに備えた、請求項1又は2に記載の検査装置。
- 前記各透過X線画像に映り込んでいる前記基準マーカを用いて、前記各透過X線画像に映り込んでいる前記基準マーカの前記所定の一定の長さに対応する各部分を前記所定の一定の長さとなるように換算する倍率を前記各部分ごとに算出し、前記全体透過X線画像における複数の前記透過X線画像の前記各部分に前記倍率を乗じて画像補正を行う画像補正部をさらに備え、
前記検査部は、画像補正後の前記全体透過X線画像に基づいて位置ズレを検査する、請求項3に記載の検査装置。 - 前記基準マーカは、等ピッチで溝を形成した基準マーカである、請求項3又は4に記載の検査装置。
- 前記基準マーカは、等ピッチで凹凸を形成した基準マーカである、請求項3又は4に記載の検査装置。
- 前記基準マーカは、前記積層体を含む電池の外装体に形成されている、請求項3又は4に記載の検査装置。
- 前記基準マーカは、ステンレスを含む、請求項3から7のいずれか一項に記載の検査装置。
- 前記基準マーカは、アルミニウムを含む、請求項3から8のいずれか一項に記載の検査装置。
- 前記X線源は、マイクロフォーカスX線源を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の検査装置。
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