JP7116118B2 - アンモ酸化プロセス流を処理するための一連の蒸発器を備えた蒸発システム - Google Patents
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Description
アクリロニトリル/メタクリロニトリルの製造は長年にわたり商業的に実施されているが、改善が実質的に有益と思われる領域が残っている。そのような改善領域の1つは、回収塔缶出液に対するより効率的な蒸発器の運転であろう。
プロセス流から重質有機不純物を除去するための方法は、水及び約0.5~約1.5質量%の重質有機不純物を有するプロセス流を用意する工程を含む。前記方法は、1段又は複数の蒸発段を有する蒸発器システムにおいて重質有機不純物から水を分離して、水性凝縮物及び液状残渣を得る工程を含む。前記水性凝縮物は約0.1質量%以下の重質有機不純物を有し、前記液状残渣は約3~10質量%の重質有機不純物を有する。
蒸発器システムは、1段又は複数の蒸発段を備え、ここで、第1の蒸発段が蒸留塔からプロセス流を受け取るように構成され、1段又は複数の蒸発段が水性凝縮物及び液状残渣を得るように構成されており;急冷塔及び/又は軽質有機物ストリッパーは水性凝縮物を受け取るように構成されている。
本開示の上記及び他の態様、特徴並びに利点は、添付の図面と関連付けて読むべきである、例示されたその実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
同一の参照番号が同一の特徴部分を示す添付図面を考慮しながら、以下の説明を参照することにより、本開示の代表的実施形態及びその利点について、より完全な理解を得ることができる。
一態様において、アンモ酸化反応プロセスからプロセス流が提供される。そのようなプロセスの一例は、米国特許第4,334,965号に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
図1は各種態様の一般的略図である。図1を参照すると、アクリロニトリル、HCN、アセトニトリル、水蒸気及び不純物を含む、導管100内の反応器流出ガスは、まず急冷塔102に渡される。前記ガスは、急冷塔102において急冷液に接触させられてもよい。水及び不純物を含有する缶出液流(bottom stream)は、導管106を介して除去され、廃物処理に送られてもよい。
冷却された反応器流出ガスは、管路108を介して急冷システムから出て、急冷アフタクーラー107に送られてもよい。急冷アフタクーラー107は、急冷流出物を約50℃未満に冷却するのに有効である。冷却された急冷流出物は、管路109を介して吸収塔110に供給される。洗浄水が管路112を介して吸収塔110の上部に投入されてもよい。非凝縮性ガスが管路114を介して吸収塔から除去されてもよい。水、アクリロニトリル、アセトニトリル及び不純物を含有する水溶液は、管路116を介して缶出液流として取り出され、抽出蒸留塔182に渡されてもよい。
抽出蒸留を実施するため、管路184を介して抽出蒸留塔182の上部に溶媒水を導入してもよい。管路186を介して、アクリロニトリル及びHCNが塔頂蒸気として取り出され、更なる精製(図示せず)に送られてもよい。管路188を介して、アセトニトリル及び水を含有する流れが取り出され、ストリッパー190に渡されてもよい。ストリッパー190に熱が加えられ、管路192を介して塔頂蒸気としてアセトニトリルが取り出されてもよい。水、重質有機物及びその他の不純物を含有する缶出液流が、管路196を介して抽出蒸留塔182から取り出されてもよい。主として水を含有する液体流が、管路194を介してストリッパー190の下半分から取り出され、抽出蒸留塔182の溶媒水として使用されてもよい。
一態様に従えば、管路196内のストリッパー塔缶出液(プロセス流とも称し得る)は、蒸発器システムにおいて蒸発作用に供されてもよい。本態様において、熱交換器136に入り得る管路196内の抽出蒸留塔缶出液は、水、ポリマー、アンモニア、及びアクリロニトリルを含む。本明細書で使用するとき、「重質有機不純物」とは、ポリマーを指す。本明細書で使用するとき、ポリマーとは、重質有機物と微量の軽質有機物との混合物を指す。重質有機物は、高度のニトリル置換を有し、いくらかの酸化炭化水素基も含有する、種々の高沸点有機化合物の混合物を含んでいてもよい。本態様において、プロセス流は、約0.5~約1.5質量%の重質有機不純物を含み、別の態様では、約0.75~約1.25質量%の重質有機不純物を含む。
図1に示される態様において、蒸発器システムは、直列の多管式熱交換器(shell and tube heat exchangers)136、138及び142を備える。本明細書で使用するとき、「蒸発段」とは、単一の熱交換器を指す。各熱交換器において、交換器の管側の液体は、部分的に蒸発し、蒸気状流出物及び液状流出物を生成する。液状流出物は直列内の次の熱交換器の管側に供給される一方で、蒸気状流出物は同じ熱交換器の胴側に供給され、液体の追加的部分蒸発を発生させる。この技法は、ストリッパー缶出液から所望量の水を除去するために、必要な数の段にわたって継続される。各段において、熱供給蒸気が熱交換を介して凝縮されて生成された凝縮物は、回収されて、再利用のために再循環されるか、化学的又は生物学的精製に供される。
3つ以上の熱交換器が使用される態様において、第2の熱交換器138の管側に残留する液相は管路156を介して第3の熱交換器142の管側に移され、液体の一部は管路158を介して第2の熱交換器138の管側へ再循環される。第2の熱交換器138の管側で発生した蒸気は、管路160を介して第3の熱交換器142の胴側に移送される。この場合も、第3の熱交換器142における熱交換により、胴側の蒸気の凝縮が発生し、凝縮物が形成され、凝縮物は、第2の熱交換器138からの凝縮物と同様に、管路176を介して抜き取られ搬送される。
一態様において、第2及び第3の熱交換器内で発生する水性凝縮物は、微量の重質有機物を含有する。従って、それらの水性凝縮物は、環境に適合する水を生成するために、通常の生物又は化学処理によって直接処理され得る。更に、第4の熱交換器内で生成される凝縮物は、凝縮器によって生成される凝縮物と同様に、更なる処理なしに洗浄水などの各種プロセス目的で使用できる程度の純度を有する。第1の熱交換器により生成される凝縮物は、他のプロセス流とは接触しないため、純度が高い。
一態様において、蒸発器凝縮物を再利用又は廃棄し得るので、より高い蒸発量が有益となり得るが、多段蒸発器の最後の段からの液状残渣は、灰化及び/又は代わりに廃棄してもよい。
一態様において、抽出蒸留塔の缶出液の蒸発百分率は、約55%を超え約85%以下でもよい。一態様において、抽出蒸留塔の缶出液の蒸発百分率は、約60%より大きくてもよい。一態様において、抽出蒸留塔の缶出液の蒸発百分率は、約60%を超え約85%以下でもよい。一態様において、抽出蒸留塔の缶出液の蒸発百分率は、約73%~約75%の範囲であってもよい。
気化百分率が約60~65%、一態様では、約63%の4段蒸発プロセスを実施することにより、第4及び最後の熱交換器142から出る蒸発器缶出液中の液状ポリマーの百分率は、約3質量%になり得る。
気化百分率が約80~85%、一態様では、約83%の4段蒸発プロセスを実施することにより、第4及び最後の熱交換器142から出る蒸発器缶出液中の液状ポリマーの百分率は、約6質量%になり得る。
一態様において、各蒸発段は、約15~約25%の蒸発率を実現する。
一態様において、供給百分率で割った蒸発器凝縮物の百分率は、抽出蒸留塔182の缶出液の蒸発百分率になり得る。一態様において、蒸発百分率は、約55~約60%であり、別の態様では約57%である。液状残渣中のポリマーの量は、約2.2質量%である。
一態様において、蒸発百分率の値とポリマーの質量%との比は、約55~60:2.2である。
一態様において、蒸発百分率は約82~約83%であり、液状残渣中のポリマーの量は約6.0質量%である。凝縮物は、更なる処理のために管路135を介して軽質有機物ストリッパー(LOS)(図示せず)への供給物として供給されるか、急冷液として急冷塔102へ送られてもよい。一態様において、蒸発百分率の値とポリマーの質量%との比は、約82~83:6である。
一態様において、蒸発百分率は約73~約75%であり、液状残渣中のポリマーは約5.5質量%である。凝縮物は、更なる処理のために管路135を介して軽質有機物ストリッパー(LOS)(図示せず)への供給物として供給されるか、急冷液として急冷塔102へ送られてもよい。一態様において、蒸発百分率の値とポリマーの質量%との比は、約73~75:5.5である。
蒸発百分率が約83%よりも大きい場合、第4段蒸発器又は熱交換器142において非常に多くのファウリングが(多くの場合、管側に)発生し得ることが見出された。約73~75%の蒸発百分率はファウリングの量を大幅に低減するが、同時に、液状残渣中のポリマーの質量が比較的高くなることが見出された。
一態様において、急冷塔を運転する方法は、急冷塔に反応器流出物を搬送する工程、及び流出物抽出区画においてポリマーを含有する水に反応器流出物を接触させて、抽出流出物流を得る工程を含む。前記方法は、酸接触区画において抽出流出物流を硫酸と接触させる工程、及び第1の流れを取り出して、約10質量%以下のポリマーを有する第1の急冷塔流を提供する工程を更に含む。一態様において、前記方法は、蒸発器システムからの水の少なくとも一部を提供する工程を含む。本明細書に記載されているように、前記水は、水性凝縮物及び/又は液状残渣であり得る。
別の態様において、前記方法は、第2の流れを取り出して、約10質量%超のポリマー及び約5質量%未満の硫酸アンモニウムを有する第2の急冷塔流を得る工程を含む。
別の態様において、第2の急冷塔流の少なくとも一部は、流出物抽出区画に再循環される。抽出流出物流は、硫酸に対して向流となる。一態様において、第1の急冷塔流が、流出物抽出区画の上流で取り出される。流出物抽出区画において断熱冷却が行われてもよい。
Claims (20)
- プロセス流から重質有機不純物を除去するための方法であって、
水及び重質有機不純物を含む、アンモ酸化反応プロセスからのプロセス流を用意する工程、並びに
2段以上の蒸発段を有する蒸発器システムにおいて前記重質有機不純物から水を分離して、水性凝縮物及び液状残渣を得る工程
を含み、
2段以上の蒸発段は、2以上の直列の熱交換器を構成し、
各熱交換器が多管式熱交換器であり、各熱交換器において、交換器の管側の液体が部分的に蒸発されて蒸気状流出物及び液状流出物を生成し、
熱交換器で生成された液状流出物は、直列内の次の熱交換器の管側に供給される一方、熱交換器で生成された蒸気状流出物は、直列内の次の熱交換器の胴側に供給されて、液体の追加的部分蒸発を発生し、これは、プロセス流から所望量の水を除去するために、必要な数の段にわたって継続され、
各段において、熱供給蒸気が、熱交換器を介して凝縮されて水性凝縮物を生成し、水性凝縮物は回収されて、再利用のために再循環されるか、化学的又は生物学的精製に供され、
前記水性凝縮物が0.1質量%以下の重質有機不純物を有し、前記液状残渣が3~10質量%の重質有機不純物を有し、
前記水性凝縮物の少なくとも一部が、急冷塔へ搬送され、
硫酸を急冷塔に搬送して急冷塔缶出液流中の硫酸アンモニムの濃度を10~25質量%に増大させる、前記方法。 - 前記プロセス流が、0.5~1.5質量%の重質有機不純物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記プロセス流が、0.75~1.25質量%の重質有機不純物を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、2~6段の蒸発段を備える、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、2~5段の蒸発段を備える、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、2~4段の蒸発段を備える、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、2~3段の蒸発段を備える、請求項1に記載の方法。
- 前記アンモ酸化反応プロセスが、アクリロニトリルプロセスである、請求項1に記載の方法。
- 前記プロセス流が、アクリロニトリルプロセスの抽出蒸留塔からの缶出液流である、請求項1に記載の方法。
- 前記水性凝縮物が、0.075質量%以下の重質有機不純物を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記水性凝縮物が、0.05質量%以下の重質有機不純物を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記水性凝縮物が、0.025質量%以下の重質有機不純物を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記水性凝縮物の少なくとも一部が、急冷塔の第1段へ搬送される、請求項12に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、55%を超え85%以下の全蒸発百分率を実現する、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、60%を超え85%以下の全蒸発百分率を実現する、請求項1に記載の方法。
- 前記蒸発器システムが、73%を超え75%以下の全蒸発百分率を実現する、請求項1に記載の方法。
- 前記液状残渣が、4~8質量%の重質有機不純物を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記液状残渣が、5~7質量%の重質有機不純物を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記熱交換器の管側を通るフローが、1~3m/秒である、請求項1に記載の方法。
- 各蒸発段が、15~25%の蒸発率を実現する、請求項1に記載の方法。
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