JP7116634B2 - 蓄電モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電モジュールに関する。
従来の蓄電モジュールとしては、例えば特許文献1に記載されているように、電極板の一方面に正極が形成されると共に電極板の他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備える蓄電モジュールが知られている。蓄電モジュールは、複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体と、この電極積層体を封止する封止体とを備えている。蓄電モジュールの内部空間には、電解液が収容されている。
特開2011-204386号公報
上記のような蓄電モジュールでは、電極積層体の積層方向の一端部に負極終端電極が配置されている。負極終端電極は、電極板の片面に負極のみが形成された電極である。負極終端電極の電極板は、バイポーラ電極と同様に封止体により封止されている。しかし、電解液がアルカリ溶液からなる場合、いわゆるアルカリクリープ現象によって、電解液が負極終端電極の電極板と封止体との間を通って外部に漏液してしまうことがある。電解液が外部に漏れ出て拡散すると、例えば負極終端電極に隣接して配置された導電板の腐食、負極終端電極と拘束部材との短絡等が生じるおそれがあり、信頼性を低下させる要因となる可能性がある。
本発明の目的は、アルカリクリープ現象により電解液が外部に漏液することを十分に抑制できる蓄電モジュールを提供することである。
本発明の一態様は、電極積層体と、電極積層体を封止する封止体とを備え、アルカリ溶液を含む電解液が内部空間に収容された蓄電モジュールにおいて、電極積層体は、電極板の一方側の第1主面に形成された正極と電極板の他方側の第2主面に形成された負極とを有するバイポーラ電極が複数積層されてなるバイポーラ電極群と、バイポーラ電極群の積層方向の一端側に配置され、電極板の第1主面に正極が形成された正極終端電極と、バイポーラ電極群の積層方向の他端側に配置され、電極板の第2主面に負極が形成された負極終端電極とを有し、電極積層体の負極終端電極側の端部には、金属板が配置されており、封止体は、バイポーラ電極、正極終端電極及び負極終端電極の電極板と金属板とを保持する第1封止部と、第1封止部の周囲に配置された第2封止部とを有し、第1封止部は、バイポーラ電極及び正極終端電極の電極板の第1主面の縁部に接合された複数の第1樹脂部と、負極終端電極の電極板の第1主面の縁部及び金属板の一方側の第3主面の縁部に接合された第2樹脂部と、金属板の他方側の第4主面の縁部及び第2樹脂部に接合された第3樹脂部とを有し、負極終端電極の電極板の第1主面と第2樹脂部との境界部分は、第1シール領域を構成し、金属板の第3主面と第2樹脂部との境界部分は、第2シール領域を構成し、金属板の第4主面と第3樹脂部との境界部分は、第3シール領域を構成し、積層方向に垂直な方向における金属板の寸法は、積層方向に垂直な方向における電極板の寸法よりも大きい。
このような蓄電モジュールにおいては、電極積層体の負極終端電極側の端部に配置された金属板と、負極終端電極の電極板の第1主面の縁部及び金属板の第3主面の縁部に接合された第2樹脂部と、金属板の第4主面の縁部及び第2樹脂部に接合された第3樹脂部とを備えることにより、負極終端電極の電極板と第2樹脂部との境界部分である第1シール領域と、金属板と第2樹脂部との境界部分である第2シール領域と、金属板と第3樹脂部との境界部分である第3シール領域とが形成される。これにより、内部空間から外部までのシール長が長くなるため、いわゆるアルカリクリープ現象による電解液の漏液が生じにくくなる。
ここで、積層方向に垂直な方向における金属板の寸法は、積層方向に垂直な方向における電極板の寸法よりも大きくなっている。従って、金属板と電極板との寸法差を十分確保することで、公差や組立時の積層精度によらず、金属板によって第1シール領域が全体的に確実に負極終端電極の電極板に対して押さえられるため、アルカリクリープ現象により第2樹脂部が負極終端電極の電極板から引き剥がされることが抑制される。このため、第2樹脂部と負極終端電極の電極板との隙間の拡大が抑制される。また、積層方向に垂直な方向における金属板の寸法が積層方向に垂直な方向における電極板の寸法よりも大きいので、第2シール領域及び第3シール領域が第1シール領域よりも長くなる。以上により、アルカリクリープ現象による電解液の漏液が一層生じにくくなる。従って、アルカリクリープ現象により電解液が外部に漏液することが十分に抑制される。
金属板は、第2樹脂部及び第3樹脂部と接合された被接合部と、被接合部よりも積層方向に垂直な方向の内側に配置され、負極終端電極の電極板の第1主面に接触する被接触部と、被接合部と被接触部とを接続する接続部とを有し、負極終端電極の電極板と金属板との間には、電極板、接続部及び第2樹脂部によって形成された余剰空間が設けられていてもよい。このような構成では、負極終端電極の電極板と金属板との間の余剰空間が狭くなるように制限される。従って、アルカリクリープの促進条件となり得る余剰空間の湿度の影響が抑制される。また、積層方向に垂直な方向における金属板の寸法が大きくなったので、外部の湿度が第2樹脂部を透過する経路が塞がれることで、余剰空間の温度上昇が抑えられ、ひいてはアルカリクリープが抑えられる。
第2封止部の積層方向の両端部には、積層方向に垂直な方向の内側に張り出して第1封止部を積層方向に挟むオーバーハング部がそれぞれ設けられており、オーバーハング部は、電極板及び金属板と重なっていてもよい。このような構成では、蓄電モジュールの充放電の繰り返しによる蓄電モジュールの内圧上昇に対する耐圧を確保し、蓄電モジュールの膨れ上がりを抑制することができる。
本発明によれば、アルカリクリープ現象により電解液が外部に漏液することを十分に抑制できる。
本発明の一実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。 図1に示された蓄電モジュールの概略断面図である。 図2に示された蓄電モジュールの要部拡大断面図である。 比較例に係る蓄電モジュールの要部拡大断面図である。 他の比較例に係る蓄電モジュールの要部拡大断面図である。 図3に示された蓄電モジュールにおいて、負極終端電極の電極板及び金属板にバリが設けられた状態を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車または電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。
蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール2を備えている。蓄電モジュール2は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池または電気二重層キャパシタ等である。ここでは、蓄電モジュール2として、ニッケル水素二次電池を例示する。
複数の蓄電モジュール2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置する蓄電モジュール2の積層方向の外側にも配置されている。蓄電モジュール2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を呈している。導電板3は、隣り合う蓄電モジュール2と電気的に接続されている。これにより、複数の蓄電モジュール2が積層方向に直列接続されている。蓄電モジュール2については、後で詳述する。
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
導電板3は、蓄電モジュール2で発生した熱を放出する放熱板としての機能も併せ持っている。導電板3には、蓄電モジュール2の積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の流路3aが設けられている。これらの流路3aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
また、蓄電装置1は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に挟む1対のエンドプレート7と、これらのエンドプレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
エンドプレート7は、金属で形成されている。各エンドプレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。エンドプレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を呈している。ボルト8の軸部8aが各エンドプレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、蓄電モジュール2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
図2は、蓄電モジュール2の概略断面図である。図2において、蓄電モジュール2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。蓄電モジュール2は、電極積層体11と、この電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12とを備えている。
電極積層体11は、複数のバイポーラ電極13がセパレータ14を介して積層されてなるバイポーラ電極群15と、このバイポーラ電極群15の積層方向の一端側(ここでは下側)に配置された正極終端電極16と、バイポーラ電極群15の積層方向の他端側(ここでは上側)に配置された負極終端電極17とを有している。バイポーラ電極13、セパレータ14、正極終端電極16及び負極終端電極17は、例えば平面視矩形状を呈している。
セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、電極板18と、この電極板18の一方側の主面18a(第1主面)に形成された正極19と、電極板18の他方側の主面18b(第2主面)に形成された負極20とを有している。バイポーラ電極13の正極19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極20と対向している。バイポーラ電極13の負極20は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極19と対向している。
正極終端電極16は、電極板18と、この電極板18の主面18aに形成された正極19とを有している。負極終端電極17は、電極板18と、この電極板18の主面18bに形成された負極20とを有している。正極終端電極16の正極19は、セパレータ14を挟んでバイポーラ電極群15の最下層のバイポーラ電極13の負極20と対向している。負極終端電極17の負極20は、セパレータ14を挟んでバイポーラ電極群15の最上層のバイポーラ電極13の正極19と対向している。正極終端電極16及び負極終端電極17の電極板18は、積層方向に隣り合う導電板3(図1参照)とそれぞれ電気的に接続されている。
電極板18は、例えばニッケルまたはニッケルメッキからなる矩形の金属箔である。電極板18の主面18a,18bは、粗面化されている。正極19は、電極板18の主面18aに正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極20は、電極板18の主面18bに負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。電極板18の縁部は、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
セパレータ14は、正極19と負極20との間に配置され、正極19と負極20とを隔離する。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PPまたはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。
電極積層体11の負極終端電極17側の端部には、金属板21が配置されている。つまり、金属板21は、負極終端電極17の上側に配置されている。金属板21は、電極板18と同じ金属で形成されている。金属板21の厚み(Z軸方向の寸法)は、例えば電極板18の厚みと同等である。金属板21は、活物質が塗工されていない金属箔(未塗工箔)である。
積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法は、積層方向に垂直な方向における電極板18の寸法よりも大きい。つまり、金属板21のX軸方向及びY軸方向の寸法は、電極板18のX軸方向及びY軸方向の寸法よりも大きい。従って、金属板21の周縁は、電極板18の周縁よりも積層方向に垂直な方向の外側に位置している。
金属板21の一方側の主面21a(第3主面)及び他方側の主面21b(第4主面)は、封止体12と接合されている。また、金属板21の主面21aは、負極終端電極17の電極板18(以下、電極板18Aということがある)の主面18aと接触している。金属板21の主面21aは、電極板18Aの主面18aと対面している。なお、金属板21の主面21a,21bは、粗面化されている。
具体的には、金属板21は、封止体12と接合された被接合部22と、この被接合部22よりも積層方向に垂直な方向の内側に配置され、電極板18Aの主面18aに接触する被接触部23と、被接合部22と被接触部23とを接続する接続部24とを有している。接続部24は、被接合部22及び被接触部23に対して傾斜している。被接触部23は、電極板18A側に窪むように接続部24と共に断面略U字状に折り曲げられている。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂により矩形環状に形成されている。封止体12は、電極積層体11を包囲するように配置されている。封止体12は、バイポーラ電極13、正極終端電極16及び負極終端電極17の電極板18と金属板21とを保持する第1封止部25と、この第1封止部25の周囲に配置されると共に第1封止部25と接合された第2封止部26とを有している。第1封止部25及び第2封止部26の樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
第1封止部25は、バイポーラ電極13及び正極終端電極16の電極板18の主面18aの縁部に溶着により接合された複数の第1樹脂部27と、負極終端電極17の電極板18の主面18aの縁部及び金属板21の主面21aの縁部に溶着により接合された第2樹脂部28と、金属板21の主面21bの縁部及び第2樹脂部28に溶着により接合された第3樹脂部29とを有している。従って、金属板21の被接合部22は、第2樹脂部28及び第3樹脂部29に溶着により接合されている。なお、電極板18の主面18bは、第1樹脂部27に溶着(接合)されていない(図3参照)。
第1樹脂部27、第2樹脂部28及び第3樹脂部29は、例えば超音波または熱により溶着されている。第1樹脂部27、第2樹脂部28及び第3樹脂部29は、枠状を呈している。第1樹脂部27、第2樹脂部28及び第3樹脂部29は、電極板18及び金属板21の周縁よりも積層方向に垂直な方向の外側に張り出している。
図3に示されるように、負極終端電極17の電極板18(電極板18A)の主面18aと第2樹脂部28との境界部分は、第1シール領域30を構成している。金属板21の主面21aと第2樹脂部28との境界部分は、第2シール領域31を構成している。金属板21の主面21bと第3樹脂部29との境界部分は、第3シール領域32を構成している。
負極終端電極17の電極板18(電極板18A)と金属板21との間には、電極板18A、接続部24及び第2樹脂部28によって形成された断面三角形状の余剰空間33が設けられている。
第2封止部26は、蓄電モジュール2の外壁(筐体)を構成している。第2封止部26は、角筒状を有している。第2封止部26は、例えば射出成形により形成されている。第2封止部26は、例えば射出成形時の熱により第1封止部25の外側面に溶着(接合)されている。
第2封止部26の積層方向の両端部には、積層方向に垂直な方向の内側に張り出して第1封止部25を積層方向に挟むオーバーハング部34がそれぞれ設けられている。オーバーハング部34は、枠状を呈している。オーバーハング部34は、電極板18及び金属板21と重なっている。一方のオーバーハング部34は、正極終端電極16の電極板18の主面18bに接触している。他方のオーバーハング部34は、第3樹脂部29に溶着(接合)されている。なお、正極終端電極16の電極板18の主面18bは、第1封止部25に溶着(接合)されていてもよい。
積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13と正極終端電極16との間、及び積層方向に隣り合うバイポーラ電極13と負極終端電極17との間には、電極板18、正極19、負極20、第1封止部25及び第2封止部26によって形成された内部空間Vがそれぞれ設けられている。第1封止部25及び第2封止部26は、各内部空間Vを封止する。
各内部空間Vには、アルカリ性の電解液L(図4参照)が収容されている。アルカリ性の電解液Lとしては、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液が用いられている。電解液Lは、セパレータ14、正極19及び負極20の内部に含浸されている。
図4は、比較例に係る蓄電モジュールの要部拡大断面図である。図4において、本比較例の蓄電モジュール100は、上記の金属板21及び第3樹脂部29が設けられていない点で、本実施形態の蓄電モジュール2と相違している。
蓄電モジュール100では、いわゆるアルカリクリープ現象によって、内部空間Vの電解液Lが負極終端電極17の電極板18(電極板18A)と第2樹脂部28との間を通って電極板18Aの主面18a側に滲み出ることがある(図4中の矢印A参照)。具体的には、電解液Lが電極板18Aと第2樹脂部28と間を通る際に、電解液Lが電極板18Aと第2樹脂部28とを引き剥がす駆動力が発生するため、電極板18Aと第2樹脂部28との隙間が拡大し、電解液Lの漏液が生じやすくなる。アルカリクリープ現象は、電気化学的な要因及び流体現象等により、蓄電装置1の充電時及び放電時並びに無負荷時において生じ得る。また、アルカリクリープ現象は、負極電位、水分及び電解液の通り道が存在することにより生じ、時間の経過と共に進行する。
このような課題に対し、本実施形態では、電極積層体11の負極終端電極17側の端部に配置された金属板21と、負極終端電極17の電極板18の主面18aの縁部及び金属板21の主面21aの縁部に接合された第2樹脂部28と、金属板21の主面21bの縁部及び第2樹脂部28に接合された第3樹脂部29とを備えることにより、負極終端電極17の電極板18と第2樹脂部28との境界部分である第1シール領域30と、金属板21と第2樹脂部28との境界部分である第2シール領域31と、金属板21と第3樹脂部29との境界部分である第3シール領域32とが形成される。これにより、内部空間Vから外部までのシール長が長くなるため、いわゆるアルカリクリープ現象による電解液Lの漏液が生じにくくなる。
ここで、積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法は、積層方向に垂直な方向における電極板18の寸法よりも大きくなっている。従って、金属板21と電極板18との寸法差を十分確保することで、公差や組立時の積層精度によらず、金属板21によって第1シール領域30が全体的に確実に負極終端電極17の電極板18に対して押さえられるため、アルカリクリープ現象の駆動力が低減し、第2樹脂部28が負極終端電極17の電極板18から引き剥がされることが抑制される。このため、第2樹脂部28と負極終端電極17の電極板18との隙間の拡大が抑制される。また、積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法が積層方向に垂直な方向における電極板18の寸法よりも大きいので、第2シール領域31及び第3シール領域32が第1シール領域30よりも長くなる。以上により、アルカリクリープ現象による電解液Lの漏液が一層生じにくくなる。従って、アルカリクリープ現象により電解液Lが外部に漏液することが十分に抑制される。その結果、導電板3の腐食、負極終端電極17と拘束部材との短絡等を防止し、蓄電モジュール2の信頼性を十分に確保することができる。
図5は、他の比較例に係る蓄電モジュールの要部拡大断面図である。図5において、本比較例の蓄電モジュール150は、積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法が積層方向に垂直な方向における電極板18の寸法と等しい点で、本実施形態の蓄電モジュール2と相違している。
電極板18及び金属板21のカット時には、電極板18及び金属板21の縁部にバリPが発生する。蓄電モジュール150では、電極板18のバリPと金属板21のバリPとが互いに向き合うように、電極板18及び金属板21が配置されている。この場合には、電極板18及び金属板21と第2樹脂部28とを溶着した際に、各バリPが積層方向に第2樹脂部28を突き破り、結果的にバリP同士が接触して繋がってしまう可能性がある。バリP同士が繋がると、内部空間Vの電解液L(図5では不図示)が各バリPと第2樹脂部28との隙間を通って第3シール領域32に達してしまう(図5中の矢印B参照)。つまり、電解液Lが第1シール領域30及び第2シール領域31をショートカットして第3シール領域32に流れ込んでしまう。このため、アルカリクリープ現象による電解液Lの漏液が生じやすくなる。
一方、本実施形態では、積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法は、積層方向に垂直な方向における電極板18の寸法よりも大きくなっている。従って、図6に示されるように、電極板18の縁部に設けられたバリPの位置と金属板21の縁部に設けられたバリPの位置とが積層方向に垂直な方向にずれることになるため、電極板18及び金属板21と第2樹脂部28とを溶着した際に、バリP同士が接触して繋がることが防止される。このため、電解液L(図6では不図示)が第1シール領域30及び第2シール領域31をショートカットして第3シール領域32に流れ込んでしまうことがない。これにより、アルカリクリープ現象により電解液Lが外部に漏液することが一層抑制される。従って、電極板18のバリPと金属板21のバリPとが互いに向き合うように電極板18及び金属板21を配置しても、特に支障はない。その結果、バリPの向きを意識することなく、電極板18及び金属板21を配置することができる。
また、本実施形態では、負極終端電極17の積層方向の外側に金属板21が配置されているので、内部空間Vへの外部からの水分の浸入が抑制される。従って、アルカリクリープの促進条件となり得る湿度の影響が抑制される。
また、本実施形態では、負極終端電極17の電極板18と金属板21との間に設けられた余剰空間33は、電極板18、金属板21の接続部24及び第2樹脂部28によって形成されている。従って、余剰空間33が狭くなるように制限されるため、余剰空間33の湿度の影響が抑制される。また、積層方向に垂直な方向における金属板21の寸法が大きくなったので、外部の湿度が第2樹脂部28を透過する経路が塞がれることで、余剰空間33の温度上昇が抑えられ、ひいてはアルカリクリープが抑えられる。
また、本実施形態では、第2封止部26のオーバーハング部34は電極板18及び金属板21と重なっているので、蓄電モジュール2の充放電の繰り返しによる蓄電モジュール2の内圧上昇に対する耐圧を確保し、蓄電モジュール2の膨れ上がりを抑えることができる。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、金属板21は、電極板18と同じ金属で形成されているが、特にその形態には限られず、金属板21は、電極板18と異なる金属で形成されていてもよい。また、金属板21の厚みは、電極板18の厚みと異なっていてもよい。
2…蓄電モジュール、11…電極積層体、12…封止体、13…バイポーラ電極、15…バイポーラ電極群、16…正極終端電極、17…負極終端電極、18…電極板、18A…電極板、18a…主面(第1主面)、18b…主面(第2主面)、19…正極、20…負極、21…金属板、21a…主面(第3主面)、21b…主面(第4主面)、22…被接合部、23…被接触部、24…接続部、25…第1封止部、26…第2封止部、27…第1樹脂部、28…第2樹脂部、29…第3樹脂部、30…第1シール領域、31…第2シール領域、32…第3シール領域、33…余剰空間、34…オーバーハング部、L…電解液、V…内部空間。

Claims (3)

  1. 電極積層体と、前記電極積層体を封止する封止体とを備え、アルカリ溶液を含む電解液が内部空間に収容された蓄電モジュールにおいて、
    前記電極積層体は、電極板の一方側の第1主面に形成された正極と前記電極板の他方側の第2主面に形成された負極とを有するバイポーラ電極が複数積層されてなるバイポーラ電極群と、前記バイポーラ電極群の積層方向の一端側に配置され、前記電極板の前記第1主面に前記正極が形成された正極終端電極と、前記バイポーラ電極群の積層方向の他端側に配置され、前記電極板の前記第2主面に前記負極が形成された負極終端電極とを有し、
    前記電極積層体の前記負極終端電極側の端部には、金属板が前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面と対面するように配置されており、
    前記金属板における前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面と対面する側の第3主面と、前記金属板における前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面と対面する側とは反対側の第4主面とは、前記封止体と接合されており、
    前記封止体は、前記バイポーラ電極、前記正極終端電極及び前記負極終端電極の前記電極板と前記金属板とを保持する第1封止部と、前記第1封止部の周囲に配置された第2封止部とを有し、
    前記第1封止部は、前記バイポーラ電極及び前記正極終端電極の前記電極板の前記第1主面の縁部に接合された複数の第1樹脂部と、前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面の縁部及び前記金属板の前記第3主面の縁部に接合された第2樹脂部と、前記金属板の前記第4主面の縁部及び前記第2樹脂部に接合された第3樹脂部とを有し、
    前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面と前記第2樹脂部との境界部分は、第1シール領域を構成し、
    前記金属板の前記第3主面と前記第2樹脂部との境界部分は、第2シール領域を構成し、
    前記金属板の前記第4主面と前記第3樹脂部との境界部分は、第3シール領域を構成し、
    前記積層方向に垂直な方向における前記金属板の寸法は、前記積層方向に垂直な方向における前記電極板の寸法よりも大きい蓄電モジュール。
  2. 前記金属板は、前記第2樹脂部及び前記第3樹脂部と接合された被接合部と、前記被接合部よりも前記積層方向に垂直な方向の内側に配置され、前記負極終端電極の前記電極板の前記第1主面に接触する被接触部と、前記被接合部と前記被接触部とを接続する接続部とを有し、
    前記負極終端電極の前記電極板と前記金属板との間には、前記電極板、前記接続部及び前記第2樹脂部によって形成された余剰空間が設けられている請求項1記載の蓄電モジュール。
  3. 前記第2封止部の前記積層方向の両端部には、前記積層方向に垂直な方向の内側に張り出して前記第1封止部を前記積層方向に挟むオーバーハング部がそれぞれ設けられており、
    前記オーバーハング部は、前記積層方向に前記電極板及び前記金属板と重なっている請求項1または2記載の蓄電モジュール。
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